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夢芝居 黒川渡は禁断の果実に手をつけてしまった。 渡は現実の社会で夢の通りに生きてみようと思った。夢の中の自分を思い描いて行動に移した。床屋にいき、いつもボサボサの髪を整え、デパートで、夢の中の渡がつけていた赤に青い星が光る派手なネクタイを着け、、エナメルの靴を履き、死んだ父が残したアルマーニの背広を着る。颯爽と背筋を伸ばして歩いてみる。いい感じ!自信が漲る。「うん、気分が変わったようだ」不思議な感覚が全身を包む。「おはようございます」と、いつもの蚊の鳴くような挨拶はしない。「お、は、よ、う!」と、明るく覇気のある声、「どうした黒川、可笑しくなったか?」 上司や同僚の怪訝な視線も無視、何を、言われても動じない、どうせ、ここは昼の仮の世界、びくびく、怯える事はない、「おおい、黒川、おまえの営業車、車検だから、今日は部長のクラウン空いてるからそれ使って、傷つけるなよ!」 よっしゃあ!!新製品の見本をクラウンに乗せて、営業廻りに出発だ!颯爽、爽やか、元気溌剌、自信満々、前向き、積極的、やる気、本気、その意気、ぺこぺこしない、おべんちゃらもいわない、おせいじもいわない。「こんにちは、いずまパンの新製品です、この味最高ですよ!」 14件の店を廻って、やったぜ!!8件の店が取引を開始してくれた。能力全開、バンバンいこうぜ!!スーイスーイといこうぜ!!営業報告書をみて、鬼課長もびっくり仰天、秋刀魚の屁、「黒川君、大変身だな、その調子で頼んだよ」「ハイハイ、まかせて提灯、夜道は暗いよ!」 黒川渡の営業成績は社内でもダントツ首位の成績。 市内で12店舗を展開する、高級スーパーのキッチンママは、いずまパンが長年取引を熱望していて、相手にもされなかったが、渡の颯爽とした姿に社長の娘の常務である明菜に見初められ、キッチンママの主力ベーカリーとして、取引が開始された。そうなると、不思議なもので、今まで、無視していた食品店や他のスーパーも向こうから取引を望んでくる。 今や、黒川渡はいずまパンのトップセールスマン。社内でも特別待遇で 営業車もクラウンの新車、歩合給は一千万円を超え、社長賞100万円も頂く、営業成績もうなぎ上り、赤い夢の風船、空高く跳ぶ。キッチンママの社長令嬢明菜常務との、熱い交際も進展した。夜は接待、高級料亭の宴会でどんちゃん騒ぎ、朝駆け夜駆けの営業、日曜日も祭日もない、こうなると、仕事が楽しくてしょうがない、あの夢のお蔭だ! 夢を見ろ!夢を持て!夢の向こうに幸せが待っている!夢は必ず実現するんだ! 夢を追いかけろ!夢をあきらめるな! 夢が叶わないと嘆く諸君、夢は夢から創るんだ!黒川渡は絶好調、有頂天。 最早、黒川渡に夢は必要なくなっていた。夢が実現したんだ、今や夢より夢になっていた。夢を馬鹿にはしてはいないが、今の心境は夢よありがとう、夢に感謝。そして、夢よさようなら、であった。 兎に角、昼間が忙しい、幹部会議、新商品会議、の中心メンバーだし、営業活動も忙しい、大手スーパーとの宴会も連日連夜、明菜とも、週に二回はお泊りデートがある。アパートに帰ればぐったりである、とても夢を見る暇がなくなっていた。 これは、現実なのか、夢なのか、赤い風船の船旅なのか、稽古不足の夢芝居を続けているだけなのだろうか、夢物語だって?そんな疑問もばたっと、疲れが、忘れさせてくれる。安眠安眠、熟睡熟睡、惰眠惰眠、これも、幸せだなあ。 つづく作:朽木一空 ※下記バナーをクリックすると、このブログのランキングが分かりますよ。またこのブログ記事が面白いと感じた方も、是非クリックお願い致します。にほんブログ村
2012.02.29
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夢で逢いましょう 黒川渡は二流製パン会社の新規獲得営業マンであった。 スーパーや食料品店を訪問して、パンの取引をお願いするのだが、狡賢い、強情そうな、社長の顔をみるだけで、萎縮してしまう。「今日は、いずまパンですが、、、」「ああ、いまは忙しい、昨日来てくれ」「いずまパン?逆さに読んでみろよ!まずいパンだよ、あはは!」 玄関払いが三度も続くと、やる気は完全に失せる。畜生、こんな汚い店なんか潰れちゃえと、恨み節を言う。 運良く、「ようし、君のために取引開始してあげよう」 6店舗のスーパー正直屋の社長に言われた時には、天にも昇る気持ち、会社に帰って、鬼課長に「どんなもんだい」と、報告する。「よくやった、さすがは黒川くん、君には実力があると、思っていたんだ、鷹は爪を隠すというからなあ、」課長の成績にも、影響するので、ご機嫌、ご機嫌、渡もこの夏のボーナスが期待できた。 ところが、二カ月もたたないうちに、商品代金の入金が遅れだし、渡は借金取りさながら、「お支払お願いします」と頭を下げる。「ないものは払えないよ、もう少し待ってくれ」「馬鹿者、チャンと集金して売り上げなんだ、金を払わない納品なら、誰でもできるわ、貰うまで帰ってくるな!」 ぐずぐずしているうち、スーパー正直屋が倒産した。課長、手の平を反して「黒川に大型取引を期待したのが大間違いだ、取り込み詐欺だよ、引っかかったんだ。ああ、最悪、最悪」 と、怒鳴られる、怒られる、呆れられる。 一生懸命営業しても、ちっとも新規の取引先が増えないし、取引できても集金で悩むことになるのなら、公園のベンチで、昼寝しよう、猫夢でも見ていよう。そのうち、夢言葉がわかるようになるかもしれない。鬼課長に嫌味たらたらいわれるのを、神妙な顔をして、やり過ごしていればいいのである。ちょろいもんだ。 だいたい、自分は営業に一番向いていない。議論に勝ったためしがない。云わなければいけないことが言えない。押し出しがまるでない、強気に出られると、すぐに引っ込む、いつも、胡麻化して、曖昧にして、中途半端にして、 白黒つけられずに、終わらせてしまう弱い性格だった。 それでも、前の会社が倒産して、やっと見つけた仕事だった。なんとしてもしがみついていなければ、家なき子になってしまう。 そんな、渡にはアパートに帰っての楽しみが待っていた。ブランデーを飲んで、寝床に入って夢を見るることであった。一日は24時間、8時間が仕事、飯をくったり、風呂へ入ったり、糞をしたり、新聞を見たりが8時間、残りの8時間が大切な夢の時間である。一日の三分の一が自分の夢の世界、ただ寝るだけの人はこの時間を無駄に過ごしている。 素敵な夢の世界を知らない人は、人生の三分の一を無駄にしている。渡は夢を見る8時間を大切に生きている。夢の時間こそだけが生きている時間だった。 