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定例会を秋葉イエサブで。31回目の開催にして初めて(たぶん)6人全員揃った。嬉しいことだがゲームの選択肢は狭くなったため、もう受けるかどうかは考えず、持ってる中で6人プレイが可能なものをかき集めていくことにした。●マレ・ノストルム(神話拡張入り) 初期配置中。駒は配置図の色に合わせず、好きな色のを使ってる。 過去のプレイ記録はこちらとこちら。 神話拡張の紹介はこちら。 うちにある6人ゲーで一番面白いのと言ったらこれ。とはいえマルチなので人を選ぶとか、少し古いゲームな上にデザイナーがルール明確化に積極的でないので曖昧な点が多いとかいった欠点もある。メンバーに受けるかどうかちょっと心配だったが、結果としては大好評だった。 国家をランダムに決めた結果、今回はアトランティスを担当することに。1年半ほど前にプレイしたときのことはほとんど覚えていなかったが、「アトランティスが他国とほとんど関わらず、終始暇そうだった」ことだけは覚えていたので、早めに地中海の奥へと展開できるように船を2隻作ってプレッシャーをかけつつ、本拠地のポセイドニスに市場を建てて資源を2倍にする戦略。初手で市場を建てるか、2手かけて支配マーカー→新たな資源を得られるキャラバンとすべきかは毎回悩むが、ポセイドニスなら唯一無二の資源である陶器が2枚手に入ることになって交易しやすいと考え、今回は市場にしてみた。正解かどうかは分からないが、そう悪くはなかったんじゃないかな。 インスト時に「積極的に戦争するゲームです」「ほったらかしにするとエジプトがあっという間に勝ちます」と口を酸っぱくして言ったため、カルタゴが頑張ってエジプトをボッコボコにする展開にw エジプトも報復措置としてフェニックスを召喚し、国境で激しい戦闘が繰り広げられた。 バビロンはギリシャと小競り合うが、途中交易管理者になったとき、うまくすれば9種類揃えられるところで指定枚数をミスし、やや後退気味に。しかし最後までギリシャの独走を阻止するために奮闘してくれた。 ローマはほとんど軍拡せず、地盤固めに終始し、最後まで地中海に船を出さなかった。そうなんだよなー、ローマは周りに魅力的な空き地があるように見えるため、つい軍拡をおろそかにしたくなるんだけど、そうするとそれ以上に有力な土地を押さえられる他国の方が有利になっちゃうんだよね。ここはもっと煽って戦争させるべきだったか……まあそうしたらアトランティス方面にも来て、私も殴られたんだろうけどw ローマが殴ってこず、カルタゴはエジプトとの戦争で手一杯だったので、悠々とやりたいことをやった上でカルタゴ西部まで奪い、順風満帆。防御用に「トロイのヘレネー」を取り、キャラバンマーカーが尽きても資源を得られるように「キルケー」を取り、しかも自分が交易管理者……正直負ける要素などなかったはずだが、ここで痛恨の交易枚数指定ミス。最初に取った1枚以降、完全に交易からハブられ、8種類しか揃えられず。そのあいだにマークしていたローマが8種類揃え、「カストルとポルックス」の能力でエジプトが取っていた「イムホテプ」の能力をコピーして勝つかと思いきや、ギリシャがしれっと税金12枚集めて「ピラミッド」建てて勝利した。あとでブログ見返してみたら、前回もこれでギリシャにやられてた。学習しねえなーw 最終局面。拡張入りだとギリシャも充分過ぎるほどに戦えるね(前回も同じこと言ってた)。 やはり面白い。それも傑作の部類。ユーロゲーマーとウォーゲーマーをつなぐ架け橋になり得るんじゃないかな。前回は神様と神話の怪物はほぼ無視されてたが、今回はどちらも有効利用されたりして、メンツによって展開が変わるところもいいね。こんな素晴らしいゲームを譲ってくださったつなきさんと、入手困難な拡張を手に入れるために奔走してくださったgccwさんには足を向けて寝られない。そろそろ立って寝ないとなw●レディース&ジェントルメン 詳しくはこちら↓ふうかのボードゲーム日記:レディース&ジェントルメン ここで禁断のこれ。紳士プレイヤーと淑女プレイヤーのペアになって、それぞれまったく別のことをしつつ、チームとして勝利を目指すゲーム……こんなもん男女でやった方がいいに決まってるが、それをアラフォーの男6人でやってしまったw 私は淑女側を担当。繰り返すが、紳士側と淑女側は完全に分かれており、やることがまったく違う。なので両方やってみないとゲーム全体の出来は分からないが、少なくとも淑女側は結構面白かった。紳士側の所持金や、淑女側の召使いカードの内容などは非公開情報で、パートナーにさえはっきり伝えることはできないので、必然的に「あー、今回の取引は失敗だったなー」とか「このドレス、ちょっとお高いけどどうしても欲しいわー。うちの召使いも褒めてくれたし」といった独り言が増えるw 毎回無茶な買い物をする妻ハマチの要求に応え続けていた夫の友Hが、中盤になってついに「無駄遣いばっかりしやがって、いい加減にしろ!」とキレたのがこの日のハイライトw しかしあの甲斐性は見習いたいねw 対する我がチームは、夫の友M1が1巡目からタイルの引きが悪くて取引しないなど、暗雲立ちこめる展開。しかし買い物数を必要最低限に絞り、買えないけどどうしても欲しいものについてはきちんとキープしてくれるなど、妻である私の意図を的確に把握してくれた夫のおかげで終盤にかなりのカードを確保。これ男だけでプレイするのはほんとにやばいね。危うく惚れそうになったw 結構奮闘したものの、最終得点は20優雅点でトップに2点及ばず。安くて追加の得点をもたらす(最低1点は簡単に手に入れられる)召使いカードを序盤に何枚か確保しないとダメだねー。今回は基本ルールでやったが、次の機会にはゴシップカードも使ってみたい。 最終的な私のコーディネート。MCブランドを軸に、JpGブランドのテイストをワンポイントに。身につけるものはシンプルにまとめ、手鏡、日傘、バッグで個性を主張するのが最近の流行。星は2つ星以上がマストよね。 正直出オチゲーのつもりで、1回プレイしたら放出してゲーム棚のスペースを空ける予定だったのだが、もうしばらくは持っておいていいかなって気にさせてくれるゲームだった。同数の男3~5人、女3~5人でプレイできる環境なら特にお勧め。奇数人数でプレイできる愛人ルールもあるので、女性は1人多くてもいいよw●クー 詳しくはこちら↓ひだりの灰色:クー/Coup 「スチーム」拡張マップも用意してたけど、さすがに時間がなかったので、最後に友M1が用意してくれたこれを何回か。 まあ当然だけど、1ゲーム目は探り探りなのであんまり嘘つかない。それだと使えるカードを引いたプレイヤーが順当に勝ってしまい、あんまり面白くない。私はオープニングが「女伯」2枚だったので嘘つかざるを得なかったけど、それでもやはりやりにくい。1巡目に「大使」宣言で交換が正解だったかな。 なるほど、こういうゲームかと分かった気になったところで本番の2ゲーム目。嘘をつくことにも慣れ、同種4枚目の人物が出てきたりすると俄然面白くなってくるw 私は持ってる「大使」を「公爵」とナチュラルに間違え、堂々と金貨3枚を獲得。山のカードも見ていた他プレイヤーの中には、私が「公爵」持ってるはずがないと分かっていた者もいたようだが、「あまりに自信満々だったのでチャレンジできなかった」とのことだった。まあ自分自身さえ騙してたんだから、そりゃチャレンジできんわなw 確かに面白い。カード枚数やプレイ時間が似ている「ラブレター」と比べられがちだが、全然違うゲームだ。「ラブレター」は数回連続してのプレイが推奨されるゲームだが、こちらは「ここぞというときに嘘つくんじゃなくて、半々くらいの(あるいはそれ以上の)比率で嘘ついていいんだ」って分かってから急速に面白くなるので、連続プレイがほぼ必須だろう。手番が来たらノータイムで嘘つけるくらいにならないとダメ。考え込んだらその時点でアウトだよw 6人でも充分遊べるゲームを用意できることも分かったし、実り多い日だった。今後はもっと揃う機会が増えるといいね。
2013.06.29
