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2002年08月08日
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 二週間ぶりの休み。先週の木曜日の講義を最後に大学、専門学校での講義は九月(大学は十月)まで休みに入ったがカウンセリングなどの仕事が続いていた。京都駅まで出て、恐れおののいた。人があまりに多いのである。それに焼け焦げるのではないかと思うほどの暑さ。意気込みほどのことはできず、本屋やパソコンショップをうろうろと。

 花火大会の日で帰りの電車は満員。駅には臨時改札口まであって年に一度遠くからもたくさんの人が集まる。僕はといえば花火の打ち上げられる川へと向かう人の流れに逆らって(僕の人生みたいだ)自宅に向かった。帰っても誰もいなかった。前の家が川のすぐ近くにあるものだからそこを拠点に毎年花火を楽しむのだが、僕は今年も行かなかった。マンションのカウンセリング室でもある僕の部屋の窓を開けるとちょうどいつも仕事をしている位置から花火が見えるからである。少し離れているからその分迫力を欠くが、それでも花火が始まるとマンションの部屋から人が出てきて花火を見る。小さな子どもたちは(いつもはどこにいるのだろう)花火の音に驚いて泣き叫んでいた。

 さて、昨日の続きだが…

 小説家の池澤夏樹はこのようにいっている。古来、哲学者は、幸福とは何かを論じてきた、しかし、哲学者自身は少しも幸福ではなかった、と。たしかに残されている哲学者の肖像画や写真を見ると、哲学者は池澤が指摘するようにあまり幸福そうには見えない。幸福論が現実に人を幸福にしてこなかったからこそ、哲学者たちはこの重要なテーマを古代からずっと引き継いできたのだということもできる。

 池澤夏樹が初めて翻訳したジェラルド・ダレルの『虫とけものと家族たち』(集英社文庫、Gerald Durrell, My family and other stories, Penguin Books)はイギリスからギリシアのコルフ島に移り住んだダレル家の物語。池澤が芥川賞を取るよりもずいぶん前の作品であるが、訳文が優れていたのでこの訳者はきっと後に名を成すであろうと思っていたら実際そうなった。ダレルの話はこんなふうに生きれば人は幸福になれるということを具体的に教えてくれる。

 池澤がいうように哲学者は幸福そうに見えず、また昨日引いた池田晶子がいうように「史上あまたの哲学者たちがこれ(幸福論)に挑戦して、あえなく敗退」したにもかかわらず、一九八九年にたまたま聴く機会のあったアリゾナ大学のオスカー・クリステンセンの講演は私にとって衝撃的だった。クリステンセンはいとも簡単なことであるかのように「今すぐ幸福になれる」と断言したのである。

 クリステンセンはアドラー心理学の流れを汲む心理学者である。今日、日本では「アドラー心理学」と、創始者であるオーストリアの精神科医のアルフレッド・アドラー(Alfred Adler)の名前を冠して呼ばれるこの心理学との出会いはその後の私の人生を大きく変えることになった。

 その日、クリステンセンは、「今日私の話を聴いて幸福になれる人は今すぐにこの瞬間に幸福になれる。しかし、そうでない人はこれから先も決して幸福になることはないだろう」といいきった。哲学を学んでいた私は驚かないわけにはいかなかった。幸福とは何かは哲学の重要なテーマの一つであるが、私がその頃までに知っていた哲学者でこれほどはっきりとしたいい方をする人はいなかったからである。

 その日から「幸福な哲学者」になりたい、と思った。






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最終更新日  2002年08月08日 01時59分41秒
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