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『ニューモデルマガジンX』5月号で、「ツアーバス+路線バス=新制度 “新高速バス”への道のり」と報じていただき、私のコメントも多数採用いただいた。同誌では昨年10月号においてもこの問題を取り上げていただいており、今回はその続報。クルマ好き以外の方はこの『マガジンX』をあまり目にする機会がないだろうが、ほとんどのコンビニでも売っておりかなり部数のある雑誌。誌面は乗用車の新車情報がほとんどを占めるが、以前から社会的な問題についてもよく掲載されている。このような媒体でご紹介いただけるのは、バスに直接かかわらない大勢の方にも新高速バスのことを知っていただく貴重な機会。記事では、そもそもこの問題をご存じない読者向けに、「路線」「ツアー」両業態や問題になっている内容、そして一本化の方向性についてコンパクトにまとめられている。そのうえで、これまで取り上げていただいた他の媒体と少し違うなと感じるのは、以下の二つのコメント。<(バス停の配分について)「どうしても揉めた場合は公正取引委員会にかけることになるかも知れません。実際、過去には福島県では新規参入のバス会社に対し取り合わなかったと既存のバス会社に排除勧告を出したケースもあります。しかし、そんなことにならないようにしないといけない。業界の恥ですから」(成定氏)>。そしてもう一つ。<あるバス事業者の会合で、某バス会社のお偉いさんが『いつになったらツアーバスを禁止してくれるのか』と国交省の担当者にせまっていました。しかし、国交省の担当者がニュアンス的に独占禁止法を持ち出し『既存のバス会社が既得権益ばかり見ているのは問題ですよ』と返して会場がシーンとなりました」(業界事情通)>。既存事業者にすれば、特にバス停は、「先祖代々受け継がれてきた大切な資産」であり、その権利を守ることこそ自らの生き様であるはずだ。各社とも、そのために多大な努力も払ってきたことだろう。そして目の前の利益だけを追うのではなく、地域公共交通を維持するために儲からない事業も継続してきた。私自身、その姿を尊いと感じる気持ちに嘘はない。だがしかし、社会はもっと複雑で、ある面から見れば尊いことも、別の面から見れば批判の対象になってしまうことがある。同じことは、既存事業者の事業モデルについての発言にも言える。「バス事業のあり方検討会」では何人かの委員から、<高速バスだけ切り出して考えるのではなく、「平場」の路線バス維持も含め総合的に考えてほしい>という意見があった(先日の記事に書いた、当時の国鉄の意見とうウリ二つだ)。もちろん、言いたいことはよくわかる。<高速バスの利益で「平場」の赤字を埋めることで地域公共交通を維持している。(だから高速バスの競争を制限してほしい)>という考え方は、一つの考えとしては理解できるし私自身もその姿に共感したからバスを好きになった。けれどもそのモデルは、年間100億人を超えていた路線バス輸送人員が急激に減少していく中で、70億人とか60億人とかの時代に有効だったモデルに過ぎない。既に40億人を割り込んだ今、地域や事業者によって差はあれど、同じモデルは通用しづらくなっている。さらに、土地の値上がり神話崩壊や地元金融機関の経営環境変化など外部の環境も大きく変わっている。それを受け10年前には道路運送法さえ改正された。地域公共交通ネットワークにとっての「全体最適」は、必ずしも既存路線バス事業者の保護とは限らない。あえて矮小化して言えば、既存事業者が従前のやり方で運行し、そこに自治体が欠損補助を行なうよりも、利用者側の視点でルートやダイヤを引き直し、自治体が貸切専業者やタクシー事業者に運行委託する形を取った方が、利用者にとっても喜ばれ自治体のコストも下がるという可能性は十分以上にある。下手をすれば、<既存バス会社は一度全て解体!>という意見さえ出てくるかも知れない。非現実的な話ではない。