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NHKの7時のニュースをつけたまま夕食の支度をしていたら、突然「人生のメリーゴーラウンド」(『ハウルの動く城』のテーマ曲)の曲が流れてきて、(え?)と思いました。TVに目をやると、本当に『ハウル』の名場面集が流れているではありませんか。今日のニュースの中に、「昨年の映画興行収入が過去最高に」というトピックがあったのですね。11月末に公開された『ハウル』が200億の興収で年間1位、というのもすごいですが、このニュースには正直なところ、違和感も感じます。映画を見た人の数が増えたのは、つまりはシネコンの数が増え、シネコンでかかるような大資本のロードショー映画でヒット作が多かったから…という図式は明らかです。私の故郷である横浜では、去年老舗の映画館の閉鎖という寂しいニュースが相次ぎました。また、現実に私自身も、ミニシアターなど全くない地方に住んで、映画館=ショッピングセンターのシネコン、という状況に置かれています。そうすると、「映画が見たい」と思ったときに、見に行ける映画の選択肢は本当に限られてしまいます。最近は、心から見たい!と思う作品は地元での上映がなく、「○○でも見ようか」と言ってシネコンに出かけて見る映画の方が多くなったように感じます。今年に入って、一番腹立たしかったのが、「カンフーハッスル!」の公開方法について。実は夫も私も、チャウ・シンチーの徹底的にくだらないカンフーギャグ映画が結構好きで(子どもの頃、『Mr.Boo!』シリーズの洗礼を受けた影響では?と自己分析しているのですが)、『少林サッカー』はDVDまで購入してしまったほどなのですが、地元のシネコンに勇んで出かけようとしたら…字幕版の公開がない!この映画、全国的に見ても、吹き替え版しか上映しない映画館がかなり多いのですね。あ然としました。あの、途方もなくばかばかしいシチュエーションがこれでもか、これでもかと続くチャウ・シンチーの映画は、中国語で見るからこそ最高の雰囲気で楽しめると思うのですが…吹き替え版なら、わざわざお金を払って映画館で見たりせず、TVで放映されるのを見ればいいのでは、と私たちは思ったので、この作品を映画館で見るのはあきらめました。こういう発想も、シネコンの「サービス感覚」の延長戦上にあるものなのでしょうか?買い物ついでに家族で楽しめる娯楽、もちろんそれもとっても大事なことだけれど、一方で「大人の楽しみ」としての映画を取り巻く環境も、大切に守ってほしいな…と思ってしまうのでした。
2005.01.31
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三ヶ月ぶりの美容院に行ってきました。今、ストレートで「なんとなく伸ばしっぱなし」のセミロングという私の髪型。こまめにカットする必要がない上、転居に伴い行きつけのサロンともお別れしてしまったので、久しぶりの「美容院の匂い」に心が浮き立ちました。(もともと、美容院に行くのは大好きなのです。特にシャンプーしてもらうときのあの気持ちよさが)私は、カットのあいだ美容師さんとはほとんど話をしません。お願いしたいことのリクエストを済ませた後は、貪るように雑誌を読んでいます(笑)私の年代からして、「オレンジページ」や「ESSE」など、生活の知恵盛りだくさんの雑誌を用意してくれるときもありますが、せっかくきれいになるために来ているのに、節約おかずや収納のアイデアを読むのはつまらない。ということで、「目の保養」と称して、選ぶのはファッション雑誌。とくにお気に入りは「VOGUE」の日本版です。ハイファッションを扱う雑誌は、写真の美しさやセレブの近況を伝える記事はもちろんですが、パーティの取材記事というのが意外と面白くて、好きなのです。とにかく、どんなお店のパーティにも必ずといっていいほど顔を出してる人っているんだなぁ…とか、あの女子アナさん、こんな大胆なおしゃれをするのね!とか、この人とこの人って仲良しだったの?とか…ゲストたちの小さなスナップ写真と紹介文を追いながら、「へぇー」「へぇー」と心の中でボタンを押している私です。今日読んでいたVOGUEでは、「ヒステリックグラマー」の20周年記念(?)のパーティの模様が紹介されていました。クラブイベントのような盛大なパーティだったようで、ゲストも皆さんハイテンションで写真に撮られていましたが、中でも目を引いたのが、YOUさんと夫君の俳優、松岡俊介さんの写真。この二人が結婚してお子さんもいるというのは知っていましたが、2ショットの写真を見るのは初めて。しかも、ご機嫌で大笑いしているご主人に横からしがみつくようにして、YOUさんが頬に「チュッ」とキスした瞬間の写真でした。わー、こういうのってすごく素敵かも。と思えてしまうほど、小さなスナップからお二人の「幸せな時間」があふれていました。十代、二十代の若い恋人たちじゃなくて、結婚して長い時間を経た大人の夫婦が、人目も気にせずそういう風にはしゃいでる姿が、とてもチャーミングでした。欧米では、キスは親愛の情を示す仕草として、とても自然に大人のカップルの間で交わされるものですが、日本ではなかなか…駅や路上で、抱き合って自分だけの世界に浸っているカップルを見ると、こちらが気恥ずかしくなってしまうことも。見ている側が、幸せのおすそ分けをしてもらえるようなキスシーンは、映画やテレビの中だけの話と思っていただけに、なかなか新鮮で印象深い出来事でした。松岡俊介さんは、主に映画で活躍している俳優さん。TVでは、「私立探偵濱マイク」のレギュラー、近いところでは「砂の器」に出演していました。YOUさんも、バラエティのみならず、「誰も知らない」で、女優としてカンヌ映画祭まで行かれましたね。
2005.01.30
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夜のニュースで、小学六年生で習う漢字を4割の生徒が正しく書けなかった、という調査結果を見ました。「読めるけど、書けない」というのは子どもに限った話ではなく、私自身にも十分身の覚えがあることですが…コンピューターが自分の代りにいろいろ考えてくれる現代、大人も子どもも、もっと一生懸命に脳みそをこき使わなくてはいけませんね。さて、図書館で借りて来た「城の中」という本の著者。この人のお名前は、いりえすけまさ、と読みます。ご存知でしょうか?昭和天皇の侍従を約50年務め、侍従長となってからは随筆やインタビューで、皇室のスポークスマンとして活躍された方です。私が中学生の時にお亡くなりになっているのですが、実はその「最期」がとても衝撃的で、私がこの方の人物像を強く記憶しているのはその印象があったからです。というのも、「八十歳になるのを機に区切りをつける」と勇退宣言をされ、それが大きなニュースとして扱われていたわずか二日後に、心筋梗塞で突如お亡くなりになったのです。驚きの上塗り、という感じで大騒ぎになったのを覚えています。こんな人生の決着があるんだなぁと、子ども心に空恐ろしいような思いがしたものでした。その名前を文庫本の棚で見つけて、気軽な気持ちで借りてきたこの随筆集は、発行されたのが昭和三十四年。内容は、身辺雑記に加え、太平洋戦争後に昭和天皇が日本全国を巡幸されたときの逸話やふだんの皇族の素顔などを描写した名エッセイの数々です。中でも読み応えがあったのが、当時のビッグニュースだった、皇太子と美智子妃殿下のご成婚のエピソードの数々です。