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夏休み、帰省中の移動時間に原作を読んで、大変面白かったので映画も観てみました。阪本順治が監督すると聞き、キャストの顔ぶれを見て、実はそれなりに期待していたのですが…レイトショーを見終わって、暗い中を駐車場まで歩く間、夫と私の口から出たのは「もったいない!」「どうしてこうなるわけ?」という、ブーイングの嵐でした。テレビで映画を観ると、放送時間に合わせてカットされているために、辻褄が合わなかったり唐突に話が進んだり…ということがありますよね。この映画、全編にわたってずっとそういう感じなのです。原作を読んでいたので、急テンポで進むストーリーの流れや、登場人物の背景を自分で補完することが出来ましたが、それゆえに「この設定を生かすなら、なんであの話を描かないわけ?」とか、「何でラストのあの展開を省いちゃうの??」とか…すごく、フラストレーションが溜まりました。一方、原作を読んでいない人には、あまりに説明不足では?と思われ、それはそれでイライラするのではないかと。ただ、この映画、見方を変えるとちょっとひねくれた面白がり方が出来ます。「亡国のイージス」は、海上自衛隊のイージス艦が、北朝鮮のテロリストと手を組んだ隊内の叛乱者に乗っ取られる…という事件の顛末を描いていますが、映画では、一言も「北朝鮮」という国名が出てこない。他にも、「あれ?」と思う“変更点”がいくつかあります。ある登場人物の、職位の設定が変えられている。原作にある、大詰めの「どんでん返し」がバッサリ削られている。そして、真田広之演じる主人公の、ラストにおける設定が180度違う。…これって、やっぱり、防衛庁が撮影に全面協力したがゆえの「配慮」なのかなぁ~…と、想像をめぐらしてみるという「楽しみ方」です(笑)「終戦のローレライ」の読後日記にも書きましたが、私はこの作者については「軍事オタク」で「憲法変えて軍備を増強して戦争に出かけたい人」という先入観を持っていたのですが、それはちょっと違うようで…「国の平和」というのは、それに無自覚に浸かってボケていればいいものではなく、誰もが常に意識的に、守り続けていかなければ保てないもの。戦争も平和も、国家間では“相手があって”こそのことだから。…というのが、私が原作を読んで感じた作者の思いであり、そのあたりが映画ではまったく伝わってこなくて、刺激的なセリフが上滑りしていたのも残念でした。【撮り方によっては「ダイ・ハード」を超えられたと思うのに…惜しい。】 原作亡国のイージス福井晴敏の文章はかなり「くどい」部類に入るので、合わない人には胸焼けを起こすかもしれませんが(笑)<おまけ>この映画のエンドロールには、撮影に協力した自衛隊の護衛艦や潜水艦の名前が、ずら~っと出て来ます。「ときわ」とか「はやしお」とか「しらゆき」とか、武器には不似合いな美しい日本語で名づけられているのが印象的でした。その中で、思わず目が釘付けになってしまったのが、護衛艦の「はるさめ」という名前。こ、これはいくら何でも…春雨スープとか麻婆春雨とか、そっちの方を連想してしまうのでは?この名前が決まったとき、隊内で異議は出なかったのでしょうか…【この映画、やたら関連グッズが多いのです。「はるさめ」プラモもありました】DD-102 はるさめ モデルキット人気blogランキングへ
2005.08.31
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土曜日に行ってきた「愛・地球博」。前回の訪問でも、待ち時間の長い企業パビリオンには行く気もおきず、外国館を中心に回っていた夫と私。今回は、思いがけず手に入った入場券で、もう一度万博に行けることになりました。そこで、夫と私は考えた。「並ばず、疲れず、万博の記念になる体験をするにはどこへ行けばいい?」検討の結果、出た結論はこれ。「場内のフードメニューで、一番ゴージャスな食事を楽しんでみよう!」それが、昨日の日記で触れた「スペシャルイベント」という訳です。前日に、フランス館の階上にあるレストランに電話で予約を入れておきました。ここで、ハタと困ったのが、当日の服装。一応、ちゃんとしたディナーを食べに行くのだから、あんまりカジュアル過ぎても…という私と、そんなこと言ったって万博だぞ~、現地は暑いんだぞ歩くんだぞ~という夫。すったもんだの末、私はノースリーブのサマーニットにコットンのフレアスカート。夫は、一番高いTシャツに一番きれいなジーンズ…という、自分以外の人間にはおしゃれの意気込みは絶対伝わらないスタイルで出かけました。そして、こちらが私たちがいただいた、1万円のディナーコースのメニューです。~フランス館レストラン 8月のコースメニュー~ カリフラワーの冷製スープ、トリュフ風味鱸のマリネ、ミルフィーユ仕立て ミント風味のフランボワーズソース真鯛のポワレ、オレンジ風味のノワゼットオイルのジュ林檎と二種野菜のチャツネ添え骨付き仔羊の背肉のポワレ トリュフ風味のジュまたは牛肉のポワレ ベリーソース(写真)無花果コーヒーと小菓子このお料理に、グラスワインが赤・白1杯ずつついていて、税・サービス料も込み…となれば、1万円というお値段は決して高くない、と感激でした。どのお皿も、美味しかったです。フランス館のシンボルマークである「木」のワンポイントが入ったプレートが可愛かった!お土産に購入したいと思ったほどでした。スタッフはフランス人と日本人の混成チームでしたが、大変気持ちのいいサービスを受けられました。心配していた服装の件ですが、満員の店内は、フレンチレストランではまずあり得ないようなカジュアルスタイルの人ばかり(笑)殆どのお客様がスニーカーを履いてリュック持参、という感じでした。自分たちも似たようなものでしたが、やっぱり不思議な感じでした。このレストランは、フランスの三つ星店「ル・グラン・ヴェフェール」のシェフ、ギ・マルタンのプロデュース。日本に居ながらにして名店の味が…という訳で、月ごとに代るメニューを楽しんでいる人もいるそうです。これまでの万博レポートはこちらから…□5月□7月
2005.08.29
