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楽天ブログの写真の容量がすぐにパンクしてしまうため、Facebookを主体に更新をしていましたが、見れないとのお客様の声を何度か聞き、新しく別のブログを新設しました。今後とも、いろいろ更新していきたいと思います。よろしくお願いします。http://ameblo.jp/la-fins/
2012年09月23日
突然ですが、ブログの移転をします。今までどおり、杉本敬三らしい料理を日本の皆様にお知らせすることは続けますが、書き込み、トラックバックなどを削除させていただきました。お客様によっては、本当に心の励みになる応援のメッセージや温かいメッセージをたくさん頂きましたが、いたずらメッセージが多発してきましたので、本日にて終了します。本当に応援のメッセージを書いてくださったお客様にはまことに申し訳ないのですが、料理人一個人としてサイトを運営していく上で、最良の手段と思いましたので、皆様ご了承願います。新しいブログは、同じく楽天様のブログで続けます。これからも、皆様のご観覧心よりお待ちしております。よろしくお願いします。http://plaza.rakuten.co.jp/chefkeizo/
2009年02月20日
ご無沙汰しております。毎年恒例の1月の一時帰国、そして、こちらのオープンなど忙しく動いていたため、更新が遅くなりました。さて、新しい料理の更新です。まず、鳩肉のカルパッチョです。鳩の胸肉をフォアグラと一緒にテリーヌに詰めて65度で2時間ほど焼き上げます。そのあと、真空で空気を抜いて、半冷凍にしてからカルパッチョにしていきます。モモ肉と内臓はガチョウとカモの脂の中でコンフィにします。カルパッチョは、提供する前に軽く温めて、モモ肉内臓などをフライパンでポワレして、カルパッチョの上に乗せます。付け合せに、蜂蜜風味のりんごと、胡桃のクリスタリゼ。両方甘いのですが、りんごの酸味とくるみの苦味は、その甘味と丁度いい感じに鳩に合ってくれます。最後に春のサラダ。この時期代表される、タンポポ、プーピエという香りの高いサラダ。そして、もう一つ代表的なサラダのマーシュ。実は僕たちが使うマーシュは野生のマーシュなのです。どこに生えているかというと、ワイン用のブドウ畑がある垣根。また霜柱や少しゆきが残っているところから、春の息吹を見ることができます。このマーシュ、もし格付けがあるなら、グランクリュ。なぜなら、ワイン畑でもシュナンブールという僕の店の後ろのグランクリュの畑で採取しています。このマーシュは、苦味はほとんどなく、ほのかな甘味と香り、そしてなんとなくしっかりとしたミネラルさえ感じられます。こういう春を感じると、これからは色々な食材が楽しみになりますね。まず、ノルウェイ産のまだら、そのあと、乳のみ子羊、白アスパラ、小さな野菜、モリーユ、野生のアスパラ。考えるだけで、今年の春もたくさん新しい料理ができそうです。
2009年02月14日
1日早いですけど、メリー・クリスマス!!!!1年が過ぎるのも早いですね。僕の店のパティシエがいなくなり、早1年。そういえば去年の今頃、クリスマスと新年を祝うオブジェをチョコレートで作っているのを、思い出しました。彼は、チョコレートで飛行機を作ったのですが、展示30分で翼が折れてあえなく展示されずじまい。残念でした。それで、今年は僕が作ることになりました。色々悩んだ結果。2008年はマカロンをたくさん作った年です。色々な店で働きましたが、この店が一番大量に作りました。そこでマカロンでクリスマスツリーを作りました。いろんな色のマカロンを作り、大きなお店のようにプラスチックのオブジェがないため、発泡スチロールとアルミ箔、あと飴でツリーの土台を作り、チョコレートでマカロンをくっつけていきます。やっていると意外と楽しいもので、こういうのを作り出すと、僕は夢中になります。ところどころいびつなところもありますが、初めて作ったツリーにしては上出来。今お店の玄関に飾ってあります。
2008年12月24日
お菓子には、色々名前があって逆にありすぎて、どれが本物かわからなくなったものもあります。このデザートもその一つ。昔に、モンペリエで働いていたときにパティシエが作っていたロワーヤル・ショコラというデザート。本来は、いわゆる洋菓子屋さんで売ってそうなデザートでしたが、僕なりに味、形、組み合わせをアレンジしてみました。一番下にあるのは、プラリネクリームとバローナ社のミルクチョコレートとフイユティーヌというさくさくしたキジを混ぜこんだもの。その後、キャラメルに同じミルクチョコレートを加え、ホイップした生クリームを加えて、ムースを作り、きれいに絞り込みました。その次に、薄いミルクチョコレートをしいて、ピスタチオを置き、その上にはピスタチオのアイスクリーム。最後に、チョコレートのチュイルを載せて完成です。ミルクチョコレートを中心に、いろんな味、香り、食感を変える事でより美しくおいしいデザートの完成です。
2008年12月17日
南国のフルーツというと真夏の暑い時期を想像しますが、フランスではマンゴーやパイナップルなどは、この時期が一番おいしくなります。それらを使ったデザート。マンゴーは薄く切り、それをラビオリの皮のように使用します。ラビオリの具は、甘いパイナップルを、ココナッツクリームと合えたものを中にしのばせ、ラビオリの上には、ライムのコンフィが乗ります。それに、ライムの酸味の利いたソルベが乗り完成です。マンゴーやパイナップルの甘味とココナッツの甘い香り、そこにライムの酸味が丁度心地よくなります。
2008年12月14日
パリの有名なお菓子屋さんが、この組み合わせを考えたと思われがちですが、実はモロッコの女性シェフ(すみません名前を知りません)が作り出した組み合わせ。バラの高貴な香りと、ライチの甘い南国の香り、それを見事に相乗効果でつなげてくれるフランボワーズの酸味。僕も初めて、この組み合わせのデザートを食べたとき、すごくおいしいと感動しました。組み合わせがいいと、自分なりのルセットを作りたくなる。まず、塩メレンゲ。棒状に作り甘味のトーンを塩が引き立てます。フランボワーズのゼリーは、できるだけ自然に甘味はメレンゲから。ホワイトチョコレートのチュイル。そして、バラの香りのムース。そしてフランボワーズ。最後に、バラの花びらをイメージした飴細工。シャーベットには、ライチのバラ風味。もともとこのアイデアを作ったのは女性。ですので、女性が好むような色を意識してみました。
2008年12月13日
