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ボックスアート港ボード&町ボード デザイナーはドイツのRobert Auerochsで、これがデビュー作。パブリッシャーは「アグリコラ」や「ル・アーブル」で知られているLookout Games。人気デザイナー、Uwe Rosenbergの新作「Caverna: The Cave Farmers」と共に、今年は新人デザイナーによる重量級港湾ゲームを出してきた。 プレイヤーは自分の港を持つ港湾管理者。最初は何もない港の埠頭を整備して大きな貨物船や客船を呼び込み、その船に積まれている貨物や乗客を必要としている契約に割り当て、建物を建設して名声点やお金を得る。これを数ラウンドに渡って繰り返し、最も多くの得点を獲得したプレイヤーの勝ち。 各ラウンドは大きく分けて3つのフェイズに分かれてる。まずは入札フェイズ。各プレイヤーは影響力カードを5枚ずつ持っており、これを3種類(町ボード、海ボード、陸ボード)あるゲームボードのアクションスペースに裏向きで置いて入札していく。全員がすべてのカードを置き終わったら表向け、各スペースごとに自分のカードの数値合計が最も大きかったプレイヤーがそのアクションを実行する権利を得る(スペースによっては、入札した全員がアクション実行権を得る)。2003年に発売されたBernd Eisensteinによる「マヤ」でも採用されていた入札システムだ(秘密入札とでも呼ぶんだろうか)。このため、誰がどのアクションに本気で突っ込んできているのかは、カードの枚数からしか推測できない。誰かが2枚目を置いたからといって、確実に勝つために数値の高いカード2枚を置いてしまうと、他のアクションを落札しにくくなる。しかもその誰かの2枚は競り上げを誘発するための罠で、数値の低い2枚かもしれないのだ。不確定要素が多すぎるため、このシステムはあまり好かれていないようだが、これはこれで一般的な競りとはまた違った緊張感があるだろう。また、ゲーム中重要になる船カード、契約カード、建物カードのうち、建物はラウンドごとに1枚しか競りにかけられないので大変だが、船と契約はラウンドごとにプレイヤーの人数分用意されるので、バッティングを避けようと思えば避けることもできる。入札額の読みが難しい分、入札の対象を増やすことで競り合いがゆるくなるようにしてあるようだ。 黄プレイヤーの影響力カード。最初は全員1、2、3、4、5だが、アクションによってより高い数値のカードを入手することができる。 入札が終わったら、町、海、陸ボードの順で競りの結果を処理していく。 町ボード。一番左のスペースでは、自分が置いたカード1枚ごと(数値は不問)に1金を得る。 次のスペースでは、最高入札者が山の一番上にある建物カードを得る(まだ建設したわけではない)。 3番目のスペースでは、より大きな船を停泊させられるように埠頭を整備するか、自分の港上でまだ利用できないエリアを整地して利用できるようにするか、事前に得ていた建物カードを港ボード上に置いて建設する。このアクションは入札した全プレイヤーが実行できるが、最高入札者のカードの数値と、自分のカードの数値の差分をお金で支払わなければならない。 その次は「影響力カードの格上げ」。これも入札者全員が実行でき、次に数値の大きな自分の影響力カードを手札にすることができる。ラウンド終了時に数値が一番小さいカードを捨てるので、手札は常に5枚になる。 その次は「価格の変更」。契約カードで売り払う商品/乗客の価値を、自分の都合のいいように変更できる。誰も入札しないと勝手に変わってしまうので、現状を維持したければ入札するしかない。 最後に階級の変更。各プレイヤーには船長や船のコックといった役職が割り当てられており、競りで引き分けが発生したときには、すべてこの階級によって結果が決まる(役職が高いプレイヤーが勝つ)。さらに、このスペースを解決するときに役職に応じた収入も入ってくる。役職が高い方が圧倒的に有利なのだ。このスペースの最高入札者は、隣接している2枚の役職マーカーを入れ替えることができる(自分のマーカーでなくてもいい)。隣接してなきゃならないので、コックがいきなり船長になることはできない。地道に昇進していかなきゃならないのだ。世知辛いなw 海ボード。ここではプレイ人数分の船カードが公開されてて、各スペースの最高入札者はその船カードを取ることができる。でかい船ほど名声点が高く、商品/乗客も多いのだが、当然それ相応に大きな埠頭にしか停泊できない。ちゃんと埠頭を整備しておくことが重要だ。 陸ボード。海ボードとほぼ同じだが、こちらでは契約カードを取ることになる。取ったカードは自分の港ボードの上に置く。船の商品/乗客を契約カードに移動させるのが主な収入手段なので、獲得した船に対応している契約をうまく取る必要があるだろう。 3つのゲームボードのアクションを解決したら、各プレイヤーは個別に自分の港ボード上でのアクションを実行する。ここは全プレイヤーが同時に進行することができるが、最初のうちは2人1組になるなどして、確認しながらやった方がいいだろう。 港ボード。ここでは任意の順番で、できることを何回でもやることができる。スペース上に生産建物があれば対応する商品を生産することができるし、埠頭(左側)に停泊している船から商品/乗客を移動させることもできる。