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「プロローグ」では、東京に住む小春の両親が祇園の櫻井家を訪れ、 吉乃や宗次朗らと共に、楽しく年末年始を過ごします。 そして、小春の前にあの管狐が現れ『コウメ』と名付けられたのでした。 第1章「椿の回顧録。」は、小春が賀茂家で澪人の祖父・吉雄や兄・和人と対面、 自分が前世で『玉椿』という「三人目の斎王」だったことに気付くというお話。 小春は若宮と触れ合うことで、宮様に仕えた波乱万丈の生涯の記憶が喚起されたのでした。 第2章「課題と業と雪うさぎ。」では、ネット上で「妖情報」を募る『祓い屋』について、澪人と宗次朗が様子を探りに出かけますが、その力は圧倒的で、取り逃がしてしまいます。一方、三善朔也は、何かと小春に接近し、その距離感を縮めてくるのでした。第3章「水神様と陰陽きんつば。」では、引越後、家族に病気や怪我が絶えない女性宅に、澪人と小春が出向き、井戸がお祓いもせずに塞がれていたためと原因を突き止めます。一方、宗次朗は元カノでイラストレーターの八雲が開く個展に出かけるのでした。第4章「椿の花が落ちるころ。」では、小春がバレンタインデーに澪人に告白するも撃沈。さらに、前世で失職後、左近衛大将の妻となったことで神通力を失った記憶が蘇ります。そして、義理チョコを渡した三善朔也からは、突然の額へのキス。しばらくして、小春は特殊な能力が失われてしまったことに気付くのでした。 ***前世の記憶が、徐々に明らかになってきました。小春を巡る澪人と和人の関係や宮様の立ち位置も、やがて判明するのでしょう。そして、気になるのは、三善朔也と『祓い屋』、さらに弓道部の美女・安倍さんも。ところで、小春の行動も、三善朔也に劣らずかなり積極的なものですね。
2022.11.30
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「プロローグ」では、祖母のような拝み屋さんになりたいと思った小春に対し、 吉乃や宗次朗の反応は薄いものでしたが、愛衣は修行のサポートを申し出ます。 そして、第1章「迷いの夜に行燈を。」で、小春と愛衣が『空也の滝』で滝修行。 小春は老神主から「リリヨウ殿によろしくお伝えください」と声をかけられます。 その帰路、女性にまとわりつく黒い影を祓ったため、生霊に取り憑かれた小春。 吉乃は、それを祓うと共に、拝み屋稼業ついて優しく説き聞かせるのでした。一方、澪人の兄・和人から、弟の様子がおかしいと聞いた宗次朗は、上賀茂の家へ。九死に一生を得た後も自らに残された力について、黒龍から道標となる言葉を得られず迷走を続けていた澪人に、宗次朗は自らの「芯がコンニャクになり代わった経験」を語り、吉乃から預かった新作の和雑貨「鳥籠形の行灯」を手渡したのでした。 第2章「祭りの騒ぎと、抹茶栗大福。」は、小春の通う学徳学園文化祭『楓祭』のお話。小春のクラスの『甘味処』は大盛況、澪人も弓道部で大活躍。そして、『オカルト研究会』で行われた降霊会で起こったトラブルも、宗次朗が即解決。そんな時、小春の前に姿を現したのが、同学年の三善朔也でした。一方、小春が「拝み屋」を目指すと知った澪人は、住み込みで家庭教師をすることに。 第3章「お香とサインとオルゴール。」は、若き日の吉乃を描いたお話。今も『最優秀作品展示室』に残る卒業記念作品『からくりオルゴール』は、吉乃と、彼女が想いを寄せていた東堂周平との共同作品でした。そして、そのオルゴールの5曲目のシリンダーは、澪人が使う部屋の押し入れにありました。澪人から預かったシリンダーに触れた小春は、吉乃の恋の行方を知ることになります。第4章「森羅万象のからくり。」では、吉乃の昔馴染み・大谷が『さくら庵』を訪ねてきて、インターネットで除霊を請け負う祓い屋に「管狐が憑いている」と言われたと澪人に相談。翌日、小春は澪人に伴われ伏見の大谷邸を訪ね、管狐から色々なことを教えてもらいます。