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ウクライナとロシアの代表がベラルーシのゴメリで2月28日に交渉を行うと報道されている。ボロディミル・ゼレンスキー大統領は2月25日にロシア政府と中立化について話し合う用意があると発言、ロシア政府は代表団を派遣する用意があると応じたが、26日にゼレンスキー大統領のミハイル・ポドリャク顧問が交渉を拒否するとしていた。 ゼレンスキー政権の態度が不安定だが、ロシア軍の進撃が速いため、交渉を持ち出して止めようとしたとする見方もあった。実際、ウラジミル・プーチン大統領は作戦の中断を指示したが、これをウクライナ側の反撃で止まったとする人もいた。するとゼレンスキー政権が態度を豹変させたわけだ。ロシア軍の作戦が再開されるとゼレンスキーは再び交渉すると言い始める。 ウクライナ側で戦闘の主体になっているのは「アゾフ大隊(またはアゾフ連隊)」をはじめとする親衛隊だと見られている。この軍事組織はネオ・ナチ(ステファン・バンデラ派)が主体で、リーダーのひとりであるドミトロ・ヤロシュは昨年11月から参謀長の顧問を務めていると伝えられている。 ヤロシュが率いる「右派セクター」は2014年2月のクーデターで住民に対して特に残虐な行為を働いていた。ヤロシュは2007年頃からNATOの秘密部隊ネットワークに参加しているとも言われ、アゾフ大隊を率いている人物はヤロシュの部下だ。 外交問題評議会(CFR)が発行している定期刊行物「フォーリン・アフェアーズ」に掲載されたダグラス・ロンドンの記事によると、ロシアが東部や南部での軍事作戦で終わらせようと考えてもウクライナ側が戦闘をやめないとしているが、これはロシアに対する脅しという意味もありそうだ。 ポドリャク顧問が交渉を拒否すると語った翌日、イギリスのリズ・トラス外相はロシア軍をウクライナで止められなければ、NATO軍と戦わせることになると発言、プーチン大統領は国防大臣と参謀総長に対し、核兵器部隊を特別戦闘任務につかせるように命令したと伝えられている。単純に考えれば、愚かな人物をイギリスは外務大臣に据えているということになるが、ロシア側の反応をみた可能性も否定できないだろう。 EUもロシアを挑発している。例えばジョセップ・ボレル外務安全保障政策上級代表によると、EUは戦闘機を含む4億5000万ユーロ(約590億円)相当の武器/兵器をウクライナへ提供、EUの執行機関である欧州委員会のウルズラ・フォン・デア・ライエン委員長は武器/兵器の購入資金を融資すると語り、ロシアだけでなくその友好国も「制裁」、ロシアのメディアを禁止するとしている。ウクライナのEU加盟についても前向きの姿勢を見せた。EUはウクライナとロシアの講和を望んでいるとは思えない。アメリカも同じだろう。 アメリカでは今年11月8日に中間選挙の投票が予定されているが、ジョー・バイデン大統領の人気はなく、与党の民主党には強い逆風が吹いている。ドンバス(ドネツクやルガンスク)に対するウクライナ側からのミサイル攻撃が2月17日からエスカレート、学校も標的になっていたことが現地での取材で判明、何らかの軍事作戦をアメリカ政府が考えていたのかもしれない。
2022.02.28
ロシアのウラジミル・プーチン大統領は国防大臣と参謀総長に対し、核兵器部隊を特別戦闘任務につかせるように命令したと伝えられている。核戦争の準備を命じたということだ。イギリスのリズ・トラス外相が2月27日、ロシア軍をウクライナで止められなければ、NATO軍と戦わせることになると発言したことへの回答だとされている。 トラスは2月2日にバルト諸国の地理的な位置を勘違いして嘲笑され、モスクワでロシアのセルゲイ・ラブロフ外相と会談した2月10日、ロシア領であるボロネジやロストフからロシア軍は撤退しろと脅している。ロシア政府はロシア領で主権を行使できないと彼女は主張したのだ。国際情勢が緊迫している中、これほど愚かな人物をイギリスは外交の責任者に据えている。 なお、ウクライナ情勢はロシア軍が優勢で、キエフは包囲寸前、ドンバスからはキエフ軍が脱出し始め、マリウポリやミコライフも包囲されそうだ。西側の有力メディアが伝えるところとは違い、ウクライナ軍は追い詰められている可能性が高く、ボロディミル・ゼレンスキー政権はベラルーシでの交渉に応じたとロシア側は語っている。 ゼレンスキー大統領は2月25日にロシア政府と中立化について話し合う用意があると発言、ロシア政府は代表団をベラルーシのミンスクへ派遣する用意があると応じたが、26日にゼレンスキー大統領のミハイル・ポドリャク顧問が交渉を拒否すると発言していた。 ゼレンスキー政権がベラルーシにおけるロシアとの交渉に合意した後、EUはウクライナへの武器購入用の資金提供を決め、ロシア旅客機がEUの領空飛行を禁止すると発表した。
2022.02.28
ロシアのウラジミル・プーチン政権がウクライナに対して軍事作戦に出た原因はアメリカがロシアを制圧する意志を変えず、経済的、あるいは軍事的に恫喝し続けてきたからである。それでもロシアは繰り返し交渉を試みているが、アメリカの元政府高官からも無理だと言われていた。 アメリカの政策決定者が身勝手なことは日本も1980年代から90年代にかけて経験しているはずだが、そのアメリカに歯向かうことはなかった。1980年代にアメリカはソ連内部の腐敗勢力と手を組んで1991年12月にソ連を消滅させ、その富を奪った。その手先が「オリガルヒ」と呼ばれる富豪になる。 ソ連が消滅した直後の1992年2月にアメリカの国防総省はDPG(国防計画指針)草案として世界制覇プランを作成した。その最高責任者は国防長官だったリチャード・チェイニー。その下にいたポール・ウォルフォウィッツ国防次官が中心になって書き上げられたことから「ウォルフォウィッツ・ドクトリン」とも呼ばれている。 DPG草案のベースを考えたのは国防総省内部のシンクタンクONAで室長を務めていたアンドリュー・マーシャル。この人物はバーナード・ルイスなる学者から世界観を学んだのだが、そのルイスはイギリスで情報活動に従事したことがあり、イスラエルやサウジアラビアを支持。つまりイギリスの長期戦略に基づいてい動いていた。マーシャルもルイスもソ連や中国を脅威だと考えていた。(Robert Dreyfuss, “Devil’s Game”, Henry Holt, 2005) アメリカは「唯一の超大国」になったという前提で、まだ従属度の足りない国々を潰す一方、潜在的なライバルを潰すとしている。西ヨーロッパ、東アジア、旧ソ連圏、南西アジアがライバルに成長しないように全力を挙げるだけでなく、エネルギー資源を支配し、アメリカ主導の新秩序を築き上げるというビジョンを打ち出していた。ネオコン系のシンクタンクだったPNAC(新しいアメリカの世紀プロジェクト)は2000年に『アメリカ国防の再構築』という報告書を公表しているが、そのベースはウォルフォウィッツ・ドクトリンであり、2001年1月から始まるジョージ・W・ブッシュ政権はこの報告書に基づいて政策を決めていた。 ブッシュ政権はアメリカ国内でファシズム化、国外で侵略戦争を推し進めたが、それを可能にしたのは2001年9月11日の出来事。ニューヨークの世界貿易センターやバージニア州アーリントンの国防総省本部庁舎(ペンタゴン)が攻撃され、人びとがショックで茫然自失している間に世界は大きく変化した。 ウェズリー・クラーク元欧州連合軍(現在のNATO作戦連合軍)最高司令官によると、ウォルフォウィッツは1991年の段階でイラク、シリア、イランを殲滅すると語り、2001年9月11日の10日ほど後にドナルド・ラムズフェルド国防長官の周辺はイラク、シリア、レバノン、リビア、ソマリア、イラン、スーダンを攻撃対象国リストに載せていたという。(3月、10月) ヨーロッパではNATOが1999年3月にユーゴスラビアを先制攻撃、解体してから東へ拡大、ロシアへ肉薄していく。つまりチェコ(1999年3月)、ハンガリー(1999年3月)、ポーランド(1999年3月)、ブルガリア(2004年3月)、エストニア(2004年3月)、ラトビア(2004年3月)、リトアニア(2004年3月)、ルーマニア(2004年3月)、スロバキア(2004年3月)、スロベニア(2004年3月)、アルバニア(2009年4月)、クロアチア(2009年4月)、モンテネグロ(2017年6月)、北マケドニア(2020年3月)。そしてアメリカはウクライナへ手を伸ばした。 ウクライナは人工的に作られた国で、何度も領土が付け加えられてきた。宗教的には西側のカトリックと東側の東方正教会で別れ、これは言語の差にも表れている。西部はウクライナ語、東部や南部はロシア語。選挙の際にも支持者が別れる。 2004年11月の大統領選挙で勝利したビクトル・ヤヌコビッチは東部と南部を地盤とする政治家でロシアとの関係を重視、つまり欧米支配層にとって好ましくない人物だった。そうした人物を当選させた選挙を彼らは「不正」だと宣告、社会的な混乱が仕組まれる。「オレンジ革命」だ。その結果、アメリカに好かれていたビクトル・ユシチェンコにすげ替えられた。 ユシチェンコの下で首相になったひとりで投機家のジョージ・ソロスをパトロンにしていたユリア・ティモシェンコはネストル・シュフリチと電話で話した際、ロシア人を殺すと繰り返していたことも判明している。こうした心理が2014年のクーデター以降にも表れている。 ウクライナの西部では反ロシア感情が強く、1920年代にはOUN(ウクライナ民族主義者機構)が組織されている。またその当時、バルト海からエーゲ海まで、つまり中央ヨーロッパをカトリックで統一しようという動きがあり、インターマリウムが組織された。 OUN・B(ステファン・バンデラ派)はイギリスの情報機関MI6やドイツのゲシュタポ(国家秘密警察)と関係があるが、インターマリウムはイギリスやフランスの情報機関から支援を受けていた。(Stephen Dorril, “MI6”, Fourth Estate, 2000) イギリスでは19世紀からユーラシア大陸の周辺部を支配して内陸部を締め上げ、最終的にロシアを制圧して世界の覇権の握るという考えがあり、それをハルフォード・マッキンダーという学者が20世紀初頭にまとめている。この戦略はジョージ・ケナンの「封じ込め政策」やズビグネフ・ブレジンスキーの「グランド・チェスボード」につながり、この発想が第1次世界大戦や第2次世界大戦でも表れていた。 ビクトリア女王の時代、イギリスの政策を決定していたグループに所属していたセシル・ローズは1871年にNMロスチャイルド&サンの融資を受けて南部アフリカでダイヤモンド取引に乗り出して大儲けした人物だが、1877年に彼は「信仰告白」を書いている。その中で彼はアングロ・サクソンを世界で最も高貴な人種だと表現、その人種が支配地域を広げることは義務だとしていた。ローズの告白を読むと、イギリスやアメリカを支配している人びとの行動を理解しやすい。 マッキンダーの戦略に出てくるユーラシア大陸の周辺部を締め上げる三日月帯の東端は日本。日本はイギリスやアメリカの戦略にとって重要な位置にあり、日本人は彼らの傭兵的な役割を果たしてきた。これは本ブログで繰り返し書いてきたことだ。日本のエリートは米英の支配者に従属することで地位と富を維持してきたと言えるだろう。アメリカの支配は永遠に続き、そのアメリカは「善」であり、日本はアメリカに従うべきだと彼らが考えたいのは当然だ。
2022.02.28
ウクライナのボロディミル・ゼレンスキー大統領が2月25日にロシア政府へ交渉を呼びかけたことに伴い、ロシア軍はウラジミル・プーチン大統領の命令で作戦を中断していたが、26日にミハイル・ポドリャク大統領顧問が交渉を拒否しすると発言、ゼレンスキーは飛行機でキエフからリビウへ移動したとされている。それに伴ってロシア軍は作戦を再開した。 Twitterで軍事情報を伝えている「Military Advisor」が掲載した地図を見ると、ロシア軍が入っているのはドンバスを含むロシアとの国境近く。ロシア側の戦力から考えてウクライナ全域の制圧を目指しているとは思えない。無理だろう。 しかし、外交問題評議会(CFR)が発行している定期刊行物「フォーリン・アフェアーズ」に掲載された記事でダグラス・ロンドンは、ロシアが東部や南部での軍事作戦で終わらせようと考えてもウクライナ側が戦闘をやめないと主張している。ロシア軍を泥沼へ引きずり込みたいというように読める。 現在、ドンバスではマリウポリがロシア軍に包囲されつつあり、ネオ・ナチは住民を射殺していると伝えられている。2014年2月のクーデターから3カ月の5月2日、黒海に面する港湾都市のオデッサで反クーデター派の市民が惨殺されている。 広場にいた市民に暴徒が襲いかかり、労働組合会館の中へ誘導されたのだが、そこで虐殺され、建物は放火された。50名弱が殺されたと伝えられているが、これは地上階で発見された死体の数で、地下ではさらに多くの人が殺されたと言われている。120名から130名とも言われているが、その大半は運び去られたという。 その1週間後、マリウポリ市に戦車などを入れて市内を破壊、非武装の住民を殺害している。5月9日はソ連がナチスに勝ったことを記念する戦勝記念日で、住民は外で祝っていた。そこへキエフのクーデター軍が突入したのだ。その様子を携帯電話で撮影した映像が世界に発信されたが、それを見ると、住民が丸腰で戦車に向かい、殺されていく様子が映されている。5月11日に予定されていた住民投票を止めさせることも目的だっただろうが、予定通りに投票は行われ、独立の意思が示されている。
2022.02.27
アメリカにジョー・バイデン政権が誕生したのは2021年1月。それ以来、アメリカ/NATOはウクライナへ武器/兵器を含む軍事物資を運び込む一方、ウクライナ周辺で軍事的な挑発を繰り返してきたことは本ブログでも繰り返し書いてきたが、その一方でCIAが2015年からネオ・ナチに対する軍事訓練を行っていたとも伝えられている。 それに対し、ロシアのウラジミル・プーチン大統領は2月21日にドンバス(ドネツクやルガンスク)の独立を承認、ドンバスにおける「特殊軍事作戦」を実施すると発表した。その後の展開を見ると、アメリカが作り上げた、より正確に言うならCIAが組織したネオ・ナチを主体とする親衛隊がロシア軍と戦っているようだ。 ウクライナにおけるネオ・ナチのリーダー、ドミトロ・ヤロシュは昨年11月から参謀長の顧問を務めていると伝えられている。ヤロシュが率いる「右派セクター」は2014年2月のクーデターで住民に対し、特に残虐な行為をしていた。 ヤロシュは2007年頃からNATOの秘密部隊ネットワークに参加しているとも言われ、西側の有力メディアが売り出している「アゾフ大隊(またはアゾフ連隊)」を率いている人物はヤロシュの部下。つまりウクライナにおける戦闘の背後にはNATOの秘密部隊ネットワークが存在している可能性が高い。 外交問題評議会(CFR)が発行している定期刊行物「フォーリン・アフェアーズ」に掲載されたダグラス・ロンドンの記事によると、ロシアが東部や南部での軍事作戦で終わらせようと考えてもウクライナ側が戦闘をやめないとしている。 ウクライナのボロディミル・ゼレンスキー大統領は2月24日にウクライナが孤立していると発言、25日にはロシア政府と中立化について話し合う用意があると発言、ロシア政府は代表団をベラルーシのミンスクへ派遣する用意があると応じた。 こうした動きはアメリカ側の作戦を揺るがすことになる。26日にゼレンスキー大統領のミハイル・ポドリャク顧問が交渉を拒否しすると発言したが、これはアメリカやネオ・ナチの意向だろう。アメリカ政府はゼレンスキーに対して「避難」させると提案、ゼレンスキーはキエフからルボフへ飛行機で向かったと伝えられているが、拉致だったとしても驚かない。 バラク・オバマ大統領の命令で2015年からCIAの「グラウンド・ブランチ(現在はグラウンド・デパートメント)」がウクライナ軍の特殊部隊員などをアメリカの南部などで秘密裏に訓練しているとする情報も伝えられている。ウクライナでアメリカ政府がネオ・ナチを使ったクーデターを成功させたものの、クリミアとドンバス(ドネツクやルガンスク)の制圧に失敗したことから始められたという。つまり目的はクリミアやドンバスの制圧だ。 ダグラス・ロンドンはCIAの秘密工作部門に所属していたというが、この部門の歴史は第2次世界大戦の終盤までさかのぼることができる。 第2次世界大戦においてヨーロッパでドイツと戦った国は事実上、ソ連だけである。ドイツ軍は1941年6月にソ連へ向かって軍事侵攻を始める。バルバロッサ作戦だが、この作戦に投入した戦力は約310万人。西側には約90万人を残すだけだった。これだけ西側を手薄にする行為は非常識といえるが、軍の意見を無視して命令したのはアドルフ・ヒトラーだった。 ドイツ軍は7月にレニングラードを包囲、9月にはモスクワまで80キロメートルの地点に到達、10月の段階でドイツだけでなくイギリスもモスクワの陥落は近いと考えていた。 ところが年明け直後にドイツ軍はモスクワで敗北、8月にスターリングラード市内へ突入するが、ここでもソ連軍に敗北し、1943年1月に降伏。この段階でドイツの敗北は決定的になった。 慌てたイギリスやアメリカはすぐに善後策を協議、1943年7月に両国軍は犯罪組織の協力を得てシチリア島へ上陸、ナチスの幹部はアレン・ダレスたちと接触し始める。サンライズ作戦だ。その後、アメリカの軍や情報機関はナチスの幹部や協力者を逃走させ、保護、そして雇用する。ラットライン、ブラッドストーン作戦、ペーパークリップ作戦などだ。 ダレスはアメリカの戦時情報機関OSSの幹部だったが、ウォール街の大物弁護士でもあった。ナチスを資金面から支えていたのはウォール街やシティ、つまりアメリカやイギリスの巨大金融資本である。例えばディロン・リード、ブラウン・ブラザース・ハリマン、ユニオン・バンキングなどがそうしたパイプだった。 ウォール街とファシストとの関係を明らかにする出来事が1933年から34年にかけてアメリカで引き起こされている。ウォール街の傀儡だったハーバート・フーバーが1932年の大統領選挙でニューディール派のフランクリン・ルーズベルトに敗北、ウォール街は在郷軍人会を利用してクーデターを行おうと計画したのだ。 計画の中心的な存在だったJPモルガンは司令官としてダグラス・マッカーサーを考えていたが、人望があり、軍の内部への影響力が大きいスメドリー・バトラーを取り込まないとクーデターは無理だという意見が通り、バトラーに働きかける。このバトラーは憲法を遵守するタイプの人物だったため、計画内容を聞き出した上でカウンタークーデターを宣言し、議会で詳細を明らかにしている。その証言は議会の公式記録として残っているので、誰でも確認できる。 大戦中、西ヨーロッパで誰もドイツ軍と戦わなかったわけではない。レジスタンスだが、その主力はコミュニストだった。そのレジスタンス対策として大戦の終盤にアメリカやイギリスの情報機関はゲリラ戦部隊を編成した。それが「ジェドバラ」だ。 戦争が終わった後、その部隊を基盤にしてアメリカでは特殊部隊や極秘の破壊工作部隊OPCが組織され、OPCが核になってCIAの秘密工作部門は編成された。 その一方、ヨーロッパでもアメリカやイギリスの情報機関人脈が秘密部隊を組織している。1949年に北大西洋条約が締結されてNATOが登場すると、秘密部隊はNATOへ入り込みむ。1957年からはCPC(秘密計画委員会)の下部組織ACC(連合軍秘密委員会)を通じてアメリカやイギリスの情報機関がNATOの秘密部隊ネットワークを操っているともいう。 全てのNATO加盟国に秘密部隊は設置されているが、イタリアのグラディオは特に有名だ。1960年代から80年代にかけて「極左」を装って爆弾攻撃を繰り返していた。左翼勢力に対する信頼をなくさせ、社会不安を高めて治安体制を強化することが狙いだ。その間、クーデターも計画している。こうしたNATOの秘密部隊ネットワークにドミトロ・ヤロシュは組み込まれている可能性がある。 2014年のクーデター当時、ポーランドで伝えられていた情報によると、クーデターの主体になったネオ・ナチは2004年からバルト3国にあるNATOの訓練施設で軍事訓練を受けていたという。2013年9月にはポーランド外務省がクーデター派の86人を大学の交換学生を装って招待、ワルシャワ郊外にある警察の訓練センターで4週間にわたり、暴動の訓練を受けたとも伝えられている。ネオ・ナチのグループにはシリアやチェチェンでの実戦経験のある人物も含まれていた。 今後、アメリカ/NATOはウクライナの親衛隊へ武器や資金を供給、特殊部隊や傭兵も送り込み、ロシアを泥沼へと引きずりこもうと考えているだろうが、これはロシアも想定していたはずだ。それでも軍事作戦を決断しなければならない状況にあったと言うことだろう。少なくともプーチン政権はそう判断した。ロシア政府がネオ・ナチの排除を目標に掲げているのも、単に危険な存在だというだけでなく、そうしないと地域の安定は望めないと考えたのだろう。
2022.02.27
ウラジミル・プーチン露大統領はアメリカ/NATOに対し、ロシアの安全を文書で保証するように求めてきたが、アメリカのジョー・バイデン大統領、アントニー・ブリンケン国務長官、EUのジョセップ・ボレル外務安全保障政策上級代表、あるいはNATOのイェンス・ストルテンベルグ事務総長などはプーチンに対して唾を吐きかけてきた。そこで警告通り、ロシア政府は自らの手で自らの安全を確保することにしたわけである。 2月21日にプーチン大統領はドンバス(ドネツクやルガンスク)の独立を承認、ドンバスで「特殊軍事作戦」を実施すると発表した。プーチンがウクライナのボロディミル・ゼレンスキー大統領に求めているのは4点。クリミアとセバストポリがロシア領だと認めること、ウクライナはNATOへの加盟を断念すること、ルガンスクと入植について話し合うこと、そしてウクライナは非武装化(攻撃的な軍事施設や兵器を持たない)して中立を宣言することだ。西側では「ゼレンスキー大統領の排除」をロシア軍は目指していると宣伝しているが、ネオ・ナチ(ステファン・バンデラの信奉者)の一掃が大きな目的だと見られている。 ゼレンスキー大統領は2月24日にウクライナが孤立していると発言した。これまでウクライナを利用してロシアを挑発、恫喝してきたアメリカ/NATOは隠れてしまい、ウクライナが取り残されたということだ。 2月25日にゼレンスキーはロシア政府に対し、中立化について話し合う用意があると発言、イスラエルに仲介を依頼したという。ロシア政府は代表団をベラルーシのミンスクへ派遣する用意があると答えている。 これに対し、アメリカ政府はロシアとの外交関係を断絶した。通常、これは戦争へ向かうことを意味する。2月26日にゼレンスキー大統領のミハイル・ポドリャク顧問は交渉を拒否しすると発言したが、これはアメリカやネオ・ナチの意向だろう。 アメリカ側の反応を見ると、ロシアの反応が想定を超えていたように思える。イスラエルやアメリカを後ろ盾とするジョージアが2008年8月に南オセチアを奇襲攻撃、ロシア軍の反撃で惨敗しているが、せいぜいその時の攻撃止まりと考えていたのかもしれない。おとなしくしていた「熊」を「鷲」が挑発、その「熊」が立ち上がったので「鷲」は驚いたといったところだろう。いや、「鷲」ではなくある種の「鷹」と言うべきかもしれない。 こうした流れの中、アメリカ政府はゼレンスキーに対して「避難」させると提案、ゼレンスキーはキエフからルボフへ飛行機で向かったと伝えられている。ゼレンスキーを手元に置き、ウクライナを混乱へと導くつもりかもしれない。 アメリカ政府は軍を使い、フィリピンの大統領だったフェルディナンド・マルコスを1986年2月に拉致し、国外へ連れ出した。亡命したわけではない。この作戦を指揮したのはネオコンの大物として知られているポール・ウォルフォウィッツだったと言われている。マルコスに限らず拉致して幽閉するということをアメリカは行うことがある。ロシア政府とウクライナ政府の交渉は当面、難しそうだ。 いずれにしろ、ロシア側はネオ・ナチの排除を放棄するとは思えないが、このネオ・ナチに反発しているウクライナ国民は少なくない。この目的が達成でき、ウクライナがアメリカ/NATOの軍事的な支配地になることを阻止できるなら合意は可能だろう。 プーチン大統領がドンバスの独立を承認する直前、2月17日頃からウクライナの軍、あるいは親衛隊からのミサイル攻撃が激しくなり、住民がロシアへ避難していると伝えられている。その後、攻撃はエスカレートするが、ウクライナ国家安全保障国防会議のオレクシー・ダニロフ議長は軍に「ドンバス解放」を命令していないと発言、オレクシー・レズニコフ国防相はロシアと大規模な軍事衝突に発展する可能性は小さいと語っていた。しかしドンバスに対する攻撃が激しくなっていたことは事実。ロシア側はこの攻撃の命令がNATOから出ていると考えていたようだ。 NATOを後ろ盾とする親衛隊がドンバスへの何らかの軍事作戦を始めようとしていたなら、ロシアとの国境近くにネオ・ナチの戦闘員が集中し、アメリカやイギリスの特殊部隊や傭兵もいた可能性がある。つまりネオ・ナチを排除するためには好都合だと言えるだろう。
