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近頃、いや実はかなり以前から酒場巡りを日課とすることに疑問を抱くようになりました。このブログの目的を否定しかねない発言ということは百も承知の上であえてそういうのだから、かなり深刻な状況に立たされているということです。しかし本人の意欲の減退にも拘わらずありがたいことに(?)、今でも一定数の方が閲覧して頂けているようなので、更新頻度を落としつつも細々と継続してきました。とここまで書くといかにもこのブログを閉鎖するかのような書きっぷりですが、今しばらくはその予定はないのでご心配なく(って心配されてるつもりかよって感じで恥ずかしいのだけれど)。そのうちまたまた更新頻度を下げる可能性もあるけれど、未練たらしいのがぼくの特性なのです。そう短くもなくなった人生を振り返ってみるとぼくは人生の何割かを賭する程度の何某かについて、常に執着し続けてきたと思っています。粘着質の性癖のせいか、ひとつこれと決めると相当に入れ込む方ですが、それに見切りを付けるのは極めてドライなのです。とにかくスパっと憑き物が落ちたように関心が失われる(弱まる)のです。今は惰性のように時折、酒場巡りを続けていますが、そのうちより強い狂熱を抱かせられる何かが見つかったらそれが酒場巡りとこのブログが終了する時と思っていますので、今しばらくお付き合いください。といった曖昧な決意表明をしてしまいましたが、最近は呑みに行くとさほど面白味はなくとも懐が安心でかつ居心地さえ良ければそれでいいって心持ちが強まっているのです。先般訪れた三河島の居酒屋もそんなお店でありました。 改札を抜けて横断歩道を渡るとすぐに「大衆焼鳥 とりぞう」があります。初めてお邪魔しました。えっ、でも何だか既視感あり。調べてみるとどうやら今の店舗は移転後のもので、移転前の店舗にお邪魔したことがあったようです。そういわれるとどこか見たことのある雰囲気ではある。でもこれまた曖昧な記憶で語ってしまうのだけれど、以前よりずっと雰囲気が良くなっている気がします。雰囲気の良さっていうのは、もっと噛み砕くと居心地がよくなったということです。前の店舗はその夜がたまたまだったのかもしれないけれど、店の人も客たちも総じて暗い表情を浮かべていたような気がするのだ。暗いどんよりした酒場はぼくの好物ではあるけれど、それはこうした明るく新しいお店には似つかわしくないのだ。やはりどんよりした酒場は古びた見るからに暗そうなお店がお似合いなのです。明朗であることは子連れファミリーがいることがよく示しています。祖母、母、兄弟という4人家族がいたのですが、子供たちも楽しそうで見ていて明るい気持ちになるのです(この子供たちはよく躾けられているようで、楽しそうに喋ってはいるけれど、駆けまわったり大騒ぎをすることもなかった)。時折盛り上がりの声が上がるけれど、それはチンチロリンで無料もしくはジャンボジョッキが当たったからのようで、われわれも当然ながら声を上げてしまったのだ。ぼくは一度でっかいジョッキを当てたけれど、S氏はここで運を使い果たすかのように無料を当て続けたのです。焼鳥をメインとした肴はまあ普通に美味しいといった程度だったけれど、種類も豊富で子供も喜びそうな品も揃っていました。普段使いするならこういうのでいいんですよね。カウンター席がもうちょい広ければ言うことないのになあ。それとオーダーミスが連発していたけれど、それももう今では大分修正されたのだろうなあ。
2025/08/31
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ぼくのような地方都市ばかりを転々としてきた者にとっては、エスニック料理は全くと言っていい程に縁のない食べ物でした。だからエスニック料理、はじめてちゃんと食べに行った(というよりは連れて行ってもらった)店はタイ料理店でした。タイ料理で多く用いられるパクチーやココナッツミルクを始め、レモングラスなどのハーブや香辛料に馴染めない人も少なくないみたいですが、ぼくは全く抵抗なく、というよりはむしろ未知の味に狂喜乱舞したことを今でも覚えています。タイ料理に続いて、インドネシアやマレーシア、シンガポールなどなどどこの料理もぼくに新鮮な驚きを与えてくれました。そのうち吉祥寺のカルディで各国料理の食材が入手できるようになると自分で作りたいと思うようになりました。グリーンカレーペーストを買ってきてビッグサイズのカップヌードルサイズのプラスチックボトルを大鍋にボトンと放り込んで水で割って呑んだらひたすら辛いばかりでちっとも旨くないって思ったのは懐かしい思い出であります。日本のカレールーと同じように作れると思い込んでいたんですね。ひたすらエスニック料理を食べ漁った後にようやく沖縄料理と出逢いました。就職して2年目にようやく宿泊したことのなかった都道府県の最後である沖縄に訪れることができて、そこで今では都内でも簡単に口にすることができる沖縄の料理を食べたのです。改めて調べると都内にも10軒ほどは案外年季の入った沖縄料理店があることを知って、食べ歩いたのですが、これがあまり美味しくないのだ。しかも結構な料金を取るのだ(これは今でもさほど事情は変わっていない気がします)。そのうちに沖縄の食材も安くなってくるだろうと、沖縄料理店に足を運ぶことも少なくなりましたが、食材については一向に値下がりする気配は見られないのでした。ということで数少ないお手頃に手に入る沖縄らしい食材はゴーヤってことになり、沖縄の味を食べたくなったらついゴーヤを買い求めてしまうようになったのです。今年は酷暑でゴーヤも高値で、一度100円で立派なのが売られていた際には6本まとめて購入しました。ゴーヤチャンプルーチャーハン【材料】ごはん・ゴーヤチャンプルー(刻む)・鶏がらスープの素・ナンプラー・ごま油・白胡椒 適宜【作り方】1. フライパンにごま油を熱してごはん、ゴーヤチャンプルーを炒める。鶏がらスープの素、ナンプラーを加える。白胡椒を加える。【参考】ゴーヤチャンプルー【材料】豚肉(一口大/塩、胡椒する) 150g/塩・胡椒 適宜/木綿豆腐(2等分/1cm幅) 200g/ゴーヤ(縦2等分/5mm幅) 1本/卵 2個/鰹節 1袋/【調味料】酒 大さじ1/醤油 大さじ1.5/オイスターソース・ごま油 大さじ1/顆粒だし 小さじ1/2【作り方】1. フライパンにごま油を熱して豚肉、豆腐を炒める。ゴーヤを加える。【調味料】を加える。溶き卵を加える。皿に盛って鰹節をふる。 ゴーヤ料理、これまでもあれこれ作ってみました。タイの肉詰め煮込みやインド式に種、ワタごとスライスしてあげたゴーヤ入りのカレーなど。でも結局はチャンプルーが一番好きという結論に至っています。それは今後も変わることはなさそうに思えます。味付けはこれまでいろいろと試してきましたが、上記のレシピが最もぼくの好みです。油麩を加えるのもポイントのひとつ。ゴーヤのわたのにんにく風味【材料】ゴーヤ(わた/一口大/ごま油、にんにくと和える) 1本分/塩・胡椒 適宜/ごま油 小さじ1/にんにく 適宜【作り方】1. 耐熱皿にゴーヤ(わた)を並べて電子レンジで600W2分加熱する。皿に盛って塩、胡椒を散らす。 どっかで見掛けたレシピ。ちっとも美味しくないねえ。インド式に揚げて食べるのはとても旨いんですけどね。ゴーヤの野菜炒め【材料】ゴーヤ(縦2等分/5mm厚)・もやし・キャベツ(一口大)・ニンジン(短冊切り)・玉ねぎ(くし型切り)・ニラ(4cm幅)・キクラゲ(水で戻す/一口大)・にんにく・生姜・ごま油・【調味料】鶏がらスープの素・オイスターソース・塩・胡椒・醤油 適宜【作り方】1. フライパンにごま油を熱してにんにく、生姜を炒める。ゴーヤ、ニンジン、玉ねぎを加える。キャベツを加える。もやし、ニラ、キクラゲ、【調味料】を加える。 単なるゴーヤ入りの野菜炒め。豆腐、卵がないと物足りないかな。ゴーヤと夏野菜のチャンプルー【材料】ゴーヤ(縦2等分/5mm厚)・茗荷(縦2等分/斜め切り)・ししとう(斜め切り)・油麩(油抜き/1cm幅)・豚肉(一口大)・キクラゲ(水で戻す/一口大)・卵・ごま油・【調味料】酒・顆粒だし・オイスターソース・塩・胡椒・醤油 適宜【作り方】1. フライパンにごま油を熱して豚肉、油麩を炒める。ゴーヤ、茗荷、ししとうを加える。【調味料】を加える。溶き卵を加える。 大好きな茗荷入り。これはきっと以前藤沢の名酒場で食べた茗荷チャンプルーを食べたかったけれど、茗荷が高かったので、ゴーヤとハイブリッドしたんだろうなあ。
2025/08/30
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先日、仕事帰りにスーパーマーケットを覗くと塩さんまが5尾298円(税抜)という特価(?)にて売られていました。そういえば先日、テレビでさんまが久々の豊漁であるとのニュースが放映されていたなあ(今朝のニュースで北海道の根室での初揚げについて、地元の漁師がその量、質ともに奇跡であるといった感想を述べていました)。それが一次的なぬか喜びとならぬことを祈念したいところであるが、まだ当分は都民の口に届くことはなさそうです。また、1尾60円は痩せた冷凍の塩さんまであるとしてもやはり破格の安値といえるのではなかろうか。実はこの時点で若干の懸念はあったのだ。さんまに敢えて塩を冠するということは、やはり保存性を高めるためであろうか、塩で漬込んでいると考えてよいのではないか。そうした考えが脳裏を過ったことは間違いなさそうであるけれど、久しく口にしていなかったさんまを目の前にしてたった今しがた思念した先の懸念は瞬く間に消し飛んでいたのであります。そんなにして入手した塩さんまでありますが、買い求めたのは一般の過程での夕食時などとっくに過ぎ去った時間帯だったので、翌日に持ち越しです。翌早朝にやはりさんまには大根おろしが必要と近所のまいばすけっとに走ったのですが、そこで売られる大根の品質の悪さと反比例するような高値に怯んでしまいすごすごと帰途に就くのでした。いざ夕食時になると状態が悪くても買っておくべきだったと後悔するのですが、取り敢えずはカイワレ大根と茗荷を薬味にして食べる事にしたのです。魚焼きグリルを使いたかったのですが、しばらく残る臭いと掃除の手間に怖気をなしてここでもまた妥協してしまい、フライパンにて焼くことにします。まあ、それなりに上手に焼けたから良しとしよう。家庭ではあまり口にしないビールの用意もある。