その後、管狐は気配無く忍び寄った祓い屋に滅されるも若宮が救済、白狐として辰巳稲荷へ。小春は吉乃から祖父との馴れ初めを教えてもらい、澪人は賀茂の家へと帰って行ったのでした。 *** 「小春ちゃん、良いと言われることを伝えたとき、 こう言うてくる人は割とたくさんおります。 そういう時は、決して否定せずに、 『そうですね、あなたはそうやと思います。 そやけど、この話はそんなあなたにも何かがあった時に、 役立つかもしれへんから、心の片隅に留めておいてくださいね』 と言うてあげてください」(p.136)これは、澪人が小春に向けて話した内容に対し、「自分はそんなことをしなくても大丈夫だけど」と否定した宗次朗を脇目に、零人が小春に言った言葉。イイ受け流し方ですね。
2022.11.27
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先日、本屋さんに立ち寄ると、店頭にサイン本が。 よく見ると、それは青山美智子さんの新刊。 青山さんは、今、私が最も注目している作家さん。 早速購入して、表紙を捲ると、 「ありがとうございます 青山美智子」のサインと共に、 ボールで戯れている猫が描かれたスタンプが押されていました。とっても、嬉しい!! ***「一章 誰かの朔」3か月前に看護師の仕事を辞め、現在就活中の41歳・朔ヶ崎怜花は、ポッドキャストで、タケトリ・オキナの番組『ツキのない話』を聞くのが日課。弟・佑樹が隣家に住む樋口さんの飼い猫を預かることを引き受けたため、その世話もしている。佑樹は、神城龍が主宰する劇団ホルスの劇団員で、次の舞台での主役抜擢が決定。一方、勤務する病院で看護師長候補だった怜花は、新人育成で自信を無くし退職・失業中。そんな怜花が、ある日ハンドメイド通販サイトで「朔」と名付けられた指輪を購入。そして、指輪の作者「mina」とのメールのやり取りや、樋口さんが語った飼い猫を預けた理由、そして佑樹の頑張りの様子に、怜花は、リセットという新しいスタートを切ることを決意するのだった。 「二章 レゴリス」大学祭で、てっちゃんとコンビを組んで出演したライブでの高揚感が忘れられず、お笑い芸人になるため8年前、22歳で青森から上京してきた本田。養成所で知り合った朔ヶ崎佑樹と「ポンサク」を結成し、コンビ解散後はピン芸人として活動。しかし、思うように仕事は増えず、契約社員として宅配便のドライバー業務にも携わっていた。バイクショップで偶然出会った佑樹が、次回公演で主演することを知ってショックを受け、旧知の企画会社社長に頼まれた仕事をこなすもくたびれ損に終わって、意気消沈。しかし、帰省した青森で再会したてっちゃんの言葉に背中を押された本田が、ツイッターで前向きツイートを送信すると、貴重なフォロワー・夜風から「いいね」が付いた。「三章 お天道様」東京のはずれで二輪自動車の整備工場を構える高羽は、6月に突然結婚&妊娠宣言をした24歳の娘・亜弥が、翌月福岡へと旅立ってしまい、10月には、妻・千代子も娘の世話に行ってしまったため、独り暮らしの日々が続いていた。今は、取引先のバイクショップ従業員・朔ヶ崎が教えてくれたポッドキャストを聞くのが楽しみ。そんな時、娘の夫となった大手電機メーカーSEの内川信彦が、東京出張中に福岡土産の醤油を手にやって来て、アイパッドやパソコンの不具合を直してくれる。しかし、2人の間で会話が弾むことはなく、信彦は早々に立ち去ってしまった。翌日、通販サイトで購入した荷物を届けに来た宅配担当者・本田の仕事ぶりに胸を熱くし、千代子から信彦来訪の裏話を聞かされた高羽は、信彦との新しい関係の始まりを予感する。2日後、亜弥の陣痛が始まり、その最中の亜弥自身から感謝の電話に涙が止まらない高羽。翌朝には、千代子から女児誕生の知らせが届いたのだった。「四章 ウミガメ」逢坂那智は、ポン重太郎がツイッターで面白いと言っていたポッドキャストの『ツキのない話』を聴くようになっていた。