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海外ショップには商品が並んでるのに、先行して届くはずのキックスターター出資者にはまだ届いていない(人もいる)ことで有名な「陥落都市カレズ」。いたるさんは昨年のエッセンシュピールで受け取っていた(なんという先見の明!)ので、それをプレイしようということになった。いたるさん、タムラさん、私の3人で。●陥落都市カレズ かつて発展していたがモンスターの襲撃によって廃墟となった町、カレズを再建しようというゲーム。プレイヤーはさまざまなギルドの長となって町を復興させていくが、まだ周辺には危険なモンスターが潜むダンジョンがいくつもあるので、その脅威も取り除かなければならない。一方、プレイヤーは自分でダンジョンを開設することもでき、そこに冒険者をおびき寄せて身ぐるみ剥ぐこともできる。再建事業はきれい事じゃないってことだろうかw 町には「奴隷市場」といった建物もあるので、“陥落した(fallen)”は“堕落した”のダブルミーニングではないかとの意見も出た。 主軸となるシステムはワーカープレイスメント。ワーカーを置くフェイズに可能な限り置いたあとでアクションを実行していくケイラス式。面白いのは、各プレイヤーが自分のワーカーを持つのではなく、ラウンドごとに共有のワーカーが補充され、それを使うというところ。他プレイヤーが所有している建物や中立建物にワーカーを置く場合、それと共に自分の紋章トークンも置かなければならず、その枚数によってアクション数が制限される。コストを払って自分のものにした建物にワーカーを置くときには紋章は不要だが、建物の所有権を示すためにやはり紋章が必要になる。このため、あまり建物を持ちすぎてもアクション数が減ることになるので注意が必要だ。 ワーカーには市民と冒険者の2種類があり、それぞれ配置できる場所(そして実行できるアクション)が決まってる。どちらがどれだけ補充されるかは、ラウンド終了時に町がどれだけ脅威にさらされてるかによって決まる。脅威度が高いほど冒険者が多く流れ込んでくるが、市民は減ってしまう。まあモンスターに囲まれた町に定住したくはないわなw ワーカーの配置フェイズとアクションフェイズのあと、ダンジョンに勇者を送りこんだプレイヤーはモンスターと戦ったり、罠を突破したりする。ここが一番面白い。勇者、モンスター共に攻撃力とヒットポイントを(一部の勇者は防御力も)持っており、ダイスを振って戦うという単純なものなのだが、ヒットポイントの概念がちょっと変わってる。ダイスを振って出目を合計した分がダメージというものではなく、「ヒットポイントとして用意された目」に一致する目が出たら1ダメージ、となるのだ。 たとえばこのバーバリアンというモンスターは、攻撃力(左上)として手番ごとに1D6を振る。ヒットポイント(下段)は3の目が2つなので、プレイヤーの勇者がダイスを振って3の目を1つ出せば1ダメージ。2つ出せば倒せる。 敵の中には「攻撃力1D6+固定値で6の目1つ」といった者もおり、相性が悪いと数ラウンドで確実にやられてしまう場合もある。たとえば勇者の1人「魔術師」はかなり強いキャラなのだが、ヒットポイントが6の目2つなので、2ラウンド以内に倒さないと必ずやられるのだw このシステムによって「僧侶はアンデッドに強い」とか「魔術師は物理攻撃に弱い」とかいったことを再現してるのが秀逸。勇者側は使い捨てアイテムや装備品で身を固めることができるが、各ダンジョンに挑戦できる人数に制限があるため、結構ぎりぎりの戦いになって手に汗握る。 戦闘が終わったら、町に流入してくる冒険者と市民の数を確認する。市民の数が増えるにつれて町は発展し、使える建物が増える。これを8ラウンド繰り返して最多得点プレイヤーの勝ちとなるが、この時点で町が最高レベルまで発展していないと全プレイヤーの敗北となる。 オーソドックスなワーカープレイスメントに一ひねりを加えており、アイディアは決して悪くはなかった。しかし細かいところに粗が多すぎ、ゲームとしては破綻している。 まずルールがひどい。ほんの一言添えるだけでいいことが抜けてるし、初めて出てくる単語がなんの説明もなく使われてるところも多い。いいルールというのは、頭から読んだとき、読んだところだけでも理解できるものだ。しかしこのゲームは違う。読んでる途中はちんぷんかんぷんで、最後まで読み切ったあと、もう一度読み直してやっと「たぶんこうじゃないかな……」と“推測”できる程度。この日もインストとルール解釈のすりあわせに1時間半かかった。 おそらくは固まったメンバーで何度もテストプレイを繰り返したため、デザイナーにとっては自明すぎるところが省略されているんだろう。しかし初見でそんなことが分かるわけねーw このゲームでは多くのアクション効果がアイコンで示されてるのだが、そんなデザイナーがサマリーを作ると↓のような代物になってしまう。 アイコン並べただけ。サマリーの意味ねー。ボードのアイコン見て分からないプレイヤーがこのサマリー見て分かるわけないだろw 終始こんな感じ。細かい実例を挙げたらきりがないので、プレイ中もずっと疑問が出続けたとだけ記しておく。ルール以外にも「個別得点条件に差がありすぎ」とか「得点計算自体に問題があり、最後には何やっても端数が出て得点にならない」とか、調整不足っぽいところが目立つ。戦闘部分はほんと面白いんだけどねえ……ここだけ取りだして別ゲーにした方がいいくらい。実に惜しい。この日はタムラさんが建築士ギルドの能力を利用し、建物建てまくって得点して勝ったけど、もうどうでもいいw この日のハイライト。いたるさんが準備万端整え、難関ダンジョンに挑んだところ。しかし装備の割り当てを間違えて能力を発揮しきれず、あえなく返り討ちにw●チーズがいっぱい 詳しくはこちら↓ふうかのボードゲーム日記:チーズがいっぱい ここでCOQさん、タナカマさんと合流し、5人でこれ。ここでビッグバントーナメント開催……となる予定が、主催のオビ湾さんがまさかの欠席となり、急遽偽ビッグバントーナメントとなった。 まあ、ダイス目次第のゲーム。それだけ。カード見て、それがチーズカードだったとして、それが残ってるうちに取れる目が出ないと何の意味もないわけで。罠カードだったときにチーズカードだったかのような振りをして、他プレイヤーに取らせるというゲームなのか? しかし、今どきそんなのに引っかかる人がいるとも思えんし……。結局は確率頼りでカード取るか捨てるか決めるしかないわけで。 どうもプレイヤーが率先して会話し、相手の顔色読んだりしなきゃつまらないゲームのようだ。これに限らず、私は「盛り上げないとつまらない」ゲームが好みじゃない。「ゲームが面白いから自然と盛り上がる」であってほしいね。●バルプ! Today's EXCREMENT RULE!! 次にこれ。ビッグバントーナメントでのクソゲー持ち込み率はいたるさんを超えるCOQさんプロデュースw おおむね水道管ゲーム。それ以上でもそれ以下でもないが、まず原文の英語ルールがひどすぎ、その上で和訳にミスがあったため、まともにプレイできなかった。お通夜みたいな雰囲気になったところで、こっそり山札を1/10くらいに減らして強制終了。パイプの所有者が誰なのかが分からないとどうしようもないのに、その定義がごっそり抜けてる。また、終了条件に誤訳があるので、いつ終わるのかがはっきりしない。「陥落都市カレズ」のルールは“極めて分かりにくい”ルールだったが、このゲームのルールは“プレイできない”ルール。パブリッシャーのサイトに最新版のルールがあるのだが……もう一度プレイすることはないだろう。商品すべてをテストプレイできないのは百も承知だが、訳したルールを読んだ時点でおかしいなって気づくと思うんだけどねえ。●アウグストゥス 詳しくはこちら↓ふうかのボードゲーム日記:アウグストゥス 最後にこれ。最後がこれでよかった。2013年のドイツゲーム大賞ノミネート作品だが、私はたぶんこれが受賞すると思う。 手元に得点やボーナスをもたらす目的カードを置き、袋からタイルが引かれたら、それに一致するアイコン上に駒を置く。全アイコン上に駒が置かれたらその目的は達成。その得点を得て、ボーナスを適用して、新たな目的カードを選ぶ。誰かが7枚達成したらゲーム終了で、最多得点プレイヤーの勝ち。終了させたプレイヤーが勝つとは限らない。 ルールは簡単で、よく「複雑なビンゴ」と言われてるようだ。まあそうかな。ただ、どの目的カードを取るかはある程度選べるし、特殊効果もあるので、充分面白いゲームとして成立してる。特殊能力持ちは得点が低く、何もないカードは高得点とか、そのへんもバランス取れてるんだろう。割と小さな子供でもプレイできそうだし、大賞取る資格は充分ある。 とはいっても、やはり大人がガチンコでやろうとするには運要素が強すぎる。ビンゴだから、そこが運任せなのは仕方ない。ある程度能力で補ったり、アイコンを散らすことでリスク管理もできるしね。しかし達成したときに場に高得点カードが出てないとつらい。1枚当たりの得点差が激しい(5点と15点だったら3倍だw)ので、低得点カードを7枚達成して終わらせるより、高難易度・高得点カードを4枚か5枚達成した方が勝ちやすいのだ。この日は私が7枚達成して終了させたが、なんと5人中4位だったw ルールしっかり読んでないが、達成可能なときに達成しないことはできるのかね? それができればもう少し戦略性も上がりそうだが、逆にゲームが終わらなくなるかもしれないし、難しいか。まあビンゴ部分で一喜一憂するゲームだろうし、ドイツゲーム大賞がターゲットにしてるレベルの難易度ではあるんじゃないかね。 最終形。低得点カードが多いが、取る時点で最高得点カードを取った結果がこれなので、もうどうしようもなかったw