2022.02.27
アメリカのFDA(食品医薬品局)とCDC(疾病予防管理センター)が共同で運用しているVAERS(ワクチン有害事象報告システム)への自主的な報告によると、「COVID-19(2019年-コロナウイルス感染症)ワクチン」による死亡者数は2月18日現在、前の週より412名増え、2万4402名に達した。一般的にVAERSに報告される件数は全体の1%から10%程度にすぎ無いと言われ、実際は20万人強から200万人強に達するということになる。 短期間で現れた「COVID-19ワクチン」の副作用には帯状疱疹、⾎栓性⾎⼩板減少性紫斑病、麻痺、脳梗塞、心筋梗塞、心筋炎、心膜炎などが知られ、微小血栓によって脳、脊髄、心臓、肺などがダメージを受けているとも言われている。また「mRNAワクチン」で使われている有害なLNP(脂質ナノ粒子)は肝臓、脾臓、副腎、そして卵巣に分布、卵子に何らかの影響を及ぼし、不妊につながるという懸念もある。 それだけでなく、ADE(抗体依存性感染増強)の問題もある。「ワクチン」が作り出す抗体には感染を防ぐ「中和抗体」と防がない「結合(非中和)抗体」があり、結合抗体はウイルスを免疫細胞へ侵入させて免疫の機能を混乱させる可能性があるのだ。その結果、人間の免疫システムに任せておけば問題のない微生物で深刻な病気になる。「COVID-19ワクチン」がAIDS(後天性免疫不全症候群)と似た病気を作り出すとも言える。 そのAIDの原因とされている微生物がHIV(ヒト免疫不全ウイルス)なのだが、mRNAを利用した「COVID-19ワクチン」を製造しているモデルナは「HIVワクチン」の治験を始めると言い出した。 AIDSの診断でもCOVID-19と同じPCR(ポリメラーゼ連鎖反応)検査が使われていた。AIDSの場合もCOVID-19と同じようにHIVそのものを探すことはできず、増幅サイクル(Ct)にもよるが、おそらく偽陽性も多いはずだ。 PCRを開発して1993年にノーベル化学賞を受賞、COVID-19騒動が始まる半年ほど前、2019年8月7日にカリフォルニア州の自宅で肺炎によって死亡したキャリー・マリスもこの問題について語っていた。PCRは分析が目的であり、診断に使うべきでないとしていたのだ。 彼がこの問題に関心を持つ切っ掛けは、AIDSの診断にPCRが使われていたからだ。その結果、AIDSの原因がHIVだということを示す論文がないことを知り、HIV原因説に疑問を持つようになったという。 HIVがAIDSの原因だとする説を広める上で重要な役割を果たした人物がアンソニー・ファウチ。AIDSの恐怖が広まり始めた1984年11月からファウチはNIAID(国立アレルギー感染症研究所)の所長を務めている。そしてマリスはファウチと対立するようになる。2019年に死亡しなければ、COVID-19の問題でもマリスはファウチと対立していただろう。 AIDSの場合、PCR検査で陽性と判断されると「AZT(アジドチミジン、現在はジブドブジンと呼ぶ)」が投与されてきた。この薬は癌の治療薬として開発されたが、副作用が強く、使えなかった。ところがAIDSへの恐怖心から使われることになる。 PCRで陽性になってもHIVに感染していない人は少なくないはずであり、そうした人物へ毒性の強いAZTを投与、健康な人がこの薬物で死んでいった可能性が高い。このAZTと「COVID-19ワクチン」が重なって見える。
2022.02.26
ウクライナのボロディミル・ゼレンスキー大統領はロシアのウラジミル・プーチン大統領に対して交渉の席に着くことを求めている。ロシアのセルゲイ・ラブロフ外相は交渉の用意があるとしたものの、武装勢力が武器を置くことを条件にした。 今回の軍事作戦でロシア政府が最も重要視しているのはネオ・ナチの排除だろう。アメリカの支配層は1930年代からナチスをはじめとするファシスト、第2次世界大戦の終盤からはマフィア、1970年代からはイスラム系のカルトとも言うべきワッハーブ派やムスリム同胞団、あるいは麻薬業者や少数民族を手先として利用してきた。 第2次世界大戦後、アメリカはナチスの幹部や協力者の逃亡を助け、保護し、場合によっては利用してきた。保護する傍らでさまざまな訓練を行い、ソ連が消滅した後には出身国、あるいは親の出身国へ送り返してアメリカの工作に使っている。 ウクライナのネオ・ナチはステファン・バンデラの信奉者で、OUN・B(ウクライナ民族主義者機構バンデラ派)の系譜に連なる。この一派はOUNの中でも反ロシア色が濃いグループで、そのリーダーがバンデラだった。 このOUN・Bをイギリスの情報機関MI6のフィンランド支局長だったハリー・カーが雇うが、その一方でドイツが資金を提供、バンデラの側近だったミコラ・レベジはクラクフにあったゲシュタポ(国家秘密警察)の訓練学校へ入る。OUN・Bは、いわばMI6とゲシュタポのハイブリッドだ。 1943年の春にOUN・BはUPA(ウクライナ反乱軍)として活動を始め、その年の11月に「反ボルシェビキ戦線」を設立。大戦後の1946年4月に反ボルシェビキ戦線はABN(反ボルシェビキ国家連合)になる。 ABNは中央ヨーロッパをカトリックで支配しようというインターマリウム構想の勢力と連合、バンデラの側近だったヤロスラフ・ステツコが指揮するようになる。1948年にアメリカでは極秘のテロ組織OPCが設立され、アルバニア対する工作を最初に行うが、この極秘組織とステツコたちは連携する。この情報はソ連のスパイだったMI6のキム・フィルビーからソ連側へ伝えられていた。(Stephen Dorril, “MI6”, Fourth Estate, 2000) 東アジアでは1954年にAPACL(アジア人民反共連盟、後にアジア太平洋反共連盟に改名)が組織されるが、このAPACLとABNは1966年に合体してWACL(世界反共連盟。1991年にWLFD/世界自由民主主義連盟へ名称変更)になる。この組織がCIAと緊密な関係にあったことは広く知られている。(Scott Anderson & Jon Lee Anderson, “Inside the League”, Dodd, Mead & Company, 1986) ウクライナのネオ・ナチを率いているひとり、「右派セクター」のドミトロ・ヤロシュは昨年11月から参謀長の顧問を務めているが、この人物は2007年頃からNATOの秘密部隊ネットワークに参加していると言われ、西側の有力メディアが売り出している「アゾフ大隊(またはアゾフ連隊)」を率いている人物はヤロシュの部下だ。 現在のウクライナ体制はアメリカを後ろ盾とする暴力的なクーデターにより、選挙で選ばれた政権を倒して築かれた。そのクーデターの主体がネオ・ナチなのだが、それを認める人間はナチズムを支持していることになる。 クーデターの際、キエフで治安部隊だけでなく市民をネオ・ナチが虐殺していたことは本ブログでも繰り返し書いてきた。クーデターで排除されたビクトル・ヤヌコビッチ大統領の支持基盤である東部や南部でも住民が惨殺されている。ドンバス(ドネツクやルガンスク)は東部、クリミアやオデッサは南部にある。ネオ・ナチによるオデッサでの住民虐殺は凄惨なものだが、西側では大きな問題になってこなかった。そうした状況がロシアの軍事作戦で変わる可能性がある。
2022.02.26
ロシア軍がチェルノブイリ原発を制圧したと伝えられている。攻撃されない場所を拠点にするためだとする人もいるが、現在の状況はロシア軍が圧倒している。ロシア軍によると、ウクライナ軍の軍事施設74カ所をミサイルで破壊、ボロディミル・ゼレンスキー大統領はウクライナが孤立していると訴えていると伝えられている。ウクライナの一部勢力が原発を「ドゥームズデイ・マシーン」として使う、つまり放射性物質を環境中へ撒き散らすことを防ぐ、あるいは撒き散らすと脅すことを防ぐ意味もあるだろう。 ロシアのウラジミル・プーチン政権が軍事作戦の実行を決断したのはアメリカのウェンディ・シャーマン国務副長官とロシアのセルゲイ・リャブコフ外務次官がジュネーブで安全保障問題について話し合った1月10日の後だろう。 プーチン政権はアメリカ/NATOに対し、ウクライナをNATOへ加盟させず、モスクワを攻撃するシステムをロシアの隣国に配備しないように求めているほか、ロシアとの国境近くで軍事演習を行わず、NATOの艦船や航空機をロシアへ近づけないようにとも言っている。さらに定期的な軍同士の話し合いを実施、ヨーロッパへ中距離核ミサイルを配備しないことも要求。そして、それらを保証する文書を作成するように求めている。 こうしたロシア政府の要求をアメリカ政府は拒否、リャブコフ次官は交渉が袋小路に入り込んだと表現した。双方の問題への取り組み方が違い、交渉を再開する理由が見つからないともしている。この段階でロシアはアメリカ/NATOとの交渉に見切りをつけたと見られたが、その後も会談は続いた。 シャーマンとリャブコフが会談する直前、1月2日にカザフスタンの旧首都アルマトイで暴力的な反政府活動が始まり、暴動へエスカレートする。救急車やパトカーが放火されるだけでなく、市庁舎も放火される事態になった。この地区では非常事態が宣言され、夜間外出禁止令が出されている。 その際、カシムジョマルト・トカエフ大統領は外国が介入していると非難、CSTO(集団安全保障条約)に平和維持部隊を派遣するように求め、認められた。CSTOの動きは迅速で、短時間に暴動を沈静化させることに成功、撤退していった。なお、CSTOの加盟国はカザフスタンのほか、アルメニア、ベラルーシ、キルギスタン、ロシア、タジキスタンが含まれている。 何者かがクーデターを目論んだと見られているが、失敗に終わった。1月6日にはカザフスタンの安全保障会議で議長を務めていたカリム・マシモフが解任され、反逆罪で逮捕されたと伝えられている。未確認情報として、ヌルスルタン・ナザルバエフ前大統領の甥も反逆罪で拘束されたともいう。 1月10日には取り調べを受けていた治安当局の大佐が飛び降り自殺、やはり捜査の対象になっていたジャンブール州の警察署長も自殺したと伝えられている。暴動の背後には大きな組織、あるいは国が存在していた可能性がありそうだ。カザフスタンでトカエフ政権が倒され、親米政権が誕生していたならシャーマンとリャブコフの会談でアメリカは優位に立てただろう。 その後、1月14日にホワイトハウスの報道官を務めているジェン・サキはロシア政府がウクライナの東部地区、つまりドンバス(ドネツクやルガンスク)の周辺で「偽旗作戦」を行おうとしているとする情報があると発言したが、ウクライナで戦争の準備を進め、挑発的な行為を続けてきたのはアメリカにほかならない。これは本ブログでも繰り返し書いてきたことだ。 昨年11月にアントニー・ブリンケン国務長官がロシアを恫喝、ロード・オースチン国防長官はウクライナを訪問。この月にはネオ・ナチの一派である「右派セクター」を率いるドミトロ・ヤロシュを参謀長の顧問に就任させたと伝えられている。ウクライナの親衛隊はヤロシュの部下がコントロールしている。 そして11月30日にプーチン大統領はNATOがウクライナの「レッド・ライン」を超えたなら、ロシアは行動せざるを得ないと警告した。ウクライナに超音速ミサイルが配備されたなら、5分でモスクワへ到達すると指摘、そうしたことは容認できないとしたわけだ。その後、プーチンはロシアにも自衛の権利があると発言している。 昨年12月にはアメリカ軍の偵察機が黒海の上空を何度も飛行、民間航空機の飛行ルートを横切るなどロシアに対する脅しを繰り返し、ウクライナ軍はアメリカ製の兵器を誇示してロシアを挑発した。そして12月の終わりにバイデン政権はウクライナに対する2億ドルの追加支援を承認する。そしてカザフスタンのクーデター未遂だ。 アメリカやNATOは1月7日にロシアが設定した「レッド・ライン」を拒否、1月13日にジェイク・サリバン国家安全保障補佐官はロシアがウクライナへ軍事侵攻する可能性が高いと発言する。 それに対し、1月24日にウクライナの国防大臣がロシアの軍事侵攻は迫っていないと発言、26日には外務大臣がロシアはいつでも攻撃できるとした上で、全面侵攻する準備はしていないと語った。有力メディアの「予定稿」にどう書いてあったか不明だが、ロシアの攻撃を全面侵攻と言うことはできない。ゼレンスキー大統領は、軍事侵攻が迫っているとする警告はウクライナ経済を危険な状態にしているとしていた。 クリミアを含むロシア南部で演習していた部隊が所属基地へ戻り始めたと2月15日に伝えられたが、2月17日にはウクライナ軍によるドンバス(ドネツクやルガンスク)へのミサイル攻撃が激しくなり、学校も標的になっていたことが現地での取材で判明している。そこでドンバスの住民はロシアへ避難したという。 2月18日にウクライナ国家安全保障国防会議の議長を務めるオレクシー・ダニロフは「ドンバス解放」の命令は出ていないと発言しているが、攻撃は始まっていた。ロシアはウクライナの軍や親衛隊への命令がNATOの司令部から出ていると考えているようだ。 そして2月21日、プーチン大統領はドンバス(ドネツクやルガンスク)の独立を承認、ウクライナに対し、クリミアとセバストポリがロシア領だと認めること、次にウクライナはNATO加盟を断念すること、第3にルガンスクと入植について話し合うこと、最後にウクライナは非武装化(攻撃的な軍事施設や兵器を持たない)して中立を宣言することを求めた。 バラク・オバマ時代からロシアとの軍事的な緊張を煽ってきたアメリカ/NATOだが、今のところロシアとの軍事的な衝突は避けている。アメリカ軍の上層部がロシア軍との軍事衝突を認めないだろうが、結果としてウクライナは孤立した。こうした状況を作ったアメリカの好戦派(いわゆるチキン・ホーク)を世界の人びとは見ている。
2022.02.25
ロシアのウラジミル・プーチン大統領がドンバス(ドネツクやルガンスク)の独立を承認した後、ドンバスで「特殊軍事作戦」を実施すると発表した。ネオ・ナチ(ステファン・バンデラの信奉者)の一掃が大きな目的のようだ。 ハリコフ、クラマトルスク、ドニプロ、マリウポリ、ザポリージャ、そしてキエフで爆発音が聞かれたと伝えられているが、巡航ミサイル「カリブル」で攻撃されているようだ。11カ所の航空基地や3カ所の司令センターを含む74の軍事施設が破壊されたという。カリブルは亜音速から最終的に超音速のマッハ2.5から2.9へ加速してターゲットへ向かう。 バラク・オバマ米大統領が政府のメンバーを好戦的な布陣に変更していた2015年、マーチン・デンプシー統合参謀本部議長が退任した直後の9月30日からロシアはシリア政府の要請で軍事介入した。そして10月7日、カスピ海からシリアのターゲットへ向けて発射されたのがカリブルだった。発射されたミサイル26機は11のターゲットに数メートルの精度で命中している。そうしたミサイルの存在を認識していなかったアメリカ軍を震撼させたとも言われている。 アメリカの外交や軍事の分野で主導権を握っているネオコンは「脅せば屈する」と信じてきた。リチャード・ニクソンは、他国にアメリカが何をしでかすかわからない国だと思わせれば自分たちが望む方向へ世界を導けると考え、イスラエルのモシェ・ダヤン将軍は、狂犬のように思わせなければならないと語ったが、似た発想だろう。 1991年1月に湾岸戦争があったが、国防次官だったポール・ウォルフォウィッツはその経験から中東でアメリカが軍事力を行使してもソ連軍は出てこないと考えるようになったという。これはウェズリー・クラーク元NATO欧州連合軍最高司令官の話だ。 その思い込みは2008年8月に打ち砕かれている。イスラエルやアメリカを後ろ盾とするジョージア軍が南オセチアを奇襲攻撃したのだが、返り討ちにあってしまった。2015年9月のシリアにおける出来事によってネオコンの思い込みが間違っていることは決定的になったのだが、まだその考えを捨てられていないようだ。そうでなければ、バイデン大統領もこれほど挑発的なことをできなかっただろう。 バイデン政権は2021年1月に誕生して以来、ウクライナへ武器/兵器を含む軍事物資を運び込む一方、ウクライナ周辺で挑発的な行動を繰り返してきた。 例えば、3月10日にNATO加盟国の軍艦がオデッサへ入港、同じ頃にキエフ政府は大規模なウクライナ軍の部隊をウクライナ東部のドンバス(ドネツクやルガンスク)やクリミアの近くへ移動させてロシアを挑発している。 4月に入るとアメリカ空軍は1週間の間に少なくとも3度、物資を空輸していると伝えられた。4月5日にはウクライナのゼレンスキー大統領はカタールを訪問、そのカタールの空軍は5機の輸送機を使い、トルコを経由でウクライナへ物資を運んでいるという。 そのトルコはウクライナでアメリカと連携、3月14日には少なくとも2機のC-17A輸送機がトルコからウクライナへ物資を輸送、トルコ軍兵士150名もウクライナへ入る。 4月10日にウクライナのウォロディミル・ゼレンスキー大統領はトルコを訪れてレジェップ・タイイップ・エルドアン大統領と会談、その直後にトルコの情報機関は「ジハード傭兵」を集め始めている。 その直前、4月6日と7日にはNATO軍事委員会委員長のスチュアート・ピーチ英空軍大将がウクライナを訪問、9日にアメリカは「モントルー条約」に従い、トルコ政府へ自国の軍艦2隻が4月14日か15日に地中海から黒海へ入り、5月4日か5日まで留まるとると通告した。 その前にアメリカの軍艦2隻が4月14日か15日に地中海から黒海へ入り、5月4日か5日まで留まると通告されていたが、ロシアの反発が強いため、米艦船の黒海入りはキャンセル。 そうした中、ウクライナの国防大臣が辞意を表明し、その一方でネオ・ナチ「右派セクター」を率いるドミトロ・ヤロシュが参謀長の顧問に就任したと伝えられた。 6月28日から7月10日にかけてアメリカ軍を中心とする多国籍軍が黒海で軍事演習「シー・ブリーズ」を実施したが、これには日本も参加している。 シー・ブリーズに参加するために黒海へ入っていたイギリス海軍の駆逐艦「ディフェンダー」は6月23日にオデッサを出港した後、ロシアの領海を侵犯してクリミアのセバストポリへ接近。それに対してロシアの警備艇は警告のために発砲、それでも進路を変えなかったことからSu-24戦術爆撃機が4発のOFAB-250爆弾を艦船の前方に投下している。この爆弾は模擬弾ではなく実戦用。その直後にディフェンダーは領海の外へ出た。 当初、イギリス海軍は警告の銃撃や爆弾の投下はなかったと主張したが、問題の駆逐艦に乗船していたBBCの記者ジョナサン・ビールが周囲にロシアの艦船や航空機がいて、銃撃音や爆弾を投下した音を聞いたと伝えている。 6月24日にはオランダのフリゲート艦「エバーツェン」がクリミアへ接近したが、ロシア軍がSu30戦闘機とSu-24爆撃機を離陸させると、領海を侵犯しないまま、すぐに離れていった。 12月に入るとアメリカの偵察機が黒海の上空を何度も飛行、民間航空機の飛行ルートを横切るなど脅しを繰り返し、ウクライナ軍はアメリカ製の兵器を誇示してロシアを挑発している。その前にはアントニー・ブリンケン国務長官がロシアを恫喝、ロード・オースチン国防長官はウクライナを訪問していた。 一方、ウクライナの現政権は部隊をドンバスの近くへ移動させて軍事的な圧力を強めている。ゼレンスキー大統領は外国の軍隊が領土内に駐留することを議会に認めさせ、キエフ政権側で戦う外国人戦闘員にウクライナの市民権を与えることも議会は認めた。脅しのつもりだろう。 また、CIAがウクライナ軍の特殊部隊を秘密裏に訓練しているとする情報も伝えられている。この訓練は2015年、つまりウクライナでアメリカ政府がネオ・ナチを使ったクーデターを成功させた翌年にアメリカの南部で始められたという。 訓練を受けた戦闘員はドンバス周辺で活動することが想定されているはずだ。ウクライナ軍の活動をアメリカ政府は「ロシアの偽旗作戦」だと宣伝する可能性がある。そうしたストーリーをバイデン政権は宣伝している。 今回のロシアによるミサイル攻撃は、西側がウクライナへ持ち込んだ兵器や軍事物資を破壊することも目的のひとつだろう。
2022.02.25
ロシアのウラジミル・プーチン大統領は2月21日にドンバス(ドネツクやルガンスク)の独立を承認した。その後、ウクライナに対するプーチンの要求も明らかになっている。まずクリミアとセバストポリがロシア領だと認めること、次にウクライナはNATO加盟を断念すること、第3にルガンスクと入植について話し合うこと、最後にウクライナは非武装化して中立を宣言することだ。 プーチン大統領はジョー・バイデン大統領と昨年12月7日にオンライン会談を実施、その際にNATOの東への拡大を止めるようバイデンに求め、アメリカやNATOがNATOの拡大を止めることを文書で保証できないなら、ロシアは自らが拡大できないようにするという姿勢をプーチンは示した。それに対し、バイデンはウクライナのNATO加盟へロシアは口を出すなという態度を示し、プーチンは自国を守る権利が自分たちにもあると反論している。 今年2月10日にロシア、ウクライナ、フランス、ドイツの政治顧問がウクライナ情勢に関する会議をベルリンで開いたが、進展はなかった。ロシア以外の3カ国がアメリカ政府の意向に従う姿勢を放棄できなかったということだろう。この段階でプーチンは話し合いでロシアの安全を保つことはできないと考え、ロシアは自らの力で自らの安全を守ると決断したように見える。 2月17日頃からウクライナ側からドンバスへの攻撃が激しくなり始めたが、ボロディミル・ゼレンスキー大統領の発言が事実なら、攻撃命令は大統領以外のところから出ている。プーチンはウクライナの軍や親衛隊への命令がNATOの司令部から来ていると考えているようだ。 ドネツクやルガンスクの独立をロシアが承認する直前のロシア軍の動きを見ると、地上部隊がウクライナ全域に侵攻する可能性は小さいだろうが、すでにハリコフ、クラマトルスク、ドニプロ、マリウポリ、ザポリージャ、そしてキエフで爆発音が聞かれたと伝えられている。ロシアが攻撃しているとするなら、ミサイルによるものだろう。ウクライナの航空基地が破壊されたとも言われている。 ロシアではプーチン政権の決定を好意的に見ている可能性が高い。バラク・オバマ政権がネオ・ナチ(ステファン・バンデラの信奉者)を利用して2014年に実行したクーデターの際、ドンバスにはウクライナの軍や治安機関のメンバーが合流、新兵が多かったクーデター軍は劣勢になる。そこでアメリカ政府はCIAやFBIの専門家数十名を顧問として送り込み、傭兵会社「アカデミ(旧社名はブラックウォーター)」の戦闘員約400名もウクライナ東部の作戦に参加したと伝えられていた。そして組織されたのがネオ・ナチを中心とする親衛隊だ。 その当時、ドンバスが優勢だったにもかかわらずプーチン政権は停戦へ誘導、アメリカに戦力増強の時間的な余裕を与えることになった。そうしたこともあり、プーチンがドンバスの住民を助けなかったと批判する人は少なくない。昨年11月にはネオ・ナチの一派である「右派セクター」を率いるドミトロ・ヤロシュを参謀長の顧問に就任させたと伝えられている。 ヤロシュは2007年頃からNATOの秘密部隊ネットワークに参加しているとも言われ、西側の有力メディアが売り出している「アゾフ大隊(またはアゾフ連隊)」を率いている人物はヤロシュの部下。そうしたネオ・ナチをプーチンは一掃するとも宣言しているようだ。
2022.02.24