民間からお妃を迎えるということが、どれだけその頃の日本人にとって、「新しい時代の到来」を実感させるものだったか。その決定に携わった人々が、“皇室はつねに大衆ともになければならない”と肝に銘じ、どれほどの使命感を持っていたか。宮内庁の同僚がタクシーに乗って「坂下門」と行き先を告げたら、「あなた宮内庁の人か、今度あなた方はよくやった。見直してあげる」と言われた、というような逸話が紹介されていて、改めて実感することが出来ました。現在の天皇陛下が一歳になる直前から侍従になったという著者の、あふれる思いやりが文章からも伝わってきます。『お二方の御生活は、まさにこれからである。日ごろ、夢にえがいているものと、ちがったことをなさったりすれば、おなじみ甲斐に、文句をいいに乗り込んでいこうと思う。そのかわり、折角生き生きと、のびのびと、いとなまれようとする、若いお二人の御生活に、底意地のわるい批評や、無慈悲な掣肘が加えられるようなことがあれば、なんとかして、これから守ってもあげなければならない。』去年の皇太子の「人格否定」発言以来、皇室を巡る世論は落ち着かないばかりですが、こんな一文を読むと、今の宮内庁に入江さんのような人がいたら??と、思わずにはいられませんでした。ちなみに、この方の住んでいらした宮内庁の官舎は、かつての江戸城の「大奥」のあった辺りに建っていたということです。こういう本との出会いがあるから、図書館通いはやみつきになります。城の中 (著者・入江相政)なお、入江侍従長の最期については、こちらの本(第三巻)にも詳しく書かれています。人間臨終図巻(3) (著者・山田風太郎)
2005.01.27
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ご主人の転勤で仙台に住んでいる友達から、クール宅急便が届きました。ずんだ餅 20個入仙台土産「萩の月」で有名な、“菓匠三全”の「ずんだ餅」。発泡スチロールの箱を開けると、目にも鮮やかな黄緑色が広がっていました。以前、東北へ旅行した時に、この枝豆の餡で出来た名産品をいただいて、とても美味しかった…と話したのを覚えてくれていたのです。この商品は冷凍状態で届き、いただくまでに3~4時間、じっくりと自然解凍するとのこと。(レンジは風味を損なうので使用不可、とありました)そこで、こたつの上にパックを置いて、昼食を済ませ、読書をして…待つこと3時間。ちょうどいい頃合いだったようで、宮城産のお米で作られたというお餅の柔らかくて美味しいこと!甘辛い枝豆の餡の風味が口の中一杯に広がります。渋めの日本茶を大きめの湯呑みにたっぷり注ぎ、今日は長いながいお茶の時間を楽しみました。粗くつぶした枝豆が、粒々した食感を残す素朴なおやつ。お上品なスイーツも好きだけれど、こういう自然の素材を活かした、伝統的な名物お菓子もあなどれません。枝豆には、体にいい成分が多く含まれているそうですね。ビールを飲まない私は、「ジョッキの生に枝豆」という組み合わせの醍醐味は味わえませんが、「湯呑みのお茶にずんだ餅」というのも、本当に至福のひとときでありました。いただくまでに、解凍のための「おあずけ」タイムを必要とするのが、また美味しさに拍車をかけているのかも…。
2005.01.26
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昨夜から、NHK・BS2で「THE少女マンガ!~作者が語る名作の秘密~」という番組が放映されています。私の場合、親が「本ならいくらでも買ってあげるけど、マンガは絶対に駄目」という育児方針を貫いていたため、まわりの誰もが夢中だった「なかよし」や「りぼん」「別マ(別冊マーガレット)」などは一回も買ってもらったことがありませんでした…その代り、友達のおうちでちゃっかり読ませてもらっていましたが。三つ子の魂百まで?というのか、その後大きくなっても「本は買うもの、マンガは人から借りるもの」という法則が身についてしまいました。これまでの人生で、自分で単行本を全巻そろえたのは「日出処の天子」 (山岸凉子)と「動物のお医者さん」(佐々木倫子)の二作だけ。(しかも後者にはまったのは、社会人になってからのお話…)あとは、「エースをねらえ!」も「有閑倶楽部」も、萩尾望都も竹宮恵子も…みんな、休み時間の教室で友達と回し読みして制覇しました。そんな中でも、一番大好きで、ある意味「燃えながら」読んだのが、庄司陽子さんの「生徒諸君!」でした。生徒諸君!(1) ( 著者: 庄司陽子 | 出版社: 講談社 )ナッキーはつむじ風、というタイトルでドラマ化されたり、キョンキョン主演で映画になったり、当時から大人気のマンガ。どれくらい、私がこのマンガに心酔したかというと…主人公の姿に触発されて、大学では教職課程を取り、学校の先生になることを夢見ていました(なぜそうはならなかったか?はここでは省略)。しかし、続編となる「教師篇」は未読ですし、あれだけ夢中になったのについに自分では単行本を買いませんでした。だから、今日の番組の予告を見たときには胸が躍り、今から楽しみにしている次第です。あの「ナッキーと悪たれ団」の世界は、今の十代の少女たちの心に響くことが出来るだろうか?そう考えるとちょっと自信がないのですが、あのマンガがいつまでも、たくさんの「生徒たち」に読みつがれる、そんな世の中であってほしい…と願ってしまいます。実は、もうずいぶん昔のことになりますが、旅先でどうしようもなく列車の乗り換えのタイミングが合わず、小さな街で2時間も待つことに。仕方なく、駅前のマンガ喫茶(!)で時間をつぶすことにしました。そこで、十何年ぶりに手に取った「生徒諸君!」の最終巻。30分後、私は人目もはばからず大粒の涙をこぼして嗚咽し、傍らの夫はそーっと席を移して他人のふり… という、実話があります。ちなみにこの番組、昨日取り上げたのは「ガラスの仮面」でした。「紅天女」の章に入ってから13年もかかっているとは!改めて知る新事実に驚きました。初代の編集者だったという初老の男性が、「僕が生きているうちに完結してほしい」と語っていらしたのが印象的でした…。
2005.01.25
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新曲のプロモーション時期ということもあって、最近SMAPが五人でいろいろな番組に出演しています。先週、「ミュージックステーション」を見ていたら、デビュー以来のSMAPの映像を時系列に放映していて、十代の頃の彼らの姿に「わ、若い!!」と感慨を覚えました。過去の映像が出るとき、脱退したメンバーの森くんは徹底的にカットされているのが常だという印象があったので、久々に六人がそろって歌うシーンがちらっとでも見られて、懐かしかったです。木村拓哉さんが髪を伸ばして「キムタク」と呼ばれるようになった頃、私の周囲でも“SMAPって、いいよね!”という認識が広まっていきました。当時すでに二十代も半ばの私たち、熱狂的にアイドルを応援するような年頃はとっくに過ぎていましたが…ジャニーズのアイドルといえば、けたたましいデザインの衣裳で歌って踊って…という印象で、「大人が夢中になるものではない」と思っていました。ちなみに、その頃ananの「いい男」ランキングで、常にトップをとっていたのは田原俊彦さんだったような…しかし、「スマスマ」の放映が始まる頃には、もう会社では女の子はみんなSMAP大好き、でした。ファンクラブに入っている友達がいてコンサートに行った…なんて人がいると、もう羨望の的。