2013.06.25
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定例会を秋葉イエサブで。この日は都合がの合わないメンバーが多く、3人での開催となった。●隔離病棟 詳しくはこちら。 まずは先日発売されたばかりのこれ。正直そんなに期待してなかったが、意外にも結構遊べるものだった。 この日14種類の中から選ばれた8種類の特別部屋タイルは以下の通り。・つながっている治療室の色の患者駒を1個多く収容できる備品室・契約したタイルが売れたときに駒をもらえる警備室・駒の色を問わずに購入に使える購買所・手番開始時に追加アクションマーカーをもらえるカフェテリア・効率のいい改装を無料で行える管理室・隔離されない密閉格納室・患者駒を引いたときに即座に収容できる緊急治療室・タイル配置制限を無視できるヘリポート 初プレイでどのタイルがどれほど使えるかが未知数な中、手数を増やす「カフェテリア」が役に立たないわけがないので、序盤の狙いはこれに。契約を結んだのは友M1だったが、値付けが最低値だったため、私とハマチが購入。とはいえ、これで友M1は追加アクションマーカーを2枚得たので、実質的には「カフェテリア」を購入して2手番回ってきたのと同じ。病原菌駒を引いたときに「カフェテリア」を潰せば、相手はアクションマーカーを得られないのだから、それほど痛手ではなかったと思われる。 特殊部屋タイルばかりに目が行きがちだったが、効率よく患者を治療するには追加治療室タイルが必要で、これは各色2枚ずつしかない。こりゃ全然足りないと皆が気づき、こぞって買い始めたときが本当のゲーム開始だったw 3人だとどうしても色が偏るので、対処しづらい色の患者駒をあえて他プレイヤーの病院に置いて手数を消費させるといった戦術も取られるようになり、急速に面白くなっていった。それまでは患者引いたら自分の病院、病原菌引いたら他プレイヤーの病院に機械的に置くだけだったからね。 このセットでの肝は「密閉格納室」だった。「病原菌駒を置くことができない」というだけの非常に地味な効果に見えるが、うまく改装することで汚染された1部屋だけを完封し、他の部屋を守ることができるのだ。そしてこのタイルも2枚しかない……つまり3人プレイで他の2人が「密閉格納室」を購入し、病原菌の封じ込めに成功してしまうと、あとは病原菌駒が引かれるたびに、残りの1人のプレイヤーのところに自動的に置かれるのだ……たとえ自分が引いた場合でもな! そのような羽目に陥った愚か者の病院がこちらになりますorz 「管理室」と「ヘリポート」のコンボで病院を自在に改装し、懸命に除染して対応したものの、さすがに手が回りきらずに最下位。トップ17点、2位16点に対して14点だったので、もう少し改装に知恵を絞って病原菌の蔓延を食い止めていれば何とかなったかもしれない。 大傑作というわけじゃないが、事前の「可もなく不可もなくってとこだろうなー」という印象は完全に撤回できるくらいの面白さは間違いなくあった。こういう特殊能力系ゲームでは、どうしても能力に強弱があって「このタイルいらねー」なんてことになりがちだが、少なくとも今回出てきた8種類はどれも使えたのが好印象。実際にプレイするまでは使い道が分からなかったものも、いざ配置してみると思ったよりずっと役に立つものばかりだった。 言うまでもなく、病原菌の蔓延をいかに抑えるかが重要。序盤から正方形にタイルを並べてしまうと激しく蔓延してしまうので、最初のうちはくねくね折れ曲がった配置にして、終了が見えてきたあたりで改装してナースステーションボーナスを狙うのがセオリーだろう。そうなると前述の「密閉格納室」が強すぎるようにも見えるが、4人プレイなら他の2人に割れるし、「タイルを1列、コの字型に並べて蔓延速度を抑え、終盤の改装で一気に正方形にする」という戦術がありそうなので、決して取った者勝ちというわけでもないだろう。 比較的短時間で終わり、下家プレイヤーが駒を引くという(一見どうでもいい)ルールによって体感上のダウンタイムを減らしているのもいい。目新しいところはそんなにないので、BGGレーティングで7点か? と言われたら6.5点くらいかなあ、と答えざるを得ないが、それでも何回かプレイしたくなる魅力がある。悪くないよ。●イノベーション:エコーズ 以前のプレイ記録(基本セットのみ)はこちら。 次に友M1が持ってきてくれたこれ。拡張入れてさらにバカゲー度が上がったかと思いきや、それほどでもなかった。まあ基本ゲームのバカゲー度が高すぎるから、今さら拡張足しても大して変わらんわなw カードの数がほぼ倍に増えているが、エコーカードは引くのに条件があるため、大量に引くことはできない(逆に条件を満たしていると引かなければならないが)。効果はもちろんいろいろで、使い方は基本セットのカードとほぼ同じ。しかしアイコン部分にも特殊効果を持つものがあり、自山を展開したときにそれが見えた場合、上のカードを発動させたときにその効果も発動するというところが新しい。下に大量のエコーカードを仕込んでから展開すると、1回の発動で爆発的な効果が発動するってことだ。 序盤に塔アイコン数で後れを取った私とハマチは出遅れ気味。友M1が一手早く影響点を貯め込み、制覇カードを入手するのを指をくわえてみているだけw こりゃワンサイドゲームかなーと思ってたら神カードを引いた。 この日のMVPは間違いなく「医学」カード。自分の最低影響点カード1枚と、他プレイヤーの最高影響点カード1枚を交換するというもの。時代3のカードなのでそれほど強くないはずだが、他プレイヤーだけが先の時代のカードを影響点として持っており、自分が時代1のカードを大量に持ってる場合には効果絶大だった。たまたま木アイコンが9枚見えてて優越が揺るぎなかったり、「影響点+7」というぶっ壊れたエコー効果を持つカードを山の下に潜らせてたりしたため、ほぼこのカードだけを発動させて影響点を貯め込み、時代5以降の制覇カードを全部入手して勝利。いやー、ほんと「イノベーション」は何があるか分かりませんねw 拡張入れても面白さは変わらず。ただ、カードが増えた分だけ時代の進みがわずかに遅くなっているので、どのカードもぶっ壊れ級の時代8以降に到達するのが難しくなってるから、好みは分かれるかな。まあもともと激しくプレイヤーを選ぶゲームだけど。 エコーカードによって影響点が貯めやすくなり、そのため4人プレイだと制覇を分け合う形になって、その他の勝利条件を目指す展開になるそうだ。それも悪くないが、さすがに時間かかりそうなので、3人プレイでよかったのかもしれない。あとはまあ、ルールブックの記述がもうちょっと分かりやすければなー。「保存」とか「再生」とか、日本語の単語から想像するのが容易ではない効果が割り当てられている場合、そっくり別の単語にしちゃった方がいいと思うんだけど。日本語なのに「保存ってどうするんだっけ」「再生ってなんだっけ」と、サマリーを見なきゃいけないのはさすがにどうかと思うよw●レガシー:時の歯車 詳しくはこちら↓ふうかのボードゲーム日記:レガシー:時の歯車 ここでメインディッシュのこれ。拡張が出る前にどうしてももう一度プレイしておきたかった。 1ラウンド目、さっさと過去に行って基礎技術を固めにかかる友M1に対して、前提技術も出てないのに高度技術を置いていくドリーマーな私とハマチ。さすがにいきなり「人工衛星」は無理があったようで、運命カードまで使って何とか成立させたものの、他に手が回らなかったため大きく出遅れた。 焦点技術はやはり「燃焼機関」。ミニ拡張カード入れると、これだけ3種類の高度技術の前提となるので得点効率がいいんだよね(「基礎科学」は4種類の技術の前提となるけど素点が低く、そのうちの1つである「大学」はコスト0なので逆に生かしづらい)。