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大分県に住む人物がネットで川崎市の在日コリアンの中学生を誹謗する書き込みをしたために侮辱罪で処罰されたと、17日の東京新聞が報道している; 昨年1月に中学生だった川崎市に住む在日コリアンの男子高校生をブログで人種差別的に中傷したとして、昨年12月に川崎区検が侮辱罪で大分市の男性(66)を略式起訴し、川崎簡裁が科料9千円の略式命令を出していたことが16日、分かった。生徒の代理人によると、「インターネット上に匿名で書き込んだヘイトスピーチが侮辱罪で処罰されたのは初めて」としている。 ブログヘの投稿には在日コリアンを「悪性外来寄生生物種」などと記載した悪質な表現が多く、代理人の師岡康子弁護士は「匿名でヘイト投稿をしても刑事処罰されるという教訓になる例だが、侮辱罪では軽すぎる。ヘイトクライムに対応した法制度や捜査態勢の整備が必要だ」と訴えた。 起訴状などによると、昨年1月22日、川崎市の音楽イベントに参加した生徒を取り上げた新聞社のネット記事を引用し、実名を挙げてブログで中傷。不特定多数が閲覧できる状態にして公然と侮辱したとしている。 代理人によると、新聞社の記事公開後、生徒を中傷する投稿がネット掲示板などで大量に書き込まれた。生徒は「ひどいヘイトスピーチを見た時の恐怖やショックを忘れることができません。家族みんなが傷つきました。今後は二度と差別しないでほしい」とのコメントを出した。 生徒側は昨年7月、ブログ管理会社などへの任意の情報開示請求を通じて発信者を特定し、川崎署に告訴。署が同10月、横浜地検川崎支部に書類送検した。【侮辱罪】 事実を示さずに公然と人を侮辱する罪。名誉毀損(きそん)罪が具体的な事実を示して人の名誉を傷つけた場合なのと異なる。法定刑は拘留(30日未満)または科料(1万円未満)。2019年1月17日 東京新聞朝刊 12版 29ページ 「ヘイト投稿に侮辱罪適用」から引用 この記事で弁護士が指摘しているように、悪質なヘイトスピーチに対する刑罰が1万円以下の罰金ではあまりにも軽すぎる。加害者に十分な反省を促すには100万円くらいの罰金か3年くらいの懲役が妥当と思います。今回の事件が「一罰百戒」の効果を発揮して、民族差別を許さないというコンセンサスが私たちの社会に形成されるように望みます。
2019年01月31日
県民投票のための予算を市議会が否決して市民の投票を不可能にするという妨害工作が自民党の国会議員によって行なわれたことを、20日の「しんぶん赤旗」は次のように報道している; 昨年12月、石垣市のある保守市議の携帯が鳴りました。相手は自民党本部事務方トップ。市議会では、米軍新基地建設に関する埋め立ての賛否を問う県民投票経費を盛り込んだ予算案の採決が近づいていました。事務方トップは求めました。 「(否決に)何とか協力してもらえないか」 市議会の定数は22。与党の保守市議2人が賛成の意向を示し、賛成と反対が桔抗(きっこう)していました。電話を受けた保守市議と合わせ3人が賛成に回れば、予算案が可決される可能性もありました。そんな状況で行われたのが、自民党本部事務方トップが自ら乗り出しての説得工作でした。 採決が行われた12月25日の市議会。自民系会派などの与党は4時間以上にわたり本会議を空転させ、賛成の意向を示していた保守市議2人の説得を続けました。議長室に2人が呼ばれ、自民党に推され当選した中山義隆市長も入る姿が確認されました。 結局、自民党本部事務方トップから電話を受けた保守市議は反対。議長室に呼ばれた保守市議の1人も退席し、賛成少数で予算案は否決されました。今年1月11日、中山市長は県民投票への不参加を表明しました。 編集部の取材に予算案に反対した保守市議は、自民党本部事務方トップからの電話が判断に影響したのかについて「それはない。