働いている昼間の自分が仮の姿で、こうして、夢の中を彷徨っている自分こそ、本当の自分だと思えてきた。そうなると、鬼課長やいじわる同僚に何を言われても、なに、これは、昼の夢の中の話だ、腹も立たない、暖簾に腕押し、ぬかに釘押し、いつもぼうっとしていて、焦点の定まらない眼で空を見つめて、にやにやしている。 一向に業績があがらない。ぼやく上司も気味悪がる黒川渡。 あいつらには理解できない、夢の世界を俺は知ってる。渡は、楽しい夜がくるのが、待ち遠しかった。夢の中なら、美代子先生にも逢える、母や父や優しかった友達にも逢って、楽しいことが沢山あるんだ。逃避ではなかった。そこにこそ、本当の自分が生きていた。 今日はどんな夢が俺を待っているのだろうか、いい夢を見る支度を入念にして、音楽も「明日があるさ」にして、布団に潜り込む。 待てよ、今日は、一番セールスの夢でもみてやろうか、 渡は一番セールスになる夢を見た。ばりっとしたスーツを着こなし、清潔、元気、好印象、ハキハキ、夢の中の渡は次々と取引先を増やし、一番の成績になり、年収は1千万円を超え、社長賞も頂く、昼間の自分など問題にならないくらい、大きな能力と、知識と自信を持った自分がいる。これが本当の俺の力だったんだ! こりゃあたまげた!渡は飛び起きた。夢かあ、残念無念!! 寒々としたアパートが現実に引き戻す。もうちょっと、続きが見たかったなあ、 つづく作:朽木一空 ※下記バナーをクリックすると、このブログのランキングが分かりますよ。またこのブログ記事が面白いと感じた方も、是非クリックお願い致します。にほんブログ村
2012.02.27
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猫の見る夢 黒川渡は一週間に一回は、薬を買いに≪命の母薬局店≫に行く、ぶらぶらと、池の周りを散策する。自殺のベテランの画家、板西画伯が絵を描いていた。その画家は湖ばかり、もう何年も書いている。眠りながら、筆を動かしている。 夢の世界の自分が筆を動かすのだと云う。 渡には、その絵が湖なのかどうかもわからない、意味不明な悪戯描きにしか見えない。「黒川君、夢みれてますか」「毎日見てます、不思議な薬ですね、この頃は、夜が楽しくてしょうがないんです、でも眠るのが楽しいなんて、可笑しいですかね、死んだ人は、ずっと夢を見てるんでしょうかね、だったら、死んだ方がいいんですけど」「死んじゃ、夢は見られやしないさ、生きてることには、たいした意味もないらしいが、夢の世界を支えてくれる大切な役割があるんだよ。夢の世界では、現実から貰った、知識や能力だけじゃなく、はるか昔からの遺伝子に含まれている、能力、知恵、感性、力、が眠りから覚めて活躍し始めるんだ。現実の力だけじゃ、黒川君、傑作は描けないんだよ、ピカソもゴッホも夢があって描けたんだよ」「板西さんの絵も、夢の力に頼ってるんですか」「現実の小さな世界しか感じることができない人には、魂を揺する絵が描けない、心を揺さぶる音楽も演奏できない、現実の世界で満足しちゃった悲しい人は、もう夢を見る必要もないから、生きてる小さな世界しか、感じることはないんだよ、小さい、小さい、何万倍もの眠れる能力があるのに、それを、使わないで、満足してるのは、本当に生きたことにならないね。夢の世界にこそ、本当の自分が生きているんだよ、果てしない自由、限りない希望、裏切らない愛、無限の知恵、その世界がずっと、続いていくんだ。死んだ人にも巡り合えるし、未来の人にだって逢えるんだよ、現代科学でも夢の仕組みは解明できない不思議な世界さ、だが、誰でも夢は見る。夢を見て生きている。黒川君素晴らしい世界だと思わないかい。現実の世界の幸せなんて、勝手な解釈なんだな、薄っぺらな知識で納得してるだけじゃないかね、本当は幸せも不幸もない、ただ、事実だけが転がっていて、それを、捏ね繰り回して、悩みだとか、、苦しいだとか、、悲しいだとか、空しいだとか、言ってるのはお笑いでしょうね ほら、あそこで居眠りしてる猫見てごらんよ、猫は猫のまま、夢を見てるからね、いい顔してるねえ、鼠を捕まえる夢なんか見ないんだ、ライオンになる夢もみちゃいないんだ」「猫の夢がわかるんですね」「だってねえ、あの幸せそうな寝顔みてごらんよ、とても、争い事してる表情じゃないよね、毎日、毎日ひなたぼっこして、夢みてるんだ、幸せそうな顔してね、こっちも幸せな気持ちになるよ、猫はねえ、きっと夢言が話せるんだ。夢言が話せれば、そりゃあ、天国さ、 あかちゃん16時間、アインシュタイン10時間、ナポレオン3時間、あの猫は20時間は眠ってるな、夢の世界を楽しんでる。人間よりよっぽど幸せなんだよ。たっぷり眠るのは怠け者なんて嘘だよ、睡眠は楽しむためにあるんだよ、惰眠はいけないけどね、黒川君は何時間眠るのかな」「だいたい、8時間ぐらいですね」「夢を、食べ過ぎないためにも、そのくらいがいいよ、あの婆さんの薬はいい薬だけど、薬に溺れちゃいけないよ、夢は危険でもあるからね、猫のようにいい夢を見なきゃあね、あんまり眠りすぎると、猫になっちまうからな、ははは」 つづく作:朽木一空 ※下記バナーをクリックすると、このブログのランキングが分かりますよ。またこのブログ記事が面白いと感じた方も、是非クリックお願い致します。にほんブログ村
2012.02.26
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楽しい夢を見る処方箋 毎日毎日楽しい夢を見るようになった。夜が来るのが楽しくてしょうがない。眠るのが、趣味になりつつある、快楽夢。 処方箋の注意書きに書いてあったとおり いい夢を見るための環境づくりも整えた。 カーテンは明るい花柄模様に替え、枕元には薔薇の花を置き、念押しで薔薇の芳香剤も置き、しゅっしゅっ!と部屋中に撒く、懐かしく、夢があった頃の青春歌謡曲を流し、温泉入浴剤をたっぷり入れ、ぬるめの風呂にゆっくりつかって、ブランデーを飲み、御飯も腹いっぱい食べる。 夢想を湯船に浮かべる。幸せな人生を想像する。ちんちんも期待して、上を向いて挨拶する。テンピュールの枕を頭に、ふわふわの羽根布団に潜る。嗚呼、また楽しい夜がやってきた。ワクワクワクワク! ひろーい野原、爽やかな風が緑の草花を揺らす、色とりどりの蝶が花々の間を舞い、赤、青、黄色の鳥たちが、踊りながら、明るく歌っている。 ああ、僕の知ってる青春賛歌が聞こえる、わくわくしてくるなあ、気持ちいいなあ、懐かしい子供の頃の友の顔が僕に微笑みかける。あっちから、死んだはずの母がおいで、おいでと呼んでいる。 「おかあさん!」