May 20, 2022
以前、萌音がJ-WAVEでVetiverを紹介していたことがあって、「こんなオッサンみたいな渋い音楽を聴くの?!」と驚いたんです。そういうフォーク的な嗜好が、藤原さくらとか、ハンバートハンバートみたいな音楽にも結びつくんだとは思う。
ただ、Vetiverのような本場のフォークやカントリーの土臭さに比べて、最近の日本のフォーク系音楽は、どうしてもオシャレで小綺麗で、ゆる~い「癒し系」みたいになっちゃうのよね。そっちのほうが日本ではウケるから。
つじあやのみたいな。
そうそう(笑)。脱力系みたいになっちゃうわけよ。それがちょっとね、物足りないというか。まあ、バンジョーとかウクレレみたいなサウンドが、女の子が聞いても可愛いという感覚は分かるんだけど。
米国のフォークやカントリーにも、やっぱり両面があるかもしれません。ブルーグラスに象徴されるアパラチア系の音楽は、やはり昔懐かしい「癒し系音楽」として消費されてると思いますよ。
それに対して、それこそ50年代にハリー・スミスが紹介したようなフォークソングというのは、かなり「いかがわしい音楽」だったわけですね。酔っ払いの歌とか、人殺しの歌とか。それが、その後のアシッドフォークやサイケロックに直結していく。
ボブ・ディランの音楽もそれを基礎にしていたし、たとえばハンク・ウィリアムスの孫とかデヴェンドラ・バンハートとかは、そういう系統を現在に引いている。
うん。
ちなみにハンバートハンバートって、なんかデヴェンドラ・バンハートの影響みたいに勘違いしてたので、もうちょっとハードな音楽かと思ったら、ぜんぜん違いましたね。字面がちょっと似てるだけでした(笑)。
この名前はナボコフの「ロリータ」が由来だそうです。もともとはフランス風のロリータポップをやろうとしてたらしい。
だから癒し系になっちゃうんですね。
でも、佐藤良成という人は、もともとボブ・ディランとかザ・バンドとかをやってたらしい。だから、きっと土臭い部分もあるんだとは思う。ただ、日本でやるとなると、やっぱり小綺麗な「癒し系音楽」のほうがいいんでしょうね。
日本にだって60年代にはアングラフォークがあったんですけどねえ。フォークルにしろ、高田渡にしろ、ほとんど酔っ払いみたいなアシッドフォークだったわけです。
たしかにね。それが悪しきニューミュージックに追いやられたのね(笑)。
日本でアシッドフォークやサイケロックをずっとやり続けてきたのは、あがた森魚とかムーンライダーズですね。一般にはニューウェイヴと呼ばれますが、実質的にいえば60年代のアングラの流れです。アングラフォークが退潮した後も、けっしてメジャーではないけど、そういう流れはありました。80年代でいえば、巻上公一とか、じゃがたらとか。細野さんもそういうアングラ系の音楽に一枚噛んでいた。たま (さよなら人類) もそうかもしれませんし、椎名林檎にもそういう面はあるでしょう。
そういうアングラ系の流れって、やっぱり寺山修司あたりが起点なんじゃないかな。フォークルも寺山の曲をやってたし。
そうですね。天井桟敷は、ウォーホルとヴェルヴェットアンダーグラウンドの関係を意識してたはずだし、その後のパンク・ニューウェイヴの流れが、JAシーザーとかの舞台音楽にはじまっているところはあって、だから細野さん以降の「日本語派」だけでなく、内田裕也以降の「英語派」のほうにもそういう流れがありますよね。
ケラとかもアングラですよね。演劇系パンクみたいな。クドカンも。
そうですね。あとは、板倉文とか谷山さんとか、由貴さんの周辺にいたプログレ・ニューウェイヴ系の人たちもアングラからの流れといえるでしょうね。
ニューウェイヴといえば、上田知華が亡くなっていたそうです。去年のクリスマスに由貴ちゃんは「金色の夜」を歌ったみたいだけど、そのときにはすでに亡くなってたのよね。
それと、さっきの60年代のアングラフォークで思い出したけど、カネコアヤノが高田渡をカバーしたりしてますね。それから工藤祐次郎という、まるで高田渡みたいなことをやってる人もいる。このへんも、ぜんぶ萌歌経由で知ったのだけど(笑)。
そっちのほうが過激で面白そうですね。
わたしも、そっちのほうがフォークとしては面白いなあ、と思うわけ。べつに萌音萌歌にまで「そういうことやれ」とは思わないけど。
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