フランス料理によく出てくるブランケット。日本で言うシチューですが、フリカッセとよく間違えられます。では本来の作り方を説明します。まず、子牛(今回は子牛のほほ肉)をデゴルジェという血抜きの作業をします。その後、一度水から沸騰させてすべての灰汁、脂を洗い流します。そして、再び水をいれ、白ワイン、香味野菜、ブーケ・ガルニ、塩、コショウで2時間半くらい煮込みます。煮込みすぎるとおいしくなくなります。また、子牛の香りもなくなります。クシを刺してすっと通る程度まで煮込みます。その後、肉とすべての野菜を鍋から取り上げ、煮汁は煮詰めます。それと同時に、ルーを作ります。小麦粉とバターですね。カスタードクリームとかと同じで、バターに小麦粉を入れると、ある程度すると硬くなり、その後やわらかくなります。それで小麦粉のコシが抜けたことになります。ルーは必ず冷やします。さて、いよいよ仕上げです。煮詰まっておいしく沸騰しているブイヨンの中に、ルーをいれ濃度をつけます。そして少量の生クリームを入れてソースの出来上がり。僕の店では、真空パックにソースとお肉と野菜と入れて、うまみを煮含ませます。すると、2日目がおいしいカレーと同じ原理で、すべての素材がなじみ、おいしくなります。僕の店では、アルザス名産スペッツレイを手作りして、それをセルクルにつめて、表面をかりっと焼きます。寒い冬に、温まりたいとき是非味わいたい料理ですね。
2008年12月12日
最近日本でも有名になってきている「天使のエビ」。なんと、フランスでも売っています。しかも日本語表記で。ほとんどのエビを日本が買っているらしいのでどうしても日本語表記を前提に、フランス語表記もあります。さて、このエビをスパゲティーのようにしたジャガイモを巻いて軽くあげてみました。そこにホタテのポワレ、アスパラガス、ジャガイモのピューレ。ソースは、パセリのソースです。甘い天使のエビと、エルキー産の甘いホタテ。食欲のそそるオードブルの出来上がりです。
2008年12月09日
12月に入り、町中クリスマス一色になりました。師走というだけに、この時期は特に忙しく、僕のすべての休日は埋め尽くされてしまいました。それでも、いつもがんばってくれている従業員のために、クリスマスパーティーをやりたい。そんな思いが募り、唯一開いている昨日やりました。僕の部下はみんな若く、夢や希望や不満や不安でいっぱいの子供のような部下です。そんな彼らを家に招待しました。いつも僕が出張料理をしているのと同じように、丁寧に、豪華に作りました。まずは、食前酒とともにフィンガーフード。トマトキャラメリゼにフォアグラとマンゴーのプレッセ、オマールのマリネトリュフ風味。そして卵よりトリュフのほうが多いスクランブルエッグ。これにあわせたのが、シャンパーニュ、ジャクソン733ミレジメ2006です。シャンパーニュに思った以上に酸味がありましたが、全く不愉快でなく、すべてのフィンガーフードとマッチしました。次に、テーブルセッティングとともに「スペシャルジラルドのナージュ、レモン風味。クレソンのクリーム添えと生牡蠣を自然に添えて」以前にも紹介した最高級のジラルドのカキを贅沢に使いました。シンプルでありながら、クレソンのさわやかなクリーミーな味がカキの味を引き立てます。これを食べるときに添えるバターはもちろんエシレです。次に、「ブルターニュ産オマールのミキュイ、ほうれん草、ソラマメ、アーティチョーク・ポワブラード添え」きっとほとんど食べる機会がないと思ったから、あえてブルターニュ産のオマールを出しました。日本では1キロ10000円を超えます。レストランだと、一皿10000円以上はすると思います。そんな食材をフランスにいるときに食べてほしい。きっとこの価値がわからなくても、日本でいつか思い出すこの味を知ってほしいと思い、作りました。この料理には、コンドリュー・テラス・デュ・パラ、ドメーヌ・フランソワ・ヴィラールです。ボディーのしっかりしたこの白ワインは、ラベンダーやスミレのような華やかな感じがあり、余韻にモモを思わせるような甘味も感じます。今日のオマール料理にはぴったりでした。メインは、「フォアグラ丸ごとローストのトリュフ大盛り」豪華というか贅沢というか僕もこんな料理初めて作りました。一言、おいしかったです。これに合わせた、クロブージョの2001年とすごく相性がよく、夢心地でした。このトリュフも、きっとどれくらい高価なのかみんなわからず食べていたと思います。でも、これできちんとトリュフを食べたので、きっと日本に帰ったときにすごく高いレストランでも少ししか出ないトリュフ、フランスではモリモリだったと、僕のことをきっと思い出してくれると思います。昨日招待した部下はみんな来年のクリスマスには違う部下になっています。1年間だけのワーキングホリデーできている部下です。1年しか勉強できないから、だからこそ、本物のオマールやトリュフの味を知ってほしかったという、僕の問いかけでもありました。これで、伝わったかな???
2008年12月05日
おいしい組み合わせというものは、ある程度限られていて、食べたいという衝動に駆られるそんな料理です。ガチョウのフォアグラのテリーヌ、タルト・タタン仕立て、ゲヴェルツトラミネールのソルベまず、ガチョウのフォアグラですが、きれいに血管を取り除き、マリネしておきます。別で、タルトタタンと同じレシピでりんごのキャラメリゼ、オーブン焼きを作ります。その後、フォアグラをテリーヌの半分まで敷き詰め、りんごをいっぱいになるまでつめて、オーブンで焼きます。アルザスでは、気品高いガチョウのフォアグラとりんごのつけあわせでよく食べるので、その応用です。付け合せに、ワインでおなじみのゲヴェルツトラミネールのソルベ。このワインのスパイシーな感じと程よい甘味がフォアグラとの相性がとてもよく、それをソルベにしてみました。最終的に、盛り付けはデザートのようになりますが、れっきとしたオードブルの一品として、お店で出しています。
2008年12月01日
もう20年以上料理をしていると、作ったことがない料理というのは少なくなってきます。和食から中華まで大体まかないなどで一通り作ったことがあります。フランス料理は12年もしておりますので、すべての料理を作ったと勘違いしていました。プラトー・ドゥ・フリュイ・ドゥ・メール日本で言う海の幸盛り合わせです。この料理大好きで、ブラッスリーなどでよく食べます。しかし作ったことがない。実は、そんなことを知ったのは作ったあとで、この海の幸盛り合わせを作った理由は、お店で海の幸フェアをして、そのときに出したオードブルです。このお皿には、生牡蠣、ビゴルノ(日本で言うタマキビガイ)、ビュロ(エゾバイガイ)、手長エビ、大きなエビ、そして小さな灰色のエビ。フランスでとてもポピュラーな海の幸の盛り合わせ。これらは良く冷やして、酸味の利いたリースリングと一緒に食べます。作ってみると、シンプルながらなかなかのおいしさにびっくり。次作るのが、いつになるかわからないけど、僕もお客さんとして席に座って食べたいです。
2008年11月29日
ジビエといえば、毎年僕の定番「リエーブル・ア・ラ・ロワイヤル」前回にもロワイヤルとかかれるものは、王様の為に作られた料理と書きましたが、最近面白いことを耳にしました。ロワイヤルと名前がつくもののほとんどが、やわらかいものが多い。そう、王様は歯がほとんどなかったのですね。ですので、噛み切ることができない。それでも大好きな野うさぎをどうしても食べたいということで、考案された料理だそうです。さて、昨年まではウサギの肉を何時間もかけて煮込んだものを、リエットのようにもみ崩し、スプーンでも食べれる状態で供していました。しかし今年は、本物のリエーブルアラロワイヤルに挑戦。もともと、皮を剥ぎ取った野うさぎを、丁寧に1枚に開き、その中に、野うさぎのミンチ、フォアグラ、トリュフ、子牛の足の肉を入れて、24時間煮込みます。簡単に書きましたが、すごく時間も手間もかかります。ソーセージ状に仕上げてあとで切ります。付け合せに、きのこ、根セロリのピューレをつけて出来上がり。そうそう、たっぷりのトリュフもお忘れなく。この料理は24人前だけ作りました。この冬24人前限定のリエーブルは、なくなり次第終わります。
