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書籍の感想です。今回は「夢をかなえるゾウ2 ガネーシャと貧乏神」です。夢をかなえるゾウ2 ガネーシャと貧乏神 [ 水野敬也 ]夢をかなえるゾウの第2弾。今回は芽の出ない終わらない芸人の話です。8年も新人発掘ライブでくすぶっている西野。そこに現れたのがガネーシャだったのです。自分を笑いの神様だと自称しているガネーシャから「コンビ組もうか?」といわれた西野。果たしてうまくいくのでしょうか?タイトルにもあるとおり、西野には貧乏神が憑いています。貧乏神の解釈は色々あると思いますが、この小説では「貧乏神が貧乏にするわけではない」というスタンスを取っています。そうではなく、「明らかに貧乏になる資質を持っている人の側は貧乏神にとって居心地が良いので、結果的に棲みついてしまう」ということのようです。なので、貧乏神がついているからといって西野に可能性がないわけではありません。しかし、「西野さんって御笑いの才能なんて皆無なのにそれでもお笑いに挑戦するなんて、間違いなくずっと貧乏で私もずっと憑いていられるだろうから」なんて告白されちゃいます。貧乏神の幸子さんは美人なだけにこの告白は複雑なところですね・・・幸子さんに「素敵」と言われれば言われるほど、貧乏まっしぐらというわけです。そんな幸子さんですが、頑張ろうと前を向く西野に、「貧乏神に嫌われる行動」というのを教えてもらいます。例えば、「相手を喜ばせて報酬を得る」「プレゼントをする」などと言ったことです。仕事とは嫌なことをやるのでもないし、言われたことだけをやるものでもない。そう考えてやっている作業は成果も出にくいし、評価もされにくい。結果的に貧乏になっていくというのです。そうではなく、相手を喜ばせた分だけ報酬をもらう、と考えれば言われたことだけをやるのではなく、「もっと喜ばせてやろう」と考えるようになれるのです。そして、あげたものは自分に返ってくるのです。プレゼントをして、相手の人は喜んでくれているかもしれません。しかし、実はその喜ぶ姿を見て、自分が一番満足しているなんてことないですか?相手の満足が自分に返ってきているわけですね。そして、もう一つ重要なことが、何かを与えたら、何かを受け取るということです。与えるだけでは当然貧乏から脱することはできないですし、「自分の欲求を押さえつけている状態」なので、意欲が低下してしまいます。与えた分だけ(有形、無形問わず)何かをもらうことで、バランスが取れるわけですね。などなどを貧乏神の幸子さんから教えてもらいます。そして、西野はある決断をするのでした。1巻より実用書っぽい要素は弱いと思います。でもお話としては面白かったです。でも、私は1巻の方が好きです。もっと言えば4巻の方が好きですが。さて、3巻はどんなお話かな?楽しみです。
2021.08.28
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書籍の感想です。今回は「夢をかなえるゾウ」です。夢をかなえるゾウ1 [ 水野敬也 ]4巻が非常に良かったので、1巻から読んでみることにしました。感想ですが、面白かったです。4巻は思わず涙ぐみそうになった箇所があったのですが、1巻はそういう場面はありませんでした。ですが、とても面白く読めました。ガネーシャは神様なのですが、とても神様には見えない、思えない行動の数々を繰り広げます。実際のところ、ガネーシャの食事代、おやつ代を負担しないといけないので金銭的には余計大変になるというか・・・そんなガネーシャの教えを請うことになった男の話です。男の夢は「変わりたい」「成功したい」という至極普通の夢です。とは言え、普通の夢だから叶えるのも簡単、というとそうではなく、多くの人が夢を見るだけで叶えられずに終わるような夢ですね。そんな夢をガネーシャが叶えたろうと癖の強い関西弁で言うわけです。物凄く胡散臭いわけですが、毎日1つずつ出される課題をこなしていきます。ガネーシャは神様だからといって「即お金持ちになれる方法」なんて教えてくれません。あくまでも手助け、なわけですよね。そして、いろいろ言っていますが、後半でガネーシャ自身も認めている通りガネーシャの教えは特別新しいものではありません。しかし、先人の教えに大きく頷き、「そうだったのか!」と言いつつ、実際に実践はしない人がいかに多いことか!