アルバムも購入して聴きましたし(WOOL、という限定販売のベスト盤を、当時交際中の夫がプレゼントしてくれたこともありました)、ビストロSMAPのレシピ本のシリーズも買っていました。「スマスマ」の放映は月曜日。プロジェクトが追い込みに入って厳しい毎日を過ごしていた頃、先輩と「スマスマがあるから月曜日が来るのも我慢できる。SMAPがいてくれて、よかったよね」「本当ですね」という会話を交わしたことを、覚えています。ちなみに、私が一番ご贔屓にしていたのは稲垣吾郎さんで、彼が事件を起こして謹慎していた後、復帰した「スマスマ」を見たときには、TVの前で「BEST FRIEND」を歌う姿にもらい泣きしたものです(横で、夫は呆れ果てていました)。…しかし、人間の顔って正直なもので、公の場から離れていた時間を経てみると、かつての輝きが薄れてしまったようにも見えました。ただ、美形の青年というだけではなく、近頃はどこか浮世離れしたフシギなキャラクターを前面に出して活躍の幅を広げている“ゴローちゃん”、今でもやっぱり一番すきなメンバーです。考えてみれば、去年の「新選組!」今年の「義経」と、二年連続で大河ドラマの主役を送り出しているジャニーズ事務所。他にも、クドカンのドラマや映画「東京タワー」で“こんなにかっこいい大人になっていたんだ”と驚いたV6の岡田さんなど、本当に人材が豊富で、ジャニー喜多川という人の眼力、恐るべし…と感服する次第です。ところで、最近は映画「ハウルの動く城」で、共演した美輪明宏さんに「彼はすごい!」と言わしめた木村拓哉さん。私も、声優のキャスティングが発表されたときには「声を聴いてキムタクの顔ばっかり頭に浮かんだらイヤだな」と思っていたのですが、その心配は皆無でした。糸井重里さんの「ほぼ日刊イトイ新聞」のジブリ特集が面白かったんだよ…と、愛読している友人に先日教えてもらい、読んでみたら鈴木プロデューサーが、美輪さんが「ハウル」の試写を見てどれだけキムタクに驚いたか、ということを語っているインタビューがありました。http://www.1101.com/ghibli/2004-10-29.html(このほかにも、宮崎監督の仕事のやり方についてとても面白い打ち明け話がたくさん出ていて、とても読み応えのある連載です)メンバーもほとんどが三十代となり、「きれいでかわいい」男の子達だった頃に比べて、容貌は変わってきたSMAPですが、出来ればいつまでもSMAPという形は残したまま、これからも見る側を楽しませてほしいと思っています。
2005.01.23
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今日は夫と二人、大阪へお出かけしてきました。片道二時間弱のショートトリップですが、スタバのコーヒー!デパ地下の食材!バーゲンの洋服!と、この機会を逃してはならない、という物欲がめらめらと。鼻息も荒く、ミナミの街に降り立った私でした。東京なら日本橋の高島屋や三越、そして大阪では、梅田阪急や心斎橋の大丸など、古き良き時代のレトロな「百貨店」の雰囲気を遺しているデパートが、私は大好きです。去年の日記で紹介した、金沢「不室屋」が心斎橋大丸の地下に出店していて、お気に入りの“お吸い物最中”をお世話になった知人に進呈。もちろん自宅用にも買い込みました。ISO0104さんの日記で紹介されているのを見てから、興味津々だった鶴屋吉信の「ブルーベリー餅」も入手。パッケージの斬新さには夫もひどく心を動かされたようです(笑)お歳暮商品の解体セールなどもやっていて、食料品売り場でずいぶん時間を費やしてしまい、慌てて東急ハンズへ。お目当ては、緊急時に使うための、手回しの携帯充電器です。このところ、発生から10年目となる阪神大震災の特集をメディアが色々と組んでいて、万一のときの備えをしっかりしておかないと…と考えた結果、とりあえずこれは買おう!と思った次第です。【楽天の人気商品はこちら。わが家はラジオのついていない簡素なタイプを購入】大阪は晴れてはいたものの、日が暮れると途端に冷え込んできて、今日の夕食は相談の結果「せっかくだから、ふぐで温まろう」ということに。法善寺横丁の周辺には、店頭の水槽にふぐをたくさん泳がせていて、手ごろな値段でてっさやてっちりをコースでいただけるお店が並んでいます。その中から、「玄品」というお店に運良く待たずに入ることが出来ました。「泳ぎてっさ」「泳ぎてっちり」というメニュー名の通り、新鮮なとらふぐは、鍋の具材として下ごしらえされても、頭部の身がピクピク動いているほどでした。こちらのお店のてっさは、いわゆる薄造りではなく、歯ごたえのあるやや厚い切り方になっています。また、てっちりのお鍋が紙鍋というのもユニークでした。ひれ酒で温まり、お腹一杯食べて、店を出たあと、水槽のふぐたちに「おかげさまで、美味しかったです」とお礼を言って帰ってきました。グリコの巨大看板と、阪神ファンが飛び込むことで有名な戎橋の界隈は、橋梁工事が大掛かりに行われており、道頓堀川の岸辺に、遊歩道が出来ていて驚きました。大阪は、結婚前の数年間、夫が赴任していた場所でもあり、遠距離恋愛の切ない思い出が散らばる街でもあります。でも、あの頃とはお店も街並みもずいぶん変わってしまって、感傷に浸るきっかけもなかなかないのが実情です(笑)
2005.01.22
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スキーに行った時のお土産、と言って、仲の良い従妹から瓶づめのケチャップが届きました。岐阜県の清見というところで作られている「PASCAL」というラベルのこのケチャップ。毎年スキーに出かける彼女から送ってもらっていて、私も夫も大好きな逸品です。何しろトマトの風味が濃厚で、ケチャップの味そのものを楽しめるという感じ。普通のケチャップは、デミグラス系のソースの隠し味に使ったりしますが、これは「隠し味」にはもったいない!オムレツ・ベーコンエッグ・ハッシュドポテトなどをせっせと作って、たっぷりかけていただきます。でも、これらのメニューはどちらかというと朝~昼食の献立向き。しかも、平日の朝、夫はトーストとコーヒーしか食べないので(正確に言えば、毎朝ぎりぎりまで寝ているので朝食はそれが精一杯)、休日のブランチに「このチャンスを逃すな!」とばかりに卵を焼いているような状態です。考えてみたら、ケチャップをそのままかけていただく料理のレパートリーって、意外と少ないことが判明しました。ピーマンの肉詰め。茹でて冷製にした牡蠣。そして王道、オムライス…今まで作ってきたものを必死に思い出しても、このくらいしか思い浮かばないのですが、私、何か忘れている料理があるでしょうか?ちなみにわが家のオムライスは、以前「きょうの料理」でグッチ裕三さんが紹介していたレシピを参考に、下記の方法で作ります。私、オムライスを上手に仕上げるのは結構得意で、それがささやかな自慢でもあります。実は、私ではなくてティファールのフライパンが偉いんですが(笑)。<わが家のオムライス>材料(2人分): 卵 2個 たまねぎ 1/2個 鶏肉 100g(シーチキンやハムでもよい) ごはん 適宜(お茶碗2~3杯くらい) ケチャップ、オイスターソース、塩、こしょう、サラダ油レシピ: 1)ごはんに、あらかじめケチャップ(大さじ2くらい)オイスターソース(大さじ1/2くらい)を混ぜあわせておく。 2)みじん切りにしたたまねぎをよく炒め、一口大に切った鶏肉を加えて塩、こしょうで味付け。 3)2)に1)のご飯を加えて軽く炒め、フライパンから出す。 4)きれいに洗って油を引いたフライパンをよく熱して、薄焼き卵をつくる。 フライパンの中央に山形に3)を置いて、両側から薄焼き卵で包みこみ、ひっくり返しながらお皿に移せば、きれいなオムライスに仕上がります。 仕上げにケチャップをたっぷりかけて。 オイスターソースの味は前面に出てきませんが、大人も十分満足できるしっかりした味わいのオムライスです。炒める前にケチャップをご飯に混ぜることで、以前よくやっていた「ところどころ白っぽいチキンライス」を作る失敗はなくなりました。ケチャップが美味しく食べられる料理がありましたら、ぜひぜひ教えてくださいませ。