那智は、中学生の頃に父が出て行った後、自分を嫌う母と二人暮らしを続けていたが、高校卒業後自立しようと中古のベスパを購入して「夜風」と名付け、その愛車に乗ってウーバーイーツの配達のバイトに励んでいた。そして、配達で神城迅の家に行ったことを契機に、迅の父・龍の劇団の内職を手伝うことに。しかし、母にバイトがばれ言い争いになった那智は、バイクで転倒、入院することになるが、それを知った母はすぐに病院に駆け付け、娘を抱きしめたのだった。動かなかったバイクも、迅から依頼を受けた佑樹が引き取り、高羽が修理して復活した。「五章 針金の光」「mina」の名でハンドメイドアクセサリーの作製・販売を行う北島睦子は、自身の本の出版が決まると、自宅近くに借りていたアパートで過ごすことが一層増えた。出版の参考にと、切り絵作家のリリカが開く展示会を訪れた睦子は、自分と同じ悩みを持ち離婚に至った彼女から、今も元夫や息子に会えない辛さを吐露される。そして睦子が、ポッドキャストでタケトリ・オキナが語っていた月の話をすると、リリカは、神妙な顔つきで瞳を泳がせたのだった。翌日、目薬と間違えアロマオイルを点眼してしまった睦子に、義母から電話がかかってくる。義母が教えてくれた救急医療相談窓口に電話すると、相談員の朔ヶ崎は落ち着いて症状を確認し、すぐに受診できる眼科を教えてくれた。睦子が、眼科に駆けつけてた剛志と共に帰宅後、ポッドキャストを聴き始めると、タケトリ・オキナが自分自身のことについて語り始めたのだった。 ***構成としては、『木曜日にはココアを』や『猫のお告げは樹の下で』と同様、様々なキャラクターが、5つのお話の中で様々に関わり合いながら、次々に物語が紡がれていきます。青山さんの作品は、初読の知識を頭に入れてから、2度目を読み直すのがとても楽しいですね。
2022.11.23
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「プロローグ」は、4か月ぶりに東京の実家に向かう櫻井小春が、 京都祇園での日々を振り返るもので、第1巻のお話をごく手短にまとめたもの。 そして、第1章「甘酸っぱい涼菓と、想いの裏側。」では、実家に帰った小春が、 京都で生活を続けたいとお願いするも、両親が断固反対の姿勢を崩さないため、 自分が外に出られなくなった理由を、感情的に強い言葉で言い放ってしまいます。 翌日、自身の行動を後悔する小春に、杏奈は自分が宗次朗から言われたことを伝えます。 そして、少年時代の父の思いに気付いた小春は、昨日のことを両親に謝罪するのでした。 第2章「塔の上の少女と栗茶巾。」では、小春が京都の私立高に通い始めます。17年前に生徒の投身自殺があり、幽霊が出ると噂の「塔」の掃除当番になった小春は、同級生・水原愛衣らと掃除する最中、この高校の卒業生でもある担任・早乙女典子が、自殺した親友の白川葉子と同じ男性を思っていたことを知ります。さらに、早乙女の話や、澪人が聞き出した愛衣の父の話、小春が葉子から受け取った想いや、龍神の子・若宮の力から、一連の出来事の真相に辿り着いたのでした。第3章「涙の決意と砂糖菓子。」では、宗次朗の書いたお札を持って除霊に出かけた澪人が、それが「神の先遣り」と気付くのに遅れたため、満身創痍で深夜に櫻井家に戻ってきます。澪人は、母親が自分を身籠った際、陰陽師に特別な祈祷をさせたことから短命になると知り、自身の得た力を出来る限り賀茂家のために使い、早く子供を儲けたいと考えていました。そんな澪人の危機を、小春の願いで現れた若宮が、その力を宗次朗を通じて受け渡し救います。 *** 「ひらパー知らないの?兄さんが宣伝しているのに」(p.204)これは、小春と言葉のやりとりする中での愛衣の発言。「ひらパー」は、『京都寺町三条のホームズ(9)』でも登場していましたね。
2022.11.20
