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精神科医の斎藤学氏は、10日の東京新聞コラムでユニークな「小沢一郎」論を述べている; 小沢一郎という希有(けう)な政治家は仕事もさせてもらえぬまま、葬られようとしている。<官・報>癒着世論は彼の失脚をもくろみ、半ば成功した。 何億かの金を持っていることが理由らしいが、その程度の現金(ひも付きでない金)を持てなくさせ、世を動かす力を奪ったのは私たち自身だ。金持ちだろうが貧乏人だろうが、的を射られる人に政権を託したいと思うことは間違いなのか。 結局、火のないところに煙が立つと強弁した検察官僚たちの意図は達成された。これほどの陰謀を企てながら、彼らは免責特権を持ち、顔も見せない。明治初期の太政官布告以来続く「おかみ(官と官報)信仰」に対抗軸を立てるという発想自体が、この国の常識に反していたのだとあらためて思い知らされた。 この「常識」はいずれ破棄されるだろうが、そのころの日本は財政破たん国家だろう。 思えば、自民党離脱以降の彼に一筋の希望を託した者は一定いたが、一定数を超えなかった。その一人として私は思うのだが、この政治家は二つの注目すべき持論を隠し持っている。 一つは米国との距離を測り直すこと、他のひとつは象徴天皇制を隠れみのにした官僚支配への問題意識だ。もちろん、彼自身はこれらを語らない。彼は私より一歳年下。次の復権はない。ここを何とか凌(しの)いでほしい。2010年2月10日 東京新聞朝刊 11版S 23ページ「本音のコラム-小沢氏失脚の陰謀」から引用 「小沢一郎」と言えば「金権政治家」という反応は、官僚と報道機関の癒着が生み出したデマに冒された人間の反応である。小沢一郎が金権政治家ではない理由は、今回検察がプロの腕をもってしても立件できなかったという事実が雄弁に証明している。私たちの日本が、真に独立した民主主義国家になるためには、米国との距離を測り直すことが必要であり、象徴天皇制を隠れみのにした官僚支配を解体する必要がある。今ここで小沢一郎の失脚を傍観し、次の有能な政治家の出現を待っていたのでは、そのころの日本は財政破たん国家になっているだろうと、斎藤氏は言っている。小沢氏の活躍に期待したい。
2010年02月28日
戦前にゾルゲ事件に関与して獄死した沖縄出身の画家の遺族に、1965年に当時のソ連政府が授与を決めた勲章が45年ぶりに遺族に手渡されたと、1月14日の朝日新聞が報道している; 太平洋戦争の開戦前に、日本やドイツの情報を旧ソ連に流した国際スパイ事件「ゾルゲ事件」に連座し、獄死した沖縄出身の画家、宮城与徳(みやぎよとく)(1903~43)への勲章が13日、東京のロシア大使館で遺族に手渡された=写真。宮城は日本兵の肖像画を描きながら軍の情報を集めたとされ、65年にソ連が大祖国戦争第二等勲章の授与を決めていた。 宮城は当時、日本で国賊などと白眼視され、遺族は離散。米国に移住しためいの徳山敏子さん(81)の求めでロシア政府が調べたところ、勲章が大統領府に保管されているのが見つかった。 ベールイ駐日ロシア大使は「戦争の勝利、ファシズムからの解放に貢献した戦友に謝意と敬意を表したい。60年代には遺族を見つけられなかった」と、勲章を伝達。徳山さんは「信じられない」と言葉をつまらせた。沖縄では近年、戦争を回避しようとした「非戦・平和・反差別の活動家」として、宮城の名誉回復が進んだ。 ベールイ大使は、事件で刑死した尾崎秀実にも、同じく勲章が出ていることを明らかにし、「遺族から申し出があれば手渡したい」と語った。2010年1月14日 朝日新聞朝刊 14版 29ページ「ゾルゲ事件獄死画家 ロシアが遺族に勲章」から引用 宮城氏ご本人が獄死したのは残念であったが、戦後名誉が回復され当時のソ連政府の勲章が遺族に手渡されたのは喜ばしい。平和憲法があれば、このような悲劇を避けることができる。
2010年02月27日
司馬遼太郎の遺志を無視してドラマ化したNHKテレビの「坂の上の雲」について、元ワイドショープロデューサーの仲築間卓蔵氏は、7日の「しんぶん赤旗」日曜版で次のように述べている; NHKが3年がかりで放送しているスペシャルドラマ「坂の上の雲」。昨年末までの第1部では、明治政府による朝鮮侵略の歴史的事実を隠ペいしたまま、「日本がこれから向かうべき道を考える上で大きなヒントを与えてくれる」(NHKの企画意図)と、「明るい明治」が描かれました。 第2部の放送は12月ですが、ドラマに連動して、各地から「見過ごせない動きが出ている」という声を聞くようになりました。 石川県加賀市では、ドラマを利用して、全長80メートルの戦艦「三笠」を再現、観光スポットにし(本欄で昨年既報)、千葉県習志野市では、主人公の一人・秋山好古大将の顕彰碑を商店街がつくり、知事や市長を招いて除幕式。「町おこし」にしようとしています。 主人公の出身地、松山市では、放送に先駆けて、「『坂の上の雲』まちづくり計画」を推進。児童・生徒にビラを持ちかえらせ、市教育長名で「家族そろってドラマを御覧いただき、団らんの場を設けて」もらうよう呼びかけています。 市長自ら小学校に出向き、日露戦争での活躍など、主人公の生きざまを説く熱の入れようです。今後3年かけて、「坂の上の雲」ミュージアムの学芸員とともに、「語り部」として市内の全小中学校を回る計画といいます。 実物の戦艦「三笠」を展示している神奈川県横須賀市では、「秋山真之・正岡子規特別展」が開かれています。 福岡・福津市観光協会は1月末、日本海海戦にちなんだ観光スポットを巡り、郷土料理を振る舞う「ウオーキング企画」を催しました。 3年がかりの放送に合わせて、同じような企画が出てくるでしょう。一画的な「明るい明治」の賛美が視聴者、とりわけ若者に刷り込まれる危うさを感じます。いまなぜ「坂の上の雲」か。改めて問い直したいものです。2010年2月7日 「しんぶん赤旗」日曜版 35ページ「メディアをよむ-坂の上の雲 危うい便乗」から引用 秋山兄弟といえば、そのうちの一人は日露戦争であまりに多くの人々の命を奪ったことを悔いて仏門に入った人ですが、そういうことも松山市長はちゃんと説明しているのでしょうか。それにしても、朝鮮侵略の歴史を話題に家族の団欒とはブラックジョークとしか言えません。
2010年02月26日
評論家の佐高信(さたかまこと)氏は、現在の政治状況について2月5日の「週刊金曜日」で次のように述べている; 小泉劇場で「カイカク」という名の悲喜劇が上演された後に、私たちは小沢か小泉かという選択を迫られている。 どちらも選びたくはないという人が多いだろうが、敢えて図式化して言えば、小沢は個人悪であり、小泉(及び竹中平蔵)は構造悪である。そして、東京地検特捜部はあの漆間巌(麻生内閣の官房副長官)の、自民党の政治家には捜査の手は及ばない、という発言に沿って、小沢のみの狙い撃ちに走っている。 かつて私は、クリーンなタカ派の小泉より、ダーティでもハト派の加藤紘一を選ぶと書いたことがある。それについて、クリーン過ぎる市民派の集会で、ダーティなハトより、やはり、クリーンなハトを推すべきなのではないか、と質問されて、呆然とした。残念ながら、クリーンなハトはほとんど絶滅危倶種となっているので、クリーンなタカよりはダーティなハトをと説明したはずなのだが、本能的にというか、生理的にダーティには反発するらしい。とりわけ、そうした思考停止の市民に検察は正義の使者と映るのだろう。 しかし、本当にそうなのか。今年は大逆事件から100年だが、天皇暗殺事件をでっちあげて幸徳秋水らを死刑に処したのは検察だった。それで、政党政治を日本に根づかせようと腐心した原敬(はらたかし)は、政党の伸長を阻む二つの勢力に軍部と検察を挙げたのである。澤地久枝が指摘するように、戦争責任を問われていない司法官僚、特に検察は、戦後もまったくその体質を改めていない。それは無実の足利事件で17年も投獄された菅家利和に強引な捜査をした検察官が謝らなかったことでも明らかだろう。 また、何代か前の東京地検特捜部長、井内顕策は、マスコミをヤクザ者より悪辣(あくらつ)な存在と決めつけた。しかし、そう言われたマスコミの記者たちはそれに何の反論もせず、それどころか、東京地検のタレ流すリークに争って群がっている。プライドも何もないその姿は哀れとしか言いようがない。先頭を切ってリークというエサにとびついているのが『産経新聞』であるというだけで、それが意図的なものなのがわかるのではないか。 ところで、いわゆる二大政党の腐敗は、小選挙区制をやめて、中選挙区制に戻すことでしかなくせないと私は考えている。2010年2月5日 「週刊金曜日」785号 9ページ「風速計-小沢一郎か、小泉純一郎か」から引用 政治家はダーティであるよりクリーンであることが望ましいが、しかし、そんなレベルよりもハト派かタカ派かという類別のほうがはるかに重要です。したがって、クリーンなタカ派政治家よりは少しくらいダーティでもハト派の政治家の方が、よっぽどましであるということになるわけです。
