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これはニッカ・ウヰスキーの最高峰なのか?幻の最高金賞現る。世間様ではモルトか否か、というフレームワークが確立しつつあり、それはそれでウィスキーに対する理解が進んだ証左なのだろうと思われますけれども、グレーン原酒だって長期熟成させれば深い味わいを身に纏うことができることは、ごく一部の長期熟成ブレンデッドを飲めば分かります。その代表例が、この竹鶴と鶴の関係で言えるでしょう。ニッカのフラッグシップといえば、鶴というのが確立された評価であり、そのバランスの高さと味わいの深さは、この評価に異論を挟む余地はないように思われます。ニッカ 鶴しかしながら、最高のブレンデッドを求めてブレンドを磨くという方向性が正攻法だとして、それとは別にブレンドの幅広さとモルトのパワーとの二つの価値を同時に成立させる方法として、マリッジも確かに使える技術ということを証明したのが、この竹鶴21年 ポートウッドフィニッシュでしょう。ニッカが時々リリースする限定企画の商品で、もうすでに流通在庫は非常に限られると思いますが、これが至高のピュアモルト・ウィスキーとして出色の出来栄えです。竹鶴というモルト・ウィスキーは、ここ10年程度のニッカの基本ブレンド路線を敷いたシリーズで、フルーティな宮城峡にシェリーの甘いトップノートと余市のピーティな新樽を隠し味にしている構成ですが、いわゆるオーソドックスなバレルのボディが足りないため、果実味に乏しく、ときどき思い出して飲みたくなるようなクセのある特徴はありませんでした。ところが、今回のこの企画は竹鶴21年のブレンド原酒をポート樽でマリッジさせることで、トップノートとボディと熟成感を3つ同時に手に入れた、極上の称号に相応しい味わいとなっています。ポート・マリッジの効果として、南国フルーツのようなジューシーな甘さと、干し柿のような熟成した砂糖と舌に重くまとわりつかない天然の爽やかな渋み、ナッティなチョコレートの風味などが全体をコートすることとなり、ひと回りスケールの大きなパワフルなウィスキーに成長しています。もしこの製品が、スコットランドのウィスキーコンテストに出品されたら、非常に高い可能性で受賞できるだろうこと請け合いですが、とても残念なことに、ウィスキーコンテストはレギュラー商品が出品条件らしく、この竹鶴21年ポートウッドフィニッシュが最高金賞を受賞するのは幻です。とはいえ、コンテストで受賞するかどうかではなく、目の前にあるこの一本に価値があるかどうかの方が重要ですから、今ここにある事実を認めて、感謝しありがたくいただくことにしましょう。アルコール度は46%(意味は分かるでしょう?)感謝!
2014年05月30日
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ベン・ネヴィス蒸溜所の単一蒸留所ブレンデッドボトル。40年熟成です。このボトルは幻のような存在でしょう。多分おそらく滅多にお目に掛かれない、あるいはもうすでに無くなっているであろう、コレクターズ・アイテムのようなウィスキーです。ちなみに1962年蒸溜2002年瓶詰の40年物でした。ウィスキーの業界にあって、ブレンデッド・ウィスキーというのは、通例個性ある複数の蒸溜所のモルト原酒とグレーン原酒を混ぜ合わせて作られるもので、製法上の制約というよりは、味わいの幅の広さと高いバランスを求めて選択されるものですが、しかしながらいわゆるメジャーブランドの高級ウィスキーが軒並みこのブレンデッド・ウィスキーのため、ブレンドといえば複数蒸溜所の原酒から作られるものという先入観のようなものが確立されてしまっています。ところが、今回のこのベン・ネヴィスは単一蒸留所で作ったモルト原酒とグレーン原酒を混ぜ合わせて作られた、シングル・ブレンドであるところが商品上の特徴です。そういう経緯が興味を引くところですが、飲んでみたテイストはブレンドよりも原酒のよい熟成を感じさせるロング・ノートのウィスキーとなっており、まるでシェリー原酒を思わせるようなホッグズヘッドの熟成感は感動の一言です。また、グレーン原酒も長期熟成で角がとれて鏡面仕上げのようにスムーズな滑らかさを持っており、あたかも清流が流れるかのように口のなかで消えてなくなりました。裏面のラベルをみると、ロックバンドのローリング・ストーンズに影響を受けたとユニークなことが書かれていますが、音楽の由来はともかく、確かにこのボトルほどユニークなものはなく、貴重な一本に触れることができました。感謝!