例えば課題には「人の成功をサポートする」とか「ほかの人の長所を褒める」とか「決めたことを続けるための環境を作る」とかそんなのがあります。1つ1つは大したことありません。ですが、それを1つ1つ積み上げて、それを日々実践している人がいたとしたら・・・その人は多くの人に愛され、成功に向けて進んでいくことができるのだと思います。まあ、大変だけどね・・・ガネーシャも言っていますが、成功するのも人生だけど、そうでない人生もまたよし、世界を楽しんだものが勝ち、なのです。辛い努力では続きません。ですが、努力が自分にとって楽しいことで、それが人にとってもありがたいことだったら・・・それは成功するに決まっていますよね。そうなる人生であれば最高ですが、なかなか難しいよね~でも純粋に読み物として面白かったです。2巻も読んでみたいなぁと思っています。
2021.08.25
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書籍の感想です。今回は「私立図書館 黄昏堂の奇跡 持ち出し禁止の名もなき奇書たち」です。私立図書館・黄昏堂の奇跡 持ち出し禁止の名もなき奇書たち (宝島社文庫) [ 岡本 七緒 ]私は本が好きです。だからか分かりませんが、図書館のお話も大好きです。先日読んだ本バスめぐりんとかも面白かったです。さて、今回は私立図書館です。私立図書館って小説の中では時々出てくる設定ですが、実際に存在しているのかな、と思って調べてみたら、「図書館法上の私立図書館」としては全国に19館あるとのことです。それ以外の個人が経営する図書館などは色々あるのでしょうけど、運営していくにはお金がかかるでしょうから、なかなか大変なお話ですね。それはさておき、今回の舞台である「黄昏堂」はあちら(幽世)とこちら(現世)の狭間にある図書館という感じですかね。なので、迷い込んであちらへ行ってしまう人もいれば、あちらからお客様がいらっしゃることもある。しかし、この図書館の不思議はそれだけではありません。蔵書が特別なのです。本が書いた人の想いを詰めた一つの世界だと考えると、強い思いが詰まった本は良くも悪くも影響力が強くなります。魔導書、聖書、奇書、いろいろある本を地下の図書室でさらにチェインドライブラリとして管理しているのです。館長の空汽(うつろぎ)はどうやら魔法使いっぽいのですが、主人公の司書である湊は普通の人間です。にわかには受け入れがたかったのですが、永劫回廊と呼ばれる通路を通ってあちらを目の当たりにして、さすがに信じざる得ないと感じるようになります。あちらとこちらの世界の話なのかな、と思ったのですが、後半は湊の過去が大きく関わってきます。彼女は12歳の時に書籍修復師だった父親が殺されています。その父親を殺した犯人に大きく影響を与えているのが、過去の殺人鬼たちが残した手記、本だというのです。この手記はもう本の領分を超え、殺人鬼の魂の一部ともいえるものとなり、本人の怒りや恐れを飲み込み、取り込んで同化していってしまうのです。父親を殺され、その後、世間からの心ない視線、報道などに犯人を憎まない日はなく、恨まない時間はなかったはずです。そんな湊が手記と直面し、出した結論とは・・・個人的には館長の空汽さんがソロモンの72柱の一「ダンタリオン」を使役しているところがなかなか興味深かったです。空汽さんはソロモン王の血を引いているんですかねぇ・・・この辺はあんまり本筋じゃないからだと思いますが、詳しくは語られていませんが、ちょっと気になりましたね。ちょっと色々舞台が移り変わるので、少しわかりにくい部分もあったかな、とは思いますが、なかなか面白かったです。
2021.08.23
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書籍の感想です。今回は「後宮の烏3」です。後宮の烏 3 (集英社オレンジ文庫) [ 白川 紺子 ]前の2巻で「梟」という存在が明らかになり、冬の王という存在が徐々に明らかになってきました。そして、今回、巻頭に世界の地図が載りました。わたし、小説の世界地図見るの好きなんですよねぇ。地図があると、小説読んでいても、地名が出てくると巻頭に戻って場所を確認したりすると、なんか旅している感じというか楽しい。さてさて、梟という存在、そして、烏漣娘娘は幽宮(かくれのみや)というところから来たらしい。そして、今回、大海亀の神様はカカミという土地から来たらしい。神様たちの覇権争いみたいな話になっていくのでしょうか?