成定 竜一~高速バス新時代~
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時間の流れがどんどん早くなるこの時期は嫌いではないが、今年はそれを楽しむ余裕はない。高速乗合バス、高速ツアーバス双方の仕事が同時並行で進んでおり、本ブログも放ったらかしで申し訳ない。前回の更新以降の変化といえば、関越道事故の運行会社社長の公判があり、それがらみで報道の小さな山がきたこと。私もテレビ朝日系『モーニングバード』にスタジオ生出演させていただいた。例の事故以降、新聞雑誌のご取材やテレビのインタビュー収録に加え、スタジオで生というお仕事を何度かいただいている。きっかけがきっかけだけにあまり誇らしいとは思えないが、とはいえ普通なら経験できない貴重な機会。また業界の取り組みを多くの方に知っていただくという意味でも重要な役割。今回も出張先で電話を受け、翌朝の出演のために急遽一度東京に戻り、出演が終わるとそのまま出張先へとんぼ返りで対応した。ちなみに数か月後には高速ツアーバス各社が「高速乗合バス」に業態転換する。この様子だと停留所問題解決と同時に各社一斉に申請に入り、原則同時に乗合として運行開始するだろう。その時また報道の「山」が来るはず。いやそれを作るのも私の仕事。今は事故がきっかけでいただいているテレビ等の仕事の経験や人脈だが、その際にはいい方向で役立つはずだ。そしてその「山」にうまく乗るかどうかは、「既存組」高速乗合バス各社も含めそれぞれの会社の姿勢しだい。<ツアーバスの連中はメディア使うのがうまいからなあ>などという愚痴は通用しない。その時点では既に高速ツアーバスではないのだから。さて話は変わって高速乗合バス事業者へお邪魔して最近よく聞かれるのが、<どの予約サイトが一番いいのか?>というご質問。よく聞いてみると、「基幹システム」「自社予約エンジン」「他社予約サイト」がごっちゃになっている方が多い。京王がSRSと「楽天トラベル」の連携の予定を示し、「高速バスドットコム」が「発車オーライネット」と連携を開始。さらに「じゃらんnet」がそれに続くことを表明したことで各社の関心が一気に高まった。まず基幹システムと自社予約エンジンについては、愛好家(事業者ではなく)の皆さんの中でも、「どれかに一本化すべき」という意見が多い。たしかにそれはウツクシイ。だがいずれかのシステムに一本化した瞬間、システム間の競争がなくなり業界全体の足を引っ張り始める。全国どの事業者の高速バスも同一のシステム、サイトで扱えるのは一つの理想だが、それよりシステム同士の切磋琢磨が業界を育てるという競争の価値の方が大きい。今後、ダイナミックプライシング、予約サイトとの連携強化など基幹システムに求められる要求は多様化する。コンビニチェーンの業績を実はPOSシステムが握っているように、高速バスの好不調を基幹システムが決める時代が来る。さらに現在高速ツアーバス向けの基幹システムが乗合対応すると、彼らは宿泊等とのパッケージ販売などに一日の長があり、さらに機能は多様化する(もっとも、宿泊等とのパッケージ化は、基幹システム側で対応するより、楽天やじゃらん等の旅行予約サイト側で対応する方が利点は多いだろう)。また自社予約エンジン(サイトとしての「発車オーライネット」や「ハイウェイバスドットコム」)と他社予約サイト(「楽天トラベル」など)を一緒に語る人が多いが、それぞれの役割は明確に理解しなければならない。自社予約エンジンは、あくまで、各事業者が集めた利用者に対し、簡単にわかりやすく予約まで行ってもらうことが最大のミッションだ。実は宿泊予約の分野では、この自社予約エンジンに多少の変化が起こっている。従来、ホテルの自社サイト(ホームページ)は静的ページ(客室などの詳細を画像入りで美しく見せ説明するページ)と予約エンジン(空室数や価格など常時変動するデータを表示しつつ、予約を受け付けるシステム部分)が明確に分かれていた。「予約」ボタンを押すと別ウィンドウで「いかにもシステム」といった愛想のないページが開くイメージだった。しかし最近ではAPI化などにより、その境目がだんだんなくなってきた。結果、予約動線がスムーズになるとともに、空室状況や価格など「利用者が実際に知りたい、かつ、リアルタイムに変動するので静的ページでは表現できない情報」が手前に手前に出てくるようになった。高速バスでは自社予約エンジンに対し楽天のような予約サイトの役割を担わせようとする人がいるが、これでは自社サイトを見て予約する気になっている利用者が予約まで辿りつく動線を複雑にする一方で賛成できない。だいいち、予約サイトが圧倒的な集客力を持つのは相応の「集客手数料」収入がありそれを集客に再投資できるからである。「システム利用料」レベルに過ぎない基幹システム/予約エンジン運営者の収益では集客力の強化には限界があるし、それを狙うあまりシステム利用料率が上がってしまえば本末転倒である。一方で予約サイトだが、複数のサイトが切磋琢磨することでレベルが上がることは明白だし、各事業者も、基幹システムとの連携でオペレーション負荷がなくなる以上、多くのサイトと契約した方が得なことは当然だ。ヨーカドーだけで売っている商品より、イオンでも売っている商品の方が売れるのは当たり前。ただ「在庫の持ち方」は慎重に設計しなければならない。一部の基幹システム側がその件を軽く考えている点には憂慮している。ちなみに、一部のご担当者に、<楽天や高速バスドットコムは、ツアーバスを扱ってきて後から乗合も、というのはけしからん>という声があるとも聞く。あきれた話だ。両サイトとも、最初から乗合を取扱いたいと明確にメッセージを発信してきたのに、それを断り続けたのは「既存組」高速乗合バス各社の方である。もっとも、<5年はかかる。いや10年>と言われた楽天での高速乗合バス取扱いも、結局3年で実現している。もうあと2年もすれば、<あの時そんなこと言ってたなあ>と、その方々も苦笑いしているはずである。
2012.12.18
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