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『京都寺町三条のホームズ』シリーズの最新刊を読み終えたので、 予定通り、このシリーズを読み始めました。 今年2月に15巻で本編完結後、9月に完結後を描いた『EX』が発行されており、 当分の間、望月さんの作品を継続して楽しむことが出来そうです。 ***「プロローグ」は、半年前、中学3年生の半ばに、学校に行けなくなった櫻井小春が、東京に住む両親の元を離れ、祇園にある和雑貨店『さくら庵』にやって来るところから開始。出迎えたのは、祖母・吉乃、はとこの賀茂澪人と父の弟で和菓子職人の叔父・宗次朗。小春が学校に行けなくなり、高校進学も出来なかったのは、どうやら血筋が関係している様子。第1章「香り袋と桜餅、秘密入り。」では、安井金毘羅宮で「縁切り碑」に抱き着いたため、具合が悪くなった女性を、吉乃がお祓いで回復させたことから、賀茂家の先祖が陰陽師で、その血筋を引く吉乃は、「祇園の拝み屋」として知られる存在であることが判明。小春は、突然自分の身に起こった不可思議な出来事との関連に気付き始めます。第2章「小さなあゆと、小さな依頼。」では、石田優子と名乗る女性が吉乃に除霊を依頼。亡くなった母親が「帰って来てくれた」と言い出した父親を心配してのことでした。吉乃が父親と面会を終えた後、同行した小春はこの一連の事の真相を知ることになります。石田夫妻の家族愛に触れた小春は、実家に電話をかけることを決心するのでした。第3章「消えたうさぎと水無月と。」では、東京でモデルをしている澪人の姉・杏奈が、『さくら庵』で購入した『タペストリー手ぬぐい』に描かれていたうさぎが消えてから、上手くいっていたことが急に上手くいかなくなったと、吉乃に相談にやって来ます。そして、宗次朗の言葉で自身の行動を振り返った杏奈は、今後の決意を固めるのでした。第4章「続く雨と涙のわけ。」では、小春が一人で辰巳大明神に詣でた際に現れた蛇から、「親からはぐれてしまったので家に連れて帰って欲しい」と頼まれ、神泉苑へと向かいます。そこで姿を変えた幼い龍神に、小春が「人の心の声が聞こえる辛さ」を打ち明けると、自分を愛してくれる人を信じ、自分を信じ、自分のことを知るよう諭されたのでした。 ***『京都寺町三条のホームズ』に比べると、オカルト的要素を交えた、かなりファンタジー色の濃い作品のようですが、そこから伝わって来る、心地良い優しさやほんわかとした温かさは同じ。著者である望月さんの人柄が表れているのでしょうね。
2022.11.13
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副題は「願いを叶えるマキアート」。 前巻から半年足らずで発行されたシリーズ十周年となる今巻は、6巻以来の長編。 京都コーヒーフェスティバルで発生した事件を、美星が解決へと導きます。 3巻で描かれた関西バリスタ大会に登場したキャラも再登場。 ***まずは、プロローグ。初読では、何のことだか全くわからなかったのですが、読み進めていくと、これが結構重要な描写であることに気付かされます。あるキャラクターがとる、不審を招きかねない行動の背景になっているからです。まぁ、それでも、このキャラクターに対する私の評価は劇的に下がってしまいました。もちろん、このキャラクターは、5巻で見せたような行動をとる人物設定なわけですが、それにしても、職場の鍵を預かる人間が、あのような状況を作ってしまうのは感心しません。店の責任者の、この件に関するこの人物への最終的対応は、多分に私情によるものでしょう。結局、事件はこの一件とは全く関係のないところで発生したものであり、また、解決されていくわけですが、エンディングを読んでいても、モヤモヤしたものが残り続け、「仕事」や「職場」に対する意識というものについて考えさせられることになりました。
2022.11.13