大海亀の神様を信奉する宗教は月真教という名前から八真教と名前を変え、やはり信徒を広がて行きます。何を信じるか自体は自由、と言ってあげたいところですが、烏漣娘娘に敵対的な行動を取るということであれば、高峻が容赦するわけがありません。今回の攻撃は稚拙な印象が否めませんでした。強力な呪詛だったとしても、烏妃は一目見てそれが呪詛かどうか見破ってしまいます。つまり、並大抵な罠では呪詛に引っかかるわけもなく・・・朝陽の目的が良く分からないですね。皇帝に心から忠誠を誓っているわけではなさそうなので、何か狙っているのは間違いなさそうですが・・・寿雪の力を試した?邪魔な叔父を始末したかっただけ?今回の事件をきっかけに、皇帝に対する信頼を得る?なんにせよ、今回の一事で終わる様に思えません。ちなみに高峻は梟からの提案に悩むことになります。もともと梟は烏妃の中に閉じ込められている烏漣娘娘を解放しようとして烏妃を殺そうとしていました。しかし、烏妃を殺すことは本当の目的ではありません。烏漣娘娘が解放さえできればよいのです。そこで、梟は高峻に烏妃を殺さずに烏漣娘娘を解放する方法を考えて欲しいと言ってきます。そうすれば、我々は争う必要もない、と。高峻はそんな都合の良い方法があるのか、と懐疑的ですが、もしそんな方法があるならと考えてしまうのです。さて、次巻ではどんなことが起きるんですかね。
2021.08.22
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書籍の感想です。今回は「十年屋3 時にはお断りもいたします」です。十年屋 3 時にはお断りもいたします 時にはお断りもいたします [ 廣嶋 玲子 ]十年屋シリーズの第3弾です。十年屋とは自分の寿命1年分と引き換えにどんなものでも10年間預かってくれるというお店。お店の魔法使いはそれを「十年魔法」と呼んでいます。ただ、十年預かるだけでなく、「時を止めて」預かってくれるので、十年経っても腐ることもなく、くすんだり、古ぼけたりすることもありません。預けたときのままの姿で十年預けることができるのです。そんな十年屋ですが、「どんなものでも」と言っておきながら、今回はサブタイトルが「時にはお断りもいたします」です。さて、どんなお話なのでしょう?今回のお話、どの話も預かるのを断る話なのかと思ったのですが、必ずしもそういうわけではなく、まさに「時には」ということのようです。まあ、お断りする理由も納得ですね。自分のものではないものを預かって欲しいと言われたら、お断りするのも納得ですよね。しかも、預かってしまったら非常に多くの人に迷惑が掛かり、余計大変なことになるというのが目に見えてしまえば、依頼者を説得しようというものです。反対に本当は依頼者のものではないことが十年屋にはわかっているにも関わらず、預かったお話もありました。預かっても依頼者の思惑通りにはならず、むしろ逆の結果となり、そして、預けた(人のものを隠した)という事実が依頼者の心の傷となることが分かっていたのかもしれません。十年後、依頼者は預けた品を返してもらい、その品を持って謝りに行くという選択を考えます。それは十年という時が可能にしたことかもしれませんね。ちなみに十年屋の棲む町は魔法使いがたくさん住んでおり、「作り直し屋」「いろどり屋」「天気屋」などのいろいろな魔法使いがいます。今回、「作り直し屋」の素敵な作り直しを見ることができて、とても良かったです。また、「天気屋」が名前の通り本当に気まぐれなところもwさらっと読めますので、どなたにもお勧めます。
2021.08.19
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書籍の感想です。今回は「翼の帰る処5 下 蒼穹の果てへ」です。翼の帰る処(5 下) 蒼穹の果てへ [ 妹尾ゆふ子 ]前10冊、毎回300ページ越えの大ボリュームでしたが、いよいよ最終巻です。最終巻になっても問題はまだ2つ残っています。1つは魔界の蓋が開きそうになっていること。もう一つは皇帝の皇位継承問題が片付かないこと。皇女のために皇位継承問題にも首を突っ込みたかったヤエトでしょうが、「人間界のことは任せろ、お前はお前にしかできないことを為せ」と皇女に言われ、ヤエトは腹をくくります。皇女のことを信頼するときなのかもしれません。しかし、そうはいっても、帝都にも魔物が出てくるような情勢なので、人間界のこと、だけではないのですが、そういった者への対処も、兄弟への対処も、皇位の話も、皇女に任せちゃいます。