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2007年にオーストリア国営放送(ORF)は多少贅沢な冒険をした。「オーストリア最悪ドライバーコンテスト」と言うテレビ番組である。毎週一番成績の良かった者が、ご褒美として新車を一台獲得してコンテストを去る。全部で9台を提供する太っ腹な番組であるにも拘らず平日深夜の放送で、採算が取れなかったのか、今年は企画されていない様である。その中でも一番印象に残ったのが事故現場での対処の仕方である。怪我人の近くで手を拱く前に、まずは事故現場の安全確保をしなければならないのだが、参加者の殆どが忘れて居たのを見て、「これは私も絶対にやってるに違いない」と焦った。 免許取得の前に必ず受けなければならない救急処置の訓練と講習。その時教わった事を私はすっかり忘れてしまって居る。ネットのお友達が先日、AEDの講習会を受けられたと聞き、私も何処かで受けなければ…と思って居た矢先に、国営放送ORFは篤志救急団体と協力して「5人に1人は最初の応急処置で命を救える!」キャンペーンを始めた。これは独自に開発された携帯用ソフトで、ヨーロッパ各地の救急通報番号一覧を始め、順序立って簡潔に「しなければならない事」を図解入りで纏めてあり、篤志救急団体に登録を済ませた後、携帯にダウンロードが出来るSMS通知が届く。 ダウンロードする前に読まなければならない規約書には、ダウンロード後、まずは一通り熟読する事が前提である事や、これに頼って専門の人間の手を借りない事が無い様、厳重に注意を促される。一通り解説を読んだ後であれば、これらの写真も大いに意味を成すだろう。きちんとした講習会は大きな都市でしか行われていない様で、更に受講費も7千円必要になる。近場で開かれる機会を忍耐強く探さなければ…。応急では無いが、ヴァッハウ産の杏を半kg買ってしまったので、これを何とかしなければならない。夫が留守なのを良い事に、一寸実験をしてみた。モモ肉細切れをクリームソースで煮、茸類は醤油で甘辛く炒め、杏はバターと極僅かの砂糖だけでしんなりさせ、それぞれをスパゲティに載せてみた。杏をもう一寸小さく切った方が食べ易かったかな。長持ちしない欠点の為、ヴァッハウに古くから多く植えられていたこの杏は葡萄に取って変られてしまったと言う。今では再びこのヴァッハウ杏が見直されて来て、こうして此処に居ても新鮮な杏を入手できる様になった。さて、これからダウンロードした「応急処置解説」を読まなければ…。 上記の番組HPで見つけたYouTube動画を幾つかここに 門に入れない ぶつけずには出られない (2分35秒)老嬢へのマナー
2008/07/25
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罪滅ぼしにならなかった土曜日。日曜日に再挑戦…と思いきや雨降り止まず。午前中に約束していた馬上遠足を断る為電話をすると「え?こっち晴れてるよ?」大慌てで夫を起こし、私の拙いナビで道に迷い、夫に叱られ通し、30分遅れて何とか辿り着いたのが「Rössel-Alm」。ガイドの男の子ヤコプは11歳。文句一つ言わずにさっさと馬に乗る手伝いをしてくれた。お父さんは麻酔科、お母さんは外科が本業なのだが、農家から牛舎を借りて厩にしている。農家は自家製の食品で持成すペンションを、彼等は様々な乗馬体験コースを提供して、お互い助け合っているらしい。直ぐ様、公道に出てしまい、ヤコプ君の馬を先頭に夫の馬、私の馬は大人しく後を付いて行く。何だか落っこちそうな気もしなくも無いのだが、取り敢えず落ちないまま丘へ。時々トロットになると、五臓がミキサーに掛けられるのだが、少しずつ、風景を楽しむ余裕も出て来た。どんどん丘を登る…自分の足なら、こうは速く無い。が、何故か私の馬ハッピーだけ遅れる。踵で馬の脇腹を締め付けてって簡単に言うけど、鐙にすら足がきちんと落ち着かない。それでも、2時間以上も乗っていれば携帯での撮影も慣れてくる。森の急斜面をぐいぐい登って行くと、苔に覆われた花崗岩がゴツゴツ。1500万年前の花崗岩だよーと夫が振り向き叫ぶ。山頂の山小屋で一休み。降りるとハッピーが私に少し怒りをこめて頭突きして来た。ごめん、下手っぴぃで…。「茶山小屋」(Braunberg Hütte)はセルフサービス。小さいのに30人も此処で夜を明かせると言う。ここからは直ぐに厩に着き、もう一度ハッピーに有難うの餌を上げる。時計を見ると、3時間近くも馬に乗っている。どうりでお腹が空く訳だ。直ぐ近くの町Gutauで、車が沢山停まっている目立たないレストランを見つけ、この土地Mühlviertel牛のステーキ(13.2€)を頼むとお肉も美味しかったのだが、その下に隠れているソースと付け合せ、これが見事なバランスで、文字通り舌で鼓を打ちそうになった。枝豆と赤ビート、あんず茸とじゃが芋が濃厚な玉葱ソースに絡まっているのだ。そう言えば森の中を通った時、あちこちに珍しいあんず茸が生えていたっけ。お腹一杯なのに、どうしてもデザートも試したくてピスタチオ・パフェのさくらんぼ・バルサミコソース(5.5€)を頼む。期待を全く裏切らないどころか、このレストランを見つけた偶然に心から感謝。あーあ・・・又この日も節飲は出来たが、節食はならず。