2008年11月27日
秋から冬にかけて気温もぐっと下がり先日初雪も5センチほど積もりました。この時期、温度が下がると同時に食材の変化も見られます。特にジビエ。フランスの野鳥は、物によって微妙に時期が違うと思います。たとえば鴨の場合、秋ごろの寒くなってきたときに脂を蓄え、また運動も少ないのでお肉の質が細かいです。そして、ヤマウズラは丁度冬トリュフが出る時期。初雪が降るころと考えていますが、そのころ、身がぷくぷく太り、しっっかりした胸肉に、ゼラチン質の多いモモ肉ができるのです。さて、今回のヤマウズラは、そうしたぷくぷくの太ったヤマウズラを調理します。普通なら、ローストしてキャベツやトリュフと食べたり、パサつきやすいので最後にソースと軽く煮たりしてしっとり仕上げます。でも、それらの調理法は僕のほかの素材ですでに使っている。もっと面白そうな調理がないかなって思っていたところ、トゥルトゥを見つけました。パイ包みですね。本来なら、肉のミンチをパイ生地に入れて焼き上げる簡単料理。それを僕のレストランに合う、料理に仕上げました。まず、鶉の胸肉は1センチ角に切り、モモ肉はミンチにします。そこに、たまねぎとトン足のみじん切り、レーズンをゲヴェルツトラミネールのワインに2週間漬け込んだものを入れて、1晩寝かします。その後、ハンバーグの要領で空気を抜き、真ん中にフォアグラとトリュフを挟み、パイでくるみます。写真の料理は、日本から来てくださったおなじみの常連さんのためのスペシャルトリュフですが、本来なら付け合せにモリモリのクレソンのサラダをつけます。お肉の本来のうまみ、ジューシーさを保つため、パイはさくさくにはなりませんが、こういううまみを少しすったしっとりしたパイもすごくおいしいですよ。ソースは、ヤマウズラの骨からとった濃厚ソース。12時間以上煮詰められたソースは、いやみがなく赤ワインがほしくなります。
2008年11月26日
ルージェ・バルベ。日本語表記ではヒメジとなっていますが、僕は全く別物と思います。日本でヒメジは扱ったことがありますが、白身で臭みがなく淡白で非常においしい魚と思いましたが、フランスのこのお魚は、白身ですが香りが強く味も独特で個性が強いです。そのためどうしても、個性の強いものをあわせます。今回は、まずヒメジにカキのジュース、生牡蠣、鳥のブイヨン、サフランを加えたソースを作りました。カキのうまみ、サフランの香りの高さがルージェの個性をまとめてくれます。そして、付け合せに色々な野菜と、トン足のチュイル。トン足のチュイルは、3回ほどゆでこぼし、その後ブイヨンで煮たトン側をミキサーにかけて、裏ごしします。それをクレープのようにフライパンに載せて煮詰めるとゼラチン質がキャラメルになりカリカリになります。それで、お皿の中の別の食感を作ります。トン足が苦手な方も食べれるというチュイル。僕の昔からのスペシャリテです。
2008年11月22日
日本でもフランス料理で供されるスズキ料理の新しい料理です。まず、僕はこの時期の天然のスズキが好きです。身はやわらかく、脂ものっていてふっくらおいしく焼けます。新鮮で皮が反りやすいので、軽く切り目を入れて、僕は小麦粉とコーンスターチの混ぜたものの中に皮目だけつけて、片面だけゆっくり焼き上げます。そうすることにより、皮目がぱりぱりでふっくらおいしいスズキのポワレができます。付け合せですが、レギューム・ウブリエ。フランス語で忘れられた野菜ですね。そう、昔よく食べた根菜は、今はほとんど食べなくなりそこで、もう一度見直してみようということで、つけられた名前です。僕がのせているのは、チョロギ、黄色い蕪、カブカンラン、アメリカぼうふう、きくいもです。辞書で調べながら書きましたが、日本語でもほとんど知らないような野菜たちですね。ソースはシンプルにモンサンミッシェルのAOCムール貝のソース。贅沢に、貝汁だけを使い、ムール貝は巻かないで食べてしまいました。すでにたくさんのフランス人にほめられたこの新しい料理。またスペシャリテが増えそうです。
2008年11月21日
冬といえばりんごがおいしい季節になりました。フランスにも日本と同様にたくさんのりんごの種類があり、生で食べておいしいもの、デザートにしておいしいものなどさまざまです。フランスのりんごのデザートといえば、タルトタタン。僕も大好きなのですが、少し甘すぎるのが難点。そして、家庭でもできるデザートなので、レストランには不向きですね。そこで、りんごを使って軽くおいしいデザートを作ってみました。フロマージュ・ブランのムースの上に作ったりんごの再構築。青りんごのシャーベット素材の基本はりんごとフロマージュ・ブラン。この2つはとても相性がいいですね。まず、りんごといえばブルターニュということで、サブレブルトン。その上に、フォロマージュ・ブランのムースを置き(ムースの中には、蜂蜜風味のりんごのコンポートを隠しています)その上に、りんごで作ったチュイルでりんごを再構築して出来上がり。シンプルですが、とても軽くフロマージュブランの酸味とりんごの香りがたまりません。シャーベットは、青りんごで作るシャーベット。色粉を使わないため、自然な色で仕上げました。
2008年11月15日
ホタテのカルパッチョです。フランス料理では、というかフランスでは、ホタテの解禁が10月中旬にあり、それと同時に秋トリュフ(ブルゴーニュ産トリュフ)とマーシュが出回ります。それらを組み合わせた料理が、あちこちのレストランで出されます。では、僕の店では、まずホタテ。エルキー産の最高級の物を仕入れて、しかも5年もの。すごく大きいものを取りました。そして、シンプルにトリュフのドレッシング、トリュフ、マーシュで食べます。とりあえず、初物ですからシンプルに素材の味だけ味わいたいものです。
2008年11月13日
チョコレート好きなら必ず知っているデザートの一つ、モワルーショコラ。モワルーとは、やわらかいとかとろけそうなイメージのことをさして、チョコレートの生地をオーブンに入れて、中心はとろとろに仕上げるのがこのデザートの特徴です。ほかにも、有名なとあるシェフが考案した、ビスキュイクーロンショコラ。こちらは、小麦粉が入ったチョコレート生地で中にソースを入れるため、割った瞬間に大量のソースが流れ出る仕組み。僕が今回考案したデザートは、上に書いたチョコレート生地をより軽く、より甘味を抑えて作り、その代わりにチョコレートソースではなくヴァニラ風味のキャラメルソースを入れてみました。僕は、チョコとキャラメルの組み合わせ大好きなんです。難しいところは甘味。甘すぎないようにメリハリを利かせるのが特徴ですね。それから、今回は盛り付けにも力を入れました。レストランのデザートは、たとえばチョコレートのモワルーとヴァニラのアイスクリームで十分にデザートとして成り立つのですが、そこに、全く違う渦巻状のキャラメルとチョコレート、そしてチュイルを置くと、僕の店でもすごくクオリティが上がったデザートになります。デザートは特に、味はもちろん、視覚が重要な部門ですので、こういういろんなアイテムを作れること、大切ですね。