僕は駈け出す、野原は突然崖になっていて、僕は崖から落下しそうになる。 思わず、鳥のように両手を拡げる、なんとしたことか、僕は飛べたんだ、鳥のように、ぐらいだーのように、スーイ、スーイ、ああ気持ちがいい、あっちへ行ってみよう。 ゴツン!、痛てっ!手が部屋の壁にぶつかって夢が中断された。ああ、楽しかった。 都会の公園、モデルのような美女が泣いている。ふっくらとした胸、はち切れそうな尻、長い黒髪、渡がアイスクリームどうですか、と手渡す。にっこり笑って、「あら、渡君ありがとう」小学生の時の音楽の美代子先生だ。渡が憧れていた、初恋の先生だ。 「まあ、逞しくなって、素敵な青年になったわね」 美代子先生は柔らかい唇を渡の唇に重ねた。豊満な肉体を押し付けてきた。渡の股を擦った。渡は歓喜の絶頂を体感した。こんな、快感を感じたことはなかった。 ある時はミュージシャンになって、ギターを弾き、ステージの上で唄い、 観客から、歓声を浴びる。ある時は、マラソン選手になって、 ゴール寸前で一番になる、拍手喝采の嵐。ある時には、南海の楽園で美女と戯れる、極め付きはスーパーマンになって、人々を悪から救い出すヒーローになっている。 渡の夢は無限に拡大していった。 空には色とりどりの風船が夢いっぱい載せて浮かんでいた。夜は渡の自由に生きる時間だった。朝が来ないで欲しい。このまま幸せな気分でずっといたい。夢を見ながら死んでいくのがまた夢だ。渡には幸せな夜が続いていた。 夢よ今夜もありがとう。 つづく作:朽木一空 ※下記バナーをクリックすると、このブログのランキングが分かりますよ。またこのブログ記事が面白いと感じた方も、是非クリックお願い致します。にほんブログ村
2012.02.23
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夢を見ながら死ぬ薬 アパートの部屋の裸電球をつける。もう何年も前から、あそこで、死ねる薬を買うんだと決めていたのに、あの糞婆に軽くいなされて、3千円もだして、このわけのわからない薬を買わされてしまった。奇妙な薬を販売する店だ。鼻糞でも丸めてあるんだろうか、うちの店の薬で、著名な人も幸せに死んでいったと、あの婆さん自慢してたな、どうも、怪しげだ。しかも、死ぬためにあの店にいったことも簡単に見透かされてしまった。 ≪夢を見ながら死ぬ薬≫の説明書を読む。 夢を見てから、死んで下さい。死ぬにも順序があります。そうすれば、幸せな死があなたを迎えにきますから。確実に死むために記載に従ってきちんと服用してください。 但し、夢の食べ過ぎにはご注意! 渡はピンク色の粉薬をコップ一杯の焼酎で飲んで布団に潜り込んだ。 ぐっすり眠り込んだ、それこそ、死んだように眠った。目が覚めた、楽しい夢だったようだ。だが、何の夢だったかは思い出せない。思い出せないが、確かに楽しい夢だったことは確かだ。「今日は、死ねなかったけど、、別に、今日じゃなくてもいい、まあ、婆さんのいうとおり、どうせ、いつか死ぬんだ、思い切り、自由な夢がみられるのも面白いかもしれないなあ。夢見る薬があるなんて知らなかった」 今朝は、気分が良い、やっと、立ち上がって、今日も嫌な一日が始まるという陰鬱な気分とは、少しだけ違う、肩も軽い。小便の勢いもいい。あの、婆さんの言うこともまるっきりの嘘ではないらしい。次の日も、次の日も夢を見た、楽しい夢であることは確かだったが、どうしても、どんな夢だったのかが、目が覚めた途端に思い出せなくなっている。だんだん、夜が楽しみになってきていた。 銀杏の葉の黄色がまた少し、濃くなっていた。薬がなくなって、渡はまた、≪命の母薬局≫へ、薬を買いにいった。 もう、ドキドキもしない。 「よく、眠れます。楽しい夢みられます。 もう少し、生きていようと思います、またあの薬下さい」 「そうでしょう、死ぬ死ぬと気合いを入れなくったっていいんですよ、毎日毎日百人以上の人が、自然に自殺してるんですから、癌や交通事故よりよっぽど、多いんですから、自殺なんてね、ちっとも、珍しいことじゃない、死にたくても、死にたくなくても、人間は必ず死ねますから安心してくださいな、この薬でいい夢を沢山見てから死ねばいいんですよ。夢を食べ過ぎないように注意してね」 一袋三千円の、≪夢を見ながら死ぬ薬≫を買って、黒川渡は珍しく、にんまりと、口元がほころぶのを、感じた。つづく作:朽木一空 ※下記バナーをクリックすると、このブログのランキングが分かりますよ。またこのブログ記事が面白いと感じた方も、是非クリックお願い致します。にほんブログ村
2012.02.22
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正しい自殺の仕方 瓢箪池の崖の上にある≪命の母薬局≫には、大きな銀杏の木が、覆いかぶさるように枝をのばし、紅葉しかかった葉で、店の看板は隠れている。崖から飛び降りた人、銀杏の枝で首を括った人、、その場所は自殺者が出たことで、近所の人からも、陰気がられていた。 老婆が店番をしているこの≪命の母薬局≫が、目当ての薬局だった。その店の前を、往ったり来たり、人の気配を気にしながらもう二時間もうろうろしている。入るぞ!、ちょっと待て!ドキドキ、頭の中が、糸が絡み合ったように混迷状態だ。 銀杏の枝の上から、見ていた闇夜の鴉の鳴き声が背中を押した。「阿呆!阿呆!死ぬのに、何を迷ってるんだい、阿呆!ド阿呆!」 えいっ!と、ドアーを押した。心臓がドッキドッキ高鳴る、喉が渇く、壁にかかった大時計は午前三時を指したまま、止まっている。色あせたポスターには≪頭痛、腹痛*赤蝮一服≫効くのかね?棚の上の薬の上に埃が溜まっている。賞味期限はとっくに過ぎているんじゃないだろうか、「すみません、夜眠れなくて、眠れる薬を下さいな」 ぶっきらぼうに言ってみる。睡眠薬を10倍飲めば死ねる筈だ。「はあい、はあい、どうして眠れないんですか?」 腰の曲がった婆さんが、しわがれ声で、皺皺でわからない表情で出てきた。「とにかく、眠りたい、起きているのが辛いんです」「死にたいんですか、この世とおさらばしたいんですね はいはい、いい薬ありますよ、この間この薬で学生さん見事に死ねましたよ。そりゃあ、感謝してましたよ、いい薬だってね」 可笑しなことを言う婆さんだ、自殺した人に感謝される筈がない、なんだか怪しい店だが、折角勇気を振り絞って入った店だ。「それで、いいです、ください」、何でもいいから、手に入れたい一心で言う。「その学生さんね、あんた、筋金入りで、もう、13回目でやっと、死ねたんですよ、あなた、まだ一回目でしょう」「そんなこと関係ないでしょう、一回目だって、死ねる人もいるんだから」「太宰治だって、5、6回やってますけどね」「私は一回で、すっぱり人生とおさらばしたいんですよ」「んー?