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盛岡ICから国道46号を田沢湖方面に走ると、繋十字路という交差点がある。右に曲がれば、有名な小岩井農場だが、ここを左に曲がる。道沿いに約5分くらい走ると左に御所湖を渡る長い橋がある。この橋を渡ったところが繋(つなぎ)温泉で、大きな旅館やホテルが10軒前後と小さな旅館が共存する御所湖のリゾート温泉街なのである。 その中で一番りっぱなホテルは「ホテル紫苑」で次が「ホテル大観」三番手くらいに、この鉄筋九階建ての「愛真館」がつづくと思われる。ここは、風呂の設備が自慢の和風大旅館。約300坪の広々とした大浴場は、浴場の中心に普通の大浴槽があり、それを囲むように、洗い場とサウナ、泡風呂、打たせ湯、古代桧風呂、露天風呂があり、同じ風呂場の中で「お風呂のはしご」が出来る仕掛けになっている。 なかでも、一番の自慢は「古代桧風呂」で樹齢2000年で2m以上の太さの厳選した貴重な桧から抽出される精油が、新陳代謝や血行を促し、まさに森林浴をしている気分である。これで、食事がついて1000円または、ドリンク付で800円という信じられないお値段・・・うへーっ!。作:五林寺隆※下記バナーをクリックすると、このブログのランキングが分かりますよ。またこのブログ記事が面白いと感じた方も、是非クリックお願い致します。にほんブログ村
2012.12.31
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女郎花 どくだみ草屁糞蔓(へくそかずら)に掃き溜め草みんな臭くて みんな嫌われ者それでも一輪咲かせていいですか作:朽木一空※下記バナーをクリックすると、このブログのランキングが分かりますよ。またこのブログ記事が面白いと感じた方も、是非クリックお願い致します。にほんブログ村
2012.12.30
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新花巻温泉の一番奥にある古い湯治場である。自炊部から入館し、帳場で料金を払って名物「白猿の湯」に向かう。地下一階と一階が吹き抜けになっている天井の高い風呂場であった。 湯船は楕円形で中くらいの大きさ、湯船の中央は1.5メートルとかなり深い。おばあちゃんや子供は背が立たないだろう。それで女性たちは、風呂の縁に手をついて、背を向けた格好で入湯している。 入口は二つあり、階段を降りきったところに脱衣所があり、以前は湯船から丸見えであったが、最近はつい立が出来たという。当然混浴である。それでも意外と女性が次から次へと入ってくる。 旅館の建物は古い病院のような感じで、風呂や売店などを挟んで二つの廊下が平行している造りで、なかなか古の趣きがある。大正から昭和初期の時代にタイムスリップした感があった。 体の芯まで温まった鉛の湯は、いくら体を拭いても汗が滴り落ちる。短パンにランニングシャツ一枚の格好で旅館の裏手に出た。 豊沢川がゆったりと流れている。 このあたりは浅瀬が多い。河の中央でも膝あたりの深さだ。また川の所々に石が見える。そして川の流れがそれにぶつかり白い飛沫が踊っている。 川の中には釣り人が3、4人長い竿から釣り糸を垂れている。橋の欄干には数匹のトンボがじっと佇んで川の流れを見とれているかのようだ。空にはトンビが気持ちよさそうに、ふんわりふんわりと宇宙遊泳だ。やっと汗も引いてきたかな・・・。作:五林寺隆※下記バナーをクリックすると、このブログのランキングが分かりますよ。またこのブログ記事が面白いと感じた方も、是非クリックお願い致します。にほんブログ村
2012.12.28
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あと、一枚残された紅葉でも 淋しくはないよちっちゃい芽が冬越をまっている白髪が一本抜けた跡には寂びれた頭皮が淋しそう作:朽木一空※下記バナーをクリックすると、このブログのランキングが分かりますよ。またこのブログ記事が面白いと感じた方も、是非クリックお願い致します。にほんブログ村
2012.12.26