ただし、商品/乗客はいったん倉庫スペース(港ボード上の空きスペース)に移動させなければ契約カード上に移動させることができない。しかも各倉庫スペースにはほとんどの商品/乗客を1つしか置けないのだ(木箱だけは積み重ねて2つまで置ける)。役に立つからといって建物を建てすぎると、倉庫が足りなくなって商品/乗客を管理できなくなる。船カードと契約カードは決まったラウンド数しか港にとどまらず(カード上に時間マーカーを置いて記録する)、期限が来ると船は商品/乗客を乗せたまま捨て札になってしまうし、契約に必要な全商品/乗客を揃えられないとペナルティを食らってしまう。逆に満期が来た契約に必要な全商品/乗客を揃えられれば、それらの売却利益に加えてボーナスが得られる。 港ボード上でのアクションが終わったら、名声点を計算する。ここが他のゲームとは少し違うところで、一度上がった名声点は、基本的には下がらない。たとえば船カードから3点、建物から5点を得て計8点になったとすると、船の停泊期間が過ぎてカードを捨て札にしても、船から得た3点を失うことはないのだ。逆に、このあとで2点の船カードを得たとしても名声点は増えない。ラウンド終了時点での名声点が、今記録されている名声点より多い場合に限って名声点は増えていくことになる。 最後にイベントが発生する。両面仕様の新聞カードというのがあり、これの一面には町ボード上で船駒を何マス進めるかが示されてる。この船駒が最終スペースに到達したらゲーム終了なので、何ラウンドプレイすることになるかは確定していない(4人プレイでは8~12ラウンドになるらしい)。 1ラウンド目終了時にはイベントは発生せず、船駒を進めたカードが裏返されて次ラウンドのイベントカードとなる。公開されてないので詳細は不明だが、まあいろんなことが起こるんだろう。ラウンドごとに次のラウンド終了時に発生するイベントが分かるわけなので、それに備えての活動が大切になるんじゃないかな。 新聞カードが置かれる新聞棚。パブリッシャーは違うが、Michael Schachtの「アフリカーナ」や「ヴァルドラ」でも使われていた本棚システム(と言うほどのものでもないが)。右側に船駒を進める面を表向きにしてカードが置かれ、ラウンドごとに裏返してイベント面を表向けて左側に置く。 これを繰り返し、船駒が最終スペースに到達したらゲーム終了。最終得点を計算するが、ここも他のゲームとは大きく異なっている。何とこのゲームでは、プレイ中に獲得した名声点に所持金額を掛けた値が最終得点となるのだ。掛け算が入るので、結果はかなり大きな値になる。このゲームはソロプレイも可能なのだが、最高の評価を得るには1251点以上取らなければならないことからもスケールの大きさが分かるだろうw 建物とイベントの効果が分からないので、現時点ではっきりしたことは言えないが、つまらなくなりそうなところはない感じ。ブラインドでの競りに対する好みがゲームの評価に直結するんじゃないかな。私は割と好きな方だ。ラウンドごとに1枚しか利用可能にならない建物での競りに負けると厳しいが、どのみち充分な数の倉庫スペースが必要になるので、建物はあまり数を用意できないだろう。使えるようにするために2手(カードの獲得と建設)必要になるのも、意外に大きなコストだという気もするし。肝になる建物を1つ2つ頑張って入手して、あとは埠頭の整備と適切な船/契約カードの獲得を管理するゲームじゃないかな。これらのアクションは入札さえすれば必ず実行できるけど、最高入札者にならないと余分なお金がかかる。お金は最終得点に直結するので、やはりある程度高値で入札しなきゃならない。そのために影響力カードの格上げもしとかないとな……てな感じの、「やりたいことはたくさんあるけど全部はとてもできない」系ゲームに違いない。こう聞いてアドレナリンが溢れてきた人にはお勧めですよwBGGの和訳ルール
2013.11.27
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主宰であるオビ湾さんがランナーズハイをこじらせ、ビッグバントーナメントがとんと開催されなくなったため、生き残った有志が集まって往年の栄光を偲ぶことにした。昼からいたるさん、タムラさん、私。閉店30分ほど前にCOQさんが参加した。●マデイラ 詳しくはこちら。 まずは“シンプル”(2014ボドゲ年度流行語大賞候補)で一躍知名度を高めたこれ。 全員が事前にルールを読んできたにもかかわらず、アクションやタイル類の効果が多すぎて、何をするにもいちいちルールブックを確認する羽目に。これはサマリー用意しておいたほうがいいね。さすがに初見で全部覚えろってのは無理w ルールブックにもヒントとして書かれているが、序盤から船を作ると木のやりくりにかなり苦しむことになる。このため、1ラウンド目の王国の要請では「都市化」が一番高得点を得やすい。「国家の富」ではお金払わなきゃならないし、「ギルドでの影響力」ではギルドタイルが必要で、これはせいぜい2枚しか手に入らないからね(うまくやれば10点になるので充分ではあるが)。「都市化」なら邪魔されて首位になれなくても5~7点取れるし、たいていは首位になれるので段違いに効率がいい。この要請タイルがギルドボードの1段目に偏り、ここをタムラさんに取られたので、いたるさんと私はスタートから苦しい展開に。