ひと通りの準備を終えて溜まらずさんまに箸を伸ばし贅沢に身をほぐして口に運んだのだ。なんという塩辛さなのだ。いやまあ魚としての旨味は案外悪くないのだけれど、とにかくしょっぱさが先に立ってしまい、1尾は何とか食べ切ったものの残りを口にするのは憚られたのだ。当然処分することなどあり得ない訳で、適当にアレンジして食べる事にしたのでした。塩さんまの混ぜ寿司【材料】酢飯(さんまを混ぜる) 1膳分/さんま(塩/焼く/ほぐす) 1/2尾/茗荷(千切り) 1個/大葉(千切り) 5枚/カイワレ大根(2等分) 1/4パック/のり(刻み)・わさび 適宜【作り方】1. 丼に酢飯を盛って茗荷、大葉、カイワレ大根、のり、わさびをのせる。 翌日の朝食には、まずこの一品。寿司酢は塩分をごくごく控え目にしました。これが抜群に旨かったのです。別にさんまでなくても美味しいのだろうけれど、ごく平凡なこの食べ方が大いに気に入りました。朝から呑むことは近頃めったにないことですが、これは呑んじゃいます。塩さんまの冷や汁【材料】さんま(塩/焼く/ほぐす) 1/2尾/きゅうり(小口切り) 1/2本/茗荷(千切り) 1個/大葉(千切り) 5枚/カイワレ大根(2等分) 1/4パック/ごま(白/練り) 小さじ2/味噌 大さじ1/だし 200ml【作り方】1. さんま、ごめ、味噌を混ぜる。だしを加える。器に持ってきゅうり、茗荷、大葉、カイワレ大根を加える。 併せてこれも作りました。樋口直哉氏がまいばすけっとの食材を使った冷や汁を照会していたので、それにあやかりました。樋口氏レシピではサバを用いていましたが、さんまもとても美味しい。塩さんまチャーハン【材料】ごはん 1膳分/さんま(塩/焼く/ほぐす) 1/2尾/大葉(千切り)・生姜・ごま(白)・青ねぎ(小口切り)・みりん・醤油・胡椒・油(ごま) 適宜【作り方】1. フライパンに油を熱してごはん、大葉、生姜を炒める。さんま、ごまを加える。みりん、醤油、胡椒を加える。青ねぎを加える。 昼にはチャーハンを食べました。みりんと醤油を入れて和風に仕立てましたが、これは非常に凡庸な仕上がりでした。サンマのスープカレー【材料】さんま(塩/一口大) 1匹/玉ねぎ(薄切り) 1/4個/生姜 適宜/油 小さじ2/トマト水煮 大さじ3/塩 小さじ1/4/タマリンド(ペースト/茹で溶く) 小さじ1/湯 2/3カップ/ガラムマサラ 適宜/【ホールスパイス】アジョワン(H)・クミン(H)・シナモン(H)・マスタード(H)・赤唐辛子 適宜/【パウダースパイス】カイエンペッパー・コリアンダー(P)・クミン(P)・ターメリック 適宜【作り方】1. 鍋に油を熱して【ホールスパイス】を炒める。玉ねぎ、生姜を加える。トマト水煮を加える。【パウダースパイス】、塩を加える。タマリンドを加える。さんまを加える。ガラムマサラを加える。 想定外に美味しかったのが、これ。ネットで紹介されていたレシピをアレンジしています。この酸味の利いたレシピ、とんでもなく好みでした。タマリンドとトマトの酸味が夏のカレーらしくて実に良かったです。トムヤンクンやラッサムも作りたくなりました。
2025/08/29
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今の今まですっかり忘れていたけれど、千川には儚い思い出があったことを今、思い出しました。その詳細を詳らかにする意図はないけれど、かつてどんなにか大事に思っていた思いでさえ、歳月というのは容赦なく風化させるものなのですね。一方で歳月は思い出を美化させるなんて言い方もあるけれど、ぼくにはそっち方面の情緒には縁がないようです。当時のぼくが千川での経験は、ほとんど全てが特定の人物で埋め尽くされていて、町のイメージはごくわずかで、その人物と辿った道もアパートの場所もすっかり記憶からは消え去っているのでした。今では忘れ去った記憶を惜しむことも薄れていく記憶を懐かしむこともすっかりなくなってしまいました。どうしてなんだろう、ぼくは元来感傷的な性質だったはずなんだけどなあ。色々考えを巡らせてみたけれど、そうするだけの時間的な余裕がなくなっているからという極めて凡庸な理由しか思い当たらないのです。にしても若い頃は一日がとても長く満ち足りていたように思えるのに、この年になって年々一日がとても短く思えます。昔は浴びるように映画を見たり本を読んでいたし、もちろん酒も呑んでいました。今は多少の本を読んで酒を呑むだけで時間を使い切ってしまっているような気がします。当時と今とでは一体何が違っているのだろう。まあ、こういう文章を書いて時間を食い潰しているとか、無駄な時間の使い方も少なくないんだろうなあ。 といった訳で以前見掛けていた「割烹 ことぶき」にお邪魔することにしました。以前見掛けていたとさらっと書きましたが、実は二度目撃していて、一度目は店が静まり返っていたので閉業されているものと思ったけれど、先達て目にした際には灯りが漏れていました。その際に思い切って立ち寄っていれば、再度足を運ぶまでもなかったけれど、結局は未練を残して再び訪れる羽目になるんですね。遠い過去には未練を覚えなくなったけれど、近々の些事には未練を残すのです。灯りは見えるけれど、さんざめきが漏れ聞こえてくることもなく、ちょっと躊躇してしまったけれど、実際には店内はほぼ席が埋まるほどに盛況だったのです。ただまあカウンターに5席、卓席2つのみと小ぢんまりしています。看板には季節料理、天ぷら、おにぎりと専門がぼやけているけれど、和食寄りの魚があるのでしょう。カウンター席にS氏と腰を降ろすやまたもお客さんが入店してきます。それも立て続けに。皆さん顔見知りのようで、卓席を譲ってもらっていました。一見のわれわれが彼ら常連のカウンター席を奪ってしまったのではないかと一瞬、居心地悪く感じもしたけれど、無事解決したようです。にしても皆さん、こちらをいたくお気に召されているようです。特段お手頃ではないし、料理も普通に美味しいかな。確かに周辺にはあまり居酒屋の類がないから近所の方にとっては至便であろうとは思うのですが、それにしてもここまで愛されるのはお店のご夫婦のお人柄なんでしょうかねえ。純和食寄りのお店かと思ったらなんと裏メニューではないのですが、ナポリタン(違ったかな)なんてのも人気があるみたいです。ぼくも近所に住んでいたらたまには寄らせてもらったりするんだろうかなんてことを思ったりしたのでした。
2025/08/25
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近い将来、酒場の切れ目が縁の切れ目となる予感があります。何度も書いているようにぼくの好きな町は人気の少な目であることがまず最初の条件です。人が多いってだけで、仮に好きな酒場があったとしてもその酒場は好きだけど、その町は好きではないのだ。ってここまで書いて早くも(いやもう遅すぎるのか)後悔しているのです。どうしたって面白い話ができそうもないのだ。でもいつもと同じく書き進めることにします。だからぼくの好きな町には人が少ない。人が少ないってことは基本的には酒場も少ないはずです。つまり、ぼくの好きな(もしくは好きになりそうな)町には、大概の場合、酒場が少ないし、さらには好みの酒場が存在する割合も比例して少なくなるようです。というよりは存在する方が稀である場合が多い気がします。まあ、だからどうしたって話ですが、端的には好きな町の好きな酒場っていうのはとっても貴重なものなのです。嫌いな町の好きな酒場もあるけれど、その酒場までの道程を思うとどうしたって足が遠のくものです。だからどうしたって好きな町の好きな酒場に足が向いてしまうのです。以前のようにガツガツと酒場漁りをしようって気概はすっかり衰えてしまったから、たまに誰かしらと吞むってことになった場合もふと気付くと好きな町に降り立っていることがあります。ところが一緒になった人がぼくと同じような感性の持ち主であればいいけれど、そうでないことも少なくない。つまりは好きな町で呑むのはいいとして、好きな酒場でご一緒って訳にはいかないことが案外多いのだ。ぼくが好きでも相手は嫌いそうだなって大体分かってしまうからです。その夜はぼくが田端で呑んでいたところに急にスマホに誘いの連絡が入ってきたのでした。どうやら間もなく田端駅に到着するようです。しからば田端駅で下車して新田端大橋を渡ったところで待合せましょうってことにして、慌てて呑みかけのチューハイを呑み干して迎えに向かったのです。 今さっきまで呑んでいた酒場を通り過ぎてちょっと行ったところに魚介料理を売りにする店が開店したと噂に聞いていたのでそこに向かったけれどどうもぼくの好みとは違っています。というそれ以前に閉まっているから仕方がない。通りすがりの何軒かもどうも気乗りせず、結局さっきまで呑んでいた酒場のお向かいさんである「浅野屋」というそば屋に落ち着くことになったのです。いつもは窓越しに眺めているお店をこの夜は逆側から眺め返すというのもすこしばかり愉快な気分です。いつもの常連たちの後ろ姿が見え隠れしているのも何だか奇妙な感じがします。酒場というのは実際に入ってみてナンボっていつもは思っているけれど、そこが好きって分かっている場合はたまには外側から愛でているのも悪くないものだと感じます。特に異常な暑さ続きのこの時期はちょっとだけ優越感をも抱いたりして。と肝心のそば屋さんについて、まだほとんど触れていませんでした。こちらの何がいいかって酒の肴が下手な居酒屋よりも充実しているところです。お向かいに比べると明らかにお高めなのは仕方ないことでしょう。でも、どうしたのかねえ、以前より味が落ちたように思えるのです。いやいやダメってことではないのですが、そばがそこそこ美味しいと思えるのにそれ以外は普通だなあって印象なのです。この近隣のそば屋は結構酒の肴が充実している店が多く、値段がそこそこお得なのに味もよい店が多い気がします。これじゃあ客足が心配だと思うのだけれど、相変わらずの盛況ぶりは近所の大きな組織の恩恵でしょうか。家族経営で賑やかな店の方たちも好ましいのですが、もう少し酒の肴をてこ入れしてくれるとまた、今回のような酒場難民の際でなくても来たくなるのになあ。
2025/08/24