それにしても、内股痛いよぉ…。 Rössel-Alm 乗馬体験3時間乗馬体験で1人20€[Hannes Röblreiter]Witzelsberg 14271 St. Oswald bei FreistadtTel. / Fax: 07947/7427携帯: 0664/4321803 山小屋 Braunberg[Rudolf Bründl]Witzelsberg 20A-4291 LasbergTelefon/FAX: 07945-7666標高: 902m レストラン 「Ediの所へ」 "Landgasthaus zum Edi"[Edi Priemetshofer]Sankt Oswalder Straße 3A-4293 GutauTelefon: +43 7946 6302
2008/07/21
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寒いし、雨は降るし、雷落ちるし、6月の方が未だ夏らしかったと文句を言ったら、土曜日だけほんの少し晴れてくれた。金曜の晩、二人で赤ワイン2本半空けたその罪滅ぼしにサイクリング。えっちら おっちら どっこいしょ よっこいしょ ペダルが重い…久し振りの太陽だから、皆川岸に寝そべって肌焼に夢中。Alm川、これは非常に綺麗で、橋の上からも良くお魚がキラキラ光って見える。フライ・フィッシングの釣人が居る時も構わず、全裸で寝そべるカップルも在り。 ヒットラーが子供の頃住んで居た家に以前住んで居た。その家は、背の高い玉蜀黍の後ろに隠れてしまって見えず。遠く、Traun岳が望める。 果てしなく続く畑。小麦・玉蜀黍・大豆・向日葵…。平坦な小道は国道1号線と平行に走り、これが私達のWels行きサイクリング・コース。 Wels到着。Greifと言うホテルのCaféがヨゼフ皇帝通りにある。正午の鐘が鳴ってしまったが、白ソーセージと白ビールのセット(6.5€だったかな)を頼む。何故、Welsでミュンヘンの朝食が出るのか知らない。ビールは好んで飲まないのだが、これは苦味が少ない。出芽酵母菌で軽く濁っていて、 この白ソーセージと切り離しては考えられない。仔牛のすり身と豚肉の背脂を、塩漬けにしないで豚の腸に詰めたので白い。香辛料はレモン皮、パセリ、ナツメグの花、生姜、玉葱、カルダモン等。熱湯の入った器にそっと忍ばせ調理しないと破裂する。これに必ずお供するのが甘いマスタードと焼き立てのプレッツェルである。 甘い辛子は…300 g 辛子の実(黄色)、黒胡椒大匙1, オールスパイスの実大匙1 を細かく擦り、180 g 三温糖、塩大匙1、ウコン大匙1と混ぜ、600 ml 白ワインビネガーを沸騰させた中に全てを放り込んで、練り上げて作る。プレッツェルはこちら→ プレッツェルのレシピところで、白ソーセージ。皮を剥きながら食べるのだが…この写真を夫に見せたら日本語で「エッチ!」と言われてしまった。さて、Wels市内。街灯の遥か後ろに見える紅白の模様の建物、見えるだろうか?16世紀前半に建てられたこの家に、サロメ・アルトという女性が住んで居た。サウンド・オブ・ミュージックで有名なミラベル宮殿はこの人の為に建てられた。建てたのは彼女を愛人としてその間に15子を設けた、当時のザルツブルク大司教。Welsに越して来たのは、そのお役目を終えた43歳の時。65歳にこのWelsの町で亡くなっている。ここで携帯を首から吊り下げる為にネックストラップを買い、帰り道は自転車を漕ぎながら撮影。食べるは飲むは、この日は全く 罪滅ぼしにならなかった…。
2008/07/21
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めっちゃメンコイ看護婦さんに「大丈夫ですよー。怖くなんかないですよー。痛いのは麻酔の注射だけですよー。」とあやされ、先生がいらして「では行きます。」あ、そんなに痛くないし…と思った矢先「こっちが痛むかも」と言いながらさっさと二本目。痛くなかったー。犬歯がガリギリガリギリギリギーガーギリ削られ、側切歯グラグラグイグイですっと抜け、はっきり言って肩透かしに遭いました。しかし4時間後…麻酔が切れた時が痛かった。血はなかなか止まらないし。そう言う訳で、現在殆ど流動食です。何か柔らかい物は?と訊くと夫が「グラシュ!」と言うので久し振りに作りました。元はハンガリーのシチューですが、オーストリアですっかり定着しています。日本に於けるカレーと丁度良い勝負だと思います。【材料(約4人分)】牛肉煮込み用:1kg油とバター:各大匙1玉葱:700gキャラウェイ:大匙1タイム・マジョラム適宜パプリカ甘&辛:各30gトマト中3個赤ピーマン1個ニンニク微塵切り:1片塩・胡椒月桂樹の葉:2枚スープ`:100ml調理器を中火で熱し、油・バターを入れ、薄切りの玉葱と月桂樹の葉、キャラウェイを放り込みます。油分を玉葱に行き渡らせたら蓋をし、鍋底がチリチリ言い出したら保温調理。湯沸し器で熱湯を用意、鍋に熱湯と切り込みを入れたトマトを入れ、余熱で湯剥き。皮が剥けたら細切れ。牛肉は筋は取り除き、好みの大きさに切ります。調理する1時間前には冷蔵庫から出して、室温に馴染ませて置きます。赤ピーマンは種を取り除いて細切れ。