2005.01.21
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夕方のTVを見ていたら、プレイステーションのゲームソフトで風雲 幕末伝というものが新発売になると宣伝していました。大河ドラマ「新選組!」が産んだ幕末ブームかしら?と、一瞬思いましたがどうなのでしょう?世間はどうかわかりませんが、少なくともわが家では、昨年の暮れから一大ムーヴメントが起きております。先日図書館で、司馬遼太郎の竜馬がゆくを1~5まで、借りてきました。読みたいと言い出したのは夫で、その日から炬燵で、お風呂で、ベッドの中で、夢中になってページをめくっています。大河ドラマを見ていたのがきっかけで、年末年始に司馬さんの「燃えよ剣」を読みました。新選組副長、土方歳三の半生を描いたこの小説は、何十年と読者を増やしつづけているのも納得のすばらしい物語でした。夫は私と同様、司馬遼太郎の著作をほとんど読んだことがなかったそうで、すっかり司馬さんの文体に魅入られてしまったみたいです。「竜馬…」が終わったら、今度は薩摩の西郷・大久保を描いた「翔ぶが如く」を読むんだ!と、はりきっています。さて、冒頭で書いたプレステのゲーム。わが家はTVゲームをやらないので、詳しいことはよくわからないのですが、「倒幕」か「佐幕」か、好きな方を選んでプレイ出来るのだそうです。その日の気分で、官軍側か新選組か選べるというのはユニークですね。夫に話したら喜びそうだなぁ…と思うと同時に、正直なところ「ちょっとやってみたいかも…?」と思ってしまいました。その夫。「今日のトリビアは、明日役に立つものばかりでしたね!」という、『トリビアの泉』のエンディングのコメントを聞きながら「…最近、トリビアのネタを翌日まで覚えていられない…」とつぶやいていました。
2005.01.19
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来月早々、横浜の実家に帰ることになり、今日は駅前の旅行代理店でチケットの手配をして来ました。先客でカウンターが埋まっている状態で、待つことしばし。店内の、ツアーのパンフレットを眺めながら「海外、行きたいなぁ…」などとぼんやり考えていると、カウンターで盛んに係の女性に質問しているカップルに目が止まりました。なぜ、その2人連れが注意を惹いたかというと、そのお2人がどう見ても「お母さんと息子」という組み合わせだったから。別に、母と息子というだけなら、一緒にいても珍しくもないですが、パックツアーのヨーロッパ旅行のパンフレットを何枚も広げて、「このツアーはミラノに行かないんですか?」「この都市って何が見どころなんですか?」などという会話を交わしていたら…そして、それが二十代らしき男の子と、そのお母さんらしき方だったとしたら…皆さんは、どう思われますか??店内はそう広くもないため、親子の会話は後ろにいる私に筒抜け。盗み聞くまでもなく、彼らの旅の計画を耳にしているうちに、またも驚くようなことが判りました。2人は一緒に旅行に行くのではなくて、「卒業旅行へ行く息子のために、お母さんがよさそうな団体ツアーを探してあげている」状況らしいのです。「あんた、このツアーでいいの?本当にいいの?」と、お母さんが息子さんの顔を覗き込んでいるところで、私の順番が回ってきて、その後息子さんがどういう返事をしたのかはわかりませんが…あのお母さんと息子さん、今までどんな風に暮らしてきて、この先どんな風に生きていくのかしら。まったくご縁のない他人さまのことながら、「これって…どうなの???」と、頭の中を?マークで一杯にして、家路に着いた私でした。
2005.01.18
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年が明けてから、本当に冷え込みが厳しくなったように感じられます。家事で体を動かすのも、やり始めるまでが億劫な寒がり・冷え性の私。でも、今はある楽しみが心の励みになっているので、夫を送り出して朝食を済ませると、フル稼働でその日の用事を片付けてしまいます。その「楽しみ」というのが、お正月2日(正確には3日)の深夜、教育テレビで5時間連続で放映された「坂東玉三郎の古典芸能図鑑」です。高画質でDVD録画し、お正月休みが終わってふだんの生活が始まるまでガマンして、家事を終えてほっと一息ついたとき、上等のお茶とお菓子を用意して鑑賞しています。この番組は、以前NHKハイビジョンで、五回にわたって放映されたもののようです。「能」「文楽」「歌舞伎の衣裳」「歌舞伎の鬘」「歌舞伎座」と、各1時間、歌舞伎役者の坂東玉三郎さんを司会に、その道の第一人者をゲストを招き、貴重な実物の面や衣裳をスタジオに持ち込んで解説する…本当にぜいたくな番組でした。中でも圧巻は、「歌舞伎の衣裳」。坂東玉三郎さんは、私財を投じて、贅を凝らした衣裳をたくさんお作りになっているというので有名な方ですが、きれいな着物が芯からお好きなんだなぁというのが画面から伝わってくるくらい、もう衣裳に囲まれているのがうれしくてたまらない!という表情なのです。この回は演出もすばらしくて、真っ暗なスタジオでピンスポットを浴びて話していた玉三郎さんが「では…」と体を動かした途端、スタジオに照明がつき、背後にずらりと並べられた数々の衣裳が浮かび上がるという趣向。何度見ても、本当に、溜息が出ます。去年、一昨年と、1月は歌舞伎座で玉三郎さんの「京鹿子娘道成寺」を観ていたのですが、もうずっと歌舞伎座ともご無沙汰していて寂しい思いをしただけに、私にとっては思わぬお年玉、まさに「眼福」と言いたい時間を過ごさせていただいてます。血統で芸と名前を継いでいく梨園の中で、芸養子としてキャリアをスタートされ、中村勘九郎さんが「隣で立っていて時々泣けてくることがあった」というくらい、苦労も多かったという玉三郎さん。母も祖母も大のファンで、私も小さい頃からよく拝見していますが、以前何かのインタビューで「次に生まれてくるときは、もう人間には生まれてきたくない」という言葉を聞いてびっくりしたことがありました。でも、美しい着物に囲まれているうれしそうな表情を見ていると、今の玉三郎さんには、何かを超越したような透徹とした気配を感じます。「道成寺」のほか、涙なしでは見られない「鷺娘」など、名作舞踊がたっぷり入ったDVD-BOX。これも自分へのお年玉にしてしまうか、どうか??目下の悩ましい検討事項です。
2005.01.17
