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歳日見新暦因寄都官裴郎中 劉長卿青陽振蟄初頒暦、白首銜冤欲問天。絳老更能經幾歳、賈生何事又三年。愁占蓍草終難決、病對椒花倍自憐。若道平分四時氣,南枝為底發春偏。【韻字】天・年・憐・偏(平声、先韻)。【訓読文】歳日新しき暦を見て因つて都官の裴郎中に寄す。青陽蟄を振るひ初めて暦を頒かち、白首冤を銜(ふく)みて天に問はんと欲す。絳老更に能く幾歳をか経ん、賈生何事ぞ又三年。愁ひて蓍草を占ふも終に決し難く、病んで椒花に対すれば倍(ますます)自ら憐ぶ。若(もし)平らかに四時の気を分つと道(い)はば、南枝底為(なにしにか)春に発(ひら)くとこ偏からん。【注】○都官郎中 尚書省刑部第二司の都官司の長官。従五品上。官府の奴婢および部曲客女の政を掌る。 ○青陽 春。蟄を振るひ初めて○頒暦 天子が毎年冬の終わりに翌年の暦を頒布すること。○白首 白髪頭。○銜冤 無実の罪を釈明できずにいること。○絳老 老人。○賈生 前漢の文人、政論家、賈誼。洛陽の人。文帝に仕えた。(前二〇〇……前一六八年)。○何事 どういうわけで。○蓍草 うらないに用いるメドハギの茎。○椒花 椒花頌。新年の祝詞。○倍 いっそう。○四時 春夏秋冬。○南枝 南側の枝。梅の花についていうことが多い。○底為 どうして。【訳】新年に新しい暦を目にしてそこで都官裴郎中に寄せた詩。春を迎えて土の中こもれる虫も動きだし新年のため配られた暦の色も真新し、我は年老い頭髪も白髪がふえたが罪はれず何とか己の無実をば天に問わんと試みる。こんな老いぼれいつまでも生きられるかはわかりゃせぬ、どういうわけで三年も任期を延期されるやら。悲しみに暮れ占うもいつかえれるか結果でず、病身の身で新年の祝詞を見れば情けなや。ほんに四時は平等か、平等ならば何ゆえに南の枝のみ春に咲く。
May 28, 2007
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送耿拾遺歸上都 劉長卿若為天畔獨歸秦、對水看山欲暮春。窮海別離無限路、隔河征戰幾歸人(一作征陣獨歸人)。長安萬里傳雙涙、建徳千峰寄一身。想到郵亭愁駐馬、不堪西望見風塵。【韻字】秦・春・人・身・塵(平声、真韻)。【訓読文】耿拾遺の上都に帰るを送る。天畔独り秦に帰るは若為(いかん)、水に対し山を看れば暮れんと欲する春。窮海別離無限の路、隔河征戦幾くばくの帰り人ぞ(一に「征陣独帰人」に作る)。長安万里双涙を伝へ、建徳千峰一身を寄す。郵亭に到りて愁へて馬を駐むるを想へば、西望して風塵を見るに堪へず。【注】○耿拾遺 耿■(サンズイに「韋」。イ)。蒲州(山西省永済)の人。宝応二年の進士。大暦年間に左拾遺となった。○上都 長安。○若為 どうであるか。○窮海 田舎の海辺。○征戦 戦に出掛ける。○万里 きわめて遠い距離。○双涙 ふたすじの涙。○建徳 浙江省の県の名。○千峰 多くの峰。○郵亭 宿駅。また、宿場の旅館。○風塵 風に舞い立つちり。また、仕官。地方官。【訳】耿拾遺が長安に帰るのを見送る。独り秦をば目指しゆくその心境はいかならん、川のむこうの山みればもうすぐ春も終わりかな。海の果てからきみの去る別れの路は限りなく、河を隔てて征戦の帰国するもの数少な。長安万里のかなたにてわが目の涙頬つたい、建徳にある千々の峰いくつも越えて君はゆく。宿場に着いて馬つなぐ君の悲しみ思いやり、西のかたをば望めども旅の苦労がしのばれて風塵見るにたえぬなり。
May 20, 2007
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送靈徹上人還越中 劉長卿禪客無心杖錫還、沃洲深處草堂閑。身隨敝■(「尸」のなかに「彳」と「婁」。ク)(一作履)經殘雪、手綻寒衣入舊山。獨向青溪依樹下、空留白日在人間。那堪別後(一作夜)長相憶、雲木蒼蒼但閉關。【韻字】還・閑・山・間・関(平声、刪韻)。【訓読文】霊徹上人の越中に還るを送る。禅客無心にして錫を杖つきて還り、沃洲深き処草堂閑(しづ)かなり。身は敝■(ク)(一作履)に随つて残雪を経、手は寒衣を綻ばせて旧山に入る。独り青渓に向かつて樹下に依り、空しく白日を留めて人間に在り。那ぞ別後(一に「夜」に作る)長く相憶ふに堪へんや、雲木蒼蒼として但だ関を閉ざす。【注】○霊徹上人 俗姓は湯、字は源澄、また明泳、会稽(浙江省紹興市)の人。幼くして出家し雲門寺で修行した。肅宗・代宗のころ厳維より詩を学び、大暦年間、詩人として江南に名をはせた。のち各地の寺をめぐり、多くの詩人たちと交わり、元和十一年、宣州開元寺にて卒す。年七十一。○越中 浙江省紹興市あたり。○禅客 僧侶。すなわち霊徹上人のこと。無心にして杖錫還り、○沃洲 浙江省新昌県の東にある山の名。