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多くの方はご存じなので改めて問いかけるのは恐縮なんですが、黙っていたら話しが先に進まぬのでここは思い切ることにします。ワンパンってご存じですか? ぼくは2つとも知ってるぞ。一つ目がone + punchを略したもの、パンチ一発のことです。これは、ONE原作・村田雄介作画による『ワンパンマン』で知られてます。近頃のマンガの主人公は、平井大橋著『ダイヤモンドの功罪』や柳本光晴『響 小説家になる方法?』『龍と苺』などの天才型人物を主人公に据えることが多いと感じていますが、『ワンパンマン』の主人公(実際には彼は熾烈な修行を乗り越えているのですが、その描写は酷く簡潔です)もほとんどの敵をワンパンでやっつけてしまうのだ。二つ目はone + frypanを略したもの。フライパン1つのことですね。一般にはパスタ料理をフライパン1つで調理する手法のことを指します。通常、パスタ料理は1つの鍋で麺を茹でてもう1つの鍋などでソースを作るなど2つ以上の鍋(フライパン)を用いるのですが、ソース作りの過程で麺も一緒に加熱してしまおうというものです。でもこれってそんなに画期的なことなのかなあと常々思っています。というのが例えば即席めんはこれまた1つの鍋で麺を茹で、別の鍋でスープ用の湯を沸かし、フライパンなどで野菜炒めなどの具を用意するのがメーカーの推奨する調理法なはずです。でも実際にはぼくのみならず多くの方が鍋で麺と具を一緒に茹でてしまい、スープもその茹で汁に加えてしまうという手法を取られていると想像できるわけで、それがパスタに置き換わっただけなのだから、今更になってこの調理法をワンパンなどと呼ぶのもなんか妙な気分です。と言っておきながら、実際に自分でパスタをワンパンで作ったことはなかったのです。この作り方を本場のイタリア人たちが知ったらどう思うのだろう。と言ってみせたけれど、暗殺者のパスタはそのままワンパンで作るじゃんか。イタリア人は特に食については、保守的というけれどこのパスタはとても保守的な人の調理方法とは相容れぬと思うのだけどどうなのだろう。ちなみに冊目のワンパンもあるようです。それはパチスロ用語でone + punkの略語でパチスロでボーナスゲームを1回で終了することを意味するらしい。知らんかったなあ。当然にこのブログでは二つ目のワンパンを話題に上げるのだ。以下のサイトに二つ目のワンパンについては、詳述されています。JRE MALL Media 「【パスタの茹で方とレシピ】フライパンひとつで美味しいパスタの出来上がり|さまざまなレシピに使えるワンパンパスタにチャレンジ!」https://media.jreast.co.jp/articles/999 そこで以下の3つのワンパン調理のメリットが挙げられています。●洗い物が減る●1つのコンロだけでできる●簡単に美味しく仕上がる 上の2つは大したメリットじゃないかなあ。以前のいや即席めんをワンナベでやってた頃のぼくならとても大事なことだったかもしれないけれど、今ではそれほどにメリットには感じないかも。それより3つ目、「簡単に」は分からぬけれど、「美味しく」っていうのは実に重要であります。果たして本当に「美味しく」なるのだろうか。虚無トマトクリームパスタ(ワンパン)【材料】バリラ(1.4mm/茹でる) 100g/トマトケチャップ 大さじ2/水 280ml/牛乳 120ml/顆粒コンソメ 小さじ2/バター 20g/胡椒・グラナ・パダーノ 適宜【作り方】1. フライパンでトマトケチャップを弱火で炒める。水、顆粒コンソメを加える。パスタを加える。牛乳、バター、胡椒を加える。皿に盛って胡椒、グラナ・パダーノを散らす。 ワンパンパスタといえばリュウジ氏の十八番であります。数多くのレシピを発表しておられるから、これもリュウジ氏のものなのか確信は持てぬけれど、「虚無」と冠するレシピだからきっと間違いないだろうな。この安っぽい材料で「美味しく」なるのは麺から滲み出るセモリナ粉の成分が作用しているとしか思えないのだ。虚無チーズパスタ【材料】バリラ(1.6mm) 100g/水 280ml/顆粒コンソメ 小さじ1.3/牛乳 120ml/バター 10g/チーズ(ピザ用) 50g/胡椒・タバスコ 適宜【作り方】1. フライパンに水、顆粒コンソメを入れて沸かしパスタを茹でる。途中[茹で上がり2分前]牛乳を加える。バター、チーズを加える。胡椒を加えてタバスコを添える。 これまた質素な食材なのにどうしたものかとても「美味しい」のだ。さり気ないく添えられたタバスコの効果が利いています。プッタネスカ【材料】バリラ(1.6mm) 100g/オリーブ(緑) 適宜/ケーバー 10粒/アンチョビ 1切/トマトペースト 大さじ2/にんにく 1片/赤唐辛子 2本/マギーブイヨン 1個/水 50ml+100ml/油(オリーブ) 適宜【作り方】1. フライパンに油を熱してにんにく、赤唐辛子を炒める。アンチョビ、オリーブ、ケーパーを加える。トマトペースト、水を加えて煮詰める。取り出す。2. 水、ブイヨン、塩を加える。パスタを加えて煮る。1.を加える。皿に盛って胡椒を散らす。 大好きなブッタネスカに関しては、オーソドックスな作り方に軍配を上げたい。調理作業としても左程の手間の違いもないしね。赤ワインのボロネーゼ(ワンパン)【材料】バリラ(1.6mm) 100g/肉(合びき肉)(塩、胡椒する) 80g/玉ねぎ(みじん切り) 1/4個/にんにく 1片/赤ワイン 200ml/水 350ml/顆粒コンソメ 小さじ1.5/はちみつ 小さじ1/ナツメグ 適宜/バター 10g/塩・胡椒 適宜【作り方】1. フライパンで肉(合びき肉)を炒める。にんにくを加える。玉ねぎを加える。赤ワインを加えて煮詰める。水、塩、顆粒コンソメ、パスタを加える。はちみつ、ナツメグ、バターを加える。皿に盛って胡椒を散らす。 悪くないのだ。というかこんな簡単にこれだけの仕上がりなら文句はないのだけれど、気になるのがはちみつの甘味です。なんとなく食べていたわざとらしい甘味に思えてしまうのが改良の余地があるのでは。でも驚くほどに簡単なのはすごい。
2025/08/23
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近頃めっきり揚げ物を食べなくなった。これは必ずしも真実ではないのだけれど、確実に食べられる量が少なくなっている。というかぼくは子供の頃から揚げ物はそんなに得意ではなくて、唐揚げはそれなりに食べられたけれど、天麩羅やとんかつは食べ始めてもすぐに油負けしてしまったのでした。記憶にある範囲でとんかつを1枚ちゃんと食べる事が出来たのは高校生になってからで、それまでは必ず数切れ残してしまっていました。その後はロース1枚程度は食べるようになりましたが、今では居酒屋でちょっとした揚げ物を食べる事はあってもとんかつや天婦羅を食べに行くってことはほとんどなくなりました。量が食べられないというよりは、むしろ食べたいって強い欲求が生じなくなってきたというのが正しいかもしれません。そんなだから自宅で揚げ油を用意してちゃんとした揚げ物を調理する機会はほとんどなく、あったとしても惣菜屋なんかでテイクアウトすることがある程度です。コロッケやメンチカツを買うこともあるけれど、よく買い求めるのはチキンカツです。お得感もあるし、アレンジしやすいから飽きずに食べられるのもいいかなって思ってます。チキンカツでも特によく目にするのはジャンボチキンカツってシロモノで案外売れ残っていたりして夜には見切り品として扱いが多いのも魅力です。揚げたてなら単にソース(時には塩とレモンや醤油)をかけて食べてもいいけれど、そういう次第なので冷め切ったものを買って帰ることが多くなります。この場合、通常の食べ方だと油が強く感じられて胸焼けしてしまうので、むしろアレンジして食べた方が美味しかったりします。って見るとこのアレンジレシピ作ったのはもう半年以上前だったんだなあ。しかも3品目はテイクアウトで買って帰ったのと前後して作っているんだから、揚げ物が苦手なんて虚弱なフリをするのはちょっと無理がありそうです。親子かつ丼【材料】ごはん 1膳分/鶏肉(胸/塩、胡椒をまぶす/小麦粉・卵・パン粉をまぶす) 100g/塩・胡椒・小麦粉・卵・パン粉・揚げ油 適宜/卵 2個/玉ねぎ(薄切り) 1/2個/だし 70ml/醤油・みりん 大さじ1/砂糖 小さじ1/三つ葉・のり(刻む) 適宜【作り方】1. 鍋に揚げ油を熱して鶏肉を揚げる。2. 鍋でだし、醤油、みりん、砂糖を沸かして玉ねぎを煮る。1.、溶き卵を加える。丼にごはんを盛ってのせる。三つ葉、のりを散らす。 単にとんかつの代わりにチキンカツを使ったかつ丼です。とんかつとチキンカツはそのままでも明らかに別物ですが、こうして卵とじにするとさらに別物に感じられるのが不思議。もしかするとかつ丼は卵との相性も相まって鶏肉の方が美味しいんじゃないかとも思えます。オニササ【材料】鶏肉(ささみ) 4枚/塩・胡椒・小麦粉・卵・パン粉・揚げ油 適宜/ごはん(おにぎり:8個/のりたまをふる) 2合分/のりたま・マヨネーズ・ソース(中濃) 適宜【作り方】1. 鶏肉(ささみ)に塩、胡椒して小麦粉をふる。溶き卵をくぐらせパン粉をまぶして揚げる。 2. ビニール袋に1.を入れてマヨネーズ、ソースをかける。おにぎりをのせて押し潰す。 ささみのチーズフライって昔から好きなんですよね。ささみがあっさりしているからというよりは、サイズが小振りなので量の調整がしやすいのがいいのかも。沖縄の石垣を中心に食べられているこの料理、料理というよりは弁当をハンディ仕様にしたてただけなんだけど、ぼくにはとても馴染みのあるものでした。子供の頃からこういうごちゃまぜで食事するのに馴染んでるのです。ミラノ風チキンカツレツ【材料】鶏肉(胸/肉を叩く/塩、胡椒、小麦粉、卵、パン粉をまぶす) 1枚/塩・胡椒・小麦粉・卵・パン粉(粉チーズを混ぜる)・粉チーズ・油(オリーブ) 適宜/【トマトソース】油(オリーブ) 小さじ1/トマト水煮 100ml/にんにく・塩・胡椒・バジル(D) 適宜【作り方】1. 鍋に油を熱してにんにくを炒める。トマト水煮、塩、胡椒、バジルを加えて弱火で10分煮る。2. フライパンに油を熱して鶏肉を揚げ焼きにする。皿に盛って1.をかける。 油の量を控え目に作るカツレツってずっと好きでしたが、このところなぜか食べる機会がなかったので、新鮮な気持ちで食べる事が出来てとても美味しかったです。日本のとんかつは衣が衣でしかないけれど、イタリア(ミラノ)風はチーズの風味(にんにくを加えるレシピもよく見掛けます)があってちょっと贅沢な感じ。まあ日本のとんかつの衣はもっと洗練されているし、その効果もカツレツの衣より複雑に思えるんですが、それは店で頂くことにしよう。
