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副題「浮世に秘めた想い」というテーマに即したお話が4つ。 今巻は、京都南座の『顔見世』が舞台の一つになっています。 私も、数年前に初めて南座に行きましたが、 その時の演目は、中村獅童さんと初音ミクのコラボ作品でした。 ***序章『忍ぶ想い』は、家頭清貴が時代恋愛小説の執筆に行き詰った父に、掛け軸を用いてさりげなくヒントを与えるというお話。第1章『歌舞伎美人の恋慕』は、市片喜助を襲名した歌舞伎役者が舞台上で大ケガ。その仕組まれた事故を、清貴が解決していくお話。第2章『聖夜の涙とアリバイ崩し』は、婚約パーティー当日の男の不審な行動を、元カノ・和泉の依頼で、清貴が明らかにしていくお話。第3章『祇園に響く鐘の音は』は、家頭邸で開かれた大晦日のパーティーで、清貴と円生が、美術工芸品の真贋を巡って対決するお話です。 ***「……ほんま、あかん」(p.222)清貴のこの言葉、埼玉から京都に来て2年足らずの葵には分からないのか……。「-去年は、我ながら情けなかったので、今年こそは……ですね」(p.322)清貴のこの言葉の本当に意味するところにも、葵は気付けないのか……。
2022.03.27
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臨床心理士・岬美由紀、マジシャン・里見沙希、臨床心理士・一ノ瀬恵梨香、 万能鑑定士・凜田莉子、特等添乗員・朝倉絢奈、探偵・紗崎玲奈、 文部科学省一般職事務官・水鏡瑞希、女子高生・優莉結衣と、 これまで数々のヒロインを生み出してきた松岡さん。 そして、今回のヒロインは、新人作家・杉浦李奈。 『小説家になって億を稼ごう』で出版業界の裏舞台を披露してくれたと思ったら、 今回は、その出版業界を舞台にしたシリーズをスタート。 自身が身を置く場所を舞台とするだけに、よりマニアックな展開が期待できそうです。 ***お話は、鳴かず飛ばずのZ級ラノベ作家・杉浦李奈が、デビュー小説がベストセラーとなった岩崎翔吾と対談するシーンからスタート。ところが、しばらくして、岩崎の小説第2作に盗作疑惑が持ち上がり、岩崎は失踪。李奈は、担当編集者から岩崎翔吾について調べ、ノンフィクションを書いてみないかと持ちかけられます。そして、岩崎が勤務する大学や、岩崎ゼミの学生たちが集う喫茶店、岩崎に盗作されたと訴えている出版社や作者、岩崎の妻等を訪ね歩くのでした。そして、李奈が、その行き先を京都の出町図書館まで伸ばした時、浄水場が建つ河川敷で岩崎の遺体を発見。さらに、盗作されたと訴えていた作者までもが、別の場所で遺体で発見されたのでした。やがて、李奈は岩崎が勤務していた大学の植松准教授に面会を求められます。植松の口からは、何年も前に起こった岩崎ゼミの学生による盗作騒動について語られます。そして、李奈はその盗作騒動について調べるうち、見覚えのある名前に行き当たり…… ***馴染みのある作家や作品も登場し、読書好きには、とても興味深い作品に仕上がっています。また、ミステリーとしても上質で、さすが、松岡さんという感じですね。すでに3巻まで刊行されているので、順次読み進めていきます。
2022.03.27
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映画『ドクター・デスの遺産』を動画配信で観る前に、 先に原作を読んでおこうかなと思って調べてみると、 刑事犬養隼人シリーズの一冊であることが判明。 ならば、ついでにシリーズを全部読んでしまおうということで、 シリーズのスタートとなった本著を、まず読むことにしました。 ***深川署に近接する公園で、臓器の全てが摘出された若い女性の死体が発見され、その後、ジャックを名乗る犯人から声明文が届いたところからお話は始まります。この事件の捜査に当たることになったのが、警視庁捜査一課の犬養隼人。彼は、自身の娘が腎機能低下のため帝都大病院で人工透析を受け、腎移植も視野に入れていました。その後、次々に同様の殺人事件が発生し、犬養は埼玉県警の古手川と共に捜査を進めます。そして、その被害者のいずれもが、臓器移植を受けていたことを突き止め、この段階で、移植コーディネーターの高野千春や、被害者たちに臓器提供したドナーの母・鬼子母涼子が犯人である可能性が高まります。しかしながら、国内の臓器移植推進派の第一人者であり、犬養の娘の主治医・真境名孝彦、その夫人で麻酔医の真境名陽子、帝都大病院で臓器移植慎重派の榊原博人らも、まだまだシロとは言いきれない……そして、最後は大どんでん返しの連続。 ***『護られなかった者たちへ』同様、最後の最後まで誰が犯人なのか本当に分からない展開で、さすが七里さんでした。それにしても、『ギフト±(24) 』を読み終えたすぐ後に手にしたのが本著。偶然にも、臓器移植問題を扱った作品を連続して読むことになりました。