2010年02月25日
先月、衆院議員会館でイラク戦争に自衛隊を派遣した問題について当時の小泉首相を証人喚問するべきだとする集会が開催された。ジャーナリストの林克明氏が、2月5日の「週刊金曜日」で次のように報告している; イラク戦争を検証する英国の独立委員会にブレア前首相が召喚された1月29日、イラク戦争検証の独立委員会設置を求める集会が衆院議員会館で行なわれ、NGO関係者と8人の国会議員が出席した。 委員会設置を求めるNGOは昨年12月25日、共同要請書を鳩山由紀夫首相、岡田克也外相、北沢俊美防衛相に提出している。 オランダでは先月、イラク侵攻を支持した政府の決定は正当化できない、侵攻の根拠となった国連決議も、「武力行使の合法性を付与しない」と調査委の結果が出た。 このような海外の動きを踏まえ、呼びかけ人であるジャーナリストの志葉玲氏は「オランダでも英国でも検証し、日本でも検証できれば次は米国だ。超大国であっても国際人道法を遵守しなければならないという圧力をかけられる」と独立委員会設置の意義を強調した。 政権交代した今がチャンスとの空気が会場にあふれていた。しかし、民主党の大塚直史参院議員は「2003年のイラク開戦時のような状況になったら、国際法の遵守をもとめ武力行使に反対できるかといえば、今の政権ではできない。だからこそ、今のうちに準備したい」と厳しい現実を指摘した。 国会議員からも「英国のように小泉(純一郎)元首相を委員会に召喚したほうがいいのではないか」と意見が出された。 今後、議会内で賛同議員を増やし、議会外では市民が世論を喚起しようと合意し、閉会した。 (ジャーナリスト)2010年2月5日 「週刊金曜日」785号 9ページ「イラク戦争の検証を 独立委員会設置で-小泉元首相の召喚提案」から引用 イラク戦争に自衛隊を派遣する前の国会審議はかなり杜撰なもので、しかも審議不十分のまま強行採決するというひどいものだった。是非とも小泉元首相を証人喚問して、その責任を徹底追及してほしいものである。
2010年02月24日
教職員の人権を抑圧する「指導」を継続する教育委員会を擁護する発言をした松沢・神奈川県知事を批判する投書が、9日の神奈川新聞に掲載された; 松沢知事は先月、「教育委員会が(不起立で)問題となっている教職員を指導するのは当然。指導のために必要な情報として氏名を把握するのは理解できる」などと見解を示した(本紙、1月27日)。2008年にも同趣旨の発言をしている。 日の丸・君が代をめぐる問題は憲法19条で保障されている「思想・良心の自由」が背景にあり、不起立する教師らの行為(自由)は、侵してはならないと私は考える。従って、知事の発言は、納得できない。 知事は、国旗・国家の大切さを教えるのは、学習指導要領にもあると言い、あるべき教師論まで持ち出し「氏名の把握」を正当化するが、とんでもないことである。 憲法学者の故長谷川正安さんは、「内心の問題は絶対に自由でなければならない」と、「日本の憲法」(岩波書店)で指摘している。この間題では、県の審査会が情報収集・利用を「不適当」と判断、是正を求めていた。私は、不起立者は「神奈川の良心」と言いたい。県教委はこの答申を受け止め、今後の氏名収集はやめてほしい。2010年2月9日 神奈川新聞朝刊 6ページ「自由の声-不起立の氏名収集やめよ」から引用 この投書は正論を述べている。教職員の人事権を握る立場にある者が、教職員の行動をいちいちチェックするのは、そのこと事態が良心の自由を抑圧する行為であり、わが国憲法の許すところではない。松沢知事は己の不明を恥じて、発言を撤回するとともに、不適切な人物が教育委員会に巣食っている事態を改善するべきである。
2010年02月23日
米国政府が先月発表した金融規制案について、埼玉大学教授・相沢幸悦(あいざわこうえつ)氏は、7日の「しんぶん赤旗」日曜版で次のように述べている; アメリカのオバマ大統領は、1月21日、金融危機再発の防止にむけて、新たな金融規制案を発表しました。 その概要はー。 一つは、預金を取り扱う商業銀行にたいしては、投機的なヘッジファンドなどの所有と投資を禁止し、自己勘定での高リスク商品の取引は、顧客の要請に基づく場合に限定すること。二つ目は、投資銀行を含めた全金融機関にたいして、負債の規模の上限を設けることなどです。 世界金融危機の『引き金』となったアメリカの住宅バブルは、(1)元本保証の預金を取り扱う商業銀行がリスクを取りすぎ(2)投資銀行が借り入れを激増して、リスク資産への投資をとことん行った-結果、生じたものです。そんな金融資本の尻ぬぐいを公的資金が行わなければなりませんでした。 このような金融資本への規制は不可欠でした。しかし、オバマ政権は景気浮揚のため、金もうけを阻害するような厳しい金融規制は行いませんでした。 政府と中央銀行による対策によってとりあえず金融危機がおさまると、収益を拡大し、またぞろ金融資本の巨額報酬が問題になりました。保険金融会社AIGの場合、天文学的規模の資金を中央銀行から受け入れているのに、巨額のボーナスを運用部門の社員に支払おうとして世論の反発を受けました。政府は、報酬制限などを行おうとしていますが、その実現は難しい状況にあります。 景気対策を行っても景気がなかなか上向かず、失業率が高止まりしていることもあって、大統領の支持率は下落しています。そこで、オバマ大統領は支持率の回復のために、新たな金融規制案を発表したのです。 元本保証の預金を集める銀行が、ヘッジファンドなどを傘下においてリスクの高い投資を行ったのは、1999年に銀行・証券分離規制が撤廃されてからです。投資銀行も借金を増やしてリスク投資を行うようになりました。AIGは、巨額のデリバティブ取引(CDS)の「胴元的」役割を果たしました。しかし、バブル崩壊で大手銀行や、「大きくてつぶせない」AIGが公的資金で救済され、財政赤字と中央銀行の不良債権が累積したのです。 金融規制案を実現すれば、銀行は、投資銀行部門やヘッジファンドなども切り離さなければならなくなります。自己勘定でリスク資産投資を行って、ポロもうけすることもできなくなります。 他方、金融資本が負債を減らすことで、企業などへの「貸し渋り」やリスク資産投資の減少による金融市場低迷が進むことが予想されます。しかし、金融セクター肥大化の経済成長モデルが破綻(はたん)した現在、健全な金融・経済システムの構築は不可欠です。 新たな金融規制案が実施できるかどうかは、楽観できません。ポロもうけができなくなる金融資本が必死に抵抗するからです。金融資本の収益低下を予測した株式市場で、しばらく株価が暴落しました。とはいえ、アメリカでもヨーロッパ大陸諸国が以前から提唱してきた適切な金融規制による健全な経済システム構築の方向にシフトせざるをえなくなるのは歴史の必然です。2010年2月7日 「しんぶん赤旗」日曜版 20ページ「経済これって何?-米国の新金融規制案」から引用 いくら自由主義経済とは言え、スポーツにルールがあるのと同じで経済活動にもルールは必要である。資本家の横暴を許してはならない。
2010年02月22日
低迷する経済と困窮する労働者の生活という問題を尻目に利益を独り占めする大企業、このような現状をどのように改善するべきか、経済評論家の内橋克人氏は、7日の「しんぶん赤旗」日曜版で次のように述べている; 大企業の巨額の内部留保を雇用に-。いま、労働者の春闘でそんな声が高まっています。労働者のふところを豊かに、という識者の声やデータを紹介します。経済評論家・内橋克人さん 春闘の課題の第一はゆがんだ雇用・労働をただすことです。 低コスト・使い捨ての非正規雇用を広げた結果、日本はスピードリストラできる時代になってしまいました。 「派遣切り」から始まった人員整理の波がいま正社員にも及んできています。 経団連と政府一体で推し進めた小泉「構造改革」をきちんと総括し、雇用の公平・公正・平等の実現へ方向転換しなければなりません。連合にもそういう姿勢が必要です。 第二に賃上げは当然必要です。賃上げによって内需を温めなければ、自律的な景気回復は不可能です。 いまだに国際競争力のために賃上げはできないなどというのは、国を滅ぼすレトリック(修辞)です。 内需拡大ができなければ値下げ競争から、また大リストラが始まるでしょう。 大企業に支払い能力は十分あります。ため込んだ内部留保は膨大ですし、海外に積み立てたままの利益も17兆円を超します。輸出による業績も回復してきています。 賃金全体の底上げとして最低賃金の引き上げもやるべきです。(以下 略)2010年2月7日 「しんぶん赤旗」日曜版 6ページ「『賃金・雇用に内部留保を』これだけの根拠」から引用 この記事が言うように、まず第一に「小泉改革は間違いであった」ことを確認する、これがスタートであるということです。「雇用の流動化」などという美辞麗句に騙されず、労働者派遣法は即時廃止とするべきです。
