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書籍の感想です。今回は「翼の帰る処4 下 時の階梯」です。翼の帰る処(4 下) 時の階梯 [ 妹尾ゆふ子 ]時の階梯の下巻です。この本って各巻が上下に分かれていて、上下巻合わせると700ページを超える大ボリュームです。なかなか読むの大変、となりそうなものですが、読みやすい文体とヤエトの人柄、その他のキャラクターの模様が先へ先へと読み進ませてくれます。楽しいです♪さて、下巻ですが、砂漠の地下でターンの預言者に会うヤエト。そして、女神に会って「助けてくれる神の名前を聞く必要がある」などと言われます。にわかに信じがたい話ではあるものの、自分自身も過去視という恩寵を持ち、さらにターンの預言者の言うとおりになるという確信めいた想いもあり、預言者についていき、ついに女神と会います。神様って、どんな存在でしょうね?人間をはるかに超越した存在であるわけですから、人間なんて気にしないというところが正解なのかもしれません。我々が蟻の棲み処を気にせず歩いてしまうように。そういう意味では、預言者の神であるターン、ヤエトの神、過去視のオルムストは神らしい神で、神の都合でしか接触しないし、人を顧みることもない。しかし、知恵の女神は一応人を同じレベルで扱い、一つだけ質問をする権利を与えてくれました。「世界の罅を塞ぐために、魔界の蓋が開くのを防ぐために力を貸してくれる神の名を教えて欲しい」しかし、神からの回答は曖昧なものでした。ある程度参考になったものの、完全な回答ではありません。後は自分で考えろということなのでしょうか。そして、地上に戻ったヤエトは現世では数ヶ月が過ぎていたことを知ったのです。数ヶ月の間に、7の皇子は戦の準備を整え、帝国を二分する戦いが起こる直前の状態に陥っていました。戦士でもない、軍師でもないヤエトは戦になってしまえば活躍の場はありません。むしろ、常に半生半死のような状態のヤエトは邪魔かもしれません。しかし、そのヤエトが視た「過去」が重大は鍵となったのでした。今回は、魔物が出てきたりとなかなか激しい展開で面白かったです。それにしてもジェイサルド良いですね。生きる意味、人を助ける意味、自分以外の人のために動く意味を与えてくれたヤエトに心から心服するジェイサルドは常にヤエトを助け、どこまでもついていこうとします。なので、出番が必然的に多いんですよね。ルーギンなんて目じゃないwまあ、皇女は仮に出番少なくても、重要人物なわけですが。いよいよこの話も5巻(これも上下)でラストのはずですが、どんな結末が待っているんですかね。楽しみです。
2021.07.31
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書籍の感想です。今回は「翼の帰る処 4 上 時の階梯」です。翼の帰る処(4 上) 時の階梯 [ 妹尾ゆふ子 ]前回、4の皇子と5の皇子が処罰されてしまい、ますますきな臭くなってきたわけですが、論功行賞の場でヤエトはまた皇帝に遊ばれてしまいます。黒狼公だったヤエトに褒美を取らせようと思ったが、欲がなく、かねてより隠居を希望していた彼に・・・「隠居を許可」してくれたのです。これで夢ののんびり生活が・・・というのは大間違いで、後継者選び、後継者の育成、北嶺の体制の検討とやることは山のようにあり、「何のための隠居か?」と悲しくなるくらい。そんな中、7の皇子と1の皇子との対立が顕在化し、先端が開かれるのも時間の問題、という状況になってきました。ヤエトと北嶺も覚悟を決めないといけません。すなわち、7の皇子に味方するか、見捨てるか・・・皇女は対立を望んでおらず、平和的に解決を本心では望んでいるものの、今回はさすがに7の皇子を庇うことはできません。7の皇子を庇うことは遠くに皇帝への叛意となってしまうからです。そんな皇女の悩みもありつつ、ヤエトは沙漠に向かいます。魔界の蓋に関係する何かがありそう、ということで後継者争いがどういう結果になろうが、人間の世界が終わってしまえば、意味がないですからね。そんなヤエトの前にターンの予言じゃが現れるのでした・・・下巻が楽しみな展開ですね♪それにしても、途中で、ついに皇女が自分の想いをヤエトに言ってしまいます。「お前だと手を繋いでも気持ち悪くない」さらにヤエトの部屋を夜に急襲して、ヘディング並みの勢いで接吻(w)を致してしまう。しかし、ヤエトは上官として慕ってはいるものの、男女の仲として皇女を見ておらず、お断りされてしまいます。しかし、皇女は前向きです。この二人がくっつく未来はあるんですかね・・・?