ていうか、初期要請タイルで「国家の富」配られたプレイヤーはそうとうきつい。ゲーム中にかなりうまく回して、これをもう1枚取らされることだけは避けた方がいいんじゃないかな。あるいはお金プレイというのも可能なのかもしれんけど、初見ではたぶん無理だと思うw とにかく何もかもが足りない。労働者が足りないが、増やすとパンが足りない。アクション数が足りないけど、常にフルアクションしてると建物コストとして支払うお金が足りない。お金を得るために貿易しようとすると船がある程度必要なのだが、船を作ると木が足りない。もうリソースマネジメントでいっぱいいっぱいw 長期的な戦略など立てられるはずもなく、目先で足りない資源を取りに行って急場を凌ぐという自転車操業プレイしかできなかったw それでも、ゲーム終盤までプレイすると多少は見えてきた気がした。ヒントにあるように、やはり維持コストのかかる船は中盤以降に作るとして、序盤はギルドの恩恵タイルを獲得する「ギルド長」アクションと、都市から資源を得る「市長」アクションが重要っぽい。特殊能力はやはり強力だし、手番順選択時に1枚は再利用できるように各色1枚は欲しい。要請タイルで得点化も狙えるしね。 一見すると収穫で手に入る小麦/砂糖/ワインが一次資源のように見えるが、実は都市で手に入るパン/お金/木こそが一次資源なので、序盤こそ都市に注力すべき。特に木は収穫でも手に入るが、よほどのことがない限り都市で入手した方が効率がいい。今回はここに気づくのが遅れ、もうほんとに最後の最後まで何もかもが不足したw 4ラウンド終了時点では、見かけ上の得点は接戦だった。しかし5ラウンド目、要請タイルの兼ね合いで全員が船を必要とする展開になったため、序盤から維持費に苦労しつつ船を出していたいたるさんが断然有利に。当然船を出すための「司令官」アクションを絞り、早めのパスでパスアクションによる船建造まで絞ってタムラさんと私の得点機会を完封。結構な差をつけての圧勝となった。 最終局面。 面白い。間違いなく面白いが、間違いなくシンプルではないw 手番順選択とアクション選択の2つにおいて、1手で複数の選択を同時にしなければならないので、各要素を天秤にかけるのが難しすぎる。特に人物アクションと建物アクションの同時選択は悩ましい。建物コストが高すぎるので、あまり人気のない人物アクションを選ぶととんでもないコストを支払う羽目になるのだ。なので、「建物アクションを実行できない」海賊ダイスの使いどころが大切になる。これはデメリットのように見えるが、コストを支払わなくていいので、実はメリットなのだ。見張り塔から労働者駒も取り除くので、その維持費も減っていいことずくめ! まああとで補充しないと海賊ダイス使えなくなっちゃうけどw 終わったときには「面白かったけどどうしていいのか分からん……2回目はないかな」と思ったが、しばらくするとああすればよかった、こうしてみたらどうだろうといろいろ思いつき、またやりたくなる。そんなタイプのゲームだ。いいよこれ。●ウーゴ! 詳しくはこちら↓ふうかのボードゲーム日記:ウーゴ! 続いてエッセンシュピールでも人気上位だったこれ。「タイトルの読みは『ウゴ!』です」って連絡受けてたから、ルールブック中ではそれで通して納品したけど、なぜかショップ案内では「ウーゴ!」になってるな。“UGO”は架空の地名で、他に“IGU”とか“EGI”とかいった地名が出てくる設定なので「ウゴ」の方がいい気もするが、まあゲーム性には影響しないのでよしw マストフォロー、切り札なしのトリックテイクで、でかい数字>同値ならリード色>リード色がなければ先出しが勝つ。トリックテイクは手札運に左右されるところが多く、それを軽減するために数ゲーム繰り返してプレイするもので、このゲームも例外ではない。だが、このゲームではどの大きさの数字にも使いどころがあり、知恵を絞れば場をコントロールできそうな気がするぎりぎりの感じになってる。実際にコントロールできるのかどうかは重要ではなく、そんな気がするってところが重要だ。何人でプレイしても数枚のカードがゲームから除外されるので、完全なカウンティングが不可能なところも(ここは賛否両論あるだろうが)いい。 8でトリック取ったあとも、他プレイヤーに低い数字のカードを押しつけられないかとドキドキするし、逆にこっちが押しつけに成功したらしてやった感がある。農夫トークンを得られるカードでトリック取らないと大量失点の危険があり、終盤まで気が抜けない。このゲームが受ける理由はよく分かる。たとえ「大好き!」とはならなくても、このゲームが嫌いだって人はなかなかいなさそうだ……トリックテイクに触るとじんましんが出るとかでない限りはw 3人戦で最もうまくいったときの私の王国。ほぼ理想的。 3人で1戦し、最後にCOQさんを交えて4人でもう1戦した。3人戦では圧勝し、4人戦ではボロ負けしたw 4人戦の最終局面で、温存していた8でトリックを取って高得点ゲット! と喜んでたら、同じくCOQさんが温存してた他色の8まで取らされ、農夫不足で大失点させられたのには参ったw●スペース・ステーション 詳しくはこちら↓ふうかのボードゲーム日記:スペース・ステーション 続いていたるさんプロデュースのこれ。6ラウンドに渡って自分の宇宙ステーションを建造・発展させ、他プレイヤーのステーションと発展具合を比較して勝利点を得る。 