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繋温泉の外れに有り、ちょっと小高い丘を上ったところに建つ「武家屋敷」を思わせる、たたずまいの和風旅館。多分「昔の高級湯治場」で昔は金持ちが長期の湯治に訪れたのではないだろうか...と勝手に想像してしまう。また、最近は温泉を薄めてしまう旅館が多い中、ここは正統派で源泉100%と湯量も豊富である。 一番の売りは「露天風呂」で、優雅な日本庭園のなかにある広い風呂は、なかなか風情があって、ついつい長湯してしまった。内湯は、それほど広くなくシャワーもない古い設備だが、とにかく湯量が豊富で落ち着いた雰囲気なので、ゆったりとくつろげ、つい地元の人と風呂の中で温泉談義をして、またまた長湯をしてしまうのである。 また、3時半までの間は大広間でくつろげるので、湯上がりの温かい身体を横たえて、ゆったりと昼寝を楽しんでいる人も多い。これらの落ち着ける雰囲気がうけて、地元の人たちの日帰り利用が多いとのこと。とにもかくにも、地元人にこれだけ人気があるということこそ、素晴らしい温泉であるという証なのであろう。作:五林寺隆※下記バナーをクリックすると、このブログのランキングが分かりますよ。またこのブログ記事が面白いと感じた方も、是非クリックお願い致します。にほんブログ村
2012.12.24
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山里に、てんてんとと柿の朱(あか)少し楽になってあかるい方へこころがあるいていく作:朽木一空※下記バナーをクリックすると、このブログのランキングが分かりますよ。またこのブログ記事が面白いと感じた方も、是非クリックお願い致します。にほんブログ村
2012.12.22
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岩手県奥州市江刺区にある向山公園の敷地内に約20haの広大な面積を使い、更に約35億円を投じて平成五年に完成した歴史テーマパークである。 藤原氏の政庁、秀衡の居館、伽藍御所や黄金文化の象徴である金色堂など100棟余りが再現されており、まさにタイムスリップしたようで、見学者たちを圧倒する。 ここはNHKの大河ドラマのロケにも使われており一周するだけで約1時間30分は要するのである。スケールの大きさには脱帽するが、山を上ったり下ったりで膝が痛くなってしまった。なかなか面白いのだが、老いてはなかなか体力を要するテーマパークである。作:五林寺隆※下記バナーをクリックすると、このブログのランキングが分かりますよ。またこのブログ記事が面白いと感じた方も、是非クリックお願い致します。にほんブログ村
2012.12.20
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情婦になった芳子 鉄男は中学を卒業すると、親戚がやっている左官屋の仕事に就いた。芳子も高校に行かずに、喫茶店で働いているという噂を聞いた。徹は隣町の高校へ通っていた。 嫌なことはだいたい時間が解決してくれるはず、一雨ふれば、薄まって、そのうちに嫌な想い出も流れて行ってしまうというが、まだ徹には時間が早すぎたのか、『自分が一番ひどいことを芳子にしたんじゃないだろうか』という、苦い苦しい思い出が神社の杉の木の下に埋まったままだった。だから、もしかしたら、芳子に会えるかもしれないという、誘惑を振り切って、神社を避けて、遠回りして通学していた。 高校3年生になると、徹は大学を目指して、受験勉強に励む毎日を送っていた。将来、学校の先生になるのが夢だった。金八先生のようにはなれなくても、情熱をもって、嘘をつかない正しい心を持った子供として育つように、指導する、そんな先生に憧れていた。両親も兄弟も徹に立ち直って頑張れと、応援してくれていた。 芳子が、大山総業の社長の情婦になったと聞いたのは、鉄男からだった。鉄男は中学を卒業してから、左官屋の仕事をしていたが、この頃は左官屋の仕事を止めて、大山総業の仕事を手伝っていた。大山はこの町では皆にヤクザだと云われていて、不動産屋と喫茶店をやっていた。ピカピカに磨いた黒い外車は大山の自慢だった。「芳子はよう、社長のの女になってるよ、俺たちは姉さん姉さんと呼んでるぜ、やっぱりよ、蛙の子は蛙だよな、お前、気があったんだろう?可愛そうなことしたよな、芳子はあれから崩れちゃったみたいだからな、俺みたいに単純じゃなくて、お前は頭がいいからなあ、ああいう悪さもするんだよな、まあ、全部お前のせいでもないけどな」 徹は唖然とした、鉄男にも、徹のあの厭らしい遊びを見破られていたんだ。