まいかのあーだこーだ

まいかのあーだこーだ

2021.08.18
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遅ればせながら、先週のプレバト。
お題は「打ち上げ花火」。

今回も個人的な感想です。



ABC-Z河合。
制服のキスの余韻や 揚花火
制服のキス 揚花火いまひらく
(添削後)

やりたいことは分かります。

でも、
季語を立てるという点では添削のほうが妥当かな。




花火果て 電車空く間のデンキブラン


下五の「デンキブラン」そのものが時間の表現を兼ねていて、
その使い方が上手い。

お酒のことはよく知らないけど、
店を出るまで、およそ1時間ってところでしょうか?

ウィキペディアによれば、
これは浅草発祥のカクテルだそうで、
そう考えると、隅田川花火という具体的な土地柄も見えてくる。

しかも、
ビールと交互に冷やして飲んだりするらしいので、
季語ではないものの、これ自体が夏の風物かもしれません。

一方で、中七の表現は、

はたしてこの言い方で正しいのかどうかが怪しい。

厳密にいえば、
「空くまでの間の一杯」を、
「空く間の一杯」と略すのは間違いで、
「空くまで一杯」と略すのが正しいのでは?


「客が途切れた合間の一休み」という意味になるはずで、
「混雑が終わるまでの一休み」という意味にはならないはずです。



松岡充。

大花火 五臓六腑を鷲掴む
(添削後)

下五の「鷲掴む」という言い方に違和感はあるのだけど、
調べてみたら、プロの小説家などでも使用例はあるらしい。

まあ、描写の凄みを出すために、
あえて違和感のある表現を選んでるのかもしれませんね。



中田喜子。
まなざしや 句読点なき恋花火 
まなざしや 句読点なき恋、花火
(添削後)

そもそも「句読点なき」という比喩は効果的でしょうか?

若さゆえの混乱や疾走感を表現したのかもしれないけど、
わたしは意味不明で、なおかつクサい比喩だと思う。

ちなみにヒゲダンの『l Love…』にも、
「句読点のない想い」という歌詞があって、
未整理なゴチャゴチャの感情のことだと思うけど、
さほど良い歌詞だとは思いません(笑)。

しかも「句読点なき」というのは、
言葉が途切れないほどの《饒舌》とも解釈できるので、
上五の「まなざし」を強調して描きたいのであれば、
かえって、その饒舌さが邪魔になるのでは?

ついでに、

下五の「恋花火」ってのも、
なんだか俗っぽい表現に思えて、
もしや井上陽水の「♪八月は夢花火~」みたいに、
歌詞に「恋花火」なんて出てくる曲もあるのでは?
と調べてみたら、

なんと曲名だけで10個以上も出てきました(笑)。



千原ジュニア。
手花火の火に手花火と手花火を


これを《家族》の句と見るか、
それとも《仲良し3人組》の句と見るかで、
評価が変わってくるのかもしれません。

「父」から「妻と子」へと見れば、
家族内のヒエラルキーがそのまま季語の比重の差になるけど、

わたしは、対等な友人どうしの句と思ったので、
3つの「花火」も同等な季重なりに見えてしまいました。



東国原英夫。
音なき音や 八月の遠花火 


実際の「音にならない音」の描写とも読めるけれど、
やはり、どこかしら比喩的な意味合いも感じさせます。

たとえば「声なき声」といえば、
いまや、ほとんど慣用句のように使われていて、
すなわち「声にならない人々の意思」を意味するのですが、

その類推でいくと、
「音もなく近づく気配」とか「あの日の幻聴」とか、
そんな意味合いになるでしょうか。

砂田麻美の『音のない花火』を踏まえてる可能性もあります。



梅沢富美男。
火を纏う遠州男児 筒花火 
火まみれの遠州男児 筒花火
(添削後)

まるで着物でも「纏う」ようなエレガントな言い方は、
この句の男っぽい場面にはふさわしくないってことで、

わたしは「火をかぶる」がいいかなと思ったけど、
とくに先生の添削で異論はありません。

しかし、Twitterの議論を見てみたら、
「着物でも纏うように平然と火をかぶる姿」が、
かえって凄みがあるという意見もあって、
それもたしかに一理あると思う。

ちなみに、
江戸時代の町火消が用いた旗印を「纏 (まとい) 」と呼ぶそうですが、
これは戦国時代の「的率 (まとい) 」が語源だそうで、
それ自体には当て字としての意味しかないようです。





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最終更新日  2021.08.18 11:02:55


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