2014年05月29日
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ベン・ネヴィスのオフィシャルに気をよくしたので、気分を変えたくて飲んでいるのだからとばかりに、普段は手を付けないブレンデッドにいってみました。その名もネヴィス・デュー。ベン・ネヴィスのシングル・ブレンデッドです。そもそもベン・ネヴィスとは、スコットランドの最高峰として有名な山ですが、その麓だけあって水が美味しいであろうことは容易に想像できます。それに加えて、単一蒸留所でのブレンデッドというのは、個性の幅に限界を感じてしまうであろうところを、非常にカラフルでマイルドなブレンドに仕上がっており、裏面のラベルを読むと数十種類の原酒を使用しているとのことです。これなら、バレルとシェリーをバッティングして「シングルモルト」と称して売っているものよりも、よっぽどバランスよく熟成感もあり、価格も良心的で、いわば早くて安くて旨い酒を実現していることになります。身近な量販店で容易に買えるのも素晴らしい企業努力でしょう。この製品は、ニッカのブレンダーが日本人の繊細な味覚にかなうようブレンドしたものだとかで、非常にフルーティーな印象をナッティなボディが支えています。そういえば、オフィシャルシングルモルト10年の裏面には、エールビールの酵母を使用していると説明されていますが、これは裏を返せば、個性的なウィスキーを求めて積極的に実験をしているということであり、この豊かな個性が充実した原酒構成に貢献していることは間違いありません。ベン・ネヴィスは、日本のニッカ傘下ですが、ニッカがバレルを作らないので、宮城峡と余市のあいだの中間をカバーする個性として、もっとベン・ネヴィスを前面に出したら良いのではないか?と思いました。感謝!
2014年05月28日
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六本木の竹鶴ミュージアム・バーに出向いた際に、ちょっと物足りないなと思ってそのまま骨董通りへ行って仕切り直し。仕切り直しだけれども、気分も変えたいと思ってベン・ネヴィスにしました。もちろんオフィシャルです。しかしながら、結果的にだったのですが、チョイスとしては正解で、最近ご無沙汰していた、干した枯草のような枯れた風味とリッチな味わい、ソルティーなミドルが充実している私好みのウィスキーであり、うれしくて小躍りしたいくらいでした。昨今のモルト・ウィスキーのブームのお陰なのかせいなのか、どうも顕著な特徴を前面に打ち出すパワーゲームのようなウィスキーが増えているような印象を感じますが、これは正直に作って正直に熟成させた正直な製品だけがもつ純粋さに満ちていて、救われた気分となりました。最近は、私自身が他人様にウィスキー講義をするようになり、辛いか甘いか、クセが強いかマイルドか、といったステレオタイプなポジションマッピングの上でウィスキーを評価するクセというか罠に捉われてしまっていましたが、このシンプルなのに奥深く、飾り気がないのにカラフルなテイストに惚れてしまったことを告白しなければなりません。これで、当面の信頼できるナイトキャップを見つけることができました。感謝しかありません。感謝!
2014年05月27日
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インディペンデントとして有名なケーデンヘッド社のスモールバッチシリーズにラインナップされる13年物のボウモアです。このシリーズは、顕著な特徴をもつカスクをリリースすることで知られていますが、このボウモアの特徴はヘヴィ・リチャーしたバレル樽ということでしょう。ほとんど炭そのものといった飲み口が特徴です。こういう、一見どう考えても「美味しい」と表現するには躊躇われるようなものがあるのも、モルトの世界では散見されますので、特段珍しい事でもなんでもなく「ときどきアル」という話でしかありません。そこを踏まえた上での特徴を問われたのだとしたら、ここまで完全に煤のような風味となりながら、奥底にバレルの甘みが穏やかに漂っていることではないでしょうか。だからこそのボウモアなのであるし、ボウモアの名を付して世に出したいと考えたボトラーなのだろうと思います。当の蒸溜所がオフィシャルボトルで漂流を続けるなか、現地の事情をよく知るボトラーがこういうものを「発掘」してくれる、その文化を我々は伝えてもらっている、という側面を感じさせる一本だったのです。13年熟成でアルコールは59%でした。感謝!
2014年05月26日
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こちらもスペイサイドの王道で27年物。私は普段スペイサイドをほとんど飲まないのですが、どちらかといえば自分の嗜好にあったテイストで、先の”スペイサイド”と共に、すでに酔っぱらっているにも拘わらず、比較しながら飲んだ一本です。ラベルにはリフィルバーボンと書かれており、1984年蒸溜2011年瓶詰、207本、45.1%というスペックですが、先に比べ比較的低いアルコール度数と長い熟成期間が、より充実したバランスを構成しており、蒸溜所の特徴であるハチミツや麦芽の味わいも良質のウィスキーであることを穏やかに主張しています。私はひと口飲んだ時には、反射的にハイランドだと思ったのですが、ミドルに広がるハチミツとエステルの組み合わせは、やはりスペイサイドなのでした。そういうハイランド・チックなウィスキーは、ややもすると、こちらの気分の問題もあって、中途半端や凡庸、間違った選択、とステレオタイプに捉えてしまうことがありますけれど、これほど愚かで誤った評価もないでしょう。個性は個性であって、そのまま受け止めるべきものであります。そう、そのまま受け止めたときに、はじめて姿を現す素性の良さというものがあって、それを見つけることができたら、また新しいウィスキー体験というものができますね。それをこれまでも積み上げてきたのだし、これからもドアをオープンにして楽しみたいのです。それがモルト好きの人生というものでしょう。感謝!