2010年02月21日
大企業の横暴のため苦しくなる労働者の生活を、7日の「しんぶん赤旗」日曜版は次のように伝えている; 苦しくなるばかりの労働者の生活。他方、利益をためこんで巨額の『埋蔵金』(内部留保)が積み上がった大企業-。いま政治が解決すべき大きな矛盾です。三菱電機名古屋製作所で働く40歳の北川隆さん=仮名=の場合は-。 「これじゃ、結婚なんて無理ですよね」 北川さんは、家賃4万5千円のアパートで1人暮らし。名古屋市東区の三菱電機名古屋製作所内の子会社で、最初は派遣、その後は直接雇用の期間工として、4年もの間、正社員と同様に働いています。 期間工の基本給は18万1千円。手当は3700円の給食費のみ。派遣時代より減りました。一時金もありません。 税金や社会保険料が3万円以上引かれます。契約更新を重ねても給料は上がりません。それどころか、3月で切れる雇用契約が更新されるかどうか。失業という不安と背中合わせの日々です。 週に1回行くスーパーで必ず買うのが3パック入りの納豆を四つ。 「これさえあれば、ご飯が食べられる。コンビニ弁当は高いから買わない」 北川さんは、残業代を稼ぐため、危険な有機溶剤を使う仕事を進んで引き受けます。 体を張って稼いだ1月の給与は、手取りで17万円台でした。 冷蔵庫から人工衛星までつくる大企業、三菱電機に賃上げの『体力』はないのでしょうか。 三菱電機の経常利益(09年3月期決算)は1千億円を超える黒字です。内部留保は1兆6千億円。(全国労働組合総連合の調査) これを知った北川さんは、「会社はどうしてこんなにもうけているんだろう」「なんで普通に生活できる賃金がもらえないんだろう…」と疑問をつのらせます。 三菱電機だけでなく、大企業は軒並み巨額の内部留保をため込んでいます。-トヨタ自動車13兆円-NTTドコモ4兆1千億円-キヤノン3兆9千億円 内部留保は低賃金、無権利の非正規雇用を増大させた派遣法改悪(1999年)のころから急増し、この10年で倍増。400兆円を突破し、その半分は資本金10億円以上の大企業です。他方、雇用者報酬は27兆円も減りました。(グラフ)2010年2月7日 「しんぶん赤旗」日曜版 1ページ「三菱電機40歳 月17万円 会社のためこみ1兆4千億円」から引用 現在の日本は、かつての高度成長期に一般庶民のフトコロを潤した、その余波で社会はなんとか持ちこたえているものの、今のような情勢が長く続いて、上の記事に紹介されたような労働者が増えていけば、やがては「命以外に失うものは何もない」プロレタリアが形成され革命闘争に立ち上がる秋が来ないとも限りません。そのような状況を避けるには、資本家階級が民主党政権と妥協し、利益を労働者に還元することを考えなければなりません。それが資本主義経済が生き残るための唯一の道であるといえます。
2010年02月20日
外国人参政権法案について、ジャーナリストの柳原滋雄氏は1月22日の「週刊金曜日」で、次のように論評している;(前 略) 反対論の中には、国境周辺の離島が外国によって乗っ取られるという突飛な主張もある。長崎県の対馬や沖縄県の与那国畠が引き合いに出されるが、前述の日本会議のチラシは、「中国が国策によって与那国島に1000人の中国人を移民させれば簡単に町政を牛耳(ぎゅうじ)ることができる」などと煽っている。 こうした乗っ取り論とされるものは、いずれも現実味に乏しく、仮にそのような事態が発覚したとすれば、重大な外交問題に発展することは間違いない。さらに欧米各国で30年以上の歴史を有する同制度においても、そのような事態が発生したという事例はまったく報告されていないのだ。 こうした右派勢力の懸念に対し、在日20年を超える中国籍の永住者(40代男性)は一笑に付す。「日本にいる中国人で本当に政治に関わりたい人はすでに帰化しています。永住権をもつ中国人は帰化するのは非常に簡単だからです。たとえば米国でも華人はたくさんいて、実際に議員になっている人もいますが、選挙区の人たちの立場を守らないと実際には選挙では勝てない。有権者は候補者の発言、行動を敏感に観察していますから、仮にそうした行為があったとわかれば、次の選挙では当選できません。被選挙権があってもそうなのですから、地方の選挙権を付与するくらいでは、そうした心配はまったく必要ないと思います。そもそも日本に滞在する中国人は、仕事などの日常生活に追われている人が多く、選挙権に強い関心をもっているわけではありません」 その他の反対理由としてまず、旧態依然として憲法違反との主張がある。だが、95年の最高裁判決にあるとおり、判例は絶対禁止説の立場にたっておらず、許容説を採用した。反対論者からは、傍論部分で拘束力をもたないとの意見も聞かれるが、仮にこの法案が通って違憲だと訴えられたとしても、判例が許容説に立っている以上、棄却される可能性が高い。 また、二重投票になるとの批判もある。韓国では在外韓国人に在外投票を認める制度に切り替えたため、日本に住む韓国人も次期大統領選挙などでは大使館などで投票できるようになった。むしろ、国政選挙は本国で、地方選挙は居住国でという方式が定着していくことが予想される。 最後に、選挙権が欲しければ帰化(国籍取得)すべきとの見方は依然根強いようだ。だが、どの国の国籍をもつかは当事者の自由であり、選挙権とは切り離して考えるべき問題であろう。 こうした反対論に比べ、法案が成立すると、日本社会に住む外国人に多大なプラス効果をもたらすと主張するのは、タイ人女性の永住者を妻にもつ日本人男性(40代)だ。「政治参加意識が高まり、地域の一員との自覚が高まることは間違いない。制度が生まれないと意識も生まれないという面は確かにあると思います」。 この間、一貫して反対運動を展開してきたのは、右派組織「日本会議」と、それに付随する日本会議国会議員懇談会(平沼逝夫会長)などのグループだ。「在日特権を許さない市民の会」と称する排外主義を標模する右派系市民団体も街宣活動を活発化させている。 韓国ではすでにこの制度を05年に法制定し、翌年実施。07年には外国人に関する基本法も制定し、「外国人と共に生きる開かれた社会の具現」を明確化した。日本はいまだいずれも実現しないままだ。そろそろ外国人を危険視・排除する「倭小な生き方」は脱却すべきではなかろうか。 柳原滋雄・ジャーナリスト2010年1月22日 「週刊金曜日」783号 4ページ「外国人参政権法案-政府提案で今国会提出か」から引用柳原氏が指摘する反対派の反対理由は(1)外国に乗っ取られる(2)95年最高裁判決で否定されている(3)在日韓国人は二重投票になる(4)選挙権がほしいなら帰化すべき以上の4項目で、当ブログ・コメンテーター諸君の反対理由も概ねこの4つの中に含まれると思われるが、いずれの理由も非現実的であり過剰な心配であることが論証されている。ヨーロッパでは30年前から外国人の参政権を認めており、韓国でも同様の制度が確立された。わが国も、いつまでも閉鎖的な態度をとるのではなく、経済大国に相応しい開かれた社会へと脱皮するべきである。
2010年02月19日