否決は確定的だったから」と語ります。 県民投票をめぐり自民党は、県内各地で妨害に向けた勉強会を開いています。編集部は、弁護士資格を持つ自民党の宮崎政久衆院議員の名前が記載された勉強会の資料を入手しました。地方議員に配布された資料にはこう記されています。 「議会、議員としては、そもそも論としての県民投票の不適切さを訴えて、予算案を否決することに全力を尽くすべきである」 県民投票経費を盛り込んだ予算案を議会で否決し、つぶしてしまう”作戦”です。 宮崎氏の名前のある別の資料には「市町村議会において問題提起を行うタイミング」として(1)県民投票に反対する意見書の採択(2)投票事務に必要な予算案を否決する-と妨害工作の”指南”までしています。 宮崎氏は「参加された方の理解のためレジュメを作成しました」とコメントしています。 資料をもらった県内のある自治体の保守系市議は明かします。 「自民党の市議から『参考までに』と渡された。(予算否決という)こんな考え方ができるのかと思った」 受け取った同市議は議会で県民投票の予算案に反対しました。 12日には県民投票をテーマにした保守系団体主催の演説会が浦添市で開かれました。 参加者によると自民党の又吉清義県議は「(県民投票条例に)私も議会で反対する第一人者」と発言し、県民投票を敵視しました。 県民の意思表示の機会そのものを奪う民主主義否定にまで乗り出してきた自民党。安倍政権がいかに県民投票を恐れているのかを示しています。2019年1月20日 「しんぶん赤旗」日曜版 6ページ 「自民国会議員が妨害工作を”指南”」から引用 自民党の宮崎議員が市議の勉強会に送った資料には「そもそも論としての県民投票の不適切さを訴え」ろと書いてあったらしいが、その問題は県議会で討論して採決されて、県民投票をやることになったのですから、それを今度は市議会で予算を出さないことにして市民の投票参加を妨害するというのは、やり方として不当であり違法な「妨害工作」であったと言うしかありません。しかし、その後、自治体の県民投票不参加は、市民の意思表示の機会を奪う憲法違反に当たるとする憲法学者の発言があったり、県民投票を提唱して署名運動をしていた若者が、自治体の県民投票不参加に抗議してハンガーストライキを行なうなど、市民の闘いが奏功してなんとか全県民参加の「県民投票」が実施できる見通しになったのは良かったと思います。
2019年01月30日

韓国大法院が新日鐵住金に元徴用工への賠償を命じた裁判について、米ジョージ・ワシントン大学准教授のマイク・モチヅキ氏は、16日の神奈川新聞に寄稿して次のように述べている; 日本統治時代の強制労働を巡り、韓国最高裁が新日鉄住金に韓国人元徴用エヘの賠償を命じた問題で、韓国にある同社の資産が差し押さえられた。日本政府は1965年の日韓請求権協定により、賠償問題は「解決済み」と主張し、協定に基づく協議を韓国政府に要請、対抗措置の検討も進めている。 しかし、法は心に響かない。歴史問題では法律論を超えた取り組みが必要だ。安倍政権は「未来志向」を強調する半面、過去を記憶していく努力が不十分とも感じる。「国と国」にとどまらず「人と人」の和解の在り方を探るべきである。 第2次大戦中の強制労働への補償を考える上で、ドイツの対応がお手本となる。ドイツは2000年、政府と企業による「記憶・責任・未来」基金を設立し、約166万人の被害者に対し、07年までに計約44億ユーロ(当時のレートで約7千億円)を支給した。 こうした取り組みにはドイツ国内でも反対論があったが、1998年に政権の座に就いたシュレーダー左派連立政権が推し進め、大きな成果を収めた。ドイツ人は自らの手で過去と向き合ったことに誇りを持った。 日韓は65年、国交正常化のための日韓基本条約と共に請求権協定を結んだ。