2021.07.25
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書籍の感想です。今回は「うしろむき夕食店」です。うしろむき夕食店 (一般書 329) [ 冬森 灯 ]「うしろむき」というとなんか悪いイメージがありますが、そうではなく、「ノスタルジックな雰囲気な寛げるお店、昔を振り返ってゆったりできるお店」ということらしいです。そして、このお店には面白いオーダーシステムがあります。おみぐじで料理を頼むというもの。おみくじには料理名とちょっとした一言が添えられていて、その一言が良く当たると評判になっているようです。例えば「学業あせらず炊き込みご飯」「願いととのうエビフライ」「商いよろしマカロニグラタン」といった感じです。もちろん、「学業あせらず」という言葉から意味を感じ取るのは本人次第なので、当たるも八卦、当たらぬも八卦という部分はあるのですが、お店のオーナーの雰囲気、お店の優しい雰囲気、綺麗に整えられた店内、そして、おいしい料理とそれに合うお酒、という心尽くしのおもてなしの中でのこの言葉。優しい言葉から受け取った人は自身の苦境と言葉を重ねて、動く力としていくのです。おいしそうな料理の説明は聞いていると、ワクワクします。最近、飲みにも行けてないなぁ。こんなおいしそうなお店だったら世の中が落ち着いたら是非行ってみたい!と思ってしまうようなお店です。お店自体は解決策そのものを提示してくれるわけではありません。ちょっとしたヒントから、本人が気付きを得て、新たなステージへと進んでいくのです。このパターンは「お探し物は図書室まで」と同じような感じですね。お探し物は図書室まで (一般書 304) [ 青山 美智子 ]この本の方が「気付きを与える」という要素は弱めですが、料理もおいしそうだし、なかなか良かったです。
2021.07.23
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書籍の感想です。今回は「あなたの思い出紡ぎます 霧の向こうの裁縫店」です。あなたの思い出紡ぎます霧の向こうの裁縫店 (宝島社文庫 『このミス』大賞シリーズ) [ 高橋由太 ]祖父から引きついたテーラーを潰してしまい、路頭に迷った真琴を雇ってくれたのは「この世とあの世を縫い合わせてくれる裁縫店」テーラーを潰してしまったのも、男に貢ぐため、というのがもっぱらの噂だったのですが、後半でその辺は明らかになります。で、この裁縫店には「もう一度死んだ人の声を聴きたい」と焦がれるように願う人が訪れる。事故で急に死んでしまった娘の想いを聞きたい母親、自身も病に苦しみながら、先に逝ってしまった妻の声を聴きたい男性。それぞれが悩みながら、亡くなった方との短い時間を過ごします。短い時間ながら、想いを聞き、新たな想いで一歩を踏み出すこととなります。実は真琴自身も、話を聞きたい人がいました。そして、ついに勇気を振り絞って死んだ方と会う決意をするのでした。死んだ人と会うことができる、とは言っても、死んだ人が生き返るわけではなく、あくまでも亡くなった方は幽霊(?)であって、会う時間も限られています。そういう意味では、少ししんみりした展開ではありますが、希望も感じられるお話でした。お節介で世話焼きな真琴がテーラーを売り払ってまでしたこと、そしてお世話になった裁縫店の店主、鳴瀬に対してしたこと。偏屈な鳴瀬の心も少しだけ解けるのでした。まあまあかな。
2021.07.22
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書籍の感想です。今回は「これより良い物件はございません!東京広尾・イマディール不動産の営業日誌」です。これより良い物件はございません! 東京広尾・イマディール不動産の営業日誌 (宝島社文庫) [ 三沢 ケイ ]不動産系のお仕事小説かと思ったんですが、うーん、まあ一応お仕事小説なのですが、ちょっと弱めです。恋愛要素の方が強いかな。現職を辞めちゃった主人公ですが、ふと立ち寄ったイマディール不動産にあっという間に採用されちゃいます。正社員として。さすがにそれはない、と思っちゃう。バイトとか、契約社員とかなら、ねぇ。イマディール不動産はリノベーションを強みとしている不動産屋なのですが、苦労話が少ない。とんとん拍子になんでもうまく行っちゃって、少し物足りないです。失敗しちゃって、大慌てで頑張るみたいな話とリノベーションが組み合わさった話とかを詠みたかったなぁと思いました。恋愛要素が好きなら悪くないかも。