これを数ラウンドに渡ってハマチに確保されたのがたたり、20点以上差をつけられて敗北。友M1はあまり目立った動きこそなかったものの、やはり基礎技術を重点的に確保する戦術は得点と影響力駒の両方を安定して得られるため、最後には結構詰め寄った。最終ラウンドの手番順が先手になりやすいという不利はあるが、人より多い影響力駒を生かして、あと1つでも真ん中あたりの技術を取れていれば逆転してただろう。 やはりおもしろい。言語依存性が5種類の運命カード分しかないのもいいし、コストが「サンファン」方式なので「このカードも出したいけど、そうするとコストとしてこっちを捨てなきゃならない……でもこれも出したい!」という悩ましさが毎手番にあって終始悶絶できるw 逆に言うと、コストとしてのカードを得るためにアクションの半分くらいは「山札のカードを1枚得る」になりがちで、これを「選択肢がない」と見る人もいるだろう。しかしカードを引ける枚数を増やしたら悩ましさが減ってしまうので、これは仕方のないところか。 2回目以降はもっとうまくやれる気になるゲームだと思うので、記憶に新しいうちにまたプレイしたい。●ユークロニア(途中終了) 写真撮り忘れ。 詳しくはこちら↓ひだりの灰色:ユークロニア/uchronia 最後に友M1が持ってきてくれたこれ。時間が押してたのでできるところまでやった。 ほぼ「ローマに栄光あれ」。1枚のカードに複数の情報が含まれており、そのうち建物としての効果だけを別カードにしたもの……と言ってまず間違いないだろう。 個別の効果があってテキストを読まなきゃいけなかったのは建物効果だけなので、それを別カード・公開情報としたことでプレイアビリティの上昇に貢献している。「ローマに栄光あれ」では手札を引くたびにテキスト読まなきゃいけなかったし、分からないところがあっても人に聞くわけにはいかないので、自分で何とかするしかなった。「ユークロニア」なら建物カードは場に出てるから、人の手番中にゆっくり読めばいいし、分からないことがあれば聞けばいい。あとから出ただけあって、これは素晴らしい変更点。 最終的な評価は最後までプレイしてから出したいが、現時点では「今後『ローマに栄光あれ』やる機会があったら『ユークロニア』やった方がいい」って感じかな。日本語化されてて、イラストも美しく、システムも洗練されてる。重ゲー好みの私だけど、プレイアビリティの向上による短時間化は大歓迎。ただ、細かいところが「ローマに栄光あれ」とは異なってるため、半端に知ってるメンバーでやるとルールミスを犯しがち。手札補充した直後のプレイヤーにはドラコニアンの効果は適用されないとか、完全に忘れてたw 次の機会にはきっちりルールを読み込んでからプレイしたいね。
2013.06.15
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ボックスアート 2012年にBrandon TibbettsがMinion Gamesから出したボードゲーム「マンハッタン計画」。テーマはややデリケートなものだが、中身はしっかりしたワーカープレイスメントゲームで、BGGでもレーティング7.52、ランク237位と高評価を得ている。各プレイヤーに個別の特殊能力を与えるミニ拡張「国家1」に続く本格的な拡張セットとなるのが、この「マンハッタン計画:第二段階」だ。 基本ゲームと「国家1」についての詳しい説明はこちら↓海長とオビ湾のカジノロワイヤル紹介:マンハッタンプロジェクトマンハッタンプロジェクト拡張計画 上の記事では雰囲気を出すために画像がモノトーンになってるが、実際の内容物はフルカラーなのでご安心を。 まずは追加のコイントークンとか、サマリーシートとか、ゲーム中に内容物を整理するためのストックボードとか。これらはプレイを円滑にするためのものなので特筆すべきところはないが、ストレスなくゲームを楽しむのに役立つだろう。また、このゲームには近年のボドゲシーンで避けられる傾向にある直接攻撃要素があるのだが、それを減少させたり、逆に増加させてたりするための「航空攻撃タイル」もある。 左上が駒類のストックボード。右の2つは表向きの爆弾カード置き場とロケット工場(後述)置き場。右の2枚はシートだが、ストックボードは厚みがあって、駒類を置く部分を抜いて使うようになってる。抜いた部分はゴミで、一見外枠に見える方を使うので、間違って捨てないように。 航空攻撃タイルは両面仕様になってて、ボード上の航空攻撃スペースに重ねて置く。基本ゲームでは2スペースあるが、よりインタラクションの強いゲームにしたければ左の3スペース面を、ぬるいゲームにしたければ左の1スペース面を使う。 拡張要素は4つあり、そのうち1つは「国家」拡張用の追加カード。核兵器を持っている/かつて持っていた/持っていると思われる/歴史の流れによっては持っていたかもしれない新たな7カ国が追加され、それぞれ固有の能力を持っている。「国家1」と合わせて14カ国となったので、相当な数の組み合わせで楽しむことができるだろう。核兵器の破棄に成功した南アフリカの能力が「製造した爆弾を解体(損傷マーカーを置く)すると5点」となってるなど、現実の各国家を再現したものとなっている。北朝鮮の能力がほとんど恐喝なのには苦笑を禁じ得ないw 国家カード。この画像での南アフリカの国旗は近年のもので、マンハッタン計画の時期に使われていたものではないため、製品版では1つ前のものに差し替えられてる(ルールブック中ではこの画像のままだが……)。 次に水爆。「爆弾の設計」時にドラフトで爆弾カードを選ぶ代わりに、水爆カードを1枚得ることができるようになった。製造するには重水素化リチウム駒が必要で、それを得るための「重水素化リチウム鉱山」も追加されてる。さらに、水爆を起爆させるにはプルトニウム爆弾が必要なため、まずはそれを製造しなければならない。このように製造には相当な困難が待ち受けてるが、ベースにしたプルトニウム爆弾の得点を2倍にしてくれるため、苦労に見合った結果が得られるだろう……ほんとに大変だけどw 水爆カードと重水素化リチウム鉱山カード。このコスト、ハンパないw 3つ目はロケット。「爆弾の設計」時に爆弾カードを選ぶ代わりに、表向きになってるロケット工場を建設できる。ロケット工場を使ってロケットを作ることができ、その数はロケットトラック上で記録する。ロケットは爆撃機と同じように使うものだが、なんと相手の戦闘機を無視することができるのだ。当然、より攻撃的なゲームになるので、この拡張を採用するときには航空攻撃タイルの3スペース面を使うのがよさそうだ。きっとえらいことになるw ロケット工場カード。航空機よりややコストが高めで、お金を得るという選択肢もないので、使い勝手は悪い。相手が戦闘機を持っていない(あるいは少ない)場合は爆撃機で充分なので、使い分けが必要になりそうだ。 最後に人物タイル。「人材タイルの回収」を行ったとき、場に出ている人物タイルから1枚を取る(すでに持ってる場合は交換)。人物タイルは国家カードと同じように特殊能力をもたらすものだが、「人物タイルの回収」のたびに入れ替わるという点が異なる。 人物タイル。各人物はマンハッタン計画の中心人物となってる。両面仕様で、こちらは人物の略歴が書かれている裏面。読むとかなりマンハッタン計画に詳しくなれる。 全体としては良拡張っぽい。ロケットはどうかなーと思わんでもないが、どの要素も個別に追加できるので、気に入らないものは使わなければいい。拡張要素を追加するほどにプレイ時間はやや延びるだろうが、基本ゲームが意外に短時間(1時間ちょっと)で終わるので、全部突っ込んでも2時間ちょいってところだろう。このブログを読んでるような重ゲーマーならまったく問題ないねw 基本ゲームの初版でミスプリントがあった初期建物カード(裏面の色が間違っていた)の代替カードも入ってるので、基本ゲーム買った人はマストバイよ。BGGの和訳ルール: 基本ゲーム 第二段階拡張
2013.06.12