なかなか難しいようですよ、石ころに躓いただけで、死にたくなる人もいれば、の一言で死ぬのが馬鹿らしくなる人もいますから、死にたい気持ちなんて、曖昧でいい加減なもんですよ、だいいいち、一回で死んじゃ、もったいないですよ、死ぬ楽しみを満喫しなきゃねえ、私の店でも、随分送り出しましたがねえ、板西画伯さんはねえ、救急車で運ばれたこと7回、看護婦さんに ≪残念でした、またどうぞ!≫ と、言われてますよ ≪助かってよかったですね、もう二度と、自殺なんかしないで下さい≫ なんて、言ってくれません。まあ。常連ですからね、迷惑のかけっぱなし、もう、そうなると、周りの人から、早く自殺が成功するように、期待されるんですよ、そこの池で時々絵を描いてますよ、まあ、ベテランになれば、上手くいきますけどね」 正しい自殺の仕方?婆さんおかしくないですか、渡が不審がっていると、「それじゃあ、いい薬あげますよ!、そりゃあ、よく眠れます、死ぬほど、眠れます、死ぬのがもったいないほど眠れますよ、」「私は死にたいんですけど」 「一応、ここは、命の母薬局でしてねえ、お客様の病気を治す薬を売っているんですよ。まあ、この薬を試してください、みんな、この薬を試して、それから、ちゃんと、死んでますから、あんた、正しい自殺を心がけなくちゃねえ」「じゃあ、その薬試してみます」「死ぬのはね、一回しかできませんから、死ぬのが、好きそうですから、何回もやって、楽しんでくださいな」 黒川渡は婆さんのくれた薬を受け取って、不思議な気持ちでボロアパートの寒い部屋に帰った。 つづく作:朽木一空 ※下記バナーをクリックすると、このブログのランキングが分かりますよ。またこのブログ記事が面白いと感じた方も、是非クリックお願い致します。にほんブログ村
2012.02.20
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1.夢の風船萎れて消えた 夢のいっぱい詰まった少年の風船はゆったりゆったり青空を漂っている。あれもやりたい、これもやりたい、なんでもできる、夢は膨らむばかりで、風船はぱんぱんに張りつめる、空を高く高く昇っていく風船は少年の夢いっぱいで今にも破裂しそうだ。老人たちは羨ましそうに、懐かしそうに空を見つめる。 すし詰め状態の風船の中の夢が混乱し始めた。遠い夢だ、儚い夢だ、空しい夢だ、夢のまた夢だ、価値のない夢だ、意味のない夢だ、とうてい無理だろうな、これは叶えられそうにない、無駄な努力になりそうだな、楽に叶えられる夢がいいな、あれよりはあっちの方がいいのかな、夢の迷路を逃げ惑っているうちに、ほんとうは何がやりたいのかがほんとうの夢がなんだったのか、流れる雲も教えてくれはしない。 風船に詰まった夢はひとつ消え、ふたつ消え、やがて、だんだん風船は萎みだし、くるくる回りながら落下していく。 いつしか、だらしなく、地面に転がった風船はもう、動かない、夢は消えていた。醜いビニールの破片の中には、逃亡者の諦めだけが残されていた。 おおい、夢を無くしちゃ、風船は飛べないよお、あーあっ、ため息が風に消されていく、なにをやっても上手くいかない、面白いことがない、嬉しいことがない、何をやっても意味がなさそうに思える。感動することもしない。だから、やることもない、何もやりたくもない。 テレビを見ても、空しさが広がるだけ、人と話をしても疲れるだけ、あの時の夢は何処へいっちまったんだろうか、 潰滅願望、破滅願望、の木がどんどん大きくなって押し潰されそうになっていた。 いつから、どうして、こんなになってしまったのか、夢の風船は何処へいったんだ。夢を無くした黒川渡は苦悶の日々、3日に1回、酷い時には、1日3回死にたいと思っている。渡の表情は暗い、死相のように生気が感じられない。俯き加減にとぼとぼ歩く姿はとても29歳の青年のものではなかった。 やっと、生きていた、仕方なく生きていた。仕事も下の下で、職場ではみんなに馬鹿にされ、「黒川、お前、明日から出勤しなくてもいいぞ!」毎日のように罵倒される、リストラ候補NO1だ。前の会社が倒産して、やっと見つけた仕事だ。御飯を食べなければ死んでしまうから、侮辱、屈辱に耐え忍んで、へらへらしながら必死にしがみついている。生きていくには、辛抱だ、我慢だ、忍耐だ。 でも、限界だ、飯を食うためにだけに生きる、何の夢もない人生、萎んだ風船はただの塵でしかないんだ。夢の風船を失ったこの人生に何の意味があるんだろうか。「死のう、所詮生きることにたいした意味もありあしないんだ、誰でも、解っていることだけど、未練が断ちきれないだけなんだ夢は破れるためにある、破れる夢を見てもしょうがない」 焼酎をラッパ飲みし、咽ながら、酒の力を借りて、決心した。 「今日こそ、死のう、死んでしまおう」 アパートのドアーを乱暴に閉めて、夢遊病者の足音が夜の街に響く。もう、何回も店の前を通って、目をつけておいたうらぶれた薬局の方へ、遠回りしながら、少しづつ近づいていった。銀杏の葉がそよそよと、風に揺れている。 つづく作:朽木一空※下記バナーをクリックすると、このブログのランキングが分かりますよ。またこのブログ記事が面白いと感じた方も、是非クリックお願い致します。にほんブログ村
2012.02.18
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あたり一面が何ものかに 覆われたときそれが俺の心に共鳴するのを感じた俺は何も考えたくないしかし今は それも不可能なのだ突然不気味なうめき声を伴って何かが 俺に襲いかかってくる猛スピードで落ちてくる水の槍だそれもひとつやふたつではない何十万いや何十億という数だそれが一丸となって ぶっ飛んでくる殺せ 殺せ 殺せ 殺してくれ何千本いや何万本いや何億本それが俺に当たったかは知らないもっと もっと もっと 刺せ俺が死ぬまで 刺し続けてくれ作:五林寺隆※下記バナーをクリックすると、このブログのランキングが分かりますよ。またこのブログ記事が面白いと感じた方も、是非クリックお願い致します。にほんブログ村
2012.02.16