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改編期ごとに登場するTVの「連ドラ」。夢中になって毎週見るのは、1年に2~3本あるかないか?という私。夫に至っては、私が「これは絶対面白いから、見て!見て!」と3回は言わないとTVの前に座らないのです。でも、先週から珍しく、立て続けにドラマの初回を3本も見ました。まずは大河ドラマ「義経」。去年、「新選組!」を毎週見ていた習慣で、つい日曜8時にNHKにチャンネルを合わせてしまったのですが、冒頭の一の谷の合戦、有名な「ひよどり越え」の合戦シーンがすごい迫力で、ついつい惹きこまれてしまいました。このドラマについて、私の最大の関心は、美輪明宏さんがン十年ぶり(ご本人談)に大河ドラマに出演することです。今日二回目の放映を見ていたら、来週の予告でついに登場!のようなので、とっても楽しみ。山伏のような、陰陽師のような、ご自身にピッタリの神秘的な役柄のようですが…義経の子ども時代(=牛若丸)を演じている神木龍之介くんとは、「ハウルの動く城」の声優としても共演していますね。先週の木曜日は、「優しい時間」を見ました。倉本總さんの新作ということで、これは見てみようと決めていたもの。私は「北の国から」が、1時間枠の連ドラだった頃からのファン(当時、私はドラマの中の純くんと同世代で、親は自然の中でたくましく生きる兄妹の姿が教育上好ましいと思ったらしく、遅い時間のドラマもこれだけは見てよい、という許可が出ていたのでした)。富良野の「北時計」という喫茶店の名前が出てきただけで、吉岡秀隆さんと宮沢りえさんの名シーンが頭をよぎるほどでした。正直なところ、倉本脚本はもう、今の時代から半歩遅れてしまっているなぁと痛感した部分もあったし、一部「この演技はどうなの??」と思う俳優さんもいましたが、大人のおとぎ話として、タイトル通り「優しい時間」を過ごせそうなドラマだと思います。そういえば、初回のゲストで、時任三郎さんと手塚理美さんが夫婦役を演じていましたが、ドラマ「ふぞろいの林檎たち」を懐かしく思い出しました。そして、今日は「Mの悲劇」を見ました。どういうドラマなのか予備知識がなかったのですが、「巻き込まれ型」のストーリー展開で困り果てる稲垣吾郎さんの演技がなかなか真に迫っていて、長谷川京子さんの「ナゾの迷惑美女」の不気味さとあわせて、何だか最後までズルズルと見てしまいました。日曜の夜に見るには、なんだかくたびれそうな内容だ…というのが正直な感想でしたが、エンディングテーマに大好きなボサノヴァの「Night & Day」のリメイクが使われていて、おぉっ!という感じでした。阪神大震災から10年目の1月17日がやって来ます。当時、夫が大阪にいたこともあり、今でもあの日、そしてあの後の日々で目にしたことの多くを鮮やかに思い出すことが出来ます。復興住宅に暮らす人の中では、未だに誰にも看取られない「孤独死」を迎える人が多いのだといいます。当たり前のようにTVの前で笑ったり泣いたり、そんな「普通の生活」を送れることが、どれだけありがたいのか。天災で被害に遭われた人々は、身をもって私たちに教えてくれているのだと思います。
2005.01.16
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天気予報の通り、今日は朝から雨が降り続くあいにくのお天気。そんな中、とうとう、夫のナビゲーションから独り立ちし、一人で運転してきました。きっかけは、「いいかげん髪の毛切らなきゃ…」という今朝の夫の一言。通っている美容院はショッピングセンターのすぐそばなので、だったら私が送っていって、髪を切る間に買い物をして、それから迎えに行ったらいいよね?と提案してみました。以前の日記にも書いた通り、私は自分の苦手な分野においてはものすごく依存心が強くなる傾向にあるので、夫は私の見せた思わぬ「やる気」にびっくり仰天したようです。実は自分でも、実際にハンドルを握る段になって「何でこんな大それたことを言い出してしまったんだろう」と悔やみましたが、そもそも一人で運転できるから免許を取れたのであって(笑)いつまでも助手席に頼っていられるはずもないし…と、心のどこかで卒業のきっかけを探していたんだと思います。どうせなら、こんな悪天候で薄暗い日を選ばなくても…とも思ったけれど、こういう時は勢いに任せよう!と、エイヤっと駐車場を出発。しかし緊張していたせいか、ワイパーを動かした途端「キューッ」という音に反応して「ぎゃっ!なにこの音!」と叫んでしまいました。今まで、少しずつ練習を重ねてきたのと、ごくごく近所の慣れた道ということもあって、何事もなく全行程を終えることが出来ましたが…途中、道路の左側ガソリンスタンドに入ったばかりの大きなトラックが、グルッと旋回したのが目に入り、びっくりして(突然道路に飛び出してくるのかと錯覚してしまった)慌ててハンドルを右に切ってしまいました。片側一車線の道で、少し右にふくらんだくらいで済んだのでよかったものの…。これが二車線で、もし追い越し車線にまではみ出してしまったら?そこへ車が来ていたら?などと思うと、冷や汗が…。危ないと思ったらまず「ブレーキ」に神経が行くべきなのに、ハンドルを操作してしまったのは大反省。また、こざっぱりした夫を乗せた帰り道。大きな道路から、自宅の方角へ右折するところで、同じ場所で右折待ちの車の後ろにつきました。十分確認しながら、その車の後から右折している途中で、こちらへ進行中の車がスピードを落とさず「ププーーー!」とけたたましいクラクション。これも、飛び上がりそうに驚きました。まだ、その車がやって来るにはたっぷり余裕があると判断して曲がったのに…夫に「今の私、何か間違ってたの??」と聞くと、「あんなスピードで突っ込んでくるのは明らかにあちらがタチが悪い」との返事。「あぁいうの、時々いるんだよ。判断は間違ってなかったと思うよ」と慰めてもらいましたが、美容院やショッピングセンターの駐車はそこそこ上手くいっていい気分だっただけに、最後にがっくり落ち込んでしまいました。でも、車で来ているから…と思うと、普段は安くても買わずにあきらめる丸ごとの白菜や袋づめのリンゴなど、何でもカートに放り込めて、買い物中はすごい快感でした。せっかくがんばって免許を取ったのだから、車が与えてくれる便利さをたくさん活用したいものです。これからも場数を踏んで「上手な運転」を身につけたいです。買ったばかりの白菜をざくざく切って、今日はまつや とり野菜みそで簡単なとり野菜鍋の夕食。水におみそを溶かして、野菜と肉を煮込むだけで出来る美味しいお鍋は、夕食づくりを楽したいこんな日に大助かり!体も温まりました。その後、TVで「オーシャンズ11」を鑑賞。公開時にも映画館で見たのですが、ジョージ・クルーニーが大好きな私にとっては、プロモビデオのように楽しめる作品でした(笑)。彼が来日してプロモーションしている、「12」もぜひ見に行きたいです。S・ソダーバーグの映画は、音楽選びにセンスがあって大好きです。しかし、今日のTV放映は、ジョージ・クルーニーの吹き替えが磯部勉さんだったのでちょっと残念。やっぱり、「ER」で永らくロス先生の声を演じた小山力也さんにやってほしかったなー…ER緊急救命室 Vol.1オーシャンズ11
2005.01.15