2025/08/22
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酒場に限らず馴染みある店が終焉を迎えることに慣れておかないといけないのかもしれません。無論それは人についても言える事ではあります。自分が老いつつあるのに他の店だったり人もまた当然のことに年を重ねていくのは道理なのだ。しかし、憂うべきことに世の中には死があり触れたものとなっているはずなのだが、自分の周辺で終焉を身近なものとして感じられることは非常に少ない。本当にそうだろうか。そんなことはないんじゃないか。よくよく見渡してみると身の回りには案外、そろそろ覚悟をしておいた方がいいと思える人も店もあるように思えてくるのです。当たり前にあ(い)るものが不意に眼前から姿を消すなんてことは実はこれまでも散々経験してきたにも拘わらず記憶の奥底に沈み見込んでいるだけのようです。予告されているにせよそうじゃないにせよぼくにとってかけがえのない酒場のいくつかはすでにカウントダウンを始めているのです。それはどうしたって覆しようのないことで、それが予め知らされていようがいなかろうがいつだってぼくの一部を抉ってしまうような衝撃をもたらすのです。昨日まで営業していたのに今晩で向いたら店が開く気配がなく結局そのままになってしまうのは、常に閉店の予感とともに綱渡りするような危うさを漂わせながらやがて終焉を迎えるのでは、もしかすると前者の方が未練を残さないのかもしれません。いや、先達て唐突に詩を迎えた友人のことを思うとやはり少しでも延命した後の方が気持ちの整理をつけられるんじゃないかとも思ってしまうのです。いずれにしても衝撃がぼくの一部を奪うのであればいっそのこと好きにならなければいいのかもしれないけれど、ぼくには好きにならずにいることは無理みたいです。 と何の救いにもならず、気も利いていない文章を垂れ流してしまったことに恥じらいを感じつつも捨ててしまうのはもったいないのでこのまま続けることにします。久し振りに元祖ハイボールで知られる「小島屋」に行ってみることにしました。あれ、店の傍までやって来たけれど、どこか以前と様子が違っています。というか路地裏の店ではありますが、以前は近くに来ればそれなりに存在感を放っていた記憶があります。なんか暗いんですね。そいえば堀切菖蒲園に別邸を所持する知人が「小島屋」の裏の筋の寿司屋に行った話をしていてそばに老舗の酒場があると言ったけどピンと来ていなかったのはそのせいかもしれません。シャッタも半分締まったままで、入って良いものか若干の躊躇はありますが、店を継いだ娘さん(?)がやってるはずだから、そう無体な対応をされることはないだろうと入ってみることにしました。以前より随分席数を限定してこぢんまりと営業をしているようです。そんな状況での営業だからお客さんも本当の常連さんばかりのようで、すっかり眠り込んでいても放りっぱなしにされている人や顔馴染みばかり。顔馴染みは限定とかいう一升瓶を持ち込んで振る舞い酒をしているけれど、当然といえば当然ですが、われわれの元に回ってくることはなかったのでした。できることならこういう内輪めいたやり取りは常連以外(われわれだけ)に気遣って欲しいものです。疎外感が身に沁みます。というかこうして持ち込みを見て見ぬフリをしてしまうのって、ぼくらのような通りすがりの者が目にしたら吹聴されても仕方ないんだから遠慮すべきと思うんですけど、いかがでしょ。にしても色んな意味でかつてのようにはこの酒場の個性的な雰囲気はぼくにとってはあまり好ましくない方へと向かっているように感じられました。
2025/08/18
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TEAM SUPER BESTなるフードコンサルタント業務で実績を上げている企業があるそうな。他人の仕事についてとやかく言うつもりはないから口をつぐむことにします。随分多くのお店の立ち上げに関わっているようです。HPによると「鮨とおでん &アンド」「タレ焼き鳥・土鍋ごはん 青キジ」「牛タンとクリスピー餃子 ひまわり」に加えて今回お邪魔した「骨付き鳥と鶏ダシおでん(秋冬)京味噌もつ煮(春夏) 歩 -Fu-」なんかがこちらの関わったお店のようです。鮨とおでん、タレ焼き鳥と土鍋ごはん、牛タンとクリスピー餃子、骨付き鳥と鶏ダシおでん(秋冬)または京味噌もつ煮(春夏)と2つ(最後のは3つ)の名物を作るのが基本的な営業戦略のようです。まあねえ、名物1つを頼みにしてっていうのは厳しいのかもしれないなあ。でもそれが2つもしくは3つになったからそれが延命に繋がるってのもどうも信じにくいなあ。組合せを見てもなんでこの組合せってつい思ってしまうのだけれど、合理的な理由がきっとあるんだろうなあ。骨付き鳥と鶏ダシおでんなんてなんか分かり易いじゃない。限定された食材に依存するっていうのは大量に食材を仕入れて安定的かつ相場よりも安価に抑えることができるってのは分かる気がするけれど、複数の名物を持つのはリスクを増大させることになりそうに素人目には思えてしまうのです。仮に鶏が病気で仕入れが大事になるってなことになれば、それこそ骨付き鳥と鶏ダシおでんはともに入荷できなくなって多大な損害がもたらされることも想定されるんじゃないだろうか。それを言いだしたら名物なんていうのはどんなものでも多かれ少なかれリスクを抱えているとは思うけれど、名物なしで集客はできないものなのだろうか。季節ごとの食材の入荷に応じた料理を用意するってことになると、腕利きの料理人を雇わねばならないということか。結局は素人がいい加減に考えてどうにかなることでもないし、飲食店のプロですら多くの場合は失敗することを思うと長く続けている店っていうのはすごいなあと改めて思うのです。 という訳で「骨付鳥と鶏ダシおでん(秋冬)京味噌もつ煮(春夏) 歩 駒込店」にお邪魔しました。駅そばの飲食ビルの地下1階にあります。上のフロアのお店が一杯で入れずこちらに流れてきた次第。ぼくは他所で呑んでいたのでちょっと遅れて参戦です。近頃のチェーン系居酒屋は個室ありのプライベート重視のお店が多いような気がするけれど、こちらは相席も厭わぬ開放的なスタイルとなっています。良し悪しはあるけれど個室よりはいいかな。席数がキャパオーバーなのかちょっと窮屈なのは残念だなあ。愚図愚図と能書きを垂れて見せましたが当然、骨付鳥は頼むことにします。丸亀名物ですね。かつての呑み友達が丸亀出身でこの骨付鳥が大好きだったことを思い出します。たまに横浜まで食べに行ったなあ。彼は若くして亡くなったけれど、こんなに身近で食べられるようになるなんてと悔しがる姿が目に浮かぶようです。親鳥は肉質がしっかりして肉の味も濃くて旨いなあ。というかコンサルタントが入っているのは伊達じゃないのかもねエ、肴はどれもこれも美味しくてついつい酒が進みます。早めに帰ろうと思っていたのも忘れて盛大に呑みまくってしまいました。あと一杯を一体何度繰り返してしまっただろう。伺ったのが4月だったから春夏向けの京味噌もつ煮もあったのでしょうが、こちらは見逃していました。お客さんは若い世代のなぜか同性のグループ客が多くてとても賑やかです。ああそうか、個室の居酒屋が好きになれないのは異性グループが多いからなのかもしれないなあ。合コンなど異性を交えた呑みっていうのはとかく不穏な空気が漂いがちであります。そういう意味でこうした開放的なお店っていうのは健全なのかもしれないなあ。
2025/08/17
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レタスはきゅうりなどとともに栄養価の低い野菜として知られています。95%が水分であり、ビタミンCをはじめ各種ビタミン、ミネラルなどを含んではいるものの微々たるもののようです。ぼくは学生時代の本当にお金がなかった頃には、栄養価の高い(高そう)な野菜を買い求めるようにしていました。食べて美味しいかどうかより単純に栄養補給のために食事していたのです。今でも栄養摂取が美味しさに優先する側面がある気もするけれど、レタスやきゅうりなども安かったり値引されていたら買うことも増えてきたから少しは生活に余裕が生まれてきたということかもしれません。ところで時々食べながら思うのが、レタスって本当に美味しい野菜なんだろうかってことです。微かに甘味や苦みを感じるけれど、味も香りもほぼ無味無臭に近い。同じ野菜でも例えばトマトなんかは本当に美味しいものであれば塩すらなくても美味しかったりするのに対して、レタスを丸かじりって気にはなれない。テレビ番組で料理人が生産者のところで色んな食材を丸かじりする様子が放映されたりもするけれど、それは彼らが素材の微妙な味わいを見極めてこれは他所のものとは明らかに違っているということを印象付けるための演出上の要請に基づいているといった側面もあるんだと思うのです。味も香りもさほどないのにそれでも時に無性に食べたくなるのはきっと水分を含んだレタス特有の食感の魅力を知っているからだと思うのです。そして今ではちっとも目新しい食べ方ではないけれど、生食の歯切れがいいレタスもいいけれど、火を通してより強い食べ心地を感じられる食べ方が近頃大いに気に入っているのです。もともと少ない栄養価はさらに落ちてしまう(量さえ取るなら食物繊維の摂取量は増えそうですが)。でもそれはそれでいいのだ。栄養も大事だけど、美味しく食べる事が出来ていさえすれば他の食材でどうにだって栄養補給は出来ると思うのです。レタスのかきたま醤油ラーメン(JA×楽天レシピ)【材料】中華麺(茹でる) 1玉/レタス(千切る) 50g/青ねぎ(小口切り) 1/2本/豚肉(薄切り/一口大) 25g/卵 1/2個/水 300ml/油(ごま) 小さじ1/2/【調味料】醤油 大さじ1/鶏がらスープの素 小さじ1/顆粒だし 小さじ1/4/みりん 小さじ1/2/塩・胡椒 適宜【作り方】1. 鍋に湯を沸かして豚肉を茹でる。【調味料】を加える。レタス、青ねぎを加える。溶き卵を注ぐ。油(ごま)を加える。丼に中華麺を盛って注ぐ。 レタスをさっとゆでる調理法ですね。スープの具としてもレタスは楽しめます。癖がないから味噌汁でも合うし、洋風のコンソメスープやトマト風味のスープ、中華スープなどいかようにも合わせることが可能な案外万能な野菜といえるかもしれません。