ドイツ政府は2月22日、ロシアのウスツルガからドイツのグライフスバルトへ天然ガスを運ぶパイプライン「ノードストリーム2」の承認手続きを中止すると発表した。このパイプラインはアメリカの妨害を乗り越え、昨年9月に完成している。 天然ガスを運ぶパイプラインは生産国と消費国を政治経済的に結びつける。2014年2月にアメリカのバラク・オバマ政権がネオ・ナチを利用し、ウクライナでクーデターを実行した理由のひとつは少なからぬパイプラインがウクライナを通過していたからだ。このクーデターにより、パイプラインを介したロシアとEUとの結びつきはダメージを受けた。 しかし、ウクライナを通過しないパイプラインもある。そのひとつがロシアのビボルグからグライフスバルトへ天然ガスを運ぶ「ノードストリーム1」。これは2011年11月に開通、その年に「ノードストリーム2」の建設が始まった。 シティとウォール街、つまりイギリスとアメリカの巨大金融資本はウクライナが自立することを許さない。2004年11月の大統領選挙で勝利したビクトル・ヤヌコビッチは東部と南部を地盤とする政治家で、ロシアとの関係を重視していた。つまり米英支配層にとって好ましくない人物だ。そうした人物を当選させた選挙を彼らは「不正」だと宣告する。 そこで2004年から05年にかけて社会混乱が引き起こされ、アメリカに好かれていたビクトル・ヤヌコビッチにすげ替えられる。これが「オレンジ革命」だ。実際は「クーデター」だが、ある種の人を操るためには「革命」というタグは有効である。 その「革命」が進行中、ユシチェンコの顔に異常が現れ、原因はダイオキシンによるという話が広まる。ユシチェンコ側は毒を盛られたと主張、5日後にウィーンの民間病院で治療を受けたという。イギリスやオランダの医師がダイオキシンが原因だと主張していたのだが、実際に治療したウィーンの病院で主任医療部長だったロタール・ビッケはそうした説を否定している。2度診察したが、毒を盛られた証拠は見つからなかったという。 ビッケによると、その後、病院の監督委員会から文書で主張を撤回するように要求され、英語なまりの人物から電話があり、「おまえの命は危険にさらされている」と脅迫されたと語っている。その後、ビッケは病院を解雇された。 ユシチェンコは1993年から国立ウクライナ銀行の会長を務めているが、98年にカテリーナ・チュマチェンコなる女性と再婚した。この女性の両親は1956年にアメリカへ移住、本人は61年にシカゴで生まれた。大学を卒業してから国務省へ入り、次官補の特別アシスタントを経験、ロナルド・レーガン政権ではホワイトハウス、ジョージ・H・W・ブッシュ政権では財務省で勤務。ウクライナが独立を宣言した後、米国ウクライナ基金の代表としてウクライナへ渡った。カテリーナがウクライナ国籍を取得したのは2005年だ。 ユシチェンコ政権は新自由主義的な政策を推進、富が国外の巨大資本へ流れ、その手先は「オリガルヒ」と呼ばれる富豪になり、貧富の差が拡大する。そこでウクライナの有権者は2010年の大統領選挙で再びヤヌコビッチを選ぶ。そしてアメリカ政府は2014年にクーデターを仕掛けたわけだ。 クーデター後、アメリカとその手先は南部の都市オデッサで住民を虐殺、東部へ戦車部隊を突入させて住民を殺す。東部や南部ではロシア語を話す住民が多く、そうした住民がネオ・ナチを恐れてロシアへ難民として逃げてくれれば、そこへ自分たちにとって都合のいい人びとを移住させるつもりだったのだろう。パレスチナ/イスラエル方式だ。 しかし、南部のクリミア半島では住民の動きが素早かったことに加え、大陸とつながっている部分が細く、防衛しやすい地形だった。しかもクリミアのセバストポリはロシア海軍の拠点。ロシアとウクライナが1997年に結んだ分割協定によって、ロシア軍は基地を使用し、2万5000名までの兵士を駐留させることが認められていた。2014年のクーデター当時、この条約に基づいて1万6000名のロシア軍が実際に駐留していた。 西側の政府やメディアは当初、この部隊をロシア軍が侵略した証拠だと宣伝していたが、嘘が知られると軍服を脱いだロシア兵が入ったと主張し出した。勿論、証拠は示されていない。そうした部隊が入っただけで穏やかにクリミア全体を制圧することなどできるはずはないが、どうしてもアメリカを善玉にしたい人びとは「アメリカ様」の「御告げ」を信じる。この時、ウクライナ軍も動かなかった。 クーデターがあった2014年から19年にかけて大統領を務めたペトロ・ポロシェンコはユシチェンコの仲間。国立キエフ大学を卒業しているが、そこで親しくなったミハイル・サーカシビリは2004年から13年にかけてジョージアの大統領を務めた。 ポロシェンコも米英資本の傀儡にすぎず、ウクライナは破綻国家になる。そうした不満を集めて大統領に選ばれたのがボロディミル・ゼレンスキーだが、現在、軍や治安機関を掌握できていないように見える。実際に指揮しているのはNATOだという話もある。 NATOは1949年4月に創設された軍事同盟。ソ連軍に対抗することが目的だとされているが、当時のソ連には西ヨーロッパへ攻め込む能力はなかった。何しろドイツとの戦闘でソ連の国民は2000万人以上が殺され、工業地帯の3分の2を含む全国土の3分の1が破壊され、惨憺たる状態だったのだ。アメリカやイギリスはソ連を核ミサイルで攻撃する計画を立てている。 第2次世界大戦中、西ヨーロッパでドイツ軍と戦っていたのは事実上レジスタンスだけ。そのレジスタンスの主力はコミュニストだった。大戦後、フランスやイタリアでコミュニストが人気だった理由はここにあると言えるだろう。 そのレジスタンス対策として大戦の終盤にアメリカやイギリスの情報機関はゲリラ部隊「ジェドバラ」を編成、戦争が終わると、アメリカはその人脈を利用して特殊部隊や破壊工作組織OPCを作った。OPCは後にCIAの破壊工作部門になる。 ジェドバラの人脈はNATOへも入り込み、1951年からはCPC(秘密計画委員会)の下で活動するようになった。その下部機関がACC(連合軍秘密委員会)。各国の情報機関はこの委員会で情報の交換を行っているとされている。 全てのNATO加盟国には情報機関と結びついた秘密部隊が存在、中でもイタリアのグラディオは有名だ。秘密部隊のネットワークは各国政府を監視、場合によっては転覆させることもある。イタリアの場合は「極左」を装って爆弾テロを繰り返し、クーデターも計画している。 秘密部隊は西ヨーロッパ諸国を支配する道具として機能しているわけだが、NATO自体も支配の道具だ。NATOの拡大はアメリカの支配地が拡大することでもあった。最終的にはロシアを支配地にしようと目論んでいるが、その前にロシアとEUの関係が緊密になるとEUは自立、アメリカは支配地を一気に失う可能性もある。それを米英は恐れているだろう。
2022.02.24
ロシアのウラジミル・プーチン大統領はドンバス(ドネツクやルガンスク)の独立を承認しました。この地区の反クーデター派住民は2014年2月にアメリカ政府を後ろ盾とするネオ・ナチがキエフでクーデターを成功させた直後からロシアに独立、あるいは自治権を承認するように求めていましたが、これまで実現しなかったのです。 プーチン政権は外交交渉でウクライナ問題の解決を目指してきましたが、2021年1月20日にアメリカ大統領となったジョー・バイデンはロシアや中国を屈服させようと両国の政府を恫喝、それは中露にアメリカは交渉できる相手でないと思わせるだけだったでしょう。バイデン政権がロシアに対する軍事的な恫喝を続けてきたことは本ブログでも書いてきました。 そうしたバイデン政権の好戦的な政策に日本も巻き込まれています。例えば2021年3月15日にアントニー・ブリンケン国務長官とロイド・オースチン国防長官は日本を訪問して茂木敏充外相や岸信夫防衛相に会談、中国や朝鮮を恫喝する発言をしました。 3月18日と19日にはアメリカのブリンケン国務長官とジェーク・サリバン国家安全保障補佐官がアンカレッジで中国の楊潔篪中央外事活動委員会弁公室主任や王毅外交部長と会談。アメリカ側の要請だったようですが、やりとりは激しいものだったと言われています。 7月25日にウェンディ・シャーマン国務副長官が天津を訪問し、翌日には謝鋒外務次官や王毅国務委員兼外相と会談していますが、中国の外交分野におけるトップである楊潔篪には会えなかったようです。中国にとって、アメリカの重要度が下がったということかもしれません。 3月22日と23日には中国側の要請でセルゲイ・ラブロフ外相が中国を訪問、王毅外交部長と会談し、両国の同盟関係を強く印象づけます。その際、中国とロシアはドル離れを確認、貿易決済で自国通貨を使うようにすることで合意。アメリカの支配システムを支えてきたドルへの決別を宣言したと言えるでしょう。 今年2月4日に北京で冬季オリンピックが開催されましたが、その日に中国の習近平国家主席とロシアのウラジミル・プーチン大統領は会談し、両国の「限界なき協力」を宣言しています。アメリカからの圧力が強まるほど両国の関係も強まっているようです。 アメリカ政府は「ルビコン」を渡り、後戻りできな状況になったように見えました。その後もバイデン政権は恫喝をエスカレートさせ、ロシアが設定した「レッド・ライン」に迫ったのです。 北京で開かれている冬季オリンピックの閉幕を前にウクライナ軍はうウクライナ東部にあるドンバス(ドネツクやルガンスク)に対する砲撃を開始、住民がロシアへ避難しているとする情報がドンバスから流れていました。その攻撃が2月17日頃から激しくなります。ボロディミル・ゼレンスキー大統領は軍や親衛隊の動きを掌握できていなかったようです。 そのゼレンスキー大統領は右派セクターを率いているドミトロ・ヤロシュを昨年11月に参謀長の顧問に就任させたと伝えられています。ヤロシュは2007年頃からNATOの秘密部隊ネットワークに参加しているとも言われ、西側の有力メディアが売り出している「アゾフ大隊(またはアゾフ連隊)」を率いている人物は彼の部下です。ヤロシュが顧問に就任した時点でウクライナの軍事部門はネオ・ナチを通じてアメリカ/NATOが掌握した可能性が高いでしょう。ちなみに、NATOの秘密部隊ネットワークの中で最も有名な組織はイタリアのグラディオです。1960年代から80年代にかけ、「極左」を装って爆弾テロを繰り返していました。 年明け直後にカザフスタンでクーデター未遂がありましたが、これが成功していたならロシアのウクライナに対する対応にも影響していたかもしれません。その頃からアメリカの政府や有力メディアはウクライナへロシアが軍事侵攻する可能性が高いと叫び始めますが、これはアメリカがドンバスに対する攻撃を始めようとしていることを示していると見る人もいました。ゼレンスキー大統領はそうした西側の主張はウクライナの状況を悪化させると批判、国内で暴動を計画していたメンバーの逮捕も伝えられます。 アメリカはウクライナ周辺だけでなく、東アジアでも軍事的な緊張を高めています。アメリカはオーストラリアやイギリスと「AUKUS」なる軍事同盟を結成しましたが、これは中国やロシアを仮想敵とする「アジアのNATO」でしょう。このアジア版NATOを構成している国はアメリカ、オーストラリア、そしてイギリスだというところにアメリカの置かれた状況が反映されています。 そうした中、アメリカが築いた戦争マシーンの一部となろうとしているのが日本。昨年12月1日に安倍晋三元首相は台湾のシンクタンク「国策研究院」が主催したフォーラムで、台湾有事は日本有事であり、日米同盟の有事でもあると発言して「ひとつの中国」という建前を否定、中国を挑発しました。 自衛隊の動きも含め、日本は軍事的に一線を超えたと見られていることでしょう。すでにバイデンは「ルビコン」を渡り、後戻りできない状態ですが、ロシアは「レッド・ライン」を超えれば厳しく対応する意思を示していました。日本はアメリカに付き従っています。日本に対する中露の対応も厳しくなるはずです。 ロシア政府のドンバス承認はロシア政府がアメリカやイギリスとの交渉に見切りをつけたことを示しています。世界は新しいステージに進みました。 アメリカの支配者は自分たちの支配下にある有力メディアを使って人びとを操ろうとするでしょう。いわば「マトリックス戦術」ですが、メディアの信頼度は下がり続けています。 現在の支配システムが自分たちにとって都合の良い人びとはそのシステムの実態を暴く情報を「嘘」だと主張しますが、事実を直視できる人も少なくないと信じています。できるだけ早く「マトリックス」から抜け出す必要があります。 そのために事実を知る必要があります。厳しい状況にありますが、カンパ/寄付をよろしくお願い申し上げます。櫻井 春彦振込先巣鴨信用金庫店番号:002(大塚支店)預金種目:普通口座番号:0002105口座名:櫻井春彦
2022.02.23
ロシアのウラジミル・プーチン大統領はドンバス(ドネツクやルガンスク)の独立を承認すると伝えられている。すでにウクライナのボロディミル・ゼレンスキー大統領の発言からも同国の軍や親衛隊を大統領がコントロールできていないことが推測できたが、プーチンは軍への命令がNATOの司令部から来ていると主張、またロシアの安全が脅かされる事態になり、奇襲攻撃の危機も迫っているとしている。 アメリカのジョー・バイデン大統領は就任早々、「ルビコン」を渡ってしまい、後戻りできない状態になっていた。ロシアは「一線」を超えれば厳しく対応する意思を示していたが、バイデンはその一線を超えたということだろう。 アメリカのバラク・オバマ政権がネオ・ナチを使い、ウクライナのビクトル・ヤヌコビッチ大統領をクーデターで排除したのは2014年2月22日のことだった。その時のアメリカ副大統領がバイデンにほかならない。 言うまでもなくクーデターは憲法に反する行為である。ヤヌコビッチの支持基盤だった東部や南部ではクーデターを受け入れない人が多く、クリミアでは3月16日にロシアとの一体化の是非を問う住民投票が実施された。投票率は80%を超え、そのうち95%以上が加盟に賛成したと発表されている。 アメリカやその従属国では、アメリカの支配層にとって都合の悪い選挙結果は不正だとされる。クリミアでもそうした宣伝がなされたが、この住民投票では国外からの監視団が入り、日本やアメリカに比べれば遥かに公正なものだったと考えられている。 5月2日にはオデッサで反クーデター派の住民が虐殺された。「サッカー・ファン」を装った「右派セクター」の集団が広場でテントを張っていた反クーデター派の市民を襲撃、何人かを殺害している。この右派セクターはネオ・ナチの一派だ。 ボロディミル・ゼレンスキー大統領は右派セクターを率いているドミトロ・ヤロシュを昨年11月に参謀長の顧問に就任させたと伝えられているが、この人事は無視できない。 ヤロシュは2007年頃からNATOの秘密部隊ネットワークに参加しているとも言われている。西側の有力メディアが売り出している「アゾフ大隊(またはアゾフ連隊)」を率いている人物はヤロシュの部下だ。 ところで、オデッサの反クーデター派の市民は労働組合会館の中へ誘導され、そこで虐殺されて建物は放火された。50名弱が殺されたと伝えられているが、これは地上階で発見された死体の数にすぎず、地下ではさらに多くの人が殺され、運び去られたと証言する人もいた。その際、警官が傍観している様子が映像に残っている。 ロシアの戦勝記念日である5月9日にクーデター軍は戦車をドネツク州マリウポリ市へ突入させて市内を破壊、非武装の住民を殺害しているのだが、住民の抵抗にあっている。その様子は住民自身が携帯電話で撮影し、世界へ発信された。そうした部隊が入らなかった(入れなかった)クリミアとは全く違う光景がそこにはあったのだ。 そこからドンバス(ドネツクやルガンスク)における戦いは始まるのだが、反クーデター軍には少なからぬウクライナ軍の将兵や治安機関の隊員が合流したとも言われている。ネオ・ナチに従属することはできなかったのだろう。そうしたこともあり、軍を信頼できない人びとは「右派セクター」をはじめとするネオ・ナチを中心に親衛隊を創設した。 クーデター軍の戦術は、まずターゲットの地域を軍隊で包囲して兵糧攻めにし、放送、電話、通信手段を断つことから始まる。その上で地上軍と航空機を組み合わせて戦略的に重要な施設を攻撃、住民を追い出して残った人びとは殺す。掃討作戦が終了した後に電力や通信を復活させるのだが、避難した住民が帰還してきたなら分離独立に賛成しているかどうかをチェックし、「ロシア嫌い」だけが帰還、あるいは移住を許されるという手順。 この作戦はアメリカ軍系のシンクタンク、RANDコーポレーションが作成したプランに従って遂行されているとも言われているが、それだけでなく、アメリカ政府はCIAやFBIの専門家数十名を顧問として送り込んだ。傭兵会社「アカデミ(旧社名はブラックウォーター)」の戦闘員約400名もウクライナ東部の制圧作戦に参加したとも伝えられていた。
2022.02.22
北京オリンピックが閉幕する2月20日、モスクワのアメリカ大使館はロシアにいるアメリカ市民に対し、都市部で人の集まる場所、例えばショッピング・センター、鉄道、地下鉄の駅などが攻撃されるとするメディアからの情報があると警告した。ウクライナとの国境近くだけでなく、モスクワやサンクトペテルブルグが狙われるとしている。 2008年8月、北京の夏季オリンピック開催に合わせてジョージア軍が南オセチアを奇襲攻撃したが、失敗に終わった。その作戦はジョージア軍が独自に行ったのではなく、イスラエルとアメリカが深く関与している。2001年からイスラエルはジョージアへ武器/兵器を含む軍事物資を提供、将兵を訓練し、アメリカの傭兵会社も教官を派遣してジョージア軍を訓練しているのだ。奇襲攻撃が行われる前の月にアメリカの国務長官だったコンドリーサ・ライスがジョージアを訪問した。 奇襲攻撃の少し前、アメリカの支配層がロシア軍を甘く見ていたことは本ブログでも繰り返し書いてきた。例えばフォーリン・アフェアーズ誌の2006年3/4月号に掲載されたキール・リーバーとダリル・プレスの論文では、アメリカ軍の先制第1撃でロシアと中国の長距離核兵器を破壊できるようになる日は近いとされているのだ。南オセチアでの出来事はその思い込みを崩したと言える。 1991年12月にソ連が消滅した際、少なからぬ人はアメリカが「唯一の超大国」になったと信じた。そうした人の中にはネオコンも含まれていたが、21世紀に入ってから状況は大きく変化する。その節目になった出来事は、2008年8月のジョージア軍による南オセチア奇襲攻撃失敗だろう。 2014年2月にはロシアのソチで冬季オリンピックが開催されたが、その日時に合わせてアメリカはウクライナでクーデターを実行している。その際、クーデター軍の主力になったのがナチスと緊密な関係にあったステファン・バンデラの信奉者、つまりネオ・ナチだ。 その当時、アメリカはシリアで苦境に陥っていた。2011年3月からシリア侵略が計画通りに進んでいなかったのだ。「独裁者と民衆の戦い」という幻影を使っていたが、アメリカが発進する偽情報は次々に暴露されている。 2012年8月にアメリカ軍の情報機関DIAはバラク・オバマ政権が続けているムスリム同胞団やサラフィ主義者(ワッハーブ派、タクフィール主義者)を支援する行為は危険だと報告していた。その中でオバマ政権の政策はシリアの東部(ハサカやデリゾール)にサラフィ主義者の支配地域を作ることになると警告しているが、その警告は2014年にダーイッシュという形で現実になっている。 その1年前、2013年7月31日にサウジアラビアのバンダル・ビン・スルタン総合情報庁長官(当時)がモスクワを訪問、ウラジミル・プーチン大統領やロシアの情報機関幹部と会談したと伝えられている。バンダルはアメリカの支配層、特にブッシュ家と親しい関係にあり、「バンダル・ブッシュ」とも呼ばれていた。 その際、スルタンはロシアがシリアから手を引けば、ソチで開催が予定されている冬季オリンピックの安全を保証できると持ちかけたされている。チェチェンのグループはサウジアラビアの指揮下にあり、攻撃を止めさせられるというわけだ。シリアから手を引かなければソチ・オリンピックで破壊活動を実行すると脅したということだろう。 この提案をプーチンは拒否、「ここ10年の間、チェチェンのテロリスト・グループをあなたたちが支援していることを知っている」と言い放ったと伝えられた。バンダルの恫喝は逆効果だったと考えられてる。 その当時、ロシア駐在アメリカ大使を務めていたのはマイケル・マクフォール。ロシアの大統領選挙に介入する役割を負って2012年2月に赴任している。ウクライナでクーデターが成功した直後、離任した。 オバマ大統領は2015年に政府を好戦的な布陣に替える。2月に国防長官がチャック・ヘーゲルからアシュトン・カーターへ交代、9月には統合参謀本部議長がマーチン・デンプシーからジョセフ・ダンフォードへ交代したのだが、デンプシーが退任した5日後、9月31日にロシアはシリア政府の要請で軍事介入、アメリカの手先として活動していたムスリム同胞団やサラフィ主義者の戦闘集団を敗走させた。 モスクワのアメリカ大使館はバンダルのような恫喝をしたようにも思えるが、バンダルの場合は逆効果だった。
2022.02.22
フランスでモデル事務所を経営、多くのモデルを発掘したというジャン-リュック・ブルネルが2月19日にラ・サンテ刑務所で「自殺」した。性的な暴行を働いた容疑で裁判になっていた。 ブルネルはニューヨーク、マイアミ、テル・アビブに事務所を持ち、ジェフリー・エプスタインから融資を受けていた人物。そのエプスタインは性的な目的で未成年者を売買した容疑で2019年7月6日に逮捕され、8月10日にニューヨーク市にあるメトロポリタン更生センターで「自殺」している。 首の骨が何カ所か折れているとも伝えられているが、房のシーツは紙のように弱く、首をつることは困難だという。また、彼が死亡する前日に同房者はほかへ移動、死んだときに看守は過労で居眠りしていただけでなく、監視カメラの映像は問題の部分が利用できない状態になっていた。 2006年7月27日にもエプスタインは逮捕されている。未成年者に売春させた容疑だが、その時に事件を地方検事として担当したアレキサンダー・アコスタによると、エプスタインは「情報機関に所属している」ので放っておけと言われたという。 エプシュタインの背後に情報機関の影がちらつくは事実。イツァク・シャミールがイスラエルの首相だった当時に特別情報顧問を務めていたアリ・ベンメナシェによると、彼と内縁関係にあったと言われているギスレイン・マクスウェル、そしてギスレインの父親でミラー・グループを率いていたロバート・マクスウェルと同じように彼はイスラエル軍の情報機関(アマン)に所属していた。(Zev Shalev, “Blackmailing America,” Narativ, Septemner 26, 2019) エプスタインやギスレインは隠し撮りした映像を利用して世界の有力者を恫喝していたようだが、ふたりの背後にはイスラエルの情報機関が存在、世界の有力者を恫喝し、思い通りに操っていたということになるだろう。ギスレインは2020年7月2日に逮捕された。 ロバートは1960年代からイスラエルの情報機関のエージェントだったとも言われているが、1991年11月5日、カナリア諸島沖で自身のヨット「レディ・ギスレイン」の船上から消え、死体となって発見される。 彼の下で働いていたこともあるジョン・タワー元上院議員はイスラエルの「スリーパー」。タワーは1989年にジョージ・H・W・ブッシュ大統領から国防長官に指名された際、上院で拒否された。アルコールや女性の問題が原因だとされたが、本当の理由はそこにあったと言われている。 それでもタワーは1990年7月17日からPIAB(大統領情報活動諮問会議)の委員長を務めたが、91年4月5日に搭乗していたアトランティック・サウスイースト航空2311便が墜落して死亡した。ロバートとタワーは同じ年に死亡したわけだ。 有力者の弱みを握り、それを利用して操るという手法は昔からある。例えばエプスタインが親しくしていた「友人」のひとり、ドナルド・トランプが顧問弁護士として雇っていたロイ・コーンもスキャンダルを探り、恐喝に使っていたと言われている。 コーンはジョセフ・マッカーシー上院議員の顧問を務めたこともあり、ルイス・ローゼンスティールなる人物と親しくしていた。この人物は禁酒法の時代に密造酒で大儲けし、後に大手酒造メーカーを経営している。このローゼンスティールもスキャンダルを使った恐喝をしていたという。 ローゼンスティールの同業者で親しい間柄だったのがサミュエル・ブロンフマン。その息子であるエドガー・ブロンフマンも情報機関とつながっている、あるいは動かしていると言われている。 政治を動かすために恐喝を使っていたと言われている人物はほかにもいた。そうしたひとりが犯罪組織のボスだったミッキー・コーエン。バグジー・シーゲルのボディーガードだったが、1947年6月にシーゲルが殺された際、コーエンは現場から姿を消していた。メイヤー・ランスキーから事前に話を聞いていたと言われている。 ユダヤ系の地下武装集団だったイルグンの幹部で後にイスラエルの首相になるメナヘム・ベギンとコーエンは親しく、またシーゲルと同じようにコーエンもハリウッドに大きな影響力を持っていた。 その力を利用して有名俳優を有力者に提供する一方、その事実を利用して脅していたと言われている。コーエンが親しくしていた人物の中にはジェイコブ・ルベンスタイン、通称ジャック・ルビーも含まれている。ジョン・F・ケネディ大統領暗殺の実行犯にされたリー・ハーベイ・オズワルドを警察署で殺したことになっている人物だ。 ルビーは1964年4月に死刑が宣告されたが、上訴裁判所はそれを取り消している。その年の6月にウォーレン委員会のメンバーとダラスで面談したルビーはテキサスにいては命が危ないという理由でワシントンDCへ移すように強く求めている。 自分は真実を話す用意があるが、テキサスでは無理だとしていたのだが、結局、ワシントンDCへの移送は認められない。1967年1月にパークランド病院でガンのために55歳で死亡したとされている。
2022.02.21