宇宙ステーションのモジュールはカードで表されており、コストを支払って手元にどんどんつなげていく。で、このモジュールすべてが特殊能力を持っており、それを発動させて効率を上げたり、他プレイヤーを攻撃したりするわけだ。 何しろ特殊能力しかないアメリトラッシュだ。こういうゲテモノが好きな人(=我々)にとってつまらないわけがない……が、さすがにバランス的にちょっとイケてないw モジュールカードの他にイベントカードというのがあるのだが、これが強弱ありすぎ、強力なものは強力すぎる。しかもノーコスト。初期資金20金もないのにモジュールの建設コストは基本6金。これに対してイベントはノーコスト……つまりいいイベントカード引いたもん勝ちだw まあそれだけならいいんだけど(よくはないが)、効果にストレスフルなものがあるのはいただけないかな。モジュール建設していくのが楽しいのに、「標的プレイヤーはこのラウンド中建設不可」というイベントがあるのはどうだろう。勝ち負け関係なく、これの標的となったプレイヤーはむっとして黙り込むしかないよなー。そこんとこさえ何とかしてくれれば良ゲーに化けると思う。 最終的な私のステーション。妨害を受けてところどころ損傷しているが、タムラさんとの接戦を制して1点差で勝った。●ブループリント 最後にこれ(実際にはこのあと4人で「ウーゴ!」をやった)。 ダイスを使った建設ゲー。というとTMGの「スカイライン」を彷彿とさせるが、こちらは共有のストックから使いたいダイスを選んでいくタイプ。ラウンド開始時に配られた青写真カード上に、示されているようにダイスを配置していく。6手番ずつプレイしたらできた建物を公開して、使ってるダイスの種類やできた建物の形に応じてポイント獲得。そのポイント順に金賞・銀賞・銅賞カードを割り当て、条件を満たしているプレイヤーには偉業カードも与える。これを3ラウンド繰り返して、賞カードと偉業カードの得点が最も多かったプレイヤーが勝ち。建物建設によるポイントと、ゲームの勝敗に影響する勝利点の二重構造ルールがちょっと勘違いしやすいところだが、そこだけ注意すれば簡単なゲームだ。 途中終了したので面白い/つまらないの評価は保留としておくが、出目を変えてはいけないダイスをついたての内側に隠して配置するというルールは、やはりいかさまを誘発する(またはミスの指摘ができない)ので、あまりよろしくないように思う。かといってオープンでやると偉業の達成妨害があまりに容易になるので、ちょっと根本的な構造に問題あるんじゃないかなあ。あと、袋に手を入れる必要があるのに、小さすぎてとても入らないのは大問題だw プレイするには代わりの袋が必須。「マウナ・ケア」もそうだったけど、さすがにこれはパブリッシャーに問題ありだと思う。
2013.11.22
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ボックスアートプレイ風景 デザイナーはHelmut OhleyとLeonhard Orgler。これまで2人で18XX系のゲームを数多く作ってきており、Helmut Ohleyは単独で「レイルロード・バロン」も作ってる。そんな2人が初めて18XX以外のゲームを出すこととなった。鉄道ゲーなのは変わらないがw パブリッシャーはドイツボドゲ界の雄、Hans im Glück(と言っても、近年は毎年新作1、2本だけで、あとは「カルカソンヌ」の拡張しか出してないのだが)。この老舗の長い歴史の中で3番目(タイ)の長時間ゲーが今作となる(1位は「1835」で360分、2位は「ディ・マッヒャー」で240分。もう1つの3位は「Dippi Totale」。どれも1980年代のゲーム。どんだけ重ゲー嫌いなのw)。 タイトル通り、プレイヤーはロシアに鉄道を敷設する鉄道会社の社長となる。シベリア横断鉄道、サンクトペテルブルク鉄道、キエフ鉄道の3本の路線を延ばし、機関車を購入し、線路の状態を向上させ、沿線に工場を誘致し、技術者を雇用して、毎ラウンド勝利点を獲得する。規定ラウンド(4人プレイでは7ラウンド)プレイし、最終得点計算を行って最多得点プレイヤーの勝ち。 鉄道ゲーと聞いてまず思い浮かぶのが、ヘクスマップに線路タイルだろう。たいていは共有のゲームボード上で都市から都市へと線路を引いていき、それによってお金や勝利点を得ていくものだ。だが、このゲームはそれらとは大きく異なっており、何もかもがかなり抽象化されている。プレイヤーは個人ボード上で3本の線路をひたすら前へ前へと延ばしていくだけなのだ。 プレイヤーボード。上からシベリア横断鉄道、サンクトペテルブルク鉄道、キエフ鉄道だが、その名称が入れ替わっても、ゲーム上何の問題もない。途中でどこかの都市につながるわけでもなく、各プレイヤーが個人ボード上でそれぞれ線路を延ばすので妨害も陣取り要素もない。 基本システムは、手番ごとに労働者駒を置いて即座にアクションを実行するタイプのワーカープレイスメント。ゲームボード上にいくつものアクションスペースがあり、そこに示されている数の労働者駒を置いていく(中にはお金を置かないといけないスペースもある)。面白いのは、このゲームにはコストという概念がないという点だ。労働者駒を置けば、あとは何も支払わずにアクションを実行できる。コインというものもあるにはあるが、これは完全な労働者駒の上位互換。