全4件 (4件中 1-4件目)
1
「ねえねえ、今日湯たんぽ作るの忘れちゃった。」「ふーん。それで?」「足が冷たくてさあ。あんたの布団の中に足、入れさせてよ。」「えー。やだよ。お姉ちゃんの足すっごい冷たいじゃん。」「だからさあ。眠れないんだよう。ちょっとだけでいいからさあ。」寝る間際、冬に何度かやりとりされる、ずいぶん昔の私と姉の会話だ。私が中学か、高校くらいの頃だったかなあ。大抵は押し切られる形で、無理やり姉が人の布団に足をつっこんでくる。本当に、姉の足は氷のように冷たかった。私は寒がりだったものの、なぜか寝るときは足がぽかぽかしていて、湯たんぽもあまり使っていなかった。だから、姉の足が入ってくると自分の足のぬくもりは、あっという間に消えてしまう。姉はその間、他愛のないことをしゃべって、「あー、あったかくなった、ありがと。じゃおやすみぃ。」といって、さっさと寝てしまう。私は奪われた熱をもう一度取り戻すべく、足をすりすり、グーパーグーパー・・・・。まったくもう、なんで私の足が冷たくなっちゃうんだよ。これさえなけりゃ、今頃寝てるのは私の方なのに!!!とぐるぐる文句が頭に渦巻いて、そのうちに眠りにつく。ひどいなあ。お姉ちゃん。ところで今、私の足は昔の姉並みに冷たい。なぜだかあの頃のように、足がぽかぽかしてることが、ほとんどなくなってしまった。若い頃に、姉に熱を奪われたから、ということもないだろうけど・・・。すっかり湯たんぽのお世話になっている。一度、湯たんぽを作り忘れたとき、たまらず娘の布団に足を突っ込んでしまった。あ、あったかあい・・・・。眠りの深いのか、娘が起きることはなかったものの・・・。ダメよね。いくら子どもが暑がりといわれていたって、体が小さいんだもんね。不自然に冷やしちゃ体に毒よね。・・・なんとか親としての自覚を取り戻し、娘の布団から足を抜き出した。お彼岸が過ぎても寒い日が続いている。今日も湯たんぽのお世話にならなくちゃ・・・。早く、あったかくならないかなあ。
Mar 24, 2011
コメント(0)
食事を終えて2階に上がると、ベランダ越しの月に気がついた。菜の花畑はないけれど、童謡の歌詞にあるようなおぼろ月。隣の部屋では、娘が夫ともに窓を開けて、おつきさま、こんばんはー。と、話しかけている。彼の地にも、同じように月の光が降り注いでいるのだろうか。あまりにも変わり果てたあの地上をも、照らしているのだろうか。あんなふうに大地が揺れなければ、あんなふうに凶器と化した波が押し寄せてこなければ、きっと似たような家族の光景が、展開されていたのに違いないのに。助かった命ある人々の早急な救済を、心よりお祈りいたします。自分としては募金、節電、微々たることしかできません。けれどもきっと、世界中の人々が、応援しているに違いありません。
Mar 19, 2011
コメント(0)
電話に行き先を言うだけで、そこまでの道のりを案内してくれる。このところテレビで放映されているCMの一つだ。そうそう。スマートフォンでしたっけ?作り手がうまいのか、なかなか叙情的なストーリーが展開されている。ただのCMなのに、それを見て私は一瞬涙ぐみそうになった。俳優の演技がよくて、その話の筋に惹かれたというよりも、(いえ、内容を否定しているわけではありませんよ。)20年ほど前に、東京で学生生活を送っていた頃を思い出したから。どこへ行くのにも、情報誌の路線図を何度も何度も確かめていた。乗り換えの駅、地下鉄ならばどの出口から地上に出るのか、大きな駅ならば、乗りたい電車は何番線なのか、etc・・・。それでも結局分かりにくくて、現地で尋ねることもあった。もちろん、慣れてしまえばそんなにたいそうなことではなく、入念な下調べをするより、分からなかったら聞けばいいや、くらいラフな気持ちで出かけられるようにはなった。とにかく、上京当時の私にとって、下宿から電車に乗って出かけるということは、そう、スマートじゃなかったのだ。隔世の感がある、というのはまさにこういうことなのだろう。電話の機能でそこまでできるのはすごいことなのだ、ということは理解できるけれど、(実際に、あんなダンディーな案内人は着いてこないとしても)その頃の自分に、スマートフォンをプレゼントする気にはならない。必死にがんばっていた10代の自分が、なんだか消えてしまうそうな気がするから。いまだに携帯電話は、プリペイド式を使っているような人間です。
Mar 14, 2011
コメント(0)
朝食の支度をしていて、ふと何かの気配を感じて顔をあげる。居間のドアのガラスに、日の光が反射した。と思いつくのに、ちょっとだけ時間がかかった。この家に越して丸7年経つのに、そんなこと初めてだったのだ。子どもが生まれる前に比べると、30分ほど早く食事の支度にかかっている。それでも、生活が切り替わってからしばらく経つのに。と考えて、あぁそうか。太陽の昇る時間は毎日違うことに、今さら気がついた。同じようなタイミングは、今までにだってあったはずだけど、その時期に必ず晴れていたとは限らないし、もしかして、別の朝の支度をしていたかもしれない。生活のパターンがかわると、初めて知ることが増える・・・。ずいぶん長く、同じ生活パターンを繰り返していたようです。この先は、もっと短期間で変わっていくに違いない。
Mar 5, 2011
コメント(0)
全4件 (4件中 1-4件目)
1