そして、ヤエトは北に向かいます。ルシルの助けが得られればと思ったのですが、それはどうも違うようです。しかし、違うとどうしても思いたくなかった。なぜならそれはウィエナが命を懸けて得た情報だからです。でも、ダメなものはダメ、ともう一つの手がかりがあると思われる博沙国に向かうのでした。そこでファルバーンの母と再会したヤエトは驚くべき真実を知ることになります。魔界への蓋がどこにあるか知り、そして、蓋が空いてしまったことを知ります。その魔界への通路ともいえる場所でヤエトはアストラに会います。アストラは時間の放浪者で、時を順番に進んでいないという不思議な存在です。なので、ヤエトの恩寵で過去に彼の姿を見たことがあっても、そのことを話しても、彼はまだ体験していない場合もあるのです。さて、彼に粘り強く話しかけていたら、彼が「自分も世界とつながっている、自分も世界に愛されているわけか」と納得してもらえるシーンがあります。人は孤独、でも、完全に一人では生きられない、他の人、そして世界に生かされている。そんなことを思い出させてくれたヤエトにアストラは半単にアドバイスをするのです。「今まで出会った人、もの、すべてに祈ってごらん。その中で応えてくれるものこそがそなたの神と言えるだろう」そして、ヤエトは正解・・・なのかな、に辿り着きます。後でヤエトも語っていますが、ヤエトが成し遂げた、というよりも、神がやりたい、なしたいと思っていることにたまたま合致した、ヤエトは依り代?道具?として使われた、という感じのようです。かくして魔界から魔物の侵入の危機は去ったのですが、皇位問題は完全には決着しなかったようです。でも、神の依り代となって廃人一歩手前までなってしまったヤエトにまた興味、意欲を持たせることができたのは皇女のおかげでしょうね。ヤエトの恩寵の力はなくなってしまったようですが、今後も皇女と仲良く頑張っていくことでしょう。死なない程度に頑張ってね~というわけで、とても楽しく読めました。全体的に軽く過ぎず重すぎず、なかなかの内容で、とても好きです。ヤエトは病弱なので、ヤエトが戦闘で活躍する、ということは皆無なのですが、そんなシーンなしでも十分素敵な物語ができるのだなぁと思いました。良かったです。
2021.08.18
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書籍の感想です。今回は「翼の帰る処5 上 蒼穹の果てへ」です。翼の帰る処(5 上) 蒼穹の果てへ [ 妹尾ゆふ子 ]いよいよクライマックスの翼の帰る処です。まあ、今回は上巻なので、本当のクライマックスは下巻なのですが。相変わらず忙しいヤエト。そんな中、玉座を取ることをヤエトに宣言する皇女。あからさまにそのようなことを言ったことがない皇女に戸惑いますが、理由が「兄たちの喧嘩を止めるため」と言われ、呆れたような皇女らしいと思うような。そんな中、竜種たちを帝都に集めての会議が招集されます。今回、各皇子の雰囲気が細かく描かれていますね。残った皇子は4人。第一皇子は長男ということもあり、一番王位に近いような気もしますが、皇帝は必ずしも長子を王位にとは思っていないよう。しかも、この第一皇子、腰が重い。石橋を叩いて渡らないタイプで、なかなか決断をしない。逆賊となった第七皇子の残党狩りを命じられながら、なかなか果断に動けず皇帝もイライラしてます。第二皇子は即断即決、用意周到タイプ。礼儀作法より実を優先し、挨拶もそこそこに本題に入るタイプ。相手の望むものを事前に予想し、用意しておくのも得意。ヤエト曰く、「時間の進みが早い」。有能なんだろうけど、一緒にいたら疲れるかもね。そして、皇女の陣営に最も協力的な皇子でもあります。第二皇子の所領に魔物が頻繁に出没しているというのもあるとは思います。第三皇子。過去に皇女を暗殺しようとしたことがあり、蟄居させられていたはずなのだが、なんとかすり抜け、今回の竜種会議にも参加できることなりました。ヤエトの発言をことごとく、軽くいなそうとしているのが、ヤエトを軽く見ているからなのか、ヤエトを邪魔したいからなのか・・・第六皇子は今までほとんど描かれてきませんでしたが、母親が南方系の方だったこともあり、目鼻立ちから一線を画しています。そして、そんな彼だからか、もっと民を救う、あるいは、救おうという意思を示すべき、と発言します。「そうでなければ従う意味がない」と。