プレイヤーは労働者駒を置く代わりにコインを置くことでアクションを実行できるのだ(上位互換なので、コインが必要なスペースに労働者駒を代わりに置くことはできない)。意外とこれまで見かけなかった、ワーカーを配置することにのみ集中できるようにしたシステムなんじゃないか。 主なアクションは「線路の延長」「機関車/工場の獲得」「工業化」「技師」の4つ。 「線路の延長」では、示されている色の線路駒を示されてる数だけ、自分の任意の鉄道上で進めることができる。これでそのマスまで線路を引いたことになる。最初のうちは黒い線路駒しか進められないが、特定のマスまで黒い線路駒を進めると、黒い線路駒が進んでるマスまでは灰色の線路駒を進めることができ、灰色の線路駒が進んでるマスまでは茶色の線路駒を進めることができ……となっていく。ちょっとイメージしにくいが、すでに簡単な線路が敷設されてるところを、あとから改良して列車の乗り心地をよくしてるとか、安全性を高めてるとかしてるんだろう。当然、よりよい線路を遠くまで延ばした方が高得点を得られるが、そのためには手間がかかるわけだ。 線路だけ延ばしても仕方ないので、「機関車/工場の獲得」で機関車も得なきゃならない。機関車タイルには1~9の数字が振られており、いずれかの鉄道に置かれた機関車は、その数字のマスまで到達できることになる。得点計算時には機関車が到達可能なマスまでしか考慮に入れないので、できるだけ高性能な機関車が欲しいところだ。だがストックにある一番数字の小さな機関車しか取れないので、こちらも線路同様、地道に発展させていかなければならない。新たな機関車を得たときには古い機関車を置き換えたり、他の鉄道に移動させたりすることができる。いらない機関車はストックに戻すことになるが、このときには裏返し、工場面を表向きにする。 機関車タイル。左上には、裏面の工場が持つ特殊能力が示されてる。 同じアクションスペースで、機関車の代わりに(または機関車と共に)工場を得ることもできる。このときも基本的には数字が一番小さいタイルを取らなければならないが、誰かがタイルをストックに戻して表向きの工場タイルがある場合はそれを選ぶこともできる。取った工場は個人ボード下側のでこぼこにはめ込むようにして置く。 工場は特殊能力を持っており、「工業化」アクションで工業マーカーを工業トラック沿いに進め、工場タイル上にマーカーを置いたときに使うことができる。つまり1回限りの使い捨て能力になるが、工業マーカーを進めれば序盤に手っ取り早く勝利点を得ることができ、でこぼこを超えてマーカーを進めるにはそこに工場タイルを置かなければならないので、こちらで勝利点を稼ぐ戦術をとる場合には何枚か(できれば最大の5枚)必要になるだろう。また、工業マーカーは最大2個まで増やすことができるので、そうすればもう一度工業タイルの能力を使うこともできる。 最後に「技師」。ゲームボード上に技師タイルが何枚か並んでおり、そのうち1枚は雇用スペースにある。これはコインを置くことで得ることができる。得た技師タイルは裏向きで個人ボードの横に置き、以降そのプレイヤーだけが使えるアクションスペースをもたらす。ワーカープレイスメントで他プレイヤーに邪魔されないスペースがあるというのは、相当な強みになるだろう。また、共通ボード上では2枚の技師タイルが裏向きになっており、ここは他のアクションスペースと同じように使うことができる。技師タイルはラウンドごとに移動するので、ラウンドごとに異なるタイルが裏向きになり、利用できるアクションが変わることになる。何ラウンド目にどんなアクションが利用可能になるのかを考え、それに応じて計画を練ることも必要だろう(手番順が後手番だと利用できない可能性も高いがw)。 このゲームでは、手番順は自動的には変わらない。なので後手番プレイヤーは、先手を取るためにアクションを消費しなければならない。だが、ここにも他のゲームとは異なる工夫が施されている。手番順を変更するために置いた労働者駒は、ラウンド終了時に空いているアクションスペースへと移動し、そのアクションを実行することができるのだ(ここには1個ずつしか労働者駒を置けないので、2個以上の労働者駒を必要とするアクションは実行できないが)。他のゲームで「手番順をよくするためだけに駒を使うのはなー」というフラストレーションを感じた人は結構いるんじゃないかと思うが、それを緩和するこのルールはなかなか秀逸だ。 こうして使いたいだけの労働者駒(とコイン)を使い、全員がパスしたらラウンド終了。ラウンドごとに延ばした線路と工業化による得点計算を行う(詳細は割愛)。序盤は工業化による得点がかなり大きいが、終盤は線路から莫大な得点が入るようになってるらしい。 規定ラウンドプレイしたら、終了ボーナスカードと技師タイルによる優勢から追加の勝利点を得る。ボーナスカードからは15~30点くらい得られ、一番多くの技師タイルを持ってるプレイヤーは40点も得る。当然これらの得点は多い方がいいが、これだけで勝敗が決まったりはしない程度にはゲーム中にも得点できるようだ。 何というか、ルールを読んだだけではピクリとも心が動かないゲームだw これまでにあったルールの集大成(手番順のところはちょっと新しいが)。極限まで抽象化された各要素。線路は真っ直ぐ伸びるだけで、なぜか他プレイヤーと競合することもない。