2月15日にはクリミアを含むロシア南部で演習していた部隊が所属基地へ戻り始めたと伝えられた。ジョー・バイデン政権になってからアメリカ/NATOはロシアに対する軍事的な圧力を強め、ウクライナを軍事的な支配地にしようとしているが、それに対する警告の意味もあった。 そのウクライナで大統領を務めるボロディミル・ゼレンスキーは軍事的な緊張を煽っているのは西側だとしている。例えば1月下旬、ロシアの侵略が差し迫っているという間違った警告はウクライナの経済を危険な状態にするとゼレンスキーは記者に語り、その直後、ウクライナの内務大臣は暴動を計画した人びとを逮捕したと発表している。また2月12日には「ロシアが2月16日から侵略してくる」という情報を教えてほしいと記者にゼレンスキー大統領は言っている。 攻撃予定日と言われた16日を前にロシア軍は撤退を始めたことになるが、バイデン政権は根拠を示さず、撤退開始情報を否定。そしてドンバス(ドネツクやルガンスク)で2月17日頃からミサイル攻撃が激しくなり、住民がロシアへ避難していると伝えられている。ロシア軍の撤退に「弱さ」を感じての攻撃と推測する人もいる。 そうした中、2月18日にウクライナ国家安全保障国防会議の議長を務めるオレクシー・ダニロフは「ドンバス解放」の命令は出ていないと発言、オレクシー・レズニコフ国防相はロシアと大規模な軍事衝突に発展する可能性は小さいと語った。 ゼレンスキーとしてはウクライナをこれ以上西側に破壊されたくないと考えているのだろうが、バイデン政権は発足以来、ウクライナで軍事的な緊張を高めてきた。 例えば、2021年3月10日にNATO加盟国の軍艦がオデッサへ入港、同じ頃にキエフ政府は大規模なウクライナ軍の部隊をウクライナ東部のドンバス(ドネツクやルガンスク)やクリミアの近くへ移動させている。 3月14日には少なくとも2機のC-17A輸送機がトルコからウクライナへ空輸、トルコ軍兵士150名もウクライナへ入った。4月10日にゼレンスキーはトルコを訪れてレジェップ・タイイップ・エルドアン大統領と会談、その直後にトルコの情報機関は「ジハード傭兵」を集め始めた。 4月に入るとアメリカ空軍は1週間の間に少なくとも3度、物資を空輸していると伝えられ、4月5日にゼレンスキー大統領はカタールを訪問、そのカタールの空軍は5機の輸送機を使い、トルコを経由でウクライナへ物資を運んでいるという。 4月6日と7日にはNATO軍事委員会委員長のスチュアート・ピーチ英空軍大将がウクライナを訪問、9日にアメリカは「モントルー条約」に従い、トルコ政府へ自国の軍艦2隻が4月14日か15日に地中海から黒海へ入り、5月4日か5日まで留まるとると通告した。 その前にアメリカの軍艦2隻が4月14日か15日に地中海から黒海へ入り、5月4日か5日まで留まると通告されていたが、ロシアの反発が強いため、アメリカ艦船の黒海入りはキャンセルされた。 ロシアの国防大臣はアメリカ/NATO軍がロシアとの国境沿いに4万人の部隊を配置していると指摘、それに対抗してロシア軍は2方面軍と3空挺師団を西側の国境近くへ移動させたと説明。またロシアの黒海艦隊に所属する艦船20隻以上が空軍や防空軍と共同で軍事演習を実施している。 こうしたロシア側の迅速な動きは想定外だったのか、その後、アメリカ政府は「ロシアがウクライナへ軍事侵攻する」と主張し始め、その一方でウクライナの現政権は部隊をドンバスの近くへ移動させて軍事的な圧力を強める。同時にアメリカは黒海へ艦隊を入れて軍事演習を実施してロシアを挑発してきた。 そうした中、ウクライナの国防大臣が辞意を表明し、その一方でネオ・ナチ「右派セクター」を率いるドミトロ・ヤロシュが参謀長の顧問に就任したと伝えられている。 12月に入るとアメリカの偵察機が黒海の上空を何度も飛行、民間航空機の飛行ルートを横切るなど脅しを繰り返し、ウクライナ軍はアメリカ製の兵器を誇示してロシアを挑発している。その前にはアントニー・ブリンケン国務長官がロシアを恫喝、ロード・オースチン国防長官はウクライナを訪問していた。 そしてバイデン大統領とプーチン大統領は12月7日にオンライン会談を実施、プーチン大統領はNATOの東への拡大は止めるように求める。アメリカやNATOがNATOの拡大を止めることを保証できないなら、ロシアは自らが拡大できないようにするという姿勢をプーチンは示すが、バイデンはウクライナのNATO加盟へロシアは口を出すなという態度。ロシアには自国を守る権利があるとプーチンは反論している。
2022.02.20
北京で開かれている冬季オリンピックの閉幕を前に、ウクライナ軍がドンバス(ドネツクやルガンスク)に対する砲撃を開始、住民がロシアへ避難しているとする情報がドンバスから流れている。 ロシアの侵略が差し迫っているという間違った警告はウクライナの経済を危険な状態にすると同国のボロディミル・ゼレンスキー大統領は1月の下旬、記者に語った。その直後、ウクライナの内務大臣は暴動を計画した人びとを逮捕したと発表している。これが事実なら、ジョー・バイデン政権は2014年2月にバラク・オバマ政権がネオ・ナチを使って仕掛けたクーデターを再現しようしたのかもしれない。その時、バイデンは副大統領として重要な役割を果たしたと言われている。 アメリカでは日時を特定してロシア軍がウクライナへ軍事侵攻すると宣伝していたが、自分たちが仕掛けるのでないかぎり、こうしたことを言えるとは思えない。2月12日にゼレンスキー大統領は「ロシアが2月16日から侵略してくる」という情報を教えてほしいと記者に質問している。16日に軍事侵攻はなかったのだが、これはウクライナ内務相の発表と関係があるかもしれない。 しかし、ウクライナの治安機関や軍はアメリカの影響下にあり、親衛隊はアメリカがネオ・ナチを中心に編成した武装集団である。アメリカの命令で動くだろう。 アメリカ/NATOはネオ・ナチの武装勢力やアメリカの傭兵会社アカデミー(ブラックウォーター)のような傭兵会社の戦闘員を東部へ派遣しているが、CIAが2015年からウクライナの特殊部隊をアメリカ南部で訓練、軍事物資をウクライナへ運び込んできたとも報じられている。
2022.02.19
アメリカのFDA(食品医薬品局)とCDC(疾病予防管理センター)が共同で運用しているVAERS(ワクチン有害事象報告システム)への自主的な報告によると、「COVID-19(2019年-コロナウイルス感染症)ワクチン」による死亡者数は2月11日現在、前の週より375名増え、2万3990名に達した。一般的にVAERSに報告される件数は全体の1%から10%程度にすぎ無いと言われ、実際は20万人強から200万人強に達するということになる。 「COVID-19ワクチン」によって深刻な副作用が現れていることは隠しきれなくなっている。例えば帯状疱疹、⾎栓性⾎⼩板減少性紫斑病、体の麻痺、脳梗塞、心筋梗塞、心筋炎、心膜炎、ADE(抗体依存性感染増強)などだ。微小血栓によって脳、脊髄、心臓、肺などがダメージを受けているとも言われている。それでもアメリカをはじめとする国々の政府は強制接種を目論んでいるが、反発は強く、アメリカでは裁判所がブレーキをかけた。抵抗らしい抵抗もないままCOVID-19に対する恐怖が煽られ、「ワクチン」の安全神話が語られている日本は異様だ。
2022.02.19
WHO(世界保健機関)が「COVID-19(2019年-コロナウイルス感染症)」のパンデミックを宣言した2020年3月11日から人びとの行動は制限され、社会は収容所のようになり、生産活動や商業活動は麻痺し、倒産、失業、ホームレス、そして自殺者の増加といった問題が生じつつある。経済の破綻を私的権力の手先である「ハゲタカ・ファンド」は待っている。 定められた安全性の確認作業をせずに使われている「COVID-19ワクチン」を製造しているメーカーには免責特権が与えられ、大きな利益を出していることは言うまでもないが、電子商取引も盛んになり、ハイテク企業は大儲けしている。中小企業や個人経営の店は疲弊し、強大な私的権力と結びついた大企業は儲けしているのだ。 その結果、地域経済は破壊され、地球規模の供給網に依存する度合いが強まる。富は地球規模でビジネスを展開している企業、その企業を支配している人びとへ集中していく。 そうした企業へ投資することで大儲けしているのがブラックロック、バンガード、ステート・ストリートなどの金融機関。1970年代から始まった金融規制の大幅な緩和によって誕生した会社で、銀行のような規制は受けないことから「闇の銀行」とも呼ばれるている。 闇の銀行の中で最も大きい企業はブラックロックだが、そのラリー・フィンクCEOも役員として名を連ねているWEF(世界経済フォーラム)は資本主義世界の広報的な存在。1971年にクラウス・シュワブが創設した団体で、2020年6月には「資本主義の大々的なリセット」を打ち出した。1970年代から資本主義世界では金融化が推進されたが、21世紀に入ると行き詰まったのである。その象徴的な出来事が2008年のリーマン・ブラザーズ倒産だろう。資本主義は「リセット」しなければならない状態に陥っているわけだ。 パンデミックを2010年の段階で考えていた人たちがいる。この年の5月、ロックフェラー財団とGBN(グローバル・ビジネス・ネットワーク)は「技術の未来と国際的発展のためのシナリオ」と題された報告書を発表、その中でパンデミックによる経済へのダメージも指摘されている。人や物資の国際的な移動が止まることから旅行業のような産業や販売網は特に大きなダメージを受けると見通されていたのだ。 パンデミックに対する対策も提示されている。社会的にはマスクの着用、公共施設やマーケットの入り口における体温の測定が強制され、そうした管理、監視体制はパンデミックが去った後も続くと想定しているのだが、それだけでなく、市民は安全と安定を求めて自らの主権やプライバシーを放棄、生体認証が義務づけられるとされている。 COVID-19対策として「デジタル・パスポート」が推進され、電子的な監視システムも強化されている。通貨のデジタル化も進められているが、これによってコンピュータによる通貨の管理が容易になり、個人がどのようにカネを使っているかをチェックできるようになる。人びとは金融機関に口座を持ち、そこで決済することになるだろうが、何らかの事情で支配者に睨まれた場合、「制裁」のために口座を閉鎖するということも想定できる。生きることが困難になるということだ。 デジタル技術と結びついているAI(人工知能)は戦場だけでなく、社会の中で人間と機械を入れ替えるために利用されることになりそうだ。それだけ人間は必要でなくなるわけで、人口削減を推進する道具になるだろう。 こうした動きを進めるためのプラン、「我々の世界を変革する:持続可能な開発のための2030アジェンダ」が2015年9月に国連で採択されている。その中で示された「SDGs(持続可能な開発目標)」を実現するため、個人を特定するためのシステムに記録されていない人びとを管理する必要があるとされ、デジタルIDの導入が進められることになった。そして設立されたのが「ID2020」というNGOだ。 このID2020にも関係しているビル・ゲーツは人口を削減するべきだと考えている。2010年2月にはTEDでの講演で、ワクチンの開発、健康管理、医療サービスで人口を10~15%減らせると語った。 人口削減でゲーツより過激な意見を口にしているのがCNNのテッド・ターナー。彼によると、地球の環境問題を引き起こしている主な原因は多すぎる人口にあるらしい。つまり、環境問題を解決するには人口を減らさなければならないということだ。彼は1996年、「理想的」な人口は今より95%削減した2億2500万人から3億人だと語っている。2008年にはテンプル大学で、世界の人口を20億人、現在の約3割まで減らすとしていた。 富豪はISDS(投資家対国家紛争解決)条項を含むTPP(環太平洋連携協定)、TTIP(環大西洋貿易投資協定)、TiSA(新サービス貿易協定)を成立させようとしていた。 こうした協定の目的はアメリカを拠点とする巨大資本が世界を直接統治することにあり、巨大企業のカネ儲けを阻むような法律や規制は賠償の対象になるはずだった。健康、労働、環境など人びとの健康や生活を国が守れないようにしようとしたのだ。自分たちが世界の支配者になるつもりだった、つまり、自分たちが支配する世界政府を成立させようとしているとも言える。 WEFを創設したシュワブは2016年1月にスイスのテレビ番組に出演した際、マイクロチップ化されたデジタル・パスポートの話をしている。最初は服に取り付けたり皮膚や脳へ埋め込みだけでなく、チップを脳へ埋め込み、感情の起伏を調べ、記憶を促進、そして思想も管理しようとしていると言われている。デジタル技術とバイオ技術を融合させ、人間を改造しようと目論んでいる。 この計画にとってもロシアや中国を中心に集まりつつある国々は邪魔な存在だ。
2022.02.19
トルコのイェニ・シャファクはレジェップ・タイイップ・エルドアン大統領に近い新聞で、イブラヒム・カラグル元編集長の論説は政権の雰囲気を反映していると言われている。 そのカラグルはイェニ・シャファクで2月8日、ウクライナ情勢について興味深い話を書いている。トルコの南、紅海からアフガニスタンに至るまで30年にわたって戦乱が続き、多くの人が殺されているが、それはアメリカとヨーロッパが利権を手に入れようとしたからだというのだ。 ウクライナ情勢もそうした構図で引き起こされ、危機は深刻化、西側は黒海へ入り込み、そこを支配しようとしているとしている。黒海が欧米に支配されたならトルコとロシアは戦争することになり、その結果、両国は疲弊するが、それこそが欧米の目的だとカラグルは主張している。複数のターゲットを争わせ、共倒れにしてから漁夫の利を得るという手法はイギリスをはじめとして欧米が得意とするところだ。 2011年3月にシリアへの侵略戦争を始めたのはアメリカ、イスラエル、サウジアラビアの三国同盟、イギリスとフランスのサイクス・ピコ協定コンビ、パイプライン建設を目指していたカタール、そしてトルコだった。エルドアンはオスマン帝国の復活を夢想していたとも言われている。当初、戦闘員の軍事訓練はトルコにあるアメリカ空軍のインシルリク基地で行われ、そこからシリアへ侵入している。 戦闘員の中心はサラフィ主義者(ワッハーブ派、タクフィール主義者)やムスリム同胞団。1970年代の初めにイギリス外務省のジェームズ・クレイグがムスリム同胞団を使った工作を働きかけていたいという。1993年から96年にかけてパキスタンの首相を務めたベナジル・ブットの特別補佐官だったナシルラー・ババールによると、アメリカは1973年からアフガニスタンの反体制派へ資金援助を開始。(Robert Dreyfuss, “Devil’s Game”, Henry Holt, 2005) その仕組みを利用してアフガニスタンでの秘密工作を本格化させた人物がズビグネフ・ブレジンスキー。1977年1月から81年1月にかけてジミー・カーター大統領の国家安全保障補佐官を務めていた。反体制派の選定はパキスタンの情報機関ISIのアドバイスに従った。そのほかイスラエルや王制時代のイランが協力している。その際、戦闘員のリクルートを行なっていたのがオサマ・ビン・ラディンだった。ブレジンスキーはジハード傭兵を使った工作でアフガニスタンを不安定化させ、ソ連軍を引き込み、「ベトナム戦争」を味合わせようと考えていた。 この工作でパキスタンは重要な役割を果たしているが、それを可能にしたのは1977年7月にベナジル・ブットの父親であるズルフィカル・アリ・ブットを中心とする政権を倒したクーデター。実権を握ったのは陸軍参謀長だったムハンマド・ジア・ウル・ハク。アメリカのノースカロライナ州にあるフォート・ブラグで訓練を受けた軍人で、ムスリム同胞団系の団体に所属していた。ズルフィカル・アリ・ブットは1979年4月に処刑された。(Thierry Meyssan, “Before Our Very Eyes,” Pregressivepress, 2019) アメリカはリビアやシリアでも同じ手法を採用した。バラク・オバマがブレジンスキーの弟子だったということも影響したかもしれない。 しかし、シリアでの戦闘は長引く。そこでダーイッシュを売り出し、残虐さを演出、リビアの時のようにアメリカ/NATO軍が直接、軍事介入する道を作ろうとした。ウクライナでクーデターを成功させた翌年、つまり2015年に入ると、政府を好戦的な布陣に替える。2月に国防長官がチャック・ヘーゲルからアシュトン・カーターへ交代、9月には統合参謀本部議長がマーチン・デンプシーからジョセフ・ダンフォードへ交代したのだ。 デンプシーが退任した数日後、シリア政府の要請を受けたロシア政府が軍事介入、侵略勢力の手先になっていたジハード傭兵を敗走させはじめた。トルコ軍のF-16がロシア軍のSu-24を待ち伏せ攻撃で撃墜したのはその年の11月24日。脱出した乗組員のひとりを地上にいた部隊が殺害している。 こうした撃墜はアメリカの承認、あるいは命令なしに実行できなかったはず。撃墜の当日から翌日にかけてポール・セルバ米統合参謀本部副議長がトルコのアンカラを訪問していた。この攻撃でロシアを怖じけさせるつもりだったのかもしれないが、逆効果だった。ウラジミル・プーチン大統領の姿勢は強硬になる。 ロシアはトルコにとって重要な貿易の相手国だった。そのロシアとの関係を悪化させることになり戦争の長期化で疲弊していた経済はさらにダメージを受けることになった。戦争の早期決着も難しい情勢だ。 そうした中、2016年6月にトルコのレジェップ・タイイップ・エルドアン大統領は撃墜をロシア政府に謝罪、7月13日には同国の首相がシリアとの関係正常化を望んでいることを示唆する。軍事蜂起(クーデター未遂)があったのはその2日後だ。その後、トルコとアメリカとの関係は一気に悪化した。 エルドアン政権はフェトフッラー・ギュレンの一派がクーデターを試みたと主張、アメリカでCIAに保護されている同派の指導者、ギュレンを引き渡すようにアメリカ政府へ求めているが、拒否されてしまう。ギュレンはCIAの中央アジア工作で重要な役割を果たしていると言われている。 それだけでなく、トルコ政府はクーデター計画の背後にアメリカ中央軍のジョセフ・ボーテル司令官やジョン・キャンベルISAF司令官がいたとも主張している。アメリカ政府がギュレンのグループを使ってエルドアン政権を倒そうとしたというわけだ。 シリアではロシア軍の介入でジハード傭兵が敗走すると、アメリカはクルドと手を組んだが、クルドとトルコの関係は悪い。これもエルドアン政権がアメリカ離れを起こす一因だっただろう。 2016年11月頃、トルコはロシアに防空システムS-400の購入を打診、17年9月に購入契約が結ばれたと発表された。その後、アメリカから取り引きを止めるように脅されているが、トルコは無視してきた。 しかし、最近、トルコとアメリカとの関係が修復されているような動きも見られた。たとえば2021年4月10日にウクライナのウォロディミル・ゼレンスキー大統領はトルコを訪れてエルドアン大統領と会談、その直後にトルコの情報機関は「ジハード傭兵」を集め始めたという。 成功していればロシアや中国を揺さぶることになったであろうカザフスタンのクーデター未遂にトルコが関与した疑いもある。カザフスタンのアメリカ大使館は2021年12月16日、カザフスタンで反対政党がデモを呼びかけているという警告を出していた。 その後、ゼレンスキーとアメリカ政府との間に隙間風が吹き始め、カザフスタンでのクーデター計画は失敗した。カザフスタンではCSTO(集団安全保障条約)加盟国が迅速に動き、派遣された平和維持部隊が力を見せつけることになる。 シャファクの論説を読むと、エルドアンは再びロシアへの接近を図っているのかもしれない。 一方、ウクライナでアメリカは2014年のクーデター以来、ネオ・ナチを手先として使ってきた。その時に軍や治安機関から反クーデター派へ合流する人がいたこともあり、軍を信頼できないクーデター派は「親衛隊」を編成した。その中心になったのもネオ・ナチだ。 中でも有名な集団が「アゾフ大隊」。クーデターから3カ月後に組織されたが、創設資金を出したのは富豪のイゴール・コロモイスキー。ウクライナ、キプロス、イスラエルの三重国籍を持つシオニストだ。その後、アゾフはアメリカからも資金を受け取っている。歴史的に見て、シオリストとナチスの親和性が良くないとは言えない。 ウクライナでクーデターを実行したグループの主力がネオ・ナチだということは当初、西側の有力メディアも伝えていたが、それを認めてしまうと西側の支配層にとって都合が悪い。最近、有力メディアはこの話を口にしないようだが、FBIの特別捜査官は宣誓供述書の中でこの点を明確に指摘している。アゾフ大隊はネオ・ナチ思想と結びつき、ナチのシンボル主義を使っていると書いているのだが、これは事実だ。
2022.02.18
ウクライナ政府を無視してアメリカやイギリスの政府や有力メディアは軍事的な緊張を高めていたが、アメリカ政府の思惑通りには進まず、事態は沈静化しつつあるようだ。 軍事的な緊張の高まりに合わせてロシアはウクライナとの国境近くに部隊を移動させ、クリミアを守るように約30隻の艦船を地中海から黒海へ入れたが、地上の一部部隊が基地へ戻り始めたという。 その一方、地中海へはバルチック艦隊や北方艦隊から艦船が入ったと伝えられている。地中海の東側にあるシリアではイスラエル軍機によるダマスカスへの攻撃が続いていたが、ロシア軍はそのシリアで軍事演習を実施するようだ。艦船が集結しているほか、2月15日にはTu-22M3戦略爆撃機とミグ31K戦闘機がシリアのフメイミム空軍基地に到着した。 シリアは2011年3月からアメリカを中心とする勢力の侵略を受けてきた。その手先はムスリム同胞団やサラフィ主義者(ワッハーブ派、タクフィール主義者)を中心とする戦闘員で、アル・カイダ系武装集団やダーイッシュ(ISIS、ISIL、IS、イスラム国などとも表記)という形をとっている。 バラク・オバマ大統領が2010年8月にPSD-11を承認、「アラブの春」を始めたと言われているが、シリアに対する侵略戦争もその一環。ムスリム同胞団やサラフィ主義者を傭兵として使うという戦術はオバマの師にあたるズビグネフ・ブレジンスキーが1970年代に始めたものだ。シリアもリビアも「内戦」ではなかった。 「アル・カイダ」の象徴的な存在だったオサマ・ビン・ラディンをアメリカ海軍の特殊部隊「NSWDG(通称DEVGRU、またはSEALチーム6)」に殺されたとされているのは2011年5月。リビアでの作戦が開始されてから3カ月後のことだ。死体は空母カールビンソンから海に葬られたとされているので、誰も死体を確認できない。これによって「アル・カイダ」の象徴は消えた。 2014年に自分がオサマ・ビン・ラディンを射殺したと主張する人物が現れた。ロブ・オニールと名乗るその人物はチーム6の元メンバーだというが、ビン・ラディン殺害の3カ月後、チーム6のメンバー20名がアフガニスタンで死亡したとAPが伝えている。 オサマ・ビン・ラディンを有名にしたのは2001年9月11日の出来事。ニューヨークの世界貿易センターとバージニア州アーリントンの国防総省本部庁舎が攻撃されたのだが、詳しい調査をする前にジョージ・W・ブッシュ大統領は「アル・カイダ」の犯行だと断定、その象徴としてオサマ・ビン・ラディンが「テロの象徴」として使われるようになった。 そのオサマ・ビン・ラディンは2001年当時、肉体的に戦闘を指揮できる状態ではなかった。フランスのル・フィガロ紙によると、2001年7月4日から14日にかけて彼はドバイのアメリカン病院に入院している。彼は腎臓病を患い、人工透析を必要としていたというのだ。 ドバイの病院でビン・ラディンを治療していたのはアメリカ人医師のテリー・キャラウェイで、入院中にサウジアラビアのトゥルキ・アル・ファイサル総合情報庁長官やCIAエージェントのラリー・ミッチェルが見舞っている。 CBSニュースは2002年1月28日、パキスタンの情報機関(ISI)の情報として、ビン・ラディンは2001年9月10日にパキスタンのラワルピンディにある軍の病院へ入院、透析を受けたとする情報があると伝えている。 そして、ジャーナリストのティエリー・メッソンによると、オサマ・ビン・ラディンは2001年12月15日に死亡、アフガニスタンで行われた葬儀にはイギリスの情報機関MI6の代表が参列したという。 何が事実なのかは不明だが、それはともかく、リビアのムアンマル・アル・カダフィ体制は2011年10月に倒される。その際に地上部隊の主力がアル・カイダ系だということが判明した。空からNATOが攻撃、アル・カイダ系武装集団を支援したといことだ。情報機関はカダフィの動きを追跡、地上部隊へ知らせていたという。 カダフィ体制が崩壊した後、アル・カイダ系武装集団の戦闘員と武器/兵器をアメリカ政府はシリアへ移動させるが、その拠点はベンガジのアメリカ領事館。その領事館が2012年9月11日に襲撃され、クリストファー・スティーブンス大使が殺されている。 シリアへ運ばれた戦闘員や武器/兵器は反政府軍へ流れる。その事実を否定できないオバマ大統領は「穏健派」への支援だと強弁するが、それが事実に反することを明らかにする報告書をアメリカ軍の情報機関DIAが2018年8月にホワイトハウスへ提出している。 その報告書の中で、オバマ政権の政策はシリアの東部(ハサカやデリゾール)にサラフィ主義者の支配地域を作ることになると警告しているが、その警告は2014年にダーイッシュという形で現実になった。シリアで政府軍と戦っているアル・ヌスラはアル・カイダ系武装集団のAQI(イラクのアル・カイダ)と同じだともしている。 その構図が2015年9月末に崩れる。ロシア政府がシリア政府の要請で軍事介入、アル・カイダ系武装集団やダーイッシュの支配地域は急速に縮小していく。介入の背景にはオバマ大統領の動きがあった。2月に国防長官がチャック・ヘーゲルからアシュトン・カーターへ、9月には統合参謀本部議長がマーチン・デンプシーからジョセフ・ダンフォードへ交代しているのだ。戦争に慎重な人物から好戦的な人物へ入れ替えたのである。 デンプシーは2015年9月25日に議長から退くが、その5日後にロシア軍がシリア政府の要請で軍事介入した。その後、ロシア軍は兵器と戦闘能力の優秀さを世界へ見せつけることになる。 ジハード傭兵の敗走を受け、アメリカはクルドを新たな手先にするのだが、それが一因になってクルドを敵視しているトルコが離反する。戦争の長期化で経済が悪化したことも大きな理由だ。 その後、ジハード傭兵の幹部はアメリカの軍や情報機関が救出、アフガニスタンなどへ運んだとされている。そのアフガニスタンからアメリカ軍が撤退することになると、戦闘員は中央アジアへ移動したとも言われていた。一部は新疆ウイグル自治区へ入った可能性がある。 中央アジアはロシアと中国に接し、新疆ウイグル自治区と同じように中国が進める「一帯一路」が通過する。戦略上、重要な場所にあると言えるだろう。 国防総省系のシンクタンク「RAND研究所」が2019年に出した報告書には、ウクライナの武装強化、シリアのジハード傭兵への支援強化、ベラルーシの体制転覆、アルメニアとアゼルバイジャン(南カフカス)の緊張を煽るといったことなどが書かれている。 実際、アメリカはウクライナのネオ・ナチなどの武装勢力に武器/兵器を提供、軍事訓練を行なってきた。ジハード傭兵がシリアから撤退する際、「スリーパー」を残したようで、今後、破壊活動を始める可能性が高い。ベラルーシの体制転覆工作や南カフカスでの緊張はあった。 カザフスタンでのクーデターが成功したり、ウクライナでアメリカに逆らい始めたボロディミル・ゼレンスキー大統領を排除できたならウクライナ情勢は変わったかもしれないが、そうした展開にはならなかった。今後、ジョー・バイデン政権はシリアに対する攻撃を強める可能性がある。それを見越してロシアは動いているようだ。