第六皇子の真意がどこにあるか、難しいところですね・・・第七皇子のように真っ向から叛意を示すつもりではないようですし、本当に民のことを憂えての発言だったのでしょうか???そんな会議に参加させられたヤエトですが、ヤエトは罅を閉じることに協力して欲しいのではなく、ヤエトのやれる範囲で勝手にやらせてもらうことを宣言しにきたので、第一皇子が証拠がないから信用できないとか、第三皇子が罅を閉じると恩寵が失われるとかいろいろ言われますが、あまり気にしません。結局、皇帝から、「魔物の件はヤエトに一任」という発言で、おおむね決着したのでした。というわけで、この先は世界の罅をどうするかという話を中心に物語は進行するのだと思います。まずは北に行き、ルシルの協力を得たいと試みますが・・・上巻はここまで!下巻はルシルの協力を得て、神様の助力を持って世界の罅を閉じるのですかね!?しかし、それとは別に帝国の今後、そして、皇女の今後も気になります。(第一皇子がしきりに皇女に縁談を勧めていたのがきになります・・・)
2021.08.16
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書籍の感想です。今回は「夢をかなえるゾウ4 ガネーシャと死神」です。夢をかなえるゾウ4 ガネーシャと死神 [ 水野敬也 ]夢をかなえるゾウのシリーズは前から気になっていたのですが、今まで読まずじまいでしたが、今回縁あって4巻を読めることになりました。で、結論から言うと、すごく良い!ふざけているようで、ものすごく本質をついているように感じます。凄い本です。ご存知かと思いますが、ガネーシャといえばインドの神様ですね。困難や障害を取り除き福をもたらすとされる、豊穣や知識、商業の神様です。そんな神様が余命3ヶ月といきなり宣告されたパパの前に現れます。もちろん死にたくない。死にたくないけど・・・でも、愛する奥さんと娘のためにできることはないかと悩むパパにガネーシャはいくつものアドバイスをしてくれます。要は「人生で後悔しないためのアドバイス」ということなのだと思います。後悔したまま死ぬのはつらいですよね。「ああすれば良かった、こうすれば良かった」という後悔が少なければ少ないほど、幸福な最期と言えるのかもしれません。で、そのアドバイスの中に「人と会ってわだかまりを解く」というのがあります。パパは奥さんと強引に結婚したこともあり、結婚してから実家に戻ったこともなく、特に父親とは絶縁とも言える状態で、口もききたくないと思っていました。しかし、ガネーシャに課題を出され、イヤイヤ実家に戻ります。家に戻りさえすれば仲良くなれるなんて言うのは幻想です。むしろ、父親も頑なになっています。「金の無心か?」なんてとげとげしい言葉を浴びせられます。怒りで言い返してしまいそうになりますが、ガネーシャの助けもあり、なんとか堪え、そして・・・感謝の言葉を言うことができたのです。たしかに結婚に反対されたときのことだけを考えれば、怒りがわいてきます。しかし、父親との関係はそこだけではありません。子ども時代には虫取りに行ったり、勉強を教えてくれていた父親なのです。「お金をかけて教育する人はいるけど、一番大変なのは自分の時間を子どものために使うことだと思う。だって時間は自分の人生そのものなのだから。」「大切な財産、時間を僕のために使ってくれてありがとう」そう言って、父親に感謝の気持ちを伝えることができたのです。これは自分の命が3カ月だと分かったことで、言えた言葉だと思います。いかに時間が大切で、その大切な時間を惜しみなく使って自分は育てられたのかそう思ったとき、出てくる言葉は感謝しかないのだと思います。物凄く素敵なシーンで胸を打たれました。ガネーシャの教えはほかにあるのですが、後重要なのは「死ぬまでにやりたいことリストを作る」ですかね。リストにすることで、目標ができるし、優先順位も付けられる。叶えるために努力する楽しみもできる。人生を豊かにするための方法ですね。この本には人生を前向きに生きるためのヒントがふんだんに書かれていました。今回は図書館で借りたのですが、ずっと手元に置いておいても良いかな、と感じた本でした。まずはその前に1巻~3巻も読んでみたいと思います。とにかくおススメです。
2021.08.14