これは中華スープの応用版みたいなもの。卵との相性もいいのです。オイスターソース炒飯【材料】ごはん 500g/青ねぎ(小口切り) 2本/ベーコン(1cm幅) 50g/卵 2個/レタス(一口大) 3枚/【調味料】オイスターソース 大さじ3/鶏がらスープの素 小さじ1/油(サラダ)・胡椒 適宜【作り方】1. フライパンに油(サラダ)を熱して溶き卵を炒める。【調味料】を加える。ごはん、ベーコン、胡椒を加える。レタスを加える。皿に盛って青ねぎを散らす。 レタスを用いたチャーハンはぼくの子供の頃からそれなりに認知されていました。レタスチャーハンは一般にレタスをごはんと炒め合わせるものですが、ぼくの知り合いは生のレタスでチャーハンをくるんで食べるようです。レタスとしらすの炒め物【材料】レタス(一口大) 6枚/しらす 大さじ3/油(ごま) 大さじ1/塩・胡椒・のり(韓国)・ごま 適宜【作り方】1. フライパンに油(ごま)を熱してしらすを炒める。レタスを加える。塩、胡椒を加えてのり、ごまを散らす。 無茶苦茶簡単なレシピですが、これが非常に旨いです。酒の肴にもいいけど、これをごはんに乗っけて食べるのも美味しいだろうなあ。焼きレタス【材料】レタス(4等分)・バター・チーズ(粉)・ドレッシング 適宜【作り方】1. フライパンにバターを熱してレタスを焼く。皿に盛ってチーズ(粉)、ドレッシングを散らす。 最後に非常にシンプルでレタスを堪能できる食べ方です。こんな簡単だけど、ちょっと御馳走っぽく見えるのもGOOD。キンキンに冷えた白ワインを合わせるのが良かったなあ。
2025/08/16
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どういうきっかけだったかは定かではないけれど、色んなスパイスを試すのにハマっていた頃にニゲラなるあまり馴染みのないスパイスを購入しました。見た目は黒ごまっぽいけれど、明らかに別物であることが見て取れます。床に転がっていたら何かの虫のフンと勘違いしそうな見た目です。台所の収納力がさすがに追いつかなくなっているので、整理することにしたのですが、その過程でニゲラが発掘されたのです。いくらこれまで使わずにいたからといってそのまま捨ててしまうのは、いかにも情けないことです。ということで、手持ちのレシピを眺めてみると、ベルベルとアワゼなるミックススパイス(後者はペーストのようなものか)のレシピが見つかりました。前者を用いた料理のレシピも数品ほど出てきました。いずれもエチオピア料理のレシピです。アワゼも同様でした。どれも肉と合わせて使うみたい。ちょっと肉の気分ではなかったので、何か別な食べ方はないものか。ととぼけてみましたが、実は別にもニゲラを使ったミックススパイスがあるのでした。それはパンチフォロンなる奇妙な名前が付いていますが、これはバングラデシュなどで料理に用いられているようです。ところが、いざ、これを使ったレシピを探してもなかなか見つからない。どうしたものか、すでにこのミックススパイスは調合済みであります。ちょうど手持ちにこれに用いる5種のスパイスがあったんですね。この5種というのがその名前の由来でもあいますが、詳細はネットで数多く説明されているのでここでは割愛。ちなみに以下がその内訳になります。パンチフォロン【材料】クミン(H)・ニゲラ(H)・マスタード(H/ブラウン)・フェンネル(H)・フェヌグリーク(H)(メティ) 大さじ1【作り方】1. 全ての材料を混ぜる。 さて、どうしたものかと思っていたら、この5種のスパイスを並べてネットで検索してみるといくつかのレシピが見つかりました。なので、以下のレシピのベンガル風とあるのは、5種が列記されていましたが、ここではパンチフォロンという記載に統一しています。クミンとマスタードはよく用いますが、フェンネルやフェネグリークはかなり癖があるので、正直ちょっと持て余し気味だったのです。この5種の組合せで果たして大丈夫なんだろうかとちょっと不安になりますが、何にしても試してみないことには判断できません。ということでお試し的に見つけることのできた3種のレシピを作ってみることにしました。ポテトのサブジ[バングラデシュ]【材料】じゃがいも(皮を剥く/一口大) 2個/青唐辛子(小口切り) 1本/パンチフォロン 小さじ1/ギー 大さじ1.5/ターメリック 小さじ1/2/カイエンペッパー・塩 小さじ1/2【作り方】1. フライパンにギーを熱してパンチフォロンを炒める。じゃがいもを加える。青唐辛子、ターメリック、カイエンペッパー、塩を加えて蓋をし、10分蒸し焼きにする。 おお、ちゃんとサブジの味っぽくになってますね。じゃがいものサブジはクミンやターメリックなど控え目なスパイス遣いをすることが多い気がしますが、これはまた独特の風味でくせになりそうです。ベンガル風キャベツサラダ【材料】キャベツ(千切り/塩揉み) 1/2個/塩 小さじ1/2/パンチフォロン 小さじ1/赤唐辛子(砕く) 1本/にんにく 2片/油 大さじ1【作り方】1. フライパンに油を熱してパンチフォロン、赤唐辛子、にんにくを炒める。2. ボウルにキャベツに入れて1.をまぶす。 キャベツの千切りにテンパリング(でいいんだよね)したパンチフォロンを和えただけの簡単お手軽レシピです。ヘルシーで悪くないけれど、ちょっとパンチが足りないかな。ベンガル風レンズ豆のカレー【材料】レンズ豆(茹でる/マッシュ) 200g/水 700ml/玉ねぎ(みじん切り) 1/2個/にんにく・生姜 小さじ1/油 大さじ3/コリアンダー(P) 小さじ1/塩 小さじ1/【ホールスパイス】パンチフォロン 小さじ2/赤唐辛子 3本【作り方】1. 鍋に油を熱して【ホールスパイス】を炒める。玉ねぎ、にんにく、生姜を加える。コリアンダー、塩を加える。レンズ豆を加える。 おお、こりゃ旨いですねえ。レンズ豆のカレーってちょっと単調になりやすいので、複数のカレーを組合わせたりすることが多いと思うのですが、これはなかなか深みのある味なのにマイルドなのでそのまま単体で食べても飽きずに食べ進められます。3種の中ではこれが一番好みでした。無茶苦茶手早く作れるので、定番入りするかも。
2025/08/15
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ぼくが子供の頃に住んでいたとある町には、居酒屋が一軒も存在しませんでした。随分昔のことになるから、当時の記憶を頼りにするしかなく、今となっては確認することも難しいと思うけれど、界隈には居酒屋どころかスナックすら存在しなかったように記憶します。覚えているのは大型の中華料理店、個人経営の中華料理店、ちゃんこ屋、お好み焼店の4軒きりだったはずです。両親はいずれも酒呑みだったから自宅から近かった大型中華もしくはちゃんこ屋を居酒屋代わりに度々訪れたものです。外呑みどころか外食すら敬遠する人もいるみたいだから近所に居酒屋がないことをとあかく述べるのは下らないことかもしれないし、扶養されていた当時と違って今のぼくはその気になりさえすれば自分の意志で転居することも可能なのだからどうしても酒場のある町に住みたいならそうすればいいだけのことなのだ。そう呟きつつ、実のところぼくの今住んでいる町は、かつてのようにまるっきり酒場がないってことはないけれど、好んで通いたいと思える酒場がないのだから、結果的には存在しないのと似たようなものなのかもしれません。つらつらと酒場不毛地帯について、述べてはみましたが、住民にしてみたら酒場など存在しない町の方が治安面や物件価値を高めるのに有利だったりするんじゃないだろうかって思えたりもするのです。コンビニ・スーパーや病院、学校、役所、交番などの生活インフラが整っていさえすれば、居酒屋がなくたって生きていくには十分なんじゃないだろうか。酒を呑むだけなら別に店でなくたっていいはずだし、何より家で呑んだ方が安上がりであります。しかも慢性的な閉塞感がもたらす(?)凶悪犯罪も増加しているように感じられ、遠からず日本も夜間に酔っ払って徘徊するなどということが難しくなるようにも思えるのです。日が暮れるつれて町場は暗くなるというのが当たり前になるんじゃないだろうか。そんな未来が待ち受けていても不思議ではないし、実際そうなっても仕方のないことなんだろうとも思えるのだ。 千葉で最もおハイソな町と言われたりもするらしい国府台界隈でありますが、ここは正しく正統派の酒場不毛地帯です。繁華街が衰退しての成れの果てではなく、もとより町の風紀を乱しかねぬ物件を寄せ付けなかった由緒正しい町なのだ(多分)。「やき鳥 おにぎり 菊乃家」は構えこそそれなりにハードな外観を留めているけれど、こうした町で命脈を保ち続けただけあって、どこかしらお上品な印象を受けるのだ。その上品さの根源は店の女将さんにあるんじゃないかと思っています。実際に親しく言葉を交わしたわけではないから単なる印象に過ぎぬのだけれど、彼女の応対や振舞い、言葉遣いなどを垣間見るにそうした印象が間違いではなさそうだと確信するに至ったのだが、あくまでこれはぼくの確信に過ぎぬのだ。それにしても酒場不毛地帯にこうした酒場らしい風情を留めたお店が現存しているのは実に素敵なことに思われます。この一軒がいつまでもここに残っていることが保証されるならば、老後であればここに住んでもいいと思えそうです。どうせぼくがリタイアする頃には毎夜呑みに行くなどという贅沢はほぼ期待できないだろう。つまり週に一度行きたいと思えるような酒場なのです。何がいいってここで過ごす時間がとてもゆっくりとしたものに思えることです。テレビの電源が付きっ放しになっていて,普段家でテレビなど眺めていると時間に追い立てられているような気分に陥るものですが、ここではテレビが娯楽だった時代のノスタルジーの一部となってほんのりと悲しくもあるけれど、懐かしい気分に浸れるのです。感傷的であることを恥じるといった武装を解除してくれるのです。などとほざいてみるけれど、茗荷と和えた古漬けなんかのさり気ないつまみでゆるゆるやる、そんなあくせくしない贅沢な時間を過ごせるというのは、これこそ繰り返しになるけれど贅沢極まりないと思うのです。
2025/08/11