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夏休み最高の「18万4千人」という入場者数を達成した土曜日、夫と愛・地球博へ行ってまいりました。私は3回目、夫は2回目の万博です。今回は、前回時間がなくて見られなかった瀬戸会場で、評判の高い「瀬戸日本館」の群読劇を見て、これまでの訪問で回れなかった外国のパビリオンを見て、出来れば「長久手日本館」も見て…と、大まかに計画を立てていました。しかし、駐車場に車を入れた瞬間、この日がただならぬ混雑になることを覚悟させられました。私たちが目にしたのは、会場へのシャトルバス乗り場に出来た長蛇の列。約20分待って、バスに乗って会場入りするところで、また行列。長久手会場から瀬戸会場へ行くゴンドラに乗るために、再度行列。そして、やっと瀬戸会場で「日本館」の整理券をもらう頃には、駐車場に車を停めてから2時間近くが経っておりました。その上、まだお昼前だというのに、もらえた整理券は14時過ぎの公演分。閑散としているイメージがあった瀬戸会場も、さすがにこの日は混んでいた!でも、瀬戸日本館はプレショーの映像も、三十人以上の役者による迫力ある群読劇も、なかなか見応えがありました。その後、40分以上並んでゴンドラに乗り、長久手会場でまだ行ったことのない「グローバルコモン2」へ。アメリカ大陸の各国のパビリオンが集まったこのエリア。最初に入ったキューバ館では、飲み物が売られていて、飲んでも飲んでも乾く状態だった私たちはさっそく並ぶ(どこでも行列だったんです!)ことに。ずらーっと待つ人々を前に、売り場のお兄さんはあくまでもマイペース。BGMのサルサにあわせて鼻歌を歌ったり、スタッフルームから顔を出す同僚と何やら言葉を交わしたり…このお兄さんの動きが標準だったら、渋谷のマクドナルドの店員は皆、3倍速くらいで仕事をしていることになると思いますが。それを不愉快に感じさせない、天真爛漫なお兄さんの笑顔でした。しかも、一見むちゃくちゃ適当に作っていそうな「フローズン・ダイキリ」が、暑さも手伝ったのかもしれませんが、本当に美味しかった!!下戸の私が、夫に「もう一口。もう一口」と、おねだりしたくらいでした。そして、お隣のアルゼンチン館で、5時から始まるタンゴショーを見ることに。ここでは、パビリオンの前でパターゴルフのゲームをしていて、見事にパットを決められたら何やらお土産がもらえる、という趣向でした。(実際には、結果に関わらず何かはもらえたのですが)当然、こちらにも順番待ちの列。ショーの開始には時間があり、夫がやる気を見せたのでチャレンジしてもらうことに。そこで私は、列をはずれてカメラを構えつつ、夫の番が来るのをスタッフのそばで待っていたのですが…とっても気になったのが、ゲームをしてお土産をもらっていく人々が、大人も子供も皆、無言。スタッフのお姉さんから袋を受け取るや、何も言わずに立ち去っていくこと。お姉さん(恐らくアルゼンチンの方)は「アリガト」「アリガト」と声をかけているのに…一言「ありがとう」とか、百歩譲って「どうも」くらいは言えばいいのに、と思ってしまったのですが、そんな私の感覚はヘンでしょうか。街中でティッシュや試供品が次々もらえるような世の中では、人々は「ただでもらえるもの」にはもう「感謝しなくていい」という感覚なのかなぁ、とも思いましたが…さて、今回の万博では、実は私たちがとても楽しみにしていた「スペシャルイベント」があったのですが、その話はまた明日…
2005.08.28
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台風一過で、今日の「愛・地球博」の会場は、ところどころ気温が40℃近くまで上がったとか。先日、カード会社のキャンペーンで思いがけず入手した、入場券。「二度あることは三度ある」「三度目の正直」「仏の顔もサンドバッグ」…などなど、様々な格言をつぶやきつつ、明日、三回目の万博に行ってまいります。熱中症にならないよう気をつけなければ!今、夫と二人で「着るもの」に頭を悩ませております。また、レポートいたしますね。早いもので、8月ももう最終週。皆様、楽しい週末をお過ごしください。
2005.08.26
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昨日に引き続き、帰省中のお出かけの話題。渋谷のBunkamura内「ザ・ミュージアム」にて、「ギュスターヴ・モロー展」が行われていることを、地下鉄の車内広告で知りました。好きな名画は色々ありますが、中でも19世紀末に作られた絵画にとても惹かれます。モローは、19世紀末のヨーロッパで起こった「象徴派」のムーヴメントの代表的な作家の一人。このモローをはじめとして、ルドンや、ベルギーのクノップフなど、象徴派の画家の生み出す作品世界は、私の中の「夢見る夢子さん」の部分を大いに刺激するのです。今回、モローの代表作である「出現」が見られるということで、ぜひとも見たいと思い、夫と共に出かけて来ました。「出現」は、有名な聖書の中の「サロメ」の物語をモチーフにした作品です。「サロメ」と言えば、オスカー・ワイルドの戯曲や、その挿画を手がけたビアズレーの強烈な絵が有名ですが…初めてこの絵を見たときに、それまでの「サロメ」を題材にした作品のどれにも似ていない、絢爛豪華で幻想的なビジュアルに圧倒されました。初めて、間近に見る実際の「出現」。画集や、テレビの映像ではよくわからなかった、暗く、背景に沈み込むように描かれたヘロデ王の姿や、白い線で縁取りされて、まるで透明な幻のようにも見える宮殿内部など、見れば見るほど、絵の中に吸い込まれるような感覚を味わいました。この絵は、私が敬愛する美輪明宏さんが「一番好きな絵」として紹介されていたこともありました。NHKの番組だったかと思うのですが…小さなレプリカを手に「この、ヨハネの首から滴り落ちる血は、まるでルビーみたいでしょう?」…と、あの声、あのルックスでおっしゃる美輪サマ。もう、お腹いっぱいの耽美という感じで(笑)クラクラしましたわ。19世紀末といえば、産業革命以来の技術の進歩によって、産業や経済の発展を追求するのが時代のメインストリームだったはず。その中で、「合理的であること」や「最先端であること」に背を向けて、人間の精神やロマンや、神秘的な美に目を向けていった人々がいた、ということ。そりゃ、一歩間違えれば「オタク」だろ?…と、身もフタもない意見もある(発言者はわが家の夫)のですが、私はそういう人の姿に共感を覚えます。「自分の内的感情以外に、私にとって永遠かつ絶対と思われるものはない」というモローが残した言葉。過激だけれど、ある意味アッパレではありませんか。いつか、パリに行くことがあったら「ギュスターヴ・モロー美術館」(モローの邸宅がフランス国家に遺贈され、そのまま美術館になっています)に足を向けてみたいです。【Bunkamura公式HP】http://www.bunkamura.co.jp/indexj.html
2005.08.25