玉葱の入った調理鍋を再び保温容器から取り出しレンジ上で加熱開始。葫の微塵、甘・辛両方のパプリカ粉末、タイム・マジョラム、塩・胡椒を入れて混ぜ、牛肉を加えて炒め、最後にトマトを混ぜ込み、ルーの緩み加減を見ながらスープで調節します。蓋をし、沸騰後余熱で更に5分加熱、保温調理に入ります。これは、何時も作った翌日に食べます。7時間毎にレンジ上で加熱・沸騰を2度繰り返すと、合計21時間煮込んだ事になります。何時もはホールトマトで作ってたのですが、たまたま切らしていてフレッシュ・トマトで作ったら何時もより更に美味しかったと褒められました。(^_^)vとにかく、牛肉はスプーンで崩せた位柔らかかったので助かりました。再び玉蜀黍が食べられる日は来るのだろうか…?++この日の「チーム・マイナス6%」アクション++保温調理21時間+余熱調理20分=1280分 レンジの省エネ12.16kgのCO2削減704円の電気代節約 計算方法に就いて詳しくはコチラ
2008/07/18
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「おい。右の側切歯が行っちまうって話聞いたか?」「誰に物言ってるんだ。もう40年近くも一緒に仕事してるんだ。知らない訳ないだろ?」「で、お前その相棒の為にこれから身を削られるって言うじゃないか。」「だから何だって言うんだ。アイツの分も頑張るのが名誉じゃないとでも言うのか?」「そうムキになるなよ。送別会でもやってやろうかって思ったんだからさ。」「へっ。情け深いみたいな事言うなよ。お前が側切歯を抜く決定を下したんだろ。」「しょうがないさ。あんなにボロボロじゃ、周り迄炎症起こしたかも知れないしな。」「ま、俺迄ボロボロになっちゃアンタもホルンなんか吹けなくなるだろうしな。」「お前がどれだけアイツの分も支えられるか疑問だけどな。」「相変わらず偉そうじゃないか。ホルンなんてもう吹きたくない癖に。」「ゴタゴタ言わずに、送別会の手伝いでもしろよ。」「俺に何が出来るって言うんだよ。さっさと買い物にでも行けよ。」 これから側切歯の分も頑張らなければならない犬歯にこう言われちゃ、愚図愚図している訳にも参りません。大きなスーパーで色々見ているのですが、なかなか送別会に相応しいものが見付からないのです。 「何が食べたいんだか側切歯に訊いてみな。」「瀕死の奴に訊いたってろくな答え返って来ないさ。」「お前が明日抜かれるって言われたら、最後に何をやっつけたい?」「そうだなー、奥の奴が出来ない仕事したいよな。」「おい、見ろよ!旬の玉蜀黍だぜ!」「これなら、俺達にしか出来ない仕事が山程あるな。」「そうだ。これならアイツだって思い残す事ないさ。」 決まった決まった。序にじゃが芋とラム・ステーキ買うよ。 「宴会だ、宴会!ワインはどうした?」「アンタ、明日麻酔が効かなくなったらどうするつもりさ?」「あの頃よりは、麻酔の技術だって進んだろうさ。医者だって大丈夫って言ってたぜ。」「俺ね、これから戦友を亡くすんだぜ。宴会宴会って、アンタ喜んでるみたいだな。」「喜んでる?冗談じゃない。明日が怖くてしょうがないのさ。」「へっ。だらしねーな。大の大人が歯医者怖がってどうする。」 貴方達ね。何時迄言い争ってるのよ。ま、ワイン買うには買って、無事に抜歯が終ってから飲んでも良いしね。側切歯はずっと黙っています。今日は思いっきり貴方を使って食べますからね。覚悟しなさいよ。調理鍋にじゃが芋とお湯を入れ、ステンレスの三脚を立てます。 その上にユニバーサル蒸し器と玉蜀黍を載せます。蓋をして沸騰させた後、鍋ごと保温調理器に閉じ込めます。 「良い匂いだな。もう始めようか。」「お前ね。幾らなんでも30分じゃ未だ固過ぎるよ。」「どの位待たなきゃいけないんだ?」「じゃが芋がそれ程でかく無かったから、後30分位で大丈夫だろ。」「お前、犬歯の分際で詳しいな。」「お前こそ帯状回の分際で知らなさ過ぎなんだよ。」 未だ懲りないよ、この二人。アイロンでも掛けてれば30分なんてあっと言う間だから、大人しくしてなさい。 「もう30分経ったってば!」「おい、最後の仕事が待ってるぜ。大丈夫か?」「瀕死の奴に訊くなって言ったのお前じゃなかったか?」「煩いんだよ。」 ホカホカだよ、お二人さん。玉蜀黍も良い色に蒸し上がってるよ。「お前、泣いてるのか?」「冗談言うな…。ほら、コイツの頑張る姿見てみろよ。」「エライな。玉蜀黍の皮が挟まってても構わず働いてるぜ。」「茶化す位なら、送別会なんかするなよ。」「悪い悪い。それにしても、プチプチして旨いな。」「だろ?俺達居なきゃ、アンタも能無し、否、脳無しってか?」「犬歯ごときに言われるこっちゃないね。」 あーあ。全く何時迄続くんだか。言っとくけどね、お二人さん。今日はワイン開けないよ。開けたい所だけどね。この側切歯に単冠被せた時は、医者が私の意に逆らって形を変えちゃったから、ホルンが初心者レベルに戻っちゃったんだよね。それをある程度吹ける様に戻すのに丸々1年間掛かった。その苦労は何の為だったんだろうね。今度の医者が、もう少し物分りが良いと良いけれどね。いやぁ。美味しかったです。本当に長い間、良く働いてくれました。側切歯さん、お疲れ様でした。 ++この日の「チーム・マイナス6%」アクション++保温調理60分+余熱調理10分=70分 レンジの省エネ665gのCO2削減38.5円の電気代節約 計算方法に就いて詳しくはコチラ