バス同様に公益性が大きく地域独占制を取ってきた電力業界については、現にそのような考えがメディアを賑わしているではないか。無防備な発言を繰り返せば、意図しない結果を導く恐れがあることだけは理解いただきたい。この『マガジンX』のような報道に触れて、そのことを学んでいただきたい。一方、私は実は、「眠れる獅子」既存事業者の底力にまだ期待をしている。地域公共交通を考える上で、運行ノウハウも、地域住民のニーズも、それを知っているのは自治体ではなく事業者であり、そこで働く一人ひとりだ。だからこそ、それらを貴重な「資産」として捉え、地域住民のために、そして企業としてのバス事業者のために、それぞれ最大限に活用できる仕組みを考えていかねばならない。さて、本日から3日間は出張で、現在も某高速バスの車内である。所要3時間の区間にどのような車両を入れるべきか迷うところだが、競合が激しいこの路線では夜行路線から転用した3列独立シート車が来た。たとえブログを書くだけとはいえ、車内でPCを開くには4列シートでは少し厳しく、その点では間違いなく競合先との差別化になる。一方で座席表を覗き込む限り満席のようで、つまりは定員が少ない分、満席で断ることになった利用者がいるはずだ。あるいは、皆が3列シートを望むわけではなく、4列でいいから数百円でも安くしてほしいという利用者もいるだろう。それら多様なニーズにどう応えていくか。これからは、気を抜いた者は脱落していくことになる。だがその競争こそが、護送船団方式による保護などよりも何倍も何十倍も、業界と各事業者を強くしてくれるはずである。
2012.03.26
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本日、「バス事業のあり方検討会」最終回が無事に終了した。一昨年12月に初回を開催して以来、1年3ヶ月。一時はどうなることかと思うほど議論が荒れたこともあったが、最後の数回は驚くほど平穏で、本日も「最終報告書」の文案について粛々と議論が進んだ。座長の竹内先生をはじめ、事務局を担われた国土交通省自動車局旅客課の皆様も、いろいろ気疲れもあっただろうが、最後はあるべき姿へよく導いてくださったと思う。深く感謝。最終報告書については、これから細かい修正などを経て4月上旬をめどに発表されるだろうから(ちなみに、パブリックコメントの募集も最終報告書発表と同時になる見込みとのこと。予定から数か月遅れている。制度改正を前提に新年度の事業計画を立てておられる数社にとっては施行日が気になるところだが、運賃制度は5月ごろ、管理受委託は夏ごろではないだろうか)、報告書の内容についてここでは詳しく書けない。ただ、細かい点を除けば、おおむね本ブログや専門紙等で伝えられてきたほぼその通りの内容である。思えば、今からちょうど6年前の4月1日に、私はホテルから楽天に転職した。今の私からは想像できないだろうが、その時点では私はガチガチの「アンチ・ツアーバス論者」だった。それでも、まずは高速ツアーバスをサイト上で取扱うと発表したばかりの楽天に転職を決めたのは、ぼんやりとだが、頭の中に一つの絵が浮かび上がってきていたからだ。そのさらに5年前、私はホテルの担当者として、楽天トラベルの前身である「旅の窓口」をはじめとしたウェブ宿泊予約と、RM(レベニューマネジメント)に出会った。実は仕事をがんばり過ぎたのか、もともと線の細かった私は、体調を崩して2年間も会社を休ませてもらっていた。なんとか復帰した先が、ウェブ予約やRMの部署だった。部署と言ってもその時点ではまだ正式な組織ではない。宿泊予約の管理職の方が片手間にやっていただけだったのが、それらが急速に成長し手に負えなくなり、<とりあえずアルバイトでいいから補佐役を>と要望を出していたらしく、私はその「アルバイトの代わり」だったのだ。