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お気に入りの店でゆっくり呑みながら過ごすのは楽しいものです。楽しい理由は様々ですが、目白台のお気に入りのビストロは、料理が美味しくてお手頃なこと、店の雰囲気が良いこと、そして何よりずっとワンオペを続けるシェフの人柄が大好きなのです。こんな店で過ごすのだから楽しくないはずがないのだ。でもそんな楽しい店だからいつだって予約客で埋まっています。いつだってシェフは休んでる暇もなく店内狭し(実際にそう広くはないのですが)と駆けずり回っておられます。以前は客を入れ替えて2回転していたそうですが、今は体力気力が落ちてきたそうで、余程のことがないと無理してお客さんを迎えることもなくなったそうです。同世代だから分かるなあ。ぼくは大概19時頃に予約してお邪魔することにしているのですが、その時間帯は前菜からメインに移る、もしくはデザートを注文といったお客さんが多くて、一番忙しい時間帯なのかもしれませんが、その分ゆっくりとできるように思えて気に入っています。日頃、居酒屋でもじっくりと腰を落ち着けて呑んだり食べたりできない質なのでこういう時位は贅沢に時間をかけることにしています。 さて、「ル・マルカッサン(Le Marcassin)」ですが、店内に入ってちょっと違和感を抱きました。すぐに気付いたのですが、椅子やテーブルといった家具類が以前と違っています。この間までは木製の背もたれ付き丸椅子が主流だったと思うのですが、今はもっと頑丈そうな椅子がメインとなったようです。テーブルにからはクロスがなくなりました。ちょっと残念な気もしますが、毎度毎度でクロスの交換は大変だったに違いない。後で聞くと椅子は随分古くなって、数回壊れてしまうという事故があったので、入れ替えたそうです。クロスはクリーニング代高騰が大きな理由。自分で洗ってみたりもしたけれど、油染みはどうしたって落とし切れないので諦めざるを得なかったとのこと。そりゃ仕方ないよねえ。でもそれ以上に気掛かりだったのは父子2名客以外にお客さんの姿がなかったことです。隣席がセッティング済みだったけれど、予約が入っている訳じゃないようです。これまたシェフご本人が語ったところでは土曜の夜にここまで空いているのは珍しいとのこと。確かにぼくの限られた経験でもここまで空いているのは、店名が変わる前に通り掛かった夜位しか心当たりがありません。余りの暑さに皆さん参ってしまって食欲が落ちているんじゃないかと思うことにしました。お馴染みのアミューズのリエットはこの夜はサーモンでした。ハーブはディルとのこと。前菜のお肉のテリーヌとスナギモのコンフィに添えられたきゅうりもディルでした。ナスが優しい味わいでもっと食べたかったなあ。鹿肉のステーキにはマッシュポテトが添えられていました。同伴が頼んだ鴨のコンフィにはフレンチポテトが添えてありました。デザートは桃のクラフティー。ヌガーグラッセを頼むのが定番ですが、たまには違うのもいいもんだなあ。といった次第で、いつものように美味しく頂きましたが、暑さで冷たい食べ物が増えていたせいか、いつもより胃腸が疲れちゃったかも。でもいつもは忙しいシェフとも近況などお喋りもできたし、楽しいひと時でありました。
2025/08/10
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外国における鰻の扱いは頗る酷い物であります。英国でも口にされることはあるようですが、ネットでの評判も酷評ばかりであります。その食べ物の評価は概ね以下の意見とそう違いはしないんじゃないだろうか。--中谷宇吉郎「風土と伝統」 例えば、日本では鰻といえば、まず第一等の御馳走である。ところが欧米の諸国では、鰻が最下等の食物とされている。鰻以下のものといえば章魚くらいのもので、これは悪魔の魚(デビル・フィッシュ)といって、犬も食わないものになっている。この点既に日本とは大分変っているが、それよりも鰻の方がもっとわかりよい。鰻は人間も食べるが、しかし最下級の貧乏人の食うものになっている。-- 実際には金持ちにも鰻好きはいるんだろうし、必ずしも安魚ではなさそうに思えるけれど、多くの人から見向きもされないのはきっとそうなんだろう。ちなみに「章魚」は「タコ」のことです。さて、調理法として以下が紹介されています。 -- スープといっても、透明なコンソメの方である。薄黄色の汁の中に、鰻を一寸くらいの長さに輪切りにしたものが、五つ六つ浮いている。骨ごと鰻をぶつ切りにして、塩味の水でただ煮ただけである。皮が白くふやけて、ぶよぶよになっている。そして汁の表面には脂がぎらぎらと、肝油を入れたように光っている。一目見ただけで、もううんざりしてしまった。とてものどに通るものではない。しかし夫人は「うちでは鰻は食べたことがないが、今日はあなたのために初めてこの料理をしたのだ」と、甚だ親切である。こうなってはどうにもならないので、我慢して到頭食ってしまった。あんなまずいものは、一寸無い。嘘だと思ったら、一度ためしてみれば、すぐわかる。気の毒なのは、ここの主人と子供たちであって、皆妙な顔をして黙って汁を吸っていた。-- 確かにこれはちょっときつそうだなあ。食えないことはなさそうですが、思った以上にブルブル食感で気色悪そうです。ゼリー寄せなんかもしばしば目にするけれど、このスープが煮凝り化したものがそれなのかもしれません。もしかすると日本の鰻とは別物なのだろうか。-- なるほど鰻はまずいものであるということが、この時初めて身に沁みてわかった。蒲焼にしない鰻というものは、こういうものである。それでしばらくして後、この夫人を、ロンドンに一軒あった日本人の鰻屋へつれて行った。そして蒲焼を食わせたところが、非常に驚いて、なるほど、日本で鰻を珍重する理由がよくわかった。こういう料理をすると非常に美味いとひどく感心していた。-- あらあら、ここで使われている鰻はロンドン産の鰻だと思われるので、単に蒲焼きにすれば日本の鰻とは仮に違っていたとしても似ているらしい。--料理法を鰻屋の主人からいろいろと聞いていたその夫人は、なるほどこれはヨーロッパでは出来ないはずだ。醤油(ジャパニーズ・ソース)がないとこの料理は出来ないからと感心していた。私もなるほどそうだなと、初めて日本料理の重大要素が、醤油であるということを発見した。-- これが答えかあ。ぼくは白焼きも好きで、美味しいと思って食べます。醤油やわさびが添えられているから使うことが多いけど、なくたってレモンでも絞ったら美味しく食べてしまうはずです。中谷氏や知人の夫人の想像は必ずしも当たってはいないように思えるのです。うなぎの焼き卵とじトースト【材料】食パン(6枚切/トースト) 1枚/鰻の蒲焼き 1/2枚/酒 40ml/卵(塩、砂糖を混ぜる) 1個/たれ(付属) 1袋/塩・砂糖・油(サラダ)・あおさ・粉山椒 適宜【作り方】1. フライパンに鰻の蒲焼きをのせて酒をふり、蓋をして加熱する。一口大に切る。2. フライパンに油(サラダ)を熱して卵を食パンサイズに成形する。1.を並べる。食パンにのせてたれ(付属)をかける。トースターで5分焼く。あおさ、粉山椒をふる。【備考】dancyu 「ふんわり甘い"うなぎの焼き卵とじトースト」https://dancyu.jp/recipe/2022_00006517.html 卵と鰻も好相性です。玉子焼きを鰻のタレで食べるのも旨そうです。前々から試してみたかったこのレシピ、思った以上に美味しいです。うなぎサンド(サライネス著『誰も寝てはならぬ』)【材料】食パン(サンドイッチ用) 2枚/バター・マヨネーズ・鰻(蒲焼き/トースターにかける)・レタス(一口大)・チーズ(スライス)・きゅうり(斜め切り) 適宜【作り方】1. 食パンにバター、マヨネーズを塗って鰻蒲焼、レタス、スライスチーズ、きゅうりを挟む。 でも先のレシピほどには工夫のないこのレシピ、さらに美味しい。バターと蒲焼きのタレの味が抜群に旨いのです。もしかするとトーストした食パンにバターとタレを塗って食べたら結構それだけでも旨いんじゃないかなあ。ツメがあるから今度試してみようかな。鰻入りポテトサラダパン【材料】パン(トースト)・鰻(蒲焼き)・じゃがいも(茹でる/皮を剥く/マッシュ/マヨネーズ、塩、胡椒を混ぜる)・マヨネーズ・塩・胡椒・粉山椒 適宜【作り方】1. パンにポテトサラダ、鰻をのせて粉山椒を散らす。 ポテサラと鰻も合点のいく組合せです。もったいないからやらなかっただけですが、今回は思いのままに食べてみようという趣向なので丁度良い。試してみたら悪くないんだけど、想像の域を脱しないのですね。パンに挟んでも一緒。上記のうなぎサンドではマヨネーズがそんなに主張しなかったのに、この食べ方だと鰻がマヨネーズに負けちゃっているように思えるんですね(つまりあんまり鰻感がない)。これは改良するかもしくは今回限りの思い付きでお蔵入りすべきかも。
2025/08/09
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北大路魯山人が「料理メモ」で鰻蒲焼について以下のように述べています。*うなぎ好きは食通の至ったものではない。うなぎやてんぷらの美味さは高の知れた美味さだ。これをやかましく喜ぶのは低級な食道楽だ。*うなぎもあたたかいうちに食べる。往年、上野駅前の山城屋主人なる通人の食べ方を見るに、四枚重ねて片方から食べていったのを見て感心した。*うなぎは中串以下の大きさが美味い。*養殖のうなぎはまずくてくさい。*八幡巻きのうなぎは火箸のようなびりうなぎが適す。*うなぎをじかに焼く関西風と、関東風の蒸し焼きといずれがよいか。関西風はうまいが堅い。めいめい好きな方をやればいい、一得一失。*うなぎ酒は蓋茶碗にうなぎの焼いたのを入れて熱い酒をかけて、茶碗の蓋をしたまま飲む。この場合は関西風の焼き方にかぎる。*所詮うなぎは飯の菜で酒の肴にはならない。 相変わらず偉そうだなあ。「高の知れた美味さ」なんだと。うるせいや、こちとら食通でもなんでもないから嬉々として食べる事にするよ。と口走ってはみるけれど、今や鰻は庶民にとって高嶺の花なのだ。どうしたものか最近は鰻の稚魚が大漁となっているらしく来年にはいくらか価格が下がるかもしれぬということであるが、その一方で雨不足で米の収穫が危ぶまれているとのことだから鰻丼なり鰻重の主たる材料たる蒲焼き、飯の両方で価格が下がることはあまり期待できそうもないのです。今年の夏は鰻は素通りすることにしようかと思っていたら、近所のスーパーで巨大な蒲焼きがお手頃価格で販売されていたので思わず手に取ってしまったのです。当然ながら中国産で味はあまり期待していない。