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マリウポリから脱出した市民が「アゾフ大隊(アゾフ特殊作戦分遣隊)」の実態を告発、西側の政府や有力メディアが描いてきた「勇敢な市民が邪悪な侵略軍に立ち向かい、勝利する」という「ダビデとゴリアテ」的なストーリーが事実でないことを明らかにしている。(例えば、ココやココ) 脱出して間もない市民の声が外へ伝えらているのは現地で取材している記者がいるからである。例えば、ドンバス・インサイダーの記者によると、彼女はフランスの有力メディアTF1やRFIのほか、ロシアやイタリア人の記者とマウリポリへ入ったとしている。 早い段階で記事も出ているが、脱出した人の証言映像をツイッターに載せていた人もいた。ところがその人のアカウントをツイッターは削除。知られたくない事実だからだろうが、一部の映像はインターネット上にまだ残っている。 しかし、西側の有力メディアは大多数が「ダビデとゴリアテ」話を維持するため、こうした証言は無視しているようだ。親衛隊の仲間である「市長」のコメントを伝えても市民の証言は伝えない。 それだけでは足りないようで、ウクライナやアメリカの政府にとって都合の悪い情報、つまり事実を伝えるジャーナリストをウクライナ政府は国外へ追い出したり恫喝し始め、身の危険を感じるような状況になっているという。今後、ウクライナ政府は脱出した市民を拘束し、その証言が外へ漏れないようにするかもしれない。 マリウポリなど東部に住む人びとはロシア語を話し、多くは2014年2月のクーデターで排除されたビクトル・ヤヌコビッチ大統領を支持していた。つまり反クーデター派が多数を占めていた。そこで反クーデター戦争を始めたのだ。それに対し、ポーランドへ逃げ込んだ住民は西側に住む人が多いはずである。 ポーランドへ逃げた市民について、西側メディアは文明度が高いとし、「目が青く、ブロンドのキリスト教徒」だから助けなければならないと叫んでいた。その一方でインド人やアフリカ系の人びとは脱出を妨害されたり、棍棒で殴打された人もいる。アジア人も差別の対象だ。西側メディアもネオ・ナチと同じ価値観を持っていると言われても仕方がないだろう。
2022.03.31
ロシア軍は2月24日にウクライナを攻撃し始めるが、その直前、ウクライナの軍、あるいは親衛隊はドンバス(ドネツクとルガンスク)に対する攻撃を強めていた。OSCE(欧州安全保障協力機構)によると、2月17日にはウクライナ側からドンバスへの攻撃が激しくなり、18日、19日とエスカレートしている。 その前からウクライナ側は停戦合意を守らず、ドンバス周辺には親衛隊のほかアメリカやイギリスの特殊部隊やアメリカの傭兵も集結、攻撃態勢が整いつつあると言われていた。そうした中、アメリカ政府はロシア軍が偽旗作戦を目論んでいる、暗殺リストを配っているなどと宣伝している。 ロシア軍と戦っているウクライナ側の主力は親衛隊のようだが、この戦闘集団は内務省の指揮下にあり、隊員はネオ・ナチが中心。ネオ・ナチは自分たちを「民族主義者」、あるいは「愛国者」と呼んでいるが、どのようなタグをつけようと、ネオ・ナチであることに変わりはない。 アメリカの白人至上主義者に関する裁判でFBIの特別捜査官が2018年10月に提出した宣誓供述書でも、アゾフ大隊はネオ・ナチ思想と結びつき、ナチのシンボル主義を使っていると認めている。アメリカの白人至上主義者だけでなく、世界各国にネオ・ナチのネットワークは張り巡らされているのだ。 バンデラは1920年代からOUN(ウクライナ民族主義者機構)の幹部だった人物だが、この組織は41年3月に分裂、反ロシア感情の強いメンバーがバンデラの下に集まった。これがOUN-Bだ。 このOUN・Bをイギリスの情報機関MI6のフィンランド支局長だったハリー・カーが雇う一方、ドイツが資金を提供し、バンデラの側近だったミコラ・レベジはクラクフにあったゲシュタポ(国家秘密警察)の訓練学校へ入っている。 ナチスやOUN・Bの背後には「インターマリウム」という計画が存在していた。バルト海とエーゲ海に挟まれた中央ヨーロッパにカトリックの帝国を作ろうというもので、その発想の源はポーランド・リトアニア連邦の1600年頃の領土にある。この構想に参加していたローマ教皇庁の一部は第2次世界大戦の終盤、アメリカ支配層の一部と手を組んでナチの高官や協力者を逃走させ、保護する工作に加わっていた。 インターマリウム計画はイギリスの長期戦略にも合致する。イギリスのハルフォード・マッキンダーという地理学が1904年に発表した世界制覇プランは海軍力を使ってユーラシア大陸の周辺部を支配、内陸部を締め上げ、最終的にはロシアを制圧するというものだった。ロシアを制圧するため、その西側にイギリスの支配地域を作るとしているが、それがインターマリウムと重なるのだ。 日本では無視されているようだが、世界的に見るとマッキンダーの理論は今でも生きていると考える人が少なくない。締め上げるタガの東端が日本。タガの上にイギリスはサウジアラビアとイスラエルを作り上げた。ジョージ・ケナンの「封じ込め政策」やズビグネフ・ブレジンスキーの「グランド・チェスボード」もマッキンダーの影響を受けている。 19世紀イギリスのエリートを代表する人物、セシル・ローズは1877年に『信仰告白』を書いている。その中で彼はアングロ・サクソンを世界で最も高貴な人種だと主張、その人種が支配地域を広げることは義務だとしていた。なお、ローズはネイサン・ロスチャイルド、ウィリアム・ステッド、レジナルド・ブレットと同じように、ビクトリア女王の助言者だ。 ローズが『信仰告白』を書く13年前、トーマス・ハクスリーを中心として「Xクラブ」が作られている。その中には支配階級の優越性を主張する社会ダーウィン主義を提唱したハーバート・スペンサー、チャールズ・ダーウィンの親友だったジョセフ・フッカー、このダーウィンのいとこであるジョン・ラボックも含まれていた。彼らの思想の根底には優生学やの人口論があり、ローズやマッキンダーにつながる。 1981年1月にアメリカ大統領となったロナルド・レーガンは82年6月にローマ教皇庁の都市間でヨハネ・パウロ2世とふたりで会い、ポーランドや東ヨーロッパについて話し合い、ソ連の解体を早める秘密キャンペーンを実行することで合意した。その目的を「神聖ローマ帝国」の復興と表現する人もいた。(Carl Bernstein, “The Holy Alliance,” TIME, Feb. 24, 1992) インターマリウムをモデルにして、2015年に「3SI(三海洋イニシアチブ)」がスタートする。翌年にはオーストリア、ブルガリア、クロアチア、ルーマニア、スロバキア、スロベニアの代表がクロアチアで会議を開くが、このプランにウクライナのネオ・ナチも影響を受けている。 ウクライナをネオ・ナチを率いているひとりにオレナ・セメンヤカなる人物がいる。ウクライナ民族主義の「ファースト・レディ」とも呼ばれている。この人物もインターマリウムの信奉者であり、白人(北欧人)至上主義者だ。 このように考えているのは特殊な人だけだと言うことはできない。今回、ウクライナからポーランドへ脱出した人について、西側メディアは「目が青く、ブロンドのキリスト教徒」、要するに北欧系の難民は助けなければならないと叫んでいた。その一方でインド人やアフリカ系の人びとは脱出を妨害されたり、棍棒で殴打された人もいる。アジア人も差別の対象だ。 西側メディアが言うところの「医療天使」に所属する弁護士、ジャナディ・ドラザンコはウクライナのメディアに対し、部下の医師たちに対し、ロシア人捕虜は全員去勢するよう命じたと語った。ロシア人は人間でなくゴキブリだからだという。のちにドラザンコは発言を取り消すが、ロシア人捕虜に対する去勢命令は本気だろう。ここにきてウクライナ軍がロシア人捕虜を拷問、足などを撃ち、射殺している光景を撮影した映像がインターネット上で公開されている。ウクライナのネオ・ナチはロシア人を劣等人種だと考えている。 マリウポリなどから脱出した市民が「アゾフ大隊(アゾフ特殊作戦分遣隊)」の実態を告発しているが、そうした市民によると、アゾフ大隊によって建物は破壊され、人びとは拷問され、殺された人も少なくないようだ。若い女性はレイプされているという。 別の映像や記事もあるが、そうした市民によると、アゾフ大隊によって建物は破壊され、人びとは拷問され、殺された人も少なくないようだ。若い女性はレイプされているとも告発されている。 歴史を振り返れば、ウクライナを舞台にした戦争が2月24日に始まったとする考え方には大きな問題があると言わざるをえない。少なくとも2014年2月のクーデターから戦争は続いているのであり、中期的には1999年3月のNATO軍によるユーゴスラビアへの先制攻撃から続いている。そして、その背景には19世紀から続くアングロ・サクソン支配層の世界制覇プランがあるのだ。
2022.03.31
ジョー・バイデン米大統領は3月28日の記者会見でウクライナの兵士がポーランドでアメリカ軍部隊と定期的に交流していると発言した。アメリカの第82空挺師団の隊員とポーランドであった際、空挺師団員がウクライナへ入るというだけでなく、すでに入っているアメリカ兵がいるかのように話して話題になっている。 ポーランドはアメリカがウクライナへ戦闘員や武器を送り込むルートになっているが、そのポーランドとの国境からウクライナへ約25キロメートル入った場所にあるヤボリウ基地をロシア軍は3月13日に8機の巡航ミサイル「カリブル」で攻撃した。ミサイルは約1000キロメートルを飛行、ターゲットを正確に捉えている。ロシア政府は3月12日、アメリカに対して西側から運ばれてくる武器は攻撃の対象になると強く警告していた。 ヤボリウは事実上、NATOの基地。アメリカが提供する2億ドルで調達した武器をポーランドから運び込み、ウクライナの兵士を訓練してきた。アメリカが提供してきた武器には携帯式防空ミサイルシステムの「スティンガー」や携帯式対戦車ミサイルの「ジャベリン」が含まれている。 イギリスのミラー紙によると、ロシアのミサイル攻撃でイギリスの特殊部隊員3名が殺されたという。ロシア軍によると、この攻撃で180名以上の外国人傭兵が死亡しているが、この中にアメリカ軍の特殊部隊や射撃部隊の隊員が含まれていても不思議ではない。 2014年2月のクーデター当時、ポーランドで伝えられていた情報によると、クーデターの主体になったネオ・ナチは2004年からバルト3国にあるNATOの訓練施設で軍事訓練を受けていたという。2007年にはネオ・ナチを率いているひとりであるドミトロ・ヤロシュがNATOの秘密部隊ネットワークへ組み込まれたと言われている。ちなみに、2014年のクーデターを現場で指揮していたビクトリア・ヌランドは05年6月から08年5月にかけてNATO大使を務めていた。 2013年9月にはポーランド外務省がウクライナのクーデター派に属す86人を大学の交換学生を装って招待、ワルシャワ郊外にある警察の訓練センターで4週間にわたり、暴動の訓練を受けたとも伝えられている。ネオ・ナチのグループにはシリアやチェチェンでの実戦経験のある人物も含まれていた。
2022.03.30
マリウポリなど「アゾフ大隊(アゾフ特殊作戦分遣隊)」に支配されていた地域から脱出した市民が実態を告発、その映像をツイッターに載せていた人がいたが、その人のアカウントをツイッターは削除した。知られたくない事実だからだろうが、一部の映像はインターネット上にまだ残っている。 別の映像や記事もあるが、そうした市民によると、アゾフ大隊によって建物は破壊され、人びとは拷問され、銃撃され、殺された人も少なくないようだ。若い女性はレイプされているとも告発されている。 ロシア側へ避難ルートを作るため、ロストフ・ナ・ドヌにオフィスを設置しようとしているICRC(赤十字国際委員会)をウクライナのボロディミル・ゼレンスキー政権は非難しているが、これは避難民の証言を恐れているからだろう。ゼレンスキー政権はロシアへのルートを拒否してきた。 西側の政府や有力メディアが描いてきた「勇敢な市民が邪悪な侵略軍に立ち向かい、勝利する」という「ダビデとゴリアテ」的なハリウッド映画的シナリオでウクライナでの戦争は語られてきたが、それが幻影に過ぎないことを隠しきれなくなっている。幻影を広めてきた政府や有力メディアだけでなく、幻影を事実だと信じていた、あるいは信じたがっていた人にとっても好ましくない展開だろう。
2022.03.29
ロシア軍がウクライナに対して攻撃を始めたのは2月24日のこと。その直後にアメリカ政府はロシアに対する経済的な攻撃を始めた。アメリカの影響下にあるロシアの金や外貨を凍結、エネルギー資源をはじめとする貿易を制限し、SWIFT(国際銀行間通信協会)からの排除も決めた。 こうした攻撃内容の検討をアメリカ政府が始めたのは昨年11月25日より少し前だと伝えられている。最初の会議にはジャネット・イエレン財務長官のほか、情報機関や軍の人間も加わり、計画内容の決定には財務省のウォーリー・アデイェモ副長官、エリザベス・ローゼンバーグ次官補、そして国家安全保障副補佐官のダリープ・シンが関係したという。 こうしたアメリカ側の経済的な攻撃に対し、ロシア側は厳しく対応していない。SWIFTに替わるSPFSはすでに準備されていて、23日にウラジミル・プーチン大統領は非友好国へ天然ガスを売る場合、ルーブル決済に限定させるように指示したと報道されているが、その程度にとどまっている。 それでも影響は小さくない。ヨーロッパだけでなく世界的にロシアのエネルギー資源や食糧を必要としている国は少なくない上、金融システム全体が影響を受けるからだ。非友好国と見做されているヨーロッパの国は天然ガスや石油などを買うためにルーブルをかき集めるか、ロシア以外の国から輸入する必要がある。ロシアをSWIFTから追い出したマイナスの影響は西側諸国にも及ぶ。 1992年2月にアメリカの国防総省がDPG(国防計画指針)草案という形で作成した世界制覇プラン、いわゆる「ウォルフォウィッツ・ドクトリン」では旧ソ連圏だけでなく、ヨーロッパや中国も潜在的なライバルと考え、弱体化させようとしていた。力の源泉である石油を算出する中東への影響力を強めることも狙っている。 そうした意味で、「対ロシア制裁」の裏の目的はヨーロッパの弱体化だとも考えられるが、アメリカ自体もダメージを受ける。結局、どこがダメージに耐えられるかということになる。 それはともかく、ロシアがウクライナを攻撃する3カ月前にアメリカ政府はなぜロシアに対する経済制裁の内容を検討し始めたのかと疑問を感じている人もいる。 ロシアがウクライナを攻撃する5日前、ドンバス(ドネツクやルガンスク)の独立をプーチン大統領が承認する2日前、オレグ・ツァロフというウクライナの政治家が「大虐殺が準備されている」という緊急アピールを出していた。 彼によると、ボロディミル・ゼレンスキー大統領がごく近い将来、ドンバス(ドネツクやルガンスク)で軍事作戦を開始するという情報をキエフから得たとしている。ドンバスでの「民族浄化」だけでなく、ウクライナのSBU(ウクライナ保安庁)はネオ・ナチと手を組み、全土で「親ロシア派」の粛清を実行することにもなっていたという。 ロシア国防省によると、ロシア軍はウクライナ軍が残した回収した文書の中に、ドンバスを攻撃する作戦に関するものがあった。ニコライ・バラン上級大将が1月22日に指令書へ署名、攻撃する準備が始まり、2月中に準備を終えたとされている。攻撃は3月に始めることになっていたという。この作戦はゼレンスキーが1月18日に出した指示に基づいて立てられたという。 こうした情報が正しいなら、アメリカ政府は3月にドンバスを攻撃、市街戦を始めようとしていたということになる。ロシア政府がウクライナ軍の攻撃を非難することを想定、事前にロシア軍の「偽旗作戦」を宣伝していた。市街戦が始まってからロシア軍が介入すれば、市民の犠牲は全てロシア軍に押し付けるつもりだったのだろう。そして経済制裁。 OSCE(欧州安全保障協力機構)によると、2月17日頃からウクライナ側からドンバスへの攻撃が始まり、18日、19日とエスカレートしているのだが、本格的な戦闘ではない。本格的な戦闘を始めようとしていたのだろうが、そこでロシア軍がミサイルによる攻撃を開始、ウクライアン軍の航空施設やアメリカ軍をスポンサーとする生物化学兵器の研究開発施設を破壊する。 ドンバスでは激しい市街戦はなく、住民の多くは救出され、事実を語り始めた。これはネオ・ナチで編成された親衛隊だけでなく、アメリカ政府にとっても好ましくない展開だ。しかも研究開発施設から回収された文書やサンプルによって、アメリカが生物化学兵器の研究開発を行なっていたこと、その施設に大統領の息子であるハンター・バイデンが関係していることなどが判明している。 対ロシアだけでなく、世界戦略の上でウクライナはアメリカにとって重要な意味を持っているようだ。2012年にバラク・オバマ政権のシリアでの政策はアル・カイダ系の武装勢力を支援するだけで、シリアの東部(ハサカやデリゾール)にサラフィ主義者の支配地域を作ることになるとも警告していたマイケル・フリンDIA局長(当時)はロシア軍のウクライナ攻撃について、「新世界秩序」を作り上げるという計画を挫折させると3月8日に語っている。西側の有力メディアは気に入らないようだが、そうなる可能性はある。 アメリカ軍の内部にはフリン中将と似た考えの軍人がいる可能性がある。例えば、ニューズウィーク誌によると、軍の情報機関DIAは長距離ミサイルが攻撃しているターゲットは軍事施設だと説明、住民が狙われているとする話を否定している。またアメリカ政府が宣伝している生物化学兵器による「偽旗攻撃」について、アメリカ国防総省の高官はロシアによる化学兵器や生物兵器の攻撃が差し迫っていることを示す証拠はないと語っている。
2022.03.29
ジョー・バイデン米大統領は3月26日にワルシャワの王宮でウラジミル・プーチン露大統領は「権力の座に留まることはできない」と発言、ロシア政府の転覆を公言したと話題になっている。 この発言にはバイデン政権のメンバーも慌てたようで、アントニー・ブリンケン国務長官やジュリアン・スミスNATO大使は3月27日、ロシアの政権を転覆させる政策をアメリカは持っていないとそれぞれ主張している。 しかし、ロシアに限らず、アメリカを支配する私的権力が彼らにとって都合の悪い政権、体制を潰してきたことは広く知られている。日本でも行われてきたようだが、第2次世界大戦が終わってから最初に行われた選挙への介入は1948年4月に行われたイタリアの総選挙だと言われている。 イタリアはフランスと同じようにコミュニストの力が強く、国民から支持されていた。大戦中、ドイツ軍と戦ったのは事実上、コミュニストを主力とするレジスタンスだけだったことを人びとは知っていたからだ。何もしなければ、コミュニスト政権が誕生する可能性があった。 そこで、アメリカのジョージ・ケナンはコミュニストを非合法化するべきだと主張(Michael Holzman, “James Jesus Angleton,” University of Massachusetts Press, 2)、イタリアの選挙結果がアメリカ側の思惑どおりにいかなければフォッジア油田をアメリカ軍が直接占領するとも語っている。(クリストファー・シンプソン著、松尾弌之訳『冷戦に憑かれた亡者たち』時事通信社、1994年) この選挙工作を指揮していたのはアレン・ダレスの側近だったジェームズ・アングルトン。アメリカの労働組合幹部、つまりジェイ・ラブストーンとアービング・ブラウンが協力していた。この労働組合ルートからイタリアの社会党へ資金が流れ込み、コミュニスト排除の動きが始まる。(Michael Holzman, “James Jesus Angleton,” University of Massachusetts Press, 2008) イタリアのアルチーデ・デ・ガスペリ首相は1947年1月にワシントン輸出入銀行から1億ドルの融資を受けるためにアメリカへ渡り、5月にはアメリカ大使がイタリアの首相に対し、もし政府からコミュニストを排除すればイタリアを支援すると伝えている。それを聞いたデ・ガスペリはすぐ辞職して内閣を解消、キリスト教民主党のみの政府を成立させ、そこからアメリカの支援が始まった。(前掲書) イタリア総選挙への工作で使われた資金の大部分がナチ・ドイツから押収した資産、いわゆる「ナチ・ゴールド」の一部だった(クリストファー・シンプソン著、松尾弌之訳『冷戦に憑かれた亡者たち』時事通信社、1994年)が、日本軍の略奪財宝も使われたという。(Sterling & Peggy Seagrave, "Gold Warriors", Verso, 2003) 1947年の終わり頃、CIAは無数の銀行口座を経由させて1000万ドルの工作資金を洗浄。ローマ教皇庁のフランシス・スペルマン枢機卿によると、アメリカ政府は密かに「イタリアにおける多額の『裏金』をカトリック教会に流していた」。(クリストファー・シンプソン著、松尾弌之訳『冷戦に憑かれた亡者たち』時事通信社、1994年) その後、1953年にはイランでムハマド・モサデク政権を倒すクーデターをイギリスと共同で実施、54年にはグアテマラでヤコボ・アルベンス・グスマン政権を、また73年にはチリでサルバドール・アジェンデ政権をそれぞれ軍事クーデターで倒している。 チリのクーデターでアメリカの手先として動いたのはオーグスト・ピノチェトだが、この人物はイタリアなどヨーロッパのファシスト人脈と結びついていた。その背景に存在していたのはCIAの秘密工作部門だ。CIAが操るファシスト人脈はNATOの秘密部隊で主力になる。イタリアの秘密部隊が「グラディオ」。そうした秘密部隊のネットワークがウクライナのネオ・ナチと結びついていることは本ブログでも何度か指摘している。 アメリカの私的権力はコミュニストを敵視しているが、特に反ロシア感情の強い一派も存在する。例えばポーランド生まれのズビグネフ・ブレジンスキーやチェコスロバキア生まれのマデリーン・オルブライトは典型例。レオ・ストラウスの思想から影響を受けているネオコンも反ロシア感情は強い。 現在、アメリカの支配層で反ロシア政策の中心的な存在はマイケル・マクフォールだと言われている。この人物はスタンフォード大学の学生だった1983年の夏にレニングラード大学でロシア語を学び、85年にはプーシキン記念ロシア語大学のセミナーに参加した。 1991年にはローズ奨学生としてオックスフォード大学へ留学、博士号を取得。この奨学制度は1903年にセシル・ローズの遺産を利用して創設されたという背景もあり、アメリカやイギリスの情報機関と関係が深いと噂されている。 マクフォールは現在、スタンフォード大学の教授だが、2009年にはバラク・オバマ政権に上級顧問として参加、「ロシアのリセット」を計画している。この当時、アメリカの私的権力はまだロシアを軽く見て、属国扱いしていた可能性が高い。 2010年8月にオバマ政権は中東から北アフリカにかけての地中海沿岸地域で政権転覆を計画した。その計画を実行するために「PSD-11」が出されたが、その際にマクフォールも会議に参加している。その計画を実行するための手先として使うことにしたのがムスリム同胞団。そして「アラブの春」が始まった。 その当時、リビアのムアンマル・アル・カダフィはアフリカを自立させるため、欧米の通貨支配から離脱しようとしている。アフリカ独自の通貨として「金貨ディナール」を導入しようとしていたのだが、こうした通貨が導入された場合、アメリカだけでなく「フラン」を一部の国に使わせていたフランスもダメージを受けてしまう。リビアの体制転覆工作でフランスが積極的だった理由のひとつはここにある。アフリカの資源で甘い汁を吸ってきたイギリスの支配者にとってもカダフィの動きは危険だった。「アラブの春」でアフリカに独自の通貨を導入するという計画は崩壊した。 2011年にオバマ大統領は外交官のキャリアがないマクフォールをロシア駐在大使に指名、ロシアの大統領選挙を2カ月後に控えた12年1月14日に就任。その3日後には反プーチン派のリーダーたちがアメリカ大使館を訪れている。 しかし、こうした親欧米の反プーチン派NGOをロシア国民の多くは相手にしていなかった。ボリス・エリツィン時代に欧米の「民主主義」が私的権力へ富を集中させ、国民の大半を貧困化させ、犯罪を社会に広めることを理解していたからだ。ロシアの庶民がアメリカの私的権力が願うように動かないのはロシアに情報が入らないからでなく、実体験として事実を知っているからだ。 アメリカはいつもの手口として、ロシアでも「反体制の象徴」を作り上げた。アレクセイ・ナワリヌイだ。この人物は奨学生としてエール大学で学んでいるが、その手配をしたのはマクフォール。マクフォールはウクライナで2014年2月にクーデターが成功した直後に大使を辞めている。
2022.03.28
ジョー・バイデン米大統領は3月26日にワルシャワの王宮で演説、その中でウラジミル・プーチン露大統領を「独裁者」と呼び、「権力の座に留まることはできないと発言した。ロシアの政権転覆を呼びかけたと理解する人も少なくないだろう。記者の質問に答える際、プーチンを「屠殺人」とも表現した。 バイデンは大統領に就任して間もない昨年3月16日、ABCニューズの番組で司会者から「彼(プーチン)は人殺しだと考えますか」と聞かれ、「その通り」と答えている。この時も国の代表者として非常識だと言われたが、反省はしていないようだ。「正直」なのかもしれない。 ポーランドではアメリカの第82空挺師団の隊員とも会ったが、空挺師団員がウクライナへ入るというだけでなく、すでに入っているアメリカ兵がいるかのように話している。 バイデンが副大統領を務めていたバラク・オバマ政権はネオ・ナチを使い、ウクライナでクーデターを実行、ビクトル・ヤヌコビッチ政権を倒したが、東部のドンバス(ドネツクとルガンスク)や南部のクリミアの制圧には失敗した。 キエフでのクーデターはネオ・ナチの戦闘員で成功したが、ウクライナの軍や治安機関にはクーデターに反発する隊員も少なくなかったと言われている。中堅の隊員が反クーデター軍へ合流、残ったのは新兵が中心だったとも言われていた。 そうしたこともあり、3月に「右派セクター」などネオ・ナチを中心とする親衛隊が編成された。5月になると右派セクターを中心に「アゾフ大隊」が正式に発足、親衛隊の中核になる。アゾフ大隊はドンバスのマリウポリを拠点にする。 それと並行してオバマ政権はCIAやFBIの専門家数十名を顧問として送り込んだが、それだけでなく、傭兵会社「アカデミー(旧社名はブラックウォーター)」の戦闘員約400名がウクライナ東部の制圧作戦に参加したとも伝えられた。そうしたクーデター軍とドンバスの住民は戦ってきたのだ。さらに、CIAは2015年からウクライナの特殊部隊員をアメリカ南部で訓練していると伝えられている。 ロシア軍が2月24日にウクライナを攻撃し始める前、ドンバス周辺にはアメリカのアカデミーなどの傭兵会社が派遣した戦闘員のほか、アメリカの特殊部隊員が入っていたと言われていた。ドンバス侵攻の準備をしていたと見られている。 ロシア軍の攻撃が始まった後、ドンバス側は戦闘でアメリカ人「教官」3名、マイケル・ホーカー大尉、ローガン・シュラム中尉、クルーズ・トブリン中尉の死亡を確認したとしている。 ロシア軍や反クーデター軍がドンバスを完全に制圧、ネオ・ナチ軍が一掃される日は近いと見られている。ネオ・ナチへの恐怖から解放された市民は実態を語り始めたが、西側の政府や有力メディアは無視する可能性が高い。