2022.03.21
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解体終了後、琢磨の姿に気付いた環は意識を失い、その場に崩れ落ちる。 それを抱きかかえた琢磨の前に現れたのは、崇とその手下たち。 崇は、琢磨に環を連れて世界の果てまで逃げるよう促し、 梨世にも二度と自分の目の前に現れるなと言う。 その後、梨世は桜田と廣瀬に連絡をとり、環の手術をする環境を整える。 ペースメーカーの摘出手術を受けた環は、心臓移植手術前の自我を取り戻す。 さらに、梨世は桜田に、お腹の子供のために自首すると申し出る。 二人の間では、梨世の子を桜田が母親代わりに育てる約束が交わされていたのだった。桜田は廣瀬と共に、琢磨から環と二人で日本を離れ、戦地に戻ると伝えられる。旅立つ二人を空港で桜田と共に見送った廣瀬は桜田に求婚、梨世も無事出産する。一方、崇は、ベッドで眠り続けている兄・渉の首を絞め、その生命を終わらせる。それは、渉の中で脈打つ環の心臓を止めるということだった。その頃、中国では、汚職の罪で逮捕・自殺したことになっていた曹国良が、自身の復活を果たすべく、公安部局長・郭強に迫っていた。 ***今巻、もう一つよく分からなかったのは、崇の行動。どこを目指し、何のために環の心臓を止めたのでしょうか?曹国良の動きも絡んで、そのあたりが今後の焦点になってきそうです。次巻は、2022年夏発売の予定。
2022.03.21
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本著を読み始めてしばらく経った頃、 ロシア軍によるウクライナへの侵攻が始まりました。 そして、本著を読み終えた今、その侵攻はまだ続いており、 解決への出口は、未だに見えないままです。 本著は、戦争をいかに収拾すべきかについて論じた一冊です。 まず、第一次世界大戦、第二次世界大戦、朝鮮戦争、ベトナム戦争、 さらに、湾岸戦争やアフガニスタン戦争、イラク戦争といった 20世紀以降の主要な戦争の終結について、歴史的に振り返っていきます。そして、終章「教訓と出口戦略」において、著者は次のように述べています。 以上のように、優勢勢力側にとっての「将来の危険」が大きく、 「現在の犠牲」が小さい場合、 戦争終結の形態は、「紛争原因の根本的解決」の極に傾く。 逆に優勢勢力側にとっての「将来の危険」が小さく、 「現在の犠牲」が大きい場合、 戦争終結の形態は、「妥協的和平」の極に傾くことが分かる。 さらに優勢勢力側にとっての「将来の危険」と「現在の犠牲」が拮抗する場合、 戦争終結の形態は不確定となり、 「紛争原因の根本的解決と妥協的和平のジレンマ」をめぐって 交戦勢力間で戦略的相互作用が生じ、これが均衡点に影響した。(p.261)この「交戦勢力間で戦略的相互作用」というのが、なかなかの曲者で、優勢勢力同士においても、そのパワーバランスや個々の思惑が複雑に絡み合い、とても一筋縄でいくものではありません。それに比べ、劣勢側の取るべき選択肢は、極めて限定的なものとなってしまいます。また、個々の戦争終結の事例は、それぞれに固有の特色を持つものであり、類似点はあろうとも、全く同じということは決してありません。現在進行形で行われている紛争についても、これまでのものと類似点はあっても、その態様は大いに異なり、その対応も全く異なるものが求められているのです。
2022.03.13
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原田マハさんの長編小説『旅屋おかえり』は、 1月にNHK BSプレミアムで「秋田編」と「愛媛・高知編」が放送されましたが、 ドラマの演出、そして、丘えりかを演じる安藤サクラさんもイイ感じでしたね。 4月には「秋田編」が再放送されるそうです。 巻末の『解説』によると、本著は、連載時には掲載されていたものの、 書籍『旅屋おかえり』には収録されなかった札幌・小樽編のエピソードに加え、 マハさんのエッセイ「フーテンのマハSP 旅すれば 乳濃いし」と、 勝田文さんのコミカライズ「おかえりの島~旅屋おかえり~」を掲載した一冊です。舞台となっているモエレ沼公園と小樽は、数年前に私も訪れたことのある場所。モエレ沼公園で、ガラスのピラミッドの美しさや海の噴水の演出に圧倒され、また、小樽で運河周辺を散策すると共に、新鮮な海の幸を味わったことを思い出しながら、とても親近感を感じつつ、ページを捲り続けることが出来ました。さて、「札幌・小樽編」は、若い恋人のすれ違いを描いたお話ですが、「秋田編」や「愛媛・高知編」と異なり、丘えりか自身の苦悩も描かれていて、お話の深みが増しています。このエピソードも、ドラマ化してくれると嬉しいですね。
2022.03.13
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