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少年は夕空が 好きでした目にいっぱい 涙をためて丘の上から 夕空をみつめているのです少年の想いが 夕陽に染まると傷ついた少年に哀しみが こみあげてきました少年は野の花が 好きでした少年はおかあさんが 好きでした少年はふるさとが 好きでした少年はあの人が 好きでした少年の瞳に 初恋の想い出が映りました少年は空に向かって 叫びました俺は悲しい 想い出が好きさ俺は傷ついた 俺が好きさ俺はひとりぽっちで いいんだよ空を見ているだけで いいんだよ少年は 淋しいひとりぽっちでしたでも少年は いつも誰にでも笑っています少年には ひとりぽっちの夢があったのです少年は その夢とふたりで生きるのですひとりぽっちで弱虫で小さい少年はそれが幸福なのでしょう傷ついた少年は ひとりぽっちがいいのです少年は片想いが 好きなんです傷つく恋が 嫌いでした少年は りっぱな男の子になりたいんですだから 少年はひとりぽっちがいいのですほらごらんなさい あの少年をひとりぽっちの少年は幼い瞳で あてない憧れを追いかけるのです少年が一度は泊まる 憧れの宿に本当の幸福が あるのかもしれません純な少年の旅を 励ましてあげましょう少年はひとりぽっちで今日も夕空を みつめています作:朽木一空※下記バナーをクリックすると、このブログのランキングが分かりますよ。またこのブログ記事が面白いと感じた方も、是非クリックお願い致します。にほんブログ村
2012.02.15
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剛弓をひけあらん限りの 力をこめてかつて不可能だったことを実現可能に変革してしまえ矢を射れ こころをこめてヴィーンと 唸って叫べ叫べ 地上より進め進め まっすぐにそれ空を切れ 風を切れ鉄壁をぶち抜けよあらゆるものを突破せよゆけ力の限りゆけ命の限り どこまでも正しき道を 直進せよ作:五林寺隆※下記バナーをクリックすると、このブログのランキングが分かりますよ。またこのブログ記事が面白いと感じた方も、是非クリックお願い致します。にほんブログ村
2012.02.14
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人間って何そんなに 美しいものなの? それじゃあ 私は何? こんなに 醜い私は何?いいの いいの私がこんなに嘘つきで ずるくて弱虫でも神さま 私は人間ですね作:朽木一空※下記バナーをクリックすると、このブログのランキングが分かりますよ。またこのブログ記事が面白いと感じた方も、是非クリックお願い致します。にほんブログ村
2012.02.13
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ああ 私を変えてくれるひとが欲しい苦悩と絶望の淵を漂う うぶな私を世界の果てまで 探してみればきっと 誰かがいるに違いない気難し屋でシャイで無口な私を救ってくれる ひとがいるでしょう慌てることはない 落ち着いてさじを投げずに 振り返って欲しい私の手を しっかりと握りしめていつまでも 離さないで欲しい優しさと厳しさを 巧にブレンドして泣かないで そして怒らないで欲しい路ばたに転がっている恋じゃない草むらで やっと見つける愛なのよその眩い愛で 私を救いたまえ私の魂を 救いたまえこの広大な世界に 誰かいるでしょう温かく柔らかな手の持ち主がそして冷たくなった 私を救いたまえ作:五林寺隆※下記バナーをクリックすると、このブログのランキングが分かりますよ。またこのブログ記事が面白いと感じた方も、是非クリックお願い致します。にほんブログ村
2012.02.12
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-砂利がバラバラと落ちる-もの凄い雨の中を 傘もささずに一匹の野良犬が 歩いてゆくよゴミ箱をあさって傷つき汚れた 憐れな野良犬をもう誰も 振り向かない-涙はとっくに枯れ果てた-歯を食いしばって歩く野良犬の 前で後ろで人があざけ笑うよ咬みつけない野良犬はそれでも 何かを求めてゆく作:朽木一空※下記バナーをクリックすると、このブログのランキングが分かりますよ。またこのブログ記事が面白いと感じた方も、是非クリックお願い致します。にほんブログ村
2012.02.11
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悲しいことに俺の運命の歯車が ぶれているようだ真面目と誠実だけが 取り柄なのにいつも全力を 尽くしているのに結局はいつも 期待はずれなにもかもが 遠のいてゆく不運が 俺につきまとっているのか神が 俺をいじめているのだろうかでもどうして俺ばかりが ダメなのだだから どうしても救われないだから どうしても逃げられないこれが 俺の宿命なのだろう不運を悲しむより 神を恨むよりそれに耐えている俺がみじめだが 実にいじらしいではないか作:五林寺隆※下記バナーをクリックすると、このブログのランキングが分かりますよ。またこのブログ記事が面白いと感じた方も、是非クリックお願い致します。にほんブログ村
2012.02.10
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このでっかい海原に俺は 夢をみる今はうるさい何もない孤独な俺が 泣いているいつわりが 俺をしめつけ水平線のむこうで 真実が待っている荒れ狂う 夜の怒涛にどこまでも 青い静かな海に俺は 真実をみた厳しく 恐ろしく 雄々しく海のむこうに向かって 俺は絶叫する巨大な海は 許すことをしないその非情さと愛情は人間を 笑うことさえしない怒りを満面にこらえて 海は生きているその偉大な静寂の中に俺の悲しみは ふっとんだ何もない 何もない すべてが無このがらんどうな俺に海は教えてくれたただ 勇気と真実だけがこの俺を 待っているとこのでっかい海原に俺は 夢をみる作:朽木一空※下記バナーをクリックすると、このブログのランキングが分かりますよ。またこのブログ記事が面白いと感じた方も、是非クリックお願い致します。にほんブログ村
2012.02.09
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ひとは進化すればするほど 悲しい存在になるのですひとには本当の幸福など 訪れるはずがありませんひとはいつも幸福になることを 拒否し続けているからですまるで天命を授かったかの如く 懸命に不幸を守っていますひとには幸福になる 資格さえありませんひとが生きることそのものが 不幸のはじまりなのですひとは全てのものを破壊するために 生まれましたそして誰の許しも得ず 勝手に死んで行くのですああ神よ こんな理不尽なことがあってよいのでしょうか作:五林寺隆※下記バナーをクリックすると、このブログのランキングが分かりますよ。またこのブログ記事が面白いと感じた方も、是非クリックお願い致します。にほんブログ村