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ボックスアートゲームボード類 デザイナーはFrédéric ColombierとHervé Marly。Frédéricはこれがデビュー作で、Hervéは「髑髏と薔薇」や「ミラーズホロウの人狼」の作者。どうもブラフ要素や推理要素の入ったゲームが得意なようで、今作は2チームに分かれての推理ゲームとなってる。パブリッシャーは「東海道」を出したフランスのFunforge。 舞台はスコットランドの邸宅ホテル(貴族の邸宅を宿泊施設に改装したもの)。この邸宅、古いウィスキー醸造所跡の上に建っているのだが、どうもそれが癇に障るらしく、4人の幽霊たちが夜な夜な部屋を荒らし回っていた。これじゃ商売にならないので、オーナーはゴーストハンター組織の「ファントム・ソサエティー」に幽霊退治を依頼した……のだが、基本的にこいつら脳筋なので、幽霊退治のために幽霊と同じくらいに部屋を破壊してしまうというw プレイヤーは幽霊チームとゴーストハンターチームに分かれ、部屋を破壊しまくって規定額の損害を与えたら幽霊チームの勝ち。そうなる前に4人の幽霊を発見したらゴーストハンターチームの勝ち。 ゲームボードはボード4枚からなる組み立て式で、上図のように穴だらけになってる。各プレイヤーは4色9枚の部屋タイルを1色持ち、ボード上に1枚ずつ置いていく。 部屋タイル。左下の数字は部屋の価値(単位:1000£)を表している。 全部の部屋タイルを置いたら、ハンター側のプレイヤーは目を閉じる。幽霊側プレイヤーはそれぞれ2人の幽霊を担当し、その幽霊タイルを部屋タイルの下に隠す。幽霊タイルの色は部屋タイルの色に対応しており、同じ色の部屋タイルの下にしか置けない。 幽霊タイル。色違いなだけでなく、ちゃんと描き分けてるところが細かい。 こんな感じで、秘密裏に同色の部屋タイルの下に隠す。 幽霊タイルを隠してる途中。場所を忘れるとゲームにならないのでご注意w 4枚の幽霊タイルを隠し終わったらゲーム開始。まずは幽霊側プレイヤーの1人が、自分が担当してる幽霊の1人(どちらでもよい)に隣接(斜め可)してる部屋タイル1枚を破壊する。その部屋タイルは脇によけておき、その数字分の損害が邸宅ホテルに与えられたことになる。 次にハンター側プレイヤーの1人が、任意の部屋タイルをめくって幽霊を見つけようとする。見つかった場合、その幽霊は捕獲されたことになり、それ以降はもう部屋を破壊することはできない。このときは「部屋は壊れちゃったけど、幽霊を見つけるためには仕方のないことだった」ということになり、その部屋タイルの分は損害に加えられない。しかし幽霊が見つからなかった場合、その部屋タイルの分も損害に加えられてしまう。そりゃそうだ、壊したのが幽霊だろうがゴーストハンターだろうが、壊れたことには変わりないしなw 基本的にはこれを繰り返すだけ。幽霊は移動しないので、これだけだとあっという間に見つかってしまい、ゲームにならない。そこでゴーストハンター側の記憶を混乱させるためのルールが1つ用意されてる。幽霊は隣接する部屋タイルのほか、「空きマスだけを通過して一直線に到達できる部屋タイル」も破壊できるのだ。 部屋の破壊の例。赤の幽霊が右上隅の部屋の下に隠れてる場合、最初は矢印で示された3枚の部屋タイルしか破壊できない。幽霊の色は赤だが、破壊する部屋タイルの色は何でもいい。 上から2段目、右から1列目の青のタイルを破壊したら、次の手番以降、赤の幽霊は矢印で示されている緑のタイルも破壊できるようになる。 3、4人プレイでは幽霊側プレイヤーが2人おり、どちらがどの色の幽霊を担当しているかは分からない。手番ごとに同じ幽霊を連続して使ってみたり、逆に交互に使ってみたりすることで、ある程度は幽霊の位置を絞りにくくすることができるだろう。 幽霊側が45000£分の部屋を(ゴーストハンター側が破壊した分も含めて)破壊したら幽霊側の勝ち。そうなる前に4人の幽霊の位置がすべて特定されたらゴーストハンター側の勝ち。 上級ルールでは、まず最初にチームを決め、チームごとに幽霊側の目標額を提示して、より高額を提示した方が幽霊側プレイヤーとなる。ただし、実際の目標額はより低い額、つまり相手チームの提示額となるところがミソ。ハンター側になりたいからといってあまりに低すぎる額を提示すると、幽霊側となった相手チームに悠々と目標額を達成されてしまうわけだ。 目標額カード。数字が1桁のものは万の位のカードで、4桁のものは千の位のカード。この2種類を1枚ずつ出して5桁の目標額を提示する。たとえば左端のカード2枚を出した場合、目標額は52000£となる。目標額カードはチームごとに1セットずつあり、各セットの千の位が奇数と偶数に分かれているため、目標額が同値になることはない(上図は偶数カードのセット)。 まあ、軽い。訳しといてなんだが、明らかにノットフォーミーw 幽霊側がかなりきつそうな気がする。だって幽霊は移動しないんだから、ハンター側は1手目に最低でも1/8の確率で幽霊見つけちゃうからねw とはいえ、もしかしたら45000£という目標額の設定が実に絶妙で、幽霊側にも充分な勝機があるのかもしれない。別に幽霊が3人見つかっても目標額に到達すればいいわけだし。部屋タイルの価値は1000~6000£だから、タイルの初期配置と幽霊の初期配置で知恵を絞り、5000と6000のタイルを4枚ずつ破壊できれば、あと1000£……意外にいけるかもw 公称プレイ時間20分のチーム戦だから、相談しながら軽ーくプレイし、途中でぽろっと幽霊の位置をバラしちゃったりして「なにやってんだよお前!」「うっせーばーか、俺の方が価値の高い部屋破壊してんだから文句言うな!」とか、自信満々で価値の高い部屋に幽霊が潜んでると推理したのに外しちゃって「なにやってんだ(ry」「うっせーばー(ry」などと騒ぎながら遊ぶゲームなんだろうw そういうのがイケる口ならありかもね。IELLO扱いもあるので国内流通も望めそうだ。BGGの和訳ルール
2013.06.11
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ボックスアートゲームボード デザイナーはBill Eberle、Jack Kittredge、Peter Olotkaの3人。70年代からおおむねこの3人で一緒に活動してるようで、代表作は「デューン」「コズミック・エンカウンター」「クァークス」など。近年再評価されてるのか(それとも別の理由があるのか)、これらの古い作品が再版されている(「デューン」は「レックス:帝国最後の日」となって「トワイライト・インペリウム」世界に組み込まれた)。パブリッシャーはこれらの再販を行ったFantasy Flight Games。今作もそのようなゲームの1つで、1982年に発売された「Borderlands」のリメイク。旧版は架空の大陸を舞台とした中世風の設定だったが、今作では最近の流行り(だと思うが)であるスチームパンク風世界観を取り入れ、いくつかの追加要素が付加されている。 昔々、地上には石炭と歯車ベースの超大型機械があふれかえり、文明は繁栄していた。しかし、やがて大気汚染が深刻となり、一部の人々は雲の上に飛行都市を造ってそこに避難。逆に地面を掘り進んで地下世界に逃げた人々もいた。割を食うのはいつだって行動を起こさない連中で、地上(ここが“ボーダーランド”と呼ばれるようになる)に残った人々は文明崩壊後の世界で動かなくなった機械から屑鉄を集め、頭上の飛行都市から投下される食べ残しの食料や乏しい必需品で生きながらえてた。 しかし飛行都市の連中(“スカイ・ピープル”と呼ばれる)も安泰ではなく、都市建造時に蓄えてた莫大なエネルギーがいよいよ底をつき始め、ケツに火がついた。知恵を絞って彼らが思いついた対策は「エネルギーがないなら地下から持ってくればいいじゃない」というもの。地下の炎(たぶんマグマとかのことだろう)からエネルギーを取りだして飛行都市まで運ぶシステム、その名も「スカイワーク」を作ることにしたのだ。とはいえ自分たちで作るのはダルいので、「お前らこれ作れよ。そしたら俺たちスカイワークの近くに集まって、そこから食料とか投下してやるからさあ、俺たちによし、お前たちによしでWIN-WINじゃん?」という感じでボーダーランド人に設計図だけ与えることにした。まさに上から目線w しかしスカイ・ピープルのいう通り、ボーダーランド人としては自分たちの頭上にスカイ・ピープルが集まってくれるならありがたい限りなので、競ってスカイワークの建造に乗り出したのだ。 ……てな感じの背景設定で始まるのだが、ゲーム自体はいたって普通な陣取り&生産/建設&殴り合いゲーム。地域を支配して、その地域が生産するものを得て、それを他プレイヤーと交易したり、他の地域に輸送したりして、さまざまなものを建設する。地域の支配は殴り合いによって奪ったり奪われたりする。