2022.03.28
ウクライナ情勢だとしてハリウッド的な話が西側では流れているが、そのウクライナでは広告会社がプロパガンダ戦を展開している。この戦いに参加している会社の数は150社以上だという。イギリスのBBCは3月17日、ロシア軍が16日にマリウポリの劇場を空爆したと伝えたが、それを伝えたオリシア・キミアックは広告の専門家だ。 そのマリウポリから脱出した住民はカメラの前で、劇場を破壊したのはアゾフ大隊だと語っている。産婦人科病院への攻撃についても、その前に医師や看護師などスタッフ、そして患者は追い出され、戦闘員が入って要塞化されていたとしている。 病院についてはオンライン新聞の「レンタ・ル」もマリウポリから脱出した別の人物から同じ証言を得ている。その記事が掲載されたのは現地時間で3月8日午前0時1分。マリウポリからの避難民を取材したのだが、その避難民によると、2月28日に制服を着た兵士が問題の産婦人科病院へやってきて、全ての鍵を閉め、病院のスタッフを追い払って銃撃ポイントを作ったとしている。 ロシア軍が攻撃目標を軍事施設に集中しているとする指摘がアメリカ軍の内部から聞こえてくる。例えばニューズウィーク誌によると、軍の情報機関DIAは長距離ミサイルが攻撃しているターゲットは軍事施設だと説明し、住民が狙われているとする話を否定している。 また、ウクライナでもアメリカ政府はシリアと同じように生物化学兵器による「偽旗攻撃」が宣伝されているが、アメリカ国防総省の高官はロシアによる化学兵器や生物兵器の攻撃が差し迫っていることを示す証拠はないと語っている。 バラク・オバマ政権がネオ・ナチを使い、ウクライナでクーデターを成功させ、ビクトル・ヤヌコビッチを倒したのは2014年2月のこと。ヤヌコビッチの支持基盤だった東部や南部の住民はロシア語を話す人が多く、クーデター勢力と対決したり、ロシアに助けを求める人も少なくない。マリウポリもヤヌコビッチの支持基盤で、住民はロシアに親近感を抱いていた。 そのマリウポリへキエフのクーデター勢力は5月9日に戦車部隊を突入させ、銃撃で住民を死傷させている。その際、住民が逃げずに集まり、兵士に抗議、その様子は携帯電話で撮影され、世界に発信されたが、西側では住民を助けようとせず、大多数の人びとは沈黙していた。 その後、マリウポリを拠点にしたのが親衛隊の中核である「アゾフ大隊(またはアゾフ連隊)」。親衛隊はネオ・ナチを中心に編成された内務省の武装組織である。クーデター後に西部地域から移住した人でなければ、住民が恐れているのは親衛隊だろう。 戦争にプロパガンダはつきものだが、アメリカが広告会社を盛んに使い始めたのは1990年代以降だろう。例えば、1990年8月にイラク軍がクウェートへ軍事侵攻した際、アメリカ下院の人権会議でイラク軍の残虐性を涙ながらに少女「ナイラ」は訴えた。 しかし、この少女は駐米クウェート大使の娘。現場にはいなかった。アル・イダー病院でイラク兵が赤ん坊を保育器の中から出して冷たい床に放置、赤ん坊は死亡したという話は真っ赤の嘘だったのである。この「証言」を演出したのがPR会社のヒル・アンド・ノールトンだ。 1999年3月にNATO軍はユーゴスラビアを先制攻撃、破壊と殺戮を展開し、国を解体する。その前にセルビア人を悪魔化するための宣伝が繰り広げられた。その仕事を請け負ったのはルダー・フィン・グローバル・コミュニケーションという広告会社。1991年に「民族浄化」を行ったクロアチア政府がこの会社と契約している。 1999年にはアメリカのメディアにとって重要な出来事があった。アメリカ陸軍第4心理作戦群の隊員が2週間ほどCNNの本部で活動したのである。「産業訓練」というプログラムの一環で、編集に直接はタッチしていなかったというが、心理戦の部隊を受け入れると言うこと自体、報道機関としては許されない行為だ。その後、CNNはプロパガンダ機関色が濃くなる。アメリカ軍の広報担当、トーマス・コリンズ少佐によると、派遣された軍人はCNNの社員と同じように働き、ニュースにも携わったという。(Trouw, 21 February 2000) 2001年9月11日にニューヨークの世界貿易センターとバージニア州アーリントンの国防総省本部庁舎(ペンタゴン)が攻撃された際にも有力メディアは政府の宣伝機関として動き、侵略戦争に合意するよう人々を誘導した。リビアやシリアでも嘘のオンパレードだったことは本ブログでも繰り返し書いてきた。 日本でも広告会社が政治に果たす役割が高まっているようだ。
2022.03.27
アメリカ大統領の息子、ハンター・バイデンは脱税とFARA(外国代理人登録法)違反の容疑で調査の対象になっている。その中でカザフスタンの利権、中国のエネルギー企業、そしてウクライナのエネルギー会社「ブリスマ」も調べられているという。 ニューヨーク・ポスト紙が2020年10月に掲載した記事によると、ウクライナの天然ガス会社ブリスマ・ホールディングス(本社はキプロス)や中国のエネルギー会社CEFCを相手にバイデン家がいかに稼いでいるかを示す電子メールが存在する。その内容をツイッターとフェースブックが検閲でブロックしたことでも話題になった。 ウクライナでは2014年2月、バラク・オバマ政権がネオ・ナチを使ったクーデターでビクトル・ヤヌコビッチ政権を倒した。このクーデターから2カ月後、ハンターはブリスマの重役に就任している。 そのブリスマを2002年に設立したひとりであるミコラ・ズロシェフスキーは2010年からエコロジー資源大臣を務めていた。その彼をウクライナの検察当局はマネー・ロンダリング、脱税、汚職の容疑で2012年に捜査を始めている。その年にズロシェフスキーは大臣を辞めた。 捜査が進めば起訴される可能性があったが、2014年にクーデターでヤヌコビッチ政権は倒されて状況は変化。その年の終わりにズロシェフスキーは国外へ逃げるが、資産はイギリスの当局に凍結された。その凍結が解除されたのは2016年。その翌年に帰国している。 ウクライナではビクトル・ショーキン検事総長の下でブリスマを捜査していた。その対象にはズロシェフスキー、ハンター、ウクライナの大統領だったペトロ・ポロシェンコ、ポーランド大統領だったアレクサンデル・クファシニェフスキーが含まれていたと言われている。そうした中、ショーキンは解任された。 検事総長の解任をアメリカ大使館は2015年終わりから16年初めにかけての数カ月にわたって求めてきたとウクライナ側は説明している。その工作の黒幕はオバマやジョージ・ソロスが関係しているNABU(ウクライナ反汚職局)だという。 ウクライナの捜査で、ハンター・バイデンを含むブルスマの重役4名は少なくとも1650万ドルを会社から受け取ったことが判明する。ブリスマは2014年11月から15年11月までの間にロズモント・セネカ・ボハイへ350万ドルを支払ったともいうが、それだけではない。ジョー・バイデンへロビー活動の報酬としてロズモント・セネカ・ボハイ経由で90万ドルが支払われたというのだ。 ロズモント・セネカ・ボハイと同じ投資ファンドを構成するロズモント・セネカ・パートナーズはハンター・バイデン、クリストファー・ハインツ、デボン・アーチャーが2009年に創設した会社だが、ウクライナにおける生物化学兵器の研究開発の問題で注目されている。 ハインツはジョン・ケリー元国務長官の義理の息子で、アーチャーはエール大学でハインツのクラスメート。バイデンとアーチャーは2014年にブリスマの重役に就任するが、その時、このふたりとビジネス上の関係をハインツは絶ったという。 ロシア軍は2月24日からウクライナに対する攻撃を始めた。航空基地や生物兵器研究開発施設がターゲットになったが、そうした攻撃と並行して重要な文書や証拠を回収し、分析する作業を続けている。 親衛隊が3月に予定していたドンバス(ドネツクやルガンスク)への攻撃計画に関する文書のほか、生物化学兵器の研究開発に関する資料を回収、公表しつつある。アメリカ政府の証拠なき主張を垂れ流す西側の有力メディアはロシア政府が公表する証拠を無視しているが、それほど内容が強烈だということでもある。 アメリカの上院外交委員会では3月8日、ビクトリア・ヌランド国務次官が宣誓の上で証言している。その中でマルコ・ルビオ議員はウクライナにおける生物化学兵器について質問、ヌランドはアメリカの研究施設には兵器になるほど危険な病原体の資料やサンプルが存在、それがロシア側へ渡ることを懸念すると話している。 アメリカの政府や有力メディアはそうした研究の存在自体を否定していたが、ヌランドの証言はこうした主張を否定するもの。そもそも、ウクライナのアメリカ大使館はそうした研究施設が存在、アメリカの国防総省がスポンサーになっていることを以前から認めていた。 ヌランドが委員会で証言する前日、ロシア軍の核生物化学防護部隊を率いているイゴール・キリロフ中将はウクライナの研究施設で回収した文書から同国にはアメリカのDTRA(国防脅威削減局)にコントロールされた研究施設が30カ所あると発表している。 ロシア国防省によると、ウクライナの研究施設で鳥、コウモリ、爬虫類の病原体を扱う予定があり、ロシアやウクライナを含む地域を移動する鳥を利用して病原体を広める研究もしていたという。 新しい情報として、そうした研究所の少なくともひとつはハンター・バイデンとクリストファー・ハインツのロズモント・セネカ・パートナーズから資金が提供されていたとロシア国防省は発表した。 ハンターらのファンドが緊密な関係にある「メタビオタ」は生物学的な脅威の評価したり管理することを仕事にしている会社で、ウイルス学者のネイサン・ウルフによって創設された。国防総省の仕事もしている。2014年から「エコヘルス同盟」のパートナーになっているが、その背後にはUSAIDの(つまりCIAの)「PREDICTプロジェクト」がある。 エコヘルス同盟はアンソニー・ファウチが所長を務めるNIAID(国立アレルギー感染症研究所)から武漢病毒研究所へ資金を提供する仲介役を演じてきたことでも知られている。ウクライナにある研究所の生物化学兵器研究開発システムと武漢のシステムが似ていることから、ウクライナの研究所はCOVID-19にも関係しているという疑いが生じた。 ウルフはクラウス・シュワブが創設したWEF(世界経済フォーラム)の若手リーダーで、ギスレイン・マクスウェルと親しい。ギスレインの父親はミラー・グループを率いていたロバート・マクスウェルで、彼女と親密な関係にあった人物はジェフリー・エプスタイン。 イツァク・シャミールがイスラエルの首相を務めていた当時の特別情報顧問、アリ・ベンメナシェによると、エプスタイン、ギスレイン、ロバートはイスラエル軍の情報機関(アマン)に所属していた。エプスタインやギスレインは隠し撮りした映像を利用して世界の有力者を恫喝していたと言われている。(Zev Shalev, “Blackmailing America,” Narativ, Septemner 26, 2019)
2022.03.27
アメリカのFDA(食品医薬品局)とCDC(疾病予防管理センター)が共同で運用しているVAERS(ワクチン有害事象報告システム)への自主的な報告によると、「COVID-19(2019年-コロナウイルス感染症)ワクチン」による死亡者数は3月18日現在、前の週より418名増えて2万6059名に達した。 死亡者数が2万6000名の節目を突破したわけだが、この数字は実数の1%から10%程度にすぎないと言われ、実際は26万人強から260万人強に達するということになる。 この「ワクチン」は正規の手続きを踏んで承認されたわけではなく、死亡に至らないまでも、深刻な副作用で苦しんでいる人は少なくない。 早い段階から帯状疱疹や⾎栓性⾎⼩板減少性紫斑病(TTP)の発症、あるいは体の麻痺が指摘された。血栓で脳梗塞や心筋梗塞になるケースもあるが、微小血栓によって脳、脊髄、心臓、肺などがダメージを受けているとも言われている。接種が始まる前から懸念されていたADE(抗体依存性感染増強)も実際に起こっているようだ。2021年4月にはイスラエルで年少者に心筋炎や心膜炎を引き起こすと報告され、その後、後発国でも同じことが起こっている。 そうした高リスクで本来なら認められないような医薬品を人びとに押し付ける根拠とされているのが「パンデミック」。WHO(世界保健機関)が2020年3月11日に宣言したのだが、その前、1カ月前に国際ウイルス分類委員会は病気の原因とされるウイルスにSARS-CoV-2(重症急性呼吸器症候群コロナウイルス2)と命名している。重症肺炎を引き起こすというイメージが生み出され、「黒死病」のように多くに人びとが死んでいくと思った人も少なくないだろう。 そのイメージを広めるため、CDC(疾病予防管理センター)は2020年4月、死亡した患者の症状がCOVID-19によるものだと考えて矛盾しないなら、死因をCOVID-19として良いとする通達を出している。 この通達をアメリカのスコット・ジャンセン上院議員は2020年4月8日にFoxニュースの番組で指摘、病院では死人が出ると検査をしないまま、死亡診断書にCOVID-19と書き込んでいると告発した。COVID-19で死んだことにすると、病院が受け取れる金額が多くなるからだという。 当初、死亡者の大半は心臓病、高血圧、脳卒中、糖尿病、悪性腫瘍、肺疾患、肝臓や腎臓の病気などを抱える高齢者だった。COVID-19で死亡したとされる人の平均はどの国でも80歳に近い。何が本当の死因なのか明確でない状態だ。CDCでさえ2020年8月、COVID-19だけが死因だと言える人は全体の6%にすぎないと認めているが、さらに1桁下だとする国もあった。 当然、人びとはCOVID-19で黒死病のようなことが起こっていないことに気づく。そこで宣伝され始めたのが「無症状感染者」である。感染者の8割とも9割は無症状だとされ、その無症状感染者は病気を撒き散らして他人を病気するというストーリーが語られ始めた。 そこで利用されたのがPCR(ポリメラーゼ連鎖反応)検査。特定の遺伝子型を試験管の中で増幅する技術で、ウイルスそのものを見つけることはできない。 増幅の回数を「Ct値」と呼ぶが、その値を増やせば、つまり増幅回数を増やせば医学的に意味のないほど微量の遺伝子が存在しても陽性になるが、偽陽性の確率も増えていく。偽陽性を排除するためにはCt値を17以下にしなければならず、35を超すと偽陽性の比率は97%になるとも報告されている。 PCRを利用した診断手順はドイツのウイルス学者、クリスチャン・ドロステンらが昨年1月に発表したもので、WHOはすぐにその手順の採用を決めて広まったが、程なくして、その手順に科学技術的な間違いがあるとする指摘が出されるようになる。2021年1月20日にはWHOでさえ、PCR検査は診断の補助手段にすぎないと言うようになる。 CDCは「2019年新型コロナウイルス(2019-nCoV)リアルタイムRT-PCR診断パネル」を利用してきたが、この診断パネルのEUA(緊急使用許可)を2021年12月31日に取り下げると同年7月21日に発表している。つまり、すでに取り下げられた。そして今年3月15日、「COVID-19による死亡者数」を「訂正」した。それまで85万人とされていたのだが、それを78万人に減らしたのだ。子どもの死亡者は24%減少したという。
2022.03.26
ロシアの「十月革命」でソ連が誕生すると、アメリカの国務省はファシストの巣窟と化した。そうした外交官の中にジョージ・ケナン、ジョセフ・グルー、ジョン・フォスター・ダレス、アレン・ダレスも含まれている。 ケナンは人口の6・3%を占めるにすぎない人びとが世界の富の約半分を握っている情況を維持するための仕組みが必要だと考えていた人物で、フォーリン・アフェアーズ誌の1947年7月号に匿名で発表した論文でソ連を封じ込めるべきだとする議論を展開した。 第2次世界大戦後、アメリカでは戦時情報機関OSSは廃止され、CIAが創設されるが、当初、この新機関の活動は情報の収集と分析に限定され、破壊活動は許されなかった。 そこでケナンは1948年6月に破壊活動を目的とする機関の創設を提言、ジョージ・マーシャル国務長官や後任長官のディーン・アチソンがそれを支持し、NSD10/2という文書が作成された。そして創設されたのがOSP(特殊計画局)。名称はすぐにOPC(政策調整局)へ変更された。資金やスタッフはCIAから出ていたものの、名目上はケナンが創設した国務省のPPS(政策企画本部)が管理していた。1952年8月にCIAの秘密工作部門「計画局」が創設されたが、その中核になったのがOPCだ。(Stephen Dorril, “MI6”, Fourth Estate, 2000) OSS時代から破壊活動を統括した人物がアレン・ダレス。OPCの初代局長に就任したフランク・ウィズナーはダレスの側近のひとり。ダレス自身、1951年1月に副長官としてCIAへ乗り込み、計画局が創設されたのである。 すでにドイツの敗北が決定的だった1944年、イギリスの特殊部隊SOEとOSSの1部門だったSOはゲリラ戦部隊「ジェドバラ」をフランスで編成した。大戦中、西部戦線でドイツ軍と戦っていたのは事実上、市民のレジスタンスだけだが、その主力がコミュニストだったことから、これに対抗するために作り上げたのである。この部隊の内部には93チームが存在、そのひとつを指揮していた人物が後のCIA長官、ウィリアム・コルビーだ。このジェドバラ人脈がOPCやアメリカ軍の特殊部隊につながる。この人脈を基盤にし、ヨーロッパにも秘密部隊のネットワークが作られ、後に「NATOの秘密部隊」と呼ばれるようになった。 このように国務省、CIA、特殊部隊は根は同じで、共同して動くことが少なくない。その典型例がベトナム戦争における「フェニックス・プログラム」だ。この秘密工作は正規軍の指揮系統になく、CIAの指揮下にあった。 1967年6月にICEXとして始動、NSC(国家安全保障会議)のロバート・コマーが指揮することになった。この人選はエバン・パーカーによるものだが、パーカーはOSS出身で、ジェドバラに参加していた。ICEXはすぐに「フェニックス・プログラム」へ名称が変更になった。 この秘密工作の中核メンバーはアメリカ軍の特殊部隊から引き抜かれたが、実働チームはCIAが組織したPRU(地域偵察部隊)という傭兵部隊。海軍の特殊部隊SEALsの隊員だったマイク・ビーモンによると、PRUを構成していたメンバーは凶悪な犯罪で投獄されていた囚人たちが中心で、フェニックスは「ベトコンの村システムの基盤を崩壊させるため、注意深く計画されたプログラム」だという。 1968年3月にソンミ村のミ・ライ地区とミ・ケ地区で引き起こされた農民虐殺事件、いわゆる「ソンミ事件」はこのプログラムの一部だとされている。 この虐殺事件はアメリカ陸軍第23歩兵師団第11軽歩兵旅団バーカー機動部隊第20歩兵連隊第1大隊チャーリー中隊に所属するウィリアム・カリー大尉の率いる第1小隊によって引き起こされた。犠牲者の数はアメリカ軍によるとミ・ライ地区だけで347人、ベトナム側の主張ではミ・ライ地区とミ・ケ地区を合わせて504人だという。 この虐殺が表面化した理由は、現場の上空にさしかかったアメリカ軍のヘリコプターに乗っていた兵士が止めたからだ。ヒュー・トンプソンという乗組員がヘリコプターから地上へ降りたが、その際、彼は同僚に対し、カリーの部隊が住民を傷つけるようなことがあったら、銃撃するように命令していたと言われている。(Oliver Stone & Peter Kuznick, “The Untold History of the United States,” Gallery Books, 2012) こうした虐殺を従軍記者や従軍カメラマンは知っていたはずだが、報道していない。帰国後、議員に告発した兵士もいたが、政治家は動かない。政治家のスタッフをしていたジェフリー・コーワンからこの話を聞いた調査ジャーナリストのシーモア・ハーシュが取材、記事にしたものの、ライフやルックといった有名な雑誌からは掲載を拒否され、ワシントンを拠点とするディスパッチ・ニュース・サービスという小さな通信社を通じて伝えている。1969年11月のことだ。コーワンは当時、ユージン・マッカーシー上院議員の選挙キャンペーンに参加していたが、ハーシュもマッカーシー陣営に加わっていた。 報道を受け、陸軍参謀長に就任していたウィリアム・ウエストモーランドは事件の調査をウィリアム・ピアーズ将軍に命令する。ピアーズは第2次世界大戦中、OSSに所属していた人物。1950年代初頭にはCIAの台湾支局長を務め、その後もCIAとの関係は続いていた。ピアーズの任務は事件の真相を隠蔽することにあった可能性が高い。16人が告発されたが、裁判を受けたのは4人、そして有罪判決を受けたのはカリー大尉だけ。そのカリーもすぐに減刑されている。 ソンミ村での虐殺が告発されていた1968年7月、コリン・パウエル少佐(当時)がベトナム入りをしている。ジョージ・W・ブッシュ政権で国務長官に就任したあのパウエルだ。配属されたのはカリー大尉と同じ第23歩兵師団。彼自身、事件後に現場を訪れて衝撃を受けたと2004年5月4日に放送されたCNNのラリー・キング・ライブで語っている。 ベトナム戦争でアメリカはふたつの戦闘集団を送り込んでいた。ひとつは正規軍、もうひとつはCIAと特殊部隊だ。この構図は今でも続いているだろう。 ニューヨークの世界貿易センターとバージニア州アーリントンの国防総省本部庁舎(ペンタゴン)が攻撃されてから3カ月後の2001年12月、ドナルド・ラムズフェルド国防長官は統合参謀本部の作戦部長だったグレゴリー・ニューボルド将軍をオフィスに呼びつけ、イラク侵攻作戦について報告させた。 ニューボルドによると、その場にいたのはラムズフェルドのほかポール・ウォルフォウィッツ国防副長官、リチャード・マイアーズ統合参謀本部議長、ピータ・ペイス副議長、そして後にCIA長官となるウィリアム・ハインズ。(Andrew Cockburn, “Rumsfeld”, Scribner, 2007) ウェズリー・クラーク元欧州連合軍(現在のNATO作戦連合軍)最高司令官によると、世界貿易センターとペンタゴンが攻撃されてから10日ほどのち、統合参謀本部で攻撃予定国のリストが存在することを知らされたという。まずイラク、ついでシリア、レバノン、リビア、ソマリア、スーダン、そして最後にイランの順だったという。(3月、10月) この計画に正当性がなく、政府が偽情報を流していることを知っていた軍の幹部は背広組と対立、アメリカの対イラク軍事作戦の内容がリークされている。 そこで、ラムズフェルド長官は2002年7月12日付けのペンタゴン幹部宛てメモでリークを止めるように命令しているが、その内容までがロサンゼルス・タイムズ紙に掲載されてしまった。 アメリカがイラク侵攻作戦を開始する前、エリック・シンセキ陸軍参謀総長は議会でラムズフェルドの戦略を批判した。グレグ・ニューボルド海兵隊中将は2002年10月に統合参謀本部の作戦部長を辞し、2006年4月、タイム誌に「イラクが間違いだった理由」というタイトルの文章を書いてブッシュ政権を批判している。(Greg Newbold, “Why Iraq Was a Mistake”, TIME, April 9, 2006) その記事が出る直前にアンソニー・ジニー元中央軍司令官もテレビのインタビューで国防長官を批判、同年3月にはポール・イートン少将、4月に入るとジョン・バチステ少将、チャールズ・スワンナック少将、ジョン・リッグス少将もラムズフェルド長官を批判している。 バラク・オバマ政権は2011年春、ムスリム同胞団やサラフィ主義者(ワッハーブ派、タクフィール主義者)を使い、リビアとシリアに対する侵略戦争を始めた。その年の10月にカダフィ体制が崩壊、カダフィ自身が惨殺されるが、その時点でNATO軍が手を組んでいた地上部隊の主力LIFGがアル・カイダ系だということが発覚した。 カダフィ体制を破壊した後、オバマ政権は戦闘員と武器をシリアへ集中させるのだが、その戦闘員がアル・カイダ系だということが知られている。そこでオバマ政権は「穏健派」という概念を持ち出し、「良いアル・カイダ」と「悪いアル・カイダ」という話を作り出す。 アメリカ政府は「良いアル・カイダ」を支援しているのだというわけだが、アメリカ軍の情報機関DIA(国防情報局)は2012年8月、反シリア政府軍の主力はサラフィ主義者やムスリム同胞団だと指摘、シリアで戦っているアル・ヌスラの実態はAQIと同じだと報告している。 バラク・オバマ大統領が言っていたような穏健派は存在しないということだが、その存在しない勢力へ提供された武器は「過激派」へ流れ、シリアの東部(ハサカやデリゾール)にサラフィ主義者の支配地域を作ることになるとも警告していた。 この警告は2014年にダーイッシュ(IS、ISIS、ISIL、イスラム国とも表記)という形になって現れる。1月にイラクのファルージャで「イスラム首長国」の建国が宣言され、その勢力は6月にモスルを制圧。その際にトヨタ製小型トラック、ハイラックスの新車を連ねたパレードを行い、その様子を撮影した写真が世界に伝えられた。その年の8月、フリンはDIA局長のポストから外され、退役させられた。 偵察衛星、無人機、通信傍受、人間による情報活動などでアメリカの軍や情報機関は武装集団の動きを知っていたはずで、そうしたパレードは格好の攻撃目標だが、アメリカ軍は動いていない。 2011年10月から15年9月まで統合参謀本部の議長を務めたマーチン・デンプシー陸軍大将もアル・カイダ系武装集団やそこから派生したダーイッシュを危険だと考えていたが、オバマ大統領はデンプシー議長の警告に耳を貸さない。やむなくアメリカ軍は2013年秋からアル・カイダ系武装集団やダーイッシュに関する情報を独断でシリア政府へ伝え始めた。 オバマ政権はシリア政府軍が住民を虐殺しているという偽情報を流し始める。バシャール・アル・アサド体制を悪魔化し、リビアのようにアメリカ/NATO軍が空爆を始めようとしたのだが、嘘が発覚して失敗していた。 DIAがオバマ政権の政策が危険だとする報告書をホワイトハウスに提出した2012年8月、シリアに対する直接的な直接的な軍事介入のレッド・ラインは生物化学兵器の使用だアメリカ政府は宣言した。12月にはヒラリー・クリントン国務長官がアサド大統領は化学兵器を使う可能性があると語る。 そして2013年1月29日付けのデイリー・メール紙には、オバマ政権がシリアで化学兵器を使ってその責任をアサド政権に押しつける作戦をオバマ大統領が許可したという記述がイギリスの軍事関連企業ブリタム防衛の社内電子メールに書かれているとする記事が載った。(同紙のサイトからこの記事はすぐに削除された) そして2013年3月にアレッポで爆発があり、26名が死亡したのだが、そのときに化学兵器が使われたという話が流れる。シリア政府は侵略軍であるジハード傭兵が使用したとして国際的な調査を要請するが、イギリス、フランス、イスラエル、そしてアメリカは政府軍が使ったという宣伝を展開した。 しかし、攻撃されたのがシリア政府軍の検問所であり、死亡したのはシリア軍の兵士だということをイスラエルのハーレツ紙が指摘、国連独立調査委員会メンバーのカーラ・デル・ポンテも反政府軍が化学兵器を使用した疑いは濃厚だと発言している。 オバマ大統領はシリアの体制転覆に積極的だったが、チャック・ヘーゲル国防長官やマーチン・デンプシー統合参謀本部議長は上院軍事委員会で直接的な軍事介入に慎重な姿勢を示している。議会の好戦的な要求をこのふたりが抑えていたのだ。 しかし、ヘーゲルは2015年2月に解任されてアシュトン・カーターに交代、デンプシーは同年9月に再任を拒否され、ジョセフ・ダンフォードが後任になった。戦争に慎重な人物から好戦的な人物へ入れ替えたのである。 デンプシーは2015年9月25日に議長から退いたのだが、その5日後にロシア軍がシリア政府の要請で軍事介入。その後、ロシア軍は兵器と戦闘能力の優秀さを世界へ見せつけることになる。この時、アメリカを中心とする支配システムは揺らぎ始めた。