2012.02.08
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12 雨の慕情 雨雨降れ降れ、もっと降れ 今日も、桃子はドックランでポンコの帰りを待っていた。 もしかしたら、襤褸と一緒に帰ってくるかもしれない、淡い期待も抱いていた。人間と一緒のベンチにいるのが辛くて老人と襤褸のいる桜の木の下で、 「ポンコ、いつまでも待ってるからね」と呟いている。 「ポンコは生きてるよ、帰って来るよ」 老人がそういうと、本当に帰ってくるような気がしていた。 ポンコは、必死に逃亡を続けていた。 いつしかドッグランに続く土手の上をとぼとぼ歩いていた。お腹も空いたし、疲れ切っていた。 虎鉄は撃たれて死んでしまった。愛も、仲間も、家族もみんな失ってしまった。楽しかった日々は夢幻だったのだろうか。これから、どうしよう、生きていけるんだろうか、絶望とは、希望のない状態をいうのだろうか。 「んん?」懐かしい臭いが風に乗って流れてきた。桃子の臭いだった。「わん、わん、わん」 ポンコは狂気したように桃子を探した。桃子の耳にも懐かしいポンコの鳴き声が届いた。 「ポンコだ!ポンコ、ポンコ」 桃子は土手を登った、ポンコが遠くから、走ってくる。 桃子も走る、二人は再会を喜んだ、抱き合った、目と目が会った。涙が零れた、ポンコの尻尾はちぎれそうに揺れている。お尻を振ったのが間違いだったのに、すっかり忘れて大喜びしていた。 ドックランの襤褸と老人は遠くから、二人の幸せそうな再会を優しい眼差しでみつめていた。俄かに空に黒い雲が拡がり、ドックランの空まで包み込むように暗闇が襲ってきた。 「帰ろうか」老人は立ち上がってやっの思いで土手を登った。よたよたした足取りで苦しそうに、土手に腰をおろした。静かな目で、流れる水がゆっくりと渦を巻いているのを眺めていた。ぽたぽたと水滴が川面を叩きだしていた。 老人は目を瞑った、雨が激しく顔を濡らしても暫く動かない。ぐらっと体が崩れて倒れこんだ。襤褸が老人の手を舐め、顔に舌を這わす、 「永く生きてもおんなじことだった、お終いだ、あばよ」 「くううん、くううん」と、襤褸は老人の顔に鼻を擦りつけて、雨ではなく、眼から涙をぼろぼろこぼしていた。 「寒くなる、家に帰って暖めよう」 襤褸はそう考えて、老人の襟元を銜え、土手の上を引き摺るように引っ張って歩いた。 ポンコと桃子も老人の異変に気づいた、桃子に「助けなくちゃ!」と合図して、走り出した。雨足が激しくなってきた。 「襤褸、襤褸、ワンワン」とポンコが大声で叫ぶ、すると、川に沿った街道に一台の4WDの車が止まり、「いたぞ!、まだいたぞ!あのプードルも悪犬の仲間だ!」 車から降りて、捕獲団が追いかけてきたのだ。 狙撃首はポンコに狙いを定めた、狙撃者は順造だった。 「お父さん、止めて、ポンコよ、ポンコよ!」銃撃手は一瞬躊躇った、その隙にポンコは川上に向かって逃走した。 「ポンコ、ポンコ待って」桃子は泣きながらポンコの後をがむしゃらに走る。 「おい、あそこにも怪しい犬がいるぞ! ありゃあ、、人間を引き摺ってるぞ、あいつも殺人犬だな」狙撃手は襤褸に狙いを変えた。 バアアン、銃声が鳴り響く、老人を家に連れて帰ろうと必死に老人の襟元を咥えて、引き摺っていた襤褸の体がグサッと、倒れ落ちた。叩きつけるような激しい雨が息絶えた老人と襤褸の 上に降り続けていた。 雨雨降れ降れもっと降れ、悲しい犬の話を流しておくれ。(完)作:朽木一空※下記バナーをクリックすると、このブログのランキングが分かりますよ。またこのブログ記事が面白いと感じた方も、是非クリックお願い致します。にほんブログ村
2012.02.07
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11 犬死せしもの 野良犬、野犬捕獲隊は犬笛を吹きながら、ゆっくりと、包囲網を狭めて来ていた。自由の犬軍団にも緊迫感が漲った。 すでに、ハスキーのロンが応援隊の連絡にボスである、襤褸のもとへ、走っている。小型犬たちは、必死になって落とし穴を掘っている。挟み撃ち作戦の後方隊長は虎鉄、正面の隊長はリーダーの武蔵である、精悍な貌、引き締まった筋肉がぶるるんと震え、緊張が高まってきている。人間の臭気が近づいてきた、ざわめきも聞こえる。 「うおおおおお!」と、武蔵の咆哮、戦闘開始の合図である。捕獲隊は狼のような咆哮に恐怖が走り、手足が震える。咆哮が聞こえた山の上を目指して、「あそこだ!行くぞ!」と、団長が声を出したその時、後方から、虎鉄率いる8匹の犬が奇襲戦法、猛烈な勢いで襲いかかる。捕獲隊、「うわああ」慌てて、走り出した、三人が落とし穴にはまる。パニックに陥る捕獲隊 猛然と挑む虎鉄軍団、捕獲網や捕獲棒で応戦する人間。捕獲棒がコリーの脳天を叩き割る血が、脳味噌が飛び散る。怒り狂った虎鉄はその人間目がけて、凄まじい跳躍、首筋に牙を喰いこませる。 「ぎゃあああ、」悲鳴が飛ぶ、 「撃て、撃て、撃ち殺せ」団長の命が下る。 パン、パン、パン、銃声が山間に木魂する。消炎の臭いが犬たちを狂気に走らせる。武蔵の軍団も怒涛の勢いで戦いの輪の中に加わる。だが、所詮は銃と牙の武器の差、犬と人間の壮絶な乱戦の戦いは、あっけなく人間の勝利に終わった。 死亡犬 15匹(銃殺11匹、撲殺4匹) 捕獲犬 7匹(怪我犬5匹、無傷2匹) 死亡人 1人(首筋損傷 大量出血) 怪我人 8人(咬みつき4名、転倒2名、落とし穴2名) 逃亡犬が何匹いたのかは不明、捕えられた犬たちも黙秘権を行使して、口を割らない。死亡犬の中に、リーダーの武蔵、虎鉄も含まれていた。虎鉄の遺体を悲しそうにじいっと眺めていたプードルがいたが逃走した。 犬の自由な天国はこうして消滅してしまった。所詮、人間にとって、自由に暮らす犬などは許されないのだ、自分たちの枠のなかで、自分たちを喜ばせる犬でなければ、生かしておいてはくれないのだ。 散り散りになった、仲間はどうしているのか、犬の革命はいつかくるのか、苦しい暗い戦いは続くのか、もう、奴隷以下の生活に戻るしかないのか。人間の傲慢な誤解の下で、犬の悲しい宿命は永遠に続きそうだ、人間たちの勝利の雄叫びが山に木魂していた。 「これで、安心して暮らせる、これからも犬たちを自由にしてはいけない。躾を厳しくし、逆らう犬は早めに処分、それが、我々の幸福を守ることだ」つづく作:朽木一空※下記バナーをクリックすると、このブログのランキングが分かりますよ。またこのブログ記事が面白いと感じた方も、是非クリックお願い致します。にほんブログ村