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先週の夏休み、夫と別れて一足先に、横浜の実家へ帰った私。18日、すでに休み明けの職場も多いのか、街はすっかり平日の雰囲気。ランドマークタワーのオフィスに勤めている友達と、彼女のお昼休みに合わせてランチをする約束をしていました。ところが、地下鉄がみなとみらい駅に着こうかというところで、彼女からドタキャンのお詫びメール。すごく忙しい人なので、ある程度覚悟はしていたものの…そんな訳で、せっかく出かけたのだから…と、家には引き返さず、一人でふらふら街歩きを楽しむことにしました。まずは、そのまま元町・中華街駅まで行って、腹ごしらえをすることに。中華粥が有名で、いつも行列が出来ている「謝甜記(しゃてんき)」の2号店へ行くことに。中華街大通りに面した本店に比べて、2号店は小じんまりしていて、待ち時間も少なく落ち着いています。一人のランチタイムを、ゆっくり過ごすにはぴったり。平日だからか、ラッキーなことに店内はすごく空いていました。野菜粥とさしみ(薄切りの魚の切り身で、熱々のお粥に投入して火が通ったところをいただきます)を頼んだら、ぷりぷりのシウマイにポットの中国茶もついてきて、充実の昼食となりました。この日は晴天で、少し外を歩いただけでもくらくらするような暑さ。腹ごなしに歩くつもりでしたが、元町へ行くのは断念しバーニーズ ニューヨークへ。ちょうどセール期間中だったので、ベルトとカットソーを購入しました。バーニーズの上階のカフェは、窓から海が見渡せてなかなか素敵なのですが、買い物が終わってもまだお腹がいっぱい…ということで、再び、地下鉄でみなとみらい駅へ行き、クィーンズ・イーストでショップ巡り。歩き疲れたところで、ちょうどお腹もこなれて来たので、4Fのカフェ「ジャルダン・ドゥ・ジュリアン」で、本を片手にのんびりティータイムを楽しむことにしました。+デザートセット+ 大好きなグランボワシェリのお茶とデザートのプレートをオーダー。スコーン用のクリームにはお花が… Designed by hana ちょうど、読み始めたばかりの本に夢中になってしまって、気がつけば1時間以上があっという間に経っていました。…まぁ、お待ちになっているお客様もいないようだったし、よしとしますか…この十年くらいで、すごいスピードで変貌を遂げた横浜ですが、私が子供の頃からずっと変わらないものもまだまだあります。散歩の途中で、ホテル・ニューグランドの前を通ったら、なにやら人だかりがしていました。立ち止まって見てみたら、どうやら、前日に横浜国際競技場で試合をしていた、サッカーのイラン代表が宿泊していたらしく、選手が出てきてバスに乗り込むのを通りがかりの人々が待っていたのでした。もう少し待っていたら、間近にダエイ選手を見たり出来たかもしれませんが…暑さに負けて退散。イランの皆さんも、横浜を気に入ってくださったらよかったのですが。人気blogランキングへ
2005.08.24
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NHK-BS2で、大好きな海外ドラマ「名探偵ポアロ」の最新作が、今日から連続放映。新聞でそのことを知り、朝からずっと楽しみにしていました。アガサ・クリスティを一番熱心に読み漁ったのは、中学生になったばかりの頃だったと思うのですが…ミステリーとしてももちろんですが、ポアロの時々使う「モナミ」っていうフランス語とか、英国スタイルのお茶の時間の描写とか、小説の中にあふれる異国情緒が、いたく私の好奇心を刺激したのでした。で、この「名探偵ポアロ」のシリーズは、あの頃の私がかすかな知識を頼りに想像するしかなかった本の世界を、さぁどうぞ~!と形にして披露してくれたようなもので…主演のデヴィッド・スーシェを見た瞬間「あぁ、ポアロってこういう人だったのか」と、納得。以来、私の脳内では、ポアロはこのドラマの吹き替えをしている熊倉一雄さんの声でしゃべっています(笑)【ヘイスティングスにミス・レモン…キャスティングは皆さん、はまり役だと思います】このドラマ、演出もなかなかのすぐれものだと思うのですが(この人が実はあの人でしたー!という、クリスティがよく使うトリックは、意外と映像化が難しいと思うのですが、このドラマはその辺りもよく出来ていると思います)…何より、登場人物、特に女性のファッションを見るのが本当に楽しい。当時の流行なのか、私の好きな真珠のアクセサリーがよく登場するのも嬉しいです。今日放映の「ナイルに死す」でも、若い富豪の女性が持つ、3連のゴージャスな真珠のネックレスが物語の伏線になっていました。ポアロが、真贋を確かめるために、唇に当ててみるのが面白かった。本物の真珠は、冷たいんですよね。明日からも、引き続き三作品が放映されるので、今週は夜が来るのが楽しみになりそうです。【公式ホームページはこちら】http://www3.nhk.or.jp/kaigai/poirot/【さりげなくベビーパールを着けるのが好きです。】人気blogランキングへ
2005.08.23
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この夏休み、横浜の実家に滞在している間に、以前の職場の同僚や先輩たちと、久しぶりに集まりました。話題は、いつものように会社の仲間の近況報告に始まりましたが、やがては、「郵政解散」と間近に迫る衆院選について。いわゆる「造反議員」の、一時のはしゃぎぶりと、その後の慌てぶりの落差については、ウォッチャーとして眺めるにはこんなに面白いことはない、という感じ。器が小さいよね、皆よく泣くし。でも、本来面白がっていい問題ではない、ってことは皆わかっているので、最後は「困ったもんだ」で終わるのですが。そして、小泉首相論から靖国問題を経て、話題は、終戦記念日を迎えたばかりのあの戦争のことへ。終戦60年の節目ということで、近年になく色々な特集番組が放映されたこともあり、それらのテレビ番組についての話がいろいろと飛び出しました。中でも、40代後半のメンバーが多かったこの夜、一番の盛り上がりを見せたのが、中村獅童主演のドラマが放送された、小野田寛郎さんについて。私は、このドラマを見なかったのですが、リアルタイムで小野田少尉の帰還を目にした世代には、今でも忘れられない強烈な出来事らしく、私に向かって事の経緯をこと細かに説明してくれました。ジャングルに潜んでいたのは、小野田さん一人だけじゃなかったんですね…それにしても、政治を語るにしても戦争を語るにしても、いまや、私たちの話題の「とっかかり」になるのは、どうしてもテレビメディアになってしまうのだなぁ、ということを痛感します。お酒を片手に、面白おかしく「ネタにする」には、センセーショナルに目を引くキャッチフレーズや映像を繰り返すテレビの素材の「軽さ加減」が、ちょうど良いのだとは思いますが。9.11以降、テレビを中心に、ヒステリックなほどの愛国モードに凝り固まったアメリカの例などを知るだけに、「テレビに似合う」人間や論調ばかりが、人の心を吸い寄せていくのは怖いなぁ、と。しかし、ニュースで連日、議員やキャスターが「しきゃく」「しきゃく」というのが気になって仕方ないのですが…何でも、最近では「刺客」は「しかく」と読むとは限らないらしいですね。…色々なことを勉強させていただいております。★人気blogランキングへ★