最初は上司の指示通りに在庫出し入れ(全客室中何部屋を自社サイト、何部屋を楽天や一休、じゃらんで売るかの登録作業)などを無感情にやるだけだったが、ある程度まで判断も任せてもらえるようになったところ楽しくて仕方なくなり、気が付いたら数字もどんどん上がって、<数字を上げてくれるヤツ>という評価を社内でいただけるようになった。そんな中、趣味の分野で付き合い続けていた高速バスに、このウェブ予約やRMをなんとか導入できないかと思い始めた。部屋(席)を旅行会社に預けっぱなしにするのではなく、ホテル(バス事業者)の側でどの販路で売りたいかを能動的にコントロールする。手数料率や販売力、予測稼働率を見比べながら、売上が最大になりコストが最小になる組み合わせを自ら選んでいく。それどころか予測稼働率や競合の価格を見て、価格さえリアルタイムに上下させる。サイト上の表現一つや、メールマガジンなど広告ツールの活用で、自ら積極的に潜在需要にアプローチする。そして、結果は常にリアルタイムで追いかけてくる。<楽天、高速バス予約事業参入>という新聞記事を読んだとき、したがって、私の頭の中には、高速路線バス各社の予約センターのスタッフが、楽天トラベル等の管理画面に向かって運賃や在庫(販売可能席数)をリアルタイムにコントロールする図が、ごく自然に、ぼんやりと私の頭の中に広がった。過去データや受注状況から細かい分析を行ない、続行便の設定台数について精緻な検証をしている映像も思い浮かんだ。特に、学生時代のアルバイトで深くかかわった中央高速バス富士五湖線について、夏の繁忙日など車両と乗務員の不足で続行台数にキャップがかかっていたのを知っていたので、帝産やKMといった老舗貸切専業者の車両が京王や富士急行の続行として「西口」を出発するイメージが、まるで「ぼかし」の入ったテレビ映像のようにぼんやりと目の前に浮かび上がってきた。もちろん、その時点では、それらは現実的な構図とは言えなかった。私自身はその時点で、<制度を変えてやろう>と考えていたわけではない。考えていたわけではないが、<いつかそうなっているのではないか? だとすれば、ぜひ実現したい>とは思った。その後私は、いったんそのことは忘れた。目の前にある仕事として、「ヒヨコ」に過ぎなかった高速ツアーバス各社を営業的に成長させることをまずは考えた。次に、楽天自身の事業上のリスクを最小化するためにも、ツアー各社の永続的な成長のためにも、団体を作って業界を整序化することに努めた。そして「あり方検討会」の委員にご指名いただき、あるいは一委員としての枠を超えて新制度策定のお手伝いをさせていただく機会に恵まれた。あの時、6年前、ぼんやりとしていた映像が、いまピントが合って鮮明になろうとしている。「アンチ・ツアーバス論者」という「自画像」を否定した所から、全てが始まった。楽天がまず高速ツアーバスを徹底的に育て上げたことで、いったんは高速路線バス各社から背を向けられたことは事実だが、価格設定と供給力確保の柔軟さが、高いマーケティング意識(ウェブマーケティングの活用や柔軟な発想など)と結びつくことで、高速バスにさらなる成長余地があることを示すことができた。「あり方検討会」委員の皆様も、立場を超えてその点はご理解くださったと思う。その結果、ぼんやりと思い描いた映像が、結局は高速路線バス各社においても現実のものとなろうとしている。とはいえ、まだ制度という「ハコ」が出来たに過ぎない。高速ツアーバス各社がハードルを乗り越え乗合に移行し、また既存高速路線バス各社が新制度の柔軟さを活用し事業を成長させるには、まだもう少しの時間と努力が必要だ。そのための支援は惜しまないとともに、いつかどこかで、私自身の「いまの自画像」を、もう一度否定することが、高速バスの「次なる変革」を運んできてくれるのかも知れないと、いまそう感じている。
2012.03.23