鉄道輸送の黎明期に、同じ都市から別の同じ都市へと何本も線路が延びてることになるんだがw 到達するとさまざまな利益が得られるマスもあるけど、なぜその利益が得られるのかの説明はない。技師も工場も特殊能力を持っているが、その技師が何をする人なのか、その工場が何の工場なのかのフレーバーはない。プレイヤーに相当の想像力を要求するゲームだよ、これw だが、すでにプレイしている人たちの感想を聞いてみると、これが相当に面白いらしいのだ。どうやら、やってみないと分からない系の最たるゲームらしい。「完全なノンテーマゲーはしたくないが、そこまでフレーバーでゴテゴテしてなくてもいい」とか「フレーバーよりシステムの美しさを楽しみたい」という人は一度プレイしてみて、評判の真偽を確かめてみる価値があるんじゃないかな。 国内ではメビウスゲームズで取り扱い予定。BGGの和訳ルール
2013.11.14
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Andean Abyss会、Cuba Libre会に続く「COIN(対暴動)シリーズ全部プレイしようぜ会」第3弾。メンバーは前回同様、旅団長さん、いたるさん、タムラさん、私の4人。●A Distant Plain 今回の舞台は現代のアフガニスタン。ゲームに出てくる勢力は「アフガン政府」「連合諸国」「タリバン」「軍閥」の4つ。私は「軍閥」を担当することになった。色が“緑”だと言えば、COINシリーズ経験者ならどんな勢力か分かるだろうw 他勢力は旅団長さんが政府、いたるさんが連合諸国、タムラさんがタリバンとなった。 政府の勝利条件は「支配人口+パトロネージが36以上」、タリバンは「政府対立人口+基地数が21以上」と、まあこれまでのシリーズにおける政府、反政府勢力筆頭とだいたい同じ。面白いのは連合諸国の勝利条件で、「政府支持人口+“手元の”ユニット数が31以上」となってる。つまりマップ上にユニットをばらまいている状態だと勝てないのだ。しかも連合諸国のユニットがタリバンの攻撃によって除去されると、一部はゲームから除外されてしまう。いくらでも湧いてくる他勢力のユニットに対し、欧米諸国の兵隊の命は破格に価値が高いということらしいw このため、序盤はアフガン政府と協力して地域を平定し、ある程度政府有利に傾いたらさっさと兵員を引き上げなければならないのだ。 対して、軍閥の勝利条件は「非支配地域の人口16以上、かつリソース41以上」というもの。金儲けの手段は多々あるものの、さすがにリソース41以上は簡単にはたまらない。完全な大器晩成型なので、最初の2回のプロパガンダでの勝利は諦め、優勢になった他勢力(特に地域を支配しがちな政府とタリバン)の足を引っ張り、リソースがたまったら人口による条件を満たしにかかることにした。 マップ南部はタリバンを構成するパシュトゥーン人の勢力が優勢で、軍閥のユニットは発見されやすいので、ほとんど無視して北部にせっせと基地を作っていく(基地の数が収入に直結するのだ)。他の3勢力は人口の多い地域で激しい勢力争いを繰り広げてたが、軍閥はどうせ終盤にならないと人口関係ないので争いを避け、独自路線を進んだ。 第一プロパガンダこそ全員がスルーしたが、そろそろ第2プロパガンダかというところで政府が大躍進。それなりのマージンを取って勝利条件を満たしたものの、残念ながらプロパガンダ発生せず。当然他プレイヤーは政府を妨害し、この時点でリソースをほぼ使い果たしていた政府の巻き返しは不可能で、第2プロパガンダでの勝ちはなくなった。 第2プロパガンダ後の収入で軍閥のリソースが40を超え、私もようやくレースに参戦w フルオペレーション+特殊活動で3地域を一気に非支配状態にできる予定だったので、プロパガンダ前に第一派閥になれば勝利条件を満たせるように準備を整え、そのときを待った。 そして公開された第3プロパガンダカード。第一派閥は軍閥! ほぼイキかけたね……その時点で連合諸国も勝利条件を満たしており、マージン差で負けるって状況になるとは予想もしてなかったけどねw 連合諸国の勝利を阻止することはできるものの、そのアクションでは自分の勝利条件を満たすこともできず。結局勝者なしで第3プロパガンダも終わり、残念ながらここで時間切れ終了となった。 最終局面。連合諸国のユニットはすべて撤退済み。もうちょっと頑張れよw そしたら北部の政府軍を買収して軍閥の勝ちだったのに! さすがに3作目だけあって、シリーズ最高傑作と言える。特にリソースを共有する政府と連合諸国の絡みや、パキスタンとの関係によってアクションの強弱が変わるタリバンなど、特殊ルールがゲームを煩雑化することなく、すべて面白くする方向に作用してるのが素晴らしい。軍閥は……まあCOINシリーズ全般に言えることだが、無理矢理4つ巴にするために入ってる勢力だからねw 悪くはないが、金儲けに注力しつつ他勢力のバランスを取らなきゃならないのでプレイングが難しい。上級者向けかなー。 COINシリーズ好きならマストプレイ。●エイト・エピックス ここで旅団長さんが帰宅され、残りの3人でこれ。カナイ製作所によるゲームマーケット2013秋の新作。テスト版ということになるのかな。タムラさんがプレイできる状態に仕上げてきてくれた。 プレイヤーは8人の英雄となり、世界を襲う5つの災厄に対抗するという協力(?)ゲー。各英雄は3つの能力値と2つの特殊能力を持ってて、手番順に英雄を1人選び、出てきた災厄カードごとに指定されてる能力値分のダイスを振る。