みんな、おみとおしで、遊んでいたんだ。 秋のわりには穏やかな暖かい日だった。受験する大学の文化祭に友人と行こうと駅前で待ち合わせしていた。大学生活が夢のように徹の前に拡がっていた。 ぽんっと、肩を叩かれて、振り向くと、芳子が微笑んでいた。田舎町では目立つほどの洒落た洋服を着て、随分大人びたはっとするほどの美人になっていた。「あら、徹君、お元気?私の初恋の徹さん、また遊びましょうか」と、明るい声で、声をかけてきた。徹は心臓が高鳴り、喉が渇き、返事ができずに下を向いてしまった。「ご冗談よ、でもね、あれは禁じられた悪戯なのよ、好きでもないのに、好きなふりしてどこかの御嬢さんを壊すのはやめておいてね」そう言うと、また、ぽんっと、徹の肩を叩いて駅前の銀行の中に消えて行った。芳子はあんなに綺麗になったんだ。もったいなかったかな。 腹の底の皮がひっくり返って喉から反吐となってとびだしてきそうになった。ずるがしこい、おぞましい、汚い感情は腹の底の方で、眠っていただけのことだった。 友達に、今日の文化祭には行かないと言った。学校の先生になるのを止めようと決心したのはその時だった。(終)作:朽木一空※下記バナーをクリックすると、このブログのランキングが分かりますよ。またこのブログ記事が面白いと感じた方や応援してくれる方も、是非クリックお願い致します。にほんブログ村
2012.12.16
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もう、これでほんとにほんとに最後だよという約束で、木曜日の早朝山本パン店にパンを盗みに行って、待ち伏せしていた、警察官に徹と鉄男は捕まって、補導された。徹と鉄男は芳子のことだけは絶対に言わないようにした。そして、もう、芳子とは合わないようにしようと、約束した。 家に帰って、徹は父から、「お前のような泥棒はうちの子じゃない、出ていけ」と怒鳴られた。父の始めてみる引き攣った、恐い顔の眼は充血していた。兄弟たちも、同情ではなく、非難の視線を徹にぶつけていた。暗闇の中で、寒さに震え、涙が渇き、縁の下にもぐりこんで、まるまっていた徹を、母はおろおろして、抱き締めた。 鉄男は自衛隊員の父親に朝まで殴られ続けた。近所中に泥棒の噂は拡がった。家族も身の狭い生活を強いられた。徹の父と母は勇の両親とともに、山本パン店に謝罪と弁償にいった。徹も勇も、暫くの間、地獄の日々が続いた。二人には泥棒と不良というなかなか剥がせないレッテルを貼られて生活しなければならなかった。 徹は勇と遊ぶことを禁じられ、勇も徹と遊ぼうとはしなかった。徹は心のどこかで、警察に捕まってよかったと、ホッとしている自分がいることを感じていた。捕まらなけば、きっと、泥棒は続いて、芳子は胸を触らせなければならなかっただろう。その方が嫌だった。 二週間が過ぎて、木曜日がきた、芳子は噂を聞いているだろうか、神社にきているだろうか、徹は芳子に会えないことが我慢できなかった。芳子が自分をどう思っているかをどうしても確かめたかった。 徹は遠巻きに、神社の周りを覗き見した。芳子は石段に座って、いつもの唄を口ずさんでいた。淋しそうだった。髪の毛の上に枯葉がぱらぱらと、散っていた。どうしたものか、散々迷って、芳子に見つけてもらうように、神社の前を往ったり来たりしていた。 芳子が立ち上がり、ゆっくりと近づいてきた。「徹君でしょ、隠れてないでおいでよ、御免なさいね、私のために泥棒させて」「ううん、違う、芳子のための泥棒じゃないんだ」「私ね、本当は、徹君に私の胸触ってほしかったのよ、鉄男君は怖いから我慢してたけど」「もう、触るのやめて!って言ってくれた時、嬉しかった。私の為に殴られて、泥棒して 徹君は優しい人ね、鉄男君とは大違い」「僕は君がだめになりそうで、本当に嫌だったんだ」「私、徹君が大好きよ! 私の処女は徹にあげることに決めてるの、私はいつか徹君のお嫁さんになって幸せになるの、私はお母さんとは違うわ」 真剣な眼差しを徹に向けた。徹は自分の心が喜んでいるのを感じていた。徹はそうなるだろうと予測していた。鉄男の凶暴さと比較させたくて、わざと、おとなしく、優しくしていた自分を知っていた。芳子の生活とも違う普通の幸せの中に住んでいることも知っていた。芳子はそんな生活に、あこがれも感じていたはずだった。 