2022.03.26
ロシア軍がウクライナに対する攻撃を始めたのは2月24日のこと。それ以来、西側の有力メディアはウクライナの戦況について、「勇敢な市民が邪悪な侵略軍に立ち向かい、勝利する」というダビデとゴリアテ的なハリウッド風の話を流している。ウクライナにも携帯電話は普及しているので、その話が事実なら、そうしたことを示す映像が流れてきそうだが、そうしたことはない。 2014年2月にバラク・オバマ政権のネオコンはネオ・ナチを使い、ウクライナでクーデターを成功させた。その時にネオ・ナチのメンバーがチェーン、ナイフ、棍棒を手に石や火炎瓶を投げ、トラクターやトラックを持ち出し、ピストルやライフルを撃っている様子を撮影した映像がインターネット上に流れていた。 クーデターの中心になったユーロマイダンでは2月中旬から無差別の狙撃が始まり、抗議活動の参加者も警官隊も狙われた。西側ではこの狙撃はヤヌコビッチ政権が実行したと宣伝されたが、2月25日にキエフ入りして事態を調べたエストニアのウルマス・パエト外相はその翌日、逆のことを報告している。 2017年11月にはイタリアのドキュメント番組の中で3人のジョージア人が自分たちはユーロマイダンで狙撃したチームに参加していたと証言している。 この3人は治安部隊のメンバーとしてジョージアから送り込まれたのだが、警官隊と抗議活動参加者、双方を手当たり次第に撃つよう命じられたとしている。(その1やその2) この3人も狙撃の指揮者はクーデター派の幹部だったアンドレイ・パルビーだと語っているが、パルビーが狙撃手と見られる人びとが建物から出てくる様子を撮影した写真も存在する。 2014年5月2日にはオデッサで反クーデター派の死因を虐殺する出来事もあった。その日、オデッサではサッカーの試合が予定されていて、フーリガンを含むファンが列車で到着、街に出るのだが、その一団をネオ・ナチの中核組織である「右派セクター」が挑発、ファンの集団を反クーデター派の住民が2月から活動の拠点にしていた広場へと誘導していく。 一方、ネオ・ナチのメンバーは広場に集まっていた住民に暴漢が迫っていると伝え、労働組合会館へ避難するように説得、女性や子どもを中心に住民は建物の中へ逃げ込んだ。その建物の中でネオ・ナチのグループは住民を虐殺、上の階へ逃げた人びとを焼き殺すため、放火した。屋上へ逃げられないようドアはロックされ、外へ逃げた住民は撲殺されたようだ。この時、会館の外で撮影された少なからぬ映像が存在、内部の無残な様子も撮影されている。 この時に50名近くの住民が殺されたと伝えられているが、これは地上階で確認された死体の数にすぎない。地下室で惨殺された人を加えると120名から130名になると現地では言われていた。 5月9日にはクーデター軍がマリウポリの市内へ戦車を突入させ、住民を殺しているが、その様子も携帯電話で撮影され、世界へ流された。デレク・チョレット米国防次官補がキエフ入りした6月2日にクーデター政権はルガンスクの住宅街を空爆、住民を殺しているが、その様子を撮影した映像もインターネット上にアップロードされていた。OSCE(欧州安保協力機構)も空爆があったことを認めている。 ハリウッド風の物語を流しているのは有力メディア、国務省、CIAだが、ここにきてアメリカ軍の内部からそうした物語を否定する情報が伝えられている。例えば、ニューズウィーク誌によると、軍の情報機関DIAは長距離ミサイルが攻撃しているターゲットは軍事施設だと説明、住民が狙われているとする話を否定。ロシア軍の出撃は1400回、発射されたミサイルは1000機近くだが、これは2003年にアメリカ主導軍がイラクを先制攻撃した時の初日分より少なく、死亡者数や破壊状況もロシア軍の能力からすると低いという。 また、ウクライナでもアメリカ政府はシリアと同じように生物化学兵器による「偽旗攻撃」が宣伝されているが、アメリカ国防総省の高官はロシアによる化学兵器や生物兵器の攻撃が差し迫っていることを示す証拠はないと語っている。 シリアの場合、政府はその前に化学兵器を全て廃棄していた。化学兵器による攻撃らしきものがあったが、シリア政府軍が行ったのでないことは各国の専門家やジャーナリストが確認、アメリカの政府や有力メディアが偽情報を流していたことが判明している。 ウクライナでロシア軍が攻撃した施設の中にはアメリカ国防総省の生物化学兵器の研究開発施設が含まれていた。攻撃の前からアメリカ大使館はそうした研究施設が存在していることを認め、ビクトリア・ヌランド国務次官は3月8日に上院外交委員会でウクライナにおける生物化学兵器について質問され、そうした研究施設で兵器になるほど危険な病原体の資料やサンプルが保管されていたことを認めている。 ヌランドが委員会で証言する前日、ロシア軍の核生物化学防護部隊を率いているイゴール・キリロフ中将はウクライナの研究施設で回収した文書から同国にはアメリカのDTRA(国防脅威削減局)にコントロールされた研究施設が30カ所あると発表している。 ロシア国防省によると、ウクライナの研究施設で鳥、コウモリ、爬虫類の病原体を扱う予定があり、ロシアやウクライナを含む地域を移動する鳥を利用して病原体を広める研究もしていたという。またロシア外務省のマリア・ザハロワ報道官は、ウクライナの研究施設に保管されていたサンプルが証拠隠滅のために破壊されていると繰り返している。
2022.03.25
ウクライナの戦乱は1990年代にアメリカ支配層が始めた破壊劇の一幕にすぎない。その破壊劇の幕を上げたマデリーン・オルブライトが3月23日に癌で死亡したという。 オルブライトはチェコスロバキアの生まれで、1948年に家族と一緒にアメリカへ移住、1957年にアメリカの市民権を得ている。彼女の父親、ジョセフ・コーベルはチェコスロバキアの元外交官。亡命が認められ、デンバー大学で教え始めた。その時の教え子の中にコンドリーサ・ライスがいる。 オルブライトはウェルズリー大学を卒業した後、1975年にコロンビア大学で博士号をとった。コロンビア大学で彼女に教えていたズビグネフ・ブレジンスキーは1977年にジミー・カーター大統領の国家安全保障補佐官に就任。オルブライトはブレジンスキーの下、国家安全保障会議で働き始める。 カーターが1980年の大統領選挙で敗れ、オルブライトはスミソニアン学術協会のウッドロー・ウィルソン国際センターへ移動、ジャーナリストとしてポーランドの「連帯」について書き始めた。ポーランドへも旅行し、レフ・ワレサにもインタビューしている。1982年にはジョージタウン大学で東ヨーロッパの研究を始めた。 カーターを破って大統領に就任したロナルド・レーガンは1982年6月にローマ教皇庁の都市間でヨハネ・パウロ2世とふたりで会談する。その主なテーマはポーランドや東ヨーロッパで、ソ連の解体を早める秘密キャンペーンを実行することで合意した。(Carl Bernstein, “The Holy Alliance,” TIME, Feb. 24, 1992) ビル・クリントンが大統領になるとオルブライトは国連大使に就任、1997年には国務長官になった。その前年、経済制裁で死に至らしめられたイラクの子ども約50万人について意見を求められ、アメリカが目指す目的のためには仕方がないとオルブライトは言い放った。 1998年4月にアメリカ上院はNATO拡大を承認、その年の秋にオルブライトはユーゴスラビア空爆を支持すると表明、1999年3月にNATOはユーゴスラビアを先制攻撃した。その際、アメリカ/NATO軍はスロボダン・ミロシェヴィッチ大統領の自宅を破壊しただけでなく、中国大使館も爆撃している。 バラク・オバマ政権は2010年に「アラブの春」で目障りな体制を潰し始め、11年春にはリビアとシリアに手を付ける。その翌年の5月にシカゴでNATOのサミット会議が開かれた。 それと並行する形で人権擁護を掲げるアムネスティ・インターナショナルは「アフガン女性の権利に関する陰のサミット」を開催。その際、街頭に張られたアムネスティのポスターには、「NATO:前進し続けろ」と書かれていた。女性の権利という名目で住民の殺戮を容認している。 「陰のサミット」にはオルブライトがパネル・ディスカッションに呼ばれていた。オルブライトの師、ブレジンスキーはアフガニスタンで戦争を仕掛けた人物だ。アフガニスタンに対する攻撃で多くの人びとが殺されたが、言うまでもなく、その中には女性も含まれている。 ちなみに、オルブライトが親しくしていたロイス・フィットはブルッキングス研究所の研究員だった人物で、スーザン・ライスの母親。そうしたこともあり、1997年にオルブライトはライスを国務次官補に据えている。
2022.03.25
東京琉球館で4月9日午後6時から「ウクライナの戦争とCOVID-19」というテーマで話します。4月2日午前9時から予約受付けとのことですので興味のある方は事前に下記まで連絡してください。東京琉球館住所:東京都豊島区駒込2-17-8電話:03-5974-1333http://dotouch.cocolog-nifty.com/ 歴史は因果の連鎖であり、ひとつの出来事を理解するためにはその鎖をさかのぼる必要がありますが、その作業を続けていくと切りがありません。そこで節目を探し、そこから始めることになるのです。 現在のウクライナ情勢は2014年2月にバラク・オバマ政権がネオ・ナチを使って行ったクーデターによって作り出されました。ウクライナ東部のドンバス(ドネツクやルガンスク)における戦闘もその時から始まっています。 クーデターの3カ月後、ヘンリー・キッシンジャーはワシントン・ポスト紙に投稿した論評でロシアの歴史は9世紀から13世紀まで存在したゆるい連合体「キエフ公国」から始まると指摘、ロシアとウクライナの関係が特殊だと説明します。現在の戦略的の意味にとどまらず、そうした歴史を考える必要があると言うことです。 2015年になると「次期アメリカ大統領」はヒラリー・クリントンで内定したという噂が流れました。2015年6月にオーストリアで開かれたビルダーバーグ・グループの会合へジム・メッシナというヒラリー・クリントンの旧友が出席していたことも根拠のひとつでした。 ヒラリーはオバマの政策を引き継ぎ、ウクライナを利用してロシアと対決する道を進んで戦争に近づくと見られていました。そしてキッシンジャーが動きます。2016年2月10日に彼はロシアを訪問してプーチン大統領と会談、米露の関係修復に動きます。そして大統領候補として浮上したのがドナルド・トランプでした。このトランプの勝利で最悪の事態は避けられたと言えるでしょうが、ネオコンの圧力を跳ね返す能力はありませんでした。 2014年のクーデターは1990年代にネオコンが始めた旧ソ連圏制圧作戦の一環であり、唐突にクーデターが引き起こされたわけではありません。NATOを東へ拡大させ、ユーゴスラビアを先制攻撃して解体したのですが、これは時間をかけた「バルバロッサ作戦」のように見えます。 1991年12月にソ連が消滅した後、アメリカの有力メディアは旧ソ連圏を破壊するべきだとするプロパガンダを展開しますが、当初、そうした圧力にビル・クリントン政権は抵抗していました。 しかし、国務長官がウォーレン・クリストファーからマデリーン・オルブライトへ1997年1月に交代すると状況は一変、1998年4月にアメリカ上院はNATO拡大を承認します。そうした動きを懸念したひとりが「封じ込め政策」で有名なジョージ・ケナンでした。NATOの拡大がロシアを新たな冷戦に向かわせると彼は警告しています。 しかし、事態はケナンが懸念した方向へ動いていきます。1999年3月にNATOはユーゴスラビアを先制攻撃、スロボダン・ミロシェヴィッチ大統領の自宅を破壊しただけでなく、中国大使館も爆撃しました。そして2001年9月11日にニューヨークの世界貿易センターとバージニア州アーリントンの国防総省本部庁舎(ペンタゴン)が攻撃され、人びとがショックで呆然としている間にアメリカ国内ではファシズム化が進行、国外では侵略戦争が始まります。ネオコンが実権を握りました。その後アメリカが行った侵略戦争は本ブログで繰り返し書いて通りです。そして2014年2月のクーデター。 キッシンジャーのウクライナ情勢に関する論評が発表された翌月、ウラジミル・プーチン大統領の側近として知られているセルゲイ・グラジエフは、強大な軍事力を持つ勢力がロシアとの戦争を狙っていると指摘しました。まずドンバス、次にクリミアを奪いにくると彼は主張、ビクトリア・ヌランドがオデッサでウクライナのエージェントがロシアと戦争することを望んでいると語ったともしています。ロシアに残された選択は「戦争か不名誉か」だと彼は考えていました。 こうした背景を理解しなければ、なぜプーチン大統領が2月21日にドンバスの独立を承認、2月24日にロシア軍はウクライナに対する攻撃を始めたのかが理解できないでしょう。ネオコンやその手下である欧米エリートはロシアが「不名誉」を選ぶと考えたのかもしれませんが、そうならないとケナンやキッシンジャーは懸念していました。 ロシア軍は巡航ミサイル「カリブル」で航空基地やアメリカ国防総省の生物兵器研究開発施設が破壊されたと言われています。その直前、2月17日頃からウクライナ東部ではウクライナ側からドンバスへの攻撃が激しくなり、18日、19日とエスカレートしていました。 作戦が始まるとロシア軍は文書の回収に力を入れ、3月に予定されていたドンバスに対する攻撃計画に関する証拠や生物兵器の研究開発に関する証拠を発見したと発表、その文書も公開しています。 そうした文書によると、ボロディミル・ゼレンスキー大統領が1月18日に出した指示に基づいて作戦を作成、ニコライ・バラン上級大将が1月22日に指令書へ署名したということです。そしてドンバス攻撃の準備が始まり、2月中には準備を終えました。作戦の開始時期は3月になっていたようです。 また、ロシア軍の核生物化学防護部隊を率いているイゴール・キリロフ中将は3月7日、ウクライナの研究施設で回収した文書から同国にはアメリカのDTRA(国防脅威削減局)にコントロールされた研究施設が30カ所あると語っていますが、そうした施設の一部は存在をアメリカ大使館も認めていました。 ロシア国防省によると、ウクライナの研究施設で鳥、コウモリ、爬虫類の病原体を扱う予定があり、ロシアやウクライナを含む地域を移動する鳥を利用して病原体を広める研究もしていたと言います。 ウクライナの研究施設に保管されていたサンプルが証拠隠滅のために破壊されているとロシア外務省のマリア・ザハロワ報道官は繰り返していますが、ロイターによると、ロシア軍がウクライナへの軍事作戦を始めた直後にWHO(世界保健機関)はウクライナの保健省に対し、危険性の高い病原体を破壊するように強く勧めたと伝えています。 ロシア軍に文書を回収されたこともあると思いますが、3月8日にはビクトリア・ヌランド国務次官が上院外交委員会でウクライナにおける生物化学兵器について質問され、兵器として使用できる危険な病原体を「研究」する施設が存在することを認めました。 3月18日開かれた国連安全保障理事会の緊急会合では、ロシア軍がウクライナで回収した文書に基づき、アメリカの生物化学兵器の研究開発について議論されました。 アメリカはロシアが提出した情報に「偽情報」というタグをつけ、その主張にイギリス、アイルランド、フランス、アルバニア、ノルウェーが同調しましたが、中国、ブラジル、メキシコ、インド、ガーナ、ケニヤ、ガボンはロシアが提供した情報を重要だと認識、調査するべきだとしています。 3月13日にポーランドとの国境から25キロメートルほどの場所にあるヤボリウ基地をロシア軍は巡航ミサイル「カリブル」で攻撃しました。約1000キロメートルを飛行、ターゲットを正確に捉えています。ここはNATOの兵站基地で、ウクライナ軍や傭兵1000名ほどが携帯式対戦車ミサイル「ジャベリン」などを使った訓練を受けてると伝えられています。 3月18日にロシア軍は超音速(マッハ10)ミサイル「Kh-47M2キンジャール」でウクライナ西部にあるデリャテンの地下武器庫を、また沿岸防衛システムの「K-300Pバスチオン-P」でオデッサ地域の無線監視センターをそれぞれ破壊したとも発表しました。 アメリカの国防総省はロシアが超音速ミサイルを保有していると思えないとしていますが、実際にロシア軍が保有、使用したとするなら、アメリカ軍の装備が全て時代遅れになってしまうと言われています。 外交問題評議会(CFR)が発行している定期刊行物「フォーリン・アフェアーズ」の2006年3/4月号に掲載されたキール・リーバーとダリル・プレスの論文では、アメリカ軍の先制第1撃でロシアと中国の長距離核兵器を破壊できるようになる日は近いとされていましたが、ロシアが超音速ミサイルを持ったなら、アメリカの長距離核兵器は全て破壊されてしまう可能性があります。 現在、アメリカはロシアに対して経済戦争を仕掛けていますが、ロシアは外国への依存度が低く、アメリカの「制裁」は西側、特にEUへ大きなダメージを与えると見られています。アメリカはロシアの主要金融機関7行をSWIFT(国際銀行間通信協会)から排除しましたが、ロシアはすでにこうした事態を想定し、SPFS(金融メッセージ転送システム)を稼働させています。 ジョー・バイデン政権の経済制裁は抜け穴だらけと言われていますが、本当にロシアや中国と経済戦争を始めたなら、アメリカ、EU、そして日本は深刻な事態になります。「自爆攻撃」と揶揄されるのはそのためです。 3月21日にバイデン大統領は世界が「新秩序」へ移行しつつあり、アメリカはその新秩序を先導すると語りました。新しい時代に入ることは間違いないでしょうが、バイデンが言うようにはならない可能性が高いでしょう。 こうしたことについて考えてみたいと思います。
2022.03.25
ロシアの気候問題特使を務めていたアナトリー・チュバイスが辞任、国外へ出たという。イギリスやアメリカの金融資本によるロシア経済支配の中核人物がロシアを去ったと言うことだ。 チュバイスは1992年11月にボリス・エリツィンが経済政策の中心に据えた人物で、エリツィンの娘であるタチアナの利権仲間。HIID(国際開発ハーバード研究所)なる研究所と連携していたが、ここはCIAの工作資金を流していたUSAIDからカネを得ていた。(Natylie Baldwin & Kermit Heartsong, “Ukraine,” Next Revelation Press, 2015) エリツィン時代にチュバイスはエゴール・ガイダルと同じようにラリー・サマーズの命令で動いていた。サマーズは1983年に28歳でハーバード大学の教授になった人物。世界銀行の主任エコノミスト、財務次官、財務副長官、財務長官、ハーバード大学の学長を歴任した。ロシア工作のためにサマーズが雇ったデイビッド・リプトンとジョナサン・ヘイはCIAのエージェントだ。(F. William Engdahl, “Manifest Destiny,” mine.Books, 2018) 先日、ウラジミル・プーチン大統領がエルビラ・ナビウリナ中央銀行総裁の続投を決めた際には落胆の声も聞かれたが、チュバイスの辞任はロシア経済を自立させるためにプラスだろう。今後、プーチンのブレーンであるセルゲイ・グラジエフが注目されることになりそうだ。 2014年2月にバラク・オバマ政権はネオ・ナチを使ったクーデターでウクライナのビクトル・ヤヌコビッチ大統領を排除した。その際、東部のドンバスや南部のクリミアの制圧に失敗、オバマ大統領は退任の直前までロシアとの関係を悪化させることに力を注いた。その時の副大統領がジョー・バイデンだ。 オバマ政権のジョン・ケリー国務長官は査証の発給禁止、資産凍結、貿易面での制裁などを検討する考えを示したが、その直後にグラジエフは「個人的な意見」として、経済制裁が発動された場合、貿易の決済に使う通貨をドルから別のものに変更、「西側」の金融機関から受けている融資の返済を拒否する可能性を示していた。SWIFTに替わるSPFSをすでに稼働、23日にプーチン大統領は非友好国へ天然ガスを売る場合、ルーブル決済に限定させるように指示したと報道されている。 グラジエフは2014年6月、ナチスに焚き付けられた強大な軍事力がロシアとの戦争を狙っていると指摘し、まずドンバス、次にクリミアを奪いにくると主張している。ビクトリア・ヌランドがオデッサでウクライナのエージェントがロシアと戦争することを望んでいると語ったともしている。クリミアへは約50万人が攻め込んでくると想定していた。実際、アメリカ/NATOはウクライナで戦争の準備を進め、ロシアに対する恫喝、挑発を繰り返してきた。ロシアの残された選択は「戦争か不名誉か」だともしている。 こうした展開を予想していたであろうプーチン大統領は2018年3月1日、連邦議会における演説でロシアやその友好国に対する攻撃には反撃すると宣言、同時に保有する最新兵器を明らかにした。核戦争のリスクを減らすため、アメリカとロシアの戦争になるとアメリカの本土も攻撃されると警告したわけだ。
2022.03.24
西側の有力メディアはウクライナの戦況について、「勇敢な市民が邪悪な侵略軍に立ち向かい、勝利する」というダビデとゴリアテ的なハリウッド風の話を流しているが、ネオ・ナチの親衛隊は敗走、ロシア軍は作戦通りに支配地を広げているようだ。 ロシア軍の支配地域が拡大するにつれ、ネオ・ナチへの恐怖から解放された人びとが口を開き始めた。マリウポリから脱出できた住民のひとりはカメラの前で市内の状況を説明している。 市街戦で住民が死亡することを避けるため、ロシア軍はマリウポリからザポリージャをつなぐ市民の脱出ルートを設定、そのプランをICRC(赤十字国際委員会)へ通知している。3月5日午前11時から脱出が始まる予定だったが、ウクライナ兵に阻止された。親衛隊は住民が脱出することを嫌い、外へ出ようとする人びとを銃撃したとしている。 親衛隊の中核は「アゾフ大隊(またはアゾフ連隊)」だが、証言した男性によると、若い女性はアゾフ大隊のメンバーが隠れている地下室へ連れて行かれレイプされているとも語っていた。またマリウポリ空港の地下にはSBU(ウクライナの治安機関)の「図書館」と呼ばれる秘密刑務所があり、拷問も行われていたとする証言がある。 ロシア軍がウクライナを攻撃し始めた直後、西側メディアは「目が青く、ブロンドのキリスト教徒」、要するに北欧系の難民は助けなければならないと叫んでいたが、西側メディアが言うところの「医療天使」に所属する弁護士、ジャナディ・ドラザンコはウクライナのメディアのインタビューで、部下の医師たちに対し、ロシア人捕虜は全員去勢するよう命じたと語った。ロシア人は人間でなくゴキブリだからだという。 さすがにこの発言は問題になり、ドラザンコは取り消すが、これは彼らの本音だろう。第2次世界大戦当時にもウクライナの「民族主義者」は同じように考えていた。その民族主義者の中で最も反ロシア感情の強い人びとがステファン・バンデラの周辺に集まり、OUN・Bを結成したのである。その流れを汲んでいるのがウクライナのネオ・ナチだ。 カメラの前で証言した人物も西側メディアがロシア軍が攻撃したと伝えていた産婦人科病院は医師や看護師などスタッフ、そして患者は追い出され、戦闘員が入って要塞化されていたとしている。劇場を破壊したのはアゾフ大隊だとも語っている。 病院についてはオンライン新聞の「レンタ・ル」もマリウポリから脱出した別の人物から同じ証言を得ている。その記事が掲載されたのは現地時間で3月8日午前0時1分。マリウポリからの避難民を取材したのだが、その避難民によると、2月28日に制服を着た兵士が問題の産婦人科病院へやってきて、全ての鍵を閉め、病院のスタッフを追い払って銃撃ポイントを作ったとしている。証言内容は同じだ。 ロシア軍がウクライナに対する攻撃を始めたのは2月24日だが、その前からドンバス(ドネツクとルガンスク)の周辺には親衛隊のほか、アメリカの傭兵会社アカデミー(ブラックウォーター)などが派遣した戦闘員、さらにウクライナ軍の兵士を訓練するという名目でアメリカの特殊部隊員が入っていたと言われていた。 また、CIAは2015年からウクライナの特殊部隊員をアメリカ南部で訓練しているとも伝えられている。ドンバス側の発表によると、今回の戦闘でアメリカ人「教官」3名、マイケル・ホーカー大尉、ローガン・シュラム中尉、クルーズ・トブリン中尉の死亡を確認したという。 アゾフ大隊はドンバスのマリウポリを拠点にしてきたが、すでに半分はロシア軍が制圧したと伝えられている。マリウポリにいた戦闘員の相当数はロシア軍が包囲する前に脱出したが、アゾフ大隊のメンバーは残ったようだ。追い詰められたアゾフ大隊は住民を人質に立てこもっているという。 この武装集団は2014年5月、「右派セクター」が中心になって編成された。右派セクターを2013年11月に組織した人物がドミトロ・ヤロシュとアンドリー・ビレツキー。右派セクターは2014年2月のクーデターで中心的な役割を果たした。 ウクライナはNATO加盟国でないが、ヤロシュは2007年、NATOの秘密部隊ネットワークに組み込まれている。その当時、アメリカNATO大使を務めていた人物がクーデターを指揮することになるビクトリア・ヌランドだ。 アゾフ大隊の創設を資金面から支えていた人物はイゴール・コロモイスキー。ウクライナ、キプロス、イスラエルの三重国籍を持つシオニストの富豪だ。この人物だけでなく、アメリカの「ユダヤ系富豪」がウクライナのネオ・ナチのスポンサーを務めている。 第2次世界大戦の終盤からアメリカ支配層の一部はナチスの幹部や協力者の逃亡を助け、保護、訓練、工作に使うこともあった。その後継者も育成している。そうしたネットワークを通じて世界各地、例えばブラジル、クロアチア、スペイン、アメリカ、フランス、ギリシャ、イタリア、スロバキア、チェコ、イギリス、スカンジナビア諸国、そしてロシアからメンバーを集めているとする情報が伝えられている。ウクライナでは10代の若者1万5000人ほどを集めて訓練してきたともいう。