2022.02.17
イスラエルやアメリカを後ろ盾とするジョージア軍は北京で夏季オリンピックが開かれていた2008年8月に南オセチアを奇襲攻撃、アメリカ政府はロシアのソチでオリンピックが開催されていた2014年2月にウクライナでクーデターを実行している。北京の冬季オリンピックで中国とロシアは同盟関係をアピールしたが、そのオリンピックが開催されている間にアメリカがまた何らかの軍事行動を起こすと懸念する人もいた。 ジョー・バイデンがアメリカ大統領に就任して以来、アメリカ政府はロシアに対する恫喝を強めている。イギリスやアメリカにとってロシアの制圧は19世紀から続く長期戦略の目標。ロシアを支配できれば世界の覇者になれると両国の支配層は考えてきた。 バイデンが副大統領だったバラク・オバマ政権は2014年2月にネオ・ナチを使い、ビクトル・ヤヌコビッチ大統領を排除することに成功したが、その際にヤヌコビッチの支持基盤だった東部のドンバス(ドネツクやルガンスク)や南部のクリミアの制圧には失敗している。 その時にも西側の政府や有力メディアはロシア軍がウクライナへ侵攻したと偽情報を流していた。キエフの状況を知ったクリミアの住民は素早く対応、ロシアと一体化する道を選んだが、この素早い動きは西側の支配層にとって計算外だったのだろう。 クリミアのセバストポリはロシア海軍の黒海艦隊が拠点としている。ロシアはウクライナと1997年に分割協定を結び、ロシア軍が基地を使用し、2万5000名までの兵士駐留が認められていた。2014年のクーデター当時、この条約に基づいて1万6000名のロシア軍が実際に駐留していたが、西側の政府やメディアはこの部隊をロシア軍が侵略した証拠だと宣伝している。 キエフのクーデターはアメリカ/NATOを後ろ盾とするネオ・ナチが主力。その政権に従属することのできない軍や治安機関のメンバーは少なくなかったと言われている。結果として、戦闘能力の高い人びとがドンバスの反クーデター軍へ合流することになった。 そこでアメリカ/NATOはネオ・ナチの武装勢力やアメリカの傭兵会社アカデミー(ブラックウォーター)のような傭兵会社の戦闘員を東部へ派遣、最近になってCIAが2015年からウクライナの特殊部隊をアメリカ南部で訓練、また軍事物資をウクライナへ運び込んでいると報じられている。 西側のメディアはアメリカ政府やイギリス政府は軍事的な緊張を緩和させようとしていると宣伝しているが、ウクライナのボロディミル・ゼレンスキー大統領は逆のことを言っている。 例えば1月の下旬、ロシアの侵略が差し迫っているという間違った警告はウクライナの経済を危険な状態にするとゼレンスキーは記者に語った。その直後、ウクライナの内務大臣は暴動を計画した人びとを逮捕したと発表している。アメリカが2014年の再現を狙った可能性は否定できない。 また、2月12日にゼレンスキー大統領は「ロシアが2月16日から侵略してくる」という情報を教えてほしいと記者に質問している。ロシア軍が侵略してくると「報道」している記者への皮肉なのだろう。ウクライナにとってドンバスの局地戦であっても、絶対に避けたいことだ。ドイツやフランスも戦乱がヨーロッパを破壊すると認識しているようだが、その他のEU加盟国の支配層はアメリカに従属することしか考えていないようだ。 バイデン政権は「ロシアが攻めてくる」と言い続け、国務省のネッド・プライス報道官は2月3日の記者会見で、ウクライナ軍が攻撃しているように見せかけ、ロシア軍の攻撃を正当化させようとロシアが計画していると語る。 それに対してAPのマット・リー記者は主張を裏付ける証拠を示すように求めたが、プライス報道官はアメリカ政府の情報機関が機密解除した情報だという言うばかりで証拠は示せない。リー記者は主張と情報は違うと指摘、イラクを攻撃する前にアメリカ政府が宣伝していた「大量破壊兵器」の話を持ち出したが、それでもプライスは答えなかった。 アメリカ/NATOはウクライナへ軍事物資を運び込んだり兵士を訓練するだけでなく、ウクライナの周辺で軍事演習を繰り返し、ロシアを挑発してきた。その挑発にロシアが乗れば、それを利用して求心力を取り戻し、ロシアや中国に対する「制裁」を正当化するつもりだったのだろう。 ロシアは挑発に乗らなかったが、アメリカ/NATOが一線を超えたなら動く態勢を整えた。ウクライナへ軍事侵攻するには圧倒的に足りない戦力だが、アメリカ/NATOにダメージを与えることができる態勢だと言えるだろう。陸上だけでなく、ロシア軍はクリミアを守るように艦船を黒海へ入れた。巡洋艦3隻、フリゲート艦4隻を含む約30隻が地中海から移動したようだ。地中海へはバルチック艦隊や北方艦隊から艦船が入った。 一方、西側はアメリカの空母「ハリー・S・トルーマン」、フランスの空母「シャルル・ド・ゴール」、イタリアの空母「キャブール」を含む相当数の艦船が地中海へ入っているが、ロシアの構えを考えると、攻撃は難しそうだ。
2022.02.16
通常ならできないようなこと、例えば基本的な人権を人びとから奪うようなことを実現するためには、それなりの「ショック」や「恐怖」、いわば「悪霊」が必要。最近は「ロシアが攻めてくる」とアメリカ政府は脅している。2020年から人びとを脅してきた「COVID-19(2019年-コロナウイルス感染症)」の効果が弱まってきたところで、新たな悪霊の登場だ。 COVID-19への恐怖心が弱まると、その正体が浮かび上がってくる可能性がある。そうした中、パティー・マリー上院議員とリチャード・バー上院議員を中心とする議員グループがCOVID-19の「パンデミック」と政府の対応について調査する委員会を設立しようとしている。 マリーとバーに「助言」しているフィリップ・ゼリコウは「9/11委員会」の事務局長を務めた人物。バージニア大学にあるミラー・センターの所長で、ビル・アンド・ゲイツ財団の諮問委員会メンバーでもある。 言うまでもなく、「9/11委員会」は2001年9月11日にニューヨークの世界貿易センターやバージニア州アーリントンの国防総省本部庁舎が攻撃された事件について「調査」するという名目で設置されたが、実態は真相の隠蔽だったと言われている。COVID-19に関する新委員会はその「9/11委員会」をモデルにするのだという。 ミラー・センターはジョンズ・ホプキンス健康安全保障センターなどと共同で「COVID委員会計画グループ」を編成、ゼリコウを責任者に据えていた。そのゼリコウの背後にはグーグルのCEOだったエリック・シュミット、コーク・インダストリーズのチャールズ・コーク、eBayのジェフリー・スコールが含まれている。 ニューヨーク・タイムズ紙によると、こうした計画は2020年10月にシュミットからゼリコウへ電話がかかり、パンデミックについて調査する計画を立ててほしいと頼んだところから始まる。グーグルをはじめとするハイテク企業は医療利権の描くシナリオに反する情報を検閲してきたわけで、ワクチン・メーカーだけでなく、WHO(世界保健機関)や各国の政府機関、あるいは有力メディアにとって都合の良いストーリーを「定説」にしようと考えたのだろう。 すでにパンデミックを演出してきた仕組みがインチキだということは広く知られてきた。死亡者数が水増しされ、感染者数を膨らませたPCR(ポリメラーゼ連鎖反応)検査が感染の診断に適さないことも明確。この技術は特定の遺伝子型を試験管の中で増幅することが目的で、ウイルスそのものを見つけることはできない。 増幅の回数を「Ct値」と呼ぶが、その値を増やせば、つまり増幅回数を増やせば、医学的に意味のないほど微量の遺伝子が存在しても陽性になるが、偽陽性の確率が増えていく。偽陽性を排除するためにはCt値を17以下にしなければならず、35を超すと偽陽性の比率は97%になるとも報告されている。 パンデミックを演出したWHOでさえ2020年12月14日にPCRのCt値を高くしすぎないようにと通告、21年1月20日にはPCR検査を診断の補助手段だと表現している。2021年7月21日になると、アメリカのCDC(疾病予防管理センター)は、この診断パネルのEUA(緊急使用許可)を昨年12月31日に取り下げると発表した。COVID-19の原因とされるSARS-CoV-2とインフルエンザ・ウイルスを区別できないからだというのだが、コロナウイルスの「旧型」と「新型」を区別できるのだろうか。 2020年の終わりから「COVID-19ワクチン」の接種が始まるが、間もなく深刻な副作用が報告され始める。早い段階から帯状疱疹や⾎栓性⾎⼩板減少性紫斑病(TTP)の発症、あるいは体の麻痺が指摘された。大きな血栓で脳梗塞や心筋梗塞になるケースもあるが、微小血栓によって脳、脊髄、心臓、肺などがダメージを受けているとも言われている。 接種が始まる前から懸念されていたADE(抗体依存性感染増強)も実際に起こっているという。「ワクチン」が作り出す「結合(非中和)抗体」がウイルスを免疫細胞へ侵入させ、免疫の機能を混乱させる現象。2021年4月には年少者に心筋炎や心膜炎を引き起こすと報告され、注目された。 コロナウイルスの表面にはスパイク・タンパク質と呼ばれる突起物があり、「mRNAワクチン」はそのスパイク・タンパク質を体内で製造して抗体を作らせ、免疫を高めることになっているのだが、そのスパイク・タンパク質自体が病気を引き起こすとする学者がいる。 また、スペインのパブロ・カンプラ教授は昨年6月、「mRNAワクチン」の中に「酸化グラフェン」があることを電子顕微鏡などで発見したと発表、8月下旬に日本政府が「モデルナ製ワクチン」の中に磁石へ反応する物質が見つかったと発表、160万本が回収されたと伝えられた。 パンプラは11月、周波数の分析で酸化グラフェンが「ワクチン」に含まれていることを確認したと発表したが、その論文を読んだドイツの化学者、アンドレアス・ノアックは酸化グラフェンでなく水酸化グラフェンだろうと解説している。ノアックによると、この物質は厚さが0.1ナノメートルの小さな板のようなもので、彼はカミソリの刃になぞらえていた。 ここにきて注目されているのはアメリカのDMSS(国防医療監視システム)。全軍人が調査の対象なのだが、2021年に疾患負傷者の総数が大きく増え、肺塞栓症の総数は例年の3倍以上になっているという告発があったのだ。 一般アメリカ人の場合、肺塞栓症は例年10万人あたり60から70名。軍人140万人に換算すると840名から980名ということになる。兵士は一般人より健康で体力があると考えられ、これより少ないことが推測できるが、DMSSは2021年の件数を3489、20年は3054と発表していた。告発によると、2021年の件数は同じだが、20年は968、19年は716、18年は668、17年は701、16年は678だとしている。DMSSが発表した「訂正値」は常識的に考えてありえない。告発の数値の方が説得力があり、軍が数値を改竄した疑いは濃厚だ。
2022.02.15
ロシアのウラジミル・プーチン大統領は2月12日、ふたりの大統領の要請に応え、電話でウクライナ情勢などについて話し合った。対話の相手はフランスのエマニュエル・マクロン大統領とアメリカのジョー・バイデン大統領だ。 ウクライナのボロディミル・ゼレンスキー大統領は1月の下旬、ロシアの侵略が差し迫っているという間違った警告はウクライナの経済を危険な状態にすると記者に語っている。アメリカやイギリスの政府や有力メディアは危機を煽り、パニックを引き起こそうとしていると考えているようだ。この発言はバイデン政権を怒らせただろう。その直後、ウクライナの内務大臣は暴動を計画した人びとを逮捕したと発表している。 そうしたゼレンスキーの懸念を無視してバイデン政権は「ロシアが攻めてくる」と言い続け、国務省のネッド・プライス報道官は2月3日の記者会見で、ウクライナ軍が攻撃しているように見せかけ、ロシア軍の攻撃を正当化させようとロシアが計画していると語った。 アメリカが得意にしている偽旗作戦をロシアが行おうとしているというわけだが、それに対してAPのマット・リー記者は主張を裏付ける証拠を示すように求めた。 当然の質問だが、プライスはアメリカ政府の情報機関が機密解除した情報だという言うばかりで証拠は示せない。リー記者は主張と情報は違うと指摘、イラクを攻撃する前にアメリカ政府が宣伝していた「大量破壊兵器」の話を持ち出したが、それでもプライスは答えない。 アメリカ政府が持っていると主張する「情報」はウクライナ政府にも伝えられていないようで、ロシア大統領がアメリカやフランスの大統領と電話でウクライナ情勢について話し合った2月12日には「ロシアが2月16日から侵略してくる」という情報を教えてほしいと記者に質問している。ロシア軍が侵略してくると「報道」している記者への皮肉なのかもしれない。 戦争が始まれば戦場になるウクライナはアメリカが侵略したイラク、リビア、シリアのように破壊されるが、ゼレンスキーはそうした状況を作り出そうとしているのは西側だとしているわけだ。バイデン政権は2021年1月に誕生して以来、ウクライナへ武器/兵器を含む軍事物資を運び込む一方、ウクライナ周辺で挑発的な行動を繰り返してきた。 ウクライナの軍事的な緊張を高めようというアメリカ政府の行動で被害を被りつつある国のひとつがドイツ。アメリカがドイツを経由して軍事物資をウクライナへ運ぶことを拒否している。 そもそも、2014年2月にバラク・オバマ政権がネオ・ナチを使ってウクライナでクーデターを実行した目的のひとつはロシアからEUへ天然ガスを運んでいるパイプラインを押さえることにあった。そこでドイツ政府はロシアからEUへ天然ガスを運ぶ新たなパイプライン、「ノード・ストリーム2」の建設を計画、工事は終了している。 しかし、このパイプラインはまだアメリカの妨害で稼働していない。ウクライナでロシアが軍事的な緊張を高めているとアメリカ政府は主張し、それを理由にしてノード・ストリーム2を葬り去ろうとしている。 現在、ロシアの「戦略的同盟国」である中国は新たなエネルギー資源の供給源を増やさなけらばならない状況。つまり、ロシアとしては天然ガスの買い手は存在している。ノード・ストリーム2が葬られた場合、最も大きな痛手を受けるのはEU、特にドイツだろう。ここからアメリカ政府の本心を垣間見ることができると考える人もいる。
2022.02.14
中国の習近平国家主席は北京で冬季オリンピックの開会式が行われた2月4日にロシアのウラジミル・プーチン大統領と会談、両国の「限界なき協力」を宣言したが、2月6日にはアルゼンチンのアルベルト・フェルナンデス大統領と会談した。アルゼンチンはフォークランド(マルビナス)諸島の領有権を巡ってイギリスと対立しているが、中国はアルゼンチン支持を明確にしている。 イギリスとアルゼンチンは1982年4月に軍事衝突、5月にはアルゼンチン軍のエグゾセがイギリスの駆逐艦「シェフィールド」に命中、沈没させた。イギリス軍はこのフランス製のミサイルに苦しめられることになるが、現在のミサイルはエグゾセの性能を遥かに上回っている。ロシア製のミサイルなら、確実に撃沈できるだろう。 その当時、イギリスの首相だったマーガレット・サッチャーはパリでフランスのフランソワ・ミッテランと会談。アリ・マグーディによると、ミサイルを無効化するコードを教えないとアルゼンチンを核攻撃すると脅したという。 この戦争では、戦闘中にアメリカが軍事情報をイギリスに伝えていたとも言われている。当時、アメリカは中央アメリカの武装集団をアルゼンチンで訓練し、ニカラグアの革命政府と戦わせようとしていた。そのプランが「フォークランド戦争」で難しくなる。そこでニカラグアの反政府ゲリラ「コントラ」へ武器を提供していたイスラエルの存在価値が高まった。 アルゼンチンに限らず、中国はラテン・アメリカ諸国と経済的なつながりを強めている。例えば、ベネズエラのニコラス・マドゥロ大統領を2018年9月に向かい入れて習近平国家主席が会談、膨大なリチウムが地下に存在しているボリビアとはエボ・モラレス大統領の時代に接近していた。そのほかブラジル、キューバ、エクアドル、ウルグアイなどとも関係を強めている。 中国ほど目立たないが、ロシアもラテン・アメリカ諸国との関係を強めているようだ。アメリカの軍事的な恫喝に対してベネズエラ政府がロシア政府へ支援を要請した際、そうした行為はアメリカ側に「ロシアの脅威」を宣伝する材料を提供することになるとして断ったと言われているが、水面下では支援しているようだ。 例えば、2020年5月3日にコロンビアからベネズエラへ高速艇を利用して侵入しようとした武装集団がベネズエラ軍と銃撃戦になり、アメリカ陸軍の特殊部隊グリーベレーの元隊員ふたりが拘束されているが、その際に少なくとも8名のロシア軍特殊部隊員が掃討作戦に参加したと言われている。ちなみに、拘束されたルーク・デンマンとエアラン・ベリーはフロリダを拠点とする傭兵会社シルバーコープの傭兵だ。 現在、アメリカはロシアや中国の近くにTHAAD(終末高高度地域防衛)やイージス・アショアを配備しつつある。ウクライナにもTHAADを持ち込もうとしているが、そのウクライナからモスクワまでの距離は約500キロメートル。 アメリカのSAC(戦略空軍総司令部)は1954年に600発から700発の核爆弾をソ連に投下する計画を立てた。ソ連の118都市に住む住民の80%、つまり約6000万人を殺すという作戦だ。さらに300発の核爆弾をソ連の100都市で使うという「ドロップショット作戦」も計画している。(Oliver Stone & Peter Kuznick, “The Untold History of the United States,” Gallery Books, 2012) テキサス大学のジェームズ・ガルブレイス教授によると、統合参謀本部議長のライマン・レムニッツァー議長やSACの司令官だったカーティス・ルメイなど好戦派は1963年の後半にソ連を奇襲攻撃る予定だったという。その頃になればアメリカはICBMを配備でき、しかもソ連は配備が間に合わないと見ていた。 この攻撃を成功させるためにもアメリカ軍はキューバを制圧する必要があり、軍事侵攻を試みている。キューバからなら中距離ミサイルでアメリカに反撃できるからだ。実際ソ連はミサイルを持ち込み、1962年の「キューバ危機」になる。キューバからワシントンDCまで約1900キロメートル。ウクライナからモスクワまでの距離よりはるかに遠い。 そのキューバにミサイルが持ち込まれたことを知ったアメリカの軍や情報機関は攻撃を主張するが、それを海上封鎖にとどめたのはジョン・F・ケネディ大統領だった。 しかし、海上封鎖の最中、10月27日にアメリカ海軍の駆逐艦ビールがソ連の潜水艦をカリブ海で発見、対潜爆雷を投下してしまう。攻撃を受けた潜水艦の副長は参謀へ連絡しようとするが失敗、アメリカとソ連の戦争が始まったと判断した艦長は核魚雷の発射準備に同意するようにふたりの将校に求めた。核魚雷は発射されなかったが、これはたまたま乗り合わせていた旅団参謀が発射の同意を拒否したからだ。この核魚雷の威力は広島に落とされた原子爆弾と同程度で、もし発射されていたなら、現場にいたアメリカの艦隊は全滅していた可能性が高く、そうなれば全面戦争になったと見られている。すでにキューバへ持ち込まれていた核ミサイルも発射されただろう。 もし、アメリカ/NATOがロシアの懸念を無視してウクライナへミサイルを持ち込み、部隊を入れるようなことがあれば、ラテン・アメリカに防空システムを提供するかもしれない。それを西側が容認することはないだろう。ウクライナとの矛盾など彼らは気にしない。
2022.02.13