というか、成分表示を眺めると添加物が大漁に使われているのが見て取れます。いくら中国産の養殖ものといっても鰻にここまで旨味を添加するのはどうにも理解ができぬのだ。なので鰻にべっとりと絡んだタレはすぐに洗い流してしまうことにしたのだ。で、1cm幅程度の短冊に刻んで酒をまぶしてレンチンしました。鰻丼にしてもさすがにあまり旨いとは思えなかったのです。タレはちょっと質のいいツメが冷蔵庫にあったからこれを活用すればよかろう。結果、これが案外良かったのです。せっせと蒲焼きのアレンジレシピを発掘したり、思い付きであれこれ作ってみることにしました。鰻の混ぜごはん【材料】酢飯(付属のたれを混ぜる) 1膳分/鰻(蒲焼き/酒をまぶす/電子レンジ(600W)で30秒加熱) 1/4枚/酒 小さじ1/きゅうり(薄切り/塩揉み/絞る) 1/4本/大葉(千切り) 8枚/カイワレ大根(4等分) 1/3パック/【トッピング】粉山椒・ごま(白)・のり(刻み) 適宜【作り方】1. 器に盛って【トッピング】を散らす。 これはまあいかにもありがちな混ぜ寿司です。家に会って食材を使ったのですが、個人的には酢漬けの生姜も欲しかったかなあ。鰻の寿司ってあんまり好みではないけれど、こうして混ぜ混むとなかなかいいなあ。鰻玉丼【材料】ごはん 1膳分/鰻(蒲焼き/1cm幅) 1/2枚/玉ねぎ(くし型切り) 1/4個/カイワレ大根(4等分) 1/3パック/卵 1個/【調味料】みりん 大さじ1/醤油 大さじ1/2/だし 100ml【作り方】1. 鍋で【調味料】を沸かして玉ねぎを煮る。鰻を加える。溶き卵を注ぐ。器にごはんを盛ってのせ、カイワレ大根を散らす。 これまたいかにもありそうな品ではありますが、実際にお店の品書きにこれを目にしたことはないのです。これこそ安い鰻を美味しく食べるのに適したレシピに思えるなあ。鰻チャーハン【材料】ごはん 1膳分/鰻(蒲焼き/1cm角) 1/5尾/蒲焼のたれ 1袋/玉ねぎ(1cm角) 1個/卵 1個/カイワレ大根(4等分) 1/3パック/油(サラダ)・塩・粉山椒 適宜【作り方】1. フライパンに油(サラダ)を熱して溶き卵を注ぐ。ごはん、玉ねぎを加える。鰻、蒲焼きのたれ、塩を加える。カイワレ大根を加える。皿に盛って粉山椒を散らす。 これまたいかにもなメニューでありますが、普通ならもったいなくてとても試してみたいとは思えない品ですが、想像の範囲ではありますが、なかなか美味しく頂きました。 どうしても鰻と白米って組合せから逃れられていないように思えるかもしれませんが、次回(明日)はごはんとは無縁のレシピなのでご期待とまでは言わぬまでもまあお楽しみにと言っておきます。
2025/08/08
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池袋という町は、ビックカメラのCM曲にもあるように「東の西武に西東武」と駅の東西にデパートを擁する構造となっていて、駅に百貨店が併設しているというよりは百貨店がそのまま駅となっているといった方が適当に思える位に駅と百貨店が密接しています。新宿駅にも小田急と京王の二つの百貨店が隣接していますが、池袋ほどには一体化していないように思えます。東京駅の大丸や渋谷駅の東急なんかもそれに近い印象です。駅との一体感が池袋が最も顕著という感じがします。一方でその利便性が池袋という町を閉鎖的にしているようにも思えますし、台風なんかの災害時でも駅から出て風雨に曝されることもなく安穏とショッピングを楽しめるという訳です。そんな便利なもんだから池袋駅構内はいつだって無茶苦茶に多くの人がひしめき合っていて辟易とさせられるのだ。でも今になって多少の人混みも家具やら食器の売り場あるフロアーなんかだと閑散としていて悠々自適と快適に過ごせるだろうなあと思うのです。なんで今になって惜しむ発言をするのかといえば、ご存じの通り池袋西武がヨドバシカメラに乗っ取られてしまい、すったもんだの挙句に売り場面積と業態を縮小して全面的な占領だけは免れるという事態となった訳です。残されるのはハイブランド、化粧品、地下食料品店に絞られた店舗とのことで、これでは散歩コースとしては用をなさない。一方の東武も閉店やらリニューアルやらの噂が絶えず囁かれているという状態です。ぼくは電気製品に対してまるっきりといっていい位に関心が湧かない質なので、ただでさえ秋葉原を凌駕しそうなほどに電器街化しつつある池袋でありますが、駅直結の商業施設としての役割を留めるならまだ良しとすべきなのかもしれません。おっと、遥か先に思える老後の生活を想定して無駄な想像を積み重ねてしまった。 この日のお店は池袋駅の東口方面、うら寂しい地下通路を抜けた先にあります。西口は副都心線の開業に伴い地下通路はエチカ池袋として整備されましたが、東口側はあくまでも通路としての機能しか有していないのがもったいないと常々思っています。特に39番通路は有楽町線の上を通る地下通路で、もう少し伸ばせば南池袋公園、さらに頑張れば豊島区役所まで延長できそうで、いかにも中途半端なものとなっています。と言いつつかつてはこの地下通路、愛用していたんですね。というのもこの通路の何が良いって、人通りが非常に少ないのだ。実はこの上を通る地上の道も人の往来が少ないんだけど、地下だと信号待ちもないからよりスムーズに移動できるのです。駅のダストシュート的な通路だと思ってます。この通路に飲食店などが出店できれば面白いだろうなと思ってみたこともあるけれど、そうなったらこの便利さは損なわれるのかもしれないなあ。この通路の末端で地上に出ると目指す店は目と鼻の先です。「大衆イタリアン かね子 池袋店」にお邪魔しました。かね子を「加根子」(ぼくは女優の岩崎加根子を思い浮かべました)など、女性の名前と思い込んでいましたが、調べてみたら「金子」という名字から来てるみたい。経営母体である株式会社GCCPの代表取締役が金子和央さんという方なんですね。随分以前に秋葉原の「金子屋」ってもつ焼き店で呑んだことがありますが、そこが店舗と業態を拡大していたみたいです。この日、ご一緒したのはぼくが就職してすぐに仲良くしてもらって、知り合ったその夜にイタリアンに連れてってくれてご馳走してくれた人なのでした。その人は下戸なのによく呑みに付き合ってくれました。しばらく付き合いが途絶えていたんですが、最近になって時折呑みに行くような間柄が復活しました。ということでピザやパスタを摘まむことを想定していたのですが、互いに年を取ったなあ、結局魚介のアラビアータが唯一イタリアンっぽいつまみでした。味はまあ悪くはないけどねえ、自分で作った方が上手に美味しく作れそうだなあ。店の人たちは感じがよくて好感が持てたけど、いかんせん席が窮屈過ぎるのだ。そこを頻繁に人が通り抜けていくからさらに気を遣う。席が狭いということはテーブルも狭い訳で同時の注文は2品がいいところかなあ。まあ、値段も手頃だしこれで文句を言っては気の毒かなあ。でも次があるなら席選びには慎重になった方が良さそうです。
2025/08/04
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西川口には、時折コメントして頂いているハードコア丸山さんから良さそうな酒場の存在を教えていただいているから、近いうちに行きたいと思っているのですが、今年の夏は余りにも暑くてなかなか出向こうって気分になれずにいます。日参する酒場の常連であるご隠居は、毎日飽きもせずぶらぶらと散歩の日々を送っているらしいがさすがにこの暑さには身体の危険を感じるらしく電車で東京駅まで行って快適な地下街散策をすることもあるようです(アド街でもやってました)。彼に言わせると上野は暑いし、赤羽は退屈とのこと。改札を出ないで構内だけでも充実した施設があるし、椅子もある休憩場所にも事欠かないから非常に重宝すると昨夜も申しておりました。ぼくなど用もなく出歩くのは面倒だと思ってしまうから、随分先のことではあるけれど、自分が隠居したらノルマとして毎日適度な距離を散歩することを自らに課さねばなるまいな、なんて思っています。でもこの季節はさすがに炎天下を歩き回るのは命に関わりかねぬ。現在、都内では猛暑日はあってもさすがに気温40℃には達することはないけれど,近い将来にはそれが日常となると想像することも必ずしも荒唐無稽とはいえぬのではないかと思っています。となると商業施設内をぶらぶらするのが正解に思えはする。田端住まいの常連さんはわざわざ電車に乗って東京駅に出向くようですが、ぼくは混雑している場所は苦手だからそれは避けたいなあ。確かに、田端駅近くだと比較的大きな商業施設といえばアトレヴィ田端程度しかないけど、書店もあるし、椅子もそれなりに置かれているからそれで良しとする手もあると思うけど。別な知人はパチンコ屋の休憩所で音のしないテレビを眺めて日がな一日を過ごす人もいたけれど、それもねえ。ぼくも将来、無駄に時間を食い潰すことのないように今のうちから備えておくべきかもしれないなあ。イカン、話が西川口からすっかり逸れてしまった。 西川口の人たちならどこが快適散歩スポットとなるんだろう。以前なら「イトーヨーカドー」だったんだろうけど、閉店しちゃったからなあ。さすがにごちゃごちゃしている「ドン・キホーテ」ではのんびり散策って訳にもいかないだろうし。ペットのワンコたち同様に人間も朝晩の日中よりは幾分か涼しい時間帯を選ぶしかないんでしょうかねえ。でもこのまま日本の経済状況が悪化の一途を辿ったらうかうか散歩もできなくなるかもしれないしねえ。居酒屋で酔っ払うなんて贅沢も今のうちの愉しみなのかもねエ。ということで、唐突に呑み屋の話ですが、今回は「創作だいにんぐ 英」に行ってきました。にしても創作ダイニングってのも何だか分かったような分からぬような標榜ですねえ。「創作」は、今までになかったものを作ることの意だとしたら今までなかった食事ってことになるんだろうなあ。「ダイニング」を敢えて「だいにんぐ」としたのはどういう意図なんだろう。和風の食事ってことを暗に示しているということか。ということで何を食べたのか思い起こそうとするのだけれど、ちっとも浮かんでこない。覚えているのは奥にまっすぐのびた長いカウンターと他のお客さんが一人もいなかったことです。なので、入店直後には「創作だいにんぐ」なる珍妙な言葉について思いを巡らす余裕は失せていたのでした。それにしても店の方はこんなに空いていても意に介する風もなく平然と構えているのが不可解なのだ。われわれの酒の注文に応じるとスッと姿を消して商売っ気がまるで感じられないのだ。カウンターに仁王立ちされて注文どんとこいっていった感じの圧をかけられるのよりは余程いいのだけれど、もうちょいやる気を見せてもよさそうだと思うんですけど。ってネットで店の情報を見てみると、なかなか豪快な料理写真が並んでいるのでありました。そうかあ、われわれはしみったれた注文しかしない客と見切られていたわけなんだろうなあ。にしても写真で見る限り、その料理からはほとんど和のムード汲み取ることはできないのでした。
