まいかのあーだこーだ

まいかのあーだこーだ

2006.09.19
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NHKの『純情きらリ』は、


浅野妙子が書く脚本の、圧倒的なエピソードの「量」。
宮崎あおいちゃんの、ある意味「剛腕」ともいえる存在感。
福士誠治くんの起用を巧みに使った視聴者戦術。
その他、
いくつか成功要因があると思いますが、

『スタパ』やら何やら、
NHKも総力を挙げて、成功にこぎつけた感がある。


今後の朝ドラ製作にとっても大きなヒントになるとは思うけど、
現実には、今回と同じような条件をそのつど整えるのは困難。
むしろ、それゆえに、
朝ドラを製作することの難しさを痛感させる結果じゃないかと思う。



おそらく浅野妙子は、今回の作品で、
低迷する朝ドラの「視聴率回復」を最大の目標にしたんだと思う。
そして、それは、見事に成功しました。

もともと彼女は、
そういうタイプの脚本家だったと思うけど、
今回は、その側面が、よりハッキリと出てた。

NHKの「朝ドラ」という枠の性質にも、完璧にハマった。

わたし自身、今回の作品で、
はじめて「NHK朝ドラ」という枠の特殊性を認識しました。

それから、
浅野妙子が「宮崎あおい」という人を好んで起用する理由も、


毎日15分の枠を、
確実に翌日へとつないでいく圧倒的なエピソードの量。
そして、物語の分かり易さ。

まず何よりも、このことが、
多くの視聴者を呑み込むために必要な最大の条件だったと思う。

たとえば、ネット上では、
このドラマの大量の「アンチ」ファンが生まれました。
しかも、そうしたアンチが、最後まで消えなかった。

アンチの人たちも、
結局、最後までこのドラマを見ることを止めなかったし、
最後まで、ドラマの内容について、毎日毎日喋りつづけた。

その事実は、
このドラマがいかに多くの視聴者にうったえる「分り易さ」を備えているか、
それを逆説的に証してたと思う。

浅野妙子は、ほぼ意図的にそれをやったと思うけど、
つまり、このドラマは、だれでも毎日毎日文句を言い続けられるような、
そういう分り易さをもってる。

いい換えれば、「万人向け」に作られてるってこと。

日本中の朝のお茶の間と、
熱心なアンチファンをも呑み込みながら、
大量のエピソードを、半年にわたって見せ続け、この物語を経験させる。

それが、NHK朝ドラの本来の課題であり、
この作品の当初からの最大の目標だったとすれば、
その目論見は、完全に達成されたといって良いと思う。



宮崎あおいちゃんのヒロインには、
これまでになかった、いくつかの特徴があると思うけど、
そのひとつは、
このヒロインが、視聴者の「共感」を必要としなかったことです。

これは、もしかしたら、
浅野脚本のすべての主演女優に共通して言えることかもしれません。

『大奥』を思い返してみると、
菅野美穂も、瀬戸朝香も、内山理名も、
とくに視聴者の「共感」を誘うタイプの女優とは思えなかったし、
彼女たちの演じるキャラも、
そういうものを必要としていなかった気がする。

もしかしたら、
人々の「共感」を呼ぶキャラを中心に据えてしまうと、
そのキャラを中心に、
物語が「単線的」になりすぎるきらいがあるのかもしれません。

それを避けるために、浅野脚本の場合、
視聴者の安易な「共感」をそれとなく拒みつつ、
とにもかくにも、圧倒的な量の「物語」をみせつけていく。
そういう特徴があるんじゃないかと思いました。

浅野妙子が好んで宮崎あおいちゃんを起用することも、
きっと、そういうことに関係があると思います。


そういう意味で、
宮崎あおいちゃん演じるヒロインが、
このドラマの圧倒的なエピソードを見せ続けるために、
物語の中央で見せつづけた存在感は、
いわゆる「共感」とはまったく別のものだったと思います。

そうだとすれば、
この目論見も成功だったと思うし、

慣例に逆らった今回のヒロインの起用は、
(今回は間違いなく浅野妙子側の要請だったと思うけど、)
今後のヒロインを考える上でひとつの参考にしなきゃならない。



『純キラ』がなぜ成功したか、理由はもっとあると思います。
それについては、また後日。


【お知らせ】
現在、​ 音楽惑星さん ​にお邪魔して、「斉藤由貴」問題について考えています。






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最終更新日  2020.09.19 12:12:27


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