日本は5億ドル(同1800億円)の経済協力資金を韓国に供与し、両国間の賠償請求権は「完全かつ最終的に解決された」と確認した。 この時、国家間では確かに法的決着をみた。しかし、資金は経済開発に使われ、元徴用工ら個人への補償は十分に行われなかった。協定は「それ以上の和解努力」を否定するものではない。 好例が三菱マテリアルの対応だ。同社は2016年、第2次大戦中に日本の鉱山などで強制的に働かせた3千人以上の中国人被害者に対し、1人当たり10万元(同170万円)を支払うことで合意し、謝罪した。 中国は1972年の日中共同声明で賠償請求を放棄した。日本政府はこれを盾に賠償問題は「解決済み」としたが、三菱マテリアルは自主的に謝罪と賠償に応じた。民間企業が参加したドイツの基金と合わせ、和解を探る先例となり得る。 日本では「韓国は国際約束を無視した」「解決済みの問題を蒸し返した」といった感情的な言説があふれている。そうした雰囲気の中では「日本側も何かやれることがあるのではないか」という冷静な意見を唱えることが難しくなる。 その結果、徴用工問題は「日本VS韓国」という構図で捉えられ、国家間の対立の側面ばかり強調される。日韓が力を合わせ、どうやって和解を促進するかという方向に議論が進まない。 北東アジア安定の鍵を握るのは日韓だ。共に民主国家で、米同盟国でもある。北朝鮮の非核化など安全保障上の目的を共有し、中国の台頭に懸念を抱いている。韓国との良好な関係は日本人自身の利益となる。 真の和解には過去の行為を認め、心に刻むことが大切だ。戦後70年に寄せた4年前の安倍晋三首相談話は、将来世代に謝罪を続ける宿命を背負わせてはならないと訴える一方、過去の歴史に真正面から向き合わなければならないとも述べた。後者の取り組みが進展しているとは言い難い。<MIKE MOCHIZUKI> 1950年金沢市生まれ。米ハーバード大で博士号。専門は日本政治、日米関係、東アジアの安全保障。犬ジョージ・ワシントン大の「アジア太平洋における記憶と和解」研究・政策プロジェクト共同責任者。2019年1月16日 神奈川新聞朝刊 A版 17ページ 「法は心に響かない」から引用 この記事は日本人にとって大変参考になる貴重な記事だと思います。ドイツではシュレーダー左派連立政権が、国内の反対意見を押し切って166万人もの強制労働被害者に賠償を支払ったというのは驚くべき偉業で、それによってドイツ人は自らの手で過去と向き合ったことに誇りを持つことができたのは幸運です。日本でも社会党の村山富市氏が首相の時に戦後50年の談話を発表し、日本人も曲がりなりにも歴史と向き合うことができましたが、極右路線の安倍政権では被告の新日鐵住金が原告と和解しようと考えていたところに不当に介入して問題を難しくしてしまっている。これでは日本国民は自らの手で歴史に向き合う機会も、またそのことに誇りをもつ機会も失ってしまいます。こういう政権では国民が幸福に暮らせないという危機感を、私たちは持つべきです。
2019年01月29日
安倍首相の沖縄のサンゴ移植の虚偽発言について、20日の「しんぶん赤旗」は、次のように報道している; 沖縄の米軍新基地建設をめぐり、安倍晋三首相がNHK番組「日曜討論」(6日放送)で、埋め立て海域に分布しているサンゴについて「移している」とウソの発言をしたことに批判が広かっています。 安倍首相は「土砂を投入していくにあたって、あそこのサンゴについては移している」と述べました。 しかし、防衛省沖縄防衛局が土砂を投入している区域で移植されたサンゴは一つもありません。これまでに移植されたのは、絶滅危惧種のオキナワハマサンゴ9群体だけ。現在土砂が投入されている区域とは別の区域に生息していました。 沖縄県の辺野古新基地建設問題対策課によると、埋め立て予定海域全体で移植対象とされているサンゴは約7万4300群体。