2025/08/03
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タモリ氏について、語りたいことはあまりありません。子供の頃から『タモリ?楽部』は、好きでよく見ていたけれど、今となってはそれがタモリ氏のキャラクターに追うものであったかどうか定かではないのです。主にデビュー前後の交友関係や毒気を孕んだ芸の数々については、すでに実際に現場に立ち会った方たちの証言も多く残されています。単なる一視聴者でファンですらないぼくが氏のことをあれこれ語ったり、ましてや評価したりすることはできはしないでしょう。ただ一つ言えることは、氏がぼくの生まれる以前からテレビで目にしないことはほとんどないままに現在に至っていることには驚きを感じざるを得ません。数年前から長寿を続けていたいくつかのレギュラー番組を終了させた頃、そろそろ引退準備を始めたのだと若干の寂しさを感じたけれど、最近になってまた仕事を増やし始めたように思われます。氏は隠居生活への意向に失敗したんじゃなかろうか。ぼくの身近にも一度退職して悠々自適(では必ずしもないのかもしれないけれど)と余生を過ごすものと思われたし、当の本人も退職前はのんびり趣味をして生きていきたいなんて語っていたりしたのに、数年の沈黙期間を経た後に嘱託なりの身分で職場に舞い戻ってきたりするのです。最近の若い世代には40前後での引退を目途にしたり、実際にファイヤーしちゃったりするのとは真逆の生き方です。氏の仕事っぷりは粛々とこなしているように思っていましたが、仕事こそが趣味のひとつ、それもかなりのウェイトを占める趣味なんじゃないだろうかなどと思ってしまうのです。 氏は料理も好きということらしいけれど、彼が自身の番組なんかで料理している姿は、ちっとも苦とは感じていなさそうで、でもすっごく楽しいって感じでもない辺りが番組を司会するのとほとんど同じノリに思えるのでした。ピーマンの煮びたし(写真不明)【材料】ピーマン(4等分) 5個/油(サラダ) 大さじ1/鰹節 適宜/【煮汁(混ぜる)】醤油・みりん・酒 大さじ1/顆粒だし 小さじ1/水 50ml【作り方】1. フライパンにサラダ油を熱してピーマンを焼く。【調味料】を加えて2分煮る。皿に盛って鰹節を散らす。 非常にシンプルな料理でああります。タモリ氏の作る料理っていうのは概してシンプルなものが多いようです。結局、多くの日本人の好む味っていうのがあるってことなんだろうなあ。どこか氏のタレントとしての生き方とも通じるように思えたりもするのでした。ピーマン丼(タモリ)【材料】ごはん 2膳/ピーマン(縦6等分) 5個/油(ごま)・醤油 大さじ1/みりん 小さじ1/顆粒だし 適宜【作り方】1. フライパンにごま油を熱してピーマンを焼く。醤油、みりん、顆粒だしを加える。冷蔵庫で一晩置く。丼にごはんを盛ってのせる。【備考】タモリレシピ実践録https://tamosan-recipe.hatenablog.com/ これまたピーマンの煮浸しですが、微妙に材料と作り方がが違ってますね。こちらの方がぼくは好きだったなあ。ある意味、ピーマンってのは簡単な調理でも旨いってだけなのかもしれません。ハムエッグ丼(タモリ)【材料】ごはん 適宜/ハム 1枚/卵 1個/キャベツ(千切り)・マヨネーズ・醤油・胡椒・粉チーズ 適宜【作り方】1. フライパンに油を熱してハムを焼卵を落とし、醤油をかける。2. 丼にごはんを盛ってキャベツをのせ、マヨネーズをかけて1.をのせる。胡椒、粉チーズを散らす。 美味しいんだけどねえ、レシピってほどのもんではないような気がします。普段の朝食をそのままごはんにのっけてみましたってだけかなあ。変に凝った料理寄り、単純な料理の組合せっていうのが実は美味しかったりする気がします。カレーライス(タモリ)【材料】ごはん 適宜/鶏肉(一口大/【下味】を揉み込む) 500g/油(サラダ) 大さじ1/水 1L/チャツネ 大さじ1/2/ワイン(赤) 75ml/トマト水煮 75g/玉ねぎ(みじん切り) 1/2個/にんにく・生姜 小さじ1/2/カレー粉 大さじ1/クミン(P) 小さじ1/牛乳 1/4カップ/ヨーグルト 大さじ1/【下味】カレー粉 大さじ1/クミン(P) 小さじ1/【調味料】醤油・砂糖 適宜/チーズ(ピザ用) 30g/塩 小さじ1/【マッシュポテト】(混ぜる)じゃがいも(茹でる/皮を剥く/マッシュ) 2個/カレー粉 小さじ2/牛乳 25ml/塩 適宜【作り方】1. フライパンに油(サラダ)を熱して鶏肉を焼く。2. 玉ねぎ、にんにく、生姜を炒める。カレー粉、クミン(P)、牛乳、ヨーグルトを加える。3. 鍋に湯を沸かして1.、チャツネ、ワイン(赤)、トマト水煮も加える。2.、醤油、砂糖、チーズ、塩を加え蓋をし、弱火で2時間煮る。蓋を取って強火で15分煮る。4. 皿にごはん、3.を盛って【マッシュポテト】を添える。 例外的に結構面倒で時間もそれなりに要するカレーでした。材料も結構揃えるのが面倒ですしね。それとやはりマッシュポテトはちょっと違うかなあって気がしました。カレーそば【材料】そば(茹でる)・カレールー・だし・醤油・みりん 適宜【作り方】1. 鍋にカレールー、だし、醤油、みりんを沸かす。丼にそばを盛って注ぐ。 そのまま食べるのは厳しかったので和風にアレンジしてそばで食べました。だしの旨味が功を奏したようでこちらの方が美味しく頂けました。
2025/08/02
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ぼくにとっては、納豆カレーっていう食べ物はひとり暮らしを始めた頃から馴染みのあるものでした。札幌のスープカレー(実物を食べたことはない)や「ココ壱番屋」(一度しか食べたことがない)でもトッピングの定番のようだから、今ではすっかり市民権を得ているので、今更何を言ってるねんと思われた方もいるはかもしれません。別にぼくはここで、自身に先見の明があったとか自慢しようと思っている訳じゃなく、若い頃はいつも金欠だったから安売り商品や値引き商品を狙って買い求めたら納豆があって、家にはほとんど具のなくなったカレールーが残っていたらそれこそ何だって放り込んで食べたものです。豆腐は工夫なしでそのまま煮込んだら非常に不味かった記憶があるけれど、今では工夫次第で驚くほど美味しくなることも知りました。そんな中で納豆カレーは必然的にぼくの貧しい食卓に上ったまでのことです。その時の感想は、不味くはないけどさほど旨くもないといったものでした。そしてそれは様々なレシピに基づいて作ったものでも変わらないのです。何となく作っては食べを繰り返すけれど、いつでも抱く感想は別々に食べた方が美味しいなあという結論になるのでした。納豆カレー(うえやまとち著『クッキングパパ』)【材料】ごはん・納豆(醤油 or 添付のたれを混ぜる)・玉ねぎ(くし型切り)・ニンジン(一口大)・じゃがいも(一口大)・カレールー・油(サラダ)・水 適宜【作り方】1. 鍋に油(サラダ)を熱して玉ねぎを炒める。ニンジン、じゃがいもを加える。水を加える。カレールーを加える。納豆を加える。皿にごはんを盛ってかける。 初めて作った納豆カレーはこのまんまだったはず。肉も入ったかな。今にして原点に帰った訳ですが、やはりこんな程度なのかなあ。納豆カレーライス【材料】ごはん 1膳分/納豆(ひきわり) 1パック/玉ねぎ(みじん切り) 1/4個/生姜(みじん切り) 1/2片/にんにく 1片/ラード 小さじ2/水 250ml/顆粒だし・鶏がらスープの素 小さじ1/2/カレーフレーク 大さじ2/卵 1個/【スパイス】クミンシード・クミンパウダー・ターメリック・カイエンペッパー・コリアンダーパウダー 適宜【作り方】1. 鍋にラードを熱して玉ねぎ、生姜、にんにくを炒める。クミンシードを加える。納豆を加える。【スパイス】を加える。水、顆粒だし、鶏がらスープの素、付属のタレを加えて煮る。カレーフレークを加える。皿にごはんを盛ってかける。卵をのせる。 ちょこっとだけインドのスパイスカレー風です。まあ想像の範囲内です。どこからのレシピの引用ですが、このスパイスの組合せと納豆に必然性はあるのだろうか。納豆カレー(かれー屋 伊東)[日本・富山県富山市]【材料】ごはん・カレールー・卵(納豆、醤油を混ぜる)・納豆・醤油・バター 適宜【作り方】1. フライパンにバターを熱して卵(納豆入り)を焼く。2. 皿にごはんを盛って1.をのせ、カレールーをかける。【備考】https://www.freenavi.co.jp/article/14324 改めて参考にしたページを見てみたら全然模倣になってないじゃん。でもまあ味にはそう違いはなかろう。これは納豆オムレツだから納豆の臭いや粘りはかなりマイルドになります。納豆の和風キーマカレー(笠原将弘)【材料】ごはん 400g/豚肉(ひき肉) 150g/玉ねぎ(みじん切り) 1/4個/椎茸(みじん切り) 3枚/カイワレ大根(2等分) 1/4パック/卵(茹でる/2等分) 1個/納豆(ひきわり/水で洗う) 1パック/油(サラダ) 大さじ1/塩 適宜/カレー粉・味噌 大さじ1/【a】水 150ml/酒 大さじ2/醤油 大さじ1/砂糖 大さじ1/2/生姜 小さじ1/2【作り方】1.フライパンに油(サラダ)を熱して豚ひき肉を炒める。玉ねぎ、椎茸、塩を加える。カレー粉、味噌を加える。【a】を加えて5分煮る。納豆を加える。皿にごはんを盛ってのせる。カイワレ大根、茹で卵をのせる。 おっ、若干和風寄りのカレーだからか非常に馴染みがいいです。これまで食べた納豆カレーでは納豆を用いる必然性をもっとも感じました。さすが笠原氏というべきか。まあこの人のレシピは思った以上にシンプルで首を傾げるようなものもあったりするので注意が必要。
2025/08/01
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