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書籍の感想です。今回は「元彼の遺言状」です。元彼の遺言状 [ 新川 帆立 ]このミス大賞の大賞受賞作です!なかなか斬新な設定です。「僕の全財産は僕を殺した犯人に譲る」という帯に???となるのは間違いないですよね。数百億とも噂される森川栄治の遺産をもらうためにはまず彼が死んだ死因を明らかにしないといけない。それも「自分が殺した」という証拠を明らかにして。しかし、それは「自分が殺人犯です」という自供になるわけでそんな人が遺産を相続できるのか・・・主人公の剣持麗子は敏腕の弁護士。しかし、ものすごくお金に貪欲で「お金のために頑張って何が悪い」という気持ちを隠そうともしない人です。そんな彼女が大学時代の友人から「俺がインフルエンザをうつして彼を死なせてしまったかもしれない」という依頼(?)を受けてこの騒動に飛び込んでいくことになります。果たして、麗子は犯人を明らかにできるのか、そして、遺産を貰うことができるのか・・・みたいな話ですが、ミステリーですし、まだ出たばかりの作品なので、さすがにここで犯人の名前を書くわけにもいかなので、筋についてはこのくらいにしておきます。この小説、主人公の麗子が気に入るかどうかが一つのポイントとなるかもしれません。お金大好き、お金のために弁護士をやっていると公言しているくらいなので、「正義のため」とか「真実を突き止めるため」とかそんなきれいごとを一切言いません。潔い、とも言えるかもしれませんが、さすがに極端でもありますよね~麗子は公務員である父にことあるごとに馬鹿にされ、実家に帰ることを気まずいと思っています。しかし、それも麗子の子供のころのある言葉に始まっているようで、ある意味麗子らしいと言えるでしょう本人曰く、昔のことはすぐ忘れるということなのでそんなことを言ったことすら覚えていないようですが。そして、「お金のため」「お金のため」と言い続けてきた麗子が「お金のことしか考えていない自分が卑しいような気がした」「しかし、法律は悪人にも高潔な善人にも等しく平等である」みたいな思いを吐露するシーンがあります。そんなのを聞くとなんとも不器用にも感じられ、麗子が素敵に感じられるのは不思議なところですね。物語の冒頭では「こんな小さいダイヤでプロポーズするなんてありえない!」と騒ぎ立てて、こりゃとんでもない女性が主人公だなと思ったはずなんですが。犯人はなるほどね~という感じで、まとまりますし、このような不可思議な遺言状をが作成された理由も明らかになり、ある程度納得感はありました。(世間をお騒がせすぎたきもしますが)というわけで、なかなか楽しかったです。
2021.08.13
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書籍の感想です。今回は「ひと」です。ひと [ 小野寺史宜 ]わたしが好きな系統は、ファンタジー系、お仕事系、神様系とかなわけですが、どうしてこの小説を手に取ったのかはよく覚えていません。なのですが、読み終わった後の幸せ感は物凄く高かったです。良かった~主人公の柏木は高校生の時に、父親を亡くし、その数年後にはさらに母親を亡くしてしまいます。それを機に大学を中退し、これからの生活に焦りを感じる柏木。そんな時、ふらふらと歩いていた商店街で総菜屋の前を通ります。空腹に勝てず、コロッケを買おうとするのですが、コロッケは目の前で売り切れてしまいます。しかし、そんな縁で、その総菜屋でアルバイトすることになりました。自分は父親も母親もいない。一人っきり。と思っていたけど、一人ではない。一人では生きられない。生かされている。総菜屋の店長、バイト仲間の優しさを痛感する柏木なのでした。そして、少しだけ奇蹟が起きます。高校の時のクラスメートと偶然、出会うのでした。小説の中では大学でバンドを組んでいた時の友達が出てきたり、高校の時のクラスメート(女子)と出会ったり、そしてデートしたり、親類とは名ばかりで母親の遺産をせびろうとする男や、故郷の鳥取の幼馴染に思いを寄せる慶応ボーイの男が自分本位な要求をしてきたりとあるのですが、基本的には大きなことは起こりません。彼に周りにあるのは少し優しい人、少し自分勝手な人、いわゆる普通の人々です。彼にはお金もなく、日々の食費にすら頭を悩ますくらいなのに、せかせかせず、彼はいろいろなものを周囲に分け与えます。そんな彼の優しい性格が周りの方の優しさを引き出し、それを幸せを感じるのかもしれません。ラスト、東京で偶然再会したクラスメート青葉にある言葉を告げるために待ち合せます。そして、単刀直入に言うのでした。大丈夫、彼女もきっとそう思っているよ。柏木の今後に幸あれ!