2008/07/17
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生まれる前から知ってた様な気がする夫と、法律上結ばれてから3年が経つ。その前日から豪雨が続き、ヴァッハウの小さな町Spitzの役場は、ドナウ河氾濫で大騒ぎ。葡萄畑を一身に纏った丘の上で婚姻式を挙げる筈だったのだが、役場のホールでささっと済ませた。出だしに倣って、何故か毎年お天気が優れない。今年は一寸遠足にでも出掛けようかと言っていたのに、結局スーパーマーケットの中で雨宿りをしながら買い物をして終わってしまった。お祝いとは言え、わざわざ車を出して排気ガスを増やすのは忍びない。二人、テーブルを挟んでそれぞれ本を読む。私は、この日朝一番叔母からEMS便で送られて来た「プロヴァンス」の本を眺めていた。彼女のお気に入りのレストランの情報が、裏表紙にぎっしり細かく書いてある。生牡蠣、生雲丹も食べたとある。夫を説得し、お祝いは8月、このレストランでする事に決めた。この晩、食事は夫が腕を奮う。彼の大好きな「葫茸鳥の雪籠スパゲティ」である。何時もは大根を下ろすのを手伝ってくれるだけなのだが、今日はタレ作りにも挑戦。 醤油3+砂糖2+酒1(大匙) これに大量に下ろした葫と片栗粉小匙1を加えて混ぜ、細切れ鶏肉をそれに漬けるだけ。スパゲティの茹で湯は、高速湯沸しで沸騰。大根も好きなだけ下ろす。調理鍋に茹で湯を移して加熱、塩一振り、スパゲティを放り込み沸騰後10分保温調理。未だ熱いレンジにすかさずフライパンを載せ、タレごと鶏肉を入れる。ヌルヌル系茸詰め合わせの瓶を開け、汁を切って加えて蓋をする。鳥肉の色が変る迄レンジの火は落とさないが、残りの8分程は余熱だけで充分火が通る。 スパゲティに大根下ろしと和風鶏肉&茸ソースを載せ、刻み海苔や一味、わけぎ等お好みで散らす。これはお砂糖を沢山使うので、その一部をステビアに換えて居たのだが、夫曰く「お砂糖に依るカラメル状は必須」 。今晩は大根下ろしの量も多かったから、それ程甘さも気にならなかった。こうして保温調理を毎日続けて居ると一体どの位の電気代節約とCO2排出削減に繋がるのか色々調べ始めたら、面白いものを見つけた。 Google One Green プロジェクトと言い、iGoogle用のガジェットもある。登録人数は現時点でたった1279人だが、専用のGoogleマップに「Greenレイヤー」を表示させる事が出来、自然エネルギー発電や一村一品等のプロジェクトが何処で行われているか、又各都道府県のCO2排出量を見る事が出来て興味深い。因みにiGoogleガジェットで、毎日一寸したエコ・アイデアをチェックし、地図に表示される自分のアイコンを育てると言うお遊びも出来る。::今日の省エネ・ 省CO2排出:: 1.朝食の朝粥 粥:保温調理60分 人参と大根の金平:余熱調理10分 2.夕食のスパゲティ ?:保温調理10分 和風ソース:余熱調理8分 3.合計 保温・余熱調理:88分電気代節約:48円CO2排出削減:836g 保温調理に依って、どの位省エネ・省CO2排出になるか、 詳しくはコチラをご覧下さい。
2008/07/14
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3歳迄は団地に住んで居たのだが、その頃の事は全く覚えていない。とにかく、通り掛かる人達に思いっきり笑顔を提供する、ぷくぷくまん丸の子供だったらしい。その振り撒いた笑顔で何をやらかしたか。お花屋さんの前を通ると、店員さんがお花を贈って下さり、団地に来る魚屋さんが鮑の肝を捨てないで私の為に集めて、これ又贈って下さったらしい。3歳にも満たない確信犯である。その団地から今の両親の家に越してしまってからは、笑顔で物を頂くのは「当たり前ではない」事を覚え、鮑の肝にも触れる機会が無くなった。父の勤めていた会社の「海の家」へ休暇に出かけた折に、その名残としてさざえの壺焼の肝の部分を、家族皆から集めて食べて居たのは覚えている。肝喰の自覚が薄れたある日、何故かウィーンに大きな荷物を引き摺ってやって来てしまった。その晩、「オーストリアへ来い」と仰ったホルン吹きの教授に連れられ、ホイリゲと言う新酒を飲ませる店に入ったのだが、そこで教授が「食べてみろ」と出したのがどす黒い赤の太いソーセージ。「血のソーセージ」と言うのだが、これが吃驚する程美味しかった。中に血以外の何が入っているかは、作り手に依って様々だが、肉以外の怪しい物の割合が増えれば増える程妖しく美味しくなる。肝は何故か私を追い掛けて来る…と思ったその翌日、今度はその教授の教えているオーバーシュッツェンと言うハンガリーの国境に近い小さな村へ連れて行かれた。グラーツ音大の分校で、小さく固くただただ酸っぱい林檎酒用リンゴの樹が限りなく続く村のど真ん中、唐突にその姿を現した。教授はそのまま学食に入り、連れて来た学生を給仕の前に立たせ、「コイツとコイツが頼むもの全部、俺のツケにしてくれ」と言い、レッスン室へと消えて行く。「あ、そうだ」と振り向き教授が「お前には打って付のメニューがあるから探してみ」と叫ぶ。良く見ると「脳と卵」とある。給仕にたどたどしく「これ何?」