フランス人エッセイストのドラ・トーザン氏は、外国人参政権について、1日の東京新聞「本音のコラム」で次のように述べている; 外国人参政権の議論が高まっている。付与条件について、ある意見では居住国に税金を支払っているかどうかを判断材料にすべきだという。米国独立戦争のスローガンである「代議権なければ納税の義務なし」ということだ。 また別の意見では、参政権は断固として国籍と結び付けるべきだとする。国籍なきものに参政権はあらず、ということだ。もちろん、ここでいう「参政権」は国政選挙ではなく、地方選挙においてのことだ。 欧州連合(EU)の加盟国内では、『EU基本法』であるマーストリヒト条約によって、市町村の選挙や欧州議会選挙の参政権が相互に保障されている。 また、加盟国外の国民に対しても、国によっては参政権を与えているところもある。とても進歩的な国では、同じ共同体に住んでいることを尊重し、同じように参政権があるとする。 例えば、スウェーデンやデンマーク、ベルギーなどでは、外国人でも長期間の居住者には、地方レベルの選挙への参加は至極当然のことだと考えている。 一方、日本においては永住する在日韓国・朝鮮人ですら、地方での被選挙権はおろか選挙権も有しない。一般の外国人ならなおさらだ。民主党は外国人参政権の推進派が多く、与党となった今、どうするのか注目だ。 (仏人エッセイスト)2010年2月1日 東京新聞朝刊 11版S 27ページ「本音のコラム-投票させてよ」から引用 外国人参政権に反対の人たちの中には「安全保障」上の問題があるなどと言い出す者がいることは、呆れるほかはない。荒唐無稽な被害妄想であり、島国根性の典型ではないだろうか。
2010年02月18日
先月末に発表された日中歴史共同研究について、1日の東京新聞は次のような解説を掲載した; 2006年から始まった日中両国の有識者による歴史共同研究の報告書が31日公表された。その結果は、両国の歴史認識に隔たりがあることをあらためて明確にするものだった。共同研究の主な論点を再点検した。≪南京大虐殺≫ 報告書は、論争のある「南京大虐殺」について日中双方がそれぞれ項目を立て論述した。中国側は犠牲者数について、中国の公式見解に合致する「30万人以上」だと言及する一方、「4万人、2万人との推計もある」とした日本側の見解には触れなかった。南京占領時の旧日本軍の強かんや略奪の被害に関しては詳述している。 中国側は、東京裁判判決の「20万人以上」も引用した上で、日本軍の戦犯を裁いた47年の南京軍事法廷(南京裁判)判決の「30万人以上」を根拠に犠牲者数を記述。南京占領で「日本軍は捕虜や住民を集団虐殺し、略奪などを繰り広げた」と指摘し、略奪などは「英国人や米国人の住居も目標にされた」と書いた。強かん事件は東京裁判記録を引用し、「2万件近くに上った」とした。 日本側は「南京攻略と南京虐殺事件」との項目で「集団的、個別的な虐殺事件が発生」と指摘。犠牲者数について「中国側の見解は南京軍事法廷の判決に依拠している」とし、日本側の研究として「20万人が上限」との見解を表明。食い違いの背景には虐殺の定義や対象地域・期間などの相違があると分析している。 (共同)日本 加害者立場明確に≪戦争責任≫ 日中戦争の「戦争責任」について、日本側は加害者の立場を明確にした。「戦場となった中国に深い傷跡を残した。その原因の大半は日本側がつくり出したと言わざるを得ない」。日中戦争の項を担当した日本側研究者はこう表現した。 「日本の中には戦争責任を受け入れず、侵略戦争という歴史的事実すら否定する言行がある」との中国側の疑念を、歴史研究としてはっきりと否定した。 日本側は日中戦争を「日本軍の侵略と中国の抗戦」の観点で分析。中国共産党の根拠地壊滅を狙った日本軍の「三光作戦」を、住民の虐殺や略奪にあたる国際法違反と断定。強制連行についても「重要労力緊急動員の秘密命のもとに日本軍が出動し『浮浪遊民』を徴発して日本や満州に送り込んだ」と書き込んだ。 さらに中国遺棄化学兵器問題などで「日本軍による戦争犯罪を問い、戦後補償を求める運動が世代を超えて展開され、日本政府を相手とする裁判が今日まで続いている」と指摘。戦時中の問題が現代に尾を引いていることを認めた。 一方、中国側は日本軍の行為を「戦で戦を拡大するという策をろうした。広大な占領地で略奪行為を繰り広げた」と非難している。学術的な見解の相違は溝と違う- 歴史共同研究委員会の中国側座長・歩平・社会科学院近代史研究所所長の話 今回の中日間の共同研究は相互理解を深める第一歩だ。メディアも国民も、相互理解が両国間の問題解決につながるという積極的な意義を共同研究の中に見いだしてほしい。学術的な見解の相違は中日関係という国と国の溝とは違う、と強調したい。 報告書発表後すぐに出てくる反応は感情的なものが多いだろう。それはあまり気にしない。学術的論点に対する専門家の意見をよく聞きたい。 長年の歴史認識問題は今回の研究だけで解決するのは不可能。今後も共同研究を続けていくべきだ。時間をかけて議論すれば、双方の認識が一致に近づくものもある。こうした認識を近づける努力を重ねた結果として、何十年後かに中日両国に韓国も含めた共通の歴史教科書ができるなら理想的だ。 (共同)2010年2月1日 東京新聞朝刊 11版 26ページ「日中 溝克服へ宿題」から引用 中国側座長の歩氏がいうように、将来は日中韓共通の歴史教科書が作られるに違いありません。
2010年02月17日
日本と中国の歴史学者の共同研究の成果が公表されたと、1日の東京新聞が報道している; 日中両国の有識者による初の歴史共同研究の成果をまとめた報告書が31日、公表された。焦点の南京事件(1937年)については、日本側も「日本軍による虐殺事件」と認定したが、犠牲者数をめぐっては、日本側が「20万人を上限に4万人、2万人などの推計がある」と指摘したのに対し、中国側は「30万人以上」と主張。近現代史を中心に両国の歴史認識の違いがあらためて浮き彫りになった。 報告書は「古代・中近世史」と「近現代史」の二部構成で計約550ページ。両国の担当者がそれぞれの立場から共通の時代、テーマについて執筆した論文を併記した。近現代史のうち、天安門事件(89年)などが含まれる「戦後史」については、国内世論への影響を懸念する中国側の要請で報告書に盛り込まれなかった。 報告書では、特に近現代史で対立点が目立った。日中戦争全体での中国人死傷者数に関しては、日本側は全体像を示さなかったが、中国側は「不完全な統計」としながらも「約3500万人」と言及した。 従軍慰安婦問題と、細菌研究の特殊部隊「731部隊」については、日本側が詳しい説明を避ける一方、中国側は「日本軍は慰安所を設け、強制的に多くの女性を性奴隷とした」「人体実験、生体解剖を実施」などと踏み込んだ。 日中戦争の解釈については、日本側が「戦場となった中国に深い傷跡を残した。原因の大半は日本側がつくり出した」と加害責任を明確にした。一方、中国側は「日本軍国主義による全面的な侵略戦争」と断定した。発表自体が成果-歴史共同研究委員会の日本側座長・北岡伸一東大教授の話 日中に歴史認識で大きな差があるのは周知の事実だが、両国の研究者が一緒の場に集まって議論し、それぞれの見解を互いに示し合い、発表にこぎつけることができたのは成果だ。 落ち着いた議論ができたが、中国側の議論に納得できないことも多かった。中国側の強い要請により、近現代史のうち戦後史が発表できなかったのは残念だ。メディアは極端な意見しか取り上げず、大多数の歴史家の考えは紹介されにくい。今回は極端でない意見を示すことができた。そういうことを国民に知ってもらえればいい。今後も専門家の間で淡々と議論を積み重ね、共同研究を続けていくことが望ましい。2001年2月1日 東京新聞朝刊 12版 1ページ「歴史認識 日中隔たり」から引用 曲がりなりにも公表できる成果が得られたことは大変意義深いことと思います。北岡教授が言うように、今後も学問として着実に議論を積み重ねていくことが望まれます。
2010年02月16日
