恋涙 ~ renrui ~

恋涙 ~ renrui ~

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2006.11.21
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カテゴリ: 夢物語
あれは紗羅が小学校2年生の夏だったか
・・・近所の夏祭りに二人で出かけた
いつものように紗羅の手を引いて、
紗羅は白い生地に蒼い花の模様に浴衣を着て
伸びかけの肩までの柔らかい髪をリボンで
結いあげ下駄をカラコロならしはぐれないように俺の手をきつく握っている

神社は小さいながら賑わっており道の両脇に
色とりどりの鮮やかな店が連なる
暫く歩くと紗羅はピタリと足を止め一点を見詰めている、

屈み紗羅の視線の先を追う

「紗羅?」

紗羅の視線の先には綺麗な玩具の指輪や投げ輪など
沢山の玩具がおいてある店があった
俺は紗羅の頭にポンと触れると立ち上がり店先に行くと
指輪を一つ一つ手に取り紗羅に見せる。
紗羅はあまり物に執着を見せない、紗羅が欲しがるのは
よっぽどのことでそれでも欲しいとは口にださない。
桜色した華があしらわれている指輪を見せると嬉しそうに顔を綻ばせる、
俺は代金を店主に渡すとその指輪を持って紗羅の傍まで戻る。
そして紗羅が右手を差し出したのにおもむろに制ししてしまう、


「こっちの手だよ」

俺はそう言って紗羅の左手を取ると細い薬指に指輪を通す、
華のその指輪はあつらえたように紗羅の指にぴったりはまる。
紗羅はその手を空に掲げ嬉しそうに見詰め俺に視線を移すと声を弾ませながら

「ありがとう、お兄ちゃん」


またその手を見詰める紗羅の右手を握り歩き始める、
紗羅の無邪気な笑顔が俺の心にズキンと大きな痛みを与える。
左手薬指の指輪が意味する言葉を知らない紗羅に俺は指輪を通した。
まるで鎖とするかのように、いつか
俺の手を握るこの手が離れてしまう日が来るのかも知れない、
俺はその日が来るのをひどく恐れていた。
その感情は既に兄としてのものではなかったのかもしれない
、もうこの時・・・いやそれ以前から俺は紗羅に対して
兄以上の感情を持ち始めていたのだろうか?
俺は無意識に紗羅の手を握る左手に力がこもっていた。


sakurapk.jpg 五話『鮮血と体温』








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最終更新日  2006.11.21 12:57:34
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