出目に応じた“ダメージ”をその災厄に与え、総ダメージが災厄の“ヒットポイント”以上になったら災厄克服。各英雄は災厄ごとに1回しか使えないので、8人の力を結集して災厄を倒せなかったら負け。5つの災厄を克服したら勝ち。 特殊能力(たいていは出目を操作する系)が2つあり、上段の能力はやや弱いけど、基本的には2回まで使える。下段の能力は強力だが1回きりで、しかも使うとその英雄は死んでしまい、以降の災厄との戦いが不利になる。使いどころの見極めが必要だ。能力(たとえば「ダイス1個の出目を6にする」など)の対象は他プレイヤーの英雄でもいいので、このへんにちょっと協力要素がある。 2つ目に出てきた「世界崩壊」が一番難しかったかなw 出目合計がでかければいいという災厄だけでなく、ゾロ目や連番が必要なものもあるので、そのへんを考えて能力を駆使する必要があった。幸い、何とか1人の英雄も欠けることなく完全勝利することができた。 出てきた災厄と、私が担当した英雄3人。 さすがに、まだテスト版といった感じかな。どの災厄も結構強敵なので、勝つか負けるかぎりぎりのところではあるが、やはり「ダイス振ってるだけ」感は拭えない。ライトゲーマー層向けかもしれないが、「カタン」クラスのゲームをプレイできるユーザーにはもう物足りないだろう。どうすればよりよくなるか、私にはちょっと思いつかないが、完成版ではヘビーゲーマーにも受けるものになることを期待したい。●モテねば。 ↓の公式サイトにルールが公開されています。大気圏内ゲームズ:モテねば。 続いてこれ。テーマは軟派だが、ゲームマーケット2013秋の傑作ガチゲー枠。 舞台は共学の高校。プレイヤーは男子高校生となり、3年を通じて女の子にモテようとする。ほんと身も蓋もないテーマだなw ドラフトで5種類のモテ要素キューブを獲得し、それを場に出てる女子カードの回りに置いて競る。このキューブは価値が異なるのだが(1~5)、女子の周りではなくパワーカード上に置くことでその価値を上げることもできる。 全員が駒を置ききったら競りの勝者を確認するが、各プレイヤーが各女子に置いたキューブのうち、1色しか価値を持たないというルールが面白い。たとえば黒(トーク)3個、赤(スポーツ)3個で1人の女子にアピールしても、彼女の印象に残るのは黒か赤のどちらか一方だけなのだ。こうして、1年目と2年目は1位と2位(人数によっては3位も)が対応する得点を得る(3年目は1位しか得点を得られないので、競りがより熾烈になる)。このほかに、ちょっとした特殊効果を持つイベントカードをもらえることもある。 3年プレイするのだが、1、2年目に置いたキューブは置きっ放しというのも素晴らしい。変動する価値に応じて違う色のキューブでアピールするのか、逆にある色のキューブの価値を高く維持しつつ、その色だけで勝負するのか。ドラフトの結果に応じて柔軟な対応が求められるわけだ。 この日はちょっとルールを間違ったため、後手が相当有利な展開に。1年目に3番手だった私は学力をアピールし、大量に得点を獲得。2年目に調整しようと思ったがうまく行かず、カードは取れないのに得点だけは僅差でトップという最悪の状態にw それで天王山の3年目を制することができるわけもなく、学力の価値暴落も災いして、何と1人の女子も落とすことができず、いたるさんに逆転されてしまった。 3年目。手前が私。受験前なのに学力高い系男子がモテなくなったので、体鍛えたり軽妙なトークを磨いてみたりしたものの、複数の女子に粉かけたのが災いし、誰にも相手にされなかったw 見た目とは裏腹に、かなり硬派な競り&陣取りゲー。入札方式は「キーフラワー」に、得点計算は「エル・グランデ」に似てる。手番ごとにキューブを1個しか置けないので、いつ価値変動に使うかの判断が悩ましい。このテーマなら萌え寄りのイラストにすることだってできただろうが、どんなユーザーにも受け入れられるよう、少し個性を殺したテイストにしてあるのもいい。 イベントにもう少しイベントらしさが欲しいとか、女子ごとにモテパワーの好みがあるといいとか、モテパワーの組み合わせによるボーナスがあってもいいとか、思いつくことはいくつかある。しかし、こんなことはデザイナーだってすぐ思いついたはず。そこを意図的にこういうルールにしたのにはわけがあってのことだろう。製作日記を読んでみたいゲームだね。間違ったルールでも十二分に面白かったので、次は正しいルールでプレイしてみたい。●1,2,3! Now you see me... 最後に私が持ち込んだこれ。 牧場の動物が「だるまさんが転んだ」風ゲームを遊んでるという設定。親が動物駒を握ってテーブル上に落とし、子がその位置や数を10秒で記憶する。そのあと子は目を閉じ、親はカードを引いてその指示に従う(馬駒1個を箱に戻すとか、逆に追加するとか、位置を入れ替えるとか、移動させるとかある)。子は目を開けて、親が「いなくなった動物はどれ?」といった質問をするので、それに答える。正解なら1点。子が全員外したら親が1点。3回プレイしたら親交代で、全員が親をやったらゲーム終了。 まあ子供向けの記憶ゲー。大人がやると、子の記憶時間10秒は長すぎて簡単に覚えられてしまうので、5秒とか2秒とかにするといいかもね。まあ私は10秒でも覚えられなくて、子の6手番で2点しか取れなかったけどね!
