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書籍の感想です。今回は「風呂ソムリエ 天天コーポレーション入浴剤開発室」です。風呂ソムリエ 天天コーポレーション入浴剤開発室 (集英社オレンジ文庫) [ 青木祐子 ]お風呂の話です。もうちょっというと、入浴剤の話がメインですかね。ゆいみはとにかくお風呂が大好き。付き合っていた彼がお風呂が嫌いという理由で別れてしまうくらい彼女にとっては魂の洗濯、ということのようです。そんなゆいみは天天コーポレーションの受付嬢をやっているのですが、銭湯で入浴剤開発室に所属する美月に会う。美月はお風呂が大好きというところはゆいみと同じでありながら、理屈で勝負する感じの方です。一方、ゆいみは成分とか効能とかは置いておいて感覚で、楽しいとか気持ち良いとかそんな感じで判断します。そんなゆいみと美月はだんだん仲良くなり、そこに営業部の風呂大好きの円城格馬が絡んで・・・みたいな話です。ゆいみと美月、そして格馬とそれぞれが全く違った個性ながら、お風呂を楽しそうに入る姿は楽しいです。ただ、てっきりもっと入浴剤に関するお仕事小説っぽいのかなと思ったのですが、そういう部分は薄めですかね。恋愛要素が強い感じがしました。そういう話が好きな人なら楽しめると思います。
2021.06.27
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書籍の感想です。今回は「満月珈琲店の星詠み」です。満月珈琲店の星詠み (文春文庫) [ 望月 麻衣 ]星詠み、とあるように西洋占星術がモチーフとなったお話です。満月珈琲店は猫さんたちが経営していて、その中に星詠みマスターである猫がいるのです。それにしてもこの作品でまず心惹かれるのが、巻頭のカラーのスイーツ、ドリンクのイラストです。これらはこの満月珈琲店の自慢のメニューなわけですが、とにかくおいしそうです。あとがきを読むと、望月さんはこの占星術の話を書くときにはぜひこの方にイラストを描いてもらいたいと熱望されていたそうです。そんなこんなで桜田千尋さんのイラストもぴったりはまってとても素敵な作品に仕上がっています。内容はいろいろ悲しいこと、困ったことに出会った人々が満月の夜にだけ顕れる満月珈琲店で自身の星を詠んでもらうというものです。星占いとはちょっと違いますね。自身の持って生まれた星などを知り、自分の欠点や気付かない問題点などを把握し、これからに役立てるというものです。なので「占い」のように未来を詠むわけではありません。例えば、土星には「試練」とか「課題」とか「教官」とかそういう壁のような意味があるそうです。その土星が自身のどこにあるかによって自分の壁になっている部分がどこかを認識できるようになる、といった感じです。多分本当はもっと難しい理論がいっぱいあるのだと思いますが、とても分かりやすく書かれていて、すっと入ってきました。そして一緒に出てくるスイーツとドリンク。心を癒やすのにぴったりなものをお店がお任せで出してくれるのですが、何度も何度も巻頭のイラストを見に行っちゃいました。美味しそう。とても素敵なお話でした。
2021.06.26
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書籍の感想です。今回は「上流階級 富久丸百貨店外商部II」です。【中古】 上流階級 富久丸百貨店外商部 II /高殿円(著者) 【中古】afb上流階級 富久丸百貨店外商部の続編ですね。外商部に滅多にいない女性外商部員鮫島静緒さんのお話です。前回、なんとなく外商の仕事のことが分かってきて、外商部に残ることができた静緒ですが、ノルマをだんだん上がってくるし、苦戦を強いられます。そもそもは百貨店という業態が苦しいわけです。同じ商品がネットで格安で売られているなどということはよくあることです。その状況でも安売りしないで、売る。そして、定期的に開催する催事に足を運んでもらい、飼ってもらうことは並大抵のことではありません。催事での商品も毎年同じでは飽きられてしまうので、そもそも催事で買わないどころか参加されるかたも先細りの傾向であることは間違いないようです。「何か良い企画はないか」「なにが目玉になる商品はないか」企画書の提出を促されながらも静緒はなかなか良い提案を出せません。しかし、ある時、静緒は「物そのものを売るのではなく」別のものが売れれば結果として物が売れていくのではないかと考えたのです。それは「恩」や「縁(コネクション)」といったものです。確かに親切にしてくれたお店って贔屓にしますもんね。多少高くても、「親切にしてほしいし、今後も頑張って欲しい」と思ってそのお店を利用しようと思うことも十分考えられます。ましてや「縁やコネクション」を非常に大切に思っている上流階級の方からしてみれば・・・ここから静緒の破天荒な提案が生まれ、当初は否定的な意見も多かったのですが、うねりとなって、大きなイベントとなっていくのです。静緒さんの活躍面白いですね。途中、同僚の桝家との関係だったり、彼の家に話だったり、プライベートな話、プライベートな問題なども絡み合って、話が進んでいって読んでいてとても面白いです。おススメです。