2021.07.20
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書籍の感想です。今回は「図書館島」です。図書館島 (海外文学セレクション) [ ソフィア・サマター ]この「図書館島」というタイトル。本に関連したお話の予感。そして、あらすじに書かれた「書き記された文字を奉じる人々と語り伝える声を信じる人々の戦いに巻き込まれていく」という内容でいやがうえにも盛り上がって読んでみたのですが・・・うーん、文章が固いし、比喩表現が過剰で、正直読みにくいです。そして、私が思った「文字チーム VS 声チーム」みたいな戦い(議論?)と思ったのですが、そこもだいぶ違っていました。主人公のジェヴィックはあることを契機に死んだ人の霊ともいうべき存在とつながりができてしまいます。この小説ではそれを「天使」と言っていますが、ジェヴィックはこの天使から逃れることだけを望んでいました。しかし、この天使の存在を利用しようとするチームと、現体制を維持しようとして、天使の存在を抹消しようとするチームの戦いに巻き込まれてしまいます。なので、「戦いに巻き込まれていく」という部分はあっているのですが、「文字と声の対立」には思えないんですよねぇ。しかも、天使を市民蜂起、そして、戦争の開始に向けての道具に使っているだけに思え、読んでいてもあんまり楽しい展開に思えませんでした。何とか読み終えましたが、途中で難とも読むのやめようかな、と思ったり・・・つまらない、ということはないのでしょうけど、ちょっと読みにくい&イメージと違ったな、と思いました。
2021.07.17
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書籍の感想です。今回は「おちこぼれ退魔師の処方箋~常夜と現世の架け橋~」です。おちこぼれ退魔師の処方箋 ~常夜と現世の架橋~ [ 田井ノエル ]退魔師という家系は常夜から来る魔者(まもの)を退治することを使命にしています。そんな家に生まれた咲楽ですが、退魔の才能が全くありません。それだけでも家族からの風当たりがきついのに、咲楽には特別な能力があることが分かりました。それは「魔者を癒やす力」です。本来倒すべき存在である魔者を触ることで癒やすことができる咲楽は「存在していない」かのような扱いを受けます。食事などは提供されるものの誰からも話しかけられず、気にも留められず・・・そんな彼女はある日、瀕死の提灯の魔者を助けます。しかし、魔者を助けるとは魔者の穢れを吸い込むということで咲楽自身が死に近づきつつありました。提灯の魔者は自分を助けてくれたお礼に咲楽を常夜に案内し、穢れを取り除く方法を教えてくれるのでした。魔者の世界である常夜はいろんな意味が人間の常識が通じないところではありましたが、咲楽はそこで初めて「必要とされる」という喜びを感じるのでした。魔者は倒すべき存在、咲楽は家でそう教わってきました。しかし、魔者の中にも、提灯のように御礼をしてくれる者、彼女の服を仕立ててくれた猪頭、そして、咲楽に住む場所を提供してくれ、必要に応じて穢れを取り除いてくれる鴉、と「魔者は悪」という一言では言い表せないという思いを感じるようになります。そしてある日彼女は双子の姉、神楽に出会うのでした。神楽、退魔師の後継者。退魔の才能を持ち、咲楽とは違う存在。皆から声をかけてもらえる存在。咲楽は自分を「可哀想な子」と決めて、誰からも相手にされていないと思っていました。しかし、退魔の家という狭い世界ではそうであっても、実際には学校のクラスメートとかはそうでなかったのかもしれない。そして、心配して常夜まで来てくれた神楽も本当は自分のことを心配してくれていたのかもしれない。そう思ったとき、咲楽の気持ちは前を向き始め、咲楽はある決断をするのでした。なかなか面白かったです。優秀な人が近くにいてその人だけちやほやされると「自分はダメな人間なんだ」と思ってしまうことはありますよね。咲楽の場合は「存在していない人間」という極端な扱いだったので、その思いは顕著でした。しかし、周囲の人から「必要とされる存在」になるためには自らも周囲に目を向ける必要があるということを咲楽は常夜で、そう、今まで退治するしかないと思っていた場所で知ることになるのです。落ちこぼれだと思っていた人の再生の物語です。