2021.08.09
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書籍の感想です。今回は「悪魔と呼ばれた男」です。悪魔と呼ばれた男 (講談社文庫) [ 神永 学 ]神永さんの作品はいくつも読んでいますが、神永さんの作品の特徴は私は「疾走感」とよく読んでいます。先に先に進むパワーがとても強くと読みやすいうえにぐいぐい引き込まれる、そんな作品ですね。ただ、今回の作品は読みやすさは相変わらずなのですが、場面変転が多くて、何度か戻って読み直したりしちゃいました。なので、いつもの「疾走感」は少々抑え目な印象でしょうか。この作品、タイトルにもある「悪魔」が誰なのか、が大きなテーマであるわけですが、それを何重にも覆い隠すためだと思うのですが、主人公である天海の捜査、腐敗した警察内部の動き、犯人と思しき人物の動き、その犯人の部下(?)と思しき人物の動きなどが次々と描かれます。しかも、それが必ずしも時系列にはなっておらず、天海が捜査していた変死女性の死ぬ前のエピソードが後から語られるなど、少々難しい作りになっています。さらに、天海の小学生時代の凄惨な記憶が事件に大きく関与しているため、子ども時代の話もふんだんに出てきます。果たして誰が本当の悪魔なのか・・・物語の途中で、「ほぼ彼が犯人」というのが見え隠れして、後はどうやって彼を捕まえるのか、という感じになるのですが、「もう一段裏があるのか・・・?」と思いながら、読み進めていくと、なるほど・・・という感じで納まります。悪魔と言えばルシファーが有名ですが、彼(?)はもともとは大天使で神に謀反を起こして堕天使として地獄に落とされたと言われています。ルシファーが謀反を起こした理由はもしかしたら天界の腐敗に嫌気がさしたからだったのでは、なんて妄想しちゃいました。そして、警察の仕組みで裁けない悪、警察の腐敗に対して振るわれた力、これこそがこの小説における悪魔だったのです。警察(天使)からすれば悪魔の所業ではあるのですが、どっちが悪なのか分かったものではありません。エピローグはそんな悪魔に少しだけ救いがもたらされていました。納得感のある終わりで良かったです。
2021.08.09
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書籍の感想です。今回は「神様の御用人9」です。神様の御用人9 (メディアワークス文庫) [ 浅葉 なつ ]いやー、8巻を読んでからだいぶ時間が空きましたが、ようやく9巻を読むことができました。たしか8巻のラストで黄金に何か謎があるかのような雰囲気だったのですが、モフモフの食いしん坊の黄金が実は龍だったとは驚きです。さて、このお話の中で頻繁に出てくる国之常立神(くにのとこたちのかみ)。聞いたことがあるようなないような・・・と思ったので、調べてみました。日本の神様の一番最初と言えば、天之御中主神(あめのみなかぬしのかみ)でその次にタカムスヒ、カムムスヒなどがおり、その後、神世七代と呼ばれる7人の神様が続きます。有名なイザナギ、イザナミもこの神世七代に含まれます。国之常立神は神世七代の初代に位置する神様で、日本の大地そのものとも言える神様です。古事記においては「姿を現さなかった」とあり、「ただ見守る」というのが本質のようです。できる限り関わりを持たず、誰にも加担せず、ただ見守る。そして、万一、人の子が滅んだ場合は再生を施す。そんな神様なわけですが、その眷属となれば、個の生死は関知せず、粛々と大地を見守ることが使命となるわけですが、西を守護することとなった金龍、東を守護することとなった黒龍とにも人に近付きすぎてしまいました。人を愛しすぎてしまったといっても良いかもしれません。はてさて、愛して愛して、愛しすぎて、壊れて、日本そのものを作り直そうとまで考えてしまった黒龍、そして、そこに取り込まれてしまった金龍。ただの人でしかない良彦は黄金を助けることができるのでしょうかね?10巻が楽しみ~
2021.08.08
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書籍の感想です。今回は「後宮妖幻想奇譚2 鳳凰の巫女は時に惑う」です。後宮妖幻想奇譚(2) 鳳凰の巫女は時に惑う (双葉文庫) [ 三萩せんや ]鳳凰の巫女の2巻です。貧民街から拾い上げられて、鳳凰の巫女となった小鈴。いくつかの妖関連の事件を解決し、その中で皇太子との仲も育み、なんと皇后候補として後宮に入るまでになった、というのが1巻の話。皇后候補となったにも関わらず、怠惰なのは相変わらずで寝て、点心を食べ、ダラダラして、と自堕落な生活を繰り返しています。そんな中、我こそ、鳳凰の巫女であり、小鈴は偽物と語る人物が現れます。