と訊くと「脳と卵」との答え。諦めて、そのまま頼んだ。豚の脳と薬味類を加えたスクランブル・エッグなのだ。脳を食べたのはこれが初めてだったが、ゲテモノなんて言っては罰が当たると思う程デリケートな味。それから約4年間その分校に通って居たが、教授と私以外殆ど頼む人が居ないのに、メニューには頑として残って居た。その後結婚した前夫のお母様は、スーパーで肉を切り分けて売るコーナーで働いていらしたので、とにかく余って仕方が無い肝類を貰って来ては「Beuschel」と言う肝のごったサワークリーム煮を良く作って下さった。因みにBeuschelは肺の別称らしく、「Beuschelテレフォン」は聴診器を指すらしい。このごった煮も、どの動物のどの部位が入って居るのか尋ねず、ひたすらその奥深さにひれ伏しながら頂く。 そして今、やっと「この人」と思える人に出会えた、その「この人」は徹底した「肝嫌い」なのである。おどろおどろした「血のソーセージ」を私が食して居る近くには何とか我慢して居てくれるのだが、レバーペースト等食べようものならキス禁宣言される。確信犯時代の名残で、思い切り悲しそうな顔をすると、鼻を摘んで耳の辺りにかろうじてキスをしてくれた。それでも…私は「肝喰」を止められない。 どうせ嫌がられるなら美味しい物を食べて嫌がられようと、今度はレバーペーストを自作してみた。実は、お友達に教わった「レバ刺し」に挑戦したかったのだが、それ程新鮮かどうか自信が無かったのだ。買い物に出掛けたのが未だ朝早かったからか、牛の肝がどーんとそのまま出されていて、さすがに肝も大きいのね…と妙な所で感心してしまって、「生で食べても大丈夫ですか?」と訊きそびれたというのもある。かろうじて「300g位お願いします」と頼んだ。15分程何度か水を取り替えながら血抜きをし、大きめに切って調理鍋に沸かしたお湯の中に放り込んだ。気休めに月桂樹の葉も入れてみる。物凄く緊張して居たらしく、お湯の温度を測るのを忘れ、ミニ・シャトルシェフなのにガンガン30秒も沸騰させてしまった…これが、後で「レバー臭さ」となってしまう。レシピには「100度にせず、85度でしっかり火を通せば臭くならない」とあった。後の祭りである。そのまま保温容器に入れて15分。取り出すと、それ程灰汁も出ていない。小玉葱一個、葫一片、塩と胡椒各小匙2分の1、タイム、マジョラムやローズマリー等の香辛料適宜、粒マスタード大匙1と2分の1等を大まかに潰したレバーと共にミキサーに掛けて滑らかにする。ここで私は、粒マスタードの代わりに間違えて、マスタードの実(乾燥)を大匙1.5入れてしまった。気は心。大体食べるのは私だけなんだから何が起きても善しとしましょ。それにしても、かなりスパイシーなレバーペーストが出来てしまった。普段なら、ギンギンに酸辛いピクルスと併せないと一寸物足りない感じなのだが、今回はピクルスが完全に根負け。レバーの臭さとこの香辛料の元気さが、丁度良い具合にバランスを取ってくれて居るのだが、これはかなり強烈だったらしく、夫は遂に、食卓から離れて別の机で朝食を取る羽目に。それにしても300gのレバーは一寸多かったかな。これから毎朝レバーペーストのサンドイッチになりそう…。
2008/07/09
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これ何?シリコン笊ですって…。売り場でうっかり立ち止まってしまいました。振るとぽこんぽこんっと段が広がって、きちんと笊になるんですね。 ぽこんぽこんぽっこんぽっこん…店員さんに「いらっしゃいませ!」と声を掛けられ、慌ててカートに入れ、夫への「衝動買いじゃないよ」言い訳を無い頭を絞って考えつつレジへ向いました。「ほら、プロヴァンスでの野外炊爨器具にと思って。場所取らないからね。」 買ったのだから、直ぐに使わなければ。 未だ250gの生赤すぐりが残っているので、これで洗ってみましょうか。金属製の笊より、傷付いて実が破れる確率が少なかったので言い訳が又増えました。 でも、これで何を作ろう?夫の単身赴任先にはオーブンが無いのでケーキ類は駄目。蒸し暑いから、限りなく甘くない物が欲しい。 ネット内「ヨーグルト アイス」で網を掛けた結果、覚えやすいレシピを捕獲。「砂糖:生クリーム:ヨーグルト=1:2:4」砂糖60gに低脂肪生クリーム120g、脂肪0.5%のヨーグルト240g。砂糖とヨーグルトを攪拌、生クリームも軽く泡立て混ぜるだけ。最後に水切りをした赤すぐりを混ぜて冷凍庫へ。 早く食べたかったのになかなか固まらず。未だかな未だかなって冷凍庫を開けてれば、無理もないですが。その私のせっかちを冷やしてやれとでも言わんばかりにいきなりの雷雨が襲い、なんとネット・ケーブルが焼き切れてしまいました。 昼頃やっとネット回線修復、アイスは固まり過ぎて包丁で切り崩し…珈琲カップに入れてしまいました。これは、顎の脇・耳下辺りがきゅんっと音を立てる程酸っぱいアイスです。杏のコンポートや、甘~いアイスと併せるのも良いかも。 ぽっこんぽっこん… これやると結構癒されるんだよーと夫に手渡すと、彼も気に入ってぽっこんぽっこん…。
2008/07/08