今年も違法行為の続行を決めた神奈川県教育委員会の様子を、3日の神奈川新聞は次のように報道している; 不起立の教職員の氏名収集を継続する方針を決めた県教育委員会。定例会を傍聴した教職員らからは、県教委の判断を「条例を形骸(けいがい)化する決定だ」といった憤りの声が一様に上がった。 =本記1面に 県個人情報保護審査会は答申で収集した情報を「(県個人情報保護条例で)原則取り扱い禁止とされている思想信条に該当する情報」とした。収集情報の利用停止を求めた諮問機関の答申を事実上、2度も袖にする決定について、山本正人県教育長は委員会後の会見で「客観的な事実だけの報告を受けているので、思想信条の情報には当たらない」と説明。2008年2月に継続を決めた際と同様の見解を示した。 氏名収集を続けていることに同審査会が「十分な理由を示して結論を出したとは言い難い」としたことにも、同教育長は「議論はしている。見解の相違と言うしかない」と反論。「答申の重さは分かっているが、教育委員会の長年の取り組みだから(答申には)従えない」とも話した。 同審査会に異議申し立てを行った教職員やOBらのうちの一人、県立高教員の外山喜久男さん(60)は「何のために諮問機関が県に設置されているのか分からない。いくら諮問機関が答申しても、自分たちで決められるということになると条例は危うい」などと不信感をあらわにした。 こうした状況について、関東学院大の出石稔教授(地方自治法)は、「氏名収集の決定権は県教委にあることは法律上明確だが、個人情報の収集は最小限度にとどめるという考えは国際的な共通認識」と指摘。「県教委は答申があったことを尊重し、答申に従うべきだ。自治体が自ら審査会や審議会を置いているのに、その答申に従わない例は全国的にみても珍しい」と、県教委の異例さを語った。 (下屋鋪 聴) 短絡的発想で行政失格-北川善英・横浜国大教授(憲法学)の話 県教委は専門家の意見を無視して法や憲法の解釈をし続けており、規範意識と法教育が欠如し、行政として失格。今回の決定は短絡的な発想で、憲法の定める思想信条の自由に反している。起立という自発性に任せるべき行為が強制的になりかねず、教師の権利だけではなく、子どもの学習権と思想信条の自由を侵害する危険性がある。2010年2月3日 神奈川新聞朝刊 A版 22ページ「県教委の氏名収集継続『答申何のため』傍聴の教職員憤る」から引用 規範意識は無く法教育も欠如した者が教育委員会を構成しているとは呆れた話だ。即刻全員入れ替えをするべきだ。
2010年02月15日
神奈川県教委がやっている違法行為について、1月29日の「週刊金曜日」は次のように報道している; 卒業式等の『君が代』斉唱時、不起立だった教職員の氏名収集を強行している神奈川県教育委員会に対し、同県個人情報保護審査会(会長=矢口俊昭・神奈川大大学院教授)が1月20日付で、「個人情報の利用を不停止とした処分は、取り消すべきである」、即ち、「収集した氏名情報を破棄せよ。以後収集してはならない」とする答申を、再提出したことが分かった。 答申は、県教委事務局に対し、「本件が憲法上の人権に深く関わる特殊性等について説明不足」とし、2本(前回の審査会と審議会)の答申に反し氏名収集を行なったことを「十分な理由を示して結論を出したとはいい難い」とした。 これに対し、山本正人(やまもとまさひと)・県教育長は21日の会見で、「審査会が『理由を示していない』と言うのは理解しづらい」と、不服を表明。 一方、教職員ら9人は23日に会見を開き、代表の県立高教員、外山喜久男さんが「この反応こそが理解しがたいものだ。『君が代』が絡むとなぜここまで硬直化し、教育行政トップの遵法精神が吹き飛んでしまうのかを明らかにすることが重要だ」と批判した。 また、教職員側の阪田勝彦弁護士は「公正確保のため県自らが設置した機関に計三回違法と言われたのに、県教委がまたやれば相当悪質性の強い行為になる」と述べた。教員の一人は「現場で生徒に向き合う中で、また職場の重苦しい状況の中で、本当に常識的な答申が出た」と発言した。 永野厚男・教育ライター2010年1月29日 「週刊金曜日」784号 9ページ「金曜アンテナ-『君が代』不起立者氏名収集は違法」から引用 山本教育長は神奈川県個人情報保護審査会の答申に謙虚に耳を傾けるべきである。遵法精神の希薄な人物では、教育者の風上にも置けない。『君が代』が絡むと遵法精神もなくなるというのは、戦前のファシズムの名残である。そんなものを引きずっている人物は教育行政に不適切なのではないか。
2010年02月14日
神奈川県教育委員会は、県の条例を無視して、県立高校の教職員で学校の式典の際に君が代斉唱時に起立しない者の氏名を収集するという違法行為を行い、同じく県の個人情報保護審査会から「条例違反の行為を止めるように」勧告されたにもかかわらず、今年もそれを続行することを決めた、と3日の神奈川新聞が報道している; 県教育委員会が県立高校の卒業、入学式で君が代斉唱時に起立しなかった教職員の氏名を収集・利用したことをめぐり、県個人情報保護審査会が情報の利用停止を答申した問題で、県教委は2日、収集を今後も続ける方針を決めた。2008年2月にも県個人情報保護審議会の同趣旨の答申に反し、収集継続の強行を決めており、答申に再び従わない異例の判断となった。県教委は「学習指導要領に沿って粘り強く(教職員を)指導するには(収集は)必要」などと説明した。 =関連記事22面に 同日の2月定例会(委員長・平出彦仁相模女子大学客員教授)で、出席した委員5人が全会一致で継続を了承。「学習指導要領に基づく指導で、教職員の指導を行うために情報を把握する必要がある」という意見が大半を占めた。 同審査会が答申で「県教委は十分な理由を示して結論を出したとは言い難い」などとした点に対しても、「議論を尽くした」などと反論。併せてこれまで収集した情報を破棄しないことを決め、答申の順守などを求めた市民団体の請願も不採択とした。 この間題をめぐっては、同審査会が07年10月にも、収集した情報の利用停止を答申。さらに08年1月、県教委から諮問された県個人情報保護審議会も収集を「不適」と答申した。しかし、県教委は同審議会答申が「最終的な職権行使は県教委に委ねられている」との判断を示したことなどから、08年以降も収集を続けていた。 今回の決定は、再び教職員らの異議申し立てを受けた同審査会が、情報の利用停止を求めた2度目の答申(1月20日)を受けたもの。答申では、情報は「(県個人情報保護条例で)原則取り扱い禁止とされている思想信条に該当する情報」などとしていた。 山本正人県教育長は「答申を軽んじているわけではない。ただ教育委員会は(不起立の教職員に)一貫して指導してきた。長年の指導があるので答申には従えない」と説明。収集した情報についても「思想信条にかかわる情報ではない」との見解を示した。 また教職員は08年11月、思想・信条に関する情報の収集は県個人情報保護条例に違反しているなどとして横浜地裁に提訴しており、現在係争中。(下屋鋪 聡)2010年2月3日 神奈川新聞朝刊 B版 1ページ「君が代不起立・答申に従わず 氏名収集、また継続」から引用 神奈川県教育委員会の態度は常軌を逸している。山本教育長は長年一貫して指導してきたと言っているそうだが、それならば教育委員会の意向は教職員に十分理解されているはずである。そこから先は、実際に起立するかしないかは個人の判断に委ねられるべきであって、それを「起立しない者の名前は記録しておくからな」と恫喝して起立を強制しようとするのは指導を域を超えた違法行為というべきであり、即刻やめてもらいたい。
2010年02月13日
元外務省主任分析官の佐藤優氏は、鈴木宗男衆議院議員との会話を1月29日の東京新聞に、次のように紹介している; 今まで誰にも話していないことだが、実は鈴木宗男衆議院外務委員長(新党大地代表)と平野博文内閣官房長官との間に激しい軋轢(あつれき)がある。昨年10月29日、鈴木氏が、外務省報償費(機密費)に関する質問主意書を提出した。 これに対して、平野氏から鈴木氏に「いま答えると国会で面倒なことになるから、来年1月5日まで回答期限を延長してくれ」という電話があった。鈴木氏は了承したが、1月4日付で質問を撤回してしまったのである。このことについて筆者と鈴木氏の間で5日にこんなやりとりがあった。 佐藤「なんで質問主意書を撤回したのですか」 鈴木「平野官房長官から『機密費の上納について明らかにするわけにはいかない。質問主意書を撤回してくれ』という電話があり、従わざるをえなかった」佐藤「しかし、外務省から総理宮邸に機密費を上納していたという話を僕は丹波実外務審議官(当時)から聞いています。鈴木さんも官房副長官として知っていたじゃないですか」鈴木「年間二十億円だという説明を受けている」佐藤「あのカネが外務省に還流して、腐敗の温床になっていたんじゃないですか。あの問題を表に出さない限り外務省の体質は変わりませんよ。国会議員の質問権を内閣が圧力をかけて潰(つぷ)すことは、民主主義の原則に反します。妥協すべきでないと思います」鈴木「しかし、官房長官に言われればどうしようもないよ」 新党大地は一人政党だ。政治力学の観点から、鈴木氏が平野官房長官との対峠(たいじ)を避けるのは当然だと思った。しかし、状況が変化した。28日朝、鈴木氏から筆者に電話があった。鈴木「腹(くく)を括った。機密費の質問主意書を今日、再提出する。撤回はない」佐藤「大丈夫ですか」鈴木「平野官房長官の普普天間飛行場移設に関し、名護市長選挙の結果を斟酌(しんしゃく)しない、地元が応じない場合、法的に解決するとの発言を聞いて、この官房長官は鳩山由紀夫総理を本気で支えていないと思うようになった。機密費の真実を出すことが真の意味で鳩山内閣のためになると俺(おれ)は腹を括った」 鈴木氏の決断を筆者は支持する。2010年1月29日 東京新聞朝刊 11版S 「腹括った鈴木宗男氏-外交機密費の上納、表に」から引用 これは、鈴木宗男という政治家の実力が試される重大な問題である。どの程度の実力かによって、場合によっては周囲からよってたかってボコボコにされて、またしても冤罪で議員辞職させられるかも知れない。それでも、鳩山総理を本気で支えていないと思われる平野官房長官と対決すると腹をくくったのは、かなり正義感の強い人だからであろう。