天姥山と対峙し、放鶴峰や養馬坡などの名勝がある。○草堂 草葺きの家。○敝■(ク) 履き古した、藁や麻でできたくつ。○残雪 春になっても消えない雪。○寒衣 冬着。○旧山 むかし住んでいた山。○那堪 どうしてたえられようか、たえられない。○相憶 相手のことを思いやる。○雲木 雲にむかってそびえる高い木。○蒼蒼 あおあおと生い茂っている様子。【訳】霊徹上人が越中にお帰りになるのを見送る。上人さまは無の境地、錫杖つえつき帰られる、沃洲山の奥深く草ぶきの家ひっそりと。履き古したくつで雪をふみ、冬着はだけて山に入る。私は樹下に依りそって青い谷川をば前に見て、あなたの去るをとめられず、あとに空しく残れるは、空に浮かべる太陽ぞ。きみと別れてそののちは、思い出すたび辛くなる、雲にそびえる木々しげり、関所をとざすさびしさよ。
May 12, 2007
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謫官後臥病官舍簡賀蘭侍郎(一作貶睦州祖庸見贈) 劉長卿青春衣繍共稱(一作刺繍服正相)宜、白首垂(一作髮如)絲恨不遺。江上幾回今夜月、鏡中無復少年時。生還北闕誰相(一作將、一作能)引、老向南邦衆所悲。歳歳任他芳草緑、長沙未有定歸期。【韻字】宜・遺・時・悲・期(支韻)。【訓読文】謫官の後病に臥し官舍にて賀蘭侍郎に簡す(一に「貶睦州祖庸見贈」に作る)。青春繍を衣(き)て共に(一に「刺繍服正相」に作る)宜に称(かな)ひ、白首糸を垂れて(一に「髪如」に作る)恨み遺(のこ)らず。江上幾たびか回(かへ)る今夜の月、鏡中復ること無し少年の時。生きて北闕に還るも誰か相(一に「将」に作り、一に「能」に作る)引かん、老いて南邦に向かへば衆の悲しぶ所。歳歳任他(さもあらばあれ)芳草緑に、長沙未だ帰期を定むること有らず。【注】○謫官 官位をおとして地方へ流される。○臥病 病気で寝込む。○官舍 官吏の住居として政府からあてがわれた住居。○賀蘭侍郎○青春 年が若くて元気な時代。○衣繍 錦を着る。出世して立派な衣服を着る。○白首 白髪頭。○垂糸 白髪を垂らす。○江上 川のほとり。○幾回 何度のぼったことか。○鏡中 鏡のなか。○復 もどる。○少年 若者。○北闕 宮城。都の北にあったのでいう。○誰相引 いったいだれが引き上げて出世させてくれるだろう、いや、だれもおらぬ。○南邦 南方。○衆所悲 民衆に悲しまれる。○歳歳 毎年。○任他(さもあらばあれ) どうなろうと、ままよ。○芳草 香りよい草。○長沙 湖南省長沙市。○帰期 故郷に帰る時期。【訳】左遷されてのち、病気で寝込み、官舍で賀蘭侍郎に贈った詩。若い時分は錦来て意気揚々としたゆえに、年老いたいま白髪をたれても悔いは残るまい。川のほとりを照らす月、幾たび空をめぐりしや、鏡のぞけば老けた顔、わかい時にはもどりゃせぬ。生きて都に還るとも誰がひいきにしてくれよう、老いて南へ行くこたび民が別れを悲しめり。毎年成り行き任せにて草生い茂る春迎え、長沙にありて故郷へ帰る時期まだ定まらぬ。
May 6, 2007
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戲題贈二小男 劉長卿異郷流落頻生子、幾許悲歡併在身。欲並老容羞白髮、毎看兒戲憶青春。未知門戸誰堪主、且免琴書別與人。何幸暮年方有後、舉家相對卻霑巾。【韻字】身・春・人・巾(平声、真韻)。【訓読文】戯れに題して二小男に贈る。異郷に流落して頻りに子を生み、幾許(いくばく)の悲歓併せて身に在らん。老容を並べんと欲して白髮を羞じ、児戯を看る毎に青春を憶ふ。未だ知らず門戸誰か主たるに堪えん、且く免る琴書別れて人に与ふるを。何なる幸にしてか暮年方に後有る、家を挙げて相対し卻つて巾を霑す。【注】戲題贈二小男 劉長卿○異郷 故郷を離れた土地。○流落 落ちぶれてさすらう。○幾許 どれほど。いくつ。○悲歓 かなしみとよろこび。○老容 老いた容貌。○児戯 こどもの遊び。○憶青春 若かった時分のことを思い出す。○門戸 家。○且 とりあえず。ひとまず。○琴書 琴と書物。教養として身につけるべきもの。○何幸 どういう幸運によってか。○暮年 晩年。○後 後継者。跡取り。○挙家 家族みんなで。○卻 あべこべに。○霑巾 てぬぐいをぬらす。【訳】戯れに作って二人の男児に与えた詩。故郷はなれて子が生まれ、歓び悲しみいかほどか。そばに寄ろうと思えども白髪頭がはずかしや、子らの遊ぶを見るたびに若かりしころ思いだす。将来自分がこの家の主人になるとはまだ知らず、まあとりあえず琴も書も他人にやるはまぬかれた。いかなる幸運めぐってか、年老いてから子ができた、うちじゅうみんな赤ん坊の顔見て涙流したなあ。
May 5, 2007
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