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昨夜TVのニュースで、NHKのチーフプロデューサーが、局の番組制作に政治的な介入があったということを、涙を浮かべながら告発している記者会見を見ました。「自分もサラリーマンだから、養っている家族のことを思うと迷いもあって、4年間ずっと迷っていた」という趣旨の発言を聞いたとき、とっさに思い浮かんだのが、アメリカで起きた実際の事件を映画化した「インサイダー」のことです。インサイダーたばこ会社の研究員が、喫煙が人体にもたらす害について、会社が捏造したデータを発表していることを内部告発しようと決意する。米三大ネットワークのひとつ、CBSの看板報道番組「60ミニッツ」のプロデューサーが、彼の告発を番組で特集しようとインタビューを収録。ところが、莫大なスポンサー料を背景に圧力をかけるたばこ会社に屈し、局の上層部は番組の放映中止を決定。社会的な地位も収入も投げ打って告発にふみきった主人公と、報道人としての使命に燃えるプロデューサーは、果たして…?という物語。主人公の研究者をラッセル・クロウが、プロデューサーをアル・パチーノが演じています。「コラテラル」のマイケル・マン監督の演出は、はりつめた緊迫感が持続するすばらしい出来栄えでした。小太りで白髪の実在の主人公に、外見も驚くほど似せたラッセル・クロウの迫真の演技も見ものです。最初は匿名で、自分には面倒が起きないように情報をリークしようとしていた男が、ついには実名で、顔を隠さずTVカメラの前に座る…そんな主人公の心のゆらぎに、見ている側がどんどん引き込まれました。この映画の結末がハッピーエンドなのか、そうではないのか…見る人によって受け止め方はさまざまかと思いますが、資本主義のダークサイドを鮮やかに切り取って見せた一本として、多くの人に見てほしい作品だと思います。この映画の舞台となる「60ミニッツ」という番組は、吹き替えのダイジェスト版が「CBSドキュメント」としてTBS系列で放映されていました。以前は日曜日の深夜枠だったので、朝寝坊してなかなか寝付けない夜に、よく見たものでした。(実は、映画のモデルとなったたばこ会社の告発の番組もたまたま見ていたので、番組づくりの裏側にこんなドラマがあったなんて…と一層興味深く見たものです)冒頭の話題に戻って。私は、「NHKスペシャル」をよく見るので、今回の報道(告発された側の人々は完全否定しているようですが)が告発のとおりのことだったのだとすれば、なんだか裏切られた思いです。NHKのドキュメンタリーは、お涙ちょうだいのあざとい演出がない上、何年経っても忘れられないほど印象に残る題材も多く、NHKじゃなかったら作れないだろうな、と思う番組も多々あるだけに…映画「インサイダー」の主人公は、告発の後も、「自分の決断が本当に正しかったのか」迷い続けました。記者会見から一日経って、今、あのプロデューサーはどんな思いでいるのでしょうか。
2005.01.14
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今でも毎日のように、スマトラ沖の大津波の新しい映像がニュースで流れています。インドネシアで撮影されたという、道路に水が押し寄せて来て、その濁流(というか、あれは水の流れというより崩れた建物の流れだった)に街が飲み込まれていく映像など、一度見たら忘れられない衝撃でした。近所のイオン(ジャスコ)系のスーパーに、募金箱がずっと置いてあって、買い物のたびにお釣りの中から小銭を入れていますが、救援物資が被災地に届かないとか、政治の思惑で外国からの支援を打ち切るかもしれないとか、挙句の果てには、親を亡くした子ども達が人身売買の危険にあっているとか…まったくもう、どうして人間ってこうなんだ!!と、やるせない怒りを感じるようなニュースもずいぶん目にします。でも、人の気持ちの美しさこそが、災害の傷を癒すということも確かです。去年の暮れ、オリジナル版が出てから20周年となることを記念して、BAND AIDの「Do they know it's Christmas?」がリメイクされました。バンド・エイド20/DO THEY KNOW IT'S CHRISTMAS?最新の洋楽をほとんど聞かない私には、今回の「BAND AID 20」のために集まったミュージシャン達の名前は殆ど初耳でしたが…お恥ずかしい。「チャリティ」といえば、“24時間テレビ”のような浪花節的な演出が当たり前だった中で、イギリス発のこのプロジェクトは新鮮な驚きをもたらしてくれました。何と言うか、本来は社会の規範に対してはみ出しているはずのロック&ポップスターが、正々堂々と「世の為人のため」に尽くしていることのカッコよさ!その後、アメリカのミュージシャンが「We are the world」を出したときは、「ただのパクリじゃないの~?」と思ってしまったりもしましたが(楽曲も“いかにも”という感じであまり好みではなかった)、米英両国のスターが総動員された「LIVE AID」は「何だかすごいことが起きている!」というわくわく感で胸をいっぱいにして見た覚えがあります。ライヴ・エイドその「LIVE AID」の4枚組のDVDが発売になっていて、機会があれば見てみたいと思っています。日本で番組が放映された際、スタジオで誰が司会をしていたのか忘れましたが、コンサートの途中で「ビートルズがこのコンサートで再結成されるのではという情報が入りました!ジョンの代りは息子のジュリアン・レノンが務める模様です!」とものすごい興奮ぶりだったのを覚えています(もちろん、これはデマだったんですが)。日本でも、その後しばらくは、大きな災害があるとTVでミュージシャンがチャリティをしていましたが(雲仙普賢岳の噴火の時など…)、今ではすっかり、そういう動きはなくなってしまいましたね。アフリカの飢餓に苦しむ人々を救おうと、「BAND AID」の企画を立ち上げたボブ・ゲルドフ(私はこの人がリーダーだったブームタウン・ラッツというバンドも好きでした)。その後、一連の寄付活動で賞をもらったとき、壇上でニコリともせず「チャリティでもらう賞は苦い味がするんだ」とコメントしていたのが印象に残っています。アメリカでもヨーロッパでも、異常気象で大きな災害が相次いでいる今。一人が出来ることには限度があるけれど、一人ひとりの気持ちが集まっていけば、必ず誰かを助けることが出来るのだと信じて、思いを形に、行動にしていきたいと思います。寄付の受付もしています。ユニセフのスマトラ沖地震・津波緊急支援情報
2005.01.13
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年末は、冬とは思えないほど暖かな日が続いたこともあって、ここ数日の冷え込みは非常に厳しく感じられます。今日も、洗濯物を干しにベランダへ出ただけで、身がすくんでしまうような木枯らしが…。午後には、ほんの一時でしたが、にわかに空が曇ってちらちらと雪が舞いました。免許を取得したとはいえ、平日の昼間は家に車がないので、相変わらず買い物の時はショッピングセンターまで歩いているのですが、寒がりの私。こんな日はちょっと、外に出る勇気が出ません。そんな訳で、台所の「今ある材料」をフル活用した献立が夕食に並ぶことになります。こういう事態を見越して、冬が来ると日持ちのする根菜類を買いだめしておくのですが、今日は「じゃがいも」と「いつも冷蔵庫にあるもの」で作る、ちょっと目先が変わって美味しいメニューにしました。「じゃがいもの梅みそ炒め」 材料(2人分): じゃがいも …2個 ねぎ(わけぎでも)…適宜(白ねぎなら1本程度) 梅干 …大粒なら1個、小さいものなら2~3個 *豚の薄切り肉やツナ缶を入れても美味しいです。 今日は、冷凍してあった豚ロースの薄切り肉を入れてみました。 みそ、酒、みりんレシピ: 1)じゃがいもは皮をむいて、厚さ1cm程度の半月切りにする 2)レンジで加熱するか、さっとゆでてじゃがいもに火を通しておく 3)梅干は種を取って包丁でペースト状にたたき、みそ(大さじ2)酒、みりん(各大さじ1)と混ぜ合わせておく 4)フライパンに油を熱し、ななめ切りしたねぎとじゃがいもを炒め、3)の梅みそを加えて混ぜる *豚肉やツナを入れるときは、この時点で最初に入れて炒める梅みその味がほくほくのじゃがいもによく合って、肉類を入れればボリュームのある主役のおかずにもなり、簡単なわりには「凝った感じ」が演出できる美味しい一品です。