だが、徹の心は芳子の真剣な眼差しに狼狽していた。芳子が可哀そうだったが、鉄男から守ってやりたいとも思っていたが、「好きか?」と問われれば、疑問符が点滅した。芳子をかまっていたのか、芳子が鉄男より自分が好きになるように巧妙に仕組んだ作戦だったのか、好きでもないのに、好きなようなふりをして、芳子の心を弄んだだけだったのか。 作戦に嵌まった芳子が可愛そうにも見えた。戸惑う、徹の態度に芳子は「やっぱり」と、思った。芳子は徹のその心の汚さを見破る、恐さに怯えていたのだった。「鉄男君は私の体を触っただけだったけれど、あなたは私の心をぐちゃぐちゃにしたの、こっちの方が残酷ね」 優しくして優しくして、好意の瞳で私を見つめて、私が、好意を持つと、すっと逃げる、あなたは最初から私をその気にさせることが好きだったんだわ、私が好きだったわけじゃないのよね、愛の悪戯をしただけだったんですね。 木枯らしが痛いくらいに頬を掠めた。今の徹にはその痛さが幾らかでも、心の汚濁を洗浄してくれるような気がしていた。作:朽木一空※下記バナーをクリックすると、このブログのランキングが分かりますよ。またこのブログ記事が面白いと感じた方や応援してくれる方も、是非クリックお願い致します。にほんブログ村
2012.12.14
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おっぱい揉ませろ! 一週間が過ぎて、また木曜日の朝がきた。鉄男は芳子との淫な約束があったので、どうしても、三食パンを盗みに行くといった。徹も甘い誘惑と本当に芳子が胸を触らせたらどうしようという、不安と、助けなくてはという、気持ちが混ざり合って、また泥棒の片棒を担ぐことになった。 神社で、あんぱんを食っていると、芳子が唄いながら、歩いてきた。「よお!待ってたぜ、三食パン持ってきたよ」「えっ、ほんとに、どうしたの、買ってきたの」「あたりきしゃりきよ、じゃあ、胸揉ませろよな!」 芳子は困ったような顔をしていた。泣き出しそうだった。徹に助けを求める眼差しは恐怖に怯えていた。「やめとけよ、芳子が可哀そうだよ」「うるせえな、約束なんだから、減るもんじゃ無しよ、手前は黙ってろ!」 鉄男は徹の襟元を締め上げて、睨みを利かせた。「いいわよ、洋服の上からよ、10秒だけよ」 芳子は諦めがいいのか、徹が暴行されるのが嫌だったのか、案外、あっさりと、承諾した。「だめだよ、芳子そんなことしちゃ」「うるせいな、この野郎!」 鉄男は徹の腹に一発パンチを入れて、芳子の肩を掴んで、杉の木の裏に廻り、もぞもぞと動いていた。「もう、お終い、10秒よ!、次は徹君の番」「僕はいいよ」「おいっ!。もったいないぞ、こいつ結構でかいし、柔らかいぞ、「気持ちいいから、やってみなって」「ぼくはいいです、」徹は怒ったよな声で断った。「じゃあ、おれが代わりに、今度は左胸だ」 なんだか。、自分も悪い仲間のようでで辛かった。鉄男が憎くなった。芳子も嫌いになった。きれいなものが汚されていくのを見るのが辛かった。「ごめんね、もう、しないように言っとくから」「大丈夫だから、徹くん、喧嘩しないでね」 また、木曜日がきて、鉄男は芳子の胸を触り、また、木曜日がきて、鉄男は芳子の胸を触った。徹はだんだん暗い気持ちになった。「ごめんね」としか、芳子にいえない自分に激しい無力感を感じていた。照れたような、恥ずかしいような、少し頬を赤らめた。芳子が、無理やり笑って三食パンを食べているのが惨めだった。「もう、来ない方がいいよ、上手く話しとくから」 徹は、鉄男の目を盗んで芳子に言った。胸を触り、芳子が帰ってから、神社の裏でひとりでしこしこやってる鉄男がすごい悪人に思えた。 また、木曜日がきて、芳子が悲しそうな顔でやってきた。徹は、我慢の限界を越えた。「もう、やめろよこんなこと、いやらしすぎるぞ! 芳子だって、三食パンのために、触らせるんじゃないよ、芳子が汚れていくのが耐えられないよ!」「馬鹿野郎、お前だらしないだけだろう、度胸がないだけだろうが、お前だって本当は触りたいくせによ、正直じゃないんだからよ、無理するなって、芳子だってよ、三食パンが食べたいんだよ」 徹は、三食パンをちぎって投げた。「こんなパンあるからいけねえんだ」 鉄男の鉄拳が徹の顔面を殴打した。徹は、地面に叩きつけられた。血が口の中から、おでこから出てきた。徹は起き上がって、鉄男に向かっていった。