2010年02月12日
政府与党が準備している労働者派遣法の改正案は、民主・社民・国民3党が野党だった時に作って解散のために廃案になったあの法案より大幅に後退し、ほとんど骨抜き法案になっていると、1月28日の東京新聞が報道している; 25日から春闘が始まった。定期昇給すら危ういサラリーマン泣かせの情勢だが、膨大な非正規労働者たちの不安はその比ではない。その命を守る労働者派遣法の改正案は、今国会に提出される予定だ。だが、作成中の法案は骨抜きにされつつある。「もう一つの春闘」をのぞくと-。 (大野孝志) 27日、東京の参院議員会館。「これでは働く者に未来がない。派遣法を真剣に見直して」。労働組合や弁護士、国会議員も加わった院内集会で、神奈川県内の女性(三八)がこう声を上げた。 女性は自動車メーカーに派遣され、主に社内文書のデザイナーとして6年以上働いた。登録型派遣が認められている専門業務(事務用機器操作)での契約だった。契約は3カ月ごとの更新だったが昨年三月末、突然、雇い止めにされた。 「正社員と同じ仕事を6年以上続けても派遣のままだった。不安定な短期雇用は人々に大きなストレスを与えている」 与党3党による派遣法改正の取り組みは、野党時代から始まっていた。昨年6月には3党が改正案(3党案)を国会に提出したが、総選挙で廃案に。政権奪取後、仕切り直しとなり、長妻昭厚生労働相は昨年10月、労働政策審議会に検討を諮問、昨年末に法案のたたき台となる答申が出た。 ところが、その内容は「3党案より後退。(改正の要求が)骨抜きにされる」(院内集会での報告)と極めて不評だ。 院内集会で取り上げられた答申への批判をいくつか挙げると-。 (1)仕事がある時だけ雇用契約を結ぶ「登録型」派遣を原則禁止。原則の意味は、秘書や通訳など専門性のある職を例外扱いにした点だ。だが、その専門性の基準が明確でない。ゆえに前述の女性のように仕事を「専門職種」と契約時に扱われれば、抜け穴にされる。 (2)ライン作業など製造業への派遣は、3党案段階では原則禁止だった。だが、答申では「常用型」を除いた禁止にゆるめた。常用型とは細切れな雇用契約でも1年以上雇えばよいという解釈。ならば、企業は当初、1年以上雇う「見通し」さえあれば、短期契約できる。労組側は常用の定義を「期間の定めがない」と明記するよう求めているが、答申通りなら、結果として1年以上雇わなくてもおとがめはない。 (3)違法な派遣がなされた場合、派遣を受けた会社(派遣先)が直接、派遣労働者を雇う「直接雇円みなし制度」を導入する。だが、3党案にあった期間の「無期限」という部分が削られたため、雇われてもすぐに解雇される恐れがある。 ほかにも問題点は多いが、何より登録型や製造業派遣の原則禁止には3~5年の猶予が与えられる。これでは、現在の派遣労働者の窮状にはとても対応できない。 答申には、現行の派遣制度が「一時的な需給調整機能として有効」で、その制限は「生産拠点の海外移転や中小企業の受注機会の減少を招きかねない」という使用者側の意見が付された。 こうした財界側の懸念に対し、日本労働弁護団の棗(なつめ)一郎常任幹事は次のように反論する。「登録型派遣がなくなることで、生産拠点の海外流出が今さら始まるのか。法改正で雇用コストが高くなるのはこれまでのツケ。企業はまず、雇用責任を果たすべきだ」2010年1月28日 東京新聞朝刊 11版S 24ページ「骨抜き!?派遣法改正」から引用 労働者の命より企業の利益を優先させるというのでは、国民は政権を交代させた意味が無くなる。自民党がダメなのは言うに及ばず、民主党もダメだというのであれば、国民に残された選択肢は共産党しかない。共産党政権にするよりは、今の政権下で労働者と妥協するのが、日本の企業経営者が生き延びる道ではないのか。私たちは「生産拠点の海外流出」などという経営者の恫喝に屈してはならない。労働者の生活を保障しながら立派に経営している企業はヨーロッパにはいくらでもある。
2010年02月11日
小沢幹事長の金銭問題と報道姿勢については、かなりの反響があったと、1月28日の東京新聞が報告している; 小沢一郎民主党幹事長の資金管理団体「陸山会」による土地購入をめぐる政治資金規正法違反事件の捜査は、東京地検特捜部の手によって進んでいます。先週末の小沢氏本人の事情聴取後の焦点は、刑事処分の行方と土地購入原資の解明にありますが、土曜日にこちら特報部で「小沢氏きょう聴取 検察『リーク』考」を扱ったところ、読者から当室にさまざまなご意見が寄せられました。 東京都杉並区の四十五歳の自営業男性からば「検察報道の取材の内情を読者に公表されたことは素晴らしい」との便りが寄せられ、千葉県佐倉市の男性教員からは「記者の方も葛藤(かっとう)しながら記事化することと闘っているのだとあらためて分かりました」などなど。一方、「夜討ち朝駆けしてネタを取ったと言いますが、書類を確認したとか、相手側の証言を取ったとかいうことではないのですね。これでは記者の自己満足心を検察にいいように使われているだけではないですか?」などの批判もありました。しかし、総じて好意的な声が多かったです。 昨年暮れから当室には連日のように多い日には80件近い電話や投書が、少ない日も2、30件寄せられています。捜査のいかんを問わず、読者の関心が高いのは間違いありません。 ◇ ◇ 今月の投稿で多かったのは(1)小沢問題(2)日本航空の経営敵船(3)足利事件でした。(K)2010年1月28日 東京新聞朝刊 11版S 5ページ「応答室だより-『「検察『リーク』考」に反響殺到』」から引用 新聞としては読者の関心が高いから一生懸命ニーズに答えて報道するのだと言いたいのかも知れませんが、リーク情報に踊らされることなく冷静で客観的な報道姿勢が望まれます。
2010年02月10日
小沢問題に対するマスコミの報道姿勢を批判する投書が、1月28日の東京新聞に掲載されている; 最近の新聞・テレビの小沢問題の報道を見ていると、戦時中の米国憎し、米国を殲滅(せんめつ)せよ、との熱狂報道を思い出す。 もちろん、不正は徹底的に究明せねばならぬが、それは検察当局に任せておけばよいのであって、検察の捜査を支援しようという意図があるならメディアとしては行き過ぎだろう。 まるで今の日本には小沢問題しかないのだと言わんばかりの、あるいは、民主党を早くつぶして自民党政治に戻せと言わんばかりの、感情的・扇動的で民衆の興味におもねる姿勢が感じられてならない。ライブドア事件や酒井法子さんの事件でもそうだったが、一つのことにメディアが熱狂して群がるのは異常ではないか。 今、この日本には失業問題や沖縄基地問題など多くの緊急の「大問題」が発生しているのだ。もう少しバランスの取れた報道が必要だと思う。メディアの猛省を促したい。2010年1月28日 東京新聞朝刊 11版S 5ページ「発言-猛省すべき『熱狂報道』」から引用 この投書が指摘するように、扇情的な報道は世論を誤誘導する危険がある。国民を戦争に駆り立てた戦前の例とか、最近では小泉劇場を盛り上げて無策の自民党に300議席を取らせて世の中が荒廃したとか、反省の材料はいくらでもある。報道の使命を忘れて、発行部数や視聴率しか考えていないからそういう姿勢になるのではないか。
2010年02月09日