2014年05月23日
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ウィスキーの世界で”スペイサイド”というと、スコットランドはスペイ川流域のウィスキー蒸溜所密集地帯のことを指すのが一般的で、私もそういう認識でいたのですが、その名もスペイサイドという蒸溜所があるのを初めて知りました。そこの18年物シングルカスクですから、少なくとも19年以上前からあった訳で、ということは、私がウィスキーを飲み始める前からあったわけですから、また不明を恥じることを忍んで、備忘録としてアップします。ラベルを読むと1995年5月2日蒸溜、2013年10月29日瓶詰めとありシェリー樽熟成です。アルコールは52.3%シェリー樽仕込みというと、昨今は「とにかくシェリーです!」というような風潮がありますけれども、これはあくまでスペイサイドのウィスキーをシェリーで熟成させました、というオーセンティックな一本で、丸く、口当たり柔らかく、甘く、フラワリーで広がり、清流が静かに流れ続ける、あのスペイサイドの正統派であることを物語っています。今回は、至極残念なことに、このウィスキーの前にフルボディーのウィスキーを飲んでしまっていたため、分かるのはここまで。これ以上はわかりませんでした。個人的には、いつもそばに置いておきたいというタイプではありませんけれども、一般論で言えば「まず一本」としておすすめするタイプの秀逸な一本であることは間違いありません。生産地と蒸溜所の名前の関係だけであっても、購入するだけの理由になるでしょう。感謝!
2014年05月22日
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今年はニッカウヰスキー社の創立80周年にあたる記念年だそうです。それにしても、80年も続く会社というのは、企業の平均寿命が7年ですから11倍以上の長寿企業であり、それだけ人々に愛された会社ということでしょう。素晴らしいという他ありません。本当におめでとうございます。しかしながら、これも90年以上前に広島の造り酒屋の三男坊が「オレは洋酒がやりたい」といってスポンサーを見つけ出し、スコットランドに単身留学して技術を身に着け、その技術と文化を日本に伝えたからです。そういう意味で、竹鶴政孝氏があったからこその日本のウィスキーでしょう。人間社会の歴史とくに資本主義社会では、最前線で功を挙げた張本人ではなく、スポンサーや企業の名前が前面に出るものですが、きちんと張本人に焦点を中てるという点で、ニッカウヰスキー社の取り組みは正しいと評してよいのではないでしょうか。その想像を絶して余りある歴史の最後尾にいる私たちは、簡単に製品を購入して酔っ払い、あーでもないこーでもないと評論して楽しんでいる訳ですが、それもこれもすべてこの偉大な歴史の先駆者が己に正直に夢を追い、扉を開いてくれたからこそです。今年の後半には、竹鶴政孝とリタ夫人のストーリーがNHKの連続テレビ小説として放送される予定ということですから、今年の余市は観光客で溢れ賑やかになるだろうことが目に浮かびます。しかし、雲の上でのんびり暮らす御大ご本人は、おそらく下界を眺めながら楽しく酔っ払い、豪快に笑って「もっと己に正直に生きよ」と話しているのではないかと思います。「ウィスキー一筋で生きてきた。その意味では一行で片づく男である」「ウィスキーのために生き、後に”日本のウィスキーの父”と呼ばれた男・竹鶴政孝。その人生を振り返れば、ウィスキーで苦しみ、ウィスキーで喜んだ人生であった。ウィスキーの仕事は恋人のようなもので、恋をしている相手のためなら、どんな苦労も幸せだった。孤独と戦いながらも学び続けたスコットランド留学時代、理想の蒸溜所設立のために奮闘した時代。本物のウィスキーをつくりたい、その夢がすべての力となった。時の流れを経てウィスキーが琥珀色に変化するように、夢を追う竹鶴政孝の人生もまた美しく色づいていったのだった。晩年の竹鶴政孝は、自分の作ったウィスキーを時間をかけてゆっくり楽しんだという。ウィスキーに人生を捧げた男にとって、これにまさる幸福はないであろう。」ウィスキーの製造と販売を事業として営む会社を経営するには、変えないモノづくりと、変わる商品づくりの高度なバランスが要求される。余市のオフィシャル10年がコンテストに入賞し、ニッカといえば余市、余市といえば竹鶴政孝という時代を経て、現在はニッカといえば竹鶴という時代に入ったように思われる。この現象が余市が社会に消化されて成熟した結果ならば素晴らしい。しかしながら、もし余市が不完全消化のまま竹鶴ということになるのなら、それは晩年の政孝がゆっくり楽しんだウィスキーとは異なるものになってしまうだろう。だからこそ、これから将来のニッカウヰスキーの歴史を紡ぐためにも、製品からマーケティングに至るまでの温故知新を求めたい。それこそが、創業80年をして竹鶴政孝の魂に報告すべきすべてではあるまいか。感謝!