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私の所に、友人から古びた雑誌が2冊まわってきた。『鉄道ジャーナル』1980年11月号(特集「鉄道と自動車―鉄道のサービスを考える」)と85年5月号(特集「高速バスと鉄道―列島を駆ける“高速バス”の脅威」)。鈴木文彦先生の「バスコーナー」を中心に立ち読みで済ませる(失礼!)同誌だが、この2つの特集はウワサに聞いていてぜひ目を通したかった。どちらの特集も、私にとっては懐かしい中央高速バスの乗車レポートがメインになっている。もっとも「懐かしい」と言っても私がバスに出会う前の話なのだが。古本屋の匂いとともに目次を開くと、意外にも慣れ親しんだお二人の名前があって驚いた。前者では、『バスラマ』の和田編集長、後者では今もバスコーナーを担当する鈴木文彦先生である。まず和田編集長(といっても『バスラマ』創刊前で個人名での寄稿)は、『長距離路線バスの発達史』。私の定義でいう「第1フェーズ」後半の時期なので、「中央高速バス伊那飯田線」も「ムーンライト」も「ノクターン」も、その後に続いた無数の(共同運行スタイルの)高速バスはまだ生まれていない。交通公社(!)『時刻表』を基にしたという「主な長距離バス」一覧も、釧路~羅臼、高知~牟岐といった「長距離の平場路線」がほとんどだ。その中で、今日でいう「高速バス的」路線といえば、国鉄バスなどの東名・名神・中国高速線、東北急行バス・九州急行バスなど沿線合弁型専業者の路線、そして富士急行・京王帝都電鉄の富士五湖線など「運輸協定による相互乗入路線が、高速道路開通により高速バス化した」路線と、全国でも数えるほどだ。特集のメインに当たる乗車レポートも、その富士五湖線と国鉄(急行「かわぐち3号」…へえ、そんなのがあったのか)の比較である。だが後者になると、わずか5年後に過ぎないのに時代は大きく変わっている。前者の乗車レポートでは「学生団体が持ち込んだラジカセから聞こえる『アリス』『クリスタルキング』」が、後者では「ウォークマン」に変わっているのはいいとして、登場する高速バスには、まさに「第2フェーズ」(私の定義では1984年ごろ以降)初期の勢いが明確に現われている。特集のメインである鈴木先生による中央高速バス伊那飯田線の乗車レポートには、ハイデッカー化し快適さを増した車両や、きめ細かい乗務員の接客が克明に描かれている。この2冊を読み比べると、何よりもわずか5年で高速バスの存在感が大きく変化した図が手に取るように伝わってくる。前者に収録されている有識者の座談会では、国鉄の営業課長から、<私たちにとって、「路線バス」より「貸切バス」が明らかに競争相手という認識ですね。特に団体、例えばスキーバスとか観光地へ行く団体のバスとか、甲子園の応援団輸送バスとかは完全な競争相手>と発言があり、そこでは高速バスは何ら意識されていない。それどころか、<東名道路の国鉄のバスが東京から名古屋・大阪までロングランしているのは私もちょっと疑問に思います>という発言に代表されるように、幹線輸送は鉄道が担いバスはフィーダーに徹するべきで、輸送モード同士の競争はよしとされていない。だが5年過ぎた後者の特集は、そもそも特集のサブタイトルに「脅威」とあることが象徴するように、明確に鉄道のライバルとして認識されている。鈴木先生の乗車レポートが、<泥まみれのボディにその健闘の跡を見せながら静かに去る高速バス…国鉄は何かを学び取る必要があるのではないだろうか。>と結ばれているほか、他の記事でも、<ローカル線と地方都市間バスの競争――、もっと熱い闘いをくりひろげてもらいたいというのが、私たち利用者の本心である…>といった表現がいくつも並ぶ。それだけではない。有名な「中央高速バス問題」も詳細に記されている。伊那飯田線は本当に「難産」で、<しかしスンナリと認可にはいたらなかった。安くて速い高速バスが認可されれば、競合する飯田線(成定注・鉄道)の維持・発展ひいては中央東線の優等列車にも重大な影響がおよぶと危機感を強めた国鉄が“待った”をかけたからである。