2022.03.24
世界はCOVID-19(2019年-コロナウイルス感染症)騒動で収容所化が進み、生産活動や商業活動は麻痺、個人経営の店や中小企業を中心にして経営状態が悪化、倒産に追い込まれるケースも少なくない。必然的に失業者が増え、ホームレス、自殺者を増加させることになった。さらにデジタル・パスポートを導入し、世界規模で個人を管理する計画が立てられている。WEF(世界経済フォーラム)のクラウス・シュワブはマイクロチップ化されたデジタル・パスポートを皮膚や脳へ埋め込み、最終的にはコンピュータ・システムと人間を融合するという計画を2016年1月にスイスのテレビ番組で語っている。 しかし、COVID-19騒動を演出する道具として使われてきたPCR(ポリメラーゼ連鎖反応)検査が病気の診断には適していないことが広く知られるようになり、パンデミック自体が幻影だった可能性が高まっている。 COVID-19の原因とされてきたSARS-CoV-2(重症急性呼吸器症候群コロナウイルス2)への感染を確認するため、アメリカのCDC(疾病予防管理センター)は「2019年新型コロナウイルス(2019-nCoV)リアルタイムRT-PCR診断パネル」を利用してきた。ところがCDCはこの診断パネルのEUA(緊急使用許可)を2021年12月31日に取り下げると同年7月21日に発表している。 この診断パネルはインフルエンザA型とインフルエンザB型も検出できるとされていたが、区別できないことを認めざるをえなくなったようだ。EUAの取り下げが発表された際、SARS-CoV-2とインフルエンザ・ウイルスを区別できる別の手段を探すように求めている。PCR検査は無意味だと本ブログでも再三書いてきたが、それをCDCも認めた。PCRが信頼できないなら、「無症状感染者」は幻に過ぎないだろう。 しかし、PCRを感染の診断に使えると信じ、定められた手順で安全性が確認されていないリスクの高い「ワクチン」を打っている人は少なくない。これによって帯状疱疹、⾎栓性⾎⼩板減少性紫斑病、体の麻痺、脳梗塞、心筋梗塞、心筋炎、心膜炎、ADE(抗体依存性感染増強)などを引き起こし、微小血栓によって脳、脊髄、心臓、肺などがダメージを受けているとも言われている。 そうしたリスクは早い段階から指摘されていたが、それでも接種したわけだ。人によって事情はあるだろうが、接種者は権力者や権威に情報を頼り、従順に行動している人が多いだろう。カルトの信者に近い状態だ。 そうした「ワクチン」接種者はウクライナ情勢に関しても権力者や権威に情報を頼り、従順に行動している。こうした傾向があることをカナダではECOSポリティクスのアンケートで確認されている。 そのアンケート結果によると、例えばロシアにより厳しい経済制裁を課すべきかという質問に対し、肯定したのは「ワクチン」を3回以上接種した人は86%、「ワクチン」拒否者は13%だった。プーチン大統領と結びついているロシア人富豪の資産を没収するべきかという質問に賛成したのはそれぞれ85%と13%。ロシアからの石油を断つべきかという質問には肯定が81%と21%、ウクライナへの軍事物資を追加供給するべきだとしたのは82%と18%、戦闘機の供与は52%と15%、軍隊の派遣は30%と11%、飛行禁止空域の設定は、つまりNATO軍にロシア軍機を攻撃させるかという質問にはそれぞれ59%と18%が賛成した。 ウクライナの問題でも「ワクチン」接種者は権力者や権威を信じ、自分で歴史や別の情報を調べたり、自らの頭で考えることをしていないと言えるだろう。
2022.03.23
アメリカのジョー・バイデン大統領は3月21日、世界は「新秩序」へ移行しつつあり、アメリカはその新秩序を先導すると語った。これはアメリカを中心とする欧米諸国が目論んできたことで、WEF(世界経済フォーラム)を創設したクラウス・シュワブは2020年6月、COVID-19(2019年-コロナウイルス感染症)を利用して「資本主義の大々的なリセット」を実現すると主張している。 WEFはシュワブが1971年に創設した団体で、欧米の巨大資本をはじめとする私的権力の代弁者的な役割を果たしてきた。そのWEFの役員を務めるラリー・フィンクは世界経済に大きな影響力を持つ「闇の銀行」のひとつ、ブラックロックのCEO。金融規制の大幅な緩和によって誕生した会社で、銀行のような規制は受けない。 ブラックロックに次ぐ「闇の銀行」はバンガードとステート・ストリート。この3社が大株主になっている会社はアメリカの主要500社の9割に近いという。アメリカ経済は少数の金融資本に支配されているということだ。 私的権力が目指す新秩序の正体は、彼らの打ち出した政策を見ると推測できる。例えばTPP(環太平洋連携協定)、TTIP(環大西洋貿易投資協定)、TiSA(新サービス貿易協定)。中でもISDS(投資家対国家紛争解決)条項が重要な意味を持つ。 こうした協定の目的はアメリカを拠点とする私的権力が世界を直接統治することにあり、巨大企業のカネ儲けを阻むような法律や規制はISDSによって賠償の対象になるはずだった。健康、労働、環境など人びとの健康や生活を各国政府が守れないようにしようとしたのだ。それがリセットの中身でもある。 私的権力に操られているWHO(世界保健機関)はパンデミックなど危機的な状況だと判断された場合、全ての加盟国にロックダウンなど政策を強制できるようにしようとしている。そうした体制を築くため、今年1月下旬にWHOは緊急会議をジュネーブで開いた。現在の定義では恣意的にパンデミックの宣言をすることが可能であり、恣意的に各国へロックダウンを命令できる。WHOは各国が今年5月までに対策を講じるように要請している。 西側の有力メディアでは1970年代後半から気骨ある記者や編集者の排除が目立つようになり、1980年代から資本支配が顕著になる。今ではメディアの9割程度を6つのグループが支配している。COMCAST(NBCなど)、FOXコーポレーション(FOXグループなど)、ウォルト・ディズニー(ABCなど)、VIACOM(MTVなど)、AT&T(CNN、TIME、ワーナー・ブラザーズなど)、CBSだ。 フランクリン・ルーズベルトは大統領時代の1938年4月、ファシズムについて次のように語っている:「もし、私的権力が民主的国家そのものより強くなることを人びとが許すならば、民主主義の自由は危うくなる。個人、グループ、あるいは私的権力をコントロールする何らかの存在による政府の所有こそがファシズムだ。」 有力メディアが私的権力に支配されているだけでなく、インターネットはシリコンバレーのハイテク企業にコントロールされ、「私企業による検閲」、あるいは「私的権力による言論統制」が実行されている。その私企業に庶民が影響を及ぼす手段はないに等しい。世界はルーズベルトによるファシズムの定義に当てはまる状況になっている。つまり、世界はファシズム化しているのだ。 パンデミックを2010年の段階で考えていた私的権力が存在する。この年の5月、ロックフェラー財団とGBN(グローバル・ビジネス・ネットワーク)は「技術の未来と国際的発展のためのシナリオ」と題された報告書を発表、その中でパンデミックによる経済へのダメージも指摘されている。人や物資の国際的な移動が止まることから旅行業のような産業や販売網は特に大きなダメージを受けると見通されていたのだ。 パンデミックに対する対策も提示されている。社会的にはマスクの着用、公共施設やマーケットの入り口における体温の測定が強制され、そうした管理、監視体制はパンデミックが去った後も続くと想定しているのだが、それだけでなく、市民は安全と安定を求めて自らの主権やプライバシーを放棄、生体認証が義務づけられるとされている。 COVID-19対策として「デジタル・パスポート」が推進され、電子的な監視システムも強化されている。通貨のデジタル化も進められているが、これによってコンピュータによる通貨の管理が容易になり、個人がどのようにカネを使っているかをチェックできるようになる。人びとは金融機関に口座を持ち、そこで決済することになるだろうが、何らかの事情で支配者に睨まれた場合、「制裁」のために口座を閉鎖するということも想定できる。生きることが困難になるということだ。 デジタル技術と結びついているAI(人工知能)は戦場だけでなく、社会の中で人間と機械を入れ替えるために利用されることになりそうだ。それだけ人間は必要でなくなるわけで、人口削減を推進する道具になるだろう。 WEFのシュワブは2016年1月にスイスのテレビ番組に出演した際、マイクロチップ化されたデジタル・パスポートの話をしている。最初は服に取り付けたり皮膚や脳へ埋め込みだけでなく、チップを脳へ埋め込み、感情の起伏を調べ、記憶を促進、そして思想も管理しようとしていると言われている。デジタル技術とバイオ技術を融合させ、人間を改造しようと目論んでいる。 こうした動きを進めるためのプラン、「我々の世界を変革する:持続可能な開発のための2030アジェンダ」が2015年9月に国連で採択されている。その中で示された「SDGs(持続可能な開発目標)」を実現するため、個人を特定するためのシステムに記録されていない人びとを管理する必要があるとされ、デジタルIDの導入が進められることになった。そして設立されたのが「ID2020」というNGOだ。 このID2020にも関係しているビル・ゲーツは人口を削減するべきだと考えている。2010年2月にはTEDでの講演で、ワクチンの開発、健康管理、医療サービスで人口を10~15%減らせると語った。 しかし、私的権力のリセット計画には邪魔者が存在する。ロシアだ。1991年12月にソ連を消滅させた段階で欧米の私的権力は自分たちが勝利したと思ったようだが、21世紀に入ってロシアは復活、私的権力の前に立ちはだかっている。そのロシアを潰す目論見は全て失敗してきたが、今、戦いはウクライナで行われている。
2022.03.23
戦争に反対し、戦争をなくすよう努力することは大切である。なくならない最大の理由は多くの人がそうしてこなかったからだ。 1967年4月4日、マーチン・ルーサー・キング牧師はニューヨークのリバーサイド教会で開かれた「ベトナムを憂慮する牧師と信徒」主催の集会に参加、「なぜ私はベトナムにおける戦争に反対するのか」という話をしている。 キング牧師はベトナム戦争を不当で、邪悪で、不必要だと表現、その悲惨な戦争の真実を聞くべき時が来ていると語った。大半の国民が自分自身を欺いているため、そうした真実は明らかにならないとも指摘している。その当時、多くの人びとはベトナム戦争反対の声を上げていない。 ロン・ポール元下院議員によると、キング牧師の顧問たちは牧師に対してベトナム戦争に焦点を当てないよう懇願していたという。そうした発言はリンドン・ジョンソン大統領との関係を悪化させると判断したからだが、牧師はそうしたアドバイスを無視、「リベラル派」と対立することになる。そしてちょうど1年後、1968年4月4日に牧師はテネシー州メンフィスのロレイン・モーテルで暗殺された。 1991年12月にソ連が消滅した後、アメリカでは旧ソ連圏を破壊する動きが高まる。その旗振り役は言うまでもなく有力メディアだ。そうした圧力にビル・クリントン政権は抵抗していたが、国務長官がウォーレン・クリストファーからマデリーン・オルブライトへ交代してから状況は大きく変化した。1997年1月のことだ。 そして1998年4月、アメリカ上院はNATO拡大を承認。それに対し、「封じ込め政策」で有名なジョージ・ケナンはNATOの拡大がロシアを新たな冷戦に向かわせると警告している。 ケナンは反コミュニストの外交官として有名で、1948年6月に破壊活動を目的とする機関の創設を提言、NSC10/2が作成され、極秘機関OPC(政策調整局)の創設につながった。1952年8月にはOPCが中核になってCIAの秘密工作部門「計画局」が創設される。要するにケナンは好戦的な人物なのだが、それでもNATOの拡大は危険だと考えていたのだ。 そして1999年3月にNATOはユーゴスラビアを先制攻撃、スロボダン・ミロシェヴィッチ大統領の自宅を破壊しただけでなく、中国大使館も爆撃している。状況から考え、誤爆ではない。その後、アフガニスタンやイラクを先制攻撃、2011年にはリビアとシリアをジハード傭兵で攻撃している。 そして2014年2月、ウクライナのビクトル・ヤヌコビッチ政権をネオ・ナチを使ったクーデターで倒した。その時にドンバス(ドネツクやルガンスク)で反クーデター軍が編成され、キエフのクーデター軍と戦争が続いている。 ジョー・バイデン政権になってからアメリカはウクライナ周辺で軍事的な恫喝を強め、戦争の準備を始める。クーデターはバラク・オバマ政権が実行したが、クリミアとドンバスの制圧に失敗したこともあり、2015年からCIAはアメリカ南部でキエフ軍の特殊部隊を訓練してきたという。 訓練を受けた特殊部隊員だけでなく、アメリカのCIAや特殊部隊のメンバー、そして傭兵もドンバス周辺に入っていたと言われている。そして2月17日からドンバスに対する攻撃が強まった。 そうした中、2月19日にウクライナの政治家、オレグ・ツァロフは緊急アピール「大虐殺が準備されている」を出し、ボロディミル・ゼレンスキー大統領がごく近い将来、ドンバスで軍事作戦を開始するという情報をキエフから得たと明らかにした。 そのアピールによると、この地域を制圧してからキエフ体制に従わない住民を「浄化」するという作戦で、西側から承認を得ているともしていた。この作戦と並行してSBU(ウクライナ保安庁)はネオ・ナチと共同で「親ロシア派」の粛清を実行することにもなっていたという。 ロシアのウラジミル・プーチン大統領は2月21日にドンバスの独立を承認、2月24日にロシア軍は巡航ミサイル「カリブル」などで攻撃を開始した。その作戦の中でロシア軍は重要な文書を回収している。ひとつはウクライナの生物兵器の研究開発に関するもの、もうひとつは3月に予定されていたドンバスに対する攻撃計画に関するものだ。 アメリカの対ロシア戦争は1990年代、つまりソ連が消滅した直後から始まった。1999年のユーゴスラビア攻撃は決定的だ。こうした行動が戦争につながると見通していた人は少なくないだろう。 今回のロシアによる攻撃を見て「ロシアが軍事行動に踏み切ったことは非難されねばならない」と言う前に、1990年代の有力メディアによる戦争を煽るプロパガンダ、1999年のユーゴスラビア攻撃、あるいは2014年のウクライナでのクーデターを非難するべきだったが、こうした戦争に対する反対の声は小さかった。その時に沈黙していた人が今回は「戦争反対」と叫んでいるのはなぜなのか。 今回、ウクライナからポーランドへ脱出した人は少なくないが、EUも日本も難民に対する態度がこれまでとは全く違う。西側メディアは「目が青く、ブロンドのキリスト教徒」、要するに北欧系の難民は助けなければならないと叫んでいた。 しかし、その一方でインドやアフリカ出身の人びとは国境で阻止され、棍棒などで殴打された人もいる。「目が青く、ブロンドのキリスト教徒」でないからなのだろう。 「目が青く、ブロンドのキリスト教徒」が巻き込まれる戦争には反対すると言うことだろうか? これまでアメリカに蹂躙されてきた国々はウクライナを冷静に見ている。
2022.03.22
ウクライナのボロディミル・ゼレンスキー大統領は3月20日、同国の国家安全保障国防会議がロシアと関係のある11政党の活動を禁止、メディアを国有化すると発表した。すでにアメリカやその属国ではロシア系メディアの情報発信を止める工作を進めている。アメリカの私的権力は事実を恐れている。 アメリカの私的権力は第2次世界大戦が終わった直後から情報をコントロールするためのプロジェクト「モッキンバード」を始めている。その中心人物はアメリカの情報活動を指揮していたアレン・ダレス、ダレスの下で破壊工作機関OPCを指揮していたフランク・ウィズナー、やはりダレスの側近でCIA長官になるリチャード・ヘルムズ、そしてワシントン・ポスト紙のオーナーだったフィリップ・グラハムの4名だ。 そうしたプロジェクトの効果もあり、組織としてのメディアはCIAの影響下にあった。そうした実態を詳しく伝えたジャーナリストのひとりがウォーターゲート事件の取材で有名になったカール・バーンスタインである。 バーンスタインはニクソン大統領が辞任した3年後の1977年にワシントン・ポスト紙を辞め、「CIAとメディア」という記事をローリング・ストーン誌に書いた。ウォーターゲート事件報道の裏面を明らかにしたとも言える。(Carl Bernstein, “CIA and the Media”, Rolling Stone, October 20, 1977) その記事によると、1977年までの20年間にCIAの任務を秘密裏に実行していたジャーナリストは400名以上におよ美、50年から66年にかけてニューヨーク・タイムズ紙は少なくとも10名の工作員に架空の肩書きを提供したとCIAの高官は語ったという。 1975年に上院ではフランク・チャーチ上院議員を委員長とする情報活動に関する政府の工作を調べる特別委員会(チャーチ委員会)が設置され、CIA、NSA、FBI、IRSなどの不正工作について調査している。その調査でマインド・コントロールを目的としたMKULTRA、国民監視工作のCOINTELPRO、そしてモッキンバードも取り上げられた。 しかし、MKULTRAに関する資料の大半は違法廃棄になり、モッキンバードはCIAからの圧力があり、記者、編集者、発行人、あるいは放送局の重役から事情を聞いていない。当時のCIA長官、つまりウィリアム・コルビー(1973年9月から76年1月)やジョージ・H・W・ブッシュ(1976年1月から77年1月)たちから調査をやめるように働きかけられたことが影響したようだ。 ベトナム戦争でもアメリカの私的権力にとって都合の悪い情報が漏れた。従軍記者や従軍カメラマンは軍や情報機関に管理されていたが、帰国した兵士の告発がワシントンDCで活動しているジャーナリストの耳に入り、一端が明らかになったのだ。 そこで情報機関の内部で情報統制が厳しくなり、有力メディアの気骨ある記者や編集者は排除され始め、1980年代から大株主が集中、今ではメディアの9割程度を6つのグループが支配している。COMCAST(NBCなど)、FOXコーポレーション(FOXグループなど)、ウォルト・ディズニー(ABCなど)、VIACOM(MTVなど)、AT&T(CNN、TIME、ワーナー・ブラザーズなど)、CBSだ。巨大資本の広報部門と化している。日本では電通など巨大広告会社によるメディア支配が指摘されている。
2022.03.21
ウクライナを舞台とした戦いの主体はアメリカとロシア、より正確に言うならば、ネオコンとロシアである。ウクライナのネオ・ナチも背後にはウォール街やシティ、つまりアメリカやイギリスの金融資本が存在していた。米英の私的権力こそが戦争の黒幕なのである。そこから目を背けてはならない。 ウクライナに対するロシア軍の攻撃が始まる前、2月19日にウクライナの政治家、オレグ・ツァロフはウォロディミル・ゼレンスキー政権が近い将来、ドンバス(ドネツクとルガンスク)で軍事作戦を始めると警鐘を鳴らした。 彼によると、ロシアとの国境近くを制圧してウクライナの現体制に従わない住民を「浄化」、同時にSBU(治安機関)は各地のナチと共同で「親ロシア分子」を殺し始めるというクロアチア的な計画。すでに準備は整い、西側の承認も得ているとしている。 作戦はキエフ、オデッサ、ハリコフ、ドニエプロペトロフスクなどウクライナ南東部で行う予定で、ターゲットには野党の政治家だけでなくブロガー、ジャーナリスト、オピニオン・リーダーも含まれ、住所と名前の書かれたリストはすでに作成されたと書かれていた。 戦闘が始まった後、ロシア軍はウクライナ軍が残した文書を回収している。それによると、ニコライ・バラン上級大将が1月22日に指令書へ署名、ドンバスを攻撃する準備が始まった。2月中に準備を終え、3月に作戦を実行することになっていたという。この作戦はゼレンスキーが1月18日に出した指示に従って立てられたと言われている。 ツァロフの警鐘が無視できないのは、彼が2014年2月のクーデターを事前に警告していた事実があるからだ。2013年11月20日、ウクライナ議会で与党の議員だったツァロフはジェオフリー・パイアット米大使の下で「アラブの春」のような内戦が準備されていると警鐘を鳴らしている。暴力集団だけでなく、メディアやインターネットで国民を操ろうとしているというのだ。その直後に首都キエフのユーロマイダン(ユーロ広場、元の独立広場)でカーニバル的な集会が始まった。 ビクトル・ヤヌコビッチ政権に対する抗議活動だったが、当初は平和的なもの。そうしたこともあり、12月になると集会への参加者は50万人に膨れ上がったと言われている。参加者が膨らんだところでアメリカ/NATOが準備したネオ・ナチの戦闘集団が前面に出てきた。 その抗議活動を話し合いで解決しようとしたEUに怒ったのがアメリカのビクトリア・ヌランド国務次官補。現場でクーデターを指揮していた人物だ。 ヌランドがパイアット大使と電話で「次期政権」の閣僚人事について話している音声がインターネットに流れたのは2014年2月上旬。その中でヌランドは「EUなんかくそくらえ」と口にした。 これを「下品な表現」で片付けるべきではない。選挙で選ばれた政権を暴力で倒すべきだと彼女は主張しているのだ。平和的な話し合いではヤヌコビッチを排除できず、体制を乗っ取ることができない。排除することを前提として、ヌランドは次期政権の人事を指示しているのだ。 ネオ・ナチの集団は2月18日頃から棍棒、ナイフ、チェーンなどを手にし、石や火炎瓶を投げ始める。中にはピストルやライフルで銃撃する者も現れた。その際、ネオ・ナチは2500丁以上の銃を広場へ持ち込んだと言われ、狙撃も始まる。その間、西側の有力メディアはネオ・ナチのクーデターを支援していた。いや、今でも支援している。 クーデターの最中、ヤヌコビッチを支持するクリミアの住民がバスでキエフに入っているが、ネオ・ナチによって状況が悪化している様子を目撃し、クリミアへ戻る。その際、クリミアの住民を乗せたバスが襲撃され、バスが止まると乗客は引きずり出され、棍棒やシャベルで殴られたりガソリンをかけられて火をつけると脅されている。 こうした話は当然、クリミアの人びとへ伝えられ、クーデターに反対する声が高まる。3月16日には住民投票が実施され、95%以上がロシアへの加盟に賛成した。そのときの投票率は80%を超えている。住民はアメリカを後ろ盾とするクーデター政権を拒否したわけだが、アメリカは自分たち都合の悪い事実は認めない。 クリミア制圧の失敗はバラク・オバマ政権にとって痛恨の極み。そこのセバストポリはロシア海軍の黒海艦隊が拠点だ。ここをロシアから奪うことで軍事的に締め上げようとしていたが、それがかなわなかった。 西側の有力メディアはロシア軍が侵攻したと宣伝していたが、そうした事実はなかった。ロシアとウクライナは1997年に分割協定を結び、ロシア軍は基地の使用と2万5000名までの兵士駐留が認められていて、この条約に基づいて1万6000名のロシア軍が実際に駐留、西側の政府やメディアはこの部隊をロシア軍が侵略した証拠だと宣伝していた。 クーデターから3カ月の5月2日、黒海に面する港湾都市のオデッサで反クーデター派の市民が惨殺されている。広場にいた市民に暴徒が襲いかかり、労働組合会館の中へ誘導されたのだが、そこで虐殺され、建物は放火された。50名弱が殺されたと伝えられているが、これは地上階で発見された死体の数で、地下ではさらに多くの人が殺されたと言われている。120名から130名とも言われているが、その大半は運び去られたという。この虐殺事件で中心的な役割を果たしたのが右派セクターだ。 その1週間後、ドンバスのマリウポリ市にクーデター軍は戦車を突入させて市内を破壊、非武装の住民を殺害している。5月9日はソ連がナチスに勝ったことを記念する戦勝記念日で、住民は外で祝っていた。それを狙っていたのだ。 その様子を携帯電話で撮影した映像が世界に発信されたが、それを見ると、住民が丸腰で戦車に向かい、殺されていく様子が映されている。5月11日に予定されていた住民投票を止めさせることも目的だっただろうが、予定通りに投票は行われ、独立の意思が示されている。それをロシア政府は受け入れなかった。そこから悲劇が拡大する。 ウクライナは寄せ集めの国であり、東部や南部はロシア革命後にロシアからウクライナへ組み込まれた。そこで住民の多くはロシア語を話し、ロシア正教の信者が多い。クーデター体制はそうしたロシア語系住民を殺害、追放しようとしてきた。 こうしたロシア語系住民の殺害だけでなく、ロシアや中国に対する作戦や工作に使うため、ウクライナにはアメリカ軍をスポンサーとする生物化学兵器の研究開発施設が存在している。これはウクライナのアメリカ大使館も認めていた。 3月8日にはビクトリア・ヌランド国務次官が上院外交委員会でウクライナにおける生物化学兵器について質問され、兵器として使用できる危険な病原体を「研究」する施設が存在することを認めている。 アメリカ軍がウクライナに生物化学兵器の研究開発施設を建設していたことは決定的。ロシア軍は軍事作戦を始めてまもなく、そうした施設をミサイルで攻撃、特殊部隊が証拠を回収したと見られている。 ロシア軍の核生物化学防護部隊を率いているイゴール・キリロフ中将は3月7日、ウクライナの研究施設で回収した文書から同国にはアメリカのDTRA(国防脅威削減局)にコントロールされた研究施設が30カ所あるとしている。その一部は知られていた。 ロシア国防省によると、ウクライナの研究施設で鳥、コウモリ、爬虫類の病原体を扱う予定があり、ロシアやウクライナを含む地域を移動する鳥を利用して病原体を広める研究もしていたという。またロシア外務省のマリア・ザハロワ報道官は、ウクライナの研究施設に保管されていたサンプルが証拠隠滅のために破壊されていると繰り返している。 ロシア軍がウクライナへの軍事作戦を始めた直後、WHO(世界保健機関)はウクライナの保健省に対し、危険性の高い病原体を破壊するように強く勧めたとロイターは伝えている。WHOはウクライナにあるアメリカ軍の研究施設で危険度の高い病原体を扱っていることを知っていたことになるだろう。 ウクライナのほか、アゼルバイジャン、アルメニア、カザフスタン、キルギスタン、モルドバ、タジキスタン、ウズベキスタン、そしてジョージアにもアメリカは生物化学兵器の研究施設を持っているという。そのうちジョージアでは流出事故があり、住民が被害を受けている可能性が高い。