アメリカは「ロシアが攻めてくる」とお叫びながらウクライナへ軍事物資へ運び込んでいる。ジョー・バイデンは大統領に就任して間もない昨年3月10日にNATO加盟国の軍艦をウクライナ南部の都市オデッサへ入港させ、同じ頃にキエフのボロディミル・ゼレンスキー政権は大規模なウクライナ軍の部隊をウクライナ東部のドンバス(ドネツクやルガンスク)やクリミアの近くへ移動させている。 そのゼレンスキーは今年に入り、ロシアの侵略が差し迫っているという間違った警告はウクライナの経済を危険な状態にすると主張、パニックを作り出そうとしないよう西側の記者に求めた。バイデン政権の動きを危険だと感じたのだろうが、ウクライナ政府の治安や軍事の部門ではネオコンを後ろ盾にするネオ・ナチが影響力を持っている。それでもアメリカの宣伝に反する発言をせざるをえなかったのだろう。 バイデン政権も国際的な問題や軍事的な問題ではネオコンをはじめとするシオニストが主導権を握っている。シオニストは「シオニズム」を信奉する人々で、シオニズムとはエルサレム神殿があったとされる「シオンの丘」へ戻ろうという運動である。 シオニズムという語句を最初に使ったのはナータン・ビルンバウムなる人物で、1893年のことだとされている。近代シオニズムの創設者とされているセオドール・ヘルツルが『ユダヤ人国家』という本を出版したのはその3年後だが、1905年まで「建国」の地をパレスチナだとは定めていない。ヘルツルを含む主要なシオニストは当初、聖書には言及していなかった。 ビルンバウムが「シオニズム」なる用語を使い始める前、1891年にキリスト教福音派のウィリアム・ブラックストーンなる人物がアメリカでユダヤ人をパレスチナに返そうという運動を展開、ベンジャミン・ハリソン米大統領に働きかけていた。イギリス政府は1838年にエルサレムで領事館を建設している。 イギリスは1837年からビクトリア女王の時代に入る。女王が1840年に結婚したアルバート公は1861年に死亡。1890年代からイギリスの政策はネイサン・ロスチャイルド、ウィリアム・ステッド、レジナルド・ブレット、そしてセシル・ローズらが「アドバイス」することになる。 イギリスは海賊行為で財宝を奪い、侵略戦争を進めて東アジアへ到達したが、1840年から42年にかけてアヘン戦争、56年から60年の第2次アヘン戦争(アロー戦争)を中国に対して仕掛けて勝利する。 しかし、内陸部を支配するだけの戦力はなく、足りない戦力を補ったのが日本にほかならない。「明治維新」で実権を握った薩摩や長州をはじめとする勢力は明治体制を樹立するが、その背後にアメリカやイギリスが存在していたことは本ブログでも繰り返し書いてきた。その新体制は琉球を併合し、台湾へ派兵、李氏朝鮮の首都を守る江華島へ軍艦を派遣して挑発、そして日清戦争、日露戦争へと進んだ。 ところで、ローズは1871年にNMロスチャイルド&サンの融資を受けて南部アフリカでダイヤモンド取引に乗り出して大儲けした人物。1877年には「信仰告白」を書き、その中で彼はアングロ・サクソンを世界で最も高貴な人種だと表現している。アングロ・サクソンが支配地域を広げることは義務だというのだ。 優生学的な考え方だが、そうした思想の持ち主は彼に限らない。トーマス・ハクスリーが1864年にイギリスで創設した「Xクラブ」もそうした考え方をする人々の集まり。メンバーには支配階級の優越性を主張する社会ダーウィン主義を提唱したハーバート・スペンサー、チャールズ・ダーウィンの親友だったジョセフ・フッカー、このダーウィンのいとこであるジョン・ラボックも含まれていた。 こうしたグループとつながっているハルフォード・マッキンダーという学者は20世紀初頭、アングロ・サクソンが支配地域を広げる長期戦略をまとめた。ユーラシア大陸の周辺部を支配して内陸部を締め上げ、最終的にロシアを制圧して世界の覇権の握るというもので、この長期戦略をその後も放棄されていないように見える。ジョージ・ケナンの「封じ込め政策」やズビグネフ・ブレジンスキーの「グランド・チェスボード」につながった。そうした戦略にとって日本列島から琉球、台湾、フィリピンへ連なる島々は重要な意味を持つ。 この長期戦略は1991年12月にソ連が消滅した段階でほぼ達成されたように見え、イギリスと同じアングロ・サクソン系のアメリカが「唯一の超大国」になったと少なからぬ人が認識したようだ。その認識を覆したのがロシアのウラジミル・プーチンを中心とするグループだ。そのグループとアングロ・サクソン系の国を支配する人びとが現在、ウクライナでつば迫り合いを演じている。 ロシア政府はアメリカ/NATOに対し、NATOをこれ以上東へ拡大させないこと、モスクワをターゲットにできる攻撃システムをロシアの隣国に配備しないこと、ロシアとの国境近くで軍事演習を行わないこと、NATOの艦船や航空機をロシアへ近づけないこと、定期的に軍同士の話し合いを実施すること、ヨーロッパへ中距離核ミサイルを配備しないことなどを保証する文書を1月23日までに提出するよう求めたが、事実上無視された。 アメリカ/NATOが軍事的な支配地をウクライナへ拡大してロシアの安全を脅かすなら対抗措置をとるとプーチン政権は警告、それに対してバイデン政権は「防衛のため」と称して軍隊や兵器をロシアとの国境近くに配備しつつある。 こうした動きを正当化するため、ホワイトハウスのジェン・サキ報道官は1月14日、ロシア政府がウクライナの東部にあるドンバス(ドネツクやルガンスク)の周辺で「偽旗作戦」を行おうとしているとする情報があると発言、アメリカ国務省の報道官を務めているネッド・プライスは2月3日の記者会で、ロシアの偽情報をモスクワが計画しているかもしれない偽旗作戦に強い関心を持っていると口にした。 そのプライス発言に対し、APのマット・リー記者は主張を裏付ける証拠を示すように求めたが、プライスはアメリカ政府の情報機関が機密解除した情報だという言うばかりで、結局、証拠は示せない。主張と情報は違うと言われ、イラクを攻撃する前にアメリカ政府が宣伝していた「大量破壊兵器」の話を持ち出されても答えられなかったプライスはCIAの「元高官」だ。 その翌日、アメリカの有力メディア、ブルームバーグはロシア軍がウクライナへ侵攻したとする記事を掲載した。そうした事実はなかったが、インターネット上で指摘されるまで30分にわたってホームページに掲載されていたようだ。「ミス」だとされているが、そうした記事が存在していたことは間違いない。 ゼレンスキーが言っていたように、ロシアの侵略が差し迫っているというアメリカ政府やその手下の宣伝は事実に反している。パニックを作り出そうとているのだろう。アメリカ離れが世界的に起こっている今、ロシアの脅威を演出することで求心力を回復させようとしているのかもしれないが、難しそうだ。このままバイデン政権が軍事的な緊張をエスカレートしていくと、アメリカとロシアが軍事衝突、核戦争が始まる可能性はある。 そうした中、イギリスのリズ・トラス外相はモスクワを訪問、ロシアのセルゲイ・ラブロフ外相と会談した。彼女はその際、ロシア領であるボロネジやロストフからロシア軍は撤退しろと脅している。ロシア政府はロシア領で主権を行使できないと彼女は主張したのだ。バルト諸国が黒海に面しているともトラスは発言している。 この程度の人間がイギリスでは外務大臣を務め、ロシアを恫喝する一員になっている。バイデン政権や岸田文雄政権がトラスよりマシだと言い切る自信はない。そうした政治家が人類の運命を握っている。
2022.02.12
アメリカのFDA(食品医薬品局)とCDC(疾病予防管理センター)が共同で運用しているVAERS(ワクチン有害事象報告システム)への自主的な報告によると、「COVID-19(2019年-コロナウイルス感染症)ワクチン」による死亡者数は2月4日現在、前の週より466名増え、2万3615名に達した。一般的にVAERSに報告される件数は全体の1%から10%程度にすぎ無いと言われ、実際は20万人強から200万人強に達するということになる。 世界的に見ると、COVID-19は「枯れ尾花」にすぎないと考える人が増えてきた。日本の政府やマスコミは依然としてCOVID-19を悪霊として描き、「COVID-19ワクチン」を接種させようと宣伝しているが、これは例外的だろう。「オミクロン」になってからパンデミック推進派は息切れしている。 この「変異種」が最初に発見された国のひとつ、南アフリカで政府の主席顧問を務めるバリー・シューブは最初からオミクロンが深刻な事態を引き起こしているとする話を否定していた。南アフリカ医師会のアンジェリーク・クーチー会長も症状はないか軽いとしている。昨年12月20日、アメリカのテキサス州ハリス郡で「オミクロン」で患者がひとり死んだと発表されたが、これは例によって死者がオミクロンに感染していたと判定されただけで、死因は別にあったようだ。 アメリカのジョー・バイデンは「COVID-19ワクチン」を強制接種しようと必死だが、逆風が強まっている。
2022.02.12
アメリカの国土安全保障省は政府の公式見解に反する情報を伝えている行為は「テロリズム」だと主張している。 2003年にイラクを先制攻撃する際、アメリカ政府は人びとに攻撃を納得させるため、偽情報を流した。その偽情報を拡散させたニューヨーク・タイムズ紙のジュディス・ミラー記者は05年に同紙を離れ、ウィリアム・ケーシーの政策研究マンハッタン研究所、FOXニュース、ニューズマックスへ移る。その一方で彼女はCFR(外交問題評議会)のメンバーにもなった。支配グループの一員として向かい入れられたわけだ。 イラク戦争でアメリカ軍はイラクの国土を破壊、100万人とも言われる人びとを殺害した。そうした中、アメリカ軍のAH-64アパッチ・ヘリコプターが非武装の一団を銃撃、ロイターの特派員2名を含む非武装の十数名が殺されている。その情報をウィキリークスへ渡したアメリカ軍のブラドレー・マニング(現在はチェルシー・マニング)特技兵は刑務所へ入れられ、ウィキリークスのジュリアン・アッサンジはイギリスの刑務所へ入れられている。アメリカの支配層にとって都合の悪い情報を流す行為をアメリカやその従属国では犯罪とみなされてきた。 この原則をアメリカ政府はCOVID-19(2019年-コロナウイルス感染症)へも拡大させつつある。自分たちの支配力が弱まっていることに危機を感じているのか、アメリカの支配層は言論統制を強めている。
2022.02.11
日本の厚生労働省は「ワクチンの3回目接種で重症化や発症を予防する効果が高まると報告されている」と宣伝しているようだが、「ワクチン」の「フル接種」、つまり1回か2回でCOVID-19(2019年-コロナウイルス感染症)の流行は治るとされていたはず。少なからぬ人は「話が違う」と思っているはずで、そうした不満を回避するための屁理屈にしか思えない。詐欺師やカルトが使いそうな言い訳だ。 FDA(食品医薬品局)の「ワクチン研究評価室」で室長を務めていたマリオン・グルーバーや生物学的製剤評価研究センターの副センター長だったフィリップ・クラウスはジョー・バイデン政権が「ワクチン」を強制接種しようとしていることに反発、辞表を提出した。 このふたりも執筆者に名を連ねている報告がイギリスの医学誌「ランセット」の9月13日号に掲載されたが、その中で、「COVID-19ワクチン」の追加接種(ブースター)を慌てて頻繁に実施することは危険だと指摘されている。 「mRNAワクチン」を利用したBioNTech/ファイザーの製品とモデルナの製品は「心筋炎」を、またアデノウイルスをベクター(遺伝子の運び屋)に利用したジョンソン・アンド・ジョンソンやオックスフォード/アストラゼネカの製品はギラン・バレー症候群(根神経炎の一種)を引き起こす恐れがあるとしている。ちなみに、日本の厚労省が接種を勧めているのは年少者に心筋炎や心膜炎を引き起こすファイザーやモデルナの製品だ。 昨年10月、アメリカの国土安全保障省はアメリカへ国境を超えて入ってくるカナダのトラック運転手に対し、「COVID-19ワクチン」を「フル接種」することを義務付けた。その猶予期間は1月22日まで。その規則変更に合わせ、カナダの公衆衛生局は11月、トラックの運転手らに対し、1月15日以降は「COVID-19ワクチン」を「フル接種」していなければならないと発表する。 こうした方針に納得できないトラックの運転手はトラックでカナダの首都オタワに集結、「フリーダム・コンボイ(自由の車列)」と呼ばれるようになる。短期間に深刻な副作用が顕在化、死亡者数は20万人強から200万人強とも推測されている。中長期的にはどのような影響が出てくるか誰にもわからない。そうした危険な薬物を体内に注入したくないと思うのは当然だ。 ところが、こうしたトラック運転手はカナダの政府や自治体から激しい攻撃を受けることになる。オタワ市長は非常事態を宣言、警察や情報機関は電子的な監視を強化しているという。ジャスティン・トルードー首相は軍隊を投入する意向だとされたが、反発が強かったようで、「現段階では」投入しないとしている。話し合いも拒否している。議論になったらトルードーは勝てない。
2022.02.11
フランスのエマニュエル・マクロン大統領はモスクワでロシアのウラジミル・プーチン大統領と2月7日に会談、ウクライナ情勢などについて話し合ったようだ。 プーチン大統領は記者団に対し、ウクライナがNATOへ加盟し、クリミアの奪還を試みるなら戦争になると語ったが、マクロンによると、ロシアはウクライナ危機をエスカレートさせる意思はないと断言したという。アメリカがロシアの安全を脅かさない限り、軍事行動はありえないということだろう。 ロシアとフランスは1月26日、ウクライナやドイツとパリで会談、ウクライナをめぐる緊張を平和的に解決することで合意した。「ミンスク議定書」を尊重するということだが、そうした動きに関係なく、アメリカのジョー・バイデン政権は「ロシアが攻めてくる」と連呼している。 その会議から2日後、ウクライナのボロディミル・ゼレンスキー大統領は、ロシアの侵略が差し迫っているという間違った警告によってウクライナの経済は危険な状態になると主張、パニックを作り出そうとしないよう西側の記者に求めている。 この構図は世界各地で現れてきた。例えば、バラク・オバマ政権がリビアで体制転覆に成功した後、ジハード傭兵を中心とする戦闘員や兵器をシリアへ集中させ、シリアでの戦闘を強化しているが、その際、アメリカの手先になっていた戦闘員は住民を虐殺する。特にキリスト教徒が犠牲になっていたが、そうした人びとを守っていたのはシリア政府軍。その政府軍を西側の有力メディアは国民を虐殺していると宣伝していた。 そうした状況の中、2012年の前半、メルキト東方典礼カトリック教会の修道院長、フィリップ・トルニョル・クロがシリアへ入って実態を調査、その報告をローマ教皇庁の通信社が伝えている。本ブログでは繰り返し書いてきたが、再度、触れておきたい。 クロは、「もし全ての人が真実を語るならば、シリアに平和をもたらすことができる。1年にわたる戦闘の後、西側メディアの押しつける偽情報が描く情景は地上の真実と全く違っている」と報告していた。 虐殺しているのは外国から侵入したサラフィストの戦闘員で、資金や武器はカタールやサウジアラビアから得ているともしていたが、これは事実。その侵略にはアメリカ、イギリス、フランス、トルコなども加担していた。 2014年のクーデター以来、ウクライナの治安部門や軍はネオ・ナチやアメリカの影響下にあるが、ゼレンスキー内閣はアメリカの好戦的な宣伝を嫌がっている。国が滅びかねないからだろう。周辺国も危機感を持ち始めたようだ。 今回の件ではアメリカの手先としてNATO(北大西洋条約機構)という軍事同盟が動いている。1949年にアメリカ、カナダ、イギリス、フランス、イタリア、ポルトガル、デンマーク、ノルウェー、アイスランド、ベルギー、オランダ、そしてルクセンブルクによって創設されたが、その際、すでに存在していた極秘のゲリラ戦部隊がNATOへ入り込む。 その極秘部隊は第2次世界大戦の終盤、ドイツの敗北が決定的になった後にレジスタンス対策としてアメリカとイギリスの情報機関が編成した「ジェドバラ」が母体になっている。この組織は大戦の終結で解散したことになっているが、人脈は消えない。戦後、その人脈が中心になってアメリカでは軍の特殊部隊や破壊工作機関OPCが組織される。OPCが中心になってCIAの破壊工作部門が作られた。 秘密部隊は全てのNATO加盟国に存在するが、特に有名な組織はイタリアのグラディオ。1960年代から80年代にかけてイタリア国内で「左翼過激派」を装って爆弾テロを繰り返し、クーデターを計画していた。1990年にイタリア政府はその存在を公式に認めている。 フランスの秘密部隊も有名。1947年6月に社会党系の政権が誕生した際、アメリカとイギリスは秘密部隊を使って政権を不安化するために「青計画」を作成したという。これは内務大臣を務めていたエドアル・ドプの話だ。(Daniele Ganser, “NATO’s Secret Armies”, Frank Cass, 2005) 1961年にはOAS(秘密軍事機構)が組織される。この軍事機構はアルジェリアの独立を認めようとするシャルル・ド・ゴールに反発する軍人らによって構成され、フランスの情報機関SDECEや第11ショック・パラシュート大隊と結びついていた。この組織の背後にもアメリカやイギリスの情報機関が存在していた。 この秘密組織はアルジェリアの主要都市、アルジェ、オラン、そしてコンスタンチンの支配を宣言した後でパリを制圧しようと計画、1961年4月22日にクーデターは実行に移されるが、その直前、アメリカのジョン・F・ケネディ大統領はジェームズ・ガビン駐仏大使に対し、必要なあらゆる支援をする用意があるとド・ゴールへ伝えるように命じている。CIAとアメリカ軍が戦うことになりかねない状況になった。そこでクーデターは4日間で崩壊してしまう。(David Talbot, “The Devil’s Chessboard,” HarperCollins, 2015) フランスでクーデターが失敗に終わった後、ド・ゴール大統領はSDECEの長官を解任、第11ショック・パラシュート大隊を解散させた。クーデター失敗後もOASはアルジェリアの政府要人を暗殺したほか爆破事件を繰り返し、イスラム教徒を殺害、銀行を襲撃するなど暴走状態になるが、1962年1月にOASの幹部が逮捕され、その5カ月後にOASは休戦を宣言する。(Henrik Kruger, “The Great Heroin Coup (2nd),” Trine Day, 2015) この宣言に従わなかったのがジャン-マリー・バスチャン-チリー大佐に率いられた一派。その年の8月22日にパリでド・ゴール大統領の暗殺を試みて失敗、暗殺計画に加わった人間は9月にパリで逮捕された。全員に死刑判決が言い渡されたが、実際に処刑されたのはバスチャン-チリー大佐だけだったという。(Daniele Ganser, “NATO’s Secret Armies”, Frank Cass, 2005) ド・ゴールを助けたケネディ大統領は1963年11月にテキサス州のダラスで暗殺されてる。その3年後、ド・ゴール大統領はフランス軍をNATOの軍事機構から離脱させ、翌年にはSHAPE(欧州連合軍最高司令部)をパリから追い出した。 NATOとはそうした組織である。つまりソ連の侵略に備えるという大義名分は嘘八百。実際はアメリカやイギリスの私的権力がヨーロッパを支配する仕組みに他ならず、その先には世界を完全に制覇しようという野望がある。フランスがNATOの軍事機構へ一部復帰すると宣言したのは1995年、完全復帰したのは2009年だ。今後、その関係がどうなるかはわからない。
2022.02.10
ラーム・エマニュエル駐日米国大使は2月7日、「北方領土問題で日本を支持しています。」とツイットした。歯舞群島、色丹島、国後島、択捉島は日本領だとする立場を支持するということだろうが、日本がアメリカの属国である以上、この4島はアメリカの領土だということになる。 アメリカとロシア/ソ連との間において、日本の領土問題は1945年2月の「ヤルタ協定」から始まる。アメリカのフランクリン・ルーズベルト、イギリスのウィンストン・チャーチル、ソ連のヨシフ・スターリンがクリミア半島のヤルタで会談した際に決められもので、ドイツが降伏し、ヨーロッパでの戦争が終結してから2カ月から3カ月後にソ連が日本に宣戦布告する条件を取り決めている。その中には、現在のサハリン南部や近くにある全ての島々はソ連へ返還し、千島列島はソ連へ引き渡すことが含まれてた。 ソ連はこの協定に基づいて8月8日に日本へ宣戦。アメリカは8月6日に広島へ、8月9日に長崎へ原子爆弾を投下したが、原爆は開発計画の当初からソ連を意識していたことは本ブログでも書いてきた。 日本は8月9日の「御前会議」でポツダム宣言の受諾を決定、その旨を翌日に連合国側へ打電、事実上、降伏が決まったが、その宣言は7月17日から8月2日にかけてポツダムで開かれた米英ソの3カ国首脳による討議の中で決まっている。宣言の発表は7月26日。 会議が始まる前日、アメリカのニューメキシコ州にあったトリニティ(三位一体)実験場でプルトニウム原爆の爆発実験が行われて成功、大統領の急死で副大統領から昇格した新大統領のハリー・トルーマンは原子爆弾の投下を7月24日に許可した。 ポツダム宣言はカイロ宣言の履行を求め、日本の主権は本州、北海道、九州、四国、そして連合国側が定める小さな島々に限られるとしている。その小島は1946年1月に出された「連合軍最高司令部訓令」で示されているが、竹島、千島列島、歯舞群島、色丹島は日本の領土から除かれている。 また、カイロ宣言には日本が清国(中国)人から奪った全ての地域を中華民国(中国)へ返還すると明記されている。18世紀に作られた中国や日本の地図では尖閣諸島を中国の支配下にあるとしていることなどを根拠に、この宣言でこの島々は中国領だというのが中国の主張だ。 エマニュエル駐日大使によると、アメリカは1950年代から「北方領土問題」で日本を支持してきたと言っているが、その間、1956年10月に日ソ共同宣言に署名した鳩山一郎政権は歯舞島と色丹島を日本領にするというソ連案を受け入れている。この案を潰したのはアメリカ政府だ。日本とソ連が友好関係を結ぶことはアメリカにとって許し難い行為だった。つまり、「北方領土問題」における日本の立場はアメリカ支配層の命令に基づいている。 ところで、ラーム・エマニュエルはバラク・オバマ政権の大統領首席補佐官(2009年1月から10年10月)を務めた人物で、筋金入りの親イスラエル派。子どもの頃にはイスラエルのサマー・キャンプに参加していた。1991年の湾岸戦争では市民としてイスラエル軍に協力、トラックの修理などを行ったという。 大統領首席補佐官になる前年、ラームは「重大な危機」について語っている。「それまで不可能だと思っていたことを実行する好機だ」というのだ。不可能だと思えることを実行するためには「重大な危機」を作り出せば良いということでもある。この発言を頭において、アメリカが行ってきたことを振り返ることは有益だ。 ちなみに、兄のエゼキエル・エマニュエルもラームと同じように筋金入りの親イスラエル派で、ジョー・バイデン政権の「COVID-19諮問会議」のメンバー16人のひとり。つまり、「COVID-19ワクチン」の強制接種やロックダウンを推進してきた。2020年10月12日、エゼキエルは危機、戦争、金融崩壊は人びとを恐怖させ、自分たちが望むプログラムを受け入れさせることができるだろうと語ったと伝えられている。 現在、アメリカは孤立しつつある。そうした中、ラーム・エマニュエルを含むアメリカの好戦的なシオニストは日本が中国やロシアと敵対してほしいと望んでいるはずだ。
2022.02.09
北京で冬季オリンピックの開会式が行われた2月4日、中国の習近平国家主席とロシアのウラジミル・プーチン大統領が会談、両国の「限界なき協力」を宣言した。「戦略的同盟関係」にある両国だが、そのつながりが具体的になってきたと言えるだろう。 アメリカは東アジアで台湾、新疆ウイグル自治区を含む中央アジア、あるいはウクライナで両国に揺さぶりをかけているが、そうした恫喝に中国とロシアは協力して対処するということだ。すでに中国とロシアはドル離れを鮮明にし、独自の金融システムを築きつつあるが、それを加速させるつもりだろう。 1991年12月にソ連が消滅した直後、シオニストの一派であるネオコンはアメリカが「唯一の超大国」になったと認識、翌年の2月には国防次官だったポール・ウォルフォウィッツを中心にして、国防総省のDPG草案という形で世界制覇プランが作成された。いわゆる「ウォルフォウィッツ・ドクトリン」だ。 実際、1990年代のロシアはウォール街やシティ、つまりアメリカやイギリスの金融資本の手先だったボリス・エリツィンが君臨、その娘であるタチアナを中心とするグループがロシアを私物化、巨万の富を築いて「オリガルヒ」と呼ばれるようになる。その体制をCIA人脈と結びついたビクトル・チェブリコフをはじめとするKGB人脈が支えていた。 この勢力はプーチンも自分たちの手先と認識していたのだが、大統領に就任するとタチアナたちオリガルヒのコントロールに乗り出す。それを嫌った富豪はロンドンやイスラエルへ逃亡した。 2001年9月11日にニューヨークの世界貿易センターとバージニア州アーリントンの国防総省本部庁舎(ペンタゴン)が攻撃された時、アメリカの支配層はロシアはアメリカの属国だとまだ思っていただろう。そして2003年3月にイラクを先制攻撃する。 外交問題評議会(CFR)が発行しているフォーリン・アフェアーズ誌の2006年3/4月号に掲載されたキール・リーバーとダリル・プレスの論文には、アメリカ軍の先制第1撃でロシアと中国の長距離核兵器を破壊できるようになる日は近いと書かれている。米英の巨大資本が覇権を握る日は近いという認識だ。 CFRはロックフェラー色が濃いと言われているが、1930年代の前半まではモルガン色が強かった。創設は1921年。イギリスにある「王立国際問題研究所(RIIA)」のアメリカにおける拠点だった。 フォーリン・アフェアーズ誌にそうした記事が載ったということは、米英の支配層は中国やロシアは屈服させたと考えたのだろうが、プーチンはそれが間違いだということを示していく。それを世界に示したのが2008年8月のジョージア軍による南オセチアへの奇襲攻撃に対するロシア軍の反撃。 2015年9月30日にシリア政府の要請でロシア軍は軍事介入し、アメリカが手先として使っていたジハード傭兵を敗走させ、高性能兵器の存在を世界の人びとに見せつけた。 大統領に就任して間もない2017年4月、ドナルド・トランプが大統領は地中海に配備されていたアメリカ海軍の2隻の駆逐艦、ポーターとロスから巡航ミサイル(トマホーク)59機をシリアのシャイラット空軍基地に向けて発射したが、6割が無力化されてしまう。ロシアの防空システムの優秀さを示すことになった。 そのリベンジのつもりだったのか、トランプ政権は2018年4月にもミサイルでシリアを攻撃する。この時はイギリスやフランスを巻き込み、100機以上の巡航ミサイルをシリアに対して発射したが、今度は7割が無力化されてしまう。前年には配備されていなかった短距離用の防空システムのパーンツィリ-S1が効果的だったと言われている。 アメリカは通常兵器でロシアや中国を脅すことができない。そこで経済戦争を仕掛けたが、それによって中国やロシアはドル離れを進め、アメリカのドル体制にダメージを与えることになった。 アメリカ政府は有力メディアを使ったプロパガンダで人心を操ろうとしているが、世界的に西側の有力メディアに対する信頼度は下がっている。
2022.02.08