各ラウンド終了時にスカイワークを3基以上支配しているプレイヤーがいたらそのプレイヤーの勝ち(引き分けありかなしかはゲーム開始時に決めておき、なしならスカイワーク数が単独最多プレイヤーの勝ち)。 このゲームでは、ゲーム開始前に全プレイヤーが任意の地域に支配マーカー(プラスチック製フィギュア)を1個ずつ置いていく。なんとこの手順を“すべての地域”が埋まるまで繰り返す。つまり、このゲームに“空いている地域”というものは存在しないのだ。これは陣取り要素のあるゲームとしては珍しいんじゃないかな。デザイナーによる「これから皆さんに殺し合いをしてもらいます」という明確な意志が感じられるw 支配マーカーとして使うフィギュア。ボード上を動くことはないのでトークンで充分なのに、フィギュア。無駄に高いクオリティw 各ラウンドは製造フェイズから始まる。1ラウンド目は何も製造できないが、2ラウンド目以降は各地域にある資源を使って武器、スカイワーク、川舟、船、橋(まとめて“開発物”と呼ぶ)を作ることができる。武器は移動できないが、その地域(および隣接地域)での戦闘にボーナスがつく。川舟と船はそれぞれ川と海しか移動できないが、資源を輸送して隣接する陸地に運んだり、隣接地域での戦闘にボーナスを与えたりできる。橋は大陸と島をつなぎ、輸送路として使うことができる。スカイワークは勝利条件である上に、周辺地域での資源生産力を増す。 スカイワークの建造が最終目標なのは言うまでもないが、他の開発物を無視してゲームに勝つことはできないだろう。次の生産フェイズで生み出される資源はプレイヤーの手元ではなく、その資源を生み出した地域に置かれるので、製造したい地域に必要な資源を輸送する必要があるからだ。そしてもちろん、勝利を目前にしているプレイヤーのスカイワークは他プレイヤーの標的となる。充分に守りを固めなければ簡単にスカイワークを奪われ、勝つのは他プレイヤーということになるだろう。 開発物トークン。左上から船、武器、橋、川舟、スカイワーク。数値は戦闘時の戦力ボーナス。スカイワークの建造には屑鉄1、鉄1、石炭1、金1のセットか金4が必要になる。各地域が生産する資源は最大で1種類なので、さまざまな地域から必要な資源を輸送してくる必要がある。 次は生産フェイズ。生産トークンがある地域は、対応した資源を生産する。さして難しいところはないが、すでに対応する資源が置かれている地域では生産できないので、おおむね毎ラウンドごとに輸送したり、消費したりしないと効率が悪い.特別な資源である馬だけは別の地域に置くこともできるが、詳細は割愛。 生産トークンと資源トークン。上の炭鉱、金鉱山、馬牧場、鉄鉱山、屑鉄置き場トークンが置かれている地域は、それぞれ石炭、金、馬、鉄、屑鉄を生産する。生産トークンはゲーム開始時にボード上にランダムに置かれるので、ゲームごとに各地域の地理的価値が異なるようになっている。 続いて交易フェイズ。支配地域が1カ所でも接していれば、プレイヤー同士でボード上にあるすべての資源をやりとりすることができる。受け取った資源は任意の支配地域に置けるため、同じ資源を交換して必要な地域に置くことで輸送の手間を省くこともできる。 そのあと輸送フェイズ。徒歩だと隣接してる支配地域にしか資源を輸送できないが、馬、川舟、船を使えばかなり遠くまで輸送可。さらに、馬がある地域を連続して支配していれば、それを“補給路”と見なしてかなりトリッキーな輸送をすることもできる。馬は資源の一種だが、1戦力にもなるし補給路も形成するので、他の資源とはちょっと使い道が違う感じかな。 最後に戦闘フェイズ。基本的にある地域から隣接する他プレイヤーの地域を攻撃する。その地域にある武器と馬、さらに隣接してる川舟、船、橋の戦力を合計して数値を比較して、攻撃側戦力が防御側戦力以上なら攻撃側の勝ちで支配権を奪える。防御側が勝ったら何もなし。 これだけじゃ盛り上がらないので、戦力を変更するルールが他に2つある。まずは同盟。攻撃された地域に隣接してる他プレイヤーは、攻撃側か防御側にその地域の戦力を貸すことができるのだ。勝敗の結果から直接利益を得ることはないが、もちろん交渉によって「そこの防衛に手を貸すから、次ラウンドの交易でちょっと色つけてくれよ」とか「お互い協力して攻撃して、そっちのスカイワークはお前のもの、こっちのスカイワークは俺のものでどうよ」とか取り決めることはできる……もちろん口約束だけどなw さらに攻撃プレイヤーに限り、遠くにある馬、川舟、船を遠征軍として2つまで目標地域に持ってくることができる(移動のルールには従う)。こいつらに武器や馬を積んでくることもできるので、攻撃側が相当有利だ。ただし1エリアに置ける川舟/船の数には限りがあるし、戦闘終了時に1地域に複数の武器/馬があると1つを残して全部除去されてしまうので、ちゃんと考えて遠征させないと得るものより失うものの方が多くなるかもしれない。 さて、このゲーム最大の特徴は、「生産/交易/輸送フェイズは必ずしも発生するとは限らない」というところだ。各フェイズ開始時にスタートプレイヤーがダイスを振り、1~4が出れば通常通りプレイするのだが、5が出たらそのフェイズはまるまる省略となり、6が出たらスタートプレイヤーが発生するかどうかを決めるのだ。このため、他プレイヤーの動きに応じて防御を固めようとしてたのに生産フェイズが飛ばされたりとか、交易で得られる資源をあてにしてたのに交易フェイズが飛ばされ、さらに戦闘フェイズで隣接地域を他プレイヤーに奪われて交易できなくなったりといったハプニングが生まれるだろう。 これを繰り返し、スカイワークを3基以上支配したプレイヤーがいたらそのプレイヤーの勝ち。 テーマを流行りのものにして、遠征軍ルールで戦闘をちょっとダイナミックにした以外は昔のままだそうで、まあ古いタイプのマルチゲームだ。ルールブックに堂々と「全地域を失ったプレイヤーはゲームから脱落」って書かれてるくらいw なのでマルチ駄目な人は駄目だわな。テーマもかぶせてあるだけで、ゲーム的に大きな意味を持ってはいない。なにせスカイ・ピープルも地下世界に逃げた人たちも出てこないしw そのへんに目をつぶれば、マルチの醍醐味が充分楽しめそうなゲームと言えるだろう。各種開発物の能力を利用して乏しい資源をやりくりし、全体のバランスを睨みながら、他プレイヤーよりほんのわずかだけ先んじて勝利する。そういうマルチ的ヒリヒリ感が好きな人にはお勧めだと思うよ。
2013.06.09
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キックスターターでまとめ買いしてもらってた「Goblins Drool, Fairies Rule!」が届いたとのことだったので、受け取りついでに前回お流れになった「アフター・ザ・フラッド」をやることに。 この日の詳しい様子はこちら↓海長とオビ湾のカジノロワイヤル:ビッグバントーナメント第五十四夜~スターウォーズLCG~キル領主~キル赤ずきん●アフター・ザ・フラッド 詳しくはこちら↓ふうかのボードゲーム日記:アフター・ザ・フラッド(洪水の後で) なんと☆5つ! 和訳ルールはこちら。 半休取ってきたオビ湾さんが隣で黙々と和訳シール貼りを進める中、いたるさん、タムラさん、私の3人でこれ。 テーマは文明の曙の時代で、舞台はシュメール。プレイヤーの立ち位置がよく分からないのは、少し前のワレスゲーのいくつかに見られる特徴。シュメール内部のいくつかの都市国家と、シュメール外部の帝国を同時に担当する。神様……は別にいるので、それに近い立場で文明全体を俯瞰してる感じかな。 ゲーム中の得点手段は「シュメールの都市を大きくする」と「シュメール外部の帝国を拡大する」の2つ。何をするにも資源が必要なので、ラウンド開始時にどれだけ多くの資源を得られるようにするかと、ラウンド中にどれだけうまく交易して資源の価値を高めるかが肝要。マップはかなり狭く、ラウンドごとにさまざまな帝国を発生させることができるので、基本的に殴り合いになる。他プレイヤーの都市を破壊して拡大の機会を奪い、他プレイヤーの労働者がいるところに軍隊を派遣して交易を阻止したりと、非常に殺伐としてるw この「戦闘するのが大前提」のシステムと「3人専用」というのが素晴らしくマッチしてる。3人ゲーで2人が殴り合いしてるともう1人が有利になるので、普通はできるだけ殴り合いたくない。でも殴り合う以外ほとんどすることがない。となったら、殴られたとき(そして殴ったとき)の損害をいかに減らすか、そしてどうやってうまいこと第三者となるかに終始頭を使わなきゃならない。