2005.08.22
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久しぶりの日記です。夫の夏休みにあわせて、慌しくそれぞれの実家をまわって来ました。帰省の際、親と私たち夫婦で、よく映画を観に行きます。(日帰り温泉とシネコンは、皆が楽しめるオプションとしてはかなり貴重)ある日、夫の実家で早めの夕食が済み、また「映画でも行ってみる?」ということになりました。レイトショーのプログラムを調べて、いくつか、まだ間に合う作品の名前を挙げ「どれにしましょうか??」と両親のリクエストを募ったところ、母上から「あの、ろくろっ首が咳したら首が落っこちるの、観たいわ!!」と、熱烈な要望がありました。そういうことで、この映画を観てきたのですが。結論としては、「むちゃくちゃ面白かったです~!妖怪LOVE!」子供向けの映画なのかと思っていたら、全然そんなことはなくって、ある意味「大人のおふざけ」とでも言うようなテイスト。まぁ、最近のお子様は成熟度が高いので、このレベルでちょうどいいのかもしれませんが…夫も私も「少林サッカー」が大好きなクチなので、この映画の破天荒かつくだらなすぎる(褒め言葉です)オチのつけ方には、お腹を抱えて笑った後、思わず拍手したくなりました。ここまで盛り上げておいて、最後はこう来るか、と…もう、実際に見てくださいとしか言いようがないのですけれど。事前の情報をほとんど持たずに観たので、特殊メイクで妖怪化したキャストの誰が誰やら、わからない人も多かったですが、豪華な出演陣です。企画に関わった荒俣宏・京極夏彦・宮部みゆき・水木しげるといった作家陣も、ちらりと特別出演しています。主人公と共に、魔人・加藤保憲(“帝都物語”の嶋田久作のイメージが強いですが、この映画ではトヨエツが演じています)と戦う妖怪メンバーの一人、「河童の川太郎」が本当におかしくって、後でパンフレットを買ってみたら、演じていたのは阿部サダヲでした。さすがだわ…。ちなみに、夫と私の一番のお気に入りは、竹中直人の演じる「油すまし」。往年の、深夜番組でシュールな笑いを追求していた彼のファンにとっては、うれし涙が出そうでした。いやぁ、映画も「食わずぎらい」するものじゃないなぁとしみじみ思いつつ、帰って来たのでした。両親も十分楽しんで観たそうです。妖怪映画で親孝行(笑)何にも考えたくない気分のときに、おすすめしたい映画です。【宮部みゆきの“あの映画どうしてリメイクしないの?”の一言から始まった企画らしい】妖怪大戦争<1968年版>【そして、主題歌・挿入歌はこのお二人が手がけております】●忌野清志郎 with 井上陽水“愛を謳おう ”人気blogランキングへ
2005.08.21
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昨日、お昼ごはんを食べながらボーッとNHKを見ていたら、サマージャンボ宝くじの抽選会の中継が始まりました。そういえば、夫が買ってきた分があったなぁと思い出し、早速食事の手を止めて、取り出してTV画面に釘付けに…しかし、この話題はここで終わりです(笑)2億円あったら何しようかな~、と夢を見るのが、宝くじの正統な楽しみ方ということで…ところで、申し込んだことも忘れていたカード会社のキャンペーンに当たったらしく、1通の封書が届きました。何かな?と思って開けてみると…「おめでとうございます。“愛・地球博”ペア入場券を差し上げます」とのこと。すでに、万博へは2回出かけてきたのですが…二度あることは三度ある、っていうことでしょうか?せっかくだから、誰か案内しようかな?と思いましたが、双方の親からは「暑そうだし興味もないし」と、あっさり断られてしまいました。そういうわけで、三度目の正直?の万博、いつか行ってこようと思います。今日から夫はお盆休暇。帰省のため、しばらく更新をお休みします。皆様、楽しい夏をお過ごしくださいね。
2005.08.13
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キッチンに立つということは、暑さとの戦いでもあります。夏場、火を使って料理をするということは、それだけで汗をかく作業。最近流行りの「ローフード」ではないですが、まったく火を使わずに作れて、体を冷やしてくれるお気に入りのメニューがこれ。<きゅうりだれ> *今日は冷奴にかけていただきました材料: きゅうり 1本 しょうが 1かけ にぼし粉 大さじ1/2 すりごま 大さじ1 味噌 大さじ1 しょうゆ 少々レシピ: きゅうりとしょうがはすりおろし、全ての材料を混ぜれば出来上がり。*みょうがや青じそのみじん切りを加えても美味しい。*きゅうりの皮は剥かない方がいいです。皮の部分が入らないと、青い大根おろしのようになってしまいます。*にぼし粉は、にぼし(いりこ)をフードプロセッサで粉状にするか、粉末のだしの素で代用してもいいと思います。 私は、こういう市販のものを使っています。いりこ粉末この「きゅうりだれ」、冷奴やトマトにかけて食べると美味しいのですが、お奨めはたっぷりと作って、素麺のつけだれにしていただく、というもの。普通のめんつゆとは全く違う味わいで、目先の変わった味を楽しむことが出来ます。きゅうりには、体を冷やす作用もあるそうですので、暑い休日の昼下がりなどにも活躍してくれるメニューです。作ってしばらくすると、どんどん水分が出てきてしまうので、食べる直前に作ってすぐにいただくのも、美味しく味わう秘訣だと思います。★人気blogランキングへ★
2005.08.12
