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過裴舍人故居 劉長卿慘慘天寒獨掩(一作閉)■(「戸」のしたに「炯」のみぎ。ケイ)、紛紛黄葉滿(一作落)空庭。孤墳何處依山木、百口無家學(一作汎)水萍。籬花猶及重陽發、鄰笛那堪落日聽。書幌無人長不捲、秋來芳草自為螢。【韻字】■(ケイ)・庭・萍・聴・蛍(平声、青韻)。【訓読文】 裴舍人の故居に過ぎる。 劉長卿慘慘として天寒く独り■(ケイ)を掩ふ(一に「閉」に作る)、紛紛として黄葉空庭に満つ(一に「落」に作る)。孤墳何れの処にか山木に依らん、百口家無くして水萍を学ぶ(一に「汎」に作る)。籬花猶ほ重陽に及びて発(ひら)く、隣笛那ぞ落日に聴くに堪へん。書幌人無くして長に捲かず、秋来たりて芳草自から蛍と為る。【注】○過 立ち寄る。○裴舍人 未詳。「舎人」は、中書舍人。○故居 旧宅。○慘慘 薄暗いようす。○天 そら。○■(ケイ) かんぬき。また、出入り口。○紛紛 乱れ散るようす。○黄葉 秋になって黄色く色づいた木々の葉。○空庭 ひとけが無くひっそりと静かな庭。○墳 土を高く盛った墓。ここでは裴舍人の墓であろう。○何処 どこ。○百口 一家全員。一族全部。○水萍 浮き草。○籬 まがき。陶淵明《飲酒》「菊を採る東籬の下、悠然として南山を見る」。○重陽 旧暦九月九日。○発 花を開く。○鄰笛 向秀《思旧賦》「隣人に笛を吹く者有り。声を発すること寥亮たり」。○那堪 どうして堪えられよう、いや、たえられない。反語。○書幌 書斎のカーテン、あるいは簾のことか。○長 長い間。○捲 まきあげる。○秋来芳草自為蛍 『礼記』《月令》「季夏の月……腐草蛍と為る」をふまえる。【訳】裴舍人の旧居に立ち寄って詠んだ詩。どんよりとした空さむく独りさびしく門をとじ、木々の葉はみな色づきて人無き庭に舞い落ちる。ぽつりとはなれた墓一つどの木のそばにあったやら、家族の者は家を捨てどこへ行ったか根無し草。まがきの菊は重陽を迎えてみごと咲いてるが、隣家の笛は夕暮れに聴くにたえないさびしさよ。書斎しずかに客もなくカーテンを巻くこともなく、秋に香りのよい草はすでに蛍となりて飛ぶ。
November 25, 2007
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上陽宮望幸 劉長卿 玉輦西巡久未還、春光猶入上陽間。萬木長承新雨露、千門空對舊河山。深花寂寂宮城閉、細草青青御路閑。 獨見彩雲飛不盡、只應來去候龍顔。【韻字】還・間・山・閑・顔(平声、刪韻)。【訓読文】上陽宮に幸を望む。 玉輦西巡久しくして未だ還らず、春光猶ほ入る上陽の間。万木長(つね)に承く新雨露、千門空しく対す旧河山。深花寂寂として宮城閉ぢ、細草青青として御路閑かなり。 独り見る彩雲の飛んで尽きざるを、只応に来去して龍顔を候つべし。【注】○上陽宮 河南省洛陽市の西、洛水の北岸に、唐の高宗の時に建てられた宮殿。○幸 みゆき。天子のおでかけ。○玉輦 玉で飾った天子のお乗りになる車。○巡 巡幸。天子が国内を見まわる。○春光 春の日の光。○雨露 雨と露。また、大きなめぐみ。○千門 多くの門。○寂寂 ひっそりと寂しい様子。○宮城 閉ぢ、○青青 草木があおあおと茂るようす。○御路 高貴なかたがお通りになる道。 ○独 ただ…だけ。○彩雲 色うつくしい雲。○来去 飛んで来たり飛び去ったりする。○龍顔 天子のお顔。○候 待つ。【訳】上陽宮に天子さまがおいでになるのを望む。 天子のお車西に行き長くこの宮おとずれず、春光のみが今もなお上陽宮にふりそそぐ。よろずの木々は新たなる雨や露にて潤えど、ただ宮門はひっそりと河やら山に向かい建つ。宮中深く咲く花は見る人もなくうらさびし、宮城閉じて、草しげり天子の通路もしずかなり。 ただ目に入るは彩りの豊かな雲がいつも飛び、空をば行ったり来たりして只応に来去して天子のおでまし待っている。
November 18, 2007
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