城へ帰れと・・・早く立ち上がれと
庄司が身を挺して逃がしてくれ、城下を駈け抜け小舟で海に出た正人は、ある島に打ち寄せられていました。
その島の小屋に正人の姿がありました。陀七という男が、疲れはてている正人に大盛飯をもってやってきます。正人が助けられたところは倭寇と呼ばれた海賊達が集まるところでした。 陀七が仲間に入れと誘います
。
正人が「 帰るところが無くなった人間なんだよ
」というと、陀七は頭に会えと正人にいいます。正人は「うん」と明るくいうのです 。


正人は、陀七に海賊の仲間入りしたのか聞きます。陀七が話します・・・王 見城に支配されていた百姓のせがれ
だが、 年貢段銭の取立が厳しく
て、 親父が首を吊った
よ・・・
正人は陀七に、
正人「それじゃ恨んでいるだろう王見城を」
陀七「当たり前じゃねえか、いずれはここの仲間に頼んで、あの城に攻め込んでえ
くらいだよ」
正人「 復讐か
」
陀七「そうとも。百姓の長い間の苦しみを思い知らせてやらなきゃ 気がすまない
よ
」





正人「お前達と 同じ思いをしてる奴は多い
だろうな」
陀七「皆だよ。 王見城領内の百姓皆だよ
」

陀七「遠い国から帰って来た城の若大将は、 百姓の味方だという奴がいたが
、俺は
そんなことは 信用はしねえ
。・・・どうせ口ではうまいこといったって、同
じ穴の貉だ。・・・俺はまだ顔を見たことはねえがねえ」


しけが襲来した小屋の中、陀七の言葉は正人にやるべき情熱を再び燃え上がらせるのです。小屋の中を動きながら心で呟きます。『領民達は 救いの手を待っている
、それを思うと じっとしてはいられない
。絶望の領民達は復讐を始めるだろう、王見城に。それに、父上のこの 復讐を成し遂げなければ
ならぬ。王見城を支配している あの男に
・・・。領民の復讐と平和を好んだ前城主の世継ぎの復讐と、この二つの復讐は』、そして、声に出し「そうだ、二つの復讐はいま一つになるのだ、 俺によって
、 この正人の中で
」





城へ帰って復讐へとかきたてる気持ちに、 雪野はどうしよう
と・・・もう この腕に雪野を抱く資格はなくなってしまった
・・・それを思うと、声をあげ もだえ苦しみます
。





そうしたとき、父勝正の幻影が現れます。正人は思わず「 父上
」と・・・勝正の幻影は正人の近くへ来ると、 正人に手で合図を
したのです。「父上、 城へ帰れと
・・・ 早く立ち上がれと
・・・」正人はそう理解したのです。






続きます
。
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