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2026.09.26
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 チャン・リュル「春樹」元町映画館 神戸 の 元町映画館 が 2026年8月の末 から 9月の初旬 にかけてやっていた 張律(チャン・リュル)監督 の作品の 2本目 です。
 まあ、ボクの好みに過ぎませんが(笑)、 傑作! でした。
 見たのは チャン・リュル監督 の 「春樹」 です。 チラシ は 「春樹」 に 「はるき」 とルビを振っていますが、 中国音 だと 「チュンシュウ」 、登場する 女性の名前 です。ただし、 英題 だと 「Mothertongue」 、 「母語」 というわけで、なんだかややこしいのですが、作品は チャン・リュル が撮り続けている(と、まあ、ボクが思っている)、 旅の映画 でした。
「慶州」 とか 「福岡」 とか、前日に見た 「ルオム」 とか、みんな旅先の町の名前が題名を飾っていて、登場人物たちが知らない町にやって来て、何となく彷徨うこの監督の作品がボクは気に入っていますが、 今回の題名 は人の名前で、彼女がやってきたのは 中国 の 四川省、成都 でした。
北京 で 映画の女優 をしている 春樹(チュンシュウ) という30代の女性が 猫 の 樹樹 と一緒にやってくる町が、 彼女の故郷 である 成都 でした。ボクにとっては 三国志 を思い出させる地名ですが、結構、奥地なんですね。
春樹 は 成都出身 ということで抜擢されたにもかかわらず、肝心の 成都語 が話せないことがバレて 成都を舞台にしてカンヌを狙う とかいう大作映画の主演を下ろされた 失意の人 のようなんですけど、彼女がこの町で出会うのが 張梅ジャン・メイ という、少女だったころの彼女に 成都語を捨てさせて女優の道へと導いた先生 です。それから、 張梅の息子 の 冬冬ドンドン 。 春樹 と同じくらいの年齢のようですが、 上海 で 鉄工技術者 として一人前に働いていた彼が、ここにいるのは 母 の 張梅 が 認知症 を発症し、その世話の為に仕事をやめて帰省したということです。
 生れたときから使っていたはずの 言葉 を失った 女性 、生きてきた生活の 記憶 を失いつつある 老女 、 仕事 をやめて帰ってきた 青年 。
映画 は、それぞれ、 失うことを生きている かに見える 三人 が、かつての 栄華 を失った 映画撮影所 という廃墟を彷徨うという、不思議ですが興味深い設定で展開しました。
 ボクは、まあ、偶然なのですが、この作品を見る二日前に55年前に卒業して別れて以来、ほとんど出会ったことのなかった中学校時代の同級生と再会し、そこで交わされる子供時代の言葉の響きを聞くという機会があったこともあってでしょうね、映画を見ながら、作品が描く ことばと記憶 、 場所と記憶 、 顏と記憶 について強く揺さぶられる気がしました。​
忘却とは忘れ去ることなり。
 古いラジオドラマの有名なセリフですが、本当に忘却とは忘れ去ることなのでしょうか?
スクリーン から聞こえてくる音読される 詩 の響きとか、頼りないタッチのピアノの音で聞こえてくる ドレミファソラシド の静かな響きとか。その音と一緒に見ているボク自身に映画とは関係ないはずの 記憶 が湧き上がってくるのです。で、聞こえてくる ピアノの音 は繰り返しだとわかっているのですが、記憶を呼び起こす次の音に期待する気持ちが湧いてくることを不思議な 哀しさ で感じました。
中国語 というのは、ナマケモノのボクが学校を出て以来、唯一、挑んだ外国語なのですけれど、結局、 「ハオ・チー」(好吃) と 「ウォ・チー」(我去) のちがいが耳ではわかっても、口ではいえないまま諦めたんですが、習った 北京官話 が、そもそも、 上海 では通じないとか、 内モンゴル あたりに行くと モンゴル語 、 四川 の奥だと チベット語 、 方言 がいろいろあるとはいっても、まあ、ちがう言葉も飛び交っていてスゴイんですね。ボクなんて、 北京 であろうが、 西安 であろうが、 フフホト であろうが通訳さんだよりなわけでしたけど、不思議でしたね。
 で、この映画は、そういう 言葉事情 を背景にしていて、場内では笑っている人もいたわけで、多分、 中国の人 にはわかるんでしょうね。 字幕 読むのに熱中しているボクには ??? なのですが、まあ、いろんな意味で面白い映画でした。
 やっぱり、 チャン・リュル というこの 監督 、ただものじゃありませんね(笑)。 拍手!
監督・脚本 チャン・リュル
製作 ポン・ジン
撮影 ピャオ・ソンリー
美術 ジェン・イーツァン
衣装 リャン・ジェンアル
編集 リウ・シンジュー
キャスト
バイ・バイホー(方春樹ファン・チュンシュウ)
ワン・チュアンジュン(王冬冬ドンドン)
リウ・ダン(張梅ジャン・メイ)
ポン・ジン(春樹の母)
ドン・チャン(俊峰ジュンフォン)
レイ・シャーヨン(陽陽ヤンヤン)
ホアン・チエンシン(黄建ホアン・ジェン)
2025年・122分・中国
原題「春樹」英題「Mothertongue」
2026・09・01・no162・元町映画館no394




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最終更新日  2026.09.26 08:32:58
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