国鉄は地元に対し「(中略)たんにバスが安くて便利という視点のみでなく、飯田線の将来をどうするかという問題をふくめた県内の総合交通体系のなかで高速バス問題を考えてほしい」と訴えてまわ>ったが、地元はその姿勢に大きく反発した様子も描かれている。なお結局は、<「国鉄への影響が伊那谷住民の利便を高める高速バス運行を妨げる理由にはならない」との運輸審議会の判断で>高速バスは認可される。だがそれにしても、その論争における双方の言い分、そして行政サイドの最終判断、いずれも、まるで私自身が今かかわっている「例の問題」と二重写しに見えてならない。この特集の中で鈴木先生が、<同高速バス認可にあたっての運輸審議会の判断の中にも「国鉄も競争相手をつぶすことを考えるより、自分のほうをより便利にすることが先決」といったふくみが読み取れる>としており、片や、<高速バス側での対国鉄の考え方は、多くのバス会社で一致して「ほとんど意識していない」>というところまで、「国鉄」を既存の高速路線バス事業者、当時の「高速バス」を高速ツアーバスにそのまま置き換えても使えそうな言い回しだ。四半世紀を経て、当時は「攻める側」だった高速路線バス各社は「守る側」に移り、新たな「攻める側」から防戦一方という構図が明確に浮かび上がる。この件に関し私の立場は複雑なわけだが、「ツアーバス側の私」としては言いたいこともある一方、「既存事業者側の私」としては、この2冊に出会えて力づけられたのも実は事実。路線バス各社が、国鉄の横やりをかわし、事業者同士の権利調整(会員制バス問題を含む)を乗り越え、運輸省と調整して自らの腕で「共同運行クローズドドア制」という画期的なシステムを定着させたうえに、後者の特集にあるような「ムーンライト」などの豪華車両、無線によるタクシー予約サービスなどきめ細かい接客により、新境地を開拓してきたことは間違いない事実。後者の特集で国鉄の常務理事がお書きのように、<現時点での長距離バスによる国鉄の旅客営業への影響・打撃も、よりよい交通体系をつくりあげるための刺激であり陣痛であると受け止めたい>と、既存の高速路線バス事業者の一人ひとりが感じることができたとき、我が国の高速バスの、新しい歴史が動き始めるはずだ。
2012.03.14
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ホテルで営業(セールス)の部署にいた頃、取引先に宅配便を発送する機会が非常に多かった。何度となく宅配伝票を書いているうちに、変な話だが伝票の書き方に異常にこだわるようになった。某大手宅配業者の伝票の受取人の欄は、4行分ある。相手が個人なら住所と名前だけでは余るほどだが、法人だとスペースが微妙に足りない時がある。その際に、長い住所や会社名、部署名や役職などから、どれをどのように「はしょる」か。例えば「楽天」とか「JTB」とかいう大企業の本社に送る際は、住所はなるだけ簡潔に1行にまとめる。「1丁目12番」なら「1-12」。場合によってはビルの名前も省略。住所とは別に郵便番号なども記入しており、配送センターではそれらを機械が読み取り自動的に荷物を仕分けると聞いたこともあるし、それら大手企業の場合はわざわざ長々と住所を書かずとも、配送センターや担当ドライバーさんなら「この会社ならあのビルの何回のメールセンターに届けて…」というのをよく知っているはずだ。むしろ、それで余ったスペースに部署名などを丁寧に書き、会社に荷物が届いた後、社内で部署ごとに仕分けをする総務系の部署やメールセンターのスタッフにわかりやすいよう配慮するべきだ。一方で、雑居ビルの上の方の階にあるような中小企業(例えば高速ツアーバス企画実施会社)あての場合は、住所やビル名とか、「●階」などというのも丁寧に書くべきだろう。むしろ、社内の仕分けは簡単だから、部署名などを簡潔にする。長い住所のどこで改行すれば忙しいドライバーさんが一目で理解しやすいか、など、こだわり出したらキリがない。同じような配慮は、社内のスタッフに対しても必要だ。