2022.03.21
ウラジミル・プーチン露大統領はエルビラ・ナビウリナ中央銀行総裁の続投を決めた。この人物はウォール街やシティが支配する西側の金融資本とつながり、IMFの意向に沿う政策を推進してきた。やはり西側の私的権力と結びついているエゴール・ガイダルの仲間だとも見られている。 ボリス・エリツィン時代の経済政策に大きな影響を及ぼしていたアナトリー・チュバイスはガイダルと同じようにジョージ・ソロスの配下で、HIID(国際開発ハーバード研究所)なる研究所と連携していた。ここはCIAとの関係が深いUSAIDから資金を得ている。(Natylie Baldwin & Kermit Heartsong, “Ukraine,” Next Revelation Press, 2015) チュバイスはエリツィンの娘であるタチアナを中心としたグループの一員で、ガイダルと同じようにラリー・サマーズの命令で動いていたとも言われている。サマーズがロシア工作のために雇ったデイビッド・リプトンとジョナサン・ヘイはCIAのエージェントだ。 ナビウリナは1986年にモスクワ大学を卒業、2007年にはエール大学のワールド・フェロー・プログラムに参加している。このプログラムは「次世代のリーダー」を全額費用負担で育成するものだという。 エール大学には「次世代のリーダー」が加入する学生結社「スカル・アンド・ボーンズ」も存在する。その歴代メンバーにはプレスコット・ブッシュ、ジョージ・H・W・ブッシュ、ジョージ・W・ブッシュ、W・アベレル・ハリマン、ジョン・F・ケリーも含まれている。OBにはCIAや金融界へ入った者が目立つ。 ナビウリナの続投でロシア経済が米英金融資本から強い影響を受け続けていることが推測できるが、これは今後の世界に対しても小さからぬ影響を及ぼすことになりそうだ。こうした勢力を排除できなかったことに落胆しているロシア人も少なくないだろう。
2022.03.21
ロシア軍は3月18日、超音速(マッハ10)ミサイル「Kh-47M2キンジャール」でウクライナ西部にあるデリャテンの地下武器庫を、また沿岸防衛システムの「K-300Pバスチオン-P」でオデッサ地域の無線監視センターをそれぞれ破壊したという。バスチオンの主要な役割は艦船に対する攻撃だ。 3月13日にロシア軍は8機の巡航ミサイル「カリブル」を使い、ポーランドとの国境から約25キロメートルの場所にあるヤボリウ基地を攻撃した。キンジャールと同様、約1000キロメートルを飛行、ターゲットを正確に捉えている。 いずれのミサイルも実際に軍事施設を破壊しているが、それだけでなく、ロシアが保有する最新鋭兵器の性能をデモンストレーションしているのだろう。 ウラジミル・プーチン露大統領は2018年3月1日の連邦議会における演説で、ロシアやその友好国に対する攻撃には反撃すると宣言、同時に保有する最新兵器を明らかにした。これはアメリカが2002年にABM(弾道弾迎撃ミサイル)条約から一方的に脱退したことに対するロシアの回答だとしている。 アメリカがABM条約から脱退した当時、同国の好戦派は自分たちが「唯一の超大国」であり、何をしても許されると信じていた。そうしたことを示しているのがフォーリン・アフェアーズ誌の2006年3/4月号に掲載されたキアー・リーバーとダリル・プレスの論文。 この論文ではアメリカが近いうちにロシアと中国の長距離核兵器を先制第1撃で破壊する能力を持てると主張している。この雑誌は外交問題評議会(CFR)が発行している定期刊行物で、アメリカ支配層の考え方が反映されていると言えるだろう。中でもネオコンは1991年の湾岸戦争以来、ソ連/ロシアはアメリカが軍事侵攻しても出てこないと考えるようになっていた。そうした考えがアメリカ支配層の内部では広まっていたのだ。 イスラエルやアメリカを後ろ盾とするジョージア軍が北京オリンピックの開催に合わせて2008年8月に南オセチアを奇襲攻撃したのもそうした判断があったからだろうが、この攻撃は失敗に終わる。ロシア軍の反撃でジョージア軍は完敗したのだ。 バラク・オバマ政権がシリアをリビアと同じようの壊滅させるために本格的な軍事介入を準備していた2015年9月30日、シリア政府の要請でロシア軍が介入し、アメリカ、イギリス、フランス、サウジアラビア、カタールなどを後ろ盾とするジハード傭兵、つまりアル・カイダ系武装集団やダーイッシュ(IS、ISIS、ISIL、イスラム国などとも表記)を敗走させた。 そして10月7日、カスピ海にいたロシアのコルベット艦から発射された26機のカリブルは約1500キロメートルを飛行し、シリアのターゲット11カ所を正確に攻撃、破壊している。この性能にアメリカ側はショックを受けたと言われている。キンジャールにしろ、バスチオンにしろ、使った目的は同じだろう。単に軍事目標を破壊しただけではない。アメリカに従属するヨーロッパ諸国だけでなく、アメリカもロシアを攻撃したなら確実に報復され、破壊されるということだ。 スタンリー・キューブリックが監督した映画「博士の異常な愛情」ではアメリカ軍の先制核攻撃に対し、ロシア軍の「ドゥームズデイ・マシーン」が起動して地球は破壊され、放射性物質で汚染されることになる。本来、「ドゥームズデイ・マシーン」は抑止力として考えられたのだが、発表前に核攻撃があり、人類を破滅させることになる。それに対し、プーチンは事前にロシアが保有する最新兵器を明らかにしたわけだ。
2022.03.20
国連安全保障理事会の緊急会合が3月18日開かれ、ロシアの代表はウクライナでの軍事作戦で回収した文書に基づき、ウクライナで行われてきた生物化学兵器の研究開発にアメリカが資金を出してしていたと批判した。 危険性の高い病原体の研究開発を行う研究施設が複数あり、アメリカの国防総省が資金を出していることはウクライナのアメリカ大使館も認めていた。3月8日にはビクトリア・ヌランド国務次官が上院外交委員会でウクライナにおける生物化学兵器について質問され、兵器として使用できる危険な病原体を「研究」する施設が存在することを認めている。 アメリカの軍隊や情報機関は世界を股にかけて侵略、破壊、殺戮、略奪を続けてきた。そうした暴力装置のひとつにアメリカ自身は「防衛」というタグをつけている。「防衛」というタグをつけた軍隊が行うことは「侵略」でないと言えないことは言うまでもない。同じように「兵器として使用できる危険な病原体」は「生物兵器」でないとも言えない。 しかし、アメリカはロシアが提出した情報に「偽情報」というタグをつけ、葬り去ろうと必死だ。その主張に同調している国はイギリス、アイルランド、フランス、アルバニア、ノルウェー。「偽情報」というタグをアメリカがつけた情報を議論することは時間の無駄だと言っている。 それに対し、ロシアが提供した情報を重要だと認識、調査するべきだと考える国も存在する。中国、ブラジル、メキシコ、インド、ガーナ、ケニア、ガボンだ。インドやアフリカ諸国などは欧米の医療利権が行う「研究」の犠牲になってきた。 日本では軍医学校が東京帝国大学医学部や京都帝国大学医学部と共同で生物化学兵器の研究開発を行なわれていた。その一環として中国大陸で生体実験が実施されたが、そのために編成されたのが「関東軍防疫部(731部隊)」、「関東軍軍馬防疫廠(100部隊)」、「南方軍9420部隊」、「北支那方面軍1855部隊」、「南支那派遣軍8604部隊」など。 中でも有名な「731部隊」の隊長を1936年から42年、そして45年3月から敗戦まで務めた人物は石井四郎中将、1942年から45年2月までは北野政次少将である。 関東軍司令官の山田乙三大将の名前で生物兵器研究の証拠隠滅が命令され、貴重な資料や菌株は運び出され、生体実験用に拘束していた捕虜全員が殺害された。その後、石井たちは日本へ逃げ帰るが、731部隊の一部幹部はソ連軍に拘束され、尋問を受ける。生体実験が行われていることを知ったソ連はアメリカに対し、日本へ逃げ帰った部隊の幹部を尋問させるように求めるが、アメリカは拒否した。 日本で石井はGHQ/SCAPの情報部門G2の部長を務めていたチャールズ・ウィロビー少将と親しくなっていた。日本側の資料や研究員はアメリカにおける生物化学兵器の研究開発で中心的な存在であるキャンプ・デトリック(55年からフォート・デトリックに格上げされた)へ運ばれる。フォート・デトリックは今でもアメリカにおける生物化学兵器の研究開発で中心的な存在だ。 朝鮮戦争が始まると、アメリカ軍は輸血体制を増強しなければならなくなり、「日本ブラッドバンク」が設立された。この会社の顧問に北野政次が就任すしている。後に社名は「ミドリ十字」へ変更され、「薬害エイズ」を引き起こすことになる。その時に731部隊が再び注目されたが、封印されている。 731部隊を含む日本の生物化学兵器人脈は現在、「伝染病対策」の中枢を形成している。その拠点として1947年に国立予防衛生研究所(予研)が創設された。当初は厚生省の所管だったが、1949年には国立になり、97年には国立感染症研究所(感染研)に改名された。 ウクライナでアメリカ軍が行ってきた「兵器に使えるような危険性の高い病原体」の研究開発にはCOVID-19(2019年-コロナウイルス感染症)に関係している疑いが浮上しているが、その背後に731部隊も存在している。 おそらく、ロシア軍の攻撃がアメリカ側の想定より早かったため、ウクライナで行われていた生物化学兵器に関する文書やサンプルの破壊が間に合わなかった可能性がある。アメリカやその属国は強引に封じ込めようとしているが、難しいだろう。また、この研究開発には国連専門機関のひとつであるWHO(世界保健機関)も関係している疑いもあり、国連の現幹部も封印に加担することになりそうだ。
2022.03.19
アメリカのFDA(食品医薬品局)とCDC(疾病予防管理センター)が共同で運用しているVAERS(ワクチン有害事象報告システム)への自主的な報告によると、「COVID-19(2019年-コロナウイルス感染症)ワクチン」による死亡者数は3月11日現在、前の週より483名増え、2万5641名に達した。一般的にVAERSに報告される件数は全体の1%から10%程度にすぎ無いと言われ、実際は25万人強から250万人強に達するということになる。 2019年12月31日に武漢でSARSに似た症状の肺炎患者が見つかったと中国がWHO(世界保健機関)へ報告、国際ウイルス分類委員会は20年2月11日に病原体をSARS-CoV-2(重症急性呼吸器症候群コロナウイルス2)と命名、3月11日のWHOはパンデミックを宣言した。 そこからCOVID-19騒動は始まり、そこから社会は収容所化されてきた。そうした政策の結果、生産活動や商業活動は麻痺し、倒産、失業、ホームレス、そして自殺者の増加といった問題が生じつつあるが、欧米の巨大資本の広報的な存在である。WEF(世界経済フォーラム)のクラウス・シュワブは2020年6月、「資本主義の大々的なリセット」を打ち出した。 社会を収容所化させる政策は政府によって違い、厳しい国と緩い国が存在したが、WHOはパンデミックなど危機的な状況下ではWHOが全ての加盟国にロックダウンなど政策を強制できるようにしようとしている。そうした体制を築くため、今年1月下旬にWHOは緊急会議をジュネーブで開いている。 現在の定義では恣意的にパンデミックの宣言をすることが可能。つまり恣意的に各国へロックダウンを命令できるということになる。WHOは各国が今年5月までに対策を講じるように要請している。 現在、ウクライナで戦闘が続いているが、ロシア軍がウクライナへの軍事作戦を始めた直後、WHOはウクライナの保健省に対し、危険性の高い病原体を破壊するように強く勧めたとロイターは伝えている。WHOがアメリカ軍による生物化学兵器の研究開発に関係している疑いが浮上したわけだ。 アメリカ国防総省の支援を受け、ウクライナで生物化学兵器の研究開発が進められていたことをアメリカやその従属国は現在、否定しているが、アメリカ大使館はそうした研究施設が存在していることを認めていた。それだけでなく、ビクトリア・ヌランド国務次官は3月8日、上院外交委員会でウクライナにおける生物化学兵器について質問され、そうした研究施設が存在することを認めている。 ヌランドがアメリカの生物化学兵器開発を議会で認めたのは、こうした事実を示す証拠をロシア軍が回収したこと知っているからだろう。生物化学兵器をアメリカがウクライナで研究開発していたとロシアは批判しているが、この批判は事実に基づいている。この事実を否定する人びとは共謀者だと言われても仕方がないだろう。
2022.03.19
ロシアのウラジミル・プーチン大統領が2月21日に独立を承認したドンバス(ドネツクやルガンスク)の90%以上をロシア軍とドンバス軍が制圧、キエフ政権の戦闘員はドンバスから撤退していると伝えられている。 ドンバス周辺にはアメリカの傭兵会社アカデミー(ブラックウォーター)などの傭兵会社が派遣した戦闘員のほか、ウクライナ軍の兵士を訓練するためにアメリカの特殊部隊員が入っていたと言われていた。ドンバスのマリウポリは「アゾフ大隊(またはアゾフ連隊)」の拠点だ。 この地域ではキエフ軍の特殊部隊も活動しているはずだが、その隊員をCIAが2015年からアメリカ南部で訓練しているとも伝えられている。ドンバス側の発表によると、今回の戦闘でアメリカ人「教官」3名、マイケル・ホーカー大尉、ローガン・シュラム中尉、クルーズ・トブリン中尉の死亡を確認したという。 3月18日にはリビウに近い航空機の修理工場がミサイルで破壊されたが、13日にはロシア軍が8機の巡航ミサイル「カリブル」でヤボリウ基地を攻撃している。この基地はポーランドとの国境から約25キロメートルの場所にあり、NATOが兵站の集積場所として、また戦闘員を訓練施設として利用してきた。1000名程度の戦闘員が訓練を受けていたという。イギリスのミラー紙によると、この攻撃でイギリスの特殊部隊員3名が死亡したという。ロシア軍によると、この攻撃で180名以上の外国人傭兵が死亡している。
2022.03.19
ウクライナで戦争が続いている。西側の政府や有力メディアは今年2月21日にロシアのウラジミル・プーチン大統領はドンバス(ドネツクやルガンスク)の独立を承認し、2月24日にロシア軍が巡航ミサイル「カリブル」などで攻撃したところから戦争は始まったとしているが、これはアメリカやEUの見方にすぎない。 歴史は因果の連鎖であり、ひとつの出来事には原因がある。歴史を語る場合、始まりを設定しなければならないが、どこから始めるかで見える風景は大きく変わってくる。そうした連鎖を体制の要請に合わせて断ち切り、その断片を雇い主の都合に合わせて解釈して見せる人もいる。 プーチンが独立を承認する前からウクライナでは軍事的な緊張が高まっていた。2月17日頃からウクライナ側からドンバスへの攻撃が激しくなっているが、その前からアメリカ/NATOはロシアに対する軍事的な恫喝を強めていたことは本ブログでも繰り返し書いてきた。 ウクライナの政治家、オレグ・ツァロフは2月19日に緊急アピール「大虐殺が準備されている」を出し、ボロディミル・ゼレンスキー大統領がごく近い将来、ドンバスで軍事作戦を開始するという情報をキエフから得たとしていた。 そのアピールによると、この地域を制圧してからキエフ体制に従わない住民を「浄化」するという作戦で、西側から承認を得ているともしていた。この作戦と並行してSBU(ウクライナ保安庁)はネオ・ナチと共同で「親ロシア派」の粛清を実行することにもなっていたという。 ウクライナへの攻撃を始めた後、ロシア軍はウクライナの生物兵器の研究開発に関する、そして3月に予定していたドンバスへの攻撃計画に関する文書を発見したとロシア国防省は発表している。 西側ではロシア軍がウクライナへ軍事侵攻したと単純に表現しているが、ウクライナの現体制は2014年2月のネオ・ナチによるクーデターでビクトル・ヤヌコビッチ大統領を排除したところから始まっている。その時のアメリカ大統領がバラク・オバマだ。 この事実を隠蔽したい人びとは2014年にロシアがウクライナを侵略したことにしている。事実を調べれば嘘だということが容易にわかるだろうが、事実を調べない人には効果があるだろう。 その時にホワイトハウスでクーデターを統括していたのがジョー・バイデン、現場で指揮していたのが国務次官補だったビクトリア・ヌランド。クーデターの1ヶ月ほど前、ヌランドは電話でジェオフリー・パイアット米国大使に対し、ヤヌコビッチを排除した後の閣僚人事について指示している。その際、話し合いで混乱を解決しようとしていたEUに対し、彼女は「クソくらえ」と口にしたのだ。 そのクーデターで主力になったネオ・ナチの中核は「右派セクター」だが、そのグループを率いていた人物がドミトロ・ヤロシュ。2007年からNATOの秘密部隊ネットワークに参加している。その時にアメリカのNATO大使を務めていたのがヌランド。その当時、ヤロシュなどネオ・ナチはチェチェンでアメリカが行っていた対ロシア戦争に参加、中東のジハード傭兵たちと結びついている。 1991年12月にソ連は消滅、翌年2月にアメリカ国防総省はDPG(国防計画指針)草案として世界制覇プランを作成した。その最高責任者は国防長官だったリチャード・チェイニーだが、作成の中心になったのは国防次官を務めていたポール・ウォルフォウィッツ。そのため「ウォルフォウィッツ・ドクトリン」とも呼ばれている。 このドクトリンは旧ソ連圏の復活を阻止するだけでなく、潜在的ライバルの中国やEUを潰し、覇権の基盤になるエネルギー資源を支配しようとしていた。つまり中東もターゲットだ。欧州連合軍(現在のNATO作戦連合軍)の最高司令官を務めていたウェズリー・クラークによると、1991年の段階でウォルフォウィッツはイラク、シリア、イランを殲滅すると語っていた。(ココやココ) ウォルフォウィッツ・ドクトリンのベースを考えたアンドリュー・マーシャルは国防総省のシンクタンクONAで室長を務めていた人物。バーナード・ルイスなる学者から世界観を学んだという。(Robert Dreyfuss, “Devil’s Game”, Henry Holt, 2005) ドクトリンが作成された当時、アメリカが「唯一の超大国」になったと信じた人は少なくなかった。そこで、アメリカは国連を無視して単独で行動できると考える人が出てくる。 ところが、1993年8月に日本の総理大臣となった細川護煕は国連中心主義を維持。そこで1994年4月に倒れた。細川政権が設置した諮問機関の防衛問題懇談会はその考えに基づいて「日本の安全保障と防衛力のあり方(樋口レポート)」を作成するが、これをマイケル・グリーンとパトリック・クローニンは問題視、1995年2月に発表されたジョセイフ・ナイ国防次官補の「東アジア戦略報告(ナイ・レポート)」につながる。これはウォルフォウィッツ・ドクトリンに基づいている。 この当時、ネオコンやアメリカの有力メディアは旧ソ連圏への軍事介入を煽っていたが、ビル・クリントン政権は軍事力の行使に消極的。その象徴が国務長官だったウォーレン・クリストファーだ。 この人物がマデリーン・オルブライトへ交代になった1997年から流れは変わる。その背後にいたのがヒラリー・クリントンやヌランドだ。この年、ズビグネフ・ブレジンスキーは『グランド・チェスボード』(日本語版は『ブレジンスキーの世界はこう動く』、後に『地政学で世界を読む』へ改題)というタイトルの本を出している。 この本(原書)が出版された2年後、NATOはユーゴスラビアを先制攻撃した。この攻撃ではスロボダン・ミロシェヴィッチ大統領の自宅が破壊されただけでなく、中国大使館も爆撃されている。こうした攻撃を容認した西側はロシアのウクライナ攻撃を許さない。 ユーゴスラビア攻撃の目的はコソボのアルバニア系住民をユーゴスラビアから分離してアルバニアと合体させことにあったが、少なくとも結果としてこの国を解体し、NATOを拡大させる第一歩になった。ここからアメリカは侵略戦争を本格化させていく。 コソボでアメリカが手先に使っていた勢力の実態は麻薬業者。アメリカ/NATOの保護下のアフガニスタンではケシが栽培され、ヘロインが生産されてきたが、その麻薬販売ルートはコソボを通過している。彼らは後に臓器を売買していたことも判明する。 ただ、1990年代には支配層の内部にもNATOの拡大は危険だと考える人がいた。例えば「封じ込め政策」で有名なジョージ・ケナンはNATOの拡大がロシアを新たな冷戦に向かわせると警告していた。こうした意見を封印することになるのが2001年9月11日に行われたニューヨークの世界貿易センターやバージニア州アーリントンの国防総省本部庁舎への攻撃、いわゆる「9/11」だと言えるだろう。 ウェズリー・クラークによると、その直後、ドナルド・ラムズフェルド国防長官の周辺は新たな攻撃予定国リストを作成していた。そこにはイラク、シリア、イランのほか、レバノン、リビア、ソマリア、スーダンが載っていたという。レバノンをリストに載せた理由のひとつはイランとの関係が強いヒズボラの存在にある。ハリリはそのヒズボラを連合政府へ参加させようとしていた。 9/11の後、アメリカはアフガニスタン、イラク、リビア、シリア、ソマリアなどを攻撃している。2020年1月3日にはバグダッド国際空港でイランのコッズ軍(特殊部隊)を指揮していたガーセム・ソレイマーニーを暗殺した。その時、緊張緩和に関するサウジアラビアからのメッセージに対するイランの返書を携えていた。 2014年2月のクーデターで危機感を強めた人の代理人として動いたのであろう人物はヘンリー・キッシンジャー。2016年2月10日に彼はロシアを訪問してプーチン大統領と会談、22日にはシリアにおける停戦で合意した。そして大統領候補として浮上してきたのがドナルド・トランプだ。ヒラリーはオバマやバイデンと同じ流れに乗っていた。 日本の近代史でも呼称は問題になる。典型例は日本軍の中国における戦争。「満州事変」、「上海事変」、「日支事変」、「大東亜戦争」というように歴史をぶつ切りにして別個の出来事だとする人がいる。「太平洋戦争」という呼称もある。そうした見方への疑問から「日中戦争」や「十五年戦争」という呼称が出てきたのだろうが、今でも歴史をぶつ切りにしたがる人が少なくない。ウクライナにおける戦争でもそうした手口が使われている。
2022.03.18
ウクライナを舞台としてアメリカとロシアの戦いはロシア国内で経済を握っているウォール街やシティの傀儡勢力の粛清につながるかもしれない。 アメリカ政府は経済戦争の一環としてロシアが保有する金と外貨の半分を凍結したとロシアの金融大臣は語っている。ロシア政府が管理できない国外へ持ち出していたことになるが、アメリカの影響下にある場所へ金を預けたなら盗まれる可能性があることは常識。それにもかかわらず、凍結される場所へ持ち出していたとすると、責任者はまさに責任を問われるだろう。 その責任者とは中央銀行総裁のエルビラ・ナビウリナ。この人物はエゴール・ガイダルの仲間だと見られ、IMFの意向に沿う政策を推進してきたことでも知られている。 ガイダルはジョージ・ソロスの知り合いで、ボリス・エリツィンの側近。エリツィン時代のロシアでガイダルはハーバード大学教授のジェフリー・サックスの下で働いていた。エリツィンの経済政策はサックスを含むシカゴ派の顧問団が作成していた。 そうした政策をエリツィン政権に実行させる役割を負っていた人物がアナトリー・チュバイス。ソロスの配下で、HIID(国際開発ハーバード研究所)なる研究所と連携していた。ここはCIAとの関係が深いUSAIDから資金を得ている。(Natylie Baldwin & Kermit Heartsong, “Ukraine,” Next Revelation Press, 2015) チュバイスはエリツィンの娘であるタチアナを中心としたグループに入っていたことも知られている。彼女は飲んだくれで心臓病を抱える父親に代わり、クレムリン内外の腐敗勢力と手を組んでロシアを食い物にしていた。 チュバイスとガイダルはラリー・サマーズの命令で動いていたとも言われている。サマーズがロシア工作のために雇ったデイビッド・リプトンとジョナサン・ヘイはCIAのエージェントだ。 ウラジミル・プーチンが大統領になっても経済分野はウォール街やシティ、つまり米英の巨大金融資本にコントロールされてきた。手をつけようとすると、経済を不安定にする可能性が高いからだ。 アメリカと事実上の戦争状態にある中、ロシアの経済人脈は自国にダメージを与えたわけであり、プーチンとしては米英金融資本の傀儡一派を粛清するチャンスだろう。それができないなら、プーチン政権の先行きは暗い。