2014年05月21日
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ニッカウヰスキー社が宮城県仙台市に保有するウィスキー蒸溜所が仙台工場ですが、業界的な呼び名を宛てて宮城峡蒸溜所というのが妥当でしょう。その宮城峡蒸溜所のオフィシャル・シングルモルトウィスキーが、宮城峡12年です。ニッカ 宮城峡12年ニッカウヰスキーにおける宮城峡蒸溜所とは、サントリー社でいう白州にあたるNo.2工場のため、余市と比べると日陰の印象が強いのですが、どうしてニッカの主力製品を飲めば宮城峡の原酒が多く使われていることが明確に分かるはずです。それなのに、私は余市ばかりを好んで飲んでいて、宮城峡のオフィシャルを飲んだのは、今回の六本木が初めてでした。しかし、これが飛んだ間違いで、これまでの時間の浪費を深く反省するに至った事件でした。けだし、今はなきスーパーニッカ原酒を強く想起させる味わい、または基本的に同じ構成のブレンドだったからです!これを10年前に飲んでいれば、私のブレンダー人生は随分と違ったものになっていたでしょう。灯台下暗しとはこのことで、自分の不明に恥じ入るばかりです。とはいえポジティヴな面も確かにあり、同じタイミングと場所でキーモルトのノージングと宮城峡のテイスティングが出来たことで、これまで夫々が独立した点であったのが、線として繋げることができたのです。ここでいうスーパーニッカは、現在発売されているブレンドではなく旧製品の方ですから、今から原酒を再現するのは難しくとも、このオフィシャル宮城峡+αという形で追いかけることが可能となり、個人的な趣味のブレンドにイノヴェーションの道筋を見つけることができました。お陰さまで、新たな探究心のモチヴェーションがふつふつと沸き立ってきています。こういうことにこそ、感謝しなければなりませんね。感謝!
2014年05月20日
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六本木ヒルズに出店されていた、ニッカウヰスキーの竹鶴ミュージアムバーを訪問しました。期間限定ショップでした。全体の構成は、ニッカウヰスキーの創業者竹鶴政孝と会社の歴史、イートインでキーモルトのノージングと、スペシャルメニューでのテイスティングというもので、都心の真ん中で広報と体験を行うには丁度良い構成だったと思います。前半のミュージアムコーナーには、竹鶴政孝がスコットランドに単身留学し、日本人初のウィスキー蒸溜技術者として、日本にウィスキーももたらす先駆けとなったストーリーや、さまざまな資料が展示され、なかでも白眉だったのは1962年に英国ヒューム副首相をして“一人の青年が、万年筆とノートでウイスキー製造技術の秘密を全部盗んでいった”と云わしめた、ウィスキー蒸溜ノートが再現・復刻されていたことでしょう。こう言っては失礼ですが、こんなものは門外秘以外のなにものでもない、出すところに出せば値千金の物種だと思われるものまでが手に取って見られる形態で展示されており、私などは抱きついてオイオイ泣きたいほどでした。それに比べると、ウィスキーの試飲コーナーは若干凡庸な印象だったと思われますけれども、それでもキーモルトのノージングは、一般にはなかなか機会のないことですし、このタイミングに限定発売された竹鶴21年のポート・フィニッシュバージョンは、同社のピュアモルト製品の中でも至高の一本といっていいだけのポテンシャルを持っており、期間限定ショップに華を添えていたと思います。個人的な収穫は別のところにあったのですが、それはまたの折りに。感謝!
2014年05月19日
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少し前のことになりますが、上野の国博で風神雷神図屏風を観てきました。今回特異だったのは、この風神雷神図屏風が3点同時に観られたことです。多くの方がご存知の通り、風神雷神図は俵屋宗達画のオリジナルと、尾形光琳、酒井抱一のそれぞれ模写があることは有名です。オリジナルの俵屋宗達は、建仁寺所蔵で普段は京都の国博にあり、尾形光琳は上野の国博にあり、酒井抱一は大手町の出光美術館にありますので、尾形光琳と酒井抱一は展覧会の時期さえ重なれば山手線に乗って一日で観られるものの、俵屋宗達のオリジナルは京都ですから、一日で全てを観ることは夢のまた夢だったのです。その夢が今回叶いました。上野の国博で建仁寺展を開催し、本館の尾形光琳と同時期に出光美術館でも酒井抱一を展示する粋な計らいのお陰さまで一日のうちに3点すべてを観ることができたのです。さぞや混んでいるだろうなと思いながら、上野の国博に出掛けてみると、本館で開催しているキトラ古墳展が入場に2時間待ち、さらに閲覧に30分待ちという異常事態だったためか、平成館の建仁寺展はまったく待たずに入れました。そして、ようやく念願かなって国宝の俵屋宗達にご面会です。以前にも見ているはずなのですが、ちょっと記憶があいまいで改めて初めて観る気持ちで挑むと、やはりオリジナルだけあって緊張感や躍動感が素晴らしいです。