検察のリーク情報ばかり報道する新聞とそれを批判する週刊誌の論争について、月刊誌「創」編集長の篠田博之氏は、1月25日の東京新聞コラムに次のように書いている; 「検察VS小沢」報道をめぐって論争が起きている。新聞報道が検察のリークに基づくとの批判に対して、新聞各紙は紙面で反論を展開。東京新聞のように論争そのものを検証する記事を掲載するものもある。 週刊誌では『週刊朝日』が検察と大手マスコミ批判を展開している。1月29日号の表紙にも掲げられたジャーナリスト上杉隆氏の論考の見出しは「検察の狂気」。検察だけでなく、大手マスコミもあわせて「官報複合体」と指弾している。 他の週刊誌は概(おおむ)ね小沢批判の誌面だ。特に小沢追及を続けてきた『週刊現代』は1月30日号の表紙に「小沢逮捕の可能性」と大きな見出しを掲げている。 「政権交代とメディア」と題して報道についての特集を組んでいるのは『週刊金曜日』1月22日号だ。「ここで重要な鍵となるのは、人びとのメディアリテラシーだ」と説くのは山中速大・関西学院大教授。「政権交代後、人びとのメディアリテラシーが一段階進んだというたしかな感触がある」という。 「テレビは検察の情報スピンに同調して首相と政権党の幹事長の金の問題を延々と取り上げているが、人びとは、当該の二人に対する批判と政権に対する支持とを区別しているように見受けられるからだ」 検察に依拠した報道と同時にそれを批判する情報も流れるという状況が、人びとのメディアリテラシーを鍛えているというのだ。特にネット上に検察やマスコミ批判があふれている事は重要だと、これは『週刊朝日』で上杉氏も指摘していた。 前出『週刊金曜日』では元共同通信記者の青木理氏の論考も読み応えがあった。大手紙司法担当デスクのこういう証言が紹介されている。「いつもに比べて検察からのリークが明らかに露骨」「世論とメディアを味方につけたいという検察側の意思をプンプンと感じます」 この論争、メディアの多様化が多様な言論をつくりだしていることの象徴で、興味深い。もうひとつ『週刊朝日』1月29日号で話題になったのが、愛知県の歯科医師のインプラント使い回し告発のスクープだ。内部告発に基づく調査報道だが、労作だ。 (月刊崩』編集長・篠田博之)2010年1月25日 東京新聞朝刊 11版 25ページ「週刊誌を読む-『検察リーク』論争白熱」から引用 人々のメディアリテラシーが鍛えられて、検察が自民党有利に世論を導こうとして変な情報リークをしても、その効き目が無くなるということは、わが国民主主義にとって大変喜ばしいことである。
2010年02月08日
民主党小沢幹事長の金銭問題を、さも石川五右衛門並みの大泥棒であるかのように、マスコミを総動員して騒ぎ立てる検察について、精神科医の際斎藤学氏は次のように論評している; 任免に天皇の認証を要するポストを認証官というそうだ。大臣と副大臣もこれに当たるが、彼らは選挙で国民に選ばれている。しかし、検察庁には国民の知らぬところで認証された「天皇直轄」の官吏が検事総長以下10名いる。 今回、検察が政治家・小沢一郎の追い込みを図った動機には、おそらく天皇会見が関与していると思う。中国政府幹部の訪日に際して、小沢氏は「天皇ご自身は必ず、会いましょうとおっしゃると思う」と付度(そんたく)した。 これらに敏感に反応するのは右翼、右より報道機関、そして検察。特に検察は民主党政権が検事総長ポストを国会承認人事とすることを恐れ「窮鼠(きゅうそ)猫を噛(か)む」心情だろう。一部世論の小沢叩(たた)きを好機とみて「小沢汚し」に踏み切ったと思う。 だからこその強引さだ。今回の捜査は小沢氏の収賄や斡旋(あっせん)利得の証拠など狙っていないと思う。狙いは冤罪(えんざい)承知での小沢逮捕、そのものだ。 今や「官報複合体」と称されるようになった「記者クラブ・マスコミ」は、委細承知で、この「小沢汚し」に加担している。だがホリエモン騒動の時とは違う。新聞も週刊誌も一色に染まってはいない。特に週刊誌では週刊朝日が「検察の狂気」と表紙に大書し、週刊ポストもこれを追った。テレビは「小沢汚し」に夢中だが、電脳空間では「検察に勝ち目なし」が衆論だ。(精神科医)2010年1月27日 東京新聞朝刊 11版 25ページ「本音のコラム-検察の狙い」から引用 私がこの記事を初めて読んだ1月27日の朝の時点では、これは斎藤氏の主観のみで、私としては俄かには受け入れがたいという印象を受けたものですが、その後の流れをみていると、どうもこれは斎藤氏の言ってることは無視できないようだと感じられました。そしてとうとう、色々叩いては見たが、起訴すらできなかったという結末になった次第です。
2010年02月07日
市有地に神社があるのは憲法違反であるとする最高裁判決について、1月21日の東京新聞は次のような社説を掲載した; 市有地を地域の神社に無償で使わせていることは、憲法の政教分離原則に反するかどうか。最高裁大法廷は「達意」の判断をした。行政は少数者の宗教や良心の自由へ配慮がいっそう求められよう。 北海道砂川市にある小さな神社は、市有地の上に町内会館と一体となって立っている。祠(ほこら)や鳥居などもある。町内会に市が無償で提供している形だ。 神職はおらず、管理や運営は町内の氏子集団で行っている。ただ、お祭りの時には、神職や巫女(みこ)が来て、お祓(はら)いなどの宗教的行事もしている。 憲法では政教分離原則を規定するが、とくに89条で「公金その他の公の財産は、宗教上の組織もしくは団体の使用、便益もしくは維持のため、支出してはならない」と定めている。 最高裁はこの条文を踏まえ、無償提供により「氏子集団の宗教活動を容易にしている。一般人から見て、特別の便益を提供し、援助していると評価されてもやむを得ない」とし、「違憲」に導いた。「一般人の目から見た評価」というポイントに重点を置いた新視点で判断したといえよう。 政教分離原則をめぐる最高裁の憲法判断は11件あるが、「違憲」となったのは、1997年の愛媛玉ぐし料訴訟判決以来、2件目である。公有地上の宗教施設は、一説には全国に二千以上あるともいわれ、波及が注目される。 今回、砂川市内の別の神社も訴訟対象となったが、こちらは「合憲」と判断された。神社の土地が既に市から、地域の人でつくる「地縁団体」に移っており、この譲渡が違法状態から回避する行動とみなされたためだ。 全国各地域・集落ごとに点在する神社は、人々の生活に密着した習俗的な存在とも考えられる。お参りを生活習慣としている人も多い。それだけに「あまり神経をとがらせなくてもいいのでは」という意見もあるだろう。 だが、軍国主義と結び付いた国家神道の時代を記憶に刻み込んでいる人もいる。神社の運営費を町内会費とともに支払うケースなどは、ためらいを覚える人もいるだろう。 キリスト教を信仰する原告は、戦時中に参拝を強いられ、兄が戦死した体験を持つ。 社会は戦後、大きく変ぼうし、国際化が進む。さまざまな信仰や宗教観が混在している現代だ。政教分離原則はより厳格さを求められているのではないか。2010年1月21日 東京新聞朝刊 11版S 5ページ「社説-新視点で『違憲』導いた」から引用 「民主主義は多数決だ」という理屈からいけば、市議会が多数決で神社への市有地の無償貸与を議決すればそれでいいだろうという主張もあり得るが、これは憲法の認めるところではない。多数決が万能ではないことを示す一例と言える。
2010年02月06日
訪米した広島市長の秋葉氏と面会したオバマ大統領が、いつか広島へ行きたいと発言した、と1月22日の朝日新聞が報道している; 【ワシントン=望月洋嗣】広島市の秋葉息利市長=写真左=が21日午後(日本時間22日未明)、米国の主要都市の市長でつくる「全米市長会議」の代表団とともにホワイトハウスでオバマ米大統領=同右=と面会し、広島訪問を直接要請した。現職の広島市長が米大統領に会うのは、初めてのことだ。 秋葉市長によると、オバマ大統領と握手をした際に「広島市長です。いつか広島にいらして下さい」と呼びかけた。大統領は「行きたいです(Iwould like to come)」と応じた。秋葉市長は「目が合ってニコッとしていた。お世辞で言った感じではなかった」と語った。 面会は正副大統領と市長会議代表団との会合後、秋葉市長がオバマ大統領に歩み寄ってあいさつをした際に数秒間、実現。米大統領の広島訪問には反対意見が米国内にあることを念頭に「訪問の際は、すべての人に祝福してもらえる環境を整えてください」とも言ったが、立ち去りかけていた大統領に聞こえたかどうかは分からないという。 秋葉市長は同日、広島訪問を要請する文書をホワイトハウスに提出したが、訪問の時期には触れてないという。官房長官「歓迎」 平野博文官房長官は22日の記者会見で、オバマ米大統領が将来の広島訪問に触れたことについて、「唯一の被爆国の日本としては、非常に歓迎をいたすところ。喜ばしいことだと思う」と語った。2010年1月22日 朝日新聞夕刊 4版 1ページ「オバマ大統領『広島行きたい』-秋葉市長と面会」から引用 オバマ大統領には是非とも広島を訪問してもらって、原爆被害をよく理解していただければ、核兵器廃絶に向けてより一層積極的に取り組んでもらえると思います。
2010年02月05日