2008年11月13日
お店のマカロンの紹介です。マカロンは、日本でもだんだんメジャーになってきましたね。あの表面がつるっとしていて、下のほうにピエという足ができる。これが、マカロン・パリジェンヌ。意外と簡単そうに見えますが、難しいのがこのマカロン。全く同じレシピでも、5回連続失敗する部下もいれば、今回のマカロンはお菓子を初めて1年生の女の子が生まれて初めて作ったもの。上出来というより完璧です。このマカロンは、バニラ風味。これから、中に何を詰めようか考えるのがたのしいですね。数週間前のミニャルディーズです。コーヒーとともに食べるものです。このときは、フランボワーズのマカロン。このミニャルディーズも、頻繁に変わります。
2008年10月31日
とてもオーソドックスなフランス料理ですが、きちんとシャンパーニュを使ってふわふわのサバイヨンソースで食べます。まずカキの説明。Spéciales Gillardeau No 2というと、フランス料理でもフランスに何年かいた人は必ず聞いたことがある名前のカキ。そう、3つ星レストランのシェフなどがこぞって使っているカキです。アルザスでは、クロコディルとオーベルジュリルと僕の店。とにかくおいしいので、思い切って使いました。5つのカキは、殻を剥き、軽くブランシールします。そして、ポワローねぎのクリーム煮とほうれん草、カキ、最後にシャンパン風味のサヴァイヨンソースをかけてオーブンで焼きます。真ん中のヨーグルトのポットみたいな中身は、小さな季節の野菜のトリュフ風味のエトゥフェ。これは、ゆでた野菜をバターと合え、熱々のままトリュフと一緒に密閉します。トリュフの香りは62度で最高潮に達しますので、実はソースで沸騰させたりするのは、香りがどんどんとんでいくことになります。この野菜も、密封することで、素晴らしい香りをトリュフからもらってくれます。これから寒くなるこの季節特においしくなるカキです。この時期の限定品。是非食べにきてください。
2008年10月29日
お店のソムリエールがお誕生日だったので、みんなでお祝いをしました。まず日曜日に、白ワインを飲んで、夜の10時半からレストランへ。タルトフランベというアルザスのピザ専門店みたいなところで、そこでわいわいがやがや12時半くらいまで。とっても楽しかったです。普通ならそれで終わりですが、そこにはお誕生日ケーキがなく、なんとなくしっくりこない。それで、お誕生日ケーキを店で作りました。紅茶風味のスポンジケーキを作り、ガナッシュという生チョコのようなチョコレートのクリームと、栗のムースを交互にはさみました。そして、生クリームで表面を覆い隠し、たくさんのろうそく。そして、僕の大好きな飴細工。何を隠そう、僕は飴細工が大好きで、熱い飴を引っ張ってつやを出し、きれいなバラや棒、くるくるしたものを作ります。簡単のようで、はじめは火傷だらけになりますが、すごく難しい仕事の一つでしょうね。ちなみに、結婚記念日や、お誕生日などの記念日で僕のお店でお食事をされる場合、予約時に一言そのことを伝えていただけると、同じようなバースデーケーキ、もしくはお誕生日プレートを作ります。これが、お誕生日ケーキこれが、バースデープレートです
2008年10月29日
このブログで何度も紹介しているフィンガーフード、今週よりレベルアップしてみました。このレベルアップというのは簡単のようでなかなか出来なかったのですが、ようやくオーナーとの話もまとまりついに出来ました。今までは、スプーンのなかに盛り込んだものが2種類でしたが、これからは、3種の小さなフィンガーフード。それプラス、さくさくパイのゴマ風味とケシの実風味のもの。それとスティック上のエビせんべいもつけました。食前酒を飲みながら、メニューを決めるときにちょっとしたおつまみ。でも、この一口で書かれているメニューの期待がいっそう膨らむと、食事はより楽しいですね。そうそう、スプーンの中身は、スコットランドサーモンの自家製燻製とクリームのハーブ風味。もう一つは、まだらを使ったブランダードとにんじんのピューレ。シュー生地の中身は、フォアグラのクリームとイチジクです。
2008年10月20日
今日は、料理というよりお魚の火の入れ方についての説明です。すぐにぱさぱさになりがちなお魚。でも、生っぽいのはフランス料理ではタブーです。そのぎりぎりのところを、見極めます。上手にお魚を焼くと、表面の脂が虹色に光ります。ちょっとしたテクニックで出来ますので、紹介します。まず、今回のようなアンコウの場合、さばいて上身だけにします。そして塩を振ります。ここで余分な水分を出します。その後、水分をふき取ってカダイフというパートに巻きます。(もしそのまま焼く場合は、割と低温のフライパンでオリーブオイルとバターでゆっくり焼き上げて、中心温度は42度にします)その後フライパンにオイルをしき、表面をかりっと焼いて120度のオーブンに入れます。10分ぐらいで42度まで上がりますので、そのまま10分ほど休ませると、切った表面は、虹色に光ります。ご家庭でも簡単に出来ますので、お試しください。
2008年10月13日
オレンジのグラタンの紹介です。フランスでもというかこちらではスペイン産のオレンジが有名ですが、オレンジにも時期があります。おいしいのは寒くなってきたこの時期から来年の春まで。でもオレンジのデザートというとどうしてもさっぱり夏っぽいイメージがありますね。そこで僕が提案するのはオレンジのグラタン、ホワイトチョコレートのサヴァイヨンソースとサブレブルトン、みかんのシャーベット添えオレンジをグラタンにして、ソースはホワイトチョコレートのサヴァイヨン。クリーミーで体もあったまります。そこにブルターニュ地方のバターたっぷりの塩サブレを加えれば、出来上がり。サブレは、オレンジの下に隠れています。酸味甘味、歯ごたえなど色々楽しめるこのデザートは、とてもお気に入りです。
2008年10月08日
コルヴェール、日本で青首と呼ばれる野生のかもです。ジビエと呼ばれる野生動物でこの時期からクリスマスごろまでが一番おいしいです。今回の料理は、贅沢にも2種類の料理を一つのお皿に載せました。まずは胸肉。軽く塩をして蜂蜜、コニャック、8種類のスパイス(企業秘密です)でマリネ液を作り、刷毛で3回ほど塗ります。そして、空気を抜いた状態で2週間の熟成です。この熟成期間がないと、風味、肉質がぜんぜん違うのです。その後、胸肉はローストして、蕪のコンフィとジャガイモのピューレで食べます。アラカルトの場合、トリュフが付きます。今は生のトリュフはブルゴーニュ産の物。香りはぺリゴール産に負けますが、それでも強い香気を出します。モモ肉はシヴェにします。これは赤ワイン煮込みですね。水をいれず赤ワインだけで10リットルで30人前。一人ハーフボトルの赤ワインを使用しています。これくらい使わないと赤ワインの良さが出ません。6時間ほど煮込んだモモ肉はすごくしっとりと柔らかく、煮汁をさらに煮詰めて、野生のきのこと一緒にもう一度煮込みます。これで出来上がり。写真ではわかりにくいですが、丁寧にローストされた胸肉。よく見ると虹色に光ります。これは肉汁と程よい脂、そしてお肉が最高の状態に焼かれたときにできる虹。このお料理は、11月いっぱいまでの料理です。