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何を隠そう、私は「寅さん」と同い年です。…いや、渥美清さんとではありませんよ!ギネスブック公認の、世界最長の映画シリーズ「男はつらいよ」の、第一作が公開されたのが、1969年。私が生まれたのは、その年の秋でした。いつも遊びに行くブログで、最近「男はつらいよ」の話題を目にすることが増えました。この夏から、NHKがBSで48作品を一挙放送しているのがきっかけで、ちょっとしたブレイクが起きているようです。実は私も、うっかり第一作を見逃してしまったものの、その後は毎回楽しみに見ています。「男はつらいよ」は、映画館で見たことは一度もなくて、時々テレビでやっているか、スキーに行く長距離バスでガイドさんが流すビデオで見るもの、という印象でした。自分とは無縁の映画だと思っていたんですね。あんまり、面白いとも感じなかったし…それが、一緒に仕事をしていた会社の先輩が、二歳しか違わないというのに熱烈な寅さんファンで、「お正月には、初詣のあと映画館に行って『寅さん』見るのが日本人だろ!」と真顔で言うような人で…そんなにいいかなぁ?と、たまたまテレビでやっていた「花も嵐も寅次郎」(ジュリーと田中裕子が共演した作品)を見て、もう笑った、笑った!こんなに楽しい映画だったんだ、と思った途端に、渥美清さんはお亡くなりになりました。SEAL OF CAINさんの「寅さんは大人になってから」という一言は、まさに言い得て妙。映画を見るたびに、「寅のアリア」と異名を取る、渥美清さんの長広舌に酔いしれます。「男はつらいよ」はどの作品も、「人が、人の話を聞く」という場面が秀逸。寅さんを囲んで、行ったことのない遠い土地や、会ったことのないマドンナの姿をじっと思い浮かべる家族たち。際限なくおしゃべり出来る相手がいることって、こんなに幸せで楽しいことなんだと思います。そして、無償の思いやりや心配りに満ちたセリフの一つひとつに、胸が熱くなります。今、テレビで初期の作品を見ていると、自分の記憶の、一番底の底にある懐かしい風景の断片に何度も出会うのですよ。マドンナの髪型やミニスカート、画面の小さいテレビ(もちろんリモコンはない)、さくらが持つ買い物カゴ、受話器の重そうな黒電話…物だけではありません。除夜の鐘が鳴って年が明けたら、どんなに忙しくても割烹着やエプロンは取って新年の挨拶をするとか、親しいご近所でも、招かれないうちは上がり框や店先から奥へは上がらない、とか…あぁ、こういう人の姿ってあったなぁ、と、心の底から懐かしい。まさに、日本の「普通の人々」の年代史。1969年生まれの私にとっては、『自分はこういう時代に生まれて育った』というサンプルが、ずっと残っているようなものです。行動は大胆なくせに気性は繊細で、おっちょこちょいで無鉄砲で、メンツにこだわりすぐにスネる…実際に、こんな人が身内にいたらたまったものじゃないだろうと思いますが(笑)ちなみに、前述の寅さんファンの先輩と私は、「男はつらいよ」の主題歌の一節が共通の口ぐせになりました。曰く、「奮闘努力の甲斐もなく」。当事手がけていたプロジェクトは、色々と割に合わない思いをすることが多かったもので(笑)奮闘努力の甲斐もなく、奮闘努力の甲斐もなく…泣きたくなるむなしい日も多いけれど。でも、誠実に日々を生きていれば、人生はそんなに悪いもんじゃない。「男はつらいよ」の映画に出てくる人々のように、その昔は、何も言わなくてもそういうことを感じさせてくれる大人が周りにいたなぁと、それもまた懐かしいです。そしてわが身を振り返ると、ちょっぴり胸がチクリとします。今日、まろ0301さんに紹介していただいた「おかしな男」という、小林信彦の書いた渥美清の評伝を買いました。映画は明日からも続々と放映されます。この夏は、葛飾柴又に熱い目を注ぎたいと思います。【新潮文庫から出ています】おかしな男 渥美清【’69年以前の庶民の歴史を知るには、こちらが最適。】サザエさん
2005.08.11
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台風のため、前回のクラスが延期になったので、約1ケ月ぶりのお茶のお稽古に行って来ました。練習用に、お手頃な価格の抹茶茶碗と、茶筅と茶杓を買って、時々自宅でもお茶を点てて楽しんでいます。まだまだ、足りない道具はたくさんあって、ちゃんと練習になっているかどうかは「???」なのですが…【ミニ茶碗にお抹茶までついた、こんなセットも見つけました】お手軽 抹茶 セット 【火だすき】時々、夫にも声をかけて、練習の相手をしてもらいます。…と言っても、相手は、茶道に関する知識など毛ほども持ち合わせていません。私は、手順がわからなくなる度に、そばに置いてあるテキストをパラパラ…お稽古でご一緒している生徒さん達の優雅な動きとは、程遠いお点前です。でもまぁ、お客様役の夫も、茶碗に口をつける前から「けっこうなお点前で」などと嬉しそうに言っているレベルなので、お互い様です。しかし。本格的にお点前を練習するには、わが家の環境は適しているとは言えません。なぜか?…畳の部屋が、ないんです。今住んでいるマンションは、全室フローリングのため、ソファの前のスペースにラグを敷いて、正座して練習してみるのですが、もう足が痛いこと!また、これは自分でやってみて初めてわかったことですが…茶道というのは、手元の技術だけが上達すればいいのではなくて、茶室内での動作全般、まさに「立ち居振る舞い」のすべてが、約束事どおりに優美に行われなくてはならないのですね。そして、椅子の生活に芯から慣れてしまった私には、畳幅に合わせてお行儀よく「立つ」「座る」「歩く」ということ自体が、まーったくと言っていいほど身についていないのです。水差しを持って室内に入り、座る。…私は、正座をする途中の、腰がまだ浮いた状態で、先に手に持った水差しを置いてしまう。「ちゃんと、座ってから置かないとだめよ。」道具を持って、立ち上がって辞去する。足がしびれて、転ばないようにしなきゃ…と、足にばかり神経が行ってしまう。「一旦、つま先立てた足にお尻をのせて落ち着かせるの。それから、道具を持ってすっと立つの。」…今日も、先生や先輩の生徒さん達から、愛ある指導の数々をいただきました…自分でも笑ってしまったのが、足の運び方がどうしても覚えられないこと。「左足を下げて」「そこは右から出して」…もう、見ちゃいられない!という感じで、一人ならず何人もの生徒さんから、声が飛びます。まるで、スイカ割の応援のように。ところが、私は何と言っても「右も左もわからない」女なので(笑)しまいには畳の上でぐるぐる一回転してしまう始末!これはアカン、と思ったのか、いつも教えてくださるベテランの先輩が、二人がかりで私の足首を両脇からつかみ、はいこっちをこう、そっちへそう…と、教えてくださいました。皆さん、不肖の弟子でごめんなさい。しかし、「和の文化」の伝統が、私にはここまで身に備わっていないのかと思うと、情けないというか、寂しいです。私の遠大な夢というか、「お稽古の最終到達目標」は、さらりと着物を自分で着て、季節のお茶会を楽しむことなのですが…果たして、生きているうちに達成できるんだろうか?不安になってきました(笑)【見ているだけで楽しい、着物の本の数々。今はまだまだ本の中の世界…】宇野千代きもの手帖竹久夢二のおしゃれ読本白洲正子のきもの樋口可南子のきものまわり××人気blogランキングへ××
