クロスロード２２ | 陽炎の向こう側浅井キラリ

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2008/09/22

翌朝、森口は、昨日、林田から聞いた松本理彩に電話した。

「お電話かわりました。川上ですけれど。」

「私、S大学病院の森口といいます。昨日、同じ職場の林田さんからご紹介していただいてお電話させていただきました。」

「林田さんから？何か？」

「あの、森川彩子さん、ご存じですよね。林田さんのお話ですと、森川さんがそちらにいらした時、仲良くされていたとおっしゃっていたのですが。

森川さんのことについて、お話しを伺いたいのですが。」

「どんなお話しですか？」

電話の向こうの理彩は、身構えているように感じられた。

いや、敵意さえ感じられるのだった。

もう一度、理彩が聞いてきた。

その声に、森口は、一瞬たじろいだ。

「お電話では、ちょっと。できれば、お会いして、お話しを伺いたいのですが。」

「ですから、どんな話ですか？なぜ、あなたが、森川さんのことを知りたがっているのですか？」

明らかに、理彩の声はいらだっていた。

「実は、昨日、林田さんにお会いして、森川さんのことを伺ったのです。それというのも、川村さん、ご存じですよね。

川村さんの奥さんが、今、私の患者さんなのです。

私は、精神科の医師です。」

「あのう・・・？」

「川村さんの奥さん、今、こちらに入院していただいています。

とても、川村さんの自殺のことで苦しんでいらっしゃるのです。

川村さんの書棚から、森川さんらしき女性の写真を見つけて、川村さんの奥さんはとても気にされているのです。

川村さんの自殺とは、関係ないとは思うのですけれど。」

「川村さんと彩子さんのことでお話しすることはありません。多分、林田さんにお話しを聞かれたこと以上のことは、私はお話しすることはないと思います。

私が口を開けば、川村さんを非難する言葉しか出てこないと思います。

その理由も、林田さんから伺っていらっしゃると思いますけれど。

それに、彩子さんとは、去年の夏前くらいから連絡を取り合っていません。彩子さんも二人目のお子さんが生まれて大変な時だと思います。私も、共働きしながら子供がいるので、なかなか、メールする時間がなくて。年も変わってしまいました。」

「そうですか。今のご住所、おわかりになりますか？」

「帰国後は、ご実家に一時滞在するとメールには、書いてありましたが、引っ越しをしたという連絡は頂いていませんが、多分、お引っ越しされるって書いてありましたから、もうお引っ越しされていると思います。

ご主人が外資のコンサルティング会社に就職が決まったということは、メールで伺いました。」

そう言って、理彩は、彩子の夫の職場の名前を教えてくれた。

森口は、受話器を置いた後、考え込んでしまった。

『夫に電話するのは・・・。』

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