他の2点と比べると2まわりくらい小さい屏風の端っこにはみ出すようにして風神と雷神が配置されており、この世で一番最初に描いたからこそ表れる新鮮さと生々しさと緊張感と躍動感との、きわめて繊細なバランスは数百年経過してなお生き生きとしており、国宝という評価が正当だと感じました。この作品の前は、さすがに人だかりが出来ていましたが、ここだけ別の空気感が支配しており、もしひとりで観ることができたら、一日中いても幸福感に浸れるであろう、一流の美術品に共通する生きる喜びを感じられました。宗達は建仁寺展の最後ですから、そのまま平成館を出て本館へ。本館の一番奥に尾形光琳があります。美術界の通説によると、尾形光琳は宗達作を十分に研究し、まるでトレーシングペーパーで写し取ったかのように等身大の風神と雷神を屏風に描いています。しかし、宗達に比べて2まわりくらい大きな屏風に雷神の太鼓を描き入れているためか、神の存在感においてインパクトが弱まり、計数的に等身大とはいえ一回り小さく見えます。また雲の表現や髪の毛の描き方などに模写特有の「やり過ぎ感」があって、全体として静物画のような大人しさを感じます。これを観たとき、やはり尾形光琳は独自の表現を追求する芸術家というより、むしろ最適な表現を追求するデザイナーだったのだと直感しました。なぜなら、同じモチーフを等身大に描きながらも、調和やバランスを目指して描いていることが明確に分かるからです。これは、風神雷神図屏風を理解するというよりは、尾形光琳という画家を理解するうえで、非常に大きなポイントになるのではないかと思いました。さて、上野から山手線にのって有楽町へ。お堀端にある出光美術館で、酒井抱一が展示されていました。酒井抱一が本作を描いたのは、尾形光琳からほぼ100年後のことで、しかもオリジナルの俵屋宗達はおろか、尾形光琳もあまり深く研究せず描いているそうです。そのためか、同じモチーフであっても、まったく別の作品となっており、三者のちょうど中間にあたる尾形光琳画がデザインちっくであったためか、むしろ抱一の方が生き生きとしていて絵画的であることが面白いです。つまり、しっかり研究しまったく同じように描きながら調和を目指した尾形光琳と、あまり研究せず独自に模写を描いた酒井抱一とでは、絵のニュアンスとしては抱一の方が宗達に近いのです。模写には模写の独自性があり、自画には自画の独自性が表れるという点で非常に興味深く、この独自性こそが、例えば古美術愛好や古美術商の方がお持ちの目利きに繋がるのだと思うと、その深淵に興味が沸くばかりです。今回は、一生に一度あるかどうかという3点を同時に観る機会だったわけですが、同じ場所で3点を比較するのではなく、それぞれ少しずつ移動しながら気分をリセットして観られたこと。だからこそ対峙できる余裕のようなものが持てたのだと思います。私が生きている間に、このような機会を持てたことは至上の幸福でした。感謝!
2014年05月16日
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安倍首相が今日夕方に会見し「集団的自衛権の行使容認」について方向性を示す、と報道されている。これは、内閣が法律を無視して勝手にルールを変更し、やりたいことは何でもやっちまう政府の暴走であり、しかも問題が自衛だから戦争に直結する。自分の家族を戦争に送りたくなければ、これを絶対に許してはいけない。さて、自国を守る権利があるのは前提として、その自衛権の範囲をどう運用するか?という問題だから、これまでの個別的自衛権で足りるのか、足りないから集団的自衛権にまで広げるのか、ということで整理される。もちろん日本は憲法で戦争の放棄しているので、9条をどうするか?という問題が発生する。ここで条文を確認すると、「第九条 日本国民は、正義と秩序を基調とする国際平和を誠実に希求し、国権の発動たる戦争と、武力による威嚇又は武力の行使は、国際紛争を解決する手段としては、永久にこれを放棄する。 2 前項の目的を達するため、陸海空軍その他の戦力は、これを保持しない。国の交戦権は、これを認めない。 」となっている。これを読めば、自国に直接関する専守防衛行動だけ認める。自衛隊はギリギリ許される存在だということが分かる。しかし、集団的自衛権の行使を容認すれば、自国に直接関しない問題も専守なら行動できる、他国軍隊と同等に行動するということになるから、他国の国権の発動たる戦争に日本の自衛隊が陸海空軍と同等に加わり交戦する、ということであり、9条の規制の枠組みを越え、違憲であることは明らかであるし、もし集団的自衛権を行使したければ憲法を改正する必要があることも明らかだから、憲法解釈の変更で対応するのは政府によるルール違反になる。一方、これまで一部の政党や市民団体は「戦争反対」「憲法を守れ」と主張してきたが、平和主義や戦争の放棄は既に憲法に盛り込まれているのだから「とにかく反対!」と叫ぶのは有効性が低いと言わざるを得ず、反対勢力がただ反対と叫ぶなら政権は先回りして必要な根拠を持ち出してくる。今回の記者会見もその一つに成りうるのだから、反対する人は、さらに先回りして止めさせるだけの賢さを持つ必要がある。もう一度、日本の安全をどう確保するか?という課題に戻ると、一番憂慮されるのは北朝鮮である。1998年にテポドン1号を発射し日本列島を飛び越えて太平洋に落下した。もしこれが日本の国土に着弾したらどうするのか?