安倍首相が埋め立て区域全体を指して発言したとしても、9群体は移植対象のわずか0・01%で、「移している」とは程遠い実態です。 沖縄防衛局は昨年12月、約3万9600群体の移植許可を県に申請していますが、申請は審査中で、まだ許可されていません。 沖縄防衛局は2013年に埋め立てを県に申請した際、事業実施前にサンゴを移植すると説明していました。その約束すら守られていません。地元紙・琉球新報は社説で「一国の首相が自らフェイク(うそ)の発信者となることは許されない」(9日付)と批判しています。2019年1月20日 「しんぶん赤旗」日曜版 7ページ 「首相『サンゴ移した』とウソ」から引用 他のメディアが安倍首相の虚偽発言をあまり重要視しない中で、この問題を取り上げた「しんぶん赤旗」の姿勢は評価するべきかも知れません。しかし、それにしては紙幅が小さすぎて問題を十分に把握しきれていないように思います。記事の末尾で、沖縄防衛局はサンゴを移植すると説明したのに「その約束すら守られていません」という表現では、サンゴの移植は沖縄県当局と防衛省の間で実施することで合意ができていたかのような印象を与えます。「しんぶん赤旗」をもってしてもこの程度というのには、いささか失望を禁じ得ません。
2019年01月28日
日本オリンピック委員会の会長がフランスの司法当局の取り調べを受けたことについて、16日の東京新聞は次のように報道している; 東京五輪・パラリンピック招致を巡る贈賄疑惑で、フランス司法当局が日本オリンピック委員会(JOC)の竹田恒和会長を対象に「予審」という捜査手続きに入った。日本でいう起訴の前で、各メディアは「本格捜査」などと記し、いまひとつ危機感が薄いが、仏では予審の対象になった閣僚は必ず辞任に追い込まれるほど深刻な状況だという。竹田会長に対し「辞任するべきだ」と厳しい声も出ている。(中沢佳子) 「コンサルタント業務への適切な対価だ」。竹田会長は15日の会見で、日本の法律で違法性はないとして、潔白を訴えた。コンサルタント料として支払った2億円超は適正であり、自身は稟議(りんぎ)書に署名したが意思決定のプロセスに関わっていないと説明した。会見はわずか7分で終了。捜査への影響を理由に記者の質問は受けない、一方的なものだった。 竹田会長がトップを務めていた日本の招致委員会は、シンガポールのコンサルタント会社「ブラックタイディングス」にコンサル料2億円超を支払った。ただ、同社は国際オリンピック委員会(IOC)の当時の有力委員だったラミン・ディアク氏の息子と関係が深いことが分かっている。仏当局がディアク氏に絡むドーピング問題を巡る資金の流れを追う中、日本の招致委のコンサル料の一部が息子を通じてディアク氏側に渡った可能性が2016年に浮上。昨年12月、仏当局は「予審」の開始を決定し、竹田会長の事情聴取をすでに済ませたという。 予審とはどういう手続きなのか。仏の司法制度に詳しい神奈川大の白取祐司教授(刑事訴訟法)は「重大事件を対象に、検察官の請求を受けて行う。必ずしも公判請求になるわけではない。『予審判事』が捜査の指揮や取り調べをし、公判請求をするかどうかを判断する」と説明する。予審判事は仏特有の制度で、強い権限があるという。「判事という名称だが、日本の検察官に近い。政治と独立した立場にあり、思い切った捜査ができるのが特徴だ」 対象は、社会の耳目を集める事件も多い。例えば昨年3月、サルコジ元大統領が巨額の不正な選挙資金を受け取ったとされる案件も予審が開始された。 元外務官僚の緒方林太郎・元衆院議員は「私の感覚では、予審が開始されるのは深刻な状況。当局が確証を持っていなければ、取らない手続きだ」と重く受け止める。「仏では民間同士でも贈収賄罪が成立する。今回もそれに当たると見たのだろう」 予審の影響力について、緒方氏は「仏政界では予審の対象になった閣僚は、推定無罪の段階であっても例外なく辞任するのが不文律。