国会開会直前に民主党議員逮捕を行った検察を批判する投書が、1月22日の東京新聞に掲載された; 民主党の小沢幹事長の元秘書である石川議員逮捕劇は、官僚機構とそのファミリー企業・団体を利するだけと考えざるを得ません。 通常国会寸前の出来事ですが、この国会では、2010年度予算のほか、企業・団体献金を全面的に禁止する法案も審議されることになっていました。ほかに、国会法など政治主導体制を担保するための法案が、審議される予定でした。 そのため、政治主導体制が整備された後の11年度予算は、官僚機構にとって、不都合な状況を招くことも予想されていました。 小沢幹事長にかかわる「政治とカネ」問題が、誰の利益になるかは自明の理です。でなければ、検察はなぜ今なのかを説明すべきです。2010年1月22日 東京新聞朝刊 11版S 5ページ「発言-官僚利する国会前逮捕」から引用 石川議員逮捕が政治的な動機に基づくものでないなら、この投書が言うように、検察は「なぜ今」だったのか、説明するべきであろう。
2010年02月04日
検察庁の裏金作りを内部告発する寸前に不当逮捕された元大阪高検公安部長の三井環氏は、民主党小沢幹事長の金銭問題に対する検察の態度を、1月22日の東京新聞で次のように語っている; 鳩山内閣が初めて臨む通常国会が召集された今月18日、静岡市の静岡刑務所から三井環・元大阪高検公安部長(65)が出所した。検察の裏金問題を告発しようとした矢先に大阪地検特捜部に逮捕され、収賄罪などで懲役1年8月の刑が確定、服役していた。出所後、本紙のインタビューに応じ、民主党の小沢一郎幹事長周辺への検察捜査について、自身の体験を踏まえながら熱く語った。 (静岡総局・藤川大樹) 三井氏は午前8時すぎに出所。セーター姿で、正面玄関前で待ち受けた支援者らと握手した。静岡市内のホテルに場所を移して行われたインタビューでは、小沢幹事長の資金管理団体「陸山会」をめぐる政治資金規正法違反事件が、話題の中心になった。 「検察はまだ、前の政権与党だった自民党と一体になっている。民主党政権が、取り調べ可視化など検察にとって都合が悪いことをしようとしているから、排除するという考えだ」 一連の政治資金規正法違反事件では、「特捜部=検察」と「小沢=民主党」の対決構図が鮮明になっている。長く犯罪捜査に携わってきた三井氏は、組織同士の攻防戦の行方をこう見据える。 「政治資金規正法違反容疑で逮捕された元私設秘書の石川知裕議員が起訴されるのは間違いないが、これは形式犯。小沢幹事長まで捜査が及ばなければ(同幹事長の)勝ちだ。建設会社からの賄賂(わいろ)性のある金が土地購入原資の四億円に含まれていることが立証されたら、小沢幹事長の政治生命も危ない」 「捜査は戦争だ。検察内部には『風を吹かす』という言葉があり、情報をリークして世論を味方につけることもある。小沢幹事長側も攻撃しなければいけない。検事総長を法務委員会で証人喚問して検察の調査活動費問題、組織的な裏金づくりの実態を追及すべきだ。干葉景子法相は行政上の指揮権を発勤し、使った金を返還させるよう命じればいい」 三井氏の目には、小沢幹事長周辺で続く検察捜査が、自身に対する捜査と重なって映るようだ。 「私が逮捕される直前、新聞紙上で検察の裏金問題を実名告発した後、参考人として国会で証言し、検事バッジを外す-とのスケジュールが既に出来上がっていた。逮捕当日は、新聞報道の後にテレビで報じるという約束でジャーナリストの鳥越俊太郎氏の取材を受ける予定だった。逮捕は、組織を守るための明らかな口封じだ」 三井氏は今後、東京地検特捜部の汚職事件捜査で逮捕され、被告になっている新党大地代表の鈴木宗男衆院議員らと連携し、検察批判のシンポジウムなどを開催したいという。インタビューの最後に、こう続けた。 「大学入学前から検事を志し、『東京地検特捜部の生みの親』と言われる故・河井信太郎氏を目指してきた。検事の仕事を愛しているし、生まれ変われるなら、また検事になりたい。だからこそ、検察を浄化したいと願っている」2010年1月22日 東京新聞朝刊 11版S 24ページ「『検察、まだ自民と一体』三井元大阪高検公安部長 本紙に語る」から引用 検察庁に限らず公務員は公僕であり、時の国民が選んだ政府の下で忠実に仕事をすれば良いのである。あの政党はいいがこの政党はダメなどと勝手なことを言ってはいけない。国民の一人として投票権はあるにしても、検察官の地位を利用して政権を左右するのは職権乱用というものであろう。攻撃は最大の防御というくらいだから、民主党政権はこの際、検察庁長官を参考人招致して検察庁の裏金問題を徹底追及する必要があるのではないか。
2010年02月03日
検察による一連の「いやがらせ」活動について、国民の怒りの投書が、15日の「週刊金曜日」に掲載された; 鳩山由紀夫首相の元公設第一秘書が政治資金規正法違反で在宅起訴された。大変有名な事件なので、ここで事件の詳細には立ち入らないが、国民はこの件を民主主義の侵害としてもっと深刻に受け止めるべきだ。 今回の事件では鳩山氏自身は嫌疑不十分として法的な罰則をうけていない。つまり鳩山氏自身は、資金提供は母親からなされていたとしても、まったく無関係であったということであり、検察側もそう認識しているということだ。 現在の民主党政権は前回の選挙で洗礼を受け、国民の総意により誕生した。政権を決める権利は国民のみが持っている。国民がその政権の政策を判断して次の選挙で当落を決めるのだ。政権発足後100日しか経っていない政権に正しい評価を下せる人間はこの世に存在しない。 このような時期に今回のような政策と無関係な微罪(罰金30万円)で検察によって政権が潰されようものなら、正しい政策評価など行なえない。また、本来政治に使われる政権内のエネルギーが浪費されてしまう。これでは民主主義を冒涜(ぼうとく)しているようなものだ。 繰り返すが現政権は国民の総意により決定した。政策に関係ないところで微罪を追及し、政治に甚大なダメージを与えた検察に対して、現政権に対する責任を持って国民自身が怒るべきである。この程度の微罪ならわざわざ大事にせずに淡々と徴収すればよい。そして政治家は倫理責任ではなく、政策の成功・失敗による結果責任だけを追及すればよいのだ。2010年1月15日 「週刊金曜日」782号 「投書-国民は検察に怒るべき」から引用 検察が民主党政権を気に入らないからと言って、微罪を針小棒大に騒ぎ立てるのは、この投書の言うとおり不当な行為である。きのうの投書が指摘したような意図的な情報リークからも、それは明らかだ。政治資金規正法に違反しているなら、その法律によって処罰すればよいのであって、この政権を潰すかどうかは、検察ではなく国民が判断することであり、国民は検察のリーク情報ではなく、現政権の政策を見たうえで判断するのである。
2010年02月02日
小沢幹事長の金銭疑惑について、恣意的に情報をリークして世論を操作する検察の問題点を、精神科医の斎藤学(さいとうさとる)氏は次のように述べている; 先週土曜日の本紙夕刊で石川知裕容疑者(衆院議員、元小沢氏秘書)の逮捕前の情報を読んだ。十四日昼から行われた聴取で「(石川容疑者は)憔悴(しょうすい)した様子を見せ、やがて『わざと記載しなかった』(中略)『このことを知ったら小沢先生は激怒するだろう。知られたら政治生命は終わりだ』」と供述したという。 「関係者への取材で分かった」そうだが、「関係者」は検察に決まっている。業務上で知り得た容疑者(推定無罪のはず)のプライバシーを公開することが許されるのか。検察に指図される報道機関とは何なのだ。 この容疑者は「記載ミス」が意図的だったと言っただけ。しかし、騒ぎだてれば大物政治家の「疑惑」を膨らませるには十分だ。些事(さじ)を現場からリークさせては世論を導き逮捕してしまう。 公判によって不当逮捕による意図的制裁であったことが分かる(それでも有罪になるから恐ろしい)のは数年たってからのこと。そのときにはすべてが荒れ野と化している。沖縄密約を暴いた元毎日新聞記者・西山太古氏も、リクルート事件に絡んで失脚した政治家たちも、起業による日本革新の担い手の一人だった堀江貴文氏も二度と立ち上がれなくなった。 権力を制約する「もうひとつの権力」が不要だと言っているのではない。それが司法官僚であることが問題なのだ。 (精神科医)2009年1月20日 東京新聞朝刊 11版S 25ページ「本音のコラム-検察リーク」から引用 報道は冷静で客観的であるべきだ。報告書の記載ミスかも知れない事案を、さも大泥棒の今世紀最大の悪事であるかのような報道姿勢は疑問である。
2010年02月01日
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