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「日本」に限らず、国というアイデンティティの基本は言語でもある、と思う。人間同士、互いを理解し尊重し合う基本は言語であって、これが不十分であるとコミュニケーションに齟齬が生じたり、ときに誤解などから諍いに発展するなどということもある。さて、「自殺官僚の手記」の感想を述べた安倍首相の言葉は、正しい日本語として述べているようだが、間違った使い方をしている。「財務省で麻生(太郎)大臣の下で事実を徹底的に明らかにしたが、改ざんは二度とあってはならず、今後もしっかりと適正に対応していく」まず、この事件を語るべき核心部分には自分たち夫婦がいる。自分たちが関わったかどうかが問わた事件で「事実を徹底的に明らかにした」と言う言葉に、納得できた「日本人」がどれほどいたのだろうか。「しっかりと適正に対応」したという言葉に、納得できた「日本人」がどれほどいたのだろうか。なぜ「改ざん」が必要となり、したのか。不本意な「改ざん」を指示された人間がなぜ死に追いやられるほど“嫌な仕事をせざるをえなかったか”。当事者だから、「解明して明らかに」することはできたはずだが、まるで他人事のようだ。つまり、「日本語」を使えていない。あるいは、わざと間違えている。ここでも事件当時の“改ざん”と同じことをしている。これが「日本語」をつかったと言えるのか。これに近いことは、国会でも蔓延している。直近では、森法務大臣の答弁がいい例だ。こうした考え方に異論のある人もいるだろう。それでも首相の言葉に沿って援護する人もいることは仕方がないとは思う。たとえば、どんなに陰湿で冷酷な事件を起こした犯人だとしても、その肉親にとっては「そんな筈はない。あんな事件を起こすような子ではない。私は信じている」とかばいだてをするだろう。しかし、心のなかでは葛藤に苦しみ、「どうか、何かの間違いか悪夢であって欲しい」と願うことだろう。それが、近い者の心情ではなかろうか。安倍政権が、4割近い支持率を維持しているのも、こんな肉親に近い心優しい人々に支えられているからだろう。しかし先の例でいえば、“肉親の情のような行き過ぎた”優しさゆえに“普通だった人”を凶悪犯にまで育ててしまった一端となっていることを、しっかり自覚して欲しいものだ。伊那市ますみヶ丘(2019.4)
2020.03.19
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Tさんは70歳となる。そのTさんが、就労支援事業所の信州こころんから、市内のリハビリ介護施設に移ることになり、その旨を通所する利用者さんたちの前で話し、Tさんに挨拶を促した。「……ここんろでは本当によくしてもらって、…皆さんにもお世話になりました……。」と語りだしたところで、言葉につまり、突然涙をぬぐいだした。それまでのTさんを知る人は、その意外な様子に言葉を失った。Tさんが、中程度の脳梗塞の後遺症でリハビリをしていた病院の紹介で、こころんに通いだしたの60代の中頃、問題児ならぬ問題爺だった。酒好き独身のTさんだったが、飲みに行ったフィリッピンパブで知り合った女性と結婚し15年余、高校生を先頭に三人の子供との五人暮らし。しかし、生活力の乏しいTさん一家を支えていたのは、“裕福なはずの日本人”と結婚したフィリッピーナの奥さんのパート収入だった。中年期となった現在は、非正規ながらスーパーで働いている。問題爺というのは、病院側からも伝えられていたが、病院の若い看護師たちへのセクハラがヒドく、Tさんに近づくとお尻を触られたり手を握られたりと戦々恐々だったとのこと。案の定、こころんに来てからも、当初からそういう行為に対して注意したにもかかわらず、何気なく若めの利用者さんに触れたり、送迎車の揺れを利用してもたれかかったりと、苦情の連続だった。Tさんにとっては、触るのは一種のコミュニケーションといったていだった。その都度、かなり強く指導したり、「他人の嫌がることはしない」と誓約させ、早く自活退所できるようにとさまざな手続きをとり、ようやく家族の生活の目処だけは立つように支援できた。そのTさんに、ここ1、2年パーキンソン病的症状が見られるようになり、動きもぎこちなく悪く、大人しくなり、あの悪癖もまったく見られなくなった。いつも部屋の日溜まりで静かに過ごし、話しかけるとニコニコ微笑んでいる。信州こころんは“就労支援”施設だから、自立を目指さないかぎり、働けない状態になると“介護”施設のほうに担当してもらうことになる。それで移動ということになったのだ。Tさんの挨拶の涙をみて、思わずもらい泣きするように涙を拭っている人もいる。その女性もかつてTさんに触られると訴えたひとりだ。現在では70歳となってもまだまだ働き盛りだから、Tさんの介護への移行は早すぎるのではあるが、歩行にも困難をきたし始めていては、無理に作業をするよりしっかりリハビリなどをして、再起を目指したほうがいい。今となっては、Tさんと一家の幸運を祈るしかないのであるが、今年は卒業の歳となる高校生もコロナ騒動のなかでの慌ただしい卒業式で、淋しい門出となった。※(例によって、この記事には脚色があり、特定の人物こととは違ます。したがって、内容についての質問などにはお答え致しません)
2020.03.04
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