「やめて!やめて!」芳子が叫ぶ!「じゃあ、もう、胸をさわさせないか、約束しろよ、僕はそんな芳子を見るのが辛いんだ!」 芳子の瞳にも、みるみる涙が溢れて、わっと泣き出した。 鉄男もさすがに、徹の血を見て暴力の闘志を失って、ほざき出した。「チキショウ!おいっ!、芳子のおふくろさんだって今頃、社長さんと、やってるんだろう!なあ、今度は芳子やらせろよ!」「いやいや、絶対にいや、私の処女はあげる人が決まってるの、それに、お母さんが悪いんじゃない、お父さんが悪いの、お父さんの残した借金を返さなきゃいけないの そうしなけりゃ、生きていけないのよ」 徹は立ち上がって、芳江の手を取って、「さあ、帰んな、もうお終いだ、もう、この神社には来ない方がいい」 夕空に上弦の月が上がろうとしていた。鉄男は「面白くねえいやい」と言って駆け出して行った。「私は何処へいけばいいの?」「何処かにきっといい処があるからさ」 意味のない気障な台詞だなあと、思いながら、徹は芳子の背中を押した。作:朽木一空※下記バナーをクリックすると、このブログのランキングが分かりますよ。またこのブログ記事が面白いと感じた方や応援してくれる方も、是非クリックお願い致します。にほんブログ村
2012.12.12
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三食パン 六時間目の授業が終わり、徹と鉄男は神社の杉の木の下で待ち合わせた。 「このあんぱん粒あんだ、うめえな」 今朝盗んだパンは布カバンの中でぺしゃんこになっていたが、甘くておいしかった。 この時代の子供たちは、いつも腹をすかしていた、若さもあるが、貧乏もその理由だった。 徹が家に帰って「おやつは?」と、母ににいえば、必ず出てきたのが、ちゃぶ台の上に置かれたさつま芋だった。さつまいもはうまいから喰うのじゃなくて、ただ、腹の足しだった。あんぱんは格別上手かった。 「あれ、芳子じゃないか」神社の舗道を、下を向いて、呟くように唄いながら、こっちに向かって歩いてきた。 「あら、徹君と鉄男君じゃない、何してるのこんなところで」 「おい、芳子、あんぱん食べるか、粒あんだぞ」 徹や鉄男も盗んだのはいいが、あんぱんを残しても、家に持って帰って泥棒が露見してはヤバいので、芳子にあげれば丁度よかった。 「嬉しい、わたしパンが大好きなの」 「あんぱんあげるからよ、おっぱい揉ませろよ!」 「いいわよ、でも三食パンが好きなの、グローブみたいなの指の中に、あんこと、チョコレートとジャムが入ってるの、なんか、夢があるじゃない、あのパンくれたら、触らせてあげる」と、冗談を言って、あんぱんを美味しそうに食べた。 「よおし、約束だぞ!」 鉄男の目はギラギラして興奮していた。危険な臭いを徹は感じた。芳子は困ったような困惑した瞳で徹に助けを求めているようだった。 徹は、芳子の瞳に一瞬どぎまきしたが。大丈夫だよ!という意味をこめた、優しい笑顔で答えた。芳子は軽く頷いた。 芳子の家は駅前の路地をを入った、小料理屋だった。『料理、お酒、すみれ』と書かれた暖簾がかかっていた。 芳子の母親は着物の上に、白い割烹着をつけて、いつも化粧をして、いい匂いをさせて、ふっくらとした色白の美人で、この小さな町では、目立っていて、男たちは何かを期待して『すみれ』に通っていた。 誰とでも、明るく挨拶するが、町の女は、やっかみなのか、自分たちとは違う生活臭を感じていたのか、親しく付き合う人はいなかった。旦那が事業に失敗して遁走し、借金を背負わされて、今は隣町の金融業の社長の2号さんだと、噂していた。 今日は木曜日でその社長が来ている、社長が来ている間は、「大事なお話があるから、夕方まで外で遊んでてね」 と母親に言われて、芳子はいつも神社で時間潰しをしていた。芳子にも、母が何をしているかはだいたい想像できていた。 「じゃあ、来週の木曜日に、三食パン持ってくるからな」 鉄男は芳子にそう言っていやらしい笑いをぶつけた。 粗暴な鉄男は、遁走した父親に暴力を受けたこともある芳子にとって恐怖の対象だった。おとなしく、優しい徹が好ましかった。このやるせない時間に徹に会えるのが、芳子は嬉しかった。つづく作:朽木一空※下記バナーをクリックすると、このブログのランキングが分かりますよ。またこのブログ記事が面白いと感じた方や応援してくれる方も、是非クリックお願い致します。にほんブログ村