あるいは今後核兵器の開発を進め、核弾頭を搭載したらどうするのか?「とにかく反対」では意味がないのは明らかだ。中国は、尖閣諸島は中国の領土だと主張して、空軍機が飛来したり、防空識別圏を拡大しようとしたり、中国海軍が海上自衛隊の護衛艦に火器管制レーダーを照射したりしている。直接の衝突は、漁船が海上保安庁の巡視船に衝突したものだが、もし漁船を装った工作船だったとしたら軍事衝突にならない保証はどこにもない。中国は具体的な行動で日本を敵国視している。どうするのか?韓国は、表向き友好国だけに問題は複雑だ。竹島を韓国の領土だと主張して、上陸したり実効支配を進める施策を行っている。当然中国はこれを見ているから、現状を放置すれば中国も尖閣諸島に対して同じ行動をしても許されると考え行動に移すことが想定される。アメリカは、日米安全保障条約をもって尖閣諸島は適用範囲と明言したが、領土問題には立ち入らないとも明言した。国境線が軍隊の圧力を受けた選挙によって簡単に変更にかかってしまう不安定さは、先日のクリミア半島で明らかだ。さらに、アメリカ軍は予算削減を受けて訓練を含めた作戦行動を減らしている。同時に世界の2か所で戦争をする実力は、もはやなくなった。こういう条件の下で、日本をどう守るのか?という話はマスコミを含めてまったく聞こえてこない。本来なら政治家や政府がきちんとしたプロセスを提示しなければいけないのだが、選挙での票を失うことを恐れてか、正しい議論をしようとする者がいない。国家運営の欠陥としか言いようがない。もし集団的自衛権の行使が容認されるとして、朝鮮半島で軍事衝突が起こったら、自衛隊は韓国軍とともに戦うのか?日本は自衛のための防衛だと主張しても、北朝鮮は宣戦布告と解釈して戦争だと言うのではないか?その場合、北朝鮮のミサイルが日本に発射される可能性は、今よりも高くなるのではないのか?このように、中国や朝鮮が暴走しアメリカ軍の助けがアテにならないとして、自衛隊を増強するのに集団的自衛権の行使容認は必要なのか?それとも、もっと情けない話として、集団的自衛権はアメリカや韓国に頼まれたことで、日本政府は憲法改正が難しいから解釈変更で乗り切ろうとしているとしたら、今でさえ二枚舌で信用のない政治と社会全体のモラルハザードが進んで、国力はさらに衰退するのではないか?あるいはまったく正反対に、開放的な経済政策を取って国際交流を盛んにし、日本人も積極的に外国に出て行って、民間レベルの交流が厚くなったら、諸国における日本の重要性が高まるから、他国が日本を攻撃することが事実上できなくなるのではないか?そのモデルケースとして、北方領土を巡ってロシアと話をしようとしていたのではないか?その国際的な枠組みとして、TPPで自由貿易経済圏を確立しようとしていたのではないか?個別的自衛権+自由経済の拡大(と質の高い政治)があれば、日本は自国の防衛水準を最小限のコストで維持できるのではないか?それは、集団的自衛権+閉鎖的経済(と質の低い政治)よりも、モラル高く豊かな国として、今よりもさらに尊敬と交流を集める国になるのではないか?知恵を使えば、戦争を回避する手段は軍拡だけではないことが分かる。我々はどちらを選びたいのか?国際紛争の最前線に、国民との信頼を破って近づいていこうとする内閣は、少し頭が足りず、多大に心が足りない。日本国民が、正義と秩序を基調とする国際平和を誠実に希求しようとするなら、別の方向性でできることがまだまだ沢山ある。少なくとも、頭の足りない内閣に先手を取らせず、事前に我々が賢くなっておき先手を取ることが大切だ。
2014年05月15日
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春のモルト会、いよいよ酉を取るのは、いつもユーモアあふれるラベルで楽しませてくれる三河さんのボウモア12yoです。52.6%今回のラベルは恐竜シリーズなのだそうで、瓶のルックスから入ると一瞬躊躇してしまいがちですが、ふたを開けてみると、煙臭く、アルコール辛く、フルーティな、古き良きボウモアを味わうことができます。考えてみると、2000年のころのボウモアって、ちょうど過度期になるところだと思いますので、そういう意味では伝統的なボウモアの味を味わえる機会としては、そろそろ最期なのかもしれません。リーマンショック前の金融バブル時期には、世界の珍しい酒を求めてシングルモルト・ブームが起こったわけですが、金融危機後に終わったブームは、また別の形の新しい戦略展開をみせ、日本ではハイボール・ブームが、世界ではシングルカスク・ブームが起こっているようです。しかし、金融危機から業績を回復してきたメーカは、それはそれで別の新展開をするのが想定された事態であり、グローバル経済のなかのアルコール飲料プレーヤーとして、ビールやワインなどと同様に、世界市場でのブランド浸透が要求されて、その要求に応えるべく、さらに一定の品質に規格化され巨大化したオフィシャルボトルへ進もうとしています。それが良いかどうかは市場が決めること。それが好きかどうかは自分が決めること。そのあいだにあって、オリジナルボトルを作ろうと積極的に動かれる三河屋さんのような会社は本当に素晴らしく、ぜひこれからも美味しいカスクをユーモアあふれるパッケージでご披露いただきたいと思います。感謝!