2005.08.09
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ニュースは、郵政民営化法案の行方と衆院解散で大騒ぎ…ですが、その騒ぎの影で、スペースシャトル「ディスカバリー」の着陸が天候不良により延期になった、という報道がありました。打ち上げにまつわる数々のトラブルに始まり、航行中も、そして帰還の時にまで…想定の範囲内だったのかもしれませんが、まぁ次から次へと、色々なことが起こる旅です。ロケットが、宇宙に飛んでから大きなトラブルに巻き込まれる…というシチュエーションで、すぐ思い出すのが、トム・ハンクス主演のこちらの映画です。「アポロ13」 私も大好きな映画で、いくつもお気に入りのシーンがあります。特に、NASAの管制ステーションでの「検算」のシーンが好き。(自分が数学が苦手なので、一層憧れるのかもしれませんが…)一人のヒーローが危機を救うのではなく、宇宙で、地上で、何十人もの人が精一杯力を尽くす姿に、何度見ても感動を覚えます。会社勤めをしていた頃、周囲にもこの映画が好きだという人がたくさんいました。組織で働くということは、「そんな、理不尽な…」と、絶句したくなるようなことの繰り返しだったりしますが、この映画の中でも「そんなのムリです!」と言いたくなるような数々のシチュエーションを、「それでもやらなきゃ仕方ない!」と、知恵を搾り出して解決していく。これが、たまらなく胸に響くのですよね、きっと。話が違うじゃん、とか、これだけの時間でどうしろって言うの?とか、言いたい気持ちをグッとかみ締めて、それでもやらなきゃ…っていう場面は、宇宙飛行士じゃなくたってたくさんあるのですから。野口さんをはじめとしたクルーの方々が、無事に地球に帰還されるように、心から祈ります。【宇宙飛行士の映画といえば、こちらも好きです。エド・ハリス大好きな私。】ライトスタッフ(期間限定) ◆20%OFF!◎人気blogランキングへ◎
2005.08.08
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野外ステージでライヴを聴いたことは何度かありますが、前から一度経験してみたいと思っていたのが、「芝生の上で、思い思いにくつろぎながら、ステージから流れてくる音楽を楽しむ」というスタイルのコンサートでした。そんなある日、三重県の「メナード青山リゾート」というリゾート施設で、「ミュージックフェスティバル ファンタジーリゾートショー」というイベントがあることを知りました。私の目を引いたのは、カタカナ総動員!という感じの長いタイトルではなく、出演者のリストの方。『日野皓正セクステット・佐藤竹善・矢野顕子』…私は、もう二十年近く矢野顕子さんのファンをやっているので、これは行きたい!と、すぐにチケットを購入しました。当日、8月6日。夫と二人、日焼け止めを塗り、小さいクーラーバッグに保冷剤をたくさん入れて、冷たい飲み物をたくさん買って出かけました。ちょっとしたロングドライブになりましたが、峠道を登って深い山に分け入っていき、会場に着くと、ラベンダー畑の向こうに、緑の芝生に囲まれたステージが見えました。【なんと、バーベキューを楽しんでいるご家族も。】早速、持ってきたシートを敷いて、夫は缶ビール、私は麦茶を飲みながら、開演を待ちます。【ステージの周囲の木々がきれいでした。】オープニングアクトは、世田谷の中学生たちで構成されたビッグバンド。「キャラバン」や「A列車で行こう」などのスタンダードナンバーを熱演。近くの、廃校になった小学校に寝泊りしての参加だそうです。その、中学生バンドの指導や指揮も務めた、日野皓正さん達の演奏も素晴らしかったです。3人のホーンセクションが重なり合って奏でる、ゆったりとしたメロディにのって、ステージの後ろの空では、入道雲がゆっくり形を変えていきました。まるで、音楽に合わせて雲がダンスをしているようでした。その後、私たちにとっては「本日のメイン・イベント」、矢野さんの登場。紫の、きれいなノースリーブのワンピースに、モスグリーンのバックストラップのパンプスで、ふわりとステージのグランドピアノの前に座られました。「CHILDREN IN THE SUMMER」という、夏休みの子どもを描写したすてきな歌があるのですが、二曲目にそのナンバーを歌われているとき、ステージの奥の林から一斉に、ひぐらしが鳴き始めました。宿題帳 ページめくれる 風がくるプールのあとの にぎりめし白いパンツの子供が眠るそいつは君だ 死ぬほど眠る夏やすみの子供「CHILDREN IN THE SUMMER」より蝉の声と、ピアノの音色と、矢野さんのソプラノの歌声。そして、時々わたる風の音。月並みな言葉だけれど、幸せだなぁ…としか言いようのない、ひとときでした。各々1時間ずつのステージで、日没後に最後の、佐藤竹善さんの演奏があり、最後は三者合同で、スティービー・ワンダーの「Isn`t she lovely」を演奏して、終了。じりじりと、強い陽射しが肌を焼くのが実感されたような真夏日でしたが、その頃には、高原の空気は肌寒さを覚えるほどの涼しさになっていました。今年の夏の、一番忘れられない時間を過ごせたかもしれません。
2005.08.07
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向田邦子さんのエッセイで、こんなエピソードを読んだことがあります。それは、ある時向田さんが、喪服を誂えたときのこと。彼女は、手元に届いた真新しい喪服を見て、心の片隅で「これを着てみたい」と思っている自分の気持ちに気づいた…というのです。その喪服に袖を通すということは、関わりのある人の死を意味するものだというのに。自分で自分に愕然とし、怖くなった、という内容でした。昨夜、TBS系で放映されていた「ヒロシマ」という特集番組を見ました。ニュースの後で、たまたま合わせたチャンネルだったので、冒頭の部分は見逃しましたが…「原爆はなぜ作られたか、どうして投下を防げなかったか」という検証と、CGや再現ドラマによる投下前後の広島市内の再現、そして、現在も酷い記憶と放射線の後遺症に苦しむ被爆者の方々のお話…といったもので構成された番組でした。原爆投下は、戦争を終結させて犠牲の拡大を防ぐために必要なことだったというのが、アメリカ国内での多数の認識なのだと言います。投下を回避するチャンスは、アメリカ側にも日本側にも一度ならずあったと、番組は伝えていました。そこで、冒頭に書いた、向田さんのエッセイのことを突然思い出したのです。