2021.06.26
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書籍の感想です。今回は「上流階級 富久丸百貨店外商部」です。上流階級〜富久丸(ふくまる)百貨店外商部〜【電子書籍】[ 高殿円 ]デパート、百貨店のお仕事小説はいろいろありますね。幸腹な百貨店 (講談社文庫) [ 秋川 滝美 ]この「幸腹な百貨店」も面白かったです。今回の上流階級は百貨店の売り上げの3割~4割を占めると言われる外商部のお話です。静緒は初の女性外商部員です。最初はケーキ屋のアルバイトだったのに、おいしいケーキを売るために形を工夫し、プロデュースし、とうとう片田舎のケーキ屋のケーキが百貨店で扱われるまでにした人でした。その功績を買われ、当初はバイヤーとして百貨店に入社しますが、そこでも赤ちゃんがいるお母さんが安心しておしゃべり、買い物ができる空間をプロデュースすることで、青息吐息だった店舗を復活させたのです。こうして実績を積んだ静緒は外商部に異動になります。伝説のカリスマ外商部員が定年を前に退職することとなり、彼の顧客を引き継ぐメンバを教育するために各店舗から優秀(?)な人材が集められたのでした。静緒もその一人です。噂には聞いていましたが、外商部って凄いですね。数十万、数百万のお買い物をポンポンするお客様の要望に応えるために奔走する鮫島静緒のお話です。静緒は考えます。今時、同じものが別の百貨店でも買える。インターネットで買えばもっと安く買えるものもあるかもしれない。では、それでも富久丸百貨店外商部から買ってもらうためには何が必要なのだろう、と。もちろん、外商カードがあれば1割引きになります。また、自宅まで商品を持ってきてくれたり、商品の説明をしてくれたりしてくれます。ですが、それだけではやがて先細りしていってしまう。100円のケーキを売るのと、100万円のダイヤを売るのとの違いに悩んだりします。100円のケーキを売るために工夫を凝らしていた時の方が楽しかったのではないかと。しかし、次第に本質は同じだと感じるようになります。静緒はサービスこそ外商の本質であり、相手を喜ばせようとする心こそが大切であると考えます。だから「新しいサービスを提案して、感動を売る」というスタイルで突き進もうとします。カタログにあるものを毎年売っているだけでは飽きられてしまう。自分のグループ会社にこだわらずに柔軟な対応を考えたのですが、「カタログにある商品を売るのが外商」という上司と大喧嘩することになります。上司には「お前のやり方はバイヤーだ。バイヤーが良ければ異動しろ」まで言われますが、食中毒などのリスクを考え、上司の意見も入れつつも、何とか新しいことを実現していきます。その行動力は見ていてスカッとします。楽しい本でした。
2021.06.20
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書籍の感想です。今回は「雲雀坂の魔法使い」です。文庫 雲雀坂の魔法使い (実業之日本社文庫) [ 沖田 円 ]雲雀町という小さな町に居を構える魔法使いの話。多くの魔法使いは旅しているのですが、この魔法使いはお店をやっていて、薬草やお茶を販売しています。基本的には薬草やお茶を売っているのですが、「魔法」を当てにしてやってくる客も少なくありません。しかし、魔法をかけてもらおうと思っても滅多なことでは魔法はかけてもらえません。お金も名誉も脅しも泣き落としも効かないのです。ただ、「興が乗ったら」魔法をかけてくれるかもしれないというのです。そんな魔法使い、翠の元に訪れるお客と翠の物語です。この本では4人のお客さんが訪れます。子どものころ、花火の際に友人を守るために火傷を負ってしまった少女。大病を患い、人生の集大成として愛猫の絵を完成させたい画家。アイデアが枯渇してしまったと感じる小説家。そして、最愛の女性を亡くし、感情を失った兄を取り戻したい弟。誰もが必死で、切実で、悩んでいるのですが、「それはあなたの本当の願いなの?」