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今巻のお話の基軸となるのが、スーザン・フォワード。 彼女自身が、お話の中に登場するわけではありませんが、 彼女が1989年に出版した書籍で初めて使った言葉が、今巻のメインテーマ。 その日本語版の出版経緯は、水島広子さんの著作の中でも触れられています。 ***李奈の住むアパートに、兄・航輝と共に母・愛美が訪ねてきます。早速「小説は家でも書けるでしょ?」と切り出した母親は、これまでも機会ある毎に、娘に実家のある伊賀に戻ってくるよう促していましたが、李奈は、これまで同様、東京で一人暮らしを続けたいと拒否します。そんな李奈に、またしても警察から事件捜査への協力依頼が舞い込みます。南品川の住宅街で、改造ガスガンを使って50代男性・館野良純が殺害された事件では、男性の遺体の胸の上に、芥川龍之介の『桃太郎』が置かれていたのです。さらに、猿に似た70代男性・宇戸平幸之助と、犬一匹、スズメ一羽も殺害されていました。李奈は、芥川の『桃太郎』を繰り返し読み返すと共に、事件現場周辺の家々や館野の職場を刑事と共に訪ね歩き、情報を聞き出そうとします。自治会長・中山義昌、自治会副会長・坂崎湯治、館野の妻・清美と娘・稜楓、犬の飼い主・相葉美月とその息子・弘眞、駒井亮子、日村美枝子、「愛友心望」社員・永西志保美と支局長・有瀧雄造、館野の職場の後輩・渥川忠征、館野が通っていた古書店店主・池端和子、宇戸平の行きつけの飲み屋店主・鯨井等々。残りの紙幅が少なくなり、「このお話は次巻に続くの?」と思いかけた頃に、優佳が、李奈の母親について語った一言を契機にして、事件は解決に向けて一気に動き始めたのでした。松岡さんは、テーマをしっかりと意識し続けながら今巻を書き切りましたね。
2022.11.11
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「再生医療」について書かれた一冊で、 そこに深く関わってくる「幹細胞」や「iPS細胞」、 さらには「培養上清」について、豊富な事例を交えながら、 一つ一つ、とても丁寧に説明がなされていきます。 本著の肝は、第5章「再生医療、培養上清の光と闇、将来の方向性」であり、 それまでの、第1章「再生医療」、第2章「幹細胞」、第3章「iPS細胞」や 第4章「培養上清」は、第5章で著者が述べる内容を理解してもらえるよう、 下準備として、読者に関連知識を一つ一つ注入していく形をとっています。 著者は、名古屋大学医学部名誉教授で、株式会社再生医学研究所代表取締役の上田実さんです。しかしながら、述べられていることを真に理解しながら読み進めていくためには、化学や生物、医学等について、それ相応の知識を有していることが必要だと感じました。私は、大枠は理解出来ても、細かいところはあちこちで「?」の部分を残しつつ、ページを捲り続けることになってしまいました。取り敢えず、「培養上清」が「幹細胞移植」と同程度の効果をもたらすものであること、そして、低コストで低リスク、投与も簡単な「夢の治療薬」であること、にもかかわらず、現在の日本は「再生医療=iPS細胞」に偏り過ぎていること、そして、培養上清を薬剤として承認を受ける道筋は未だ不透明であることは分かりました。
2022.11.11
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桜宮サーガ作品群でお馴染みのキャラクターたちが、 これまでにない程、次から次へと登場してファンにはたまらない一冊! になってくれることを期待しながら、読み進めていたのですが…… カスタマーレビューを読むと、同じような思いをされた方が多いようです。 未だ収束を見ない新型コロナウイルスによる脅威ですが、 本作は、それが始まった頃の様子を、現実世界での推移を下敷きに小説化した作品。 ただ、そこに登場するキャラクターの中には、誰をモデルにしたのか一目瞭然のものがあり、 さらに、特定のキャラクターについては、強く誹謗中傷するような表現になっているため、 読んでいて気持ちの良いものではありませんでした。もちろん、『チーム・バチスタの栄光』以来、著者は、「Ai」を基軸に、現行医療行政に対して批判的姿勢をとり続けているわけで、そのスタンス事態に、決して異を唱えるものではありません。ただ、これまでは特定の個人を攻撃するような表現はしてこなかったように思います。このことがきっかけで、読者離れを生まなければ良いのですが……
