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2026.03.27
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カテゴリ: 和上
念共讃裡(ねぐさり)抜粋序第一篇 求法
1.駅長をやめて来い

2.シャンとせぬ心

3.毛一筋の望み

4.後生一大事とは

5.楽屋住まい

6.浄玻璃鏡

7.ただ念仏して

8.火中の白蓮

9 信心と念仏

10-1 ご法席の和上 1-1

10-2 ご法席の和上 1-2



1 寒が明いた

2 六種震動の日

3 一等国民


4 譲りに譲りて

5 栖神浄域

6 ちょっとの事で

 7 松の影 その1

 直ちに座を勧めて合掌念仏。
 庵主旧懐もだしがたきか、時々和上ご在世を偲びて、その徳をのぶ。さすがに博多以来の古つわもの、言々句々うま味尽きずして時の過ぎるのをも知らず。
「このお念仏する時の態度について、和上がこう仰しゃった事がありました。これは誰も聞かれんようですがーナ・・・・・。」
「念仏する時は下腹に力を入れて姿勢を正して・・・・・」となアー。
和上はいつもその人々に応病与薬されたので、ご法席では常に、
「行儀じゃないのが行儀―、お念仏申すのが一番の行儀じゃでー。」
と自ら安座された事さえありましたがー、私には特にそう仰せられました。
それ以来体の具合もようなり、病も漸次駆逐せられましてなアー。」
 時に松籟好菓を呼んで、老嫗(ろうおう)の堂に入る茶道、
いと慇懃に茶を勧められつつ、
「和上様がなアーよう
『寺に法がなきゃ悪魔の住まい、在家に法がありや古刹の道場。』
 と仰せられました。それになア。」
たまたま良寛の書風に及んで、秘蔵の一軸を拝見する。貞心に与えたる和歌なり。
「和上が『字や画(え)を見て、その書いた人の人格が見えぬようでは・・・・・』と仰ったが、なかなか字体や画法だけではなアー。」
 和上の書体より話は転々して、また和上のご在世を偲ぶ。庵主愛玩の香炉を撫して曰く、
「ズット昔、ソラまだ関西線の敷けなんだ頃ですがー、和上の居間で、
『水谷さんー松の影さえ見えりゃシメタもんじゃわなアー。』
とーこの味数十年も解せませんでしたが、漸く頂けるようになりましてなアー。」
「―――。」
 何の事やらサッパリ方角すら立たない自分を見かねて、あご突き出して、
「ソラそうじゃわなアー松の影の見えるのは月が上がったからじゃはなアー。」
 この一言にハタと心の内に膝打ちして思い浮かぶ「松影のくらきは月の光かな」の一句、己が黒暗無双の胸中、たとい一分たりとも知りうるは、慈光はるかにこうむれる故かな。
ああ無明、長夜に月の早や既に登れるにと、己が不法を恥じ入りつつ感慨うたた禁ずるを得ず。低頭合掌庵を辞す。





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最終更新日  2026.03.27 12:00:06


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