「魔法で解決できたとして、あなたは嬉しいの?」「魔法であなたの願いを叶えることはできる。 でも、できることをやるかどうかは、私の自由さ」などと依頼者の心の奥まで見透かしたかのように語り掛けます。そして、自分は善人ではないと言い切り、やりたいことだけをやるというのです。なので、依頼者のほとんどが魔法をかけることを断られてしまいます。まあ、善人ではない、というのは本当かどうかは難しいところです。魔法を使わないのは魔法を使うよりももっと良い解決策があると考えているからなのかな、と思える部分が端々で出てきます。例えば、依頼を断った後に依頼者と会って過去に魔法を使って起きたことを話したり、関係する二人を呼び寄せ、話し合わせたり。「面倒だから魔法を使いたくない」というだけなら、そんなお節介をする必要はないのですが、みんなの役に立ちたいという思いは強いのです。なので魔法を使うときは「魔法でしか解決できないことだけ」自分で解決しないといけないことは「自分でやる」つたないといけないことがあるなら「想いを言葉する」という感じで、心温まる形で解決につなげていくのです。個人的には「小説家の話」が一番好きです。ラストで魔法使いの謎が明かされます。魔法使いにとって魔法とか何か。翠がなぜ雲雀町に居を構えるのか・・・とても素敵な小説でした。おススメ。
2021.06.20
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書籍の感想です。今回は「めぐりんと私。」です。めぐりんと私。 [ 大崎 梢 ]本バスめぐりんの続編と言って良いかと思います。前回は移動図書館のめぐりん号の運転手になったテルさん視点がメインだったのですが、今回はめぐりんを利用する人に視点をおいたおはなしとなっています。もちろん、ウメちゃん、テルさんも登場しますよ!子どものころ、移動図書館に触れ本が好きになった人の話や、さらには司書へのあこがれが高まり、難関を乗り越えてめぐりん号の裏方として図書館で働く人の話とか様々な話が詰まっています。なかでも、子供のころに借り、返したはずの本がなくなり、紛失したものとばかり思っていた図書館の本が実家の天袋から出てきた・・・という話は紆余曲折あってなかなか面白かったです。でもね、でもね、もうちょっと続き読みたかったな~というところで終わっちゃうんですよね。この話も、紛失ということになったことで、図書館を利用しずらくなり、本と疎遠になってしまったのですが、隠したと思われる人物がわかったのですがひと言くらい文句を言っても良いところです。なのですが、その文句を言う前のあたりで終わっちゃうんですね~あーん、隠した人をぎゃふんと言わせるところが見たかったなぁ。大崎さんのお話は、全体的に「続きは・・・」というところで終わることが多い気がします。続きは読者の想像の中で続いていく、ということなんでしょうけどね~
2021.06.17
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書籍の感想です。今回は「後宮の烏2」です。後宮の烏 2 (集英社オレンジ文庫) [ 白川 紺子 ]後宮の烏の続編です。当代の皇帝である高峻と和解(?)し、友となった当代の烏妃である寿春。それは永遠の孤独からの解放を意味していました。烏妃は誰とも交わらず孤独に、ただひたすら孤独に生きるよう言われていた寿春ですが、それは自身の出自も関係していました。先の帝国の血を引く寿春はそういう意味でも他との関係を築くことはできないはずでしたが、それも高峻が改善してくれたのです。こうして日々殺されるかもしれないという恐怖におびえる必要もなくなり、さらに側使えも何人かでき、孤独から解放されてきたわけですが、幸せはそんなに簡単に訪れるわけはないですよね。寿春の中にいる烏漣娘娘が実は彼の国からの逃亡者で、策略により人の体に封じられているというのです。烏漣娘娘の兄を名乗る存在によって語られる事実がどこまで本当なのかは分かりませんが、烏漣娘娘が暴れていて、それを開放するためにはその依り代である寿春を殺すしかない、ということのようです。寿春は自分の中にいる存在に恐怖を覚えます。どこまでが自分でどこまでが烏漣娘娘なのか・・・そんな中、寿春は高峻を助けるために苦手な文をしたためるのでした。それは寿春の中に生まれた思いでした。いつも助けてもらった高峻を今度は少しでも守りたい。それは愛と呼ぶにはちょっと違うのかもしれません。それは別の何か、かもしれません。しかし、高峻と寿春の間が少し進んだということなのかもしれませんね!