対象になった時点で、道義的責任を問われるという考えがある」と指摘する。例えば、ミッテラン政権下の1994年、バラデュール内閣の閣僚だったカリニョン氏は汚職で予審の対象となり辞任した。 今のところ、竹田会長の辞任を求める声は出ていない。だが、緒方氏は「竹田会長も早く辞めたほうがいい。もし、五輪開催に近い時期に公判請求が決まったら、五輪自体にミソがつく。官邸もどこかで引導を渡すのでは」とみる。 会長辞任どころか「金で買った東京五輪なんてことになったら、恥ずかしい。五輪憲章に反する行為として、開催を取り消していい」と切り捨てるのは、神戸女学院大の内田樹名誉教授(哲学)。世界のメディアがこの疑惑を報じる中、日本では「メディアが及び腰で重大さが伝わっていない」と批判。そのうえで「開催前年にこんなスキャンダルになるなんて、日本に危機管理能力も自浄能力もないと世界にさらした。開催したら、五輪史上かつてない汚点を日本がつくり、負のレガシー(遺産)を残すことになる」と訴えた。2019年1月16日 東京新聞朝刊 11版 24ページ 「竹田会長に『予審』開始の重みとは・・・」から引用 竹田会長は「稟議書にサインはしたが、意志決定には関わっていない」と発言したそうであるが、これは詭弁というものではないかと思います。普通は、稟議書が回ってきたとき、自分がもしその稟議内容に同意できないときはサインも押印もせずに次へ回すのであって、そこにサインしたということは「同意する」と意思表示したのであって、まして会長のところに来るときは、部下が全員「同意」しているわけで、最後にサインした会長は「ゴー」サインを出したということで、重大な意志決定をしたと言うほかはないでしょう。また、竹田会長は、支払ったカネは「コンサルタント業務への適切な対価だ」とも発言しているが、どのように適切と判断できるのか、客観的な説明が必要になるのではないでしょうか。支払ったカネの一部がIOC委員のフトコロに入っていることが判明すれば、適切な対価ではなかったことになります。しかし、そんな細部まで検討する以前に、このような事態になったことに対し道義的責任を取って辞任するのが、良識ある公人の行動規範だと思います。
2019年01月27日
性差別に対する日韓の反応の差について、文芸評論家の斎藤美奈子氏は16日の東京新聞に、次のように書いている; ここ数年、韓国では性差別を告発した本の出版が相次いでいる。 こうした言論に火がついたキッカケは2016年5月の「江南駅通り魔事件」だった。ソウル市内の江南駅付近の商業ビルのトイレで、当時23歳の女性が見知らぬ男に殺害された。現場で逮捕された加害者が「社会生活で女性に無視された」と語ったことから韓国社会は騒然。これは女性嫌悪犯罪(ヘイト・クライム)だと感じた女性たちがSNS等で犠牲者への追悼を呼びかけ、韓国社会にはびこる女性への暴力を問題視する機運が生まれたという。 考えてしまった。日本でも同種の事件が過去に多々起きていたにもかかわらず、私たちは女性に対する暴力に鈍感だったのではないか。 NGT48の山口真帆さんがファンに暴行された事件も釈然としない気分が残る。被害者自ら動画で恐怖を語らなければならなかった状況。その被害者に謝罪させて事態の収拾を急ぐ会社。 AKB48の握手会場で男がメンバー2人とスタッフ1人を負傷させた事件(14年5月)、小金井市で当時20歳だった女性がファンを名乗る男に刺された事件(16年5月)など、アイドルが危険にさらされた事件は以前にも起きている。今度の件はアイドルビジネス自体のあり方にも一石を投じた。芸能ニュースですむ話ではない。(文芸評論家)2019年1月16日 東京新聞朝刊 11版S 25ページ 「本音のコラム-アイドルの事件」から引用 この記事は、字数が少なすぎて私には少し理解が難しい。