まいかのあーだこーだ

まいかのあーだこーだ

2022.11.21
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朝ドラ「舞いあがれ!」。
第7週は、けっこう大事な内容でした。



たまたま先週も同じことを書いたのだけど、

この脚本家は、過去の作品を見るかぎり、
あまりに真面目すぎて、
ドラマ内では解決しえない難しいテーマに取り組んで、
七転八倒した挙句、伏線の回収もままならずに、
破綻しかねないような物語を書いてしまう人だと思う。

今回の朝ドラは、

第7週の内容には、この脚本家の特質が現れはじめている。

やっぱり、かなり困難なテーマに向き合おうとしています。
その結果、さまざまなリスクを孕んでいるように見える。
今回の脚本が3人体制になったのも、
きっとそのことに関係があるんじゃないかと推察します。



親が「子供を思いやる」というのは、
なるべく子供が失敗しないように先回りして心配する…
みたいなことなのだけれど、

その反対に、
親が「子供の自主性を尊重する」ってのは、


そこまでを覚悟しなければ、
ほんとうの意味で子供の自主性を尊重することはできない。




さすがに、今回の朝ドラでは、
ヒロイン自身の人生が失敗することはないと思いますが、



たとえば、
看護師になる久留美の人生は厳しいものになるかもしれません。
貴司の人生も救われないまま彷徨いつづけるかもしれません。
ヒロインの兄の人生も、どこかで転落するかもしれません。

久留美の両親の人生も、
最後まで救われないまま終わるかもしれませんし、
古本屋の人生も、
一般的な意味での成功とは無縁なまま、
よりいっそうシビアなものになるかもしれない。

この物語の題材には、そういうリスクがあります。



五島を捨てて駆け落ちしてきた母の人生は、
いまのところは上手くいっていますが、

はたして父の事業が今後も順調に行くとはかぎらない。
どこかで惨憺たる失敗や転落をするかもしれません。

そうなれば、
祖母に逆らって故郷を捨ててきた母の選択は、
結果的に間違っていた…ということにもなります。
この物語には、そういうリスクがある。

親の判断がつねに正しいわけではないけれど、
かならずしも子供の判断が正しいわけでもない。
そこに普遍的な《正解》などありえません。
どの選択が正しいかなんて、そんなことは誰にも分からない。



わたしは、今回のドラマが、
そのような困難なテーマを選んだ結果、
伏線を回収できないまま破綻する危険性もあると思います。

すべての人物を救いきれないままに終わるかもしれない。

しかし、かりにそうなるとしても、
それをただちに「作品の失敗」だと断じるつもりはない。

むしろ、
そのくらいの覚悟をもって、
あえて困難なテーマにいどむ姿勢のほうが正しいと思う。
すべての登場人物に救いを与えることが、
かならずしもドラマの成功を意味するわけではありません。



この物語が「サクセスストーリー」だと信じている視聴者にとっては、
失敗に終わる人生など受け入れがたいに違いありませんが、
それはあくまで視聴者の側のキャパの問題であって、

朝ドラの脚本家に課せられた仕事とは、
べつに視聴者のキャパの範囲内に収めることではないし、
必要があれば、むしろそれを超えていかなければならない。

例の「ちむどんどん反省会」の結果、
SNSの評判こそが絶対的正義と勘違いした視聴者も多いけれど、
もし本当にそうなら、
朝ドラはたんなる「視聴率主義」に陥らざるをえません。

視聴者のキャパを超えないように、
物語を穏便に丸く収めるだけの脚本を書いてたら、
いつまでたっても予定調和的なフィクションしか出来なくなる。



かりに、脚本家自身の選んだテーマが、
ドラマのなかでは解決しえないほどに困難なものなら、

たとえ多くの視聴者にとって、
それが受け入れがたい展開に終始して、
はげしい賛否両論やSNSの炎上を巻き起こすとしても、
仕方のないことですよね。

あくまでも脚本家は、偽りなく、
選んだテーマを突き詰めていくしかないと思います。

第7週を見るかぎり、
この物語には、そういうリスクがあると感じました。


追記:
第8週から脚本家が嶋田うれ葉に代わりました。
今後、桑原亮子が復帰するのかどうか分かりませんが、
序盤で提示したテーマがあっさり放棄される可能性もあります。
だとすれば、そっちほうがはるかに「作品の失敗」だと思う。
テーマを突き詰めたすえに破綻するのならともかく、
テーマを安易に放棄するのは、作品そのものを捨てるのに等しい。
とくに久留美や貴司の物語については、このまま中途半端にせず、
きちんと桑原涼子が復帰して書くべきだと思います。







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最終更新日  2024.06.20 17:27:49


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