2021.06.15
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書籍の感想です。今回は「不思議の国のトムキンス」です。不思議の国のトムキンス復刻版 [ ジョージ・ガーモフ ]相対性理論を科学者でない我々に分かりやすく説明しようとした小説です。以前、相対性理論の本を読んだので、結構わかるかなと思ったのですが、かなり難しくな半分も理解できませんでした。そういえば、以前読んだ相対的理論の本って特殊相対性理論のお話でその先の一般相対性理論の話は書いてなかったんですよね。多分この本はその「一般相対性理論」についての本だと思われます。とりあえず分かった範囲で内容など。銀行員であるトムキンスさんは夢の中で「のろい町」にいました。最初「のろい」を「呪い」だと思って、こわーとか思っていたんですが、「鈍い」のほうでした。我々の世界で最も早いものは光で、その速度は秒速30万kmです。相対性理論はその光の限界に近付けば近づくほど現象が顕著に顕れるわけですが、秒速30万kmなんて我々が体験することはまずできません。特殊な実験環境の中でしか存在しないのです。なので、我々は馴染みがないので、相対性理論を不思議な理論と考えるわけですが、トムキンスさんの降り立った街の光の速度は時速20km!するとどうなるかというと、光より早いものは存在しないわけですから、電車もバスも自転車も時速20kmより速く走ることはできません。そのうえ、時速19kmくらいで自転車で走るだけで、相対性理論で発生する時間がゆっくり進んだり、物が平たくなったり、縮んで見えたりなんてことが発生します。つまり、日常的にそういうことが起きるためにその街の人は相対性理論を何の疑問も持たずに受け入れているのです!面白い!面白いのですが、後半に進むにつれ、空間の湾曲とか、宇宙の膨張収縮、量子の玉突きなどの話のところは雰囲気はわかるのですが、難しくて分かった気分にはなれませんでした。でも、量子があまりに軽くて観測しようと光を当てるだけで位置がずれてしまうという話はなるほどねと思いました。量子暗号というものがあると思うのですが、量子暗号って盗み見ようとすると結果が変わってしまうため絶対に盗聴ができないという噂なのですが、1、盗み見るためには光を当てる必要がある (真っ暗闇の中では何も見えない)2、光を当てると、光子が量子に当たる。3、量子は非常に質量が小さいので、光子が当たっただけで押されて、 位置がずれる。ということのようです。我々の根っこにこんな曖昧な世界が広がっているというのはとても不思議ですよね・・・
2021.06.11
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書籍の感想です。今回は「家電の神様」です。家電の神様 (講談社文庫) [ 江上 剛 ]大手家電メーカーで働く雷太は突然のリストラで職を失う。失意の中、実家の電器屋で働くことを決意する。だが、そこも大型量販店が入り込んできて、非常に苦しい経営状況だったのです。雷太は家電メーカーに就職したけど、量販店に出張?する形で店頭で働いていたので、家電を売る大変さはわかっていたはずですが、街の電気屋さんはもっと大変です。何しろ、値段が高い。量販店に勝てるわけもない。勝つために値下げを繰り広げていけば体力の差から先に値を上げることは目に見えています。そこで社長である雷太の母は「高売り」を押し進めることにしました。安さで、同じ土俵で戦っても勝ち目はない。であれば、値段を高くして、その分「別の何か」を提供するというスタイルです。それは「お客さんの言葉を聞き、お客さんの期待にとことん応えること」でした。もちろん、現実の世の中ではこんなにうまくいくとは思えません。しかし、中小が大手と同じ土俵で戦うのは愚、というのは良く分かります。そして値段で勝てない以上その高い値段でも満足感を持ってもらう、それには「何でも相談できる」「会話から相手が本当に欲しいものを見つけてあげる」「設置や修理もやってくれる」「電化製品以外のことも相談に乗る」という姿勢はありですよね~街の電気屋さんはその街に溶け込み、街ともに生きるしかありません。であれば、街の実情に特化した形になっていくことで差別化が図れるのでしょう。この話に舞台は東京にほど近い千葉県の街。ご高齢の方が増えてきている中、話し相手でもあり、買い物から、選択の取り込み、電気の配線まで何でも相談できるこの電気屋は「高くても安心して買い物ができる店」なのでしょうね。良いお話でした。
2021.06.07