「何だかんだ言ったって、作ったものは使ってみたかった、ってことでしょうよ」…と。番組の最後に、実際に原爆の開発に携わった、アメリカ人の科学者が広島を訪れる、という場面がありました。原爆を開発した立場の人が、ヒロシマを訪れ、かつ実際に被爆者と対面する、というのはこれまでにないことなのだそうです。すでに80代半ばとなったその科学者は、被爆体験のある二人の方と対談する中で、彼らの「謝罪の気持ちを」「あやまってほしい」という言葉に、過剰ともいえる拒絶反応を示し、「私は謝らない。謝るのはそちらの方だ。我々の国にはこういう言葉がある。『リメンバー・パールハーバー』」と、猛々しい目で言いました。・・・。足を踏んだ側と踏まれた側、いつまでもそのことを忘れないのは踏まれた側の方だ、という言い方がよくされます。立場が変われば、近隣のアジア諸国からは、まさに「あやまってほしい」と言われ続けているのも、日本という国の現実の一つです。「かくも人間は度し難い」というのは、宮崎駿さんがよく使う言葉ですが、このところ戦争に関する本や番組を目にするたびに、このひとことが思い出されてなりません。同じ人が、時と場合によって、賢い者にも愚か者にもなり得るのが、人間というもの。テクノロジーの進歩は、人間が使いこなすにはあまりにも安易に命を奪う、数々の道具を生み出してしまった…。「使ってみたい」なんて、絶対に思わないように。そのために、過去から学べることはいくらでもあるはずなんです。「リメンバー」の対象は、パールハーバーだけではないし、過去から学ぶ義務があるのは、世代も国も関係なく、すべての人間に共通だと思うのですが。【原爆忌に開いたマンガ】夕凪の街 桜の国数々の賞をとって、映画化も決まり、一時期話題になったのでご存知の方も多いと思います。出来れば、最初に読んだ時の私がそうだったように、何も予備知識のない、まっさらな状態で手にとってほしい本です。大きな声では言えませんが、立ち読みしたって、足が疲れないうちに読み終えられる薄さです。声高な主張や強烈な描写とは無縁の、どちらかといえばひそやかに綴られる物語が、大きな届け物を心に置いていってくれました。私はこの一冊と出会えてよかったです。「読後、まだ名前のついていない感情が、あなたの心の深い所を突き刺します」(単行本帯のコピー)今日は、夫と、高原のリゾート地で行われた野外ライブに出かけてきました。その話は、また明日書きますね。■人気blogランキングへ■
2005.08.06
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久しぶりに、食事の時間も惜しんで本に読み耽るという体験をしました。「戦国自衛隊1549」「亡国のイージス」と、原作が続々映画化されていることで注目を集めている作家、福井晴敏。この小説も、「ローレライ」というタイトルでこの春、映画が公開されました…というか、そもそも、映画の原作になる小説を書いてほしい、という監督・プロデューサー側からの注文を受けて書かれた小説なのだそうです。当初、著書が扱っている題材やご本人の経歴から、「アニメ世代の軍事オタク」というガチガチの先入観を、作者に対して持っていました。知人からの強い勧めと共に、全4冊の文庫本を借りた後も、最初の文章二行を読んだだけで「うわぁっ、私には合わない、この文体は絶対ダメだ…」と、くじけそうになった(実際挫けて、1巻の途中まで読んで4ヶ月以上投げ出していた)のですが…再び読み直して、長大な物語が進んでいくにつれ、加速度をつけて本の中の世界に引き込まれていきました。物語の舞台となるのは、昭和20年の7月23日から、8月15日までの約1ケ月。すでに敗戦が決定したナチスドイツから、密約によって日本にもたらされた一隻の潜水艦。その船が搭載しているという、前代未聞の特殊兵器「ローレライ」とはなにか。そして、ローレライの奪還を目論む男たちが秘めた思惑とは…?【文庫版 全4巻『終戦のローレライ』】時計の針が進むにつれて、1日1日の密度が濃くなっていき、費やされるページ数も増えていきます。最終の第4巻は、わずか2日間の出来事を書くためにほとんどのページが使われます。8月6日。8月9日。8月15日…読者の誰もが知っている、歴史的事実を縦糸に、こうも大胆なフィクションの横糸で、第一級のエンターテイメント小説を作り上げてしまうとは。主人公たちを乗せた潜水艦と、主人公たちの運命が、どのような経緯を辿っていくのか?あざやかに二転三転する物語は、サスペンスミステリーをメインに、冒険小説と歴史ドラマが、贅沢に一つのお皿に盛り付けられているような印象でした。機械音に紛れない発声法を体得しているベテランの機関士とか、米国の軍人が飲む「海軍式塩入りコーヒー」とか…妙に細部でミリタリー・トリビア的な小道具が出てくるのは、作者の趣味によるものでしょうが。軍隊の階級の仕組みも、潜水艦の装備も、ほとんど知識を持たない私ですが、それはこの小説を楽しむ上での障害にはまったくなりませんでした。しかし、一気に読み終えて「いやぁ、面白かった!」という言葉を、その後に続けるのは少しためらわれるのです。作者の福井晴敏(1968年生まれ)は、『おそらく自分たちは、そうしたこと(注:東京大空襲等の惨状)を生の声で聞いた最後の世代に近いんじゃないかと思うんです。 その第二次大戦というものが、これからの若い人たちにとって、関が原レベルの歴史と同列になっていくときに、生の声を聞いた我々ができる橋渡しは何か』と、この作品に関するインタビューで語ったのだそうです。実際、この小説は「行間を味わう」タイプの物語ではありません。数多くの登場人物たちの、過去や特徴や、胸によぎる思いの丈が、ご丁寧すぎるほど綴られていて(だから長くなっているんですが)、一人ひとりに、背負ったものや生きてきた歴史があることを思い知らされる。そして、戦争という極限下の状況で、どう運命と自分との折り合いをつけるかは…個人個人で全く違っていたということも。過去を振り返る時、軍服を着て死んでいった、あるいは生き残ったあの時代の人々を、私たちはどうしても一くくりに、出来上がったイメージに当てはめて捉えてしまいがちです。でも、数字で一塊にくくられてしまうような死者達にも、一つ一つの人生があったのだ、みんな、代りのきかない命の持ち主だったのだ…そして、その「60年前の大和民族」の、自分たちは紛れもない後裔なのだ。改めて思い知らされます。この事実を、過剰なほどの言葉で突きつけられて、今の時代に生きる自分、復興・繁栄・その後にどこか歪んでしまった日本、あるいは新世紀になっても戦争を地球上から無くせない、人間というものについて…考えざるを得ない読後感がありました。