2014年05月14日
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もうとっとくアイラ島に上陸を果たしておったのですが、これも美味しいよとアドバイスをいただいて飲んだのは、こちらも初めてのグレンカダムでした。バレル仕込みの22年物で、アルコールは55.2度。僕は普段バレルをあまり飲みませんが、熟成年数やアルコール度数は理想的です。テイストは、非常にフルーティでふわっと果実香が口の中に広がり、後からドライなアルコールが追いかけてきて切れ上がっていくタイプ。バーボンバレル仕込みですから、洋ナシのような香り豊かで甘く上品な美味しさが風のように吹き抜けます。蒸溜所を調べてみると、なんとハイランドに区分されるのだそうで、こういうハイランドもあるのかと思うと、自分自身の無知を恥じ入るばかりです。自分ひとりで飲んでいたら、決して頼むことのないボトルですが、貴重なアドバイスをいただいたお陰で、酒飲み人生の幅が広がりました。感謝!
2014年05月13日
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池袋西口にあるモルトバーのJ's Barが、本日で開店20周年をお迎えになりました。おめでとうございます。先立つ4月29日には、開店20周年を記念した記念ボトルのテイスティング・パーティが開かれまして、光栄にもお呼ばれに預かりました。オリジナルラベルを貼付されたボトルは、ベンリアックの20年物で、いかにもベンリアックというフルーティで香り高く、バーボンバレルのバニラ香がボディとなっている、構成の美しい構造は三角形なのに味覚は丸い、絵に描いたように美しいウィスキーでした。会場には、ラベルのデザインを描かれた、その筋では有名な画家さんがいらっしゃって、カウンターの一番奥で静かにその時間を味わっていらっしゃたのが好印象でした。テイストは、アールグレイ紅茶のようなベルガモットの上品な香りが立ち上がり、マンゴーやパパイヤ、バナナといった南国のフルーツが広がって、水仙や蓮華のようなフローラルな香りが爽やかに駆け抜けていく、20年という熟成と、時間の流れと重みが、バーの歴史を称えていました。ラベルの最下部には14.1という数字が入っていますが、これは2014年の「14」と、プライベート・ボトルの1番目で「.1」。今年もう一本瓶詰めできるなら「14.2」になるとのこと。毎年一本づつのリリースでも10年後に「24.10」をお届けしたい、という気持ちが込められているそうです。こんな貴重な機会にご縁をいただけて感謝しかありません。改めてお祝い申し上げます。感謝!
2014年05月12日
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トバモリーのヘヴィ・ピート版がレダイグなら、ブルックラディのヘヴィ・ピート版がポート・シャーロットなのは、このブログをご覧になる皆さまでしたら先刻ご承知でしょう。ブルックラディのオフィシャルは、シェリーが40%近くブレンドされている上品な甘みとアルコールの辛さが売りのウィスキーだが、ポート・シャーロットはとにかくスモークの強さと臭さのヘヴィなボディを食らわせるヘビー級の王様のような一本です。以前、メーカのブレンダーの人と話をしたことがあるのですが、「ピーティ」と表現されるウィスキーの味わいは数種類あって、純粋なピートフレーバーの香りと味の2つと、煙臭いスモーキーと呼ぶべき香りと味の2つがあって、合計4種類の違う表情を十羽一絡げでピーティと呼んでしまっている現状がありますが、このポート・シャーロットは、どちらかといえば煙臭い方の香りと味のヘヴィ・ピートです。例えば、クセの強いウィスキーがお好きだとして、ピーティとかスモーキーとかが飲みたい。一番強いのを持ってきてくれ、とバーテンダーさんに頼んだりすると、じつはできるバーテンダーになればなるほど、そこにはバリエーションがあって困るということになるわけです。もし私がバーテンダーで、一番強いの、と言われたとしたら、上記の4種類を全て兼ね備えるアードベッグを出すでしょう。しかし、一番スモーキーなやつ、あるいは煙臭いの、と言われたとしたら、このポート・シャーロットを出すでしょう。両者はまったく違う味わいです。しかしながら、スモーキーが美味しいという嗜好も確かにあり、その王者がハイランド・パークだとしたら、世界中が襟を正して姿勢を改めるのではないでしょうか。だから、ポート・シャーロットはそういう姿勢のウィスキーなのです。感謝!
2014年05月09日
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エスクルーシヴ・ブランドのレダイグ16年物です。1997年蒸溜、2013年瓶詰の58%。私は、お恥ずかしながら、レダイグという蒸溜所を知らなかったのですが、トバモリーと聞いて「ああ」と思いました。トバモリーは、スカイ島とジュラ島の間にあるマル島の蒸溜所で、ジュラと同じくアイランズとしては穏やかさが特徴のウィスキーでした。同じ穏やかなものにも拘わらず、ジュラと比較されることがないのは、あちらがピートを焚き込んだモルトであるのに対して、こちらはノンピートのモルトだからでしょう。非常に大雑把な比喩表現としては、ハイランド・パークに対するスキャパのような印象でした。しかし、このレダイグはピートを焚き込んで作られたウィスキーで、こうなってくるとジュラとの比較対象に上ってくるというわけで、また今回のモルトの会ではジュラを飲んでいますから、それならとりわけ比べ易いということでした。結論的には、ジュラの方がソルティで荒々しく、こちらの方がメロウでやわらかで、一般にピーティというとクセが強くて、臭くて、場合によっては煙っぽくて、飲みにくいけど一度嵌まったら止められないという個性ですが、こちらは味覚の中央部分で程よいピートが姿をのぞかせており、素朴でマイルドでいかにもスコットランドの田舎、あるいは島という風景が立ち上がってくる旅をしているかのようなデジャ・ヴを感じる、味わいのあるウィスキーでした。こういうウィスキーこそ、気合や根性やアクの強さで勝負する初心者向けを乗り越えて、しれっと「こんなのもあるよ」と、その存在を忘れずに主張するあたり、とても玄人好みだと思います。58度なのに飲みやすいのも秀逸。ウィスキーがお好きな方におすすめです。感謝!