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書籍の感想です。今回は「ムゲンのi 下」です。ムゲンのi(下) [ 知念実希人 ]i(あい)は愛であり、愛衣の名前というのはあっていたみたいです。ずっと眠り続けてしまう病気であるイレスの患者が4人いたけどそのうちの2人を目覚めさせることができたのが上巻まででしたが、その方法がマブイグミという儀式で、それは患者の中に入り込み、患者の作った世界から救い出すというおよそ医者の常識からは外れた行為でした。ですが、愛衣は医者でもあるわけですが、ユタでもあるわけで、マブイグミを行うことができた。というわけで3人目、4人目を順調に助けていくのかな、と思ったのですが、どうやらそんなには簡単ではないようです。このイレスの患者たちは愛衣が子供のころに遭遇した忌まわしい事件に深く関係しているようなのです。愛衣は子供のころ、母親を亡くしています。遊園地に入ってきた無差別殺人犯による犯行で、愛衣を守ろうとして母親は命を落としてしまうのです。それは愛衣の心の深い部分に大きなトラウマとなっていて思い出すだけでも苦痛を伴う事件なわけですが、その事件と今回のことが関係している・・・?少年ということで極刑を免れた少年が、名前を変え、今も世の中で暮らしているというのです。しかし、それとイレスの患者とどう関係があるのでしょう?しかも、愛衣の周りにも不可思議なことが起きます。なぜ2カ月ものあいだ、毎日雨なんだろう。子どものころに飼っていたペットがなぜ今も元気にいるのだろう?おばあちゃんも10年前に亡くなっているはず・・・さらにこの期間何度も気軽に帰省しているけど、愛衣の実家は広島で片道4時間以上かかることを考えると簡単に帰れるものではありません。いったい愛衣の周りに何が行っているのでしょうか?この辺はあまりにネタバレなので書かないでおきますが、院長ってものすごく優しいような、怪しいような雰囲気を醸していたので、何が裏があるのではと思っていましたが、さらにその先があるのはすごい展開でした。そして、無限の憎しみと怒りを抱えたククルと無限の愛を持ったククルが重なったとき、世界は終わりを迎えたのでした。幸せな結末で良かったです。面白かったです。
2021.06.05
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書籍の感想です。今回は「ムゲンのi 上」です。ムゲンのi(上) [ 知念実希人 ]iはアイと読むのですが、「愛」という意味でもありそうですし、主人公も愛衣という名前なので、そういう意味なのかな?というわけで、ムゲンのiという作品ですが、知念さんと言えば病院系の小説が多いわけで、この小説も原因が全く不明な眠り続けてしまっている患者が出てきます。主人公の愛衣はお医者さんで、この何をやっても目を覚まさず、原因も分からない患者に頭を悩ませています。そんな中、気分転換に実家に帰ったところ、おばあちゃんから自分が「ユタ」であると告げられます。ユタとは沖縄のシャーマン的な存在で、おばあちゃんもユタだったそうです。医者である愛衣はそんな話を全く信じなかったのですが、病院に戻り、何の気なしにおばあちゃんに教わった呪文を唱えると・・・そこは精神世界だったのでした。そこで問題を解決し、患者の心の傷を癒すことができれば眠りから覚めるというのです。この辺は相当ファンタジーっぽくて病院ものというテイストとだいぶ外れますが、なかなか世界観が面白くて良いですね。本人が抱えている絶望によってその世界ができてしまっているようでその絶望を和らげることが「ユタ」としてのお仕事ということのようです。その世界でウサギ耳のククルを相棒になんとか生きる希望を見出させることができると・・・患者さんは目を覚ましたのでした!医者としては到底容認できない事態ではありますが、しかし夢かもと思ったけど、解決できてしまったことで、愛衣は戸惑いつつもユタとしての自覚を持つようになります。で、眠り続けている患者さんは4人して、その3人を愛衣が担当しています。その1人目を眠りから覚ますことができたので、2人目に挑戦し、その人も開放することができたのです。このまま順調に解決に向かうのかな、と思ったのですが、現実世界では猟奇的な殺人事件が起きており、その事件に眠っている人の一人が関わっているかもしれない、という話が掲示からもたらされ・・・という感じで、上巻は以上。下巻に続きます。下巻では、現実世界の殺人事件の真相や、なぜ眠り続けるほどの精神ダメージを負ってしまったのか(誰かに何か言われたのか)、さらには愛衣が抱えるトラウマ(チラチラと話題には出てくるのですが、詳細は不明)の話とかいろいろ解決に向かっていきそうです。現実的な医療をテーマにしつつ、ファンタジー要素も多分に含んだ内容でなかなか面白いです。下巻も楽しみ♪
2021.06.03
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