この日は実プレイ4時間くらいの熱戦となったが、途中でだれるようなことはまったくなかった。3人専用では確かにプレイ機会は限られるだろうが、今流通させても全然問題ない出来だと思うなあ。日本語版とか出したらいいんじゃないかなあ(チラッ 1ラウンド目終了時。いたるさんが紫、タムラさんが緑、私が赤。特殊能力が強いバビロン、シッパル、シュルッパクを押さえ、アッカド帝国を沸かせて守りを固めて盤石。いたるさんがやや出遅れてるようにも見えるが、得点の大半は都市の拡大から入り、全員が20点ずつ得たので大差はついていない。 2ラウンド目終了時(軍隊駒取り除き済み)。まあ都市の配置から始めなきゃならず、初期資源を持ってる1ラウンド目は準備ラウンドみたいなもんで、ここからが本番。1ラウンド目でちょっぴり目立った私はフルボッコw 狙ってたアムル帝国は手番順が先だったいたるさんに取られたので、確かイシン帝国を興してニップルを落とし、軍隊駒をシュメール内にばらまいて(2体だけだけど)得点を稼いだ気がする。 3ラウンド目終了時。前ラウンドでの下準備と手番順超重要。またもいたるさんに最大のミッタニ帝国を取られ、北部を完全に支配されてラピスラズリが手に入らない状態に。仕方なくエジプト帝国を興したが、軍隊を増やす余裕はまるでなく、ユニット5体じゃシュメール内部に入るのが精一杯w ここで都市を拡大できなかったため、2人に大きく点差をつけられた。 4ラウンド目終了時。ウルをずっと押さえてるため、毎ラウンド織物駒を1個余分に入手するタムラさんが着々と力を蓄え、最終ラウンドに備える。このラウンドもエジプト帝国になってしまい、シュメールで都市を破壊するのは難しかったため、少しでも得点を減らすためにいたるさんの軍隊と全面衝突。ゲーム後半に南部の都市を破壊するのは難しいと分かったので、たまたま空いてたラガシュに都市を置いてみたが、これが必要だったかどうかは疑問。これ以上点差が開くとどうしようもないため、やむなく資源3個で効率悪く都市を拡大。この時点でいたるさんとは20点差以上あり、タムラさんとは1点差の3位だったが、タムラさんと私では資源数に差がありすぎた。 ゲーム終了時。まあね、4ラウンド目に3位になったのは狙ってのことですから!(ドヤァ 4ラウンド終了時に無理して資源を支払って1番手となり、アッシリア帝国を興してラピスラズリ地域を封鎖。タムラさんが他の2帝国の発生地域を押さえ、いたるさんに無駄な資源の支払いを強要。完全情報公開なのに細かい得点の目算をしない紳士プレイ、ニップルの都市を破壊しないというお目こぼし、そして灌漑ボックスと製織ボックスの得点を全員が忘れる(結局どちらも全員駒数同じで得点にならなかったが)といういくつもの要素が重なり、最終的にいたるさんをかわして勝利。やはりラウンド制ゲームは終了1つ前のラウンドでしゃがむに限るな! 計算通りだな!(再びドヤ顔)。●ワールド・チャンピオンシップ・ドッジボール お隣でhiroceanさんとオビ湾さんが、シール貼り終わった「スターウォーズLCG」をやってたので、3人でいたるさん持ち込みのこれ。 ドッジボールがテーマ。他プレイヤーの手元にあるキャラクターカード(いろいろ特殊能力持ってる)を指定して、投げ方カードと共にボールカードを置く。投げ方カードには「カンフー・フォース・アタック・スロー」とか、まあいろいろあって、「○○という回避カードを使った場合のみ回避可」と指定されてる。相手はそのカードがあったらそれを使って回避できる。回避できなかったらアウトw これを繰り返して最後までキャラが残ってたプレイヤーの勝ち。 なんとこれ、リアルタイムゲーだ。ボールを投げては手札を補充するのだが、自分のキャラにボールが投げられたら、回避するまで手札補充できなくなる。それを狙ってばんばん投げ合うという……まあそういうゲームw しかもプレイ人数分ボールカードを使うので、3人プレイだと3つのボールが飛び交うのだw リアルタイムゲーはそれだけである程度面白いけどさあ……2005年に出て、BGGレーティング4.42ですよ。あとは推して知るべしw こんなゲームを見つけるのもすごいし、買うのはもっとすごい。さすがいたるさんだよw●キル・ジ・オーバーロード 隣の2人と合流して、5人でこれ。格ゲーものの傑作「バトルコン」や、ドゥームでは評判のいい「ピクセル・タクティクス」のデザイナー、D. Brad Talton, Jr.が他社から出した唯一(今のところ)のゲーム。 オーバーロードとなったプレイヤーが、他プレイヤー全員の処刑を目指していくゲーム。処刑の対象となったプレイヤーは、手札を使って処刑の矛先を他プレイヤー(オーバーロードも可)に向けたり、一発逆転のカードを使ったり、どうしようもなければ誰かを道連れにするカードを使ったりする。オーバーロードが勝たなかったら、ルールに従って各プレイヤーの役職を変更する(革命によって、生き残ったキャラのプレイヤーは成り上がり、死んだキャラのプレイヤーは没落するのだ)。ラウンド開始時にオーバーロードの所持金が30金以上でもオーバーロードが勝利する。勝利条件は2通りだが、とにかくオーバーロードにならないことには絶対に勝てない。 1ゲーム目、右も左も分からないのでみんな適当に処刑カードを回してたら、いきなりオーバーロード以外が全員死亡してhiroceanさんの勝利w さすがにこれじゃあまりにしょうもないのでもう1ゲーム。今度は序盤から積極的にオーバーロードを殺しに行く。勝つ可能性があるのはオーバーロードだけだから、まあ間違ってはなかったが、感想戦では「こればかりが正着ではない」との結論になった。結構もつれた展開になったが、最後に私が使った「ゲーム中に役職をシャッフルして割り当て直す」というトンデモカードによりえらいことにw あまりにえらいことになったので誰が勝ったかは忘れたw オーバーロードだけが死んだ場合、他のプレイヤーは1段階ずつ役職ランクを上げることになる。つまり役職が下位のプレイヤーはあまり勝利に近づけない。上位の役職ほど収入が増え、「オーバーロードになったときに30金所持」の勝利条件を満たしやすくなるので、下位プレイヤーはある程度上位プレイヤーに死んでもらう必要があるのだ。だからといってオーバーロード狙いをおろそかにしすぎると、1ゲーム目のようなサドンデスもあり得る。ここの判断がゲームの肝なんだろう。 アイディアは決して悪くはない。が、いかんせん「30金」という目標が遠すぎ、中盤にややだれる。「オーバーロードだけが生き残るのは論外だが、次ラウンドにあいつがオーバーロードになるのも困る」という悩ましさが終盤にならないと発生しないのだ。また、ある程度プレイすると、プレイ人数によるセオリーみたいなものができそうなのも残念なところ。もう少し煮詰めて、短時間ですぱっと終わるゲームに仕上がっていればいいゲームになっただろうに……惜しい。●赤ずきんは眠らない 短時間でプレイできるとのことで、最後にこれ。 うーん。まあある程度ゲームをプレイしてる人向けではない。狼が誰を狙うかの判断材料が(一見あるように見えるが)まったくないからね。狼は「誰かが勝利する(または勝利に大きく近づく)ことのないようにカードを配る」だけだし、他プレイヤーの選択は2択だが、実のところ、狼が自分のところに来るかどうかはまったく分からない。「高得点を取りに行く」「裏をかいて低得点を取りに行く」の2択って、ランダムで決めるのとほぼ一緒だからね。 イラストは大変可愛らしいので、アナログゲームのプレイ経験がない人の導入としてはいいかもね。作り手も、たぶんそういう層を想定して作ってるだろう。
2013.06.04