2008年10月08日
新しいデザートの紹介です。僕の大好きなパイナップルのローストです。でもタダのパイナップルじゃありません。レユニオン島のヴィクトリアという3つ星シェフなどがこぞって使っている品種のものです。こちらのパイナップル、通常のものより小ぶりでとても小さい。でも味と香りが普通のものと倍くらい違います。参考にフランス語ですがこちらをどうぞhttp://www.mi-aime-a-ou.com/ananas.htmこちらのパイナップルを、飾り切りのように皮をむき、キャラメルとラム酒と白ワインとヴァニラを入れたソースの中でローストします。しっかり火を入れて、飾り義理のところがゼブラになります。付け合せに、リ・オ・レという牛乳おかゆみたいなフランスのおふくろの味のデザートと、ココナッツ風味のアイスクリーム。そして、なんと花の塩を使ったメレンゲもつけます。口に入れたときに渾然一体となるこのデザートは、早くも多くのお客様から高い評価をいただきました。
2008年10月07日
トゥルヌド・ロッシーニと聞いてもなんだろうと思いますが、日本のフランス料理店でロッシーニ風となっている料理の基本です。ロッシーニとはイタリアの音楽家。しかも相当な美食家で音楽をやめてまでもトリュフを見つける豚を飼育して、トリュフ探しをして作った料理がこの料理。牛フィレ肉のステーキと、鴨のフォアグラと、トリュフとマデラ酒をたっぷり使ったぺリゴールソースの料理のことをさします。最高の食材を、贅沢に一度に味わえるというこの料理は、世界各国、老若男女、すべての方に好まれやすい料理だと思います。一番難しいのはおいしいロッシーニを出すということですね。僕の店では、フランスのノルマンディー産の脂の少ないフィレ肉を使い2週間マリネしながら熟成します。そうすることにより、肉独自のうまみと香りが良くなります。フォアグラは、真空していないフレッシュの鴨のフォアグラ。ソースは、子牛のソースをベースにたっぷりのマデラ酒とポルト酒。そこに大量のトリュフを入れます。今はフレッシュのものが入らないので、缶詰のトリュフですがフランスで最高のものを使っています。僕がこの料理で一番大切なのは、ソース。さらさらではだめ。極限まで煮詰めて、とろって言うよりどろって感じに、肉とフォアグラにまとわり付くようなソースが、この料理には合います。付け合せはいたって簡単。オーナーが森から取ってきたフレッシュキノコ。たまにジャガイモのピューレも載せます。シンプルですが、贅沢極まりないこの料理。今年いっぱいの限定です。
2008年10月03日
以前使っていたお気に入りのピジョン(鳩)。2週間熟成でこのままメニューからなくすのはもったいないと思いました。ただ、ジビエ大好きな私は、どうしてもピジョンを取り除かなくてはいけないという、難しい選択になりました。そこで考えたのがこの料理。熟成鳩を使った鳩のプレスコフ。プレスコフとはアルザス語で、にこごり。鳩のうまみたっぷりの5時間かけて煮出しただし汁はゼラチン質が豊富で、それをさらに煮詰めて、にこごり風に作ります。鳩の肉はシンプルににんにくとローズマリーでローストして、イチジクはコニャック風味にして、フォアグラは僕の店の鴨のフォアグラのコンソメ風味を使います。これだけでとてもおいしいのですが、そこにシャントレルというキノコのマリネ、そしてイチジクのサラダも加えます。オードブルとして出していますがその存在感はメイン並み。39ユーロのメニューのオードブルで出していますが、メインはコルベールを選びおいしいブルゴーニュの赤ワインで決まりですね。
2008年09月30日
昨年も紹介したシュークルート、もう一度ここでおさらいします。シュークルートの起源は日本人がヨーロッパに持ってきたのをご存知ですか???僕も、最近オーナーに聞きました。ずいぶん昔に、日本人がヨーロッパに船で来たとき、船の上で食べる食料としてお米とお漬物を完備していたそうです。それを見たヨーロッパ人は、このキャベツはなぜ食べれるのか、なぜこんなに保存できるのか日本人に聞いたそうです。そのキャベツの漬物こそが(たぶん白菜だと思います)シュークルートの起源です。それなら、僕でもお漬物は作れるということで、自分で作ってみました。作り方はいたって簡単。千切りしたキャベツ1キロに対し20グラムの塩をまぶし、もみます。水分が出てくると、重石をして水分をできるだけ取り除きながら、寒くて暗いところで1週間。これくらいで十分醗酵した香りになります。さらに1週間ほどで軽い酸味も出てきます。僕は本当のシュークルートは酸っぱすぎるので、あまり好きではありません。ですので2週間で醗酵を止め、調理します。まず、キャベツはそのままだと少し塩辛いので、軽く洗い水気を良く切ります。そして千切りにした玉ねぎをバターで炒め、白ワインと鳥のブイヨンを加えます。そこにキャベツ、ネズの実、クミンを加え、蒸し煮にします。歯ごたえが残っている状態で火を止め、仕上げにバターを少し入れます。よく、酢漬けと間違えてる方がいますが、お酢ではなく塩漬けのあとに醗酵しているのでこれもいわゆる保存食です。さてお店では、とても丁寧に作ったシュークルートを去年と同様小さな猪の背肉とあわせます。今年は、低温調理法を用いてさらにジューシー、かつ猪の香りが100%生かすように工夫しました。でも、シュークルートには燻製の香りが一番合うので、ソースに燻製の香りを軽くつけて、あくまでも猪が主役であるように心がけます。この料理、実は29ユーロのムニュ・マルシェのメインとして出しています。寒くなれば食べたくなる食材の一つはシュークルートですね。
2008年09月28日
僕が大好きな料理。スペシャリテはたくさんありますが、お店の規模、従業員の数、また客層などによりなかなかお店に出せないケースがあります。この料理も、出したくてもなかなか出せずに、やっと出せるようなシステムを見つけた料理です。オマール海老とリドヴォーのフリカッセ昔からある古典料理ですが、非常に完成度が高い味に仕上がります。オマール、リドヴォーを別々にフライパンで調理して、その後両方を鍋に戻し、生クリーム、子牛のソースとオマールのソースとキノコであわせます。そして、色々な野菜を盛り合わせ、最後にオマールの泡泡ソースをかけて出来上がり。素直においしいです。そういえば、お店の子に「何でこんなにたくさんの野菜を盛り付けるのか」と聞かれました。そうですね、僕の料理は小さな色々な野菜がとても多いです。理由は1、僕が野菜好きだから。2、フランス人の食べる量は半端ではなく、お皿の上にたくさん載せないと苦情が出ます。しかし、同じ野菜だけ載せるとお皿の半分くらいでも飽きてしまう。だから、最後までおいしく楽しく食べてもらうために、たくさんの野菜を盛ります。3、色彩がきれい。最近シンプルに素材を置いて線のようなソースを一本だけというようなシンプルな盛り付けが流行っているようです。写真写りもそのほうがいいですね。ただ、僕の店のお客さんはそれでは満足しない。ガッツリ食べてきれいな盛り付け。きれいというより、前にも書きましたが、うまそうな盛り付けを心がけています。