以前働いていた会社で世話になった財務経理部長が、<社内でも、前工程と後工程はお客様>と洒落たことをよく言っていた。フロントサイド(営業マンや現場スタッフ)は、バックサイド(経理や総務)に丸投げではいけないし、バックサイドはフロントサイドの動きをよくするためにはどんなサポートをすべきか心配りが必要だ。もちろん、「情けは人のためならず」。相手のことを慮ることが、結果として相手のミスを減らし自分の好成績やクオリティの高いゲストサービスにつながるし、相手も同じような配慮をしてくれれば、自分の仕事の手間が一つ減る。高速バス事業でも、同じことが言える。もちろん、本社と現場、事務所と乗務員の関係においてそうするのは当然だ。その上で(朝礼のスピーチならここまででいいわけだが、このブログでは少し踏み込んで)あと二つ、「(これからますます重みを増す)予約サイトとの関係」と、「共同運行先との関係」について同様の配慮をすべき、とあえて書きたい。楽天トラベルで販売する高速路線バス事業者が順調に増え(そういえば私の地元の山陽電鉄もついに登場)、高速バスドットコムやじゃらんネットでの販売も検討が始まったのは嬉しいことだが、それら予約サイトを「打ち出の小槌」と感じている事業者を時々見かける。<楽天さんに任せた>では売れるはずもないし、仮にそれでたくさん売れてしまったら今度は数年後に、<楽天に「搾取」されて安全面に投資ができない>などと泣き言を言うことになる。特集ページで露出したりメールマガジンで紹介したりして、予約サイト側が「売りやすい」商品、「売ってやりたくなる」事業者とはどんなものか、常に先回りして想像し、予約サイトとの関係性を構築していただきたい。共同運行先とも同じだ。大都市側のハブになる事業者と、地方側事業者では置かれた環境も大きく違う。大都市側事業者にすれば、<多くの路線、共同運行先の「面倒」を見ている>という意識になりがちだし、事業全体における高速バス事業の占めるポーションも大きくない。一方で地方側事業者にすれば動きの遅い大都市側事業者にイライラしつつも、万一にも共同運行を解消されたりしたら東京や大阪に入れなくなるから何も言えない。だが両者の関係は本当にそうなのだろうか? 何度も書いていることだが、高速バス利用者の内訳は圧倒的に地方在住者が多い。つまり、顧客を握っているのは地方側事業者なのである。考えて見て欲しい。「●●交通」(●●はだいたい都道府県名や旧国名)が仮に大都市側の共同運行先を「乗り換え」たとしても、●●県の乗客にとっては、<あ、東京のバス停の場所が変わったのか>程度の反応だろう。彼らは「おらが街の●●交通さん」に乗っているだけなのだから。大都市側事業者にとっては、顧客を握っている地方側共同運行先こそ、自らをご指名くださっている重要な「お客様」である。もちろん、地方側事業者は傍若無人に振る舞えと言っているのではない。お互い相手の立場を理解しようという前のめりの姿勢でいて欲しいのだ。もっとも、大都市側事業者への愚痴を言う代わりに共同運行先を本当に乗り換えてみる、くらい本気ならアリだと思うが。さて一昨日に四国から戻ったばかりだが、東北の某社訪問に際し前日から高速バスを乗り継ぎながら北上中。こんなことをやっているから仕事が滞るんだと、もう一人の自分(と、これをお読みに違いない各クライアントの影)に叱られながらも、「現場感」だけは捨てられない。実はいま乗車中であるバスの事業者の社長さんには、来週、また出張してきてお目にかかるのだが(今日はたまたま乗っただけ)、実際にこの地を見て、乗って、何をお話しすべきか少し見えてきた気がする。それに高速の上り勾配では喘ぐエンジンをいたわりながらも、市内では勝手知った車線変更で回復運転に努める乗務員Eさんに拍手。窓の外では、一面に広がる真っ白な雪が、春の日差しを浴びてキラキラと輝いている。
2012.03.01
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