2005.01.12
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今日は風の冷たい、とても寒い日でした。用事を済ませた駅からの帰り道、突然強い北風に吹き付けられ、ちょっと休憩…と入った本屋さん。そこで、雑誌「Ku:nel(クウネル)」の最新刊を手に取ったら、絵本「ちいさいおうち」と、著者バージニア・リー・バートンの特集記事が組まれていて、思わず購入してしまいました。「ちいさいおうち」という絵本は、すでに古典と言ってもいいほどのロングセラー(何しろ私が幼稚園の頃の愛読書ですから!)。一度読んだら忘れないシンプルなストーリーの中に、子ども心にも余韻を残す現代社会への警句が込められた、素晴らしい一冊だと思います。子どもの頃、この絵本を愛読していた私は、その後実体験として「街がビルや高速道路で埋め尽くされ、ちいさいおうちはその中でうずもれそうになってしまう」…という情景を目の当たりにしました。横浜の実家の周辺は、昔は下町の風情が漂い、隣近所とのおつきあいも濃密ないい町だったのですが、80年代の「あの」バブルの時代で、町も人も変わりました。日の当たることもほとんどなくなった家にも、愛着があって離れがたく住み続けていた私たち一家でしたが、結局は、祖父母の死に伴う相続のゴタゴタに巻き込まれ…ちいさいおうちを、絵本のように野原に引越しさせてあげることなど出来るわけもなく、苦い思いとともに家を手放しました。恐らく、あの時代、日本の至るところで、数え切れないほどの「ちいさいおうち」の物語が生まれていたと思います。あの、皆がフワフワと浮ついていた頃からいくらか時間が経って、「スローライフ」という言葉が注目されてきたように、「生活している実感」をしっかりと手にしていたい…と思う人が増えてきたのでしょうか。「Ku:nel」や「リンカラン」など、素朴で地に足をつけたライフスタイルを提唱する雑誌が人気というのも、その表れなのかもしれません。(そういえば、昨日の日誌で紹介した料理研究家の辰巳芳子さんも、それらの雑誌で引っ張りだこのようですね)そうやって、一人ひとりが自分の「ちいさいおうち」を大切にしていけたら、それは自分以外の家への思いやり、街への思いやりにもつながる気がします。ちなみに、続々と創刊される上記の雑誌の中では、江国香織さん姉妹の往復書簡など、連載の読み物が充実している「Ku:nel」がお気に入りです。
2005.01.11
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10年以上勤めた会社を辞めることになった時、多くの方から、餞別の記念品をいただきました。花束や、身につける小物など、一つひとつをありがたく受け取りましたが、中でも当時の上司から送られた品物が異色でした。食通で、ご自分でも台所に立つことが多いというその方からの贈り物は、アメ横の行きつけのお店で買われたという「だし昆布」と「削りぶし」。退職後は専業主婦になることを報告していたので、「これからは料理にも手間がかけられるだろうから、これで上等なだしを取りなさい」というわけです。仕事と家事のかけもちをしていると、料理は本当に「短時間で簡単に」出来るかどうかが大事でした。そんな訳で、確かにそれまでは、「ほんだし」など、大手メーカーのインスタントだしの素を使っていたのです。長い間に身についた習慣というのは恐ろしいもので、部長の心遣いもむなしく、しばらくはだしの素を使い続けていたのですが、ある日図書館で辰巳芳子著『あなたのために いのちを支えるスープ』という本を読んで、考えを改めました。辰巳芳子さんの本は、お料理の本とは思えないほど、高尚で哲学的な文章で「食べ物は命をつくる基本」「安全できちんとしたものを家族に食べさせることが、料理をする人の使命」というようなことを綿々と綴られています。便利さ、楽さだけを追い求めて家事をしていた私にとって、頭をガーン!とやられたような思いでした。その時、いただいた上等の昆布や鰹節の存在を思い出し、せっせと大鍋でだしをとることを始めたのです。手間と愛情を惜しまないことが、料理の最大の秘訣、と思いながら。…と、そこで終われば、自慢できる美しいお話なのですが…時間のある無しに関らず、根は怠け者の私。しっかりととったおだしの味は確かに美味しいけれど、いつまでたっても、だし昆布を水に浸しながら「あぁ、面倒くさいなぁ」と思う癖が抜けませんでした。そんなところへ、前回実家に帰った時に、母(彼女も長い間仕事をしていました)から「いいものが手に入ったから分けてあげる」と差し出されたのが天然だし「千代の一番」でした。ティーバック状のだしの素なのですが、これがなかなかのすぐれもので、以来私の「楽して上質のおだしをとりたい」という無謀な要求がかなえられた思いでした。中身は「焼津のかつお・長崎の鯖節・宮崎の椎茸・利尻の昆布」と豪華版な上、合成保存料などは無添加。袋の中身を取り出して食べても美味しいくらいです。母は、TVショッピングで見て購入したそうですが(笑)、1回分が60円弱というお手ごろな価格ということもあり、おだしを取る作業が楽になった分、和食のメニューを食卓に載せる楽しみが増えました。以前楽天で購入した、さぬきうどんの亀城庵の釜上げうどんと釜玉うどんセットについていた“だし醤油”。少しの量で間に合うしっかりとしたお味なので、うどんを食べ終わってもずいぶん余りました。こちらも無添加ということで、千代の一番でとっただしと合わせて、煮物の味付けやおでんのつゆに、とっても重宝しています。
2005.01.10
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昨日も夫のナビで運転席に座り、図書館~イタリアンレストラン~映画館と、私にしてはずいぶん長い時間ハンドルを握って出かけてきました。映画は、S・スピルバーグの最新作「ターミナル」。旅行好きな人には多いと思いますが、私も空港へ行くだけでとてもハイな気分になるタイプです。旅で一番楽しい時間は、出発時の成田空港にいる時なんじゃないかと思うくらい。そんなこともあって、この映画は予告編を見たときから楽しみにしていました。トム・ハンクス演じる主人公。渡航中に母国でクーデターが発生し、パスポートもアメリカへの入国ビザも無効となって、JFK空港の中から進むことも、戻ることも出来ない「無国籍民」になってしまい…英語も話せず、文無しになった主人公の運命はどうなる?という前半部分の描写は、予想以上にコメディーの要素が前面に押し出されていて、笑わせてもらいました。「約束」を果たすため、空港にとどまってNYに行ける日を待ちつづける主人公。その彼を取り巻く人々は、敵キャラの警備局主任、ヒロインの美しいスチュワーデス、そして空港で働く様々な人種の人々に至るまで、それぞれ役者さんの力量でキャラクターが際立っていました。とくに「あれ?」