2021.07.09
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書籍の感想です。今回は「後宮妖幻想奇譚 鳳凰の巫女は時を舞う」です。後宮妖幻想奇譚 鳳凰の巫女は時を舞う【電子書籍】[ 三萩せんや ]次代の巫女に選ばれた(選ばれてしまった)貧民街に住む少女・小鈴のお話です。突然選ばれて後宮に住む、という設定はちょっと後宮の烏に似ていますね。後宮の烏 (集英社オレンジ文庫) [ 白川 紺子 ]ただ、後宮の烏の方が重い感じ。今回の後宮妖幻想奇譚の方が軽いです。最初は食べ物に釣られて巫女になることを承諾してしまいます。そんな小鈴なので、今の巫女からの説明もろくに聞かず、寝る、だらける・・・巫女とは煌国を守護する存在で、国存亡の危機の際に活躍が必要な存在なのだそうだ。しかし、小鈴はそんなありがたい話をほとんど聞かず、聞いても忘れ・・・そして、3年経ち、ついに今の巫女はお隠れになってしまいます。その途端、妖絡みと思われる事件の解決依頼が舞い込んできました。妖絡みとなれば巫女の出番のはずなのですが、小鈴はさぼり続けます。しかし、彼女が事件を解決しないと、勝手に「時間の巻き戻り」という現象が発生し、いつまで経っても次の日が来ない!仕方なく事件解決に向けて動き出す小鈴なのでした・・・歴代の巫女は巻き戻りの力だったり、妖を封印する力だったり、色々強い力を持っていたわけですが、小鈴は何も持っていません。しかし、だからこそなのかもしれません。「恐ろしくて良く分からない存在」だと思っていた妖を赦し、救うことで、次々と妖を仲間にしていきます。これこそが彼女の才能なのかもしれませんね。次の巻が楽しみです!
2021.07.07
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書籍の感想です。今回は「京都なぞとき四季報 街を歩いて不思議なバーへ」です。京都なぞとき四季報 町を歩いて不思議なバーへ (角川文庫) [ 円居 挽 ]こちらの作者さんの作品は初めて読むのですが、「まどい ばん」さんと読むそうです。「京都」「なぞとき」「不思議」と楽しそうなキーワードが並んでいます(笑)一浪して京都大学に入学した遠近倫人は大学デビューを目指して活動中。今日の街を散策するサークルに入ったのだが、そこで「青河 幸」さんという理系女子に出会う。何とか彼女の気を引こうと奮闘するものの彼女は「恋?何それ美味しいの?」というくらい鈍感で、唯一二人をつなぐものが「謎」だったのでした。しょっちゅう「謎」にぶち当たる遠近と、謎大好きな青河さん。果たして二人の恋の行方は!?という感じのお話なのですが、このお話のアクセントは京大の構内でひっそりと営業していると噂される「三号館」というバー。そのバーは綺麗な女性が営業しており、そこに謎を持ち込むと綺麗に謎が解けてしまうという。謎にはしょっちゅうぶつかるくせになかなか謎を解明できない遠近。青河さんに良いところを見せようと、半信半疑で「三号館」を探してみると・・・謎は些細なものが多く、気楽に読めるのですが、「三号館」で一緒に出てくるカクテルの美味しそうなこと・・・あー、なんか素敵なバーで飲んでみたいな~後半ではモンティ・ホール問題が出てきたり、なかなか楽しいです。そして、なぜ「三号館」が普段は見つからず、遠近が「謎を解きたい」と思った時だけ現れるのか・・・が明かされるのですが、うーん、種なんかなくて「時空の狭間に存在するのだ!」とかでも良かったです、個人的には。それくらいバーの主人である蒼井さんはミステリアスだったので。
2021.07.05