2022.03.17
ロシア軍が3月13日に8機の巡航ミサイル「カリブル」で攻撃したヤボリウ基地はポーランドとの国境から約10キロメートルの場所にあり、NATOが兵站の集積場所として、また戦闘員を訓練施設として利用してきた。1000名程度の戦闘員が訓練を受けていたという。 ロシア軍によると、攻撃で180名以上の外国人傭兵が死亡、イギリスのミラー紙によると、その中にイギリスの特殊部隊員3名が含まれている。12日にルーマニアやポーランドから大量の物資が運び込まれていたという。 提供されている武器の中には携帯式防空ミサイルシステムの「スティンガー」や携帯式対戦車ミサイルの「ジャベリン」が含まれているが、ロシア軍はシリアでの経験もあり、戦車部隊を投入するようなことはしていない。そうした戦い方はイスラエルも失敗している。ジャベリンは車列を待ち伏せ攻撃するために使われているようだ。 シリアからムスリム同胞団やサラフィ主義者(ワッハーブ派、タクフィール主義者)を中心とするジハード傭兵がウクライナへ派遣されるという話が流れているが、内務省が動かしている親衛隊にはネオ・ナチのネットワークを使い、ブラジル、クロアチア、スペイン、アメリカ、フランス、ギリシャ、イタリア、スロバキア、チェコ、スカンジナビア諸国、イギリス、そしてロシアから戦闘員を集めていると伝えられている。そのほか「無邪気なリベラル派」やロシア嫌いも参加しているようだ。 ブラジルからやって来たひとりはツイッターで、攻撃された基地にはアメリカ、フランス、韓国、チリを含む世界各国から特殊部隊が来ていたとしている。また、外国から来た傭兵はウクライナの兵士から虐待を受け、使い捨てにされることから逃亡する人も少なくないという。 何度も引用しているが、2011年にシリアで侵略戦争が始まってから1年ほど後、メルキト東方典礼カトリック教会の修道院長、フィリップ・トルニョル・クロは住民虐殺事件を調べるためにシリアへ入って調査、「もし、全ての人が真実を語るならば、シリアに平和をもたらすことができる。1年にわたる戦闘の後、西側メディアの押しつける偽情報が描く情景は地上の真実と全く違っている」と報告している。 住民を虐殺したのは外国から侵入したサラフィスト(ワッハーブ派、タクフィール主義者)の戦闘員で、兵器や武器はカタールやサウジアラビアから得ていると語っていた。全く同じことを西側の有力メディアは行っている。
2022.03.17
ウクライナでアメリカが配下のネオ・ナチを使って戦争を始めたのは2014年2月のことだった。その後、ネオ・ナチを中心に親衛隊を編成してロシア語系の住民を攻撃している。今年3月にはドンバス(ドネツクやルガンスク)を攻撃する予定だったようだ。このことを示す文書をロシア軍が回収している。 そのロシアに対し、アメリカは経済戦争を仕掛けている。基軸通貨のドルを発行しているという特権を利用してのことだが、こうした行為はドルに対する信頼度を下げる。ドル体制に浸かっていると、いつアメリカから攻撃されるかわからず、言いなりになるしかないからだ。そこでロシアや中国、特にロシアは早いピッチでドル離れを進めてきた。 そうした状況の中、サウジアラビアが中国との石油取引で人民元で決済する可能性が出てきたと伝えられている。現在、この件で話し合いを続けているという。アメリカはドルを発行する余地を作り出すため、実社会からドルを吸い上げる仕組みを作っている。例えば、投機市場の拡大やペトロダラーだ。 ペトロダラーを産油国の単なる余剰資金だと考えてはいけない。アメリカは産油国に対して石油取引の決済をドルに限定させ、産油国に集まったドルをアメリカの金融システムへ還流させる仕組みを作り上げた。それがペトロダラーだ。 日本とアメリカとの間にも似た仕組みがある。アメリカへ製品を売り、ドルを受け取るが、それを日本はアメリカへ還流させなければならない。必然的に対米黒字が拡大すると日本の庶民は貧困化する。 ドルを還流させるため、預金という形で沈めたり、財務省証券や高額兵器を買ったりする。ドル決済を認めさせる代償としてアメリカの私的権力はその国に対して国の防衛と油田地帯の軍事的な保護、必要とする武器の供給、支配的な地位や収入の保障などを約束した。このうち「国の防衛」は怪しくなっている。 そうしたペトロダラーの仕組みで中心的な役割を果たしてきた国がサウジアラビア。そのサウジアラビアがドルでなく人民元で決済する意味は小さくない。 ペルシャ湾岸の産油国もサウジアラビアと同じ役割を果たしてきたのだが、そのひとつ、アラブ首長国連邦はアメリカ軍の重要な拠点でもある。ウクライナの問題ではこの国もサウジアラビアと同じように中立。実は、イスラエルも中立だ。アメリカの重要な同盟国がアメリカと距離を置き始めている。 明治維新以来、アメリカやイギリス、つまりアングロ・サクソンに従属することで自らの地位と富を維持してきた日本の「エリート」は今でも米英の私的権力に従っているが、世界では珍しい存在だ。日本全体のことを考えていないとも言える。
2022.03.16
ここにきて「COVID-19(2019年-コロナウイルス感染症)騒動」が急速に沈静化している。その象徴が3月1日に行われたジョー・バイデン米大統領の一般教書演説だろう。マスクを外していたのだ。その直前、議会におけるマスクの着用強制は取り下げられていた。 マスク着用の強制はCOVID-19対策のひとつとして打ち出された。効果がどの程度あるのか不明で、一種の「国民服」にすぎないと表現する人もいたが、日本でも着用しなければならない雰囲気が作り出されてきたのである。 こうした対策を正当化するためにCOVID-19の爆発的な感染拡大が宣伝され、騒動が始まる。幕開けは2020年3月11日のWHO(世界保健機関)によるパンデミック宣言だった。 2019年12月31日に武漢でSARSに似た症状の肺炎患者が見つかったと中国はWHOへ報告、その後、武漢のある湖北省で11月17日に患者が出ていると確認されという。患者の症状は重篤だったようで、何らかの病原体が存在していたことは確かだろう。 2020年1月22日に中国の疾病預防控制中心で主任を務める高福は武漢市内の海鮮市場で売られていた野生動物から人にウイルスが感染したと記者会見で語り、そのシナリオが広まる。 2月から感染対策を指揮したのは高福ではなく中国軍の陳薇だった。陳は生物化学兵器の専門家で、2002年から中国で広まったSARSを押さえ込んだのも彼女のチームだった。その時の経験からインターフェロン・アルファ2bを使ったところ、2019年のケースでも効果があり、早い段階で沈静化させることに成功した。こうした展開が「予定稿」と違ったのか、西側の有力メディアなどは感染状況を隠していると宣伝していた。 インターフェロン・アルファ2bはキューバで研究が進んでいる医薬品で、リンパ球を刺激して免疫能力を高める働きがあるとされている。吉林省長春にも製造工場があり、中国の国内で供給できたことも幸いした。今回の件で中国の習近平国家主席はキューバのミゲル・ディアス-カネル大統領に謝意を述べたと伝えられている。 その後、感染は世界へ広まったとされているのだが、武漢のような状況にはなっていない。感染が拡大していると根拠として使われた技術がPCR(ポリメラーゼ連鎖反応)検査。PCRを利用した診断手順はドイツのウイルス学者、クリスチャン・ドロステンらが昨年1月に発表したもので、WHOはすぐにその手順の採用を決めて広まった。 しかし、程なくして、その手順に科学技術的な間違いがあるとする指摘が出されるようになる。2021年1月20日にはWHOでさえ、PCR検査は診断の補助手段にすぎないとしている。 COVID-19の原因とされてきたSARS-CoV-2(重症急性呼吸器症候群コロナウイルス2)への感染を確認するため、アメリカのCDC(疾病予防管理センター)は「2019年新型コロナウイルス(2019-nCoV)リアルタイムRT-PCR診断パネル」を利用してきた。この診断パネルのEUA(緊急使用許可)を2021年12月31日に取り下げるとCDCは同年7月21日に発表している。 この診断パネルはインフルエンザA型とインフルエンザB型も検出できるとされていたが、区別できないことを認めざるをえなくなったようだ。EUAの取り下げが発表された際、SARS-CoV-2とインフルエンザ・ウイルスを区別できる手段を探すように求めている。 この発表が出る前、2021年5月1日にカリフォルニア大学、コーネル大学、スタンフォード大学を含む7大学の研究者は、PCR検査で陽性になった1500サンプルを詳しく調べたところ、実際はインフルエンザウイルスだったと発表している。この結論をカリフォルニア大学は間違いだと主張したが、その根拠は示されていない。 PCRは特定の遺伝子型を試験管の中で増幅する技術で、増幅できる遺伝子の長さはウイルス全体の数百分の1程度。増幅の回数(Ct値)を増やしていけば医学的に意味のないほど微量の遺伝子が存在しても陽性になるだけでなく、偽陽性の確立が増えていくことも知られている。 偽陽性を排除するためにはCt値を17以下にしなければならず、35を超すと偽陽性の比率は97%になるとも報告されているのだが、2020年3月19日に国立感染症研究所が出した「病原体検出マニュアル」のCt値は40だった。医学的には無意味。つまり医学的に無意味なことをさせたわけだ。 PCRを病気の診断に使うべきでないと語っていた専門家の中には、この技術を開発し、1993年にノーベル化学賞を受賞したキャリー・マリスも含まれている。マリスは騒動が始まる前、2019年8月7日に肺炎で死亡しているのでCOVID-19騒動には巻き込まれていないが、そうした専門家は「COVID否定論者」というタグをつけられ、実際に解雇された医療関係者もいる。医師免許の剥奪で脅されたケースもあると伝えられている。 しかし、ここにきて西側の有力メディアもPCRの信頼度に疑問を投げかける記事を掲載している。例えばオックスフォード大学の研究者らが行った研究結果として、PCRで陽性とされた人の3分の1は感染していないとしている。この数値は小さすぎると考えている人もいる。 パンデミック騒動で少なからぬ国がロックダウン(監禁)策をとり、社会の収容所化が進んでいる。生産活動や商業活動は麻痺、個人経営の店や中小企業を中心にして経営状態が悪化し、倒産に追い込まれるケースも少なくない。必然的に失業者が増え、ホームレス、そして自殺者を増加させることになった。 EUは2022年にデジタル・パスポートを導入し、世界規模で個人を管理する計画を立てていたが、COVID-19騒動が始まった後、そうした動きは世界に広がった。 この問題では、WEF(世界経済フォーラム)のクラウス・シュワブは2016年1月にスイスのテレビ番組に出演、そこでマイクロチップ化されたデジタル・パスポートについて話している。チップを服に取り付けるところから始め、次に皮膚や脳へ埋め込み、最終的にはコンピュータ・システムと人間を融合するというのだ。一人ひとりの感情を監視するだけでなく、思想や記憶の管理も考えている。 ロシア軍によるウクライナへの攻撃が2月24日から始まったが、その過程でウクライナ側の重要な文書が回収されている。ウクライナ軍が3月にドンバス(ドネツクやルガンスク)を攻撃し、ウクライナ各地でロシア語系住民を虐殺する計画、あるいはCOVID-19騒動を仕掛けていた人脈がウクライナに建設していた生物化学兵器の研究開発施設に関する文書だ。そこからCOVID-19騒動の問題も浮かび上がっている。人びとの視界からCOVID-19を消したい人もいるだろう。
2022.03.16
イスラエルのナフタリ・ベネット首相は現在、ウクライナ政府とロシア政府の仲介役を務めている。そのベネットが3月8日、ウクライナのボロディミル・ゼレンスキー大統領に対し、ロシアのウラジミル・プーチン大統領の要求を呑むように求めたとウクライナ政府の高官が語ったという。 しかし、この話をイスラエル政府は否定、情報源の信頼度を疑問を示した。話はゼレンスキー大統領や限られた彼の側近へ直接伝えているとした上で、本当に政府高官なのかどうか怪しいとし、またイスラエルはそうした要請をロシア政府から受けておらず、従ってウクライナ政府へもそうした話を伝えていないともしている。 事実は明確でないが、ウクライナ政府がイスラエル政府に不満を持っていることは間違い無いだろう。ベネット政権がウクライナの問題で「中立」の立場にあるからだ。イスラエル政府はアメリカ政府の政策に従っていないということでもある。ゼレンスキー大統領自身、ユダヤ系だが、そうしたことで政策は左右されていない。 ウクライナ政府内でネオ・ナチの影響が強い勢力とそうでない勢力の対立が生じている可能性がある。3月5日にロシアと交渉しているチームのひとり、デニス・キリーエフがキエフの路上で治安機関SBUの隊員に射殺されたと伝えられている。ロシアのスパイだと疑われたというのだが、SBUは2014年2月のクーデター以後、CIAの下部機関であり、CIAやネオ・ナチにとってロシアと話し合う行為は「裏切り」に他ならないだろう。 そのネオ・ナチを理解するためには、少なくとも1920年代までさかのぼる必要があることは本ブログで繰り返し書いてきた。現在のネオ・ナチが信奉するステファン・バンデラがOUN-Bを組織したのは1941年3月頃。MI6(イギリスの対外情報機関)とゲシュタポ(ナチスの政治警察)のハイブリッドだとも書いてきた。 第2次世界大戦後、各国でそうした経歴を持つ人びとを中心にアメリカとイギリスの情報機関は破壊工作機関を組織、それがのちにNATOの秘密部隊になる。 そうした秘密部隊はNATOに加盟する全ての国に存在するが、未加盟のウクライナにも2007年、ドミトロ・ヤロシュを中心に作られた。その当時のアメリカNATO大使がビクトリア・ヌランドだ。 ヤロシュはアンドリー・ビレツキーと「右派セクター」を2013年11月に組織、14年のクーデターで中心的な役割を果たした。2014年5月には右派セクターが中心になって「アゾフ大隊」を正式に発足させ、親衛隊の核になった。この武装集団が拠点にしてきたのがマリウポリである。 アゾフ大隊を資金面から支えていたイゴール・コロモイスキーはウクライナ、キプロス、イスラエルの三重国籍を持つシオニストの富豪。この人物の他、アメリカの「ユダヤ系富豪」がウクライナのネオ・ナチのスポンサーを務めてきた。 バンデラを信奉する人びとがネオ・ナチの主力になっているが、ヤロシュは外国からネオ・ナチを集めている。出身国にはブラジル、クロアチア、スペイン、アメリカ、フランス、ギリシャ、イタリア、スロバキア、チェコ、イギリス、スカンジナビア諸国、そしてロシアが含まれている。そのほか10代の若者1万5000人ほどを集めて訓練してきたと言われている。 しばしば「ユダヤ人」と「ナチス」を単純に敵対勢力と決めつける人がいるが、これは歴史的な事実に反する。シオニストはパレスチナへ移住するユダヤ人が必要で、そのためにはユダヤ人弾圧は有効な手段だと認識されていた。アドルフ・ヒトラーがドイツの首相に就任した1933年、シオニストの指導者はユダヤ系市民と財産をドイツから出すため、ドイツ政府との協力関係を築こうとしていた。そこで結ばれたのが「移送合意」だ。(Edwin Black, "The Transfer Agreement", Carroll & Graf, 1984) シオニストはユダヤ人社会では少数派だった。多数派はヒトラー政権を批判、ボイコットなどで対抗している。弾圧が強まっても大多数のユダヤ人はパレスチナではなく、ヨーロッパ文化に近いアメリカやオーストラリアへ逃げている。 ウクライナ情勢はこうした過去を浮かび上がらせる可能性がある。「ユダヤ系富豪がカネを出しているので右派セクターはネオ・ナチではない」とは言えない。ユダヤ系富豪はナチズムの信奉者とも手を組むという事実を人びとの前に突きつけている。 こうしたネオ・ナチの武装集団は2014年2月のクーデター以来、ロシア語系の住民を殺し続けてきた。その犠牲者数は1万4000名を超すと言われている。こうした犠牲者を西側の有力メディアは無視してきたのである。こうした有力メディアの人種差別もウクライナ情勢は浮かび上がらせた。
2022.03.15
ウクライナの問題でWHO(世界保健機関)がアメリカ軍による生物化学兵器の研究開発に関係している疑いが浮上した。そのWHOは地球規模の新たな公衆衛生秩序を構築する方針だという。 パンデミックなど危機的な状況下ではWHOが全ての加盟国にロックダウンなど政策を強制できるようにしようとしている。そうした体制を築くため、今年1月下旬にWHOは緊急会議をジュネーブで開いている。現在の定義では恣意的にパンデミックの宣言をすることが可能。つまり恣意的に各国へロックダウンを命令できるということになる。WHOは各国が今年5月までに対策を講じるように要請している。 ウクライナで行われていたことを考えると、WHOは各国政府に何らかの政策を強制するため、パンデミックを演出するための病原体を研究させているようにも思える。 WHOに対する2018年から19年にかけての寄付者を見ると、第1位はアメリカ、第2位はビル・アンド・メリンダ・ゲーツ財団、第3位はイギリス、そして第4位はGavi。このGaviはワクチンを推進するため、2000年にWEF(世界経済フォーラム)の年次総会で設立された団体。活動資金はWHO、UNICEF(国連児童基金)、世界銀行、ビル・アンド・メリンダ・ゲーツ財団などから得ている。WHOは私的権力に操られている。
2022.03.15
ウラジミル・プーチン露大統領がドンバス(ドネツクやルガンスク)の独立を承認する2日前、ウクライナの政治家、オレグ・ツァロフは「大虐殺が準備されている」と題する緊急アピールを発表していた。ボロディミル・ゼレンスキー大統領がごく近い将来、ドンバスで軍事作戦を開始するという情報をキエフから得たというのだ。 それによると、この地域を制圧した後、キエフ体制に従わない住民を「浄化」するという内容で、西側からの承認を得ているともしていた。この作戦と並行してSBU(ウクライナ保安庁)はネオ・ナチと共同で「親ロシア派」の粛清を実行することにもなっていたとされている。戦闘が始まった後、ロシア軍はウクライナ軍が残した文書を回収、3月にドンバス(ドネツクやルガンスク)をウクライナ軍は攻撃する計画だったことが判明したという。こうした計画をドンバスやロシア政府が察知していた可能性はある。 ロシア政府は軍事作戦を始めた際、ゼレンスキー政権に対し、クリミアとセバストポリがロシア領だと認めてNATO加盟をウクライナは断念し、非武装化(攻撃的な軍事施設や兵器を持たない)して中立を宣言するように求めた。そして「非ナチ化」も目標のひとつにしている。 現在のウクライナ体制は2014年2月にバラク・オバマ政権がネオ・ナチを使ったクーデターで作り上げた。それ以来、ネオ・ナチはウクライナで大きな影響力を維持している。そのクーデターを現場で指揮していたのが国務次官補だったビクトリア・ヌランドであり、ホワイトハウスで担当していたのが副大統領を務めていたジョー・バイデンだ。現在、ヌランドは国務次官、バイデンは大統領をそれぞれ務めている。ウクライナとナチズムとの関係は本ブログでも繰り返し書いてきたので今回は割愛するが、この問題を避けてウクライナ情勢を理解することは不可能だ。 ロシア軍はウクライナに対する攻撃を巡航ミサイル「カリブル」の発射で始めた。ハリコフ、クラマトルスク、ドニプロ、マリウポリ、ザポリージャ、そしてキエフで爆発音が聞かれたと伝えられているのだが、アメリカ軍がウクライナに保有していた生物兵器の研究開発施設も攻撃のターゲットだったとする分析がアメリカで流れた。 ウクライナにアメリカが生物化学兵器の研究施設を保有していたことは現地のアメリカ大使館も認めていた。一時削除されていたが、隠しようがない。しかもヌランド国務次官は3月8日、上院外交委員会でウクライナにおける生物化学兵器について質問され、そうした研究施設が存在することを否定しなかった。 そのWHOはロシア軍がウクライナへの軍事作戦を始めた直後、ウクライナの保健省に対し、危険性の高い病原体を破壊するように強く勧めたとロイターは伝えている。WHOはウクライナにあるアメリカ軍の研究施設で危険度の高い病原体を扱っていることを知っていた。 ウクライナでアメリカの生物兵器の研究開発施設を建設するという話が流れたのは2013年のことだった。アメリカ国防総省がハリコフ周辺にレベル3のバイオ研究施設を作ろうとしていると訴えるリーフレットがまかれたのだ。実際、建設されたとされている。このほかドニプロ、ミコライフ、リビフ、ウジホロド、テルノポリ、ビンニツヤ、キエフにも施設があり、研究員は外交特権で守られていたという。 こうした施設は「エコヘルス連合」も」運営に参加しているとされているのだが、この構図は武漢病毒研究所(WIV)と似ている。アンソニー・ファウチが所長を務めるNIAID(国立アレルギー感染症研究所)は2014年からコロナウイルスの研究費としてピーター・ダスザクの「エコヘルス連合」へ数百万ドルを提供、その一部はWIVの研究員へ提供されていたと伝えられているのだ。エコヘルス連合はWHO(世界保健機関)にアドバイスする立場にもある。それだけでなく、NIAIDの上部機関であるNIH(国立衛生研究所)からWIVへ研究費として370万ドルが提供されていたとも伝えられている。 ロシア軍は自国の安全が脅かされることを容認しないとしてウクライナを攻撃した。核弾頭を搭載できる超音速ミサイルだけでなく、生物化学兵器やネオ・ナチの問題もある。アメリカはモスクワを5分程度で核攻撃できるミサイルをウクライナに配備し、危険度の高い生物化学兵器を研究開発する施設を建設、第2次世界大戦でロシア人を惨殺したナチスの後継者にウクライナを任せている。そのナチスにはウクライナのステファン・バンデラ(OUN・B)も含まれている。
2022.03.14
ロシア軍は3月13日にポーランドとの国境近くにあるヤボリウ基地を巡航ミサイルで攻撃した。ここでウクライナ軍が携帯式対戦車ミサイル「ジャベリン」などを使い、軍事訓練しているとロイターは2月4日に伝えている。ロシア軍の戦車部隊が侵攻することを想定しての訓練だとしていた。 攻撃後、ニューヨーク・タイムズ紙はヤボリウ基地がウクライナ軍と西側の軍隊とを結びつける場所で、重要な兵站基地であると同時に外国から来た戦闘員を訓練するセンターでもあるとしている。この点、欧米の有力メディアもロシア側の主張を認めたと言えるだろう。都市の住民を狙ったわけでないということになる。 そうした基地が狙われることは驚きでないが、位置が問題。ポーランドとの国境に近くにあるターゲットをロシア軍のミサイルは正確に破壊したということになるからだ。 アメリカ/NATOがヤボリウ基地を兵站の拠点にし、同時に戦闘員の訓練センターにした理由は、そこならロシア軍が攻撃しにくいと考えたからのはずで、そこが攻撃されたことにアメリカはショックを受けているだろう。
2022.03.14
ロシア軍が巡航ミサイルでウクライナの西端、ポーランドとの国境近くにあるヤボリウ基地を3月13日に攻撃した。ロシア政府は3月12日、アメリカに対して西側から運ばれてくる武器/兵器は攻撃の対象になると強く警告している。 ここは事実上、NATOの基地。アメリカが提供する2億ドルで調達した武器/兵器をポーランドから運び込み、ウクライナの兵士を訓練してきた。アメリカが提供してきた武器/兵器には携帯式防空ミサイルシステムの「スティンガー」や携帯式対戦車ミサイルの「ジャベリン」が含まれているが、ここにきて「ミグ29」戦闘機の供与も議論されている。 シリアへの侵略戦争でアメリカは当初、トルコに拠点を築き、そこから戦闘員と武器/兵器を送り込んでいた。ポーランドを使い、同じことをしている可能性がある。それを許さないという姿勢をロシアは示したのかもしれない。 2月21日にドンバス(ドネツクやルガンスク)の独立を承認したのはロシアのウラジミル・プーチン大統領であり、2月24日にウクライナをミサイルで攻撃したのはロシア軍だが、そこに至る道筋を無視することはできない。 ウクライナをNATOへ加盟させたり、ウクライナに攻撃に使えるミサイルを持ち込むことはロシアの安全保障にとって受け入れることはできないので話し合おうとロシア政府は持ちかけていた。ウクライナに超音速ミサイルが配備されたなら5分でモスクワへ到達する。 プーチン大統領は11月30日、NATOがウクライナの「レッド・ライン」を超えたならロシアは行動せざるを得ないと警告したが、ジョー・バイデン政権やNATOのイェンス・ストルテンベルグ事務総長はロシアに唾を吐きかけるだけだった。 戦闘が始まった後、ロシア軍が回収した文書からウクライナの親衛隊が3月にドンバス(ドネツクやルガンスク)を攻撃する計画をたてていたことが判明している。 これは、ウクライナの政治家、オレグ・ツァロフが2月19日に出した緊急アピール「大虐殺が準備されている」に合致する。ツァロフによると、ボロディミル・ゼレンスキー大統領がごく近い将来、ドンバスで軍事作戦を開始するという情報をキエフから得たとしていた。 この地域を制圧してからキエフ体制に従わない住民を「浄化」するという作戦で、西側からの承認を得ているともしていた。この作戦と並行してSBU(ウクライナ保安庁)はネオ・ナチと共同で「親ロシア派」の粛清を実行することにもなっていたという。 ウクライナをめぐってロシアとアメリカの対立が高まると、日本を含む西側ではアメリカ政府の公式見解に反する情報に対する統制が強化されている。その統制された情報を流しているのが有力メディア。そうしたルートから伝えられる情報を信じている日本人は少なくない。 ウクライナの現状を知るには、少なくとも2014年2月にバラク・オバマ政権がネオ・ナチを使って行ったクーデターから考えなければならないが、ウクライナにネオ・ナチの武装集団が存在している理由を理解するためには第2次世界大戦の前までさかのぼる必要がある。 1920年代からウクライナにはOUN(ウクライナ民族主義者機構)なる組織が存在していたが、41年3月に分裂、ステファン・バンデラを中心とする一派はOUN-Bと呼ばれるようになった。 このOUN・Bをイギリスの情報機関MI6のフィンランド支局長だったハリー・カーが雇うが、その一方でドイツが資金を提供し、バンデラの側近だったミコラ・レベジはクラクフにあったゲシュタポ(国家秘密警察)の訓練学校へ入っている。OUN・BはMI6とゲシュタポのハイブリッドだとも言える。OUN・Bの流れが現在のネオ・ナチにつながっている。 同じ頃、カトリック勢力の中にバルト海からエーゲ海まで、つまり中央ヨーロッパをカトリックで統一しようという動きがあった。いわゆる「インターマリウム」だ。この構想はロシアを制圧してアングロ・サクソンが世界の覇者になるというプラント結びついた。インターマリウムの延長線上にあるのが2015年に創設された「TSI(三海洋イニシアチブ)」。これを推進してきたのがネオコンである。 中央ヨーロッパ統一の動きを生み出す上で重要な役割を果たしたのがブリュッセルを拠点としたPEU(汎ヨーロッパ連合)だと考えられている。この組織はオットー・フォン・ハプスブルク大公らによって1922年に創設され、メンバーにはウィンストン・チャーチルも含まれていた。(Stephen Dorril, “MI6”, Fourth Estate, 2000) カトリック国のポーランドでも反ロシア感情は強く、ユゼフ・ピウスツキを中心として1925年には「プロメテウス同盟」という地下組織が編成されている。一時期、この組織はウクライナの反ロシア組織と連携していた。 ピウスツキの後継者がウラジスラフ・シコルスキー。1939年9月にパリへ脱出して亡命政権を作り、翌年6月にチャーチルと会談、亡命政権はロンドンへ移動した。 シコルスキーの側近だったユセフ・レッティンゲルはヨーロッパをイエズス会の指導の下で統一しようと活動していた人物で、大戦が終わった後、1952年にオランダのベルンハルト(ユリアナ女王の夫)に接近し、その人脈を利用してアメリカのハリー・トルーマン政権やドワイト・アイゼンハワー政権につながり、「ビルダーバーグ・グループ」を創設することになる。 そうした動きの中、アメリカの支配層はナチスの幹部や協力者を逃亡させて保護、さらに訓練したり工作に使うことになる。ウクライナでアメリカがネオ・ナチを使っているのは歴史的な必然だ。