2022.11.06
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1959年3月17日、講談社が日本初の少年週刊誌『週刊少年マガジン』を発行。 その同じ日に、小学館は『週刊少年サンデー』を発行。 手塚治虫やトキワ壮グループを擁する『サンデー』の発行部数は30万。 それに対し、『マガジン』は20万部余だった。 1962年、『マガジン』は初めて『サンデー』の発行部数を上回る。 その原動力となったのが、ちばてつやの『ちかいの魔球』で、 以後の野球マンガの「魔球」ブームや『ハリスの旋風』へと繋がっていく。 しかし1965年、"ギャグのサンデー”が『おそ松くん』『オバケのQ太郎』で首位奪還。「8マン事件」と「W3事件」で、創刊以来の危機を迎えた『マガジン』だったが、1966年に『巨人の星』が大ヒットすると、たちまち『サンデー』を抜き去り、1967年に週刊少年誌初の100万部を達成、1968年には『あしたのジョー』が始まった。同年始まった『天才バカボン』は、1969年に『サンデー』に移籍するも、1971年に再開した。1963年に少年画報社の『少年キング』、1968年に集英社の『少年ジャンプ』、1969年に秋田書店の『少年チャンピオン』が週刊少年誌に参入。1970年に『サンデー』で『銭ゲバ』が始まると、『マガジン』も『アシュラ』を開始。「総合少年週刊誌」から始まった『マガジン』は、どんどん青年誌化していった。青年誌化が進んだ『マガジン』『サンデー』『キング』に対し、少年誌にこだわった『ジャンプ』が、1973年に『マガジン』を抜いてトップの座につく。『マガジン』は『デビルマン』『釣りキチ三平』『男おいどん』『愛と誠』等で立て直すと、1974年には、手塚治虫の『三つ目がとおる』を始めた。1978年には「少年マンガのラブコメ第1号」と言われる『翔んだカップルが始まる。そして同年『うる星やつら』が、1981年には『タッチ』が『サンデー』で始まった。以後、ラブコメが立て続けにヒットした『サンデー』は、『マガジン』を追い越す。しかし、『ジャンプ』の完全独走状態が揺らぐことはなかった。そして90年代初頭、”ヤンキーのマガジン”と呼ばれる時代を経て、1992年に『金田一少年の事件簿』が、1997年に『GTO』が始まると、『マガジン』は失速した『ジャンプ』を追い抜き、王者復活を成し遂げる。そして、週刊少年誌トップの座を守ったまま21世紀を迎えたのだった。しかし2002年、『ジャンプ』が週刊少年誌トップの座に返り咲く。以後、『ジャンプ』『マガジン』『サンデー』『チャンピオン』という順位が固定、20年間で、各誌ともじわじわと発行部数を落とし続けている。「紙の雑誌」が何百万部も売れる時代は、恐らくもう帰ってこない。 *** もともと集英社はエンターテイメント部門の本を専門に出版するために作られた 小学館の子会社である。 この頃は社員さえ小学館から出向しており、独自の定期採用が始まるのも この翌年の59年になってからだった。(p.18)『ジャンプ』と『サンデー』が同一起源だったとは……「週刊少年誌」を通じて、それぞれの時代の空気がしっかりと伝わって来る一冊でした。
2022.11.06
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