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赤血球不足発覚事件以降、赤い物ばかりが目に付きます。赤なら何でも鉄が多いんじゃないかと言うお子様的発想で青果市場に入ると、まっかっ赤の塊…!赤すぐり!あーかーいーすぐーりーに、くちびーるよーせーてーーーと歌い始めたのは良いが…半kgもどうやって食べる?これ、かなり酸っぱいしね、長持ちしないしね。ケーキにするっきゃないね。丁度、ヘーゼルナッツを煎って砕いた物が家にあったので、それも使いましょ。まずはバター60gを大きめのボールの中、室温で柔らかくして置いて、直径18cmの底抜け型にバターを塗って粉をはたき、赤すぐりは実をそうっと取ったのを250g、洗ってキッチンタオル等で水気取り。ここら辺でオーブンを180度にセット。へーゼルナッツ75g、小麦粉85g、ベーキングパウダー小匙1を混ぜて置き、卵2個の内1個分だけ白身と黄身に分け、もう一つを黄身の方に割り入れ解す。(卵白を入れるボールは油気や水気の無い様に要注意…)砂糖は二つの器にそれぞれ60gずつ量り入れ、まずは柔らかくなったバターをミミキサーでゴリゴリ白くさせ、そこに砂糖60gを少しずつ加えて泡立てる。黄身+全卵も、非常に少量ずつ加えながら更に泡立てるとこんな感じになる筈。お杓文字に持ち替えて、粉類を3度位に分けてざっくざっくと切る様に混ぜ込み、重たい生地を型に敷き詰め、赤すぐりの実を載せて行く。隙間無く敷き詰めたら軽く押して、オーブンの中段へ。その間に卵白に塩をほんの一つまみ入れて泡立て開始。7分程泡だって来たら残りの砂糖60gを少しずつ加え、固いメレンゲの出来上がり。ボールを逆さにしてもびくともしない位、固~くね。ナッツの生地は30分程で焼きあがっている筈なので、一端取り出しメレンゲを載せる。アーモンドスライスを散らしても良いよね。更に15分焼いて、メレンゲが固まったら出来上がり。型から外して冷ます間ネットで検索してたら、本当に鉄分を多く含んで居たのね、赤すぐり。おまけに、鉄分吸収に役立つビタミンCも豊富だなんて、あなた、赤血球不足民の為に生まれて来た様なものじゃないですか。午後1時なので、さすがにお腹空いて来た。可哀想だけど夫を起こし、熱い珈琲淹れて一緒にブランチ。メレンゲが甘過ぎるかな?と心配だったけど、赤すぐりの酸味の上で平伏してました。下の生地は普通の共立てケーキの生地でも美味しそうだな。ところで、りんごの歌。あれは軍歌用に書かれて没になって眠っていたのを、戦後GHQ検閲通過第一号映画の主題歌になったものだったんですねぇ…知りませんでした。この歌詞を「軍歌に」って言う心、良いなぁ…。
2008/07/06
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これは一寸びっくり。オーストリアを正直侮っていました。99%の食料自給率。足りないのは鶏肉(68%)、果物(64%)、そして野菜(60%)。豚さんは丁度皆に行き渡り、穀物は一寸多め(104%)、牛乳は128%、余って困る位なのが砂糖(135%)と牛肉(140%)。これは2007年の調査結果です。何故いきなりこんな事を切り出すかと言うと、今ラジオで日本の食糧自給率が遂に40%を切ったと聞いて慌てたからです。東京に至っては1%。中国やロシアの大国の中で、日本国民と殆ど同じ経済力を持つ人の数が急増しつつあるので、日本人が食料を購入したくても、買えなくなる、若しくは食料の値段が更に急騰する事は避けられない…そうなると、自国で作れる食料に頼らなければならないのに…39%です。面白いなと思ったのが、農林水産省ホームページからダウンロード出来る「食料自給率計算ソフト」です。まぁ、本当にこれをいちいち記入して料理している暇なんかあってたまるか…と言うのが本音でしょうが、一体何が何処から来るのだろう?と言う事を考える習慣を付けるのは、決して間違いではないかなと思います。不思議なもので、オーストリアのスーパーで果物を買おうとしても、なかなか国産物が入手出来ないなと思っては居たのです。肉はしきりに「国産」を主張しているのに、野菜も果物も「国産」の表示が非常に少ない。鶏肉は旧東欧圏から、酷い状態で飼育され、杜撰な方法で処理された物がどんどん流れ込んでくると言う報道があったのですが、国内では鳥の飼育方法に就いて随分厳しくなってしまったから…安い鶏肉に手が伸びてしまうのでしょう。なんて言いながら、今日の料理は自給率ゼロに近い食事…。あるお友達に教わった「オイルサーディン丼」。これは絶対に作ってみたかったのです。これは簡単過ぎて、美味し過ぎ。オイルサーディン(今回はフランス産)の缶をフライパンにそのまま空け、じゅくじゅく言い出したら醤油と砂糖一つまみ(お…これも国産)で煮詰め、ご飯(仕方無いからイタリア産)に盛って、エシャロット(これは…国産)を輪切りにして散らすだけ。森瑶子さんのレシピだと言う事ですが、私自身は未だ読んだ事がありません。しかし、これだけではお野菜が足りないよね。スペイン産の大きなお茄子とやたら長くて太いインゲン(?)を何とかしましょう…と良く見ると、袋に国産って書けないからEUの旗マークが付いてる。確かにEUで一からげにしたら何でもカバー出来そう。茄子は小さなオーブン・トースターでガンガン焼いて皮剥き、大量の鰹節と生姜(エジプト産)の摩り下ろし、醤油と混ぜて冷蔵庫へ。特大インゲンは端だけ切って鍋に塩をざっと多めに入れて塩もみ、少ない熱湯を注いで加熱後、沸騰して余り時間を置かずに笊に広げて冷ますだけ。食べ易い大きさに切って、おつまみの様にぽりぽり食べられます。(今日は一寸柔らかく煮過ぎちゃった…)この茄子、日本の物に比べて身がすかすかな感じがしたのだけれども、焼茄子にしてもお利口さんでした。それにしても、国産だと信じて買った鰻が国産じゃなかったり、農林省が幾ら自給率と叫んでも、買手が信じて買えない状態では…先が思いやられますね。
