まいかのあーだこーだ

まいかのあーだこーだ

2020.03.20
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「恋つづ」終盤の脚本が不満だったので、
脳内変換で、9話~10話を勝手に捏造します… (すこし百合っぽいです)










あるとき七瀬は、
天堂の部屋のなかで指輪を見つけました。
そこには「Kairi & Minori」の文字。
かつて天堂が、みのりに渡すつもりだった指輪でした。

七瀬はそれを見たとき、
以前、来生が話してくれた《魔王の物語》を思い出しました。

- 勇者は、魔王の指輪を奪わなければならない。
- そうしなければ、世界は闇に覆われたままなんだ。


あれは、来生の作り話だったのでしょうか?



そのころ、
みおりは、天堂にあらためて想いを告げていました。
しかし、天堂は、
「あなたが見ているのは僕じゃない。
 僕のなかにお姉さんを見ようとしてるだけです。
 あなたはもう、お姉さんの記憶から自由になったほうがいい」
そう言って、みおりを突き放すのでした。

みおりは悲しみに暮れるなかで、
生前に姉が書き残したノートを見つけました。
そこには、
「浬がよい医者になりますように。彼がずっと笑顔でいますように」
と書かれていました。

それを見たとき、みおりは、
天堂にふさわしいのは、自分ではなく七瀬なのだ、
と思い至るのでした。



ところが、その七瀬は、
みおりに対して意外なことを言いました。
「天堂先生の机の引き出しには、今もまだ、
 みのりさんに渡すはずだった指輪が入ってます。
 先生は、みのりさんとの思い出を、ずっと消せずにいるんです。」

その夜、
みおりは天堂の部屋を訪れて、こう言いました。
「姉の呪縛から自由になれないのは、天堂先生のほうじゃないですか?」
そう言われて絶句する天堂を置いて、
みおりは机の中から指輪を取り出すと、
「この指輪は私が引き取ります。
 …佐倉さんのためにも。」
と言って去っていきました。



翌日、みおりは、
その指輪を七瀬に見せて言いました。
「この指輪は、私があずかりました。
 天堂先生を笑顔にさせられるのは、あなたしかいない。
 彼を姉の呪縛から救ってあげてください。」
すると、七瀬はこんなことを言いました。
「みおりさんは、それでいいんですか?
 みおりさんも、お姉さんを思う悲しみから自由になってください!
 もっと自分のために生きてください!」
みおりはその言葉にうろたえましたが、七瀬はさらに続けました。
「その指輪は私が引き受けます。
 先生の苦しみも悲しい記憶も、ぜんぶ私が受け止めたいんです」

七瀬は、指輪を自分の部屋に持ち帰ると、
「どうか先生を幸せにしてあげてください」
と祈りながら、猫様のお守りの隣にそれを置きました。



しかし、その数日後、七瀬は事故に遭いました。
七瀬が助けた子供は無事だったものの、
彼女は頭を打って意識を失ってしまいました。

天堂は、必死の救命処置のあと、
眠ったままの七瀬にむかって泣きながら叫びました。
「好きだ。お前のすべてが好きなんだ…。
 ひたむきなところも、めげないところも、
 きらめく笑顔も、ぜんぶ好きなんだ!」
それを外で聞いていた来生はひとり呟きました。
「勇者はかならず蘇る。魔王を闇から救うために…」

七瀬は昏睡状態の中で、みのりの幻に出会いました。
七瀬が指輪を差し出すと、みのりは嬉しそうに指にはめ、
幸せな光のなかへ立ち去っていきました。

そして、来生が予言したとおり、
七瀬は3日目の朝に目を覚ましました。
そして天堂と口づけを交わし、こう言いました。
「私はすべてを受け止めます。
 天堂先生の悲しい思い出も、苦しみもすべて」



その後、
七瀬と天堂は、とても幸せな日々を過ごしました。
あるときは朝食の卵を焼きながら、
あるときはジェンガで遊びながら口づけをしました。

しかし、あるとき、
病院で看護留学の話がもちあがりました。
七瀬は興味を抱きましたが、
天堂から離れてしまうことをためらいました。
それでも、日々、
自分の看護師としての力不足を実感するにつれ、
やはり留学への思いは強まっていくのでした。

そんな七瀬の気持ちを察した天堂は、
神社に参拝した帰り際、七瀬に留学することを勧めました。
「俺はここで待ってる。
 だから、いい看護師になって戻って来い」
天堂は七瀬を抱きしめました。

…こうして七瀬の留学が決まりました。



最後の休日の夜、天堂に急患が入ったため、
約束していたディナーは出来なくなりました。

レストランからひとり帰る雨の中で、
これからの寂しい日々を思って泣き崩れる七瀬でしたが、
そこに天堂の傘が差しかかりました。
思わず天堂にしがみついた七瀬は泣き叫びました。
「先生は、寂しくないんですか?!」
すると、天堂は、
「俺だって寂しい!…でも、行くんだ、七瀬!行け!!」
そう強く叫んで、
それからおもむろに、
「帰ってきたら俺と結婚しろ…」と言って口づけました。



旅立ちの日、
七瀬が時間を勘違いしたため、
出発間際の空港へ駆け込んだ天堂。

「これをお前にやる」と言って取り出したのは、
七瀬のために作った真新しい指輪でした。
刻まれたばかりの「Kairi & Nanase」の文字がありました。
それが七瀬の指にはめられたとき、
暗闇が消えてまばゆい光が差し、
世界が鮮やかな色彩で覆われていくように思われました。

「お前、向こうで浮気するなよ…」と天堂が言うと、
七瀬は、彼の襟をグッとつかんで、
「ばーかっ!」
と言って笑い、爪先立ちになって口づけました。



(おわり)





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最終更新日  2020.09.19 19:00:26


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