アメリカ国務省の報道官としてロシアとの軍事的な衝突を誘発しかねない深刻な主張をし、APのマット・リー記者から主張の根拠を問われて答えられなかったネッド・プライスは2006年から2017年2月14日に辞表を提出するまでCIAの分析官を務め、最後の時期にはNSC(国家安全保障会議)の広報官のポストにあった。辞表を提出した理由は新大統領のドナルド・トランプの下で仕事をしたくなかったからだ。 NSCは安全保障、軍事、外交を決定する重要な場所で、議長は大統領が務める。大統領の安全保障補佐官も出席することになっているが、2017年1月に成立したトランプ大統領の補佐官、マイケル・フリンの重要な側近は出席できなかった。CIAの妨害でクリアランス(国家の機密情報にアクセスできる資格)を取得できなかったからである。2月13日にはフリン自身が事実上、解任された。その時、プライスはCIAの幹部としてNSCの広報官を務めていたわけだ。 トランプの前のアメリカ大統領はバラク・オバマ。ロシアとの関係を悪化させようとしていた人物だが、2010年から中東から北アフリカにかけての地域でムスリム同胞団を使った体制転覆プロジェクトを推進、14年にはウクライナでネオ・ナチを使ってクーデターを実行している。 ウェズリー・クラーク元欧州連合軍(現在のNATO作戦連合軍)最高司令官によると、2001年9月11日にニューヨークの世界貿易センターやバージニア州アーリントンの国防総省本部庁舎(ペンタゴン)が攻撃されてから10日ほど後にペンタゴンを訪れたところ、国防長官の周辺で攻撃予定国リストが作成されていることを知る。そのリストにはイラク、シリア、レバノン、リビア、ソマリア、イラン、そしてスーダンが載っていたという。 ジョージ・W・ブッシュ政権は2003年3月にイラクを先制攻撃してサダム・フセイン政権を倒したが、オバマはその後を引き継ぎ、2010年の後半に「アラブの春」を仕掛けた。2011年10月にリビアのムアンマル・アル・カダフィ体制は破壊され、並行してシリアも攻撃されたが、シリアは手強い。しかも2012年5月にロシア大統領へ返り咲いたウラジミル・プーチンがアメリカ/NATOのシリアへの本格的な攻撃にブレーキをかけた。 オバマ政権はリビアからシリアへ戦闘員や武器/兵器を移動、集中させ、バシャール・アル・アサド政権の打倒に力を入れる。ムスリム同胞団やサラフィ主義者(ワッハーブ派、タクフィール主義者)への支援を強化したのだ。 それに対し、アメリカ軍の情報機関DIAはこの政策が危険だとオバマ政権へ2012年8月に報告する。その中で、反シリア政府軍の主力はサラフィ主義者やムスリム同胞団だと指摘、アル・カイダ系武装集団のAQI(アル・ヌスラと実態は同じだとしている)の名前も出している。オバマ大統領が言うところの「穏健派」とは、一般的に「過激派」と見なされているグループだとしているのだ。ちなみに、2012年7月からDIA局長を務めていたのは後にトランプが国家安全保障補佐官に指名するマイケル・フリン中将である。 オバマ政権の政策はシリアの東部(ハサカやデリゾール)にサラフィ主義者の支配地域を作ることになるとも警告していたが、これは2014年にダーイッシュ(IS、ISIS、ISIL、イスラム国などとも表記)という形で現実になる。その年の1月にイラクのファルージャで「イスラム首長国」の建国が宣言され、6月にはモスルが制圧されたのだ。当初、この武装集団は首を切り落とす演出をするなど残虐さをアピールした。アメリカ/NATO軍の本格的な介入を正当化するためだったと見られている。 2015年にオバマ大統領は政府を好戦的な布陣に作り替えた。2月に国防長官がチャック・ヘーゲルからアシュトン・カーターへ、9月には統合参謀本部議長がマーチン・デンプシーからジョセフ・ダンフォードへ交代させている。 ヘーゲルは戦争に慎重だったが、カーターは2006年にハーバード大学で朝鮮空爆を主張した人物。サラフィ主義者やムスリム同胞団を危険だと考えていたデンプシーはシリア政府と情報を交換していたと言われている。 デンプシーは2015年9月25日に議長から退くが、その5日後にロシア軍がシリア政府の要請で軍事介入、アル・カイダ系武装集団の支配地域を急速に縮小する。その中にはダーイッシュも含まれていた。その後、ロシア軍は兵器と戦闘能力の優秀さを世界へ見せつけることになる。この出来事は歴史の転換点だと言えるだろう。 2016年の大統領選挙中からCIAやFBIの中枢にはヒラリー・クリントンを支援する勢力が存在、反トランプ工作も行われていた。後にこの工作は発覚、責任問題になりつつある。そのクリントンを支援していたマイク・モレルは2010年5月から13年8月にかけてCIA副長官を務めた人物。選挙期間中の2016年8月、チャーリー・ローズのインタビューでロシア人やイラン人に代償を払わせるべきだと語っている。その際、司会者からロシア人とイラン人を殺すという意味かと問われると、その通りだと答えた。 実際、その後、ロシアの幹部外交官らが相次いで死亡している。例えば、2016年11月8日にニューヨークのロシア領事館で副領事の死体が発見され、12月19日にはトルコのアンカラでロシア大使が射殺された。 12月20日にはロシア外務省ラテン・アメリカ局の幹部外交官が射殺され、12月29日にはKGB/FSBの元幹部の死体が自動車の中で発見され、17年1月9日にはギリシャのアパートでロシア領事が死亡、1月26日にはインドでロシア大使が心臓発作で死亡、そして2月20日にはロシアの国連大使だったビタリー・チュルキンが心臓発作で急死している。その間、2016年9月6日にはウラジミル・プーチンの運転手が乗った自動車へ暴走車が衝突、その運転手は死亡する。 また、モレル発言の前、2015年11月5日にはアメリカ政府が目の敵にしてきたRTを創設した人物がワシントンDCのホテルで死亡している。
2022.02.07
アメリカ国務省の報道官を務めているネッド・プライスは2月3日の記者会見で、ロシアの偽情報と、モスクワが計画しているかもしれない偽旗作戦に強い関心を持っていると切り出した。1月14日にはホワイトハウスのジェン・サキ報道官はロシア政府がウクライナの東部地区、つまりドンバス(ドネツクやルガンスク)の周辺で「偽旗作戦」を行おうとしているとする情報があると発言していたので、「ロシアの偽旗作戦」はアメリカ政府の公式見解なのだろう。 プライスの発言に対し、APのマット・リー記者は主張を裏付ける証拠を示すように求めたが、プライスはアメリカ政府の情報機関が機密解除した情報だという言うばかりで、結局、証拠は示せなかった。主張と情報は違うと言われ、イラクを攻撃する前にアメリカ政府が宣伝していた「大量破壊兵器」の話を持ち出されても答えられなかったプライスはCIAの「元高官」だ。 その翌日、アメリカの有力メディア、ブルームバーグはロシア軍がウクライナへ侵攻したとする記事を掲載した。そうした事実はなかったが、インターネット上で指摘されるまで30分にわたってホームページに掲載されていたようだ。「ミス」だとされているが、そうした記事が存在していたことは間違いない。いわゆる「予定稿」が流れてしまったのだろう。 ウクライナの現体制は2014年2月にアメリカのバラク・オバマ政権がネオ・ナチを使ったクーデターで成立させた。キエフの実態を知ったクリミアの住民は3月16日に住民投票を実施、80%以上が投票し、その95%以上がロシアとの一体化に賛成した。 クリミアのセバストポリには黒海艦隊の拠点があり、その制圧はアメリカ政府にとって重要な意味があった。ロシアにとっても重要で、この拠点を確保するため、ロシアは1997年にウクライナと条約を結んでいる。その条約で基地の使用と2万5000名までのロシア兵駐留が認められていて、クーデター当時には1万6000名のロシア軍がクリミアに駐留していた。西側の政府や有力メディアはこの部隊をロシア軍が侵略した証拠だと宣伝していたが、これも「予定稿」だった可能性がある。 クーデターを行ったオバマ政権で副大統領を務めていた人物がバイデン。大統領に就任して間もない3月10日にNATO加盟国の軍艦がオデッサへ入港、同じ頃にキエフ政府は大規模なウクライナ軍の部隊をウクライナ東部のドンバス(ドネツクやルガンスク)やクリミアの近くへ移動させている。 3月14日には少なくとも2機のC-17A輸送機がトルコからウクライナへ空輸、トルコ軍兵士150名もウクライナへ入った。4月10日にゼレンスキーはトルコを訪れてレジェップ・タイイップ・エルドアン大統領と会談、その直後にトルコの情報機関は「ジハード傭兵」を集め始めた。 4月に入るとアメリカ空軍は1週間の間に少なくとも3度、物資を空輸していると伝えられ、4月5日にはウクライナのウォロディミル・ゼレンスキー大統領はカタールを訪問、そのカタールの空軍は5機の輸送機を使い、トルコを経由でウクライナへ物資を運んでいるという。 4月6日と7日にはNATO軍事委員会委員長のスチュアート・ピーチ英空軍大将がウクライナを訪問、9日にアメリカは「モントルー条約」に従い、トルコ政府へ自国の軍艦2隻が4月14日か15日に地中海から黒海へ入り、5月4日か5日まで留まるとると通告した。 その前にアメリカの軍艦2隻が4月14日か15日に地中海から黒海へ入り、5月4日か5日まで留まると通告されていたが、ロシアの反発が強いため、米艦船の黒海入りはキャンセルされた。 ロシアの国防大臣はアメリカ/NATO軍がロシアトの国境沿いに4万人の部隊を配置していると指摘、それに対抗してロシア軍は2方面軍と3空挺師団を西側の国境近くへ移動させたと説明。またロシアの黒海艦隊に所属する艦船20隻以上が空軍や防空軍と共同で軍事演習を実施している。アメリカ/NATO軍が何らかの軍事的な行動を起こした場合、ロシア軍は迅速に動けることを示したのだろう。 その後、アメリカ政府は「ロシアがウクライナへ軍事侵攻する」と主張し始め、その一方でウクライナの現政権は部隊をドンバスの近くへ移動させて軍事的な圧力を強める。同時にアメリカは黒海へ艦隊を入れて軍事演習を実施してロシアを挑発してきた。 そうした中、ウクライナの国防大臣が辞意を表明し、その一方でネオ・ナチ「右派セクター」を率いるドミトロ・ヤロシュが参謀長の顧問に就任したと伝えられている。 昨年12月に入るとアメリカの偵察機が黒海の上空を何度も飛行、民間航空機の飛行ルートを横切るなど脅しを繰り返し、ウクライナ軍はアメリカ製の兵器を誇示してロシアを挑発している。その前にはアントニー・ブリンケン国務長官がロシアを恫喝、ロード・オースチン国防長官はウクライナを訪問していた。 そしてバイデン大統領とプーチン大統領は12月7日にオンライン会談を実施、プーチン大統領はNATOの東への拡大は止めるように求めた。アメリカやNATOがNATOの拡大を止めることを保証できないなら、ロシアは自らが拡大できないようにするという姿勢をプーチンは示している。それに対し、バイデンはウクライナのNATO加盟へロシアは口を出すなという態度を示すが、プーチンは自国を守る権利があると釘を刺している。 おそらく、ロシア政府はアメリカ政府の予想を上回る強さで臨んできた。クリミアは勿論、アメリカ/NATOはドンバス(ドネツクやルガンスク)を軍事的な支配地にすることが困難な状況だ。ウクライナの特殊部隊をCIAが2015年からアメリカの南部、ドンバスにはアメリカの傭兵会社アカデミー(ブラックウォーター)に所属する戦闘員も入っているようで、そうした訓練を受けた部隊が何らかの行動を起こす可能性はある。それをロシア側が明らかにした場合、それは偽情報であり、偽旗作戦だとアメリカ側は宣伝することになるだろうが、その下準備をアメリカの政府や有力メディアはしているようだ。 1月26日にロシア、ウクライナ、フランス、ドイツの代表がパリでウクライナ情勢について討議、事態を平和的に解決することで合意。ウクライナのウォロディミル・ゼレンスキーは西側の記者に対し、侵略が差し迫っているという間違った警告はウクライナの経済を危険な状態にすると発言、パニックを作り出そうとしないように求めたが、アメリカ政府は無視している。
2022.02.06
アメリカのFDA(食品医薬品局)とCDC(疾病予防管理センター)が共同で運用しているVAERS(ワクチン有害事象報告システム)への自主的な報告によると、「COVID-19(2019年-コロナウイルス感染症)ワクチン」による死亡者数は1月28日現在、前の週より542名増え、2万3149名に達した。 一般的にVAERSに報告される件数は全体の1%から10%程度にすぎ無いと言われ、実際は20万人強から200万人強に達するということになる。また、死亡を含む深刻な副作用を引き起こしている「ワクチン」が限られたロットに集中していることはVAERSでも確認できる。 COVID-19騒動は2019年12月に中国湖北省の武漢でSARS(重症急性呼吸器症候群)と似た症状の肺炎患者が見つかったところから始まる。2020年2月4日には「ダイヤモンド・プリンセス」というクルーズ船で感染者が出たと発表され、乗員乗客3700名は隔離状態になったが、55名が死亡したという。 病気の原因はコロナウイルスだとされ、「SARS-CoV-2(重症急性呼吸器症候群コロナウイルス2)」と名づけられるが、そのウイルスが単離されたという話は聞かない。その後、SARS-CoV-2は世界に蔓延したともされているが、重症の急性呼吸器症候群が世界に広がっているとは言えないだろう。 武漢の状況も短期間で治る。2002年から中国で広まったSARSを押さえ込んだ陳薇のチームがその経験からキューバで研究されている「インターフェロン・アルファ2b」を使用、今回も有効だったと報道されている。中国の習近平国家主席は2020年2月28日、キューバのミゲル・ディアス-カネル大統領に謝意を述べたとも伝えられている。 感染拡大を演出する上で重要な役割を果たしたのはPCR(ポリメラーゼ連鎖反応)検査。その陽性者を感染者とみなしたのだが、これは特定の遺伝子型を試験管の中で増幅する技術であり、診断には適さない。この技術を開発したキャリー・マリスもそう指摘している。(これについては本ブログでも繰り返し書いてきたので、詳細は割愛する。) アメリカで診断のために使われていた「2019年新型コロナウイルス(2019-nCoV)リアルタイムRT-PCR診断パネル」はインフルエンザA型とインフルエンザB型も検出できるとされていたが、2021年7月21日にCDCはこの診断パネルのEUA(緊急使用許可)を12月31日に取り下げると発表した。COVID-19の原因とされるSARS-CoV-2とインフルエンザ・ウイルスを区別できないからだという。 1938年10月30日にCBSラジオが放送したH・G・ウェルズ原作、オーソン・ウェルズ演出のドラマ『宇宙戦争』は相当数のアメリカ人を恐怖でパニックにしたというが、COVID-19騒動もそれに近い現象である可能性も否定できない。 COVID-19の正体は明確でないが、「COVID-19ワクチン」が深刻な副作用を引き起こしていることは間違いない。帯状疱疹や⾎栓性⾎⼩板減少性紫斑病(TTP)の発症、あるいは体の麻痺は早い段階から指摘されていた。大きな血栓で脳梗塞や心筋梗塞を引き起こし、微小血栓によって脳、脊髄、心臓、肺などにダメージを与えるとも言われている。 昨年4月には年少者に心筋炎や心膜炎を引き起こすと報告され、大きな問題になっているが、接種が始まる前から人間の免疫の機能を混乱させるADE(抗体依存性感染増強)も懸念されていた。「ワクチン」が作り出す「結合(非中和)抗体」がウイルスを免疫細胞へ侵入させ、免疫の機能を混乱させる現象だ。 これまで問題にならなかった微生物が深刻な病気を引き起こすようになることが懸念されるが、その中には癌も含まれているだろう。アメリカのジョー・バイデン大統領はmRNA(メッセンジャーRNA)技術で癌を撲滅すると言い始めた。この技術を使った「COVID-19ワクチン」が深刻な副作用を引き起こしていることなど気にしていないようだ。
2022.02.05
北京で冬季オリンピックの開会式が2月4日にあり、中国とロシアの同盟関係がアピールされた。それに合わせるかのように、アメリカのジョー・バイデン政権は両国に対する恫喝を続けている。 現在、バイデン政権はウクライナを完全に制圧しようと必死で、クリミアやドンバス(ドネツクやルガンスク)に執着しているようだ。バラク・オバマ政権は2014年2月にネオ・ナチを使ったクーデターでビクトル・ヤヌコビッチ政権を倒すことに成功したが、クリミアの住民はロシアと一体化することに成功、ドンバス(ドネツクやルガンスク)では軍事的な抵抗が続いているのだ。 ポーランドで伝えられていた情報によると、クーデターの主体になったネオ・ナチは2004年からバルト3国にあるNATOの訓練施設で軍事訓練を受けていたという。ネオ・ナチのグループにはシリアやチェチェンでの実戦経験のある人物も含まれていた。 2013年9月にはポーランド外務省がクーデター派の86人を大学の交換学生を装って招待、ワルシャワ郊外にある警察の訓練センターで4週間にわたり、暴動の訓練を受けたとも伝えられている。 その訓練には追跡技術、群集操縦、ターゲットの特定、戦術、指揮、緊張した状況における行動制御、警察のガス弾に対する防御、バリケードの建設、そして狙撃も学んだという。本格的な軍事訓練だと言えるだろう。 キエフでクーデターが始まると、負傷したクーデター部隊の戦闘員はポーランドへ運び込まれ、治療を受けたとも報道されていた。クーデター後、ポーランドで治安担当の大統領顧問を務めたこともあるイエルジ・ドボルスキがウクライナに乗り込み、ポーランドの軍事会社ASBSオタゴの戦闘員も東部での戦闘に参加していた。 しかし、ウクライナの軍や治安機関にはクーデターを拒否する隊員がいて、ドンバスの住民側に合流する。新兵主体のクーデター軍は劣勢になり、戦闘が続けば住民側の勝利は間違いなかったが、ロシア政府の意向もあって停戦になる。そして作成されたのが「ミンスク議定書」だ。2014年9月5日にOSCE(欧州安全保障協力機構)、ウクライナ、ロシア、ドネツク、ルガンスクの代表が調印しているが、この停戦をアメリカは認めない。ドンバスやクリミアを制圧するまでクーデターを終えるつもりはなさそうだ。 今年1月26日にロシア、ウクライナ、フランス、ドイツはパリでウクライナをめぐる問題を話し合い、事態を平和的に解決することで合意した。「ミンスク議定書」を尊重するということだ。 その会議から2日後、ボロディミル・ゼレンスキーはアメリカ政府を刺激する発言をしている。侵略が差し迫っているという間違った警告はウクライナの経済を危険な状態にすると主張、パニックを作り出そうとしないよう西側の記者に求めたのだ。 バイデン政権は2021年1月に誕生して以来、ウクライナへ武器/兵器を含む軍事物資を運び込む一方、ウクライナ周辺で挑発的な行動を繰り返してきた。ロシア軍を誘っているようだが、ロシア側は挑発に乗らない。そこで挑発をエスカレートさせることになる。 例えば、3月10日にNATO加盟国の軍艦がオデッサへ入港、同じ頃にキエフ政府は大規模なウクライナ軍の部隊をウクライナ東部のドンバス(ドネツクやルガンスク)やクリミアの近くへ移動させてロシアを挑発している。 4月に入るとアメリカ空軍は1週間の間に少なくとも3度、物資を空輸していると伝えられた。4月5日にはウクライナのゼレンスキー大統領はカタールを訪問、そのカタールの空軍は5機の輸送機を使い、トルコを経由でウクライナへ物資を運んでいるという。 そのトルコはウクライナでアメリカと連携、3月14日には少なくとも2機のC-17A輸送機がトルコからウクライナへ物資を輸送、トルコ軍兵士150名もウクライナへ入る。 4月10日にウクライナのウォロディミル・ゼレンスキー大統領はトルコを訪れてレジェップ・タイイップ・エルドアン大統領と会談、その直後にトルコの情報機関は「ジハード傭兵」を集め始めている。 その直前、4月6日と7日にはNATO軍事委員会委員長のスチュアート・ピーチ英空軍大将がウクライナを訪問、9日にアメリカは「モントルー条約」に従い、トルコ政府へ自国の軍艦2隻が4月14日か15日に地中海から黒海へ入り、5月4日か5日まで留まるとると通告した。 その前にアメリカの軍艦2隻が4月14日か15日に地中海から黒海へ入り、5月4日か5日まで留まると通告されていたが、ロシアの反発が強いため、米艦船の黒海入りはキャンセル。 そうした中、ウクライナの国防大臣が辞意を表明し、その一方でネオ・ナチ「右派セクター」を率いるドミトロ・ヤロシュが参謀長の顧問に就任したと伝えられた。 6月28日から7月10日にかけてアメリカ軍を中心とする多国籍軍が黒海で軍事演習「シー・ブリーズ」を実施したが、これには日本も参加している。 シー・ブリーズに参加するために黒海へ入っていたイギリス海軍の駆逐艦「ディフェンダー」は6月23日にオデッサを出港した後、ロシアの領海を侵犯してクリミアのセバストポリへ接近。それに対してロシアの警備艇は警告のために発砲、それでも進路を変えなかったことからSu-24戦術爆撃機が4発のOFAB-250爆弾を艦船の前方に投下している。この爆弾は模擬弾ではなく実戦用。その直後にディフェンダーは領海の外へ出た。 当初、イギリス海軍は警告の銃撃や爆弾の投下はなかったと主張したが、問題の駆逐艦に乗船していたBBCの記者ジョナサン・ビールが周囲にロシアの艦船や航空機がいて、銃撃音や爆弾を投下した音を聞いたと伝えている。 6月24日にはオランダのフリゲート艦「エバーツェン」がクリミアへ接近したが、ロシア軍がSu30戦闘機とSu-24爆撃機を離陸させると、領海を侵犯しないまま、すぐに離れていった。 12月に入るとアメリカの偵察機が黒海の上空を何度も飛行、民間航空機の飛行ルートを横切るなど脅しを繰り返し、ウクライナ軍はアメリカ製の兵器を誇示してロシアを挑発している。その前にはアントニー・ブリンケン国務長官がロシアを恫喝、ロード・オースチン国防長官はウクライナを訪問していた。 一方、ウクライナの現政権は部隊をドンバスの近くへ移動させて軍事的な圧力を強めている。ゼレンスキー大統領は外国の軍隊が領土内に駐留することを議会に認めさせ、キエフ政権側で戦う外国人戦闘員にウクライナの市民権を与えることも議会は認めた。脅しのつもりだろう。 また、CIAがウクライナ軍の特殊部隊を秘密裏に訓練しているとする情報も伝えられている。この訓練は2015年、つまりウクライナでアメリカ政府がネオ・ナチを使ったクーデターを成功させた翌年にアメリカの南部で始められたという。 訓練を受けた戦闘員はドンバス周辺で活動することが想定されているはずだ。ウクライナ軍の活動をアメリカ政府は「ロシアの偽旗作戦」だと宣伝する可能性がある。そうしたストーリーをバイデン政権は宣伝している。
2022.02.05
心臓の病気で手術しなければならなくなったキプロスの3歳児が1月27日に航空機でドイツへ運ばれた。キプロスに手術のできる病院がないため、フランクフルトの病院で手術することになったのだが、この手術は拒否される。幼児の親が「COVID-19(2019年-コロナウイルス感染症)ワクチン」を接種していなかったからだという。そこでキプロスの当局はイギリスとイスラエルへ打診したが、やはり拒否されたと伝えられている。受け入れたのはギリシャだった。1月29日のことだ。 ドイツ、イギリス、イスラエルの病院が子どもの心臓の手術をする条件として親に課した「COVID-19ワクチン」はCOVID-19に効果がないだけでなく、リスクが高いことも明らかになっている。早い段階から帯状疱疹や⾎栓性⾎⼩板減少性紫斑病(TTP)の発症、あるいは体の麻痺が指摘されていた。大きな血栓で脳梗塞や心筋梗塞を引き起こし、微小血栓によって脳、脊髄、心臓、肺などにダメージを与えるとも言われている。昨年4月にはイスラエルで年少者が「ワクチン」を接種した後に心筋炎や心膜炎を引き起こすと報告され、その後、各国でそうしたことが起こっている。 接種が始まる前から人間の免疫の機能を混乱させるADE(抗体依存性感染増強)も懸念されていたのだが、実際に起こっているようだ。「ワクチン」が作り出す「結合(非中和)抗体」がウイルスを免疫細胞へ侵入させてしまう現象で、「変異株」に対して「中和抗体」が「結合抗体」化することも考えられている。 「COVID-19ワクチン」の追加接種(ブースター)を繰り返すと免疫反応に問題が生じ、免疫反応が思うようにいかなくなる可能性があるということは、EMA(欧州医薬品庁)で生物学的な健康への脅威やワクチン戦略を指揮しているマルコ・カバレリも指摘している。 アメリカのFDA(食品医薬品局)で「ワクチン研究評価室」の室長を務めてきたマリオン・グルーバーと生物学的製剤評価研究センターで副センター長を務めてきたフィリップ・クラウスを含む研究者はジョー・バイデン政権が強制的に「ワクチン」を接種させるという方針を打ち出したことに抗議して辞表を提出したが、それだけ安全性に疑問があるということだろう。 このふたりを含む学者が執筆した報告書をイギリスの医学誌「ランセット」が昨年の9月13日に掲載しているが、その中で「COVID-19ワクチン」の追加接種(ブースター)を慌てて頻繁に実施することは危険だとしている。 ドイツ、イギリス、イスラエルの病院が患者の親に接種を求めた「ワクチン」は正規の手続きを踏んで承認されわけでなく、安全性や効果が確認されたとは言い難い。 アメリカでは情報公開法に基づき、ファイザー製「ワクチン」に関する資料を公開するように求められたFDAは昨年11月5日、連邦判事に対して文書の公開期限を2076年にするよう求め、後に期限をさらに20年延ばすように要求している。公開したくないということだろう。そのような「ワクチン」を強制接種しようとしている。 これに対し、テキサス州北部連邦地裁のマーク・ピットマン判事は毎月5万5000ページのペースで公開しろと命じた。9カ月以内に公開しとろいうことだ。 この「ワクチン」に不可解なものが入っていることも判明している。スペインのパブロ・カンプラ教授は昨年6月、「mRNAワクチン」の中に「酸化グラフェン」があることを電子顕微鏡などで発見したと発表したのだ。 有力メディアはこの発表に否定的な話を流したが、7月になると少なからぬ人が注目するようになる。8月下旬になると、日本政府が「モデルナ製ワクチン」の中に磁石へ反応する物質が見つかったと発表、160万本が回収されたと伝えられた。 パンプラは11月、周波数の分析で酸化グラフェンが「ワクチン」に含まれていることを確認したと発表したが、その論文を読んだドイツの化学者、アンドレアス・ノアックは酸化グラフェンでなく水酸化グラフェンだろうと解説している。 ノアックによると、この物質は厚さが0.1ナノメートルの小さな板のようなもので、彼はカミソリの刃になぞらえていた。「mRNAワクチン」を接種すると、血管の中を小さな「カミソリの刃」が動き回るというわけだ。 COVID-19が深刻な伝染病で、全世界に蔓延しているとする話には疑問がある。しかも、深刻な伝染病の蔓延を前提として接種を進めてきた「ワクチン」には深刻な副作用がある。COVID-19政策は社会を収容所化し、物流が滞って経済活動は麻痺、個人経営の店や中小企業を中心にして経営状態が悪化して倒産に追い込まれるケースも少なくない。必然的に失業者が増え、ホームレス、そして自殺者を増加させ、教育を受ける権利も奪われた。庶民の基本的な人権は奪われた。 そうした状況の中、デンマーク、ノルウェー、フィンランド、アイルランド、オランダ、イタリア、リトアニア、フランス、イギリス、スウェーデン、スイスは「COVID-19」を口実とした規制を取りやめると発表している。「ワクチン」の接種で先行したイスラエルでは「グリーン・パス」を廃止するという。
