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「パイの物語(上・下)」(竹書房文庫)
という カナダ
の ヤン・マーテル
という作家が 2001年
に発表して ブッカー賞
を受賞した世界的ベストセラーがあるそうです。
で、それを10年ほど前に アン・リー
という台湾の監督が 「Life of Pi」
という題名で映画化して アカデミー賞の監督賞
をとったらしいのですが、その原作の戯曲化がこの舞台でした。もちろん、というのもなんですが、ボクははそんな経緯も、小説も映画も知らないで観ました。
実に、現代的というか、舞台上に登場する様々な動物たちがパペットというのでしょうか、人形であることと、映像を活用した舞台転換が、実に面白い舞台でした。ボクは映画で見ているわけですが、舞台が大海原に代わっていく、実にリアルな映像の使い方が、実際の劇場で観ているとどんなふうになっているのか、とても興味深く感じました。
インドからカナダに移住する 動物園を経営している家族
が トラ
とか オランウータン
とかの動物たちと同乗していた、なんと、 日本の貨物船
が太平洋上で沈没して、 パイ
というニックネームの少年がたった一人生き残って、その少年に日本の運輸省だかの役人が事情聴取するという設定のドラマでした。
太平洋ひとりぼっちという話がありましたが、 リチャード・パーカー
という名前の、これが、実に でかいベンガルトラ
と パイ
という少年の、 太平洋二人ボッチ
の話でした。
本筋とはあまり関係ないのですが、 オカモト
という名の、病院で寝ている パイくん
の事情聴取をする日本人が、なんというか、まあ、いかにも うざい日本人
なところが、英国の観客の皆さんは笑っていらっしゃるようなのですが、ちょっと笑えないリアル感が漂っていたのですが、演劇の舞台としてはよくできたファンタジーで、トラとの二人ボッチの展開の具体的な場面の作り方も、結果的に明かされる謎解きも納得でした。
人は、自らの存在のどこかに野生のトラを飼って生きている
というわけでした。主人公の パイくん
を演じた ハイラム・アベセカラ
という俳優さんと、たくさん出て来た パペットたち
と パペット使いの人たち
に 拍手!
でした。
見終えて、帰って来て、 「Life of Pi」
という映画のほうは
トラの実写版で撮っているようなのですが、ちょっと、そっちも見てみたいなという気分です。太平洋を漂う救命ボートにベンガルトラと少年の二人です。面白そうですね。
ああ、ちょっと蛇足ですが、付け加えておくと 少年とトラ
はお友達ではありません。いつ、襲い掛かってくるかわからないという関係ですよ。
演出 マックス・ウェブスター
原作 ヤン・マーテル
脚本 ロリータ・チャクラバーティ
キャスト
ハイラム・アベセカラ(主人公パイ)
ミナ・アンウォーミナ・アンウォー
ラジ・ガタクラジ・ガタク
ニコラス・カーンニコラス・カーン
2023年・139分・イギリス
National Theatre Live:「Life of Pi」
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