と思って、後でパンフレットを確認してみたら、「天国の口、終りの楽園」 や「フリーダ」などに出演していた、メキシコの若手俳優ディエゴ・ルナが出演していました。ハリウッドのメジャー作品に進出していたとは知らなかったので、うれしい驚き。「天国の口、終りの楽園」は大好きなロードムービーの傑作で、共演のガエル・ベルナル(「アモーレス・ペロス」や「モーターサイクル・ダイアリーズ」で主演)共々、なんてきれいな男の子たちなんだろうと思っていたので、2人が順調にキャリアを伸ばしているのはうれしい限りです。さて、肝心の「ターミナル」の感想ですが、実は終映後、夫と私の評価は割れてしまいました。辛い思いを耐えて空港に居残り続けた主人公。彼がどうしても、NYで果たしたかった「約束」とは一体何だったのか?その中身が映画の後半で明かされた時に、そうだったのか!と素直に共鳴するか、なぁんだ…とガッカリするか。どちらの反応になるかで、この映画を見終わった後の感想は真っ二つに分かれるように思います。(ちなみにわが家の場合は、夫が前者、私が後者でした)しかし、映画に出てきた空港は全てセットとはとても思えない出来栄え。海外旅行に出た気分を味わえました。レオナルド・ディカプリオとトム・ハンクスが共演した前作「キャッチ・ミー・イフ・ユー・キャン」と同様、斬新なところはないものの、丁寧に作られた高水準の「現代のおとぎ話」と感じました。心根のやさしさと誠実さだけで、周囲の人をいつの間にか惹き付け、味方にしていく純粋な魂の持ち主…。「フォレスト・ガンプ」以降、こういう役をやらせたら、トム・ハンクスに並ぶ俳優さんはいないでしょうね。
2005.01.09
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先月、念願の運転免許を取得してから、夫をナビゲーターに時々ハンドルを握っています。私が運転する場合、車の前後に若葉マークを貼ることから始まり、シートを調節してミラーを合わせて、駐車場(借りているのが屋根つきの狭いガレージの一番奥なので、出入りはちょっと難しい)から出る際のイメージトレーニングをし、ついでにジョン・健・ヌッツォのように「新選組!」のテーマソングを歌って士気を高め…と、まぁ出発するまでに時間のかかること、かかること。自分でもわかっているのです。私は車を運転するのがやっぱり怖いのです。だから、運転席に座ってからでさえも、どうもジタバタと公道に出るのを先延ばしにしてしまうのです…という訳で、急ぎの用事があるときには、まず私が運転席に座ることはありません。…それに私、免許を取って1ケ月、未だに一人で車を運転していません。普段は夫が通勤で車に乗っていってしまうから…というのもありますし、夫が「まだ一人はムリじゃない?」というのもありますし、何よりも自分が「一人で運転なんて、怖すぎる!」という気持ちから抜け出せないというのが主たる理由。私は、本来は独立心が強い方で、夫の行動に口出ししない代りに、干渉も束縛もされたくないタイプ。ところが、自分が苦手だと思う分野、イヤだなと思う事柄に関しては、途端に夫に対する依存度がはねあがってしまうのです。我ながら何とバランスの悪い、困った性格だと思うのですが…一方、夫の性格を一言で表せば「マイペース」。喜怒哀楽の表し方も、私が感激屋で泣き虫で怒りっぽくて…と激しいのに対して、とてもおだやか。身内をほめるのも面映いですが、「どうしよう、どうしよう」とパニックになってしまう時、普段と変わらないテンションの夫が横にいると、熱くなった頭がすうっと冷めるように思うのです。そんな訳で、「あーっ、この自転車追い越さなきゃだめかな?コワイ」「あーっ、すぐ後ろにトラックが来たよ!コワイ」「あーっ、交差点右折しなきゃいけないんだ!コワイ」と、頭に浮かんだことはすべて口から出てしまう私の隣で、「大丈夫、少し隣の車線にはみだせるから追い越して」「大丈夫、後ろは気にしないで前見て」「大丈夫、右折ポケットまでゆっくり進んで…はい、発進!」…などなど、頼もしいナビゲーターとなってくれています。普段は口数が少ない夫。上記のような会話(会話というのでしょうか)とはいえ、こんなにうちの車の中でにぎやかにおしゃべりするなんて、珍しいことかもしれません。てんびん座とみずがめ座、A型とO型。そんな私と夫は、性格は本当に正反対なのですが、磁石の+と-のように、違っているからこそ惹かれあい、うまく行っているのかなぁと思います。でも、運転に関しては、こんな風に甘やかされているのが自分にとって決して良いとはいえない…ことも、わかっているのです。早く上達して一人前のドライバーにならなくては、と思っているのですが…助手席で、夫の足が何度か、ブレーキを踏むようにピクッと動いているのにも気づいている私。がんばるから、もうちょっとだけ助けてね。申し訳ない!…と、心の中でつぶやいて手を合わせているのでした。
2005.01.07
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2005年、初の日記です。今年もどうぞよろしくお願いいたします。酉年生まれの夫と私は、めでたく年男&年女となりました。年末から夫の実家に帰省し、このお正月は休みが短かったせいもあって、あっという間に仕事初めになってしまった気がします。大掃除の手を休めて、年末放映された「新選組!」の総集編につい見入ってしまった私たち。帰省の車中で読む本は、今年は迷わずこれに決めました。「燃えよ剣」(著者:司馬遼太郎)新選組副長・土方歳三を描いた小説としては、あまりにも有名で、出版後30年以上を経てもなお「新選組小説の決定版」という言い方をする人も多いようです。私は、大変幸運なことに、以前の勤務先の上司・先輩がそろいもそろって大読書家でした。年間100冊は当たり前、というような、真の活字中毒の方々に囲まれ、職場の飲み会の席がそのまま、読書座談会になってしまうこともしばしばでした。そこで、男性陣の中で異様なほどの人気を誇っていたのがこの本です。私は、どういう訳か司馬遼太郎の著書は手に取る機会が少なかったので、「燃えよ剣」の話題になるとひたすら聞き役だったのですが、いい大人が少年の目をして「あれはカッコイイ!」「土方に惚れたよなー」と口々に言っていた姿は忘れられません。そして、やっと図書館で借りたこの本。夫と文庫版の上下巻を交換しながら、一気に読みました。『歳三は、目をすえた。時勢などは問題ではない。勝敗も論外である。男は、自分が考えている美しさのために殉ずべきだ、と歳三はいった。』こんなにロマンティックな小説は久しぶりに読んだなぁという感じです。夫も夢中になって読み進み、かつ気に入った個所を読み返しているようでした。なるほど、これは男の人は好きだろうなぁ…と思う一方、女の私も十分に「歳」の半生に泣き笑いし、激動の時代を生きたような気持ちになりました。先に挙げた一文は、土方歳三と近藤勇の対話を描写したものです。それがどういう場面であるか、歳三の言葉に勇がどんな返事で応えたか…それは、これからお読みになる方のために触れずにおきます。この本を読むきっかけとなったドラマ「新選組!」とは、登場人物のキャラクターが異なる部分もありましたが、喧嘩も恋も友情もいくさも、全てが「命がけ」だった時代の風に触れて、新年早々、読書の醍醐味を味わうことが出来ました。
2005.01.06
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