もともと自信のなかった小鈴は「やはり私は鳳凰の巫女ではなく、彼女こそ鳳凰の巫女なのではないか」と迷い始めることとなります。しかし、皇帝となった天暘に言われた言葉が彼女に心を温めます。「おまえが鳳凰の巫女だから皇后にしたいのではない。小鈴、お前だから 皇后にしたいのだ」恥ずかしげもなく、こんなことを言われて嬉しくないわけないですよね~そして、だんだんと「別にこの場所にいなくてもいいし、鳳凰の巫女という地位が欲しいなら、その人に譲っても良い」という気持ちから、「今この場所の居心地の良さ」というものに気付いていくのでした。今回も小鈴の優しさがあやかしたちを包んで事件を解決へと繋げていきます。時間の巻き戻しに加え、時間の停止という技を手に入れた小鈴(ただし、自分の好きなタイミングで発動できるわけではない)。今後の展開が気になります~
2021.08.07
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書籍の感想です。今回は「睦月童」です。睦月童【電子書籍】[ 西條奈加 ]西條さんは千年鬼を読んだことがあります。千年鬼、おススメ。千年鬼 (徳間文庫) [ 西條奈加 ]で、睦月童ですが、舞台は江戸時代でしょうかね。江戸で酒問屋に東北の小さな村から招かれた一人の少女、イオ。彼女は睦月神から不思議な力を授かっており、彼女の眼を見た者は自身の罪を見せつけられ、激しい良心の呵責に苛まされることとなります。酒問屋の跡取りの央介は家業に関心も示さず、日々遊び惚けていました。やがて、ある悪事を働いてしまい、ウツウツとしていたところでイオの目を見て、激しく反省の気持ちを持つに至ります。しかし、イオにそれ以上に力はありません。「自分のことは自分で解決するしかない」と言われ、自ら動き、反省し、「お金を稼ぐ」ということがいかに大変かを感じることができたのでした。実はイオは央介の父親が央介の行く末を心配して読んだ子でした。その目論見はあたり、央介は少しずつ商売にも関心を向けることになります。その後もイオの能力で様々な問題を解決する・・・みたいな話かと思ったのですが、後半はだいぶ様相が変わった展開となります。イオの出生の秘密、睦月童とは何か、そして、睦月神とは何か、という話になり、展開は悲しい方向に進んでいきます。ちょっと後半の展開と、ラストはうーん、というかんじがしますが、中盤まではとっても面白かったです。ラストを救いと考えるか、呪いと考えるか・・・難しいところです。
2021.08.05
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書籍の感想です。今回は「DEVIL'S DOOR」です。DEVIL'S DOOR (JUMP jBOOKS) [ 東山 彰良 ]タイトルとあらすじからもっとハードな内容をイメージしていたのですが、結構ライトな作品でした。SFとファンタジーが融合したような作品で、高度なAIが存在し、さらに悪魔も存在する世界。自由身分を獲得したAIのユマはエクソシスト、つまり悪魔祓いをしながら生活をしている。ユマの元にはアグリッパ(アグリ)と呼ばれる悪魔がいて、その悪魔が悪魔祓いに協力してくれています。目的はAIでユマが魂を得ること。悪魔を倒し続けることで、上位の悪魔に出会い、自国への扉を見つけようと考えているようです。作品の中で、魂とは何か、AIと人を分かつものは何か、という話が出てきます。もっとこの部分を深く深く掘り下げて話の中心に据えて欲しかったなぁ。ある男は言う。「AIにも魂は宿っていると思う。魂とは不確実性への対処方法だ。AIには不確実性がないという者もおるが、全く同じラインから生産されても性能に差が出る。」「魂などというものを後生大事に守っているのはそれが人間の最後の砦だからだ。この砦を死守している限り、AIは人間を超えられない。そう思い込むことで、人間は安心していられるのだ」確かに記憶力、判断力、腕力などあらゆる面で、AIの方が人間より優れているとしたら、世界を支配すべきはAIであるべきでしょう。それを恐れ、「奴らは魂が、心がない存在だから」と一線を画すのは弱い存在である人間の最後の抵抗なのかもしれません。ユマは元主人である人間の遺言を守り、魂を得ようとしているだけで、今はまだ全くの自由意志というわけではありません。しかし、いずれこの先、魂を得ることがあるのでしょうか!?そして、魂を得たとき、悪魔をAIすら堕落させようとするのでしょうかね?アグリに言わせると、「悪魔が憎んでいるのは人間であって、AIじゃないからAIが魂を得ても、堕落させてもつまらない」ということのようですが。続編出るのかな。ちょっと気になります。
2021.08.01
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