2012.02.06
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10 野犬狩り 犬の自由の王国に、襤褸に連れられて、虎鉄がやってきた。「こいつは、意地と恋で、人間との生活に別れを告げた奴さ」 シェパードの武蔵はリーダーらしく、「心強い味方がきたな、今この居場所も人間に狙われているんだ」 仲間の犬たちに挨拶をして、自由の国の住人となった虎鉄はもうひとつ嬉しいことがあった。 元気なポンコと再会できたことだった。もちろん、ポンコも嬉しくてしょうがない、尻尾がぶるぶる震えて止まらない。ポンコは磯野家のジャックと虎鉄が争った経緯も聞いた。虎鉄が桃子のことを忘れずにいたことも嬉しかった。 ポンコと虎鉄は野山を駆け、草むらに転がり、川で泳ぎ、唄を唄い、洞穴のベッドで過ごした。二人とも、幸せだった。もう、邪魔する人間はいない。子宮は無くても、ふたりは、プラトニックラブで結ばれていた。 しかし、この犬の自由な天国にも暗雲が立ち込めてきた。山里の住民が、、廃家に野良犬が住みつき、危険だと市役所に訴えた。 ≪危険な暴力犬、逃走中、見かけたら連核を!≫ 磯野家は写真付きの張り紙を電信柱に張り出し、虎鉄の姿も目撃され、住民の恐怖は増々高まっていた。市役所と警察、保健所、猟友会のメンバーで野犬捕獲対策本部が設置され、野良犬、野犬大捕獲作戦が繰り広げられようとしていた。 磯野家の順造も桃子の反対を押し切って、憎き、虎鉄、ポンコを捕えようと、そのメンバーに加わっていた。 「なるべく生きて捕獲するのが望ましいが、危険を感じたら射殺も止む無し」 メンバー二十数人は、早朝、銃、捕獲網 捕獲棒、携帯レシーバーを持ち、咬まれても大丈夫な網入りのズボンジャンパーで、完全武装し討伐に出発した。 犬の王国でも、見張り役の柴犬太郎の情報をもとに作戦会議が開催されていた。シェパードの武蔵はさすがにリーダーの貫録で落ち着いて他の犬に指示を与えていた。 「自由の国を守る戦いだ、全国の犬も注目している。この、自由の里が潰されたら、犬の自由が壊滅するぞ、人間に怪我を負わせるのはできる限り避けたいが、銃できたら、こちらも止む無し、牙を向けよう!」 ワンワンワン!ワンワンワン!雄叫びが山里を揺らしていた。つづく作:朽木一空※下記バナーをクリックすると、このブログのランキングが分かりますよ。またこのブログ記事が面白いと感じた方も、是非クリックお願い致します。にほんブログ村
2012.02.04
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9 許さざる者たち 新緑が濃い緑色に染まっていく季節はもう夏がそこまで来ていた。今日も、沢山の犬たちがドックランを駈けずり廻っていた。あれ? その、ドックランに磯野一家が来ていた。ラブラドールの虎鉄は、怪訝そうに首を傾げていた。磯野家は新しい家族、ゴールデンのジャックを連れてきていた。ジャックはもう成犬で従順に躾されているようだった。 「GO!PLAY!」 磯野家の父母は新しい愛犬に自信たっぷり、 「ジャックほんとに賢い犬だ、ポンコとは雲泥の差だな」 「桃子、よかったね、ジャックはどの犬よりスマートで強いのよ」 「でも、桃子はポンコに会いたい」桃子はジャックよりポンコに会いたかった。 「ジャックーは桃子の言うことをちゃんと聞いてくれるよ」 「番犬になって、桃子を守ってくれるんだよ」 虎鉄はゆっくりと磯野家の方に寄っていった。 「あっ、虎鉄だ、ポンコの恋人だ」 桃子は懐かしくなって思わず虎鉄の方に走り寄った。だが、磯野家は虎鉄を毛嫌いしていた。あいつがポンコの尻を舐めたから、何もかも、狂ったのだ。 「しっ!しっ!来るな、!」 と、順造は虎鉄を追い払う。虎鉄は我慢ならなった。ポンコを捨てて、替りの犬を自慢する磯野家が許せなかった。 「ううっ!」と唸って、睨み付けてやった。 「なんだ、この犬は生意気に!」、順造が石を投げつけた。石は虎鉄の眉間にあたり、血が滲んだ。虎鉄は順造の足を狙って牙を剥いた。と、その時、飼い主に絶対服従のゴールデンのジャックが猛然と虎鉄に飛びかかってきた。虎鉄は俊敏に体を交わすとジャックの首筋に鋭い牙をがぶっと喰いこませた。 「きゃあ、ぎゃああ、、大変誰か助けて」 虎鉄の牙はジャックの首筋深く喰いこんで、離さない、飼い主の親たちが四人がかりで離そうとしても離さない、 「ああ、ジャックが死んじゃう」 「どうにかしてよ、あん虎鉄の飼い主でしょ」 「虎鉄放しなさい、犬殺し犬なんてうちの犬じゃないわ、さっさと放しなさい、保健所のガス室送りよ!」虎鉄の飼い主も仰天している。騒然とした、ドックラン、ジャックの首筋から、血がしたたり落ちる。そこへ、秋田犬の襤褸≪ボロ≫がゆっくりと近づいてきた。虎鉄を睨み付け、「うっ!」と小さく唸ると、虎鉄は目が覚めたように、さっと身を引き、素早くドックランの外へ駈け出していった。 「救急車!早く呼んで!」 「虎鉄、待ちなさい、何処へ逃げるの、、貴方はもう保健所しか行くところはないのよ!」虎鉄の飼い主は本音を吐いてしまっいた。 ようやく、ドックランの騒動は収まった。桃子には虎鉄の気持ちがわかるような気がした。ポンコの子宮を奪い、ジャックを可愛がる磯野家が許せなかったんだ。 「ごめんね虎鉄、まだポンコのこと、好きだったんだね」桃子は明日も、明後日も、ずっうと、ポンコが帰ってくるまで、このドックランで待っていてあげようと心に誓った。 つづく作:朽木一空※下記バナーをクリックすると、このブログのランキングが分かりますよ。またこのブログ記事が面白いと感じた方も、是非クリックお願い致します。にほんブログ村
2012.02.03