2013.11.12
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ボックスアート内容物 多くのボドゲは大なり小なり現実世界を模しているため、たいていは何をするにもお金(またはそれに準ずる基礎資源)が必要だ。まずはお金を得る手段を用意して、得たお金を使ってアクションを実行し、さらにお金や勝利点を得る手段を用意し……とプレイしていくことになる。それをまったく逆にした画期的なゲームが、2011年に発表された「遺言」だ(実際には表現を逆にしただけの拡大再生産なので、さほど画期的でもないがw)。今作はその拡張で、ただでさえなかなか減らない所持金がより減らなくなるハイパーマゾ仕様となっているw デザイナーとパブリッシャーは変わらず、Vladimír Suchý(ルール内ジョークが少なめの、いい方のチェコ人デザイナー)とCzech Games Edition。 拡張として誰でも思いつくのが、追加のイベント、助力者、不動産カード。これらは当然入っており、その大半は基本ゲームにはなかった効果を持っている。と言っても、もちろんすべての効果はアイコンで示されており、ルールブック巻末に一覧が載っているので、一度目を通せばすんなり頭に入るだろう。不動産カードには、愛人が住んでいると傷みやすい建物や、購入時に馬がついてくる農場などがある。 イベントカードでは、新たな種類として指輪アイコンを持つ「結婚」カードが追加された。結婚カードには「婚約指輪」「結婚式」「結婚祝い」「独身お別れパーティー」の4種類があり、プレイすればその分浪費できるのは他のイベントカードと同じだが、種類の違う結婚カードは1アクションで同時にプレイできるのが特徴だ。このため、1アクションで最大4枚(4種類各1枚)のカードをプレイし、11ポンドを浪費することができる。基本ゲームでの初期資金は70ポンドだったので、1/7以上を1アクションで浪費できるというのはなかなかの効果だ。もちろん、アイコンに対応した助力者カードを持っていればさらに浪費することができる。 イベントカードの例。左上に指輪アイコンがある3枚が結婚カード(これ以外に「結婚祝い」カードがある)。左上の「独身お別れパーティー」(欧米の習慣で、新郎と男性の友人がストリップ鑑賞などするらしい。ダメな習慣だな……もちろん新婦側もパーティーするらしく、その内容はやはり下世話なもののようだw)はアイコンを4つ持っているので、多くの助力者の効果を同時に発動させることができる。きちんと準備すれば莫大な額を浪費できるだろう。 新たな計画ボードも目を引く。上の内容物の写真では少し分かりにくいかもしれないが、中央にあるのが新たな計画ボードで、何と計画部分がくりぬかれてて空洞になってる。ゲーム開始時に、ここに計画タイル(写真中央左)を1枚ずつランダムに置いていくのだ(各タイルを置く場所は決まっているので、完全にランダムではないが)。こうしてプレイごとに異なる計画ボードが用意され、違った戦略が必要になる。 最後に職業カード。なんと言っても、これがこの拡張の目玉だ。叔父の遺産を受け継ぐためには、手持ちの現金と不動産をすべて失うだけではなく、職も失わなければならないことが明らかになった。わざとクビになるなんて簡単そうだが、もちろんそうは問屋が卸さない。実はプレイヤーは、生前の叔父に紹介してもらった仕事に就いている。その雇い主は生前の叔父に恩義を感じているため、プレイヤーが少々馬鹿なことをやっても簡単にはクビにしてくれないのだw このため、仕事中に豪遊して遊びほうけているところを計4回(上級カードだと5回)見つからなければならない。 職業カード。医者とか銀行員とか弁護士とか、結構いい職に就いてる。無理に遺産受け継ぐ必要ないだろ……まあ男なのにガヴァネスというのはどうかと思うけどw 各職業カードには、収入を示すバーが4本(上級カードには5本)ある。毎ラウンド開始時に、プレイヤーはすべてのバーに示されている額のお金を得なければならない。通常カードなら7ポンド、上級カードだと何と11ポンドだ。2ポンド3ポンドを使うのにヒイヒイ言わなきゃならないのに、毎ラウンド7ポンド……やってられねーw 各収入バーにはシンボルも描かれており、プレイ中に対応するシンボルを持つカードをプレイすると、そのバーの上に減給トークンを置くことができる。これは遊んでいる現場を雇用主に見られたことを表しており、以降のラウンドではその分だけ収入を減らすことができる。すべての収入バーに減給トークンを置けば晴れてクビになるが、手番中に何種類のカードをプレイしても、減給トークンはラウンドごとに1枚しか置くことができないので、ゲームは最低でも4ラウンド(上級カードを使っていれば5ラウンド)続くことになる。 たとえばこの「ガヴァネス(“女性”家庭教師のことだw)」を持っているプレイヤーは、毎ラウンド開始時に7ポンドを得る。仕事をほっぽり出して農園を購入したり、レストランに行ったり、船遊びをしたり、コックを雇ったりすると怒られて収入が減る。全部実行すればクビだが、それには最低4ラウンドが必要となる。 破産は困難を極めると思われるが、職業カードを使うときには拡張用に用意された遺言状カードもセットで使うことになっており、これによって決まる初期資金は基本ゲームより少なめになっているようだ。まあ70ポンド+毎ラウンド収入とかじゃ、いくら何でも無理ゲー過ぎるからねw 多めの所持金をヨーイドンで減らしにかかる基本ゲームはレースゲーのようでもあり、誰にとっても有用(または不要)なアクション/カードというものがあった。もちろん、それはそれで計画フェイズに手番順とアクション数を秤にかける楽しみがあったが、この拡張の職業カードによって、各プレイヤーに個性が追加され、カードの有用性に多少の揺らぎがもたらされることになった。収入を減らすために必要な4種類のカードが絶対に必要で、それがプレイヤーごとに異なるからね。このため、基本ゲームとはまた違ったプレイングが要求されることになるだろう。 もちろん、ラウンドごとの収入がゲームをより厳しくしているのは言うまでもない。一般的なゲームに置き換えて考えると、所持金がいくらあっても足りないゲームで毎ラウンド借金の利息や設備の維持費を支払うようなものだ。つまり、だいたいワレスゲーを想像してもらえばそのマゾさが分かるんじゃないかなw たぶん、必ず7ラウンドプレイすることになるだろうから(途中で破産するのは大変そうだ)、平均的なプレイ時間はほんの少し延びるだろう。と言っても、基本ゲームだってさして短時間で終わるゲームではなかったし、気になるほど煩雑化・長時間化はしなさそうだ。「遺言」好きなら必須の拡張だと思うよ。BGGの和訳ルール:基本ゲームお払い箱
2013.11.10
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