2022.03.14
ウクライナで戦っている主体はアメリカとロシアである。ただ、ロシアは自らが前面に出ているのに対し、アメリカは特殊部隊を送り込む程度。ロシアもイランなどの義勇兵を受け入れているようだが、アメリカはネオ・ナチのほかムスリム同胞団やサラフィ主義者(ワッハーブ派、タクフィール主義者)を主力として使っている。漁夫の利を狙うアングロ・サクソンの常套手段だ。 アメリカはそうした手先の傭兵やウクライナの軍や親衛隊に武器/兵器、例えば携帯式防空ミサイルシステムの「スティンガー」や携帯式対戦車ミサイルの「ジャベリン」を供給しているが、ここにきて「ミグ29」戦闘機の供与も議論されているようだ。 ロシア政府はアメリカに対して武器/兵器の供給を止めるように警告していたが、止まらない。そこで3月12日、西側から運ばれてくる武器/兵器は攻撃の対象になると強く警告した。予想されていたことだが、そうなるとアメリカ/NATO側に犠牲者が出て戦争が大きくなる可能性がある。
2022.03.13
今から11年前、2011年3月11日に東北地方の太平洋沖で発生した大規模な地震が原因で東京電力の福島第1原発全ての電源が失われ、炉心が溶融する大事故になった。元東電社員の木村俊雄によると、「過渡期現象記録装置データ」から地震発生から約1分30秒後、つまり津波が来る前から冷却水の循環が急激に減少し、メルトダウンが避けられない状態になっている。 3月12日には1号機で爆発があり、14日には3号機も爆発、15日には2号機で「異音」が聞かれ、4号機の建屋で大きな爆発音があった。4号機は稼働していなかったとされているが、使用済み核燃料プールの中には1500本を超す燃料棒が入っていて、この原発全体では1万本を超していたという。福島第2原発、女川原発、東海第2原発も地震で冷却が不能になる寸前だった。 日本政府は2051年までに廃炉させるとしていたが、イギリスのタイムズ紙はこの原発を廃炉するまでに必要な時間を200年だと推定。数百年はかかるだろうと考える人もいる。その間、放射性物質は環境中に垂れ流されるだろう。廃炉作業が終了しても10万年にわたって放射性廃棄物を保管しなければならないと言われている。 東電はデブリを冷やしている汚染水を全て回収、トリチウム以外の「ほとんどの放射性物質」を除去した上で保管しているとしているが、原発の周辺は水の豊かな場所。汚染された地下水は捕捉されていない経路を通って海へ流れ出ていることも考えられる。 汚染水を全て回収、保管できているとしても、2022年秋には限界点に到達するという。そこで大気中や海洋へ放出するしかないと政府や電力会社は考えているようだ。言うまでもなく、薄めても放射性物質の総量は変化しない。 事故で環境中に放出された放射性物質の放出総量はチェルノブイリ原発事故の1割程度、後に約17%に相当すると発表されているが、その算出方法に問題があるとも指摘されている。 この計算の前提では、圧力抑制室(トーラス)の水で99%の放射性物質が除去されることになっているが、今回は水が沸騰していたはずで、放射性物質の除去は困難。トーラスへの爆発的な噴出で除去できないとする指摘もある。そもそも格納容器も破壊されていた。 原発の元技術者であるアーニー・ガンダーセンは少なくともチェルノブイリ原発事故で漏洩した量の2~5倍の放射性物質を福島第一原発は放出したと推測している(アーニー・ガンダーセン著『福島第一原発』集英社新書)が、10倍程度だと考えても非常識とは言えない。 環境中に放出された放射性物質の人体への影響は早い段階から報告されていた。例えば、医療法人の徳洲会を創設した徳田虎雄の息子で衆議院議員だった徳田毅は事故の翌月、2011年4月17日に自身の「オフィシャルブログ」(現在は削除されている)で次のように書いている: 「3月12日の1度目の水素爆発の際、2km離れた双葉町まで破片や小石が飛んできたという。そしてその爆発直後、原発の周辺から病院へ逃れてきた人々の放射線量を調べたところ、十数人の人が10万cpmを超えガイガーカウンターが振り切れていたという。それは衣服や乗用車に付着した放射性物質により二次被曝するほどの高い数値だ。」 事故当日にメルトダウン、つまり内部は破壊されて温度と圧力は急上昇、放射性物質は環境中へ放出されはじめる。12日の午後2時半頃にベント(排気)したとされているが、双葉町ではベント前に放射線量が上昇していたと伝えられている。そして午後3時36分に爆発。 建屋の外で燃料棒の破片が見つかるのだが、この破片についてNRC(原子力規制委員会)新炉局のゲイリー・ホラハン副局長は2011年7月28日に開かれた会合で、発見された破片は炉心にあった燃料棒のものだと推測できるとしている。マンチェスター大学や九州大学の科学者を含むチームは原子炉内から放出された粒子の中からウラニウムや他の放射性物質を検出した。 事故当時に双葉町の町長だった井戸川克隆によると、心臓発作で死んだ多くの人を彼は知っているという。セシウムは筋肉に集まるようだが、心臓は筋肉の塊。福島には急死する人が沢山いて、その中には若い人も含まれているとも主張、東電の従業員も死んでいるとしている。 日本の有力メディアは事故の前には原発の「安全神話」を広め、事故後にも深刻な状態にあることを隠し、自分たちはいち早く逃げていたと言われている。政府を含む原発利権の宣伝部門に徹していたのだ。 この出来事でWHO(世界保健機関)が人びとの健康を守ろうとしたとは思えない。この組織が1959年にIAEA(国際原子力機関)と結んだ合意文書の第1条第3項の規定により、一方の機関が重大な関心を持っている、あるいは持つことが予想されるテーマに関するプログラムや活動の開始を考えている場合、プログラムや活動を考えている機関はもうひとつの機関に対し、問題を調整するために相談しなければならないことになっていた。つまり、IAEAの許可がなければ、WHOは放射線の健康被害に関して発表することはできない。 WHOはCOVID-19(2019年-コロナウイルス感染症)騒動で米英の巨大資本に支配されていることも知られるようになった。2018年から19年にかけての上位寄付者を見ると、第1位はアメリカ、第2位はビル・アンド・メリンダ・ゲーツ財団、第3位はイギリス、そして第4位はGavi。 Gaviはワクチンを推進するため、2000年にWEF(世界経済フォーラム)の年次総会で設立された団体であり、活動資金はWHO、UNICEF(国連児童基金)、世界銀行、ビル・アンド・メリンダ・ゲーツ財団などから得ている。 WEFは欧米を支配する巨大資本ネットワークの一部で、創設者のクラウス・シュワブは2020年6月、COVID-19騒動を利用して「資本主義の大々的なリセット」を行うと宣言した。 巨大の私的権力のために奉仕するWHO、そうした利権集団の宣伝機関に徹する有力メディア。原発事故でもCOVID-19騒動でもアメリカの侵略戦争でも構図は同じだ。ウクライナでの戦争も短期的に見て、2014年にアメリカ政府がネオ・ナチを使って行ったクーデターから始まっている。有力メディアは私的権力にとって都合の悪い話を隠し、都合良く作り上げたストーリーを流すプロパガンダ機関にすぎない。突如、彼らが事実を伝え始めるなどということはない。
2022.03.13
世界を収容所化し、経済活動を破壊してきた「COVID-19(2019年-コロナウイルス感染症)騒動」は2020年3月11日にWHO(世界保健機関)がパンデミックを宣言した時から始まる。「黒死病」のように多くに人びとが死んでいくと思った人も少なくないだろうが、実態は違う。 パンデミックという用語から受けるイメージと実態との間で大きな乖離があるのだが、そうしたことが起こった一因はパンデミックの定義が変更されていたからだ。 WHOは2009年1月から10年8月にかけての時期にもパンデミックを宣言している。「新型インフルエンザ(豚インフルエンザ)」が流行しているという理由からだが、その直前にWHOはパンデミックの定義を変更している。深刻な死者数の存在が定義から外されたのだ。そのためWHOは恣意的にパンデミックを宣言できるようになった。 パンデミック宣言後、ロックダウン(監禁政策)を宣言する国が出てくるが、日本は憲法の制約もあり、「自粛」にとどまる。人びとの行動は制限され、言論への規制も強まるが、ロックダウンするかどうかは各国政府の判断にかかっていたと言える。各国の国民が反対すればそうした統制が難しくなるということだ。そうした中、各国でロックダウンや「COVID-19ワクチン」の強制接種に反対する声が高まってくる。 それに対し、今年1月下旬にWHOは緊急会議をジュネーブで開き、パンデミックなど危機的な状況下では全ての加盟国にWHOが命令できるようにすることを討議している。パンデミックの宣言は恣意的にできるわけで、恣意的に各国へロックダウンを命令できるということになったと言える。WHOは各国が今年5月までに対策を講じるように要請。この方針に異議を唱えているのはロシアだけだという。 組織を誰が支配しているかを知りたいなら、誰が資金を出しているかを調べるのが基本である。WHOの場合、2018年から19年にかけての上位寄付者を見ると、第1位はアメリカ、第2位はビル・アンド・メリンダ・ゲーツ財団、第3位はイギリス、そして第4位はGaviだ。 Gaviはワクチンを推進するため、2000年にWEF(世界経済フォーラム)の年次総会で設立された団体。活動資金はWHO、UNICEF(国連児童基金)、世界銀行、ビル・アンド・メリンダ・ゲーツ財団などから得ている。 WEFは欧米を支配する巨大資本ネットワークの一部で、創設者のクラウス・シュワブは2020年6月、COVID-19騒動を利用して「資本主義の大々的なリセット」を行うと宣言した。 そのWHOはロシア軍がウクライナへの軍事作戦を始めた直後、ウクライナの保健省に対し、危険性の高い病原体を破壊するように強く勧めたとロイターは伝えている。 アメリカ国防総省の支援を受け、ウクライナで生物化学兵器の研究開発が進められていたことをアメリカやその従属国は現在、否定しているが、アメリカ大使館はそうした研究施設が存在していることを認めていた。ビクトリア・ヌランド国務次官は3月8日、上院外交委員会でウクライナにおける生物化学兵器について質問され、そうした研究施設が存在することを否定しなかった。WHOは少なくともそうした研究の内容を知っていた可能性が高い。
2022.03.12
アメリカのFDA(食品医薬品局)とCDC(疾病予防管理センター)が共同で運用しているVAERS(ワクチン有害事象報告システム)への自主的な報告によると、「COVID-19(2019年-コロナウイルス感染症)ワクチン」による死亡者数は3月4日現在、前の週より331名増え、2万5158名に達した。一般的にVAERSに報告される件数は全体の1%から10%程度にすぎ無いと言われ、実際は20万人強から200万人強に達するということになる。
2022.03.12
親衛隊の主力である「アゾフ大隊(またはアゾフ連隊)」が拠点としてきたマリウポリにある産婦人科病院をロシア軍が3月9日に攻撃したとアメリカのCNNは伝えた。その話をロシア批判の材料に使う人も少なくないようだが、攻撃の前にこの病院を記事の中で取り上げたオンライン新聞が存在する。モスクワを拠点とする「レンタ・ル」だ。 その記事が掲載されたのは現地時間で3月8日午前0時1分。レンタ・ルの記者はマリウポリからの避難民を取材、その避難民によると、2月28日に制服を着た兵士が問題の産婦人科病院へやってきて、全ての鍵を閉め、病院のスタッフを追い払って銃撃ポイントを作っていた。つまり病院を要塞化した。 CNNの記事を読み、奇妙な印象を持った人もいるだろう。写真で見る限り病院はかなり大きく、報道によると病室は数百あったという。その建物は爆風で窓は全て吹き飛び、壁の破損も酷い。その病院が実際に使われていたなら、「少なくとも17名が負傷」という程度では済まないだろう。 アメリカ/NATOに対し、飛行禁止空域を設定するように求めているボロディミル・ゼレンスキー大統領はこの爆撃も要求の根拠にしているのだが、ロシアとの核戦争を望まないアメリカ/NATOは消極的だ。 2019年の大統領選挙の際、ゼレンスキーはロシアとの関係修復を訴えていたが、実際の政策は正反対だった。アメリカ/NATOやその手先であるネオ・ナチの圧力を跳ね除けられなかったわけだ。飛行禁止空域の問題はネオ・ナチから要求されているのかもしれない。 3月4日にはザポリージャ原発がロシア軍に制圧されたと言われているが、この件でもゼレンスキーや西側の有力メディアは扇情的に伝えていた。原発が破壊されて大きな被害をロシアは被るわけで、無謀な作戦をとる理由がない。むしろ、劣勢にあるウクライナ側、特に親衛隊が原発を「汚い爆弾(放射性物質兵器)」として使うことが懸念されていた。 そして3月7日、ロシア軍の核生物化学防護部隊を率いているイゴール・キリロフ中将は記者会見を開き、ウクライナの生物兵器の研究開発施設から回収した文書について語った。そうした研究施設があることはウクライナのアメリカ大使館も認めていたが、その実態に迫るための文書を回収できたということだろう。 ウクライナにはアメリカのDTRA(国防脅威削減局)にコントロールされた研究施設が30カ所あると言われている。ロシア国防省によると、ウクライナの研究施設で鳥、コウモリ、爬虫類の病原体を扱う予定があり、ロシアやウクライナを含む地域を移動する鳥を利用して病原体を広める研究もしていたことが判明したという。 キリロフは以前からアメリカが中国やロシアとの国境近くに細菌兵器の研究施設を建設してきたと主張していた。そうした施設が作られた国として名前が挙がっているのはウクライナに限らない。 こうした話を西側では「偽情報」だとされてきたが、3月8日にはビクトリア・ヌランド国務次官が生物化学兵器の研究施設がウクライナにあることを上院外交委員会で認めた。 マルコ・ルビオ上院議員の質問に答えたのだ。議員は「偽情報」だとする答えを期待していたようだが、すでにロシア政府に証拠を握られているので、嘘をつくと後に問題化すると考えたのかもしれない。 その際、ヌランドは生物化学兵器をロシア軍が押収するかもしれないと懸念している。ウクライナの研究施設で生物化学兵器の研究開発が行われていたこと事実上、認めたわけだが、その生物兵器を「ロシアが」使うかもしれないと語った。偽旗作戦の布石かもしれない。
2022.03.12
ロイターによると、ロシア軍がウクライナへの軍事作戦を始めた直後にWHO(世界保健機関)はウクライナの保健省に対し、危険性の高い病原体を破壊するように強く勧めたという。その病原体が環境中に漏れ出ることを恐れたからだというが、ウクライナの研究施設にそうした病原体が存在していることをWHOは知っていた。何をしているかも知っていた可能性がある。 ロシア軍の核生物化学防護部隊を率いているイゴール・キリロフ中将は3月7日、ウクライナの研究施設で回収した文書から同国にはアメリカのDTRA(国防脅威削減局)にコントロールされた研究施設が30カ所あるとしている。 ロシア国防省によると、ウクライナの研究施設で鳥、コウモリ、爬虫類の病原体を扱う予定があり、ロシアやウクライナを含む地域を移動する鳥を利用して病原体を広める研究もしていたという。またロシア外務省のマリア・ザハロワ報道官は、ウクライナの研究施設に保管されていたサンプルが証拠隠滅のために破壊されていると繰り返している。 西側で「ファクト・チェック」なるものをしている人びとはロシア側の主張を「偽情報」だと主張してきたが、3月8日には上院外交委員会でビクトリア・ヌランド国務次官はそうした研究施設が存在することを否定しなかった。その上で、生物化学兵器をロシア軍が押収して使うかもしれないとしている。 ロシア政府は以前からアメリカがロシアの国境周辺に生物化学兵器の研究開発施設を建設していると批判していたが、それが事実だと確認されたと言える。その研究開発にWHOも関係していた疑いが出てきた。
2022.03.11
ウクライナ大統領のボロディミル・ゼレンスキーは1万6000人の外国人傭兵がロシア軍と戦うために入国すると語っている。シリアのイドリブから約450名のジハード傭兵(アル・カイダ系武装集団の戦闘員)がウクライナへ向かうという報道もあるが、その一方で、約70人の日本人が「義勇兵」に応募、そのうち約50名は元自衛官だという。 本人たちがどのように思っているかは別にして、アメリカが使う戦闘員は傭兵である。その時の役回りによって「自由の戦士」というタグが付けられたり「テロリスト」というタグが付けられたりするが、侵略の手先としての傭兵である。 2014年2月にアメリカのバラク・オバマ政権は傭兵としてネオ・ナチを使い、暴力的なクーデターでビクトル・ヤヌコビッチ政権を倒した。ヤヌコビッチは2010年の選挙で選ばれた大統領で、地盤は東部や南部。ロシア語を使う住民が多い地方で、ロシアに親近感を持っている。つまりアメリカにとって目障りな人びとだ。 そのヤヌコビッチが当選した理由のひとつは、2004年から05年にかけての「オレンジ革命」で大統領の座をもぎ取ったビクトル・ユシチェンコの新自由主義的政策への反発だ。ボリス・エリツィン時代のロシアと同じように政治と経済を握った腐敗勢力が私利私欲に走り、国民の大多数は貧困化、貧富の差が拡大したからだ。「オレンジ革命」で排除された大統領もヤヌコビッチだった。 2014年の場合、新たな「オレンジ革命」はできなかっただろう。国民はその実態を知っているからだ。そこで第2次世界大戦の終盤から手先として保護、育成してきたナチスの人脈を利用したわけだ。軍や治安機関の内部にもクーデター体制に反発する人が少なくなかった。そこでネオ・ナチを主力とする親衛隊を作ったわけである。 ウラジミル・プーチン露大統領は2月21日にドンバス(ドネツクやルガンスク)の独立を承認、ウクライナに対し、クリミアとセバストポリがロシア領だと認めてNATO加盟をウクライナは断念するように要求、ウクライナを非武装化(攻撃的な軍事施設や兵器を持たない)して中立を宣言するように求めているが、さらに「非ナチ化」も目標に掲げている。ネオ・ナチを一掃するということだ。 ロシア軍は2月24日に攻撃を開始、巡航ミサイル「カリブル」などで航空基地が破壊したと言われているが、その際にウクライナの生物兵器研究開発施設もターゲットにしたとする説が流れていた。アメリカ側は「偽情報」だとしていたが、そうした施設が存在していたことは記録に残っている。 そして3月7日、ロシア軍の核生物化学防護部隊を率いているイゴール・キリロフ中将は記者会見でウクライナの生物兵器の研究開発施設から回収した文書について語った。ウクライナにはアメリカのDTRA(国防脅威削減局)にコントロールされた研究施設が30カ所あるとしている。 3月8日には上院外交委員会でマルコ・ルビオ上院議員からビクトリア・ヌランド国務次官はウクライナの施設で研究されている生物化学兵器について質問され、そうした研究施設が存在することを否定しなかった。さらに生物化学兵器をロシア軍が押収するかもしれないと懸念している。ウクライナの研究施設で生物化学兵器の研究開発が行われていたこと事実上、認めたわけだ。 ロシア国防省によると、ウクライナの研究施設で鳥、コウモリ、爬虫類の病原体を扱う予定があり、ロシアやウクライナを含む地域を移動する鳥を利用して病原体を広める研究もしていたようだ。 これまでアメリカが使ってきた手口を考えると、生物化学兵器を何処かで使い、その責任をロシア軍に押し付けようとするかもしれない。そうした手法は例えば、シリアで使った。この時は早い段階で嘘が発覚したが、西側の有力メディアはアメリカを厳しく批判するようなことはしていない。 傭兵や偽旗作戦。ウクライナがシリア化する可能性もある。そのシリアで侵略戦争が始まってから1年ほど後、メルキト東方典礼カトリック教会の修道院長、フィリップ・トルニョル・クロは住民虐殺事件を調べるためにシリアへ入って調査、その報告をローマ教皇庁の通信社が伝えている。 住民を虐殺したのは外国から侵入したサラフィスト(ワッハーブ派、タクフィール主義者)の戦闘員で、兵器や武器はカタールやサウジアラビアから得ていることを彼は知った。「もし、全ての人が真実を語るならば、シリアに平和をもたらすことができる。1年にわたる戦闘の後、西側メディアの押しつける偽情報が描く情景は地上の真実と全く違っている」と彼が報告したのはそのためだ。 この指摘はウクライナにも当てはまる。つまり西側の有力メディアはウクライナでも同じことを行っているのだ。
2022.03.11
ウクライナの生物兵器の研究開発施設から回収した文書に続き、親衛隊が3月に予定していたドンバス(ドネツクやルガンスク)への攻撃計画に関する文書を発見したとロシア国防省は発表した。2月19日にオレグ・ツァロフが出した緊急アピール「大虐殺が準備されている」に合致する。 ツァロフによると、ボロディミル・ゼレンスキー大統領がごく近い将来、ドンバスで軍事作戦を開始するという情報をキエフから得たとしていた。この地域を制圧してからキエフ体制に従わない住民を「浄化」するという作戦で、西側からの承認を得ているともしていた。この作戦と並行してSBU(ウクライナ保安庁)はネオ・ナチと共同で「親ロシア派」の粛清を実行することにもなっていたという。 ウクライナではバラク・オバマ政権を後ろ盾とするネオ・ナチが2014年2月にクーデターを実行、ビクトル・ヤヌコビッチ大統領を排除しているが、その3カ月前、ツァロフは議会でクーデターが計画されていると警鐘を鳴らす演説を行っている。アメリカとつながっている勢力の情報を知っている情報源を持っているのだろうが、個人の耳に入っているということはロシアの情報機関も知っていたはずだ。 回収された文書によると、ニコライ・バラン上級大将が1月22日に指令書へ署名、ドンバスを攻撃する準備が始まる。2月中に準備を終え、3月に作戦を実行することになっていたという。この作戦はゼレンスキーが1月18日に出した指示に従って立てられたと言われている。 この話が事実なら、ロシア語系住民を虐殺する計画をアメリカ/NATOはその前に承認していただろう。その頃の動きを振り返ると、NATOのイェンス・ストルテンベルグ事務総長はどの国をNATOに加盟させるかを決めるのは自分たちの勝手だと宣言した。 アメリカのジェイク・サリバン国家安全保障補佐官は1月13日、ロシア軍がウクライナへ軍事侵攻する可能性が高いと発言。その直後にアメリカのメディアは、CIAが2015年からウクライナの特殊部隊をアメリカの南部にある秘密基地で訓練してきたと伝えている。 さらに、アメリカの上院議員団がキエフを訪問し、ウクライナに「連帯」と兵器の提供を約束、アメリカ国務省はアメリカ製兵器をエストニア、ラトビア、リトアニア経由でウクライナへ供給することを許可したと明らかにしている。イギリスの特殊部隊員30名がウクライナ入りしたのもその頃だ。そうした中、ゼレンスキー政権はロシア軍の侵攻が迫っているとする情報はないと繰り返していた。 イギリスのリズ・トラス外相は1月30日にBBCの取材に対し、バルト諸国が黒海に面していると発言、モスクワを訪問してロシアのセルゲイ・ラブロフ外相と会談した際にはロシア領であるボロネジやロストフからロシア軍は撤退しろと脅している。 ロシア軍が軍事作戦を開始した後の2月27日、トラス外相はロシア軍をウクライナで止められなければNATO軍と戦わせることになると発言した。NATO軍とロシア軍が衝突すれば世界大戦になり、核戦争へ発展する可能性が高い。そこでウラジミル・プーチン露大統領は国防大臣と参謀総長に対し、核兵器部隊を特別戦闘任務につかせるように命令したと伝えられている。核戦争でロシアを脅し、軍事作戦にブレーキをかけようとしたのかもしれないが、そうした展開にはならなかった。
2022.03.10