2012.12.10
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パン泥棒 まだ誰も起きていない薄暗い早朝、凍りつくような寒さの中、徹と鉄男は示し合わせた、秘密の場所で震えていた。 新聞配達と、牛乳配達の自転車が二人の前を通り過ぎると、「ちゃんと見張ってろよ!誰か来たら口笛だ!」 鉄男はパン屋の横道を通り抜け、裏に置かれた、パン屋専用の通箱の中に手を突っ込み、素早くパンを盗む、鉄男の行動は素早い。徹は道路の見張り役だ。 「よし、やったぞ!逃げるぞ!」鉄男はにやりと笑って駆け出す。朝の霜道に二人の少年の白い息がふっふっと、漂っていた。 鉄男はクラスでは乱暴者だった。すぐに喧嘩をするし、弱い者いじめはする、他人の物は奪う、みんなの嫌われ者だった。勉強はできないくせに、悪知恵が働き、度胸が座っていた。廃業した、風呂屋の煙突のてっぺんに登って、大人を驚かしたこともあった。 徹もそんな鉄男が好きではなかったが、家が一軒置いた隣同士の幼馴染だったのと、徹には乱暴なこともしなかったので、ベイゴマやキャッチボールをして遊ぶこともあった。鉄男は隠れて煙草も吸ったが、徹は一度だけ試して見て、咳がでて、苦しいだけだったのでやめた。「お前根性ねえな」鉄男に笑われた。 今朝はどうしても付き合え、「いいものあげるからよ!」と誘われて、断れなくてついてきた。薄っすらと、何かを期待したのが間違いだった。まさか、パン泥棒とは思っていなかった。チクっと、後悔の棘が胸に刺さっていた。つづく作:朽木一空※下記バナーをクリックすると、このブログのランキングが分かりますよ。またこのブログ記事が面白いと感じた方や応援してくれる方も、是非クリックお願い致します。にほんブログ村
2012.12.09
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デコレーションケーキの中に小さなロウソクを一本埋め込むおめでとう坊やの文字のうえでゆらゆらと暖かい炎が揺れるまだ食べられないのだけれど坊やが必死に身を乗り出してくる危ないので ふっと火を消してみんなで坊やの健康に乾杯するきっと来年も 再来年もその次もみんなで坊やの成長を見に来るよ作:五林寺隆※下記バナーをクリックすると、このブログのランキングが分かりますよ。またこのブログ記事が面白いと感じた方も、是非クリックお願い致します。にほんブログ村
2012.12.07
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オレンジ色の欅の葉が木枯らしに煽られて枯葉蛍となって、川面を乱舞する作:朽木一空※下記バナーをクリックすると、このブログのランキングが分かりますよ。またこのブログ記事が面白いと感じた方も、是非クリックお願い致します。にほんブログ村
2012.12.05
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空が朱色に染まるころキャスケットを深くかぶりひとりぼっちで木洩れ日の森をさまようだあれもいない森の中を私の靴音だけがこだまするさくっ・さくっ と 落葉を踏みつけながら無心を装う襲いかかってくる虫の声を振り払うように黙々と歩くもうあの頃には戻れないし過去にこだわる理由もない分かっているはずなのだが空しさが心の中を埋め尽くしふと立ち止まってしまうのだ作:湯川和泉※下記バナーをクリックすると、このブログのランキングが分かりますよ。またこのブログ記事が面白いと感じた方も、是非クリックお願い致します。にほんブログ村
2012.12.03
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ぽつんと、一滴雨粒が落ちて、頬をつたい夜の舗道にへばりついた銀杏の黄色の上に落ちただいじょうぶ だいじょうぶ雨が降って 傘をさして濡れないで 歩いていく雨に濡れたら だめになる人だからあの人も きっと傘をさして 歩いているんだろう作:深田みつこ※下記バナーをクリックすると、このブログのランキングが分かりますよ。またこのブログ記事が面白いと感じた方も、是非クリックお願い致します。にほんブログ村
2012.12.01
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