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岩井志麻子角川ホラー文庫☆☆☆☆☆ 海外出張中のリゾートホテルで可愛らしい手作りの亀のブックカバーをかけて読んでいた。内容は思いっきりそぐわなかった。 厳密にはホラーやオカルトと言いがたいものがある。主人公の女性は15くらいから妾奉公、しかし、最後の旦那に切りつけられて左目を失い、美貌に大きな傷がつき、妾廃業、代わりに霊能力らしきものを得て霊能者(つまりは拝み屋)になる。彼女のもとにきた依頼がストーリーになっている短編集。この設定なので、そのテの幽霊らしき描写はあるのだが、あくまでも事件の中心は生きた人間なのだ。とはいえ、それはそれで、ストーリー展開が面白く語り口が方言を用いた(無論かの大家も多少連想するが)ものなので、なんとなく不気味に感じてしまう。出てくる人間、特に女性は非常に生臭い。皆、どこか女特有のいやらしさを持っている。そして、明治時代に岡山のような本当の田舎とは言いがたいが、東京などの大都市とはいいがたい地域で都市から「文明」が入ってくる過程が面白い。特に勧商場(今でいうデパート)の描写やハイカラもの好きな様子は女性ならではかも。 舞台設定も非常に某大家に似通っていながら、中身は別物。某大家が田舎臭さをそのまま作品に書いているとしたら、こちらは、都市化していく最中の田舎を描いているというところか。しかし、その都市化していった後が(時代の流れでは)某大家の描いた作品世界なのだ。また女性ならではの視点もはっきりとその差別化に貢献していると思う。 実は、この著者は少々好みと違いそうで今まで食わず嫌いしていた。しかし代表作の「ぼっけえぎょうてい」は読んでみよう。
August 29, 2007
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日明恩講談社ノベルス☆☆☆☆☆◎ 前作の方がこちらに書くのを躊躇ってしまうような内容だった。今回はこちらの方がいいだろう。前作のさわりがあちこちに出てくるので、いかに自分が忘れているかを実感するかと思ったが、出てきたのは主に人物。しかも、一人をのぞいておよその設定は覚えていた。 今回は児童買春、人身売買や虐待、外国人不法滞在といった、かなり重いテーマ。この作品もかなり読者をミスリードする記述がある。そして、警官であるがゆえに苦悩する登場人物たち。が、人物模様と事件とで、読み応えはあった。きっと次回作も読むだろう。 とはいえ、潮崎の設定にはちょ~っとムリがあるかなぁ。彼の母と兄に早く主人公の武本があって欲しいものだ。どういうわけか、行き違いになっているのだ。そして私は、そこに著者の何がしかの作為を感じる。
August 15, 2007
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浅田靖丸光文社 カッパノベルズ☆☆☆☆☆ 実は、前作を読み終わったあと既刊を探し回った経験があるので、書店で見かけ、速攻で購入した。 今回は三輪山と徐福に関連したストーリー。結構、結末の設定は意外だった。しかも、何年か(三年?)ぶりの新作なので、前作のストーリーを結構忘れている。まあ、それでも、登場人物たちのやり取りが一番好きかもしれないし、薀蓄その他も楽しめた。が、格闘技小説風なのは少々好みではなかったりする。かといって、殺伐とした肉弾戦の殺し合いもイヤだから、少年週刊誌の漫画にありそうな、こちらの方がいいかも。 この作品を読む一週間前に偶然三輪山に登ったが、その前にこの本、読んでおけばよかった。また、主人公の周囲の友人(?)たちもいいのだが、敵対する側の「お館さま」や嘉神静流の人物の背景なども出てきて、続きが楽しみだ。早く出ないかな。
August 10, 2007
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鳥飼否宇角川書店 四六並製☆☆☆☆☆ 多少ネタバレがありますので、その部分は背景色と同色の文字色になっています。読みたい方は反転してください。ただし、うっかり読んでしらけてしまっても当方は一切責任を持ちません。 探偵役は南方熊楠。そして…有名な英国の名探偵が友人として登場する。ちなみにその探偵、背は低い。ゲストも洒落ている。しかし、バカな私はうっかり最後を目に入れてしまい種明かしを先に知ってしまい、つまらない思いをしてしまった。 サンカと呼ばれる山の民への南方の考察などが面白い。が、あまり昔の和歌山を舞台にした小説を読んでいる気はしない。それに、途中で種明かしの一つは分かってしまった…というかこれは見え見えの書き方だった。が、まあ、南方が主人公だからよしとしよう。それに、かなり大きい読者に対するミスリードもある。それに台詞の書き方が以前読んだ南方の著書や書簡を見事に彷彿とさせて面白かった。ま、犬(と狼)も可愛かったし、熊野三山、といいたいところだが、そういえば新宮は出てこなかったな。が、舞台になったいくつかの場所には行ったことがあったせいもあって、楽しく読めた。舞台設定はとても好みなので、著者のほかの作品も読んでみよう。
August 6, 2007
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