2008/07/04
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境ってあるの?あるとしても、どうしたらいいの?1時間でも車を停めて置くと、ハンドルで火傷しそうな昼下がり。夫の単身赴任先へ向かう列車を待つホームに、冷たい飲み物の自動販売機を見つけ、ミネラル・ウォーターを買おうとコインを入れると表示が何も変わらない。払い戻しのボタンを押しても知らん顔をされ、小突いても何処吹く風。流れ落ちる汗で目もしょぼしょぼ、苛立ちを抑えきれずに機械に強く叩いて訴えるのだが、入れたコインは戻って来ない。そして、その一連の動作の間、ずっとこちらを見ている、虚ろで粘っこい目。話し掛けてくれるな…と、滴る汗に負けず心を絞って祈ったのだが、矢張り無駄だった。「あそこのカフェの女将に言って出して貰うのさ」「ありがとう!」彼の全体から漂う、一種の「境」、見えない「境」に怖れもし、可哀相でもあり、教えてくれた事にはきちんとはっきりお礼を言った。女将に言うと、販売機を開けてミネラル・ウォーターを出して下さった。見ると、彼はもう其処に居ない。かなりほっとして、魔法瓶にその一部を移し変える為の場所を探して移動していると、急に何かぞくっとした。彼が、又あの目でこちらを見ている。それを無視したら、無理矢理付いて来るだろうと意を決して「どうも!おばさんが取り出してくれたわ!」とこちらから声を掛けて、再度感謝した。「どうした?貰えた?」と、聞こえない振りをしてもう一度話し掛けて来る。「有難う!この通り貰えたわ!」と言いながら瓶を掲げ、しっかり意図的に、彼に背を向け、反対方向に歩き出した。だが、勿論、彼は追って来た。私は早足にならない程度に逃げ回って居たのだが、彼は先回りして私の前迄来てしまった。「お前、何処まで乗るの?」今度は私が聞かなかった振りをする。「何処迄乗るのかって訊いたんだよ。」観念して、魔法瓶を開けて冷たい水を、とくとくとくとく…注ぎ入れる。酷く集中しなければ、水が零れてしまいそうだと言わんばかりに魔法瓶を注視する。「何処迄行くんだ?」!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!何とかしなければ。「どうして?」「何処迄かって訊いてるんだよ。」「答えたくないって言ったら?」「じゃぁ、アンタは答えたく無いんだな。」「そう。」魔法瓶、しっかり閉めた。リュックに入れた。立ちはだかれていたのを、何とかすり抜けた。完全にすり抜けてから大きな声で最後に、「でも、自動販売機で助けてくれて、ありがとう!」と、もう一度はっきり言った。普段なら、若い生徒の群れには近寄らないのだが、この時ばかりは救いの手だった。彼等のど真ん中に行くと、流石に彼も追って来なかった。これ見よがしに、イヤホンを両耳に差込み、彼と余り遠くない方向を見た。これ以上近付いて来たら…!と、かっと見開いて。だが、本当にどうすると言うのだろう?駅員に言う?彼は私に壊れた自動販売機からミネラル・ウォーターを取り出す法を教えてくれたが、私に危害は与えていない。何かが怖い…だけでは、話にならない。列車が来た。空席を探すのに、移動していたら、何時の間にか彼が反対方向から乗っていたらしく、彼の前を通り過ぎてしまった。粘っこい目が待っていて、そのまま私の背中に付いて来た。彼から一番遠い車両の中、静かな額を持つ青年の斜め後ろに腰掛ける。来るか?…来るか?……やっぱり来た…!5分も経たない内にこの車両に、彼はやって来た。落ちる汗。凍る心。その時、携帯が鳴った。「ハイ、メググ!列車に間に合った?」「ハァイ、マププ!うんうん!間に合った!」声が一寸高いとは分かっている。しかし、何と言うタイミングだろう。彼は暫く、車両の隅に留まって居たが、引き返して行く。周りの人には申し訳無いが、私は普段より大きな声で電話の夫に話し掛ける。彼は、車両を出る戸口で、未だ躊躇している。若い生徒達、静かな青年、夫…。傘になって貰っちゃってごめんなさい。やっと彼は出て行った。それからずっと、彼は戻って来なかった。多分、「境界性人格障害」と言う様な、危うい心の状態なんだろうな。以前、彼程はっきり粘っこい目をしていない国鉄の乗車員に話し掛けられ、余り素気なくするのは悪いと思って答えたのを「好意」と取られ、夫の赴任先に向う列車に乗る度付き纏われた事があった。でも、どうしたら良い?心の病だって事位、精神科の医者じゃなくったって分かる。気の毒だと思う、生半可な情けは、彼等にとって、毒にはなっても薬にはならないだろう。でも、あんな言い方をするのは、やっぱり辛い。ごめんね。あなたの心が何時の日か均衡を見出せる様に境を越えてしまって、後戻りが出来なくなってしまわない様に祈っています。