映画「ローレライ」を私は見ていないのですが…映画化を前提に書かれていながら、この小説が、到底2時間あまりでは描ききれない大長編になってしまったため、役柄の設定や相関関係など、かなりの改編を施した脚本になっていたようです。いつもお邪魔する哲0701さんの日記では、映画を作った樋口監督は「戦争をゲームの駒の前に現れた自然災害のような障害という程度の認識しか持たなかったようだ。」という鑑賞後の感想でした。それに対して、この小説を書くに当たり、作者は「聞こうとする真摯な気持ち」を持って、当事者の遺した記録に向き合い、太平洋戦争のある側面を掴もうとしたのだ、と感じました。ただ、「あの戦争が残したのは、戦争は悲惨だなどというバカでもわかる教訓だけではない。もっと学ぶべきことがあったはずだ」(終章より抜粋)という、叫びにも似た作者の思いはよくわかるのですが…それゆえに、書かずにはいられなかったであろう、「終章」。これは、いっそなかった方が、読む側の心に強く余韻が残り、上に書いたような思いを読者一人ひとりが考える余地が生まれたように思いました。もし、この本をお読みになった方がいらっしゃれば、ご意見を伺ってみたいです。
2005.08.04
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以前の日記にも書きましたが、飲み会の話題で「食パンには何をつけるのが最高か」というテーマで、参加したメンバー間で大激論になったことがあります。 (詳しくはこちらの日記で)食事にまつわる習慣は、各地域・家庭によって千差万別。正解のない命題だけに、価値観と価値観のぶつかり合い(笑)になることもしばしばです。そんな訳で、せしるんさんから回していただいたこのバトンを考えた人の気持ちも、わかるような気がします。では、「調味料バトン」私の場合。【Q1】次のメニューにどんな調味料をかけますか?薬味は含みません。【A1】・目玉焼き :塩と、挽きたてのブラックペッパー。・納豆 :私は納豆を食べません、あしからず…(あの匂いがダメ)・冷奴 :ポン酢しょうゆか、つゆの素・餃子 :ポン酢しょうゆにラー油をたらして。・カレーライス:何もかけません・ナポリタン :粉チーズがあればかけます。・ピザ :気分によってはタバスコ。・生キャベツ :味噌をつけるのが一番好きです。次点はマヨネーズ。・トマト :ドレッシング・サラダ :ドレッシングかポン酢しょうゆ・カキフライ :ウスターソースかケチャップ・メンチカツ :何もかけません ・コロッケ :クリームコロッケならケチャップ。普通のは何もかけません ・天ぷら :抹茶塩が好きですが、大抵は天つゆ。・とんかつ :とんかつソース・ご飯(おかず無しの時):一時、バターをのせてしょうゆをたらすのが好きでした。【Q2】周囲に意外だと驚かれる、好きな組み合わせはありますか? 【A2】若い頃、スパゲティ(トマトソース系)にかける粉チーズの量が異常だと驚かれたことがあります。 今は、粉チーズへの愛が薄れたので、いたって普通だと思います。【Q3】それが一般的なのだとは知っているが、苦手な組み合わせはありますか?【A3】ラーメンや冷麺にお酢を入れるのは、ちょっと… 元の味が全然違ってしまわないだろうか?と心配になります。こうして書き出してみると、ポン酢しょうゆの登場する頻度がかなり高いことが判明。わが家に常備してあるのは、高知産の、ゆずの香りあふれるこちらのお品。馬路村 ゆず畑 「つゆの素」とあるのは、こちらも毎日の料理に欠かせない金笛 春夏秋冬 だしの素 いずれも、厳選された材料で作られていて、他のものには代えられないお気に入りの味です。 「調味料バトン」、残された四つ目の質問は、「バトンをまわしたい5名は誰ですか?」なのですが、これは例によって自由参加ということで…よかったらぜひぜひ、回答トラックバックしてくださいませ。人気blogランキングへ
2005.08.03
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夏休みの帰省の相談を兼ねて、横浜の実家に電話をしました。すると、母が「朗報があるわよ」と言う。何かと思えば、先日、横浜そごうのレストラン街がリニューアルして、新しく入ったお店の中に“京・はやしや”がある、とか。はやしやというのは、京都の三条に昔からあるお茶のお店です。「新選組」の池田屋事件で名高い、池田屋の跡地(今はパチンコ屋さんになっている)のすぐそばにあります。仲の良い従妹が、京都の大学に進学して4年間一人暮しをしていたので、よく遊びに行ったのですが、その時に教えてもらって以来、私は大ファンです。夫が大阪に住んでいた頃は、京都で会うことも多くて、二人でこの店のスイーツを食べに来たものでした。今でも、京都に立ち寄る機会があると、時間をやりくりしてもわざわざ出かけて食べたくなります。私は、このお店の「紅茶のかき氷」が大好き。夏でも冬でも、“舌がしびれる~”とか何とか言いながら、ペロリと食べてしまいます。 わが家のお気に入り 「茶」ーハン一つと 紅茶と抹茶のデザート一つずつ。これが、私たちふたりの定番セット。 Designed by hana (この写真は、去年の夏に行ったとき、携帯カメラで記念に収めたものです)実家には、よくはやしやで買ったお茶をお土産にしていたので、母の記憶にもお店の名前があったのでしょう。でも、実際にそごうのお店に足を運ぶかどうかは、微妙です。本音を言えば、私にとっては「はやしや」のかき氷は「京都でいただくからこそ美味しく感じる」、言い換えれば「京都に行かないと食べられない」味にしておきたいアイテムなのです。青山にも、以前から支店があるのは知っているのですが、何だか足が向かなかったという…。窓際のカウンターに座って、お向かいの「がんこ三条店」のベランダで、休憩中の板前さんがタバコをふかす姿なんかを眺めながら、ひたすらスプーンを動かす。そういう、あのお店の中で何度も繰り返してきた時間ごと、味わいたいのですよね。今は便利な世の中になって、自宅で全国から「お取り寄せ」の味が楽しめます。私も、そういう恩恵をふんだんに受けていますが、中にはこんな風に、高嶺の花にしておく楽しみもあっていいかな、なんて思っています。(…と言っても、それは私の勝手。あんみつはどこでいただいても美味しいと思うので、お近くにお住まいの方は、そごうでぜひぜひ味わってみてくださいませ!)【京 はやしや 公式HP】http://www.kyo-hayashiya.com/【京都市内の宿を探す】人気blogランキングへ
2005.08.02
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