ロシア軍の核生物化学防護部隊を率いているイゴール・キリロフ中将は3月7日に記者会見を開き、ウクライナの生物兵器の研究開発施設から回収した文書について語った。ウクライナにはアメリカのDTRA(国防脅威削減局)にコントロールされた研究施設が30カ所あるという。この問題はCOVID-19(2019年-コロナウイルス感染症)騒動に飛び火する可能性もある。 2月24日にロシア軍はウクライナに対する攻撃を開始。巡航ミサイル「カリブル」などで航空基地が破壊されたと言われているが、その際にウクライナの生物兵器研究開発施設も狙われたとされていた。アメリカ側の証拠隠滅を防ぐためだというのだ。当初、アメリカ側は「偽情報」だとしていたが、そうした施設が存在していたことは記録に残っている。 3月8日には上院外交委員会でビクトリア・ヌランド国務次官はウクライナの施設で研究されている生物化学兵器について質問され、ロシア軍に押収されるかもしれないと懸念している。つまり、ウクライナの研究施設で生物化学兵器の研究開発が行われていたことを否定しなかった。 アメリカの支配層は政府だけでなく、配下のハイテク企業に検閲を強化させ、自分たちにとって都合の悪い情報の発信を妨害しているが、それでもウクライナにおける生物化学兵器の研究開発を含め、世界にはさまざまな情報が飛び交っている。情報源の信頼度、ほかの情報との整合性、歴史的な分析などを行い、その情報を評価するわけだが、はなから「X政府や軍部からの情報はもちろん全く信頼できない」と切り捨てるわけにはいかない。 しかし、本ブログでも繰り返し具体的に書いてきたように、アメリカが「言論・表現の自由や取材・報道の自由を権力と暴力で弾圧している」国だということは否定できない。1980年代以降、その傾向は加速度的に強まってきた。2011年春に始まったリビアやシリアに対する侵略戦争以降、西側有力メディアの「報道」から事実を探すことは容易でなくなったが、それでもアメリカの有力メディアを信頼している人は少なくない。「アメリカ様信仰」だ。 2012年の前半、メルキト東方典礼カトリック教会の修道院長、フィリップ・トルニョル・クロがシリアへ入って調査、その報告をローマ教皇庁の通信社が伝えている。 彼によると、「もし、全ての人が真実を語るならば、シリアに平和をもたらすことができる。1年にわたる戦闘の後、西側メディアの押しつける偽情報が描く情景は地上の真実と全く違っている」。この指摘はウクライナにも当てはまる。
2022.03.09
日本政府は3月8日、ロシアやベラルーシに対して敵対的な「措置」を実施すると発表した。アメリカの属国である日本としては当然のこのなのだろうが、そうした事情はともかく、ロシアにとって日本は敵性国家のひとつになった。近日中に日本も「制裁」の対象になると見られている。 ロシア制圧はアメリカやイギリスの支配層にとって19世紀以来、世界制覇の中心だが、短期的に考えても現在の戦いは2014年2月に始まっている。ネオ・ナチを使ったクーデターでウクライナのビクトル・ヤヌコビッチ政権を倒し、ロシア語を話すウクライナ国民を殺害し、国外へ追い出してきた。それに対し、クリミアで市民がロシアへ保護を求め、ドンバス(ドネツクやルガンスク)の市民が戦ってきたのである。 2月19日に「大虐殺が準備されている」という緊急アピールを出したオレグ・ツァロフはクーデター当時、ヤヌコビッチ大統領派の議員だったが、2013年11月20日に議会でクーデター計画の存在を訴えていた。 実際、その直後からアメリカ政府の支援を受けた反ヤヌコビッチ派がユーロマイダン(ユーロ広場、元の独立広場)で反政府集会を開き、年明け後にはネオ・ナチが前面に出てくる。そして暴力的なクーデターにつながるわけだ。 ツァロフによると、ボロディミル・ゼレンスキー大統領はドンバスで軍事作戦を開始、かつてクロアチアで行われたように、この地域を制圧してからキエフ体制に従わない住民を「浄化」する計画で、これと並行してSBU(ウクライナ保安庁)はネオ・ナチと共同で「親ロシア派」の粛清を実行することにもなっていたという。 先住民を殺し、追放し、自分たちにとって都合の良い人々を移住させるという手法をアングロ・サクソンの支配者は使ってきた。アメリカやイスラエルの「建国」はそのようにして達成されている。ズブグネフ・ブレジンスキーがアフガニスタンへサラフィー主義者(ワッハーブ主義者やタクフィール主義者と渾然一体)やムスリム同胞団を中心とする戦闘員を送り込んだ時も、戦闘員に対し、そうしたことを言っていた。 クーデター後、正規軍や治安部隊から兵士や隊員が反クーデター軍へ流れ、残された軍隊は弱体化する。そうしたこともあり、3月に「右派セクター」などネオ・ナチを中心とする親衛隊が編成された。5月になると右派セクターを中心に「アゾフ大隊」が正式に発足する。現在、親衛隊の中核はこのアゾフ大隊(またはアゾフ連隊)だ。 そうした中、4月12日にジョン・ブレナンCIA長官がキエフを極秘訪問、22日にはジョー・バイデン米副大統領がキエフを訪問する。アレクサンドル・トゥルチノフ大統領代行が東部や南部の制圧作戦を承認するのはその間の14日だ。 こうした動きの前、3月16日にクリミアの市民はロシアとの一体化の是非を問う住民投票を実施している。ヤヌコビッチの支持基盤だった東部や南部ではクーデターを受け入れない人が多かったが、クリミアもそのひとつだった。投票率は80%を超え、そのうち95%以上が加盟に賛成したと発表されている。 アメリカやその従属国では、アメリカの支配層にとって都合の悪い選挙結果は不正だとされる。クリミアでもそうした宣伝がなされたが、この住民投票では国外からの監視団が入り、日本やアメリカに比べれば遥かに公正なものだったと考えられている。 対応が遅れた地域では地獄が待っていた。例えば、5月2日にはオデッサで右派セクターが反クーデター派の住民を虐殺している。広場にいた市民に暴徒が襲いかかり、労働組合会館の中へ誘導され、そこで虐殺されたのだ。その際、建物は放火された。 50名弱が殺されたと伝えられているが、これは地上階で発見された死体の数で、地下ではさらに多くの人が殺されたと言われている。120名から130名とも言われているが、その大半は運び去られたという。 その1週間後、マリウポリ市に戦車などを入れて市内を破壊、非武装の住民を殺害している。5月9日はソ連がナチスに勝ったことを記念する戦勝記念日で、住民は外で祝っていた。そこへキエフのクーデター軍が突入したのだ。その様子を携帯電話で撮影した映像が世界に発信されたが、それを見ると、住民が丸腰で戦車に向かい、殺されていく様子が映されている。5月11日に予定されていた住民投票を止めさせることも目的だっただろうが、予定通りに投票は行われ、独立の意思が示されている。 この制圧作戦はロシア語を話すウクライナ国民を虐殺する民族浄化作戦でもあったが、これを作成したのはアメリカ国防総省系のシンクタンク、RANDコーポレーションだと推測されている。 ヤヌコビッチ支持者が多かったロシア語系の住民に対する弾圧が続く中、2014年6月にペトロ・ポロシェンコが大統領に就任した。ポロシェンコがアメリカ政府へ情報を提供していたことはウィキリークスの公表した2006年4月28日付けの公電で明らかになっている。 この新大統領は6月2日にウクライナ東部にあるルガンスクの住宅街を空爆、住民を殺している。当初、ポロシェンコ政権は航空機による爆撃を否定、住民側の自衛軍によると主張していたが、インターネット上にアップロードされた映像を見れば空爆が行われた可能性は高いと言わざるをえず、欧州安保協力機構(OSCE)も空爆があったとしている。この攻撃があった6月2日、アメリカのデレク・チョレット国防次官補がキエフ入りし、作戦の調整作業を行ったとも言われている。 その後、ウクライナではネオ・ナチが跋扈、政治経済は破綻した。そうした状況の中、2019年に実施された大統領選挙ではロシアとの関係修復を訴えていたボロディミル・ゼレンスキーがポロシェンコに勝つ。そこに国民の意思が現れているが、その意志をアメリカなど西側の支配層は許さない。 2020年のアメリカ大統領選挙で勝利したジョー・バイデンがロシアに対する挑発を繰り返し、軍事的な圧力を加えてきた。軍事作戦を実施する動きも見せていた。そこまで追い詰められていたとも言える。
2022.03.09
オレグ・ツァロフというウクライナの政治家が2月19日に緊急アピールを出していた。「大虐殺が準備されている」というのだ。ロシアのウラジミル・プーチン大統領がドンバス(ドネツクやルガンスク)の独立を承認する2日前のことである。 彼によると、ボロディミル・ゼレンスキー大統領がごく近い将来、ドンバスで軍事作戦を開始するという情報をキエフから得たとしている。クロアチアで行われたように、この地域を制圧してからキエフ体制に従わない住民を「浄化」するというのだ。作戦はすでに作成され、準備は整い、西側からの承認を得ているともしていた。 この作戦と並行してSBU(ウクライナ保安庁)はネオ・ナチと共同で「親ロシア派」の粛清を実行することにもなっていたという。ターゲットには政治家だけでなく、ブロガー、ジャーナリスト、オピニオン・リーダーが含まれていたが、この情報は2月19日より前に伝わっていて、一部の政治家は国外へ脱出済みだとしている。 ツァロフはビクトル・ヤヌコビッチ大統領派の議員だった2013年11月20日、議会でクーデター計画の存在を指摘している。その直後から、反ヤヌコビッチ派がユーロマイダン(ユーロ広場、元の独立広場)で反政府集会を開始、翌年2月にはネオ・ナチによる暴力的なクーデターが実行されてヤヌコビッチは排除されたわけである。 OSCE(欧州安全保障協力機構)によると、今年2月17日頃からウクライナ側からドンバスへの攻撃が始まり、18日、19日とエスカレートしている。その段階でドンバス周辺には親衛隊のほかアメリカやイギリスの特殊部隊、アメリカの傭兵も集結、攻撃態勢が整いつつあることは知られていた。アメリカ政府はロシア軍が偽旗作戦を目論んでいる、暗殺リストを配っているなどと宣伝していたが、自分たちの作戦をカモフラージュしているのだと少なからぬ人が推測していただろう。 ロシア軍は最初のミサイル攻撃で軍事空港などを破壊、制空権を握ったとされているが、アメリカがウクライナに建設していた生物兵器の研究開発施設を破壊、証拠の隠滅を妨害しようとしたとも言われている。アメリカ側は「偽情報」だとしているが、そうした施設が存在していたことは記録に残っている。https://web.archive.org/web/20170130193016/https://photos.state.gov/libraries/ukraine/895/pdf/dtro-kharkiv-eng.pdfhttps://web.archive.org/web/20210511164310/https://photos.state.gov/libraries/ukraine/895/pdf/dtro-luhansk-eng.pdfhttps://web.archive.org/web/20170221125752/https://photos.state.gov/libraries/ukraine/895/pdf/dtro-dnipropetrovsk-eng.pdfhttps://web.archive.org/web/20210506053014/https://photos.state.gov/libraries/ukraine/895/pdf/dtro-vinnitsa-eng.pdfhttps://web.archive.org/web/20170221125752/https://photos.state.gov/libraries/ukraine/895/pdf/dtro-dnipropetrovsk-eng.pdfhttps://web.archive.org/web/20170207122550/https://photos.state.gov/libraries/ukraine/895/pdf/dtro-kherson-fact-sheet-eng.pdfhttps://web.archive.org/web/20170223011502/https://photos.state.gov/libraries/ukraine/895/pdf/dtro-ternopil-fact-sheet-eng.pdfhttps://web.archive.org/web/20170208032526/https://photos.state.gov/libraries/ukraine/895/pdf/dtro-zakarpatska-fact-sheet-eng.pdfhttps://web.archive.org/web/20170208032526/https://photos.state.gov/libraries/ukraine/895/pdf/dtro-zakarpatska-fact-sheet-eng.pdfhttps://web.archive.org/web/20170202040923/https://photos.state.gov/libraries/ukraine/895/pdf/dtro-lviv-dl-eng.pdfhttps://web.archive.org/web/20170201004446/https://photos.state.gov/libraries/ukraine/895/pdf/dtro-lviv-rdvl-eng.pdfhttps://web.archive.org/web/20161230143004/https://photos.state.gov/libraries/ukraine/895/pdf/dtro-eidss.pdfhttps://web.archive.org/web/20210506212717/https://photos.state.gov/libraries/ukraine/895/pdf/dtro-pathogen-asset-control.pdfhttps://web.archive.org/web/20170207153023/https://photos.state.gov/libraries/ukraine/895/pdf/dtro-dnipropetrovsk-rdvl_eng.pdfhttps://web.archive.org/web/20170211022339/https://photos.state.gov/libraries/ukraine/895/pdf/kiev-ivm-fact-sheet-eng.pdf そうした施設がいつから出現したかは不明だが、2013年に注目されたことは事実。アメリカ国防総省がハリコフ周辺にレベル3のバイオ研究施設を作ろうとしていると訴えるリーフレットがまかれたのだ。実際にこの施設は建設され、このほかドニプロ、ミコライフ、リビフ、ウジホロド、テルノポリ、ビンニツヤ、キエフにも同種の施設がある。研究員は外交特権で守られているようだ。 こうした施設は「エコヘルス連合」も」運営に参加しているとされていることは本ブログでも指摘した。この団体はアンソニー・ファウチが所長を務めるNIAID(国立アレルギー感染症研究所)と関係があり、WHO(世界保健機関)にアドバイスもしている。
2022.03.08
マリウポリやボルノバーハから市民を脱出するルートが3月6日の朝から開いたと伝えられている。親衛隊の主力である「アゾフ大隊(またはアゾフ連隊)」の拠点はマリウポリ。その拠点が3月4日にミサイルで破壊され、5日の午前11時から市民の脱出が始まることが決まるが、ウクライナ兵に阻止され、中止になっていた。 親衛隊は2014年3月、クーデターの翌月に組織された。アゾフ大隊はこの年の5月にネオ・ナチを中心に編成され、親衛隊の中核になる。創設資金を出したイゴール・コロモイスキーはウクライナ、キプロス、イスラエルの三重国籍を持つシオニストの富豪。その後、アゾフはアメリカからも資金を受け取っている。 アメリカの白人至上主義者に関する裁判でFBIの特別捜査官が2018年10月に提出した宣誓供述書でも、アゾフ大隊はネオ・ナチ思想と結びつき、ナチのシンボル主義を使っていると認めている。この武装集団を称賛するということは、ネオ・ナチを称賛することに等しい。 ネオ・ナチは自力でここまで生き延びてきたわけではない。1942年8月にドイツ軍25万人はスターリングラードの市内へ突入するが、11月にソ連軍が反撃を開始、ソ連軍に完全包囲されてしまった。生き残ったドイツ軍の将兵9万人余りは1943年1月に降伏する。 そのころからドイツのSS(親衛隊)は実業家のマックス・エゴン・フォン・ホヘンローヘをスイスにいたアメリカの戦時情報機関OSS(戦略事務局)のアレン・ダレスの下へ派遣して交渉を始めている。 しかし、ウォール街とナチスとの関係は第2次世界大戦の前から始まっている。遅くとも1933年にダレスが所属していたアメリカの金融界(ウォール街)はナチスに接近、資金を提供するようになったのだ。ディロン・リード、ブラウン・ブラザース・ハリマン、ユニオン・バンキングなどが資金を供給するパイプだった。 1944年になるとOSSのフランク・ウィズナーを介してダレスのグループがドイツ軍の情報将校、ラインハルト・ゲーレン准将(ドイツ陸軍参謀本部第12課長)と接触、同志的な関係になる。 ダレスたちは1945年の初頭、ハインリッヒ・ヒムラーの側近だった親衛隊のカール・ウルフに隠れ家を提供、さらに北イタリアにおけるドイツ将兵の降伏についての秘密会談が行われた。「サンライズ作戦」である。1945年5月にドイツは無条件降伏、その前の月にアメリカのフランクリン・ルーズベルト大統領は急死した。(Christopher Simpson, “The Splendid Blond Beast”, Common Courage, 1995) ドイツの情報将校だったゲーレンはソ連関連の資料を携えてCIC(米陸軍対敵諜報部隊)に投降、アメリカ第12軍のG2(情報担当)部長だったエドウィン・サイバート准将とゲーレン准将は1946年7月に新しい情報機関の創設を決めた。いわゆる「ゲーレン機関」だ。この組織にはナチスの残党が吸い込まれていき、1956年4月から西ドイツの国家機関、BND(連邦情報局)になる。 一方、アメリカの国務省はナチスの元幹部や元協力者の逃走を助け、保護し、雇い入れる「ブラッドストーン作戦」を1948年から秘密裏に始めている。この年に作成されたNSC20では、「結果として戦争を起こし、ソ連政府を打倒する」という方針が示されていた。(クリストファー・シンプソン著、松尾弌訳『冷戦に憑かれた亡者たち』時事通信社、1994年) ナチスの元幹部や元協力者を逃すルートが「ラットライン」、ナチスの科学者を保護し、自分たちの研究開発に役立てようという「ペーパークリップ作戦」もあった。 ウクライナのネオ・ナチでステファン・バンデラを中心に集まっていたOUN・Bは1943年春にUPA(ウクライナ反乱軍)として活動を開始する。その年の11月に「反ボルシェビキ戦線」を設立、大戦が終わった後の1946年4月にこの組織はABN(反ボルシェビキ国家連合)になる。 ABNは中央ヨーロッパをカトリックで支配しようというインターマリウム構想の勢力と連合、バンデラの側近だったヤロスラフ・ステツコが指揮するようになった。 1948年にアメリカでは極秘のテロ組織OPCが設立され、アルバニア対する工作を最初に行う。この極秘組織とステツコたちは連携するが、ソ連のスパイだったMI6のキム・フィルビーからソ連側へ情報は伝えられていた。(Stephen Dorril, “MI6”, Fourth Estate, 2000) 東アジアでは1954年にAPACL(アジア人民反共連盟、後にアジア太平洋反共連盟に改名)が組織されるが、このAPACLとABNは1966年に合体してWACL(世界反共連盟。1991年にWLFD/世界自由民主主義連盟へ名称変更)になる。この組織がCIAと緊密な関係にあったことは広く知られている。(Scott Anderson & Jon Lee Anderson, “Inside the League”, Dodd, Mead & Company, 1986) こうした形でアメリカはナチス人脈を保護、育成、さまざまな工作に利用した。第2次世界大戦でナチスは滅びなかった。ナチスの黒幕が健在だからだ。その黒幕はソ連消滅後にナチスの後継者、いわゆるネオ・ナチを旧ソ連圏へ送り返して工作に使う。 そうしたネオ・ナチが現在、ウクライナで大きな影響力を持ち、ロシア制圧を目指している。分離独立が良いか悪いかという話ではない。そのネオ・ナチが今回のロシア軍による作戦で劣勢。そこでアメリカはシリアなどからアル・カイダ系武装集団やダーイッシュ(IS、ISIS、ISIL、イスラム国とも表記)の戦闘員をウクライナへ移動させているようだ。
2022.03.07
ウクライナでロシア軍と戦っているのはネオ・ナチ(ステファン・バンデラの信奉者)を主体とする親衛隊だと言われている。ウクライナの安全保障会議から漏れたと言われている文書によると、ウクライナ側の軍事力は75%が破壊されている。東部地域で親衛隊が支配できている場所はマリウポリだけだ。 マリウポリからザポリージャをつなぐ市民の脱出ルートをロシア軍は設定、そのプランをICRC(赤十字国際委員会)へ通知。3月5日午前11時から脱出が始まる予定だったが、ウクライナ兵に阻止され、脱出は困難になったようだ。マリウポリにいるキエフ側の兵士は親衛隊員の可能性が高い。 ウクライナの現体制は2014年2月のネオ・ナチによるクーデターから始まるが、クーデター軍は5月9日にマリウポリへ戦車部隊を突入させ、銃撃で住民を死傷させた。その際、住民が逃げずに集まり、兵士に抗議している。その様子は携帯電話で撮影され、世界に発信された。クーデターで排除されたビクトル・ヤヌコビッチ大統領が支持基盤にしていた東部と南部では住民の多くがクーデターに反対していた。 そして現在。OHCHR(国連人権高等弁務官事務所)によると、2月24日から3月3日の深夜12時までの間に殺されたと確認された市民は331名。ドンバスに限ると77名だという。ロシア軍は軍事施設を集中的に攻撃しているとされているので、マリウポリから市民が脱出することを親衛隊は恐れているだろう。 日欧米の政府やメディアはロシア軍の攻撃を非難しているが、アメリカ主導で2003年3月に開始したイラクへの先制攻撃では違う光景が見られた。イギリスの医学雑誌、ランセットに発表されたジョンズ・ホプキンズ大学とアル・ムスタンシリヤ大学の共同研究によると、開戦から2006年7月までに65万4965名以上のイラク人が死亡、そのうち60万1027名は暴力行為(要するに戦闘)が原因だとしている。またイギリスのORB(オピニオン・リサーチ・ビジネス)は2007年夏までに約100万人が殺されたという調査結果を公表している。アメリカが制裁されたという話は聞かない。 ウクライナからポーランドへ多くの人が脱出しているが、快く受け入れられているのは、西側メディアの表現を借りると、「目が青く、ブロンドのキリスト教徒」だ。同じように脱出しようとしたインド人学生の場合、国境でウクライナの兵士や警官に阻止され、棍棒などで殴打されている。「目が青く、ブロンドのキリスト教徒」でない人びとが置かれた立場はインド人学生と似ている。 アメリカはヤヌコビッチを2度、大統領の座から引きずり降ろしている。2004年から05年にかけての「オレンジ革命」と2014年のクーデターだ。これは東部や南部の人びとの意思を踏みにじる行為でもある。 歴史的な背景から東部や南部にはロシア語を話す人が多く、ロシアに親近感を持つ人が少なくない。巨大金融資本をはじめとするアメリカやイギリスの支配層はそれが許せなかった。そして2014年にはネオ・ナチが使われたのである。 クーデター体制はネオ・ナチの影響力が強くなり、政治経済は破綻した。ロシアとの関係修復を訴えていたボロディミル・ゼレンスキーが2019年の3月から4月にかけて実施された大統領選挙で勝利した理由はそこにあるのだが、ゼレンスキーにはアメリカ/NATOやその手先であるネオ・ナチの圧力を跳ね除ける力はなかった。
2022.03.06
2月25日までにアメリカのFDA(食品医薬品局)とCDC(疾病予防管理センター)が共同で運用しているVAERS(ワクチン有害事象報告システム)へ自主的に報告された「COVID-19(2019年-コロナウイルス感染症)ワクチン」による死亡者数は前の週より425名増え、2万4827名に達した。なお、一般的にVAERSに報告される件数は全体の1%から10%程度にすぎ無いと言われている。 COVID-19騒動で社会はロックダウンや「自主規制」などで収容所化し、言論はシリコンバレーのハイテク企業によって「私的」に検閲されるシステムが確立しつつある。デジタル・パスポートはまだ実現していないが、監視システムは強化されてきた。いわば「ソフト戒厳令」の中で人びとは生活するようになっている。 この騒動はWHOが2020年3月11日にパンデミック宣言を出したところから始まる。前年の12月に中国の湖北省にある武漢でSARS(重症急性呼吸器症候群)と似た症状の肺炎患者が見つかり、1月22日に疾病預防控制中心の高福主任は武漢市内の海鮮市場で売られていた野生動物から人にウイルスが感染したと記者会見で語り、そのシナリオが広まっていったのだ。 この段階で発症した肺炎は深刻だったようだが、2月から対策を指揮し始めた中国軍の陳薇は短時間で抑え込んでしまった。2002年から中国で広まったSARSを押さえ込んだのも陳のチームで、この時の経験からインターフェロン・アルファ2bを使ったところ、2019年のケースでも有効だったのだ。 この薬はキューバで研究が進んでいるもので、リンパ球を刺激して免疫能力を高める働きがあるとされている。吉林省長春にも製造工場があり、中国の国内で供給できたことも幸いした。今回の件で中国の習近平国家主席はキューバのミゲル・ディアス-カネル大統領に謝意を述べたと伝えられている。 このほか駆虫薬の「イベルメクチン」や抗マラリア剤として知られている「ヒドロキシクロロキン」、またヒドロキシクロロキンからヒドロキシル基を取り除いた構造をしている「クロロキン」もコロナウイルスに有効だとされている。イベルメクチンの有効性については既にインドやメキシコで確認済みだ。 本来ならこうした薬で対処すれば良いのだが、WHO、FDA、CDC、NIAID(国立アレルギー感染症研究所)は「ワクチン」に執着、それによって少なからぬ人が深刻な副作用で苦しみ、死亡している。 アメリカ軍はウクライナで生物兵器の研究開発施設をハリコフ、ドニプロ、ミコライフ、リビフ、ウジホロド、テルノポリ、ビンニツヤ、キエフなどで建設しているが、その運営にNIAIDのアンソニー・ファウチ所長も関係している。
2022.03.05
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