2008年09月24日
手長海老と森のきのこと根セロリの料理です。手長海老は、ブルターニュ地方のものを使い、ガラはソースを取ります。キノコは、トランペット、ジロール、セップなど5種類前後の天然物(もちろんアルザスで取れたものです)。根セロリは、薄くスライスして手長海老のコンソメの中で煮たものとピューレを加えます。それぞれ自己主張が強い素材ですが、一つのお皿の中で最高のマリアージュを見せてくれます。一つ目の写真はお皿全体。2つ目の写真がドアップです。木曜日から出る新しい料理です。このほか一気に7種類の料理が変わります。お楽しみに。
2008年09月24日
今日は僕の店のアミューズの説明です。アミューズとは、前菜(オードブル)の準備の間に出される先付けのようなもので、季節感のあるお店オリジナルのものを出します。ミシュランの捜査員などは、アミューズでそのお店のレベルがわかるというくらい、大切な料理です。僕のお店は、僕がアミューズを作ります。なぜなら、少し余った素材、今が一番の季節の素材などに対応しやすいからです。では今日の真ミューズの説明。季節により暑いときはさっぱりしたもの、寒くなるとこってりしたものを使うことが出来ます。今日のアミューズは、鴨のフォアグラのスパイス風味のプレスコフ(アルザス弁でテーリーヌみたいなものです)甘いとうもろこしのピューレです。鴨のフォアグラをスパイスを絡め、フライパンで焼きそのままテリーヌにしてみました。2つ目の写真は、アリコ・パンポールという白いんげんのAOC(原産地証明書)のラングスティーヌのブイヨン煮込み。そして、鯖のエスカベッシュしめ鯖仕立てです。まず白いんげんは、フランスでも最高級のAOC物を使い、最も相性のいい甲殻類のラングスティーヌのブイヨンで煮込んでみました。そして、鯖はプチ・バトーというこれも最高の鯖を使い、塩でしめてフランス風のエスカベッシュの方法でしかも鯖はほとんど生に仕上げ、最後にしめ鯖の要領で、酢でしめました。日本人にしか出来ないこのような技法を用いて作った料理は、わかってくれる人にはわかるらしく、多くの人にブラボーといっていただけました。3つ目の写真は、今日のアミューズの全体像です。こんな料理をほぼ毎日変えています。お客様が、アペリティフ(食前酒)と一緒に食べるフィンガーフードの後に出てくる料理。すべてのお客様に出すアミューズですが、この一皿目の印象は大切ですね。もちろん、前回紹介した29ユーロのメニューにもこのアミューズは必ず付きます。
2008年09月22日
今日はキャネットの紹介です。フランスでは鴨といいましても色々ありまして、鴨のことをcanardカナールといいこれは雄の鴨を指します。メスの場合canneカンヌといいます。そして、小さなコガモの場合、メスをcanetteキャネット、オスをcanetonキャネトンといい、区別します。オスとメスの違いですが、メスのほうが味は繊細でとてもやわらかいです。オスは少々肉質がしっかりしますが、うまみ風味がメスより強い気がします。僕の店では、キャネットというメスのコガモを使います。こちらのほうは、シンプルに皮目をカリカリに仕上げ中心はロゼ。お肉のソースとにんにくの軽いクリームソースで仕上げます。ヨーグルトの瓶の中に入っているのはジャガイモのムース。ジャガイモのピューレに強引に空気を入れて軽く仕上げました。このお料理、29ユーロのメインとして出てきます。
2008年09月20日
ディディエ・ダグノーさん。プイィ・フュメという白ワインの有名な産地で、最も素晴らしいワインを造っている人。彼との出会いは、今から5年前。シュノンソーで働いていたとき、デギュスタシオンに行って出会いました。そのときの印象は、とても強くてまるでロックンローラーのような風貌で、「料理人にはワインを飲み比べることが出来ない」とおちょくられたのが、彼との始めてのコンタクトでした。試飲が始まると、周りに5人のソムリエがいるのにすべて僕に質問を投げかけてくる。僕はその質問に自分の思うまま答えると、彼の態度が急変して、だんだん僕に好意を持ち始めました。試飲が終わると、ダグノーさんは「みんなでワインを飲みながら食事をしたい」と招待してくれました。実はこの日、お礼に僕のテリーヌを渡そうと思って持っていたので、そのことを話すと、大喜びでみんなで僕のテリーヌを食べながらわいわいがやがや。そして、極厚ステーキを8人分、僕が焼き上げ、ダグノーさんも大喜び。その日以来、彼とはこまめに連絡を取り合い、いつかまた一緒に食事をしよう。いつか出張料理をやろうと話していました。ところが昨日、突然彼がなくなったと連絡が入り、何かの冗談かと思っていました。しかし、インターネットなどで彼の死の情報が入り初めて実感しました。飛行機事故のようです。周りから天才と呼ばれるダグノーさんでしたが、本当の彼は食べること笑うことが大好きな普通の人でした。いつか、きっと一緒に何かやろうと心に決めていたのに、つい2ヶ月前に電話で一緒に話したのに、何も出来ずに彼がこの世から去ってしまったこと、本当に残念です。色々なことが、いつかきっと出来ると思っていても、出来なくなることもある。やっぱり、出来るときに何でも挑戦してやるべきだと思いました。彼の死は、僕だけでなく多くの方が心を痛めてると思います。ただ、亡くなった彼のためにも自分たちが今出来ることを精一杯やろうと心に誓った1日でした。
2008年09月19日
秋の味覚といえばキノコですね。僕も前回紹介したように山に森に探しに出かけます。さて、今年のキノコ料理は、シンプルに6種類の野生のキノコを掃除して、バターとにんにく、パセリでソテーします。キノコそれぞれ日の入り方が違うので別々にソテーします。そこに、トリュフ風味の軽いソースと、ガチョウのフォアグラのコンフィを乗せて出来上がり。ガチョウのフォアグラは、普通なら砂糖やアルコール、たくさんのスパイスを入れるのですが、僕は塩だけ。このほうが、フォアグラらしいうまみと濃厚さが出てきます。また、キノコの味を邪魔しないような味付けになっています。おいしいキノコが食べれるのは後1ヶ月ほどですので、今のうちに食べにきてください。
2008年09月16日