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8 奴隷解放運動勃発!犬の残酷物語に終止符を! 自由の国の犬たちは人間社会で酷い仕打ちにあった犬たちばかりだ。だから、人間のいないこの場所が大好きだ、天国だ、幸せだった。可愛い、可愛いと撫ぜられ、抱っこされ、家族並みな待遇をうけるが、人間にとって、使用価値がなくなくなったり、自分の生活にとって、不都合になれば、虐待され、捨てられ、殺処分される。犬猫年間殺処分、二十万匹以上である。毎日、6千匹以上の殺人、人間の楽園を守るための殺人が行われている。 その名が「動物愛護センター」だって、ワンちゃん笑っちゃう!うんうん、しかも、人間は無罪、無罰、そして、愛の手で救おう犬たちを!と、のたまわる。犬と生活することは、人間にとって幸せなこと、人間と生活することは犬にとって不幸せなこと、犬たちのアンケートで、ダントツ一位は、 「人間がいない所で暮らすこと」 「 私たち家族はとても仲良く幸せに犬と暮らしているわ」 「犬の言葉は解らないけれど、犬の気持ちはよくわかる」 ああ、邪悪な人間もいることだ、犬は救われないのか。子供のおもちゃに買い与え、自由に操作できる喜びに浸る。人間のご機嫌取りで生涯を終える。犬の悲しみは自己陶酔愛の人間には理解されやしないんだ。 屁の役にも立たない洋服を着せられ、旨いものをたらふく食べさせられ、糖尿病にされた犬。檻に閉じ込め、鎖で縛り、お散歩に行こうといって、犬が喜ぶのを嬉しがる。一日中閉じ込められてるんだ、犬は恨んでいながら喜んで散歩する。吠えれば怒られ、黙っていれば番犬にもならないと罵られる。鬱病になって、車に飛び込んだ犬もいる、事故じゃなく、自殺する犬は増えている。犬のセラピーに通院させらている犬は、「人間から解放されたい悩みだと!」と、訴えたが、薬を倍増された。 レオは家族同然の暮らしをしていたが、家が新築された時 川辺に繋がれ、家に傷がつくという理由だけでそのまま捨てられた。チョコちゃんはもっと悲劇だ、バター犬にされて、毎晩バターを塗った婆の股倉を舐めされられる、ラブちゃんは酷すぎてとても書けない悲劇だ。 シンシアは我が子のように可愛がられ、いつも一緒に寝てたのに、飼い主が妊娠したら、さっさと捨てられた、飼い主が自分の子供を産むまでの代理慰め犬だったのだ。犬は人間が必要な時に利用され、必要がなくなれば捨てられる、 睾丸摘出や子宮摘出は犬のためだと平気で言う。爺婆の不要性器じゃないんだぜ! 犬にも責任がある、おべんちゃらがすぎるんだ、いつだって人間に喜んでもらおうと行動する。もう、我慢して、人間のおもちゃでいることはないんだ。全国の犬たちよ!立ち上がれ!犬の自由を勝ち取るために! 豚を見よ、牛を見よ、馬を見よ、食べなさい、おいしいよ、さあ、食べなさい、SEXしなさい、子供産みなさい、あなたは種豚よ!さあ、えっこら、えっこら、運動もしなくていいのよ、、食べて寝てSEXしてればいいの、何も考えなくてもいい、最高の生活よ、人間以上の待遇なのよ!ああ羨ましい!私もなりたいわ! 可愛い可愛い、大きく育てと煽てられ、最後に人間の餌になる。それが、あんたの人生よ!別れ際に涙を流す人間もいる、なにその涙? 人間は犬と一緒に暮らそうと本当に考えていたのか、可愛がるという虚飾に騙されてはいけない。 奴隷に対する支配者の気持ち良さ、制圧者の心地良さのための犠牲者がペットじゃないなか、命令に背く犬は捨てられるんだ、人間社会の縮図なのか、その腹癒せにペットを自由に飼いならそうとしているのか、犬は人間の欲求不満解消の手段にされている。犬は人間と生活していて幸せになれるんだろうか、犬の革命、犬の惑星が出現するかもしれない。 奴隷解放運動がおきても不思議ではない、犬はそんなに馬鹿じゃない。犬は今日も尻尾を振りながら、憎悪の感情を抑えて散歩されられている。散歩は嬉しくなんかないよ、その綱を放してくれたら嬉しいんだ。いつ、爆発して、あなたに飛びかかって咬みつくかもしれない、その時、人間が悪かったとあやまってほしい。犬はいつもいつも、可愛いだけじゃないんだ。檻を開けろ、鎖を外せ、服を脱がせ、つづく作:朽木一空※下記バナーをクリックすると、このブログのランキングが分かりますよ。またこのブログ記事が面白いと感じた方も、是非クリックお願い致します。にほんブログ村
2012.02.02
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7 犬のロックンロール 「武蔵のところだな」老人が呟く、襤褸はポンコに「ついてきな」と、目で合図した。いつも、だらだら歩く襤褸なのに、多摩川の土手を上流に向かって、疾走する。 川が山に囲まれ始めると、山道に逸れた。草をかき分け、木々を避け獣道を駆け昇り、跳躍する。ポンコは襤褸の後を辿る、もうくたくたである、時々、襤褸が心配そうに立ち止まって振り返る。「自由の里はもうすぐだ、もう一息」 辿り着いた所は人気のない荒れ寺だった。 襤褸が「うおおっ!うおおっ!」と、咆哮する。崩れかけそうな荒れ寺からぞろぞろ犬が出迎えに来た。「プードルのポンコもお前たちと同じ不幸な犬だ、頼むぞ」 襤褸がこの群れのリーダーの武蔵に告げると、「わあん、わあん、任せとけ」といって、ポンコの顔をペロッと舐める、尻の臭いを嗅ぐ、他の犬達も、次々に挨拶を交わす。ポンコも安心して襤褸を見る。 「じゃあ、元気でな!」 襤褸は、くるっと、背を向けると、獣道を疾走して消えた。 ここは、≪自由な犬国≫だった。もちろん群れの生活なのでで、リーダーのシェパードの武蔵のもと、犬の法律はあったが、人間の不自由さと比べたら比較にならない。 ≪俺たちは、自由さ尻尾を振ろうぜ!、シェキノベイビー、DOGロックンロール!ワンワン!! 自由の国に生きるのさ、尻尾を振ろうぜ 人間がいないけりゃ幸せなんだ、野山を走り、川で魚を捕り、鳥たちを追い回し、蝶や蜂と遊ぶ 固い絆で結ばれ、助け合う、恋をして、愛を語り合う、イエッイ!わんわん!DOGで踊ろうぜ! 家族で暮らせる幸せよ、人間どもが引き離す、でももう離れない、離さない。尻尾を振ろうぜ、ツイストしようぜ! DOGだぜ、ロックンロール!イエッイ!! 誰かと較べちゃいけないよ、ご飯のために犠牲になったり心を売ったりしないさ、そりゃ、人間のやることさ、おれたちゃ犬なんだ、鎖がないのさ、好きな時に散歩するのさ、檻に閉じ込められちゃ、恋もできゃあしないさ、 自分を裏切って尻尾を振るな、そりゃ、人間のやることさ、おれたちゃ自由な犬なんだ さあ、尻尾を振って踊ろうぜ!わん、わん、、わんわんわん ロックンロールで踊ろうぜ!DOGだぜ、 逆から読めばGODだぜ DOG、GOD、DOG、GOD わあん、わあん、ワンワンワン≫ 走った、跳んだ、踊った、泳いだ、遊んだ、知らなかった新しい世界≪自由の犬国≫の生活はポンコにとって、夢のような場所だった。犬にも、こんなに自由で尊厳を得られる生活があったのだ。いつまでもこの暮らしが続けばいいと願った。ドッグランの仲間にも教えてあげたかった。「うおおおん!うおおおん!」虎鉄にも聞こえるような遠吠えが山に木魂した。つづく作:朽木一空※下記バナーをクリックすると、このブログのランキングが分かりますよ。またこのブログ記事が面白いと感じた方も、是非クリックお願い致します。にほんブログ村
2012.02.01
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