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書籍の感想です。今回は「甲の薬は乙の毒 薬剤師・毒島花織の名推理」です。甲の薬は乙の毒 薬剤師・毒島花織の名推理 (宝島社文庫 『このミス』大賞シリーズ) [ 塔山 郁 ]薬剤師毒島花織さんシリーズの第二弾です。薬の知識を使って、処方に関係あること、薬や症状に関係あること、はたまた薬とは一見関係ないことまで推理して解決してしまう毒島さん。そんな彼女に好意を持つホテルマンの爽太。彼女と仲良くなろうと「薬に興味がある」といったのが良かったのか悪かったのか・・・ある程度話すことはできるようになったものの、話すことと言えば薬のことばかり。爽太は果たして想いを言えるのか、その前に毒島さんは爽太の想いに気付くのか・・・みたいな感じのお話なわけですが、今回も花織さんの知識でいろいろな問題を解決していきます。認知症のおばあさんに出されている薬の中の1種類だけ消える理由とは・・・とか。筋トレに目覚めた爽太の友人の手が震えているのを見て・・・とか。しかし、花織さんは花織さんで悩んだりします。赤ちゃんを薬の副作用で眠らせようとしているかのような処方箋に花織さんは心配になって確認をしてしまいます。すると「飛行機で大泣きされる親の気持ちがわかるのか。子供のいないあなたになんかわかるわけがない」と怒鳴りつけられてしまいます。それにショックを受け、花織さんはあまりとやかく言わない方が良いのではないかと悩むようになってしまいます。友人の件を相談した際もそのような反応で、彼女はヒントだけ与えて明快な回答を避けます。しかし、爽太は彼女のヒントから正解に辿り着き、もう一度彼女とよく話し合うように諭すことができたのでした。花織さんのやっていること、爽太のやっていることが本当に正しいのか、ただのお節介なのかは良く分かりません。でも、相手のことを考えた行動であった場合、だいたいそれはうまくいくものです。ラストは花織さんは体を張って犯罪を阻止するなど大活躍でした。体を張るところとかはちょっと心配ですが、そこは爽太が今後ブレーキとして頑張っていくシーンとか見られたら良いですね。
2021.07.03
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書籍の感想です。今回は「ここで死神から残念なお知らせです。」です。ここで死神から残念なお知らせです。 (新潮文庫nex(ネックス) 新潮文庫) [ 榎田 ユウリ ]死神のお仕事小説(?)です。死神のお仕事って何ですかね?死神って、死に誘う存在、つまり、死にたくない、死ぬはずのない人が死神によって魂刈り取れちゃうみたいなイメージもありますが、この小説の死神はそうではありません。もちろん、死に関係はしているのですが。人は突然死、孤独死されて、まだ自分が死んでいると認識できない場合があるそうです。その場合、死んでいるのに魂の力で無理やり肉体を動かしているような状態になります。そんな死んでいる人(?)を説得し、きちんとお亡くなりになっていただく、というのが死神のお仕事です。さて、主人公の梶真琴はひょんなことから超美形の男がおばあさんを「説得」している現場を見てしまう。「おばあさんは実はもう死んでいるんです」新手の詐欺師だと思ったのですが、彼は死神だという。何となく成り行きで死神のお仕事を手伝うことになった梶だが、ほぼニートで引きこもり、人と関わり合うのが嫌だったのだが、梶の心境は変化していきます。そして・・・ラストの展開がイマイチ良く分からないのですが、そういうことなのかな?
2021.07.01
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書籍の感想です。今回は「木曜日にはココアを」です。木曜日にはココアを (宝島社文庫) [ 青山美智子 ]ある人の何かが別の人の何かに役立っているという話です。帯にも「わたしたちは知らないうちに誰かを救っている」と書かれています。この知らないうちに、というのがポイントで、「救ってやろう」なんて思っていない、そもそも自分の行為が何かに役に立つとも思っていなかったけど、結果的に他に人の決断を助けたり、ほっこり心を癒やしたり・・・それぞれは別々の短編なのですが、その12編の短編がだんだん折り重なっていって、一番最初の「マーブルカフェ」に戻ってきます。「ココア」がポイントなのも同じですね。最初のお話で彼女が悩んでいたものが何だったのかが繋がって繋がって・・・そして、分かるとき、心が温かくなります。とても軽く読めるので、のんびりほっこりしたいときにお勧めです。
2021.07.01
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