2014年05月08日
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前回のラフロイグと今回のアードベッグとは、わずか500mくらいしか離れていないご近所さんの蒸溜所なのですが、ボトルの中身としては前回と今回とでは大きく方向性が異なります。アードベッグという蒸溜所は、アイラ島南端の蒸溜所の中でも小さい方で、ポットスチルはわずかに2器だけというところです。そのためか、従来は素朴でオーソドックスなヘヴィピートのウィスキーを出荷していました。しかし、ここ数年昨今のアードベッグは、まるで人が変わったかのようにさまざまなバリエーションの製品を送り出すようになり、今回のガリレオというラベルは、「ウィスキーは宇宙でも熟成するか」という宇宙実験プロジェクトを記念したボトルなのだそうです。もちろん宇宙に行っている樽は宇宙にあるわけですから、このボトルの中身が宇宙帰りというわけではありません。あくまでイベント商品ということです。そういうことですから、中身の良し悪しより話題先行の商品であり、テイストはシェリーとバレルのブレンドというオーソドックスなもの。モルトマニア向けというより一般社会向けです。特筆すべき内容は見られませんでした。まあ話のネタとして。感謝!
2014年05月07日
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プレミア・バレル・セレクションと名付けられたラフロイグの11年物。英語で色々書かれていますが、可笑しいと思ったのはシングルバレルの11年熟成でアルコール度が46度になるか?ということでした。確かにテイストはバーボン樽で、一般的なラフロイグの印象を大きく覆す甘ーいバニラ風味のウィスキーに仕上がっていますが、ラベルの最下部には384本ボトリングされたと印字されているので、なにをどう考えても辻褄がありません。これは要するに加水したということでしょう。シングルカスクという言葉の定義の隙間をつく一本ということです。ここで、私がこの記事を書く理由としては、蒸溜所の名前だとか、ラベルのデザインだとか、熟成年数だとか、挙句の果てにはシェリーがどうとか、そういう一切合財の第一印象と、実際の味覚には完全一致がないということです。むしろ、酒という嗜好品の原点に立ち返ったとき、飲み物として美味いかどうか。その美味いものをどのように作るか、というプロセスとノウハウにこそ一番の価値があるのであって、それを直視して味わうことが一番美味しい飲み方ではないか、ということにつきます。私自身、ついいつもの癖でラベルを読んで製造の中りをつけようとしたのですが、そのセオリーを大きくうれしい形で裏切ってくれた一本です。何事も素直に受け止めてみるということが、いかに大切かを反省させられました。もちろん、大人の美味しいお酒として飛び切り上等です。それでは、よいゴールデン・ウィークをお過ごしくださいませ。感謝!
2014年05月02日
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ようやく、ジュラから小さな連絡船に乗ってアイラ島にやってきました(笑)。アイラ島のピーティなモルトウィスキーばかりをブレンドした企画もの?です。日本人は、アイラ島のピーティでスモーキーなウィスキーが好きだと言われますが、いくらなんでもそればかり混ぜるのはどうなのよ?と思います。でも、意外や意外にそういうミックスを作りたがる、飲みたがる面白がる精神がスコットランド人にはあるんですね。「ここに超臭いウィスキーばかり集めた一番ストロングなやつがあるぞ、どうだー!」というところなのだと思います。一般的に、ブレンデッド・ウィスキーというのは、さまざまな個性の原酒を混ぜることで高バランスの美味しさを作ることを視野にして行われていますが、似た個性ばかり混ぜて最強のクセを追求するというのも、アリと言えばアリですね。これは日頃から常識に捉われてしまっていると、なかなか思いつかない芸当です。テイストの方ですが、味から分かるのはアードベッグとボウモアが含まれていることで、あともう一種類入っているそうですが、バニラっぽさから見るとラフロイグか、線の細さでいうとラガヴーリンか、というところだと思います。ラベルをみるとピーティな原酒ばかりのブレンドということで、ちょっと躊躇する感じもありますが(笑)、飲んでみると各蒸溜所のカスクほど強くなく、ピーティな範囲でマイルドなブレンドに仕上がっていると思います。要するに、飲みにくいはずなのに飲みやすいということです。そのあたりが、20年熟成の45度というところに表れているのでしょう。アイラ島のウィスキーがお好きという方なら、こういう飲み方もあるということで、お試しいただいてはいかがでしょうか。感謝!
2014年05月01日
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