すごく短かった夏も終わりで、毎日寒いねっていいながら仕事をする日が続きます。寒くなるとおいしくなるのがアンコウ。ブルターニュ半島から届く最高品質のプティ・バトーという代物です。こちらを真っ白な白身だけにして軽く塩を振り、水気を抜きます。そのあと、カダイフというモロッコ料理に出てくる細いパスタみたいなのをくるくる巻きにします。そして、フライパンに油をいれ焼きます。周りがかりっとすると、僕は120度のオーブンでゆっくり火を入れます。こうすることで、驚くほどしっとりとしてぷりっとした仕上がりになります。付け合せは、14種類の色々な野菜たち。ソースはブルターニュ産のオマールのソースです。もともとアンコウとオマール海老は最高の相性ですので、フランス料理らしいしっかりしたおいしいお魚料理の出来上がりです。
2008年09月14日
5月にも一度紹介した鳩料理ですが、久しぶりに写真を見てみるとずいぶん違うのでびっくりしました。今はよりシンプルに鳩自身の味を味わえるように作っています。また火の入れ方も、オーブンは120度にしてよりゆっくり、そしてうまみや肉汁が外に出ない工夫もします。そして熟成の技術も変えました。以前は香り油を作りマリネして1週間後に調理していましたが、今はフォアグラの香り脂の中で2~3週間という長期熟成により、素晴らしいうまみと香りが良くなるのに気づきました。そんなこんなで、今の鳩料理の完成。これはメニューの料理で、アラカルトの場合フォアグラのポワレが付きます。
2008年09月13日
つい最近の話ですが、僕のお店が雑誌に載りました。エクスプレスという雑誌と「vin de france」というワインの雑誌です。もともと、取材を受けるアポなどありませんでしたが、ワインのドメーヌが口をそろえておいしいレストランを僕の店と指名してくれたので、取材を受けることになりました。記事の内容は、昔のオーナーシェフだったキネー氏がシェフの座を若い日本人に渡したというような記事です。ようやくアルザスでも話題の一人として仲間に入れてもらえた気分です。うれしいですね。
2008年09月06日
お店が忙しいながらも、休日となるとリラックスのため、健康の為に山に出かけることがあります。今日は、今年初めてのキノコの王様、セップだけを発見しました。新しいカメラでの撮影で、素人の僕にはどこが変わったのかわかりませんが、今回の写真は新しいカメラです。カメラも、包丁と一緒で長く使うとその特徴や個性がわかりだんだん使いこなすことができるようになります。今はまだまだですが、少しずつうまくなりたいです。それから、このセップは僕の家用にシンプルにソテーで食べますが、お店では今週末よりセップとパルメザンチーズのリゾットとメーグルという非常においしい魚の料理を出します。その他、1ヶ月ほどですべての料理を変えてしまおうという大計画も進んでいます。新しい料理にご期待ください。
2008年09月04日
ずいぶん更新が遅れていますが、怠けているわけではなくとにかく忙しい。本来6~7人いる料理人が3人で回していますので、毎日仕込みに大忙し。でもこの忙しさが意外と楽しいのですが、ホームページの更新までたどり着けないのが残念です。しかも、最近新しい料理も作って出しているのですが、カメラのピントが合わない!!僕の操作が悪いのか、カメラが壊れたか知りませんが、とにかく2度ほど撮った写真がピンボケで、写真をとらなくなっています。もうすぐ、5年使い続けたカメラとさようならして、新しいカメラが届きます。すると、また皆様にリアルな僕の料理を紹介できますので、もうしばらくお待ちください。
2008年08月29日
ここ数年僕のお店で、そしてフェアで、出張料理ではやらせているフィンガーフード。フィンガーフードといってもいろいろありますが僕の場合、蓮華のようなスプーンに一つの完成された料理を出すことが、それにあたります。以前は、アプランティのフランス人が僕の確認を得て出していたのですが、彼がいなくなり、僕自身で作るようになったのですが、作り出すと面白くて、毎日変えながらクオリティーの高い物が出せるようになりました。たとえば今回の3枚の写真。1枚目は、小さく切りそろえたラタトゥイユとチョウザメの燻製とキャビア2枚目は、スコットランド産のキングサーモンの大トロのミ・キュイ、シブレットのクリームソース3枚目は、ホタテとサーモンと紫蘇のピカタ、カワカマスの卵と根セロリのピューレすべてそれぞれおいしく、またシャンパンやスパークリングワインにぴったりです。今日は、お客様でこのフィンガーフードをおかわりする人もいました。ちょっとしたこのようなフィンガーフードも、お客様がまた来てくれるという一つの要素になっているようです。
2008年08月03日
たまたま、朝起きて日本のニュースをインターネットで見ていると、「水よりもお湯の方が早く凍ることがある」という面白い記事に出会いました。http://www.asahi.com/national/update/0731/TKY200807310120.htmlもともと科学が大好きな僕は、このような記事が大好きですが、ふとお店のことを思い出しました。普通に考えると、冷たい水を凍らせるのと、温かい水を凍らせるのならどちらが早いかというと、冷たい水って答えますよね。でも、例外もありえると思います。では、僕の経験で実際に起こった出来事ですが、デザート用のアイスクリームを作っているとき、当然卵に火を入れるため82度まで熱を上げます。日本では、まず氷水で冷やしてからアイスクリーマーに入れるのですが、時間がなかったためそのまま熱いまま入れました。その結果、普段と変わらない時間でアイスが完成した(感覚では早く)。それから、出来上がりの容量がいつもより多い。そんなこんなで、タルトタタンのように失敗から見つけた新しいテクニックです。今では、いつも熱いものをアイスクリーマーで回しています。(同業者の方に一言。この方法だと、ソルベチエールに負担がかかるので1日2回までにしてください)料理と科学は結びつくものが多くあり、科学が大好きな僕は、いつも考えています。ただ、今回は、僕が遭遇した偶然が日本で話題になっていたので、思わず書いてみました。
2008年07月31日
ご無沙汰しております。久しぶりの更新です。前回、紹介したとおり厨房の3人が抜けて次に入ってくるのが9月ごろになりますので、今が勝負どころといいましょうか、地元のお客様がどんどん増えていっているので人が少なくなったからといってクオリティを下げるわけにはいきません。ですので、すごく仕事をしていました。こういう時期は、メニューを変えないほうが効率が上がるのですが、季節物を優先する僕の料理は、時期が終わるのも早い。前回紹介したモモのデザートはすでになくなりました。そこで、新しいデザートを考えたのがこのデザート。アルザス産フレッシュフランボワーズのタルト、ホワイトチョコレートのバラ風味のムースとゲヴュルツトラミネール風味の白桃のシャーベット。前回使っていたへらべったいモモはなくなり普通のモモしかなくなりました。しかしそれでは盛り付けでかっこ悪い!!!僕はそのままソルベ(シャーベット)にしてみました。タルトは昔一度やったことのあるすごくおいしい組み合わせ。フランボワーズとバラとホワイトチョコレート。まず、ホワイトチョコレートはバラなど華やかな香りのものとすごく合います。もともとミルクっぽいものは、香りがつけやすいですね。そこに、酸味の利いたフランボワーズを混ぜると、すごくバランスよくマリアージュしてくれます。このデザートは、たぶん1ヶ月ほどの限定ですので興味のある方はお早めに。