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ボックスアートゲームボード類 Jamey StegmaierとAlan Stoneが2人で設立したStonemaier Gamesから発売した、キックスターター発の2作目。1作目の「Viticulture」はブドウ農園経営ゲームで、なぜかあまり話題にならなかったが、落ち着いたアートワークと見事な造形の駒類(たぶんキックスターターのバッカー限定だが)が目を引き、プレイした人によればゲームとしてもよくできていたようだ。 2作目になる本作はディストピアをテーマにしており、それが受けたのか、莫大な資金を集めることに成功している。 ある日突然、自分が暮らしている世界がディストピアであることに気づいたプレイヤーたち。たいていのエンタメでは、こうなった主人公はディストピアからの脱出、またはディストピアの破壊を試みるのだが、このゲームはひと味違う。なんとこのプレイヤーたち、このディストピアの体制内で成り上がることを選んだのだw そのために無知な労働者(かつての自分たちだ)や、高度な能力を持った専門家を使い、ディストピアの発展に貢献する。その過程で、今では所有が禁じられている旧文明の娯楽品(本とかぬいぐるみとか)を発見しては、密かにそれを欲しがっている権力者に貢ぎ、その見返りとして土地をゲットして所有権マーカーを置く(当然だが土地の私有も禁じられているので、公共の土地を私物化することになる。横領だw)。これを繰り返して、手持ちの所有権マーカー10枚を全部置ききったプレイヤーの勝ち。 専門家カード2枚と秘密の目的カード1枚を持ってゲーム開始。基本的なシステムはワーカープレイスメントで、置いたら即座にアクションを実行するタイプ。ワーカーとしてダイスを使い、ダイスなので当然振る。しかし振ってから置くまでのあいだにタイムラグがあるので、「キングスブルク」「エイリアン・フロンティア」「トロワ」といった“振ってから考える系”ともまた違った独特なシステムとなっている。 手番にできることは大きく分けて2つだけ。ワーカーであるダイスを1個置き、置いた場所に応じたアクションを実行するか、ボード上にある自分のダイスを好きなだけ回収するか。 ダイスを置くとき、基本的には1個しか置けないのだが、手元に同じ出目のダイスが複数ある場合、それらのいくつか(またはすべて)を連続して置くことができる。ダイスは最初2個持ちだが、4個まで増やせるので、最大で4アクション連続で実行できるわけだ。このように手元にあるダイスの目が重要になるので、ダウンタイム中に手持ちぶさただからといってダイスや駒類を弄る癖のある人は要注意。出目を変えてしまうとゲームにならないからねw ダイスを回収したとき、プレイヤーはコストを払うかどうかを決める。コストを支払った場合、帰ってきた労働者たちに報酬を支払ったことになり、士気レベルが1上がる。士気レベルは重要な娯楽品カードの手札上限枚数に影響するため、高い方がいい。コストを支払わなかった場合は労働者にサービス残業(というか無償労働w)を強いたことになり、士気レベルが1下がる。一度に労働者駒を何個回収してもコストは変わらないので(これもひどい話だw)できればまとめて回収したいところだが、そうしづらい理由がある。 ダイスを回収した時点で、プレイヤーはそのダイスをすべて振る。これは働いて帰ってきた労働者が、このディストピアについてどれだけ知識を得てきたかを表している。この出目と、まだ手元に残っていた他のダイスの出目を合計し、さらに現在の知識レベルに応じた修正値を加える。この値が18以上になると、「気づいてしまった……俺たちがいるこの街はディストピアだったんだ! これ以上こんなところにいられるか! 俺は逃げる!」と言って、出目が一番大きなダイスが失われてしまうw このルールがあるため、コスト効率を重視してダイスをまとめて回収すると、逆にダイスを失うリスクが増えてしまうのだ。ちまちま回収していればなかなか18以上にはならないので(労働者が集まって知識交換する機会を減らしていることを表している)、持っている資源や手数との兼ね合いを考えて、回収するダイスの数を決めることになるだろう。 ボード上にある士気トラックと知識トラック。士気トラックの数字は手札上限。知識トラックのダイス目は修正値。ゲーム中に特定のアクションを実行すると、どんどん知識レベルは上昇していくので、後半ほど修正値が大きくなって労働者も逃亡しやすくなる。 アクションの種類は、まあ大体想像がつくもの。資源を支払ってダイスを置くと労働者が増えたり、資源がもらえたりする。ダイスを置くスペースは「全員が何個でもダイスを置けるスペース」「1個しか置けないが、すでに置かれてるダイスを追い出して置けるスペース」「1個しか置けず、自分で回収しない限り返ってこないスペース」の3種類がある。他の勢力につながる秘密トンネルを掘る(その過程で娯楽品を発掘する)アクションと、そのトンネルが完成したときに解放されるアクションスペースがあるってところはちょっと目新しいかな。 アクションスペースの1つ「労働者活性化槽」。エネルギー駒3個か水駒3個を支払い、ダイスを1個置くと新たなダイスが1個手に入る。ここは押し出し可能スペースなので、あとから誰でも(自分でも)ダイスを置くことができ、そうしたらすでに置かれてたダイスは所有者の手元に戻る。無償で返ってくるのでありがたくもあるが、これによって知識値が18以上になる可能性もある。なお、エネルギーを払った場合は電気ショックで労働者を覚醒させたことになり、その衝撃で知識レベルが2下がるw 水を払った場合は新鮮な水しぶきでリフレッシュして、士気レベルが2上がる。こんな感じで、各アクションスペースにはメインの効果の他に、ディストピアらしい付加効果が追加されてる。 建設は「ユーフォリア」の重要なパート。資源を支払ってダイスを置き、すべてのアクションスペースが埋まるとその建物が完成して、アクションスペースが解放される。恐ろしいことに、各建物には何らかのペナルティが示されており、その建物の建設に貢献しなかった(ダイスを置かなかった)プレイヤーにはそのペナルティが適用されてしまう。かなり厳しいものもあるので、できるだけすべての建物の建設に貢献しておきたいところだ。 こんな感じ。上図左側の4スペースに資源を支払ってダイスを置いていき、途中で誰もそのダイスを回収することなく全部のスペースが埋まったら建設完了。誰かが回収したら、別の(あるいは同じ)誰かが再び資源を支払い、そのスペースを埋めなきゃならない。完成したら建物タイルを表向けて左にずらし(この時点でダイスは回収される)、アクションスペースが解放される。ダイスを置いたプレイヤーは建物タイル上に所有権マーカーを1枚置くことができ、ペナルティを食らわずにすむ。 建物の例。左の「選択的遺伝子研究所」の建設に貢献しないと、手持ちのダイスの数が2個までに制限される。右の「はかない快楽の温泉」の建設に貢献しないと、押し出し可能なアクションスペースから自分で自分のダイスを押し出すことができなくなる。建物名はどれもこんな感じで、実にディストピア的だw こうして所有権マーカーをいち早く10枚使い切ることを目指していくが、ゲーム中に1回だけ、ダイスの配置/回収の代わりに秘密の目的の達成を宣言することができる。必要な娯楽品カードを捨て札にして、目的カードの左右どちらかの効果を発動させ、「専門家カードを2枚引いて1枚得る」か「所有権トークン1枚をカード上に置く」ことができる。 秘密の目的カード。左上のカードを公開して「本」(または任意の娯楽品カード2枚)を支払うと、本を読んで専門家カードを1枚得るか、逆に本を焼いて所有権トークンをこのカード上に1枚置くことができる。基本的に左側は体制に反逆することを表しており、右側は体制におもねることを表してる。右下の「バット」の選択肢がひでえw 専門家カード。色はその専門家がどの勢力に属してるかを示している。勢力ごとに異なる専門家が何人かいるが、その名前はみんな「アミー」か「トム」か「ジョナサン」なのが実にディストピア的w ディストピアをテーマにする、と思いついた時点でデザイナーの勝ちだろう。士気レベルと知識レベルの調整や、建物の効果などに「負の効果」があるため、他のテーマだったらプレイヤーはストレスを感じたかもしれない。だけどディストピアと言われたら、そりゃ自由が制限されたり労働者が逃げ出したりしても仕方ないよねw 細かいルールもいちいちディストピアの再現に貢献しており、特に資源の一種に「幸福」があるのには参った。なんだよ「幸福」ってw どう考えてもアブナイ薬じゃねーかw ゲームとしての骨組みもしっかりしているようだから、ただプレイするだけでも充分楽しめるだろうが、やはりディストピアもののエンタメに触れているとより面白いだろう。暗い雰囲気の古典小説を読むのもいいし、比較的ハッピーエンドで終わりがちな映画を見るのもいい。だけど一番お勧めなのは、テーブルトークRPGの「パラノイア」をプレイしてみることかな。ボックスアートから分かるように、ハムスター式人間発電所があるような世界観だから、たぶん「パラノイア」が一番近いと思うよw
2013.06.03
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