2008/07/03
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掛かり付けのお医者さんは、多分私と同年代。スリムで無駄が無く、テキパキテキパキ患者さんを捌きます。気休めに彼の所で健康診断を受けて来ました。「血糖値、パーフェクト!血圧、パーフェクト!コレステロール…これ一見多いと思うかも知れないけど、善玉の数も相当多いから良いね!これならね、当分心筋梗塞になる心配無し!何もかもパーフェクト!って言いたい所なんだけどね…」と、デスクにぐんと両腕を付き、しっかと目を見据えて仰るには「月経の出血多い?」この展開は、さすがに予測しておりませんでした。多いかどうか…比べる対象が無いから分かりませんと申し上げると、仰け反って笑っています。「あのね、赤血球とヘモグロビンの値が一寸低過ぎる。一寸ね。一寸。最近、直ぐ疲れる?頻繁に膀胱炎になるのも、治癒力が落ちているからって言う事もあるね。鉄、これから毎日一ヶ月服用して貰って様子見ましょう。」帰宅後、早速「食べて治す!最新栄養成分事典」を開きました。鉄分を多く摂れる食品の殆どを、最近食べていないではありませんか。レバー等の肝類は、夫が大嫌い。新鮮な魚は入手困難。優秀鉄分提供者リストの中で、我が家にあるのは母が送ってくれたヒジキと、乾燥浅蜊だけ。こうなったら、あるものだけで何とかしましょう…と、無茶苦茶な組み合わせで作ったのがこれ。 オイル・サーディンと玉葱を炒め、葫たっぷり押し潰し、戻したヒジキと浅蜊、オリーブの実、余っていた白ワイン少々、顆粒スープ&ホール・トマト、塩、胡椒、隠し味にステビアを微量、一味唐辛子、オレガノやバジリコ、最後にFetaを崩し入れて出来上がり!ヒジキは、ちゃっかり大人しくイタリア勢の中に馴染んでいます。もっとヒジキに物を言わせても良かったかなと思う位でした。閉経が近付いてもこの症状が起きるとか…
2008/07/02
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エレナは8歳。金糸の様な髪の柔らかな波が、大きな、そして一寸大人気たお目目の脇で泳いでいます。 お母様が働いている間は、ケーキを焼くのがとっても上手なおばあちゃんのお家から私の教室に通って来ます。そのおばあちゃんの美味しいケーキの恩恵を、私は幾度もお裾分けして頂いてるのですが、この日もエレナは、後ろ手に何か隠しながら教室に入って来ました。「取り立てなの!私も摘むのを手伝ったんだ!」見ると、大きな箱に一杯のさくらんぼ。 「おばあちゃんがね、【バイオ】だから安心して食べてって言ってたよ」とエレナ。【バイオ】のドイツ語、ビオローギッシュがビョローギュッシュっぽく詰まりながらも、とても胸を張って報告してくれました。私、さくらんぼ大好きなの。ありがとうね。山盛りのさくらんぼを洗って、夫にも勧めると「虫さんが居るだろうな」と言って、二三個だけ食べて止めてしまいました。一々中を開けて見てから食べるのは、確かに根気が要るのです。久し振りに逢った夫にもこのさくらんぼをたっぷり味わって欲しいので、何かデザートに変身させる事にしました。レシピの写真をパラパラめくっていると「これ!これが良い!」といきなり、テーブルの向かいから夫の声。見るとパフェ。 大抵「何でも良いよ」と言う夫が「これ!」と叫んだのですから、嫌とは言えません。低脂肪クリームチーズと低カロリー生クリームを購入して早速始めました。実に小さな凹みや穴がある物を取り分けた後、半割にして中身を調べると…たった二個だけでしたが、しっかり虫さんがお休み中でした。大人になったらどなたになるの?と話しかけつつ生ゴミへ埋葬。 種を取った状態で量ったら300g一寸だけしかありませんでした。 レシピには400gとあるので、冷蔵庫に残っていた大きな洲桃1個を足し、砂糖100g、水90mlと共に加熱。沸騰後もそのまま3分程煮詰め、キルシュの代わりに、家にあったウイリアム(洋梨のリキュール)が代打で20ml参加、バットに広げて冷まします。その間、生クリーム150gを七分立て。クリームチーズ250gにバニラ・シュガー10g、レモン半個分の絞り汁にその皮も下ろし入れて攪拌。この二つを切る様にしながら混ぜた後、冷めたさくらんぼシロップを更に混ぜ込んで行きます。鹿の背中「レーリュッケン」にラップを敷いた中に、混合流動体を流し込み、更にラップを被せて冷凍庫へ直行。 「まだぁ?」と夫の声が1時間毎に飛んで来ます。余りに簡単過ぎて、一寸不安になっていた私。6時間後、扉を開けて見ると、しっかり固まってくれていました。クリームチーズを生クリームと合わせて凍らせただけって、どんなお味なのか一寸想像付かなかったのですが、虫のいないさくらんぼもきちんと味を主張し、嵩増の為に入れた洲桃も「私が居て良かったでしょ?」と言わんばかり。お姿の見えないレモンとクリームチーズは、冷たい抱擁で固く結ばれ…「お替り!」と、夫が自らパフェ切り崩しに台所へ立つ程の美味しさ。自画自賛?分量もいい加減、私が作っても出来る美味しいパフェに免じてお許しあれ。
2008/07/01
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