2008年07月30日
アルザスの今の店に来て、1年になります。1年間出し続けた料理は130品以上。ほとんどの料理を写真に収め、いい写真ばかりで、写真集を作ってみました。もともと作るきっかけになったのは、僕の研修生たちのためです。フランスは、アプランティという制度があり、学校に行きながらお店にも行き、現場と学校の両方で勉強するという制度があります。まだ、料理人になりきれていない子供たちを、出来るだけ早く現場に付くことが出来るという制度です。日本の場合は、学校で勉強して免許をもらい、いきなり就職ですが、社会の厳しさ、厨房の厳しさに負けてしまい、やめていく料理人がほとんどです。日本も、現場と学校を両立できる制度が出来れば、やめる料理人が少なくなると思います。さて、話は元に戻り、彼らアプランティは去年の今頃、僕と同じ時期にやってきて、1年間の契約を結びます。問題のほうが多い子供たちですが、1年いれば誰でもかわいくなるものです。そこで、僕としても彼らに何かプレゼントをしようと思い、写真集を作ることにしました。1年間、僕と一緒に作り上げてきた料理の数々は、とても美しいですし、一皿一皿それなりに一人ずつの思いでや、記憶があります。そんな料理を形で残し、またほかの店や家族、恋人に、「僕はこんな料理を作ったんだ」と胸張っていえる料理人であってほしい。そんな思いで作りました。2枚目の写真で、彼らに残したメッセージは「きっといつの日か、シュナンブールの日本人シェフと一緒に働いたことを誇りに思うだろう」という意味です。これは、彼らはまだ子供で素材や料理についてあまり知らない。でもいつか、2つ星レストランや3つ星レストランに行ったとき、シュナンブールで使っていた食材のレベルの高さ、作業一つ一つの丁寧さ、ソースにかける時間、いろんなことが、記憶としてよみがえり、僕の店で働いた1年間をきっと誇りに思ってくれるであろうという意味です。2行目のメッセージは「料理は、一人一人の個性を表現する一つの方法です」これは、日本人だからこんな盛り付けが出来る。フランス人だからこの味が出せる。というのは間違っている。誰にだって、努力と愛情と時間さえかければおいしい料理は作れる。作るということをその人自身を表現することだから、自信持ってがんばれという気持ちを込めました。残り3週間ほどで、すべての研修生はいなくなります。出て行くのは寂しいですが、また新しい顔が揃うのを考えると、とても楽しみです。
2008年07月07日
夏らしい30度を越える天気がたまにあるフランスですが、朝晩は15度以下というジャケットがないと寒く感じるフランスです。さて、夏になるとどうしてもさっぱりと油の少ない酸の効いた料理を好んで食べがちですが、それが続くとあきますね。そういうときに真夏にでもこってりしたものが食べたくなる。たとえば、真夏の焼肉や鍋なんかは、暑いからフーフーいって食べてそれでおいしいのです。今回の料理は、フーフーの必要はありませんが、こってり料理。リドヴォーとモリーユのフリカッセと森の野生のキノコ添え、トリュフ風味の軽いソースリドヴォーは丁寧に仕事をして、モリーユとポルト酒とブイヨンで一緒に軽いクリームに込みにして、セップとジロールというアルザスで取れたキノコを添えました。上に載っている花は、ブーラッシュという食べられる薬草で、少し甘味があり味のポイントになる花です。予想以上に売れているこの料理ですが、残り40人前ほど。早い者勝ちです。
2008年07月06日
またまた新しい料理です。今回は真鱈を使った料理。日本でも良く見かける食材ですが、今回はノルウェー産の10キロ級の最高級品です。この写真は試食用で身の薄い部分を使いましたが、普段は3センチ以上の分厚さ。まだらは、水分が非常に多い魚なのでさばいたあと塩でしめます。僕は3時間ほど塩でしめた後、調理にかかります。ただ、ここまで分厚いと中まで火を入れるのが難しい。僕の場合、皮目をかりっと焼き上げ120度のオーブンで10分前後。中心温度は43度程度に仕上げると、すごくしっとり仕上がります。また、低温調理なので、温度によるたんぱく質の縮みが少ないため、やわらかくぷリぷリ。表現に困ります。付け合せは、コックというアサリに似た貝と野菜です。ソースは、レモン風味のムール貝のソース。お魚の上に乗っているのは、ズッキーニの花のテンプラ。これから夏にかけて、売れそうな料理です。
2008年07月05日
へらべったいモモのゲヴェルツトラミネール風味と軽いクリームブリュレのソフトクリーム仕立て、ホワイトチョコレートのシャーベットこの変わった形のモモですが、普通のモモに比べ、甘くて香りがとてもいいです。そして、種は驚くほど小さい。僕のお気に入りの食材です。このモモをアルザスのワインゲヴェルツトラミネールとイチゴとフランボワーズで軽くポッシェしてみました。そこに、小さなソフトクリーム上のクリームブリュレ。クリームブリュレを作り、一回ミキサーで完全に液状にして、サイホンというホイップクリームを作る機械に入れます。それにより、空気が入り軽いクリームブリュレの出来上がり。トッピングにカリカリのキャラメルをかけるのがポイントです。シャーベットは、ホワイトチョコレート。ベイリーズというクリームのリキュールを入れて、より大人の味に仕上げています。ソースは、モモとキャラメルとショウガ。小さくきったショウガが、たまに口の中にはじけて、いい刺激を与えてくれます。これから夏に向けての完成度の高いデザート。大満足です。
2008年06月22日
サマートリュフでもう一皿。グリーンピースの冷たいスープとラングスティーヌのカダイフ巻き、サマートリュフ風味グリーンピースは、シンプルに野菜のブイヨンとグリーンピースで仕上げ、グリーンピースの味を生かすようにしました。ラングスティーヌは、フライパンで揚げるように焼き上げ、熱々のまま上にトリュフを振り掛けると、その香りがふわっとなるように考えました。先日、アルザスで有名な、マルセルダイスさんが来て、彼のショフヴェグというワインとぴったりですよと、お勧めすると、本当によくあったみたいで、こんなに最高のマリアージュは、初めてだと何度も言っていました。日本にいたとき、すごく雲の上の方だと思っていた人が、最近、次々に僕の料理を食べて喜んでもらえるのは本当にうれしいです。
2008年06月21日
以前紹介したブレスの鶏ですが、最終的にこんな料理にしましたブレスの鶏とフォアグラとセップのバリエーション、サマートリュフ風味ブレスの鶏はシンプルにローストして、セップはコンフィ。フォアグラはかりっとポワレして、サマートリュフを載せるだけ。ソースは、ブレスの鶏のブイヨンに生クリームとトリュフのジュースを入れたもの。シンプルでありながら、素材そのものの味が100%生きた料理です。
2008年06月20日
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