2022.02.04
ジョージ・ソロスが1月31日にスタンフォード大学のフーバー研究所で講演、その中で自分たちの前に立ち塞がるロシアと中国、特に中国を批判、逆に自分たちに従属する日本を称賛した。最後のところで習近平の排除を訴えている。 ソロスはヘッジ・ファンドを動かす投機家とされているが、その一方で彼らにとって好ましくない体制、政権を転覆させてきた。「開かれた社会」という看板を掲げているが、その前に「略奪者に」という文字が隠れている。自由に略奪できるように体制を作り替えてきたと言える。例えば、2020年にソロスの「オープン・ソサエティ財団」はカザフスタンの政治団体へ約380万ドルを提供していた。 彼の力の源泉は明確でないが、ロスチャイルドのシステムと関係が深いことは確かだ。ニルス・タウブやリチャード・カッツを通じてイギリスの「N・M・ロスチャイルド・アンド・サン」につながり、ジョージ・カールワイツを通じてフランスのエドモンド・ド・ロスチャイルド・グループにつながっている。N・M・ロスチャイルド・アンド・サンは長くジェイコブ・ロスチャイルドとエベリン・ド・ロスチャイルドにコントロールされてきた。 ちなみに、エベリンがヘンリー・キッシンジャーの紹介で結婚したリン・フォレスター・ド・ロスチャイルドは2020年に設立が明らかになった「包括的資本主義会議」の看板的な存在。その年の6月にWEF(世界経済フォーラム)のクラウス・シュワブはCOVID-19(2019年-コロナウイルス感染症)騒動を利用して「資本主義の大々的なリセット」を行うと宣言したが、この「リセット」と結びついているだろう。 2016年に行われたアメリカ大統領選挙の際、公開された電子メールによってリン・フォレスターがヒラリー・クリントンと親しいこと、またヒラリーがソロスから政策面でアドバイスを受けていることも判明した。この選挙でソロスは民主党(事実上、ヒラリー陣営)へ2500万ドル以上を寄付していた。 ジョー・バイデン政権はロシアと中国を脅しているが、目論見通りには進んでいないようだ。現在、台湾の問題を口にしているが、日本列島から台湾、そしてフィリピンにかけての島々は19世紀以来、アングロ・サクソンが中国を侵略するための拠点だ。その先にはロシアの制圧、そして覇権の獲得がある。 ユーラシア大陸の周辺部から内陸部を締め上げるアングロ・サクソンの戦略に対し、内陸の国は陸上での輸送を進めた。シベリア横断鉄道はそのために建設されたが、現在は鉄道だけでなく道路、そしてパイプラインの建設が進められている。こうした輸送のネットワークはロシアと中国の結びつきを強めているが、それがヨーロッパへ伸びようとしている。これはアングロ・サクソンにとって受け入れ難いことだろう。 内陸の輸送ルートで新疆ウイグル自治区から中央アジアにかけての地域は重要な意味を持つ。アメリカがこの地域を不安定化させようと必死なのはそのためだ。カザフスタンのクーデター未遂の背景でもある。 アメリカは新疆ウイグル自治区へもワッハーブ派のジハード戦闘員を浸透させている。同じことはインドネシアやフィリピンでも行われているが、そのひとつの手段としてイスラムの経典であるコーランの翻訳がある。コーランはアラビア語で書かれているが、ワッハーブ派系のコーランを翻訳し、ワッハーブ派を広げるために使っている。 その新疆ウイグル自治区で約100万人のウイグル人が再教育キャンプへ送り込まれ、約200万人が再教育プログラムに参加させられていると「人種差別削減委員会」のゲイ・マクドーガルは発表しているが、その情報源はCHRD(中国人権防衛ネットワーク)。CHRDの情報源は8名のウイグル人である。 CHRDと並ぶウイグル問題の情報源はキリスト教系カルトの信者であるエイドリアン・ゼンズ。「神の導き」でコミュニズムと戦っているという人物。「コミュニズムの犠牲者記念基金」でシニア・フェローとして中国問題を研究していた。 この基金を創設したのはレフ・ドブリアンスキーとヤロスラフ・ステツコ。ステツコはウクライナのナショナリストOUNの幹部。第2次世界大戦中にはナチスと関係があり、1946年にはイギリスの情報機関MI6のエージェントになった。ABN(反ボルシェビキ国家連合)の議長にも就任している。 ABNは1966年にAPACL(アジア人民反共連盟/後のアジア太平洋反共連盟)と合体、WACL(世界反共連盟)になった。WACLはその後、WLFD(自由民主主義世界連盟)に改名された。 ゼンズが「100万人説」の根拠にしているのは亡命ウイグル人組織がトルコを拠点にして運営している「イステクラルTV」。そこに登場するETIM(東トルキスタン・イスラム運動)のメンバーが情報源だ。このETIMはアメリカ政府や国連の安全保障理事会もアル・カイダ系だとしていた。その政治フロントがTIP(トルキスタン・イスラム党)だ。
2022.02.03
ウクライナ国家安全保障国防会議の議長を務めるオレクシー・ダニロフはドンバス(ドネツクやルガンスク)での戦闘を止める目的で締結された「ミンスク議定書」が混乱を作り出す可能性があると1月31日に発言した。この議定書はOSCE(欧州安全保障協力機構)、ウクライナ、ロシア、ドネツク、ルガンスクの代表が2014年9月5日に調印している。 言うまでもなく、この議定書を作成しなければならなかった理由はアメリカのバラク・オバマ政権がネオ・ナチを使ったクーデターで2014年2月にビクトル・ヤヌコビッチ政権を転覆させたからである。 このクーデターは2013年11月からキエフのユーロマイダン(ユーロ広場、元の独立広場)で「カーニバル」的な集会を開くところから始まり、混乱が生じる。それをEUは話し合いで解決しようと試み、アメリカ政府の怒りを買うことになった。 現場でクーデターを指揮していたビクトリア・ヌランド国務次官補は電話でジェオフリー・パイアット米国大使に対し、「次期政権」の閣僚人事について話している。その中でヌランドは「EUなんか、クソくらえ」と口にしたのだ。2014年2月からクーデター後にかけてネオ・ナチが行った破壊と殺戮については本ブログでも書いてきたので、今回は割愛する。 クーデターはネオコンを後ろ盾とするネオ・ナチが主導、新体制はネオ・ナチが動かすようになる。その体制を受け入れられないウクライナの軍人や治安機関員は少なくなかった。そうした人びとの中にはドンバスの反クーデター派に合流、新兵が多かったキエフのクーデター軍はドンバスで劣勢になった。アメリカは傭兵会社の戦闘員を送り込んでいたが、それでは足りなかったのである。これがミンスク議定書を成立させた背景だ。 2014年6月に新体制の大統領をペトロ・ポロシェンコが務め、アメリカ政府は戦闘の準備を進める。ポロシェンコは国立キエフ大学を卒業しているが、そこで親しくなったミハイル・サーカシビリは2004年から13年にかけてジョージアの大統領を務めた。 サーカシビリは1994年にコロンビアの法科大学院で学び、翌年にはジョージ・ワシントン大学の法科大学院に通っている。その後、ニューヨークの法律事務所パターソン・ベルクナップ・ウェッブ・アンド・タイラーで働き、そこでエドゥアルド・シェワルナゼの下で働いていた旧友に誘われて政界入りしたという。 ポロシェンコ時代もウクライナではネオ・ナチが跋扈、そうした状態にあるため、破綻国家になる。そうした状況への不満から2019年5月に国民はボロディミル・ゼレンスキーを大統領に選んだわけだ。 ゼレンスキーもアメリカの私的権力には従っていたが、今年1月28日に侵略が差し迫っているという間違った警告はウクライナの経済を危険な状態にすると発言、パニックを作り出そうとしないよう西側の記者に求めた。その2日前、ロシア、ウクライナ、フランス、ドイツの代表がパリでウクライナ情勢について討議、事態を平和的に解決することで合意している。 アメリカ政府が圧力をかける中、フランスやドイツは事態の平和的な解決を模索している。これは2014年の2月頃と同じだ。おそらくアメリカの反応も同じで、「EUなんか、クソくらえ」と思っているだろう。 ただ、EUと言ってしまうと正しくないかもしれない。EUを動かしているのはヨーロッパ全域に親戚がいる「貴族階級」で、主権国家を尊重する庶民とは違う。肩書きがどうであろうと、その人脈は生きている。 現在、ウクライナの国家安全保障国防会議議長はダニロフだが、クーデター直後はアンドリー・パルビー。2014年2月から8月にかけて、そのポストにいた。この人物はウクライナ社会国家党(後にスボボダ/自由へ改名)とウクライナ愛国者党を作り上げ、クーデターの際には広場で狙撃を指揮している。 パルビーはネオ・ナチを率いているひとりだが、そのネオ・ナチは今でも健在。例えば、「右派セクター」を率いるドミトロ・ヤロシュは参謀長の顧問に就任したと伝えられている。アメリカがコントロールできなくなったゼレンスキーを米英を後ろ盾とするネオ・ナチが「カラー革命」で排除しようとしたとしても不思議ではない。
2022.02.02
ウクライナ内務省のデニス・モノステルスキー大臣と警察を統括しているイゴール・クリメンコは1月31日、社会の不安定化を狙って抗議活動を計画していた人物を逮捕したと発表した。5000名以上が平和的なデモに紛れ込み、暴力行為に出ようとしていたされている。 このシナリオは2013年11月から14年2月にかけてバラク・オバマ政権がネオ・ナチを使って実行したクーデターを思い出させる。その時はまずキエフのユーロマイダン(ユーロ広場、元の独立広場)で「カーニバル」的な集会を開くところから始まった。 その抗議活動を話し合いで解決しようとしたEUに怒ったのがアメリカのビクトリア・ヌランド国務次官補。ジェオフリー・パイアット米国大使とヌランドが電話で「次期政権」の閣僚人事について話している音声が2014年2月上旬にインターネットへアップロードされたのだが、その中でヌランドは「EUなんかくそくらえ」と口にしたのだ。彼女は暴力的にビクトル・ヤヌコビッチ政権を転覆させるつもりだった。話し合いではヤヌコビッチの影響力が残ってしまう。政権が続く可能性も小さくない。 2月18日頃になるとネオ・ナチの集団は棍棒、ナイフ、チェーンなどを手にしながら石や火炎瓶を投げ、ピストルやライフルで銃撃を始め、広場では無差別の狙撃があった。狙撃を指揮していたのは西側が支援していたグループの幹部でネオ・ナチのアンドレイ・パルビーだということは後に判明する。 ヤヌコビッチが排除されて3日後の2月25日に現地入りしたエストニアのウルマス・パエト外相は現地を調査、狙撃したのはクーデター派だとEUのキャサリン・アシュトン外務安全保障政策上級代表(外交部門の責任者)へ電話で報告しているが、これはもみ消されそうになった。表面化したのは、その会話を何者かがインターネット上に流したからだ。その音声は本物だとパエトは語っている。 その後、ウクライナはネオ・ナチが跋扈する破綻国家になる。そこをアメリカ/NATOは軍事的な支配地にしてロシアへ攻撃できる態勢を整えようとした。自分たちで訓練したネオ・ナチだけでなく、周辺国から兵士を入れ、アメリカの傭兵会社からも戦闘員を雇い入れている。 ロシアにとってウクライナは侵略する価値のない国になったが、アメリカ/NATOの軍事的な拠点になることは認められない。1941年6月にドイツが「バルバロッサ作戦」を始めた時よりも状況は悪くなってしまうからだ。 オバマ政権がネオ・ナチを使ったという事実を「親米派」は封印しておきたかっただろうが、ウクライナにもインターネットはあり、携帯電話で状況は世界に発信された。当初はBBCでさえ、クーデターの主体がネオ・ナチだということを報道していた。 オバマ政権で副大統領を務めた現大統領のジョー・バイデンは「脅せば屈する」という政策をロシアや中国に対しても使っている。ロシア政府がアメリカ/NATOの軍事的な支配地拡大はロシアの安全を脅かすと主張し、NATOをこれ以上東へ拡大させないこと、モスクワをターゲットにできる攻撃システムをロシアの隣国に配備しないこと、ロシアとの国境近くで軍事演習を行わないこと、NATOの艦船や航空機をロシアへ近づけないこと、定期的に軍同士の話し合いを実施すること、ヨーロッパへ中距離核ミサイルを配備しないことなどを保証する文書を作成するように求めた。 そうした求めをアメリカのアントニー・ブリンケン国務長官やNATOのイェンス・ストルテンベルグ事務局長は拒否、それから3日後の1月10日にアメリカのウェンディ・シャーマン国務副長官はロシアのセルゲイ・リャブコフ外務次官とジュネーブで会談したが、予想された通り進展はない。 リャブコフ次官は交渉が袋小路に入り込んだと表現、双方の問題への取り組み方が違い、交渉を再開する理由が見つからないとも語ったという。ウラジミル・プーチン露大統領は「戦争を望まないが、戦争したいなら受けて立つ」という姿勢で、「戦争が不可避なら先手を打つ」と考えているとも言われている。核戦争で脅せばロシアは怖気付いくとバイデン政権は考えたのかもしれないが、そうした展開にはならなかった。 1月18日にドイツのアンナレーナ・ベアボック外相はモスクワでロシアのセルゲイ・ラブロフ外相を会談、今後のことはアメリカ政府次第だと言われたという。21日にはドイツ海軍の海軍総監だったケイ-アヒム・シェーンバッハ中将がニューデリーのシンクタンクで、ロシア軍がウクライナへ軍事侵攻しようとしているとする話は「ナンセンス」であり、ウクライナがクリミアを取り戻すことな不可能だと語る。それが問題になり、中将は1月22日に辞任を申し出ている。 1月21日にはアメリカのアントニー・ブリンケン国務長官とロシアのセルゲイ・ラブロフ外相がジュネーブで会談している。ロシアがなぜ会談に応じたのか訝る声も聞かれたが、ともかく会談は行われた。ラブロフ外相はルーマニアやブルガリアを含む国から外国の軍隊を引き上げさせることも求め、ブリンケン長官は次の週に回答するとした。その後、文書は渡されたものの、回答はしていない。 1月26日にロシア、ウクライナ、フランス、ドイツの代表がパリでウクライナ情勢について討議、事態を平和的に解決することで合意。ウクライナのウォロディミル・ゼレンスキーは西側の記者に対し、侵略が差し迫っているという間違った警告はウクライナの経済を危険な状態にすると発言、パニックを作り出そうとしないように求めた。ロシア軍の軍事侵攻が迫っているという話をウクライナの国防省は否定、ドミトロ・クレバ外相も軍事侵攻するために十分な兵力は集結していないと語っているが、いずれもアメリカ政府のシナリオに反している。 それでもジョー・バイデン米大統領は1月27日、ロシア軍が来月にもウクライナへ軍事侵攻する可能性があると主張した。それをロシア政府は否定しているが、私的権力が支配する有力メディアを使い、アメリカ政府はプロパガンダを続けている。 そして今回の逮捕劇。実際にウクライナの内務大臣が言うようなことが行われていたなら、手口にしても、動機にしても、実行者はひとつの国に絞られる。勿論、ロシアではない。
2022.02.02
日本の医薬品メーカー「興和」は1月31日、イベルメクチンが「新型コロナウイルス(SARS-CoV-2)感染症」の治療に有効だと確認したと発表した。この医薬品の有効性については既にインドやメキシコで確認済み。メキシコの保健省と社会保険庁によると、2020年12月28日からCOVID-19の治療に使われ、入院患者を大幅に減らしている。興和と北里大学による共同研究はそれを再確認したと言える。 最初に「COVID-19(2019年-コロナウイルス感染症)」が発見されたとされる中国では2002年のSARSにおける経験から「インターフェロン・アルファ2b」を使用し、有効だったと報道されている。この薬品の有効性を見つけ出した中国軍の陳薇は今回のケースでも現場を指揮、やはり病気の早期沈静化に成功している。 この薬はリンパ球を刺激して免疫能力を高める働きがあるとされ、吉林省長春にも製造工場があり、中国の国内で供給できたことも幸いした。中国の習近平国家主席は2020年2月28日、キューバのミゲル・ディアス-カネル大統領に謝意を述べたと伝えられている。 このほか、抗マラリア剤として知られているヒドロキシクロロキンを抗生物質のアジスロマイシンと一緒に処方すると効果があることは早い段階から研究者や現場の少なからぬ医師が主張、ヒドロキシクロロキンからヒドロキシル基を取り去った構造をしているクロロキンがコロナウイルスに対して有効だとする論文も存在する。 こうした治療薬の存在は「ワクチン」の接種が始まる前から知られていたが、国際機関であるWHO(世界保健機関)、あるいはアメリカのFDA(食品医薬品局)やCDC(疾病管理予防センター)を含む各国の政府機関は封印しようとしてきた。COVID-19騒動は史上類を見ない薬害、あるいは大量殺戮の様相を呈してきたとも言えるだろう。(参考)櫻井ジャーナル:「中国でCOVID-19を沈静化させたのはロックダウンでなくインターフェロン」
2022.02.01
イギリスで心臓の病気が注目されている。30万人程度が発症する可能性があるというのだ。昨年12月には「パンデミック後ストレス障害」、今年に入ってからは「大動脈弁狭窄症」が原因になると伝えられているのだが、本当の理由は「COVID-19(2019年-コロナウイルス感染症)ワクチン」だろうと疑っている人もいる。そうした病気は実際、増えているようだ。ヨーロッパではCOVID-19騒動が急速に沈静化しつつあるのだが、その理由は「ワクチン」が予想以上に高リスクだということが判明したからなのかもしれない。 高齢者がCOVID-19で重篤な状態になるという話は2020年にパンデミック騒動が始まった直後から言われていた。どの国でも死亡した人の大半が高齢者で、心臓病、高血圧、脳卒中、糖尿病、悪性腫瘍(癌)、肝臓や腎臓の病気を複数抱えている人が大半だった。どのような状態で死亡してもPCR(ポリメラーゼ連鎖反応)検査で陽性になれば、死因はCOVID-19だとされていたのだ。 COVID-19への恐怖を煽っていたのだが、こうしたことを後押しする通達を2020年4月にWHO(世界保健機関)やアメリカのCDC(疾病管理予防センター)は出している。死亡した患者の症状がCOVID-19によるものだと考えて矛盾しないなら死因をCOVID-19として良いというのだ。こうした死亡者数の水増しはヨーロッパでも行われていた。日本の実態は不明だが、同じだろう。 これに対し、「COVID-19ワクチン」の副作用は表面化しないようにされてきた。それでも帯状疱疹や⾎栓性⾎⼩板減少性紫斑病(TTP)の発症も早い段階から指摘されている。ADE(抗体依存性感染増強)は接種が始まる前から懸念されていたが、増えているようだ ADEは通常のワクチンでも引き起こされる。「ワクチン」が作り出す抗体には感染を防ぐ「中和抗体」と防がない「結合(非中和)抗体」があり、結合抗体はウイルスを免疫細胞へ侵入させて免疫の機能を混乱させるのだ。 コロナウイルスは変異しやすいことで知られているが、「変異株」に対して「中和抗体」が「結合抗体」化することも考えられている。またコロナウイルスは構造が似ているため、通常の風邪を引き起こしていたウイルス、あるいは感染しても無症状だったウイルスでも深刻な影響が出てくることも考えられる。 「ワクチン」接種者が「COVID-19に感染しやすい」と言われている理由はここにあるのかもしれない。イスラエルでの調査によると、人間の免疫システムはBioNTech/ファイザー製の「ワクチン」より桁違いに「デルタ株」の予防や回復に効果がある。これはCOVID-19全てに当てはまる話だろう。その人間の免疫システムを「ワクチン」は壊している。 mRNAを利用した「ワクチン」では不安定なmRNAを輸送するために有害なLNP(脂質ナノ粒子)が使われるが、そのLNPは肝臓、脾臓、副腎、そして卵巣に分布すると報告されている。LNPが卵子に影響、不妊につながる可能性がある。 また、スペインのパブロ・カンプラ教授は2021年6月、「mRNAワクチン」の中に「酸化グラフェン」があることを電子顕微鏡などで発見したと発表した。有力メディアはこの発表に否定的な話を流したが、7月になると少なからぬ人が注目するようになる。8月下旬になると、日本政府が「モデルナ製ワクチン」の中に磁石へ反応する物質が見つかったと発表、160万本が回収されたと伝えられた。 パンプラは11月、周波数の分析で酸化グラフェンが「ワクチン」に含まれていることを確認したと発表したが、その論文を読んだドイツの化学者、アンドレアス・ノアックは酸化グラフェンでなく水酸化グラフェンだろうと解説している。ノアックによると、この物質は厚さが0.1ナノメートルの小さな板のようなもので、彼はカミソリの刃になぞらえていた。「mRNAワクチン」を接種すると、血管の中を小さな「カミソリの刃」が動き回るというわけだ。 接種が始まって間もない段階で「ワクチン」の危険性を示す報告が相次いだのだが、WHO、CDC、FDA(食品医薬品局)などもショックを受けたと思われるのが心筋の炎症。 イスラエルは「COVID-19ワクチン」の接種に熱心な国で、2020年12月下旬から21年3月の中旬にかけて一気に接種した。そして4月、十代の若者を含む人びとの間で心筋炎や心膜炎が増えていることが問題になりはじめる。 当初、CDCは「COVID-19ワクチン」と心臓の炎症に関連性はないと主張するが、5月に「ワクチン」のデータを見直すと言わざるをえなくなり、緊急会議を開催した。CDCのACIP(予防接種実施に関する諮問委員会)は6月23日、「mRNAワクチン」と「穏やかな」心筋炎との間に関連がありそうだと語っている。6月25日になると、FDAはmRNA技術を使ったファイザー製とモデルナ製の「COVID-19ワクチン」が若者や子どもに心筋炎や心膜炎を引き起こすリスクを高める可能性があると発表した。CDCやFDAも「COVID-19ワクチン」が心筋に炎症を引き起こすことを認めざるをえなくなったわけだ。 日本で「ワクチン」の接種が増え始めたのは、若者に心筋の炎症を引き起こすという報告が出た後の5月頃から。6月からは急激に接種者が増えている。イスラエルの報告やアメリカでの動きを日本の「専門家」だけでなく、政府、自治体、マスコミは知っていたはずだ。 データを見ると、死亡を含む深刻な副作用を引き起こす「COVIDワクチン」は限られたロットに集中している。危険度の高いロットを排除していない限り、日本でもイギリスと同じことが引き起こされる可能性がある。
2022.02.01
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