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が、しかし。
それでもやっぱり、素子が大きいに越したことはないんですよね…。遠景の引き寄せやブツ撮りなど、小素子の方が有利なジャンルは確かにあるものの、街角でのスナップでは、やはり少しでもボケを活かしたいので、せめてAPS-Cクラスを使いたいのです(エンゾーは28mm以上の広角レンズがもたらす誇張されたパースペクティブが苦手で、かつ、パンフォーカスが好きではないので、その時点でGRDあたりの「小素子高級コンパクト」が候補から外れます)。
エンゾーが満たしたい街撮りカメラの要件は、以下の通り。
1.APS-Cサイズの素子を採用
2.小型軽量で薄型
3.レンズ交換できる
4.EVFを内蔵
5.135換算で35~45mm付近のパンケーキレンズがラインナップされている
6.パンケーキレンズの描写性能が良い
7.バッテリー1個あたりの撮影可能枚数がソコソコ多い
それならNEX-7があるじゃないかと言われそうですが、5・6・7が該当しませんので、候補から外れます。αシリーズはEVF内蔵型ですが、重くてかさばるのでNG。発売が決定したEOS Mは大変魅力的ですが、外付けも含めEVFがありません。
こんな基準でカメラを探していくと、実は好みに最も合うカメラは、消去法でいまだに一つしか無かったりします。それが、今年4月に発表されたSAMSUNGの「NX20」です。
エンゾーが持っている初代「NX10」と比較してみると、この2年で着実に進化していることが分かります。
NX20
2012/4/19
画素数 2030万画素CMOSセンサー
感度 ISO100~12800
連写 最大8コマ/秒
撮影可能枚数 約360枚
外形寸法 122×89.6×39.5mm
本体重量 341g
NX10
2010/1/23
画素数 1510万画素
感度 ISO100~3200
連写 最大3コマ/秒
外形寸法 123×87×39.8mm
本体重量 353g
うーん、一回使ってみたいな。
それにしても、NX20を見ていると、何十年にも渡ってファンを囲い込んできた独自マウントを持つメーカーと、守るべき財産(顧客)がない新規参入メーカーとでは、やはり身軽さが違うなあと改めて思います。俗に言う「 イノベーションのジレンマ
」という奴ですね。
素子の大型化が進んできた現在、APS-CでEVF内蔵型の薄型軽量ミラーレス一眼を出せば一定の需要はあるだろうという認識は、どこのメーカーにもあると思われます。が、実際に国内でそれに着手しているのは、やはり新規参入に近い立場のSONYと、銀塩AF一眼レフ時代のユーザーを持たないRICOHのみであり、Canon・Nikon・PENTAXあたりは、従来のマウントを活かしつつブラッシュアップする方向(=持続的イノベーション)に走っています。
そういう意味で、PENTAXとの技術提携を早々に打ち切って、SNSと親和性を持たせたAPS-Cミラーレス(=破壊的イノベーション)という飛び道具で着々とシステムを築きつつあるSAMSUNGは、日本のメーカーにとっては不気味な存在と言えます。
彼らの周到さはレンズのラインナップにも現れていて、現在発売されている単焦点5本のうち、スナップで活躍しそうな24mmF2.4、30mmF2.8、45mmF2(いずれも銀塩換算)がすべてパンケーキで、「ボディに比べてレンズがアンバランスに大きいのは嫌だ」というミラーレスカメラに寄せられる市場のニーズをきちんと反映させた形になっています。広角から標準域でF1.4~F1.8クラスの「マニアが好みそうな明るいけどデカいレンズ」を後回しにする手際の良さは流石です。
実はこの「イノベーションのジレンマ」のミソは、新参企業が出す新しい切り口の製品のクオリティが、最初のうちは、 従来品と比較して必ず劣っている
というところにあります。なので、多くの企業はその脅威に気付かないか、分かっていても軽視します。このことが、知らないうちにしっかりシェアを奪われてしまうきっかけになるのです。
ゆでガエルになる前に、着手すべきことは何か。老婆心が杞憂で終われば、それに越したことはないのですが。
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