ソウル市江南駅付近の商業ビルで起きた殺人事件の犯人が「社会生活で女性に無視された」と発言したとあるが、これだけでは何のことか意味不明である。想像するに、コンビニで買い物したりファミレスで食事したときに、女性の店員に無視されたことがあった、それに腹を立てて別の場所で無関係の女性を殺害した、というような筋書きでもないと、「韓国社会が騒然とした」という現象に結びつかない。女性に対する暴力事件は、この記事が指摘するように日本でも跡を絶たない。NGT48の事件もひどい話で、アイドルの人事管理に責任を持っているはずの会社が、世間を騒がせたからとの理由で被害者に謝罪させたというのも、どこかズレた対応だと思いました。いずれにしても、長い歴史の中で男から見下される立場にあった女が、平等を訴えて、それが少しずつ実現していくのは良いことだと思います。
2019年01月26日
さいたま市の公民館の月報から憲法9条に関連した俳句が削除された問題が裁判になって、俳句の作者が勝訴したことを喜ぶ投書が15日の東京新聞に掲載された; 私も川柳作りが趣味で、メディアに投句もしているから、さいたま市の「9条俳句」のことが気になっていた。昨年12月に最高裁が上告を退け、市に損害賠償を命じた判決が確定した。 「梅雨空に『九条守れ』の女性デモ」。同市大宮区の公民館のサークル活動で、女性が東京・銀座で見た光景を素直に描写した句だ。この句に改憲賛成、反対の意思表示はないように私には思える。 それなのに、公民館側か館の月報への句の掲載を「公民館の公平性、中立性を害する」と判断して拒否したとはあきれる。。そもそも、どんな世論調査でも9条改憲については反対意見が圧倒的に多く、世論を二分するような問題ではないはず。現政権への「忖度」を見る思いだ。 作者の女性、よくぞ頑張り、表現の自由を守ってくれた。「僕は君の意見に反対だが、君がそれを主張する権利は命がけで守る」。その精神こそ民主主義だろう。2019年1月15日 東京新聞朝刊 11版 5ページ 「発言-9条俳句勝訴 表現自由守る」から引用 私はこの投書の主旨に賛成であるが、この投書に表現された筆者の現状認識には、少し違うのではないかという感想を持ちました。憲法9条の改憲には反対意見が圧倒的だとは言え、現実に国会の3分の2を超える議席の議員が改憲勢力側に所属している現状では、もしさいたま市の担当者があの俳句を「常識的な判断」で公民館の月報にそのまま掲載すれば、間違いなくさいたま市議会自民党の議員が騒ぎ出して公民館の担当者はつるし上げの目にあったことと思います。なにしろ自民党の改憲草案では、天賦人権説を否定し、言論表現の自由などの諸権利は法律が定める範囲内でしか許されないという、戦前の体制を復活させるかのような内容になっている。そういう改憲案を堂々と掲げる勢力に3分の2以上の議席を許している現状をどうするのか、という問題に正面から向き合うことが必要と思います。
2019年01月25日
毎月勤労統計調査として発表されていたデーターがかなり以前から正確なデーターではなかったことが発覚したことに関連して、法政大学教授の山口二郎氏は13日の東京新聞コラムに、次のように書いている; 小学生の時の理科の時間で、ゴムひもの端に重りを付けて、重さとゴムの伸びをグラフに表すという実験をしたとき、重さと伸びが正比例するようデータをごまかしたことがある。ゴムひもの場合、ばねと違って比例しないのだが、比例するはずと思い込んでデータをいじったわけである。それを見つけた先生は、日ごろは面白い人だったが、それこそ血相を変えて怒った。事実を自分の都合に合うようにねじ曲げてはいけないという先生の怒りは、子どもの頃の最大の教えだったと今にして思う。 今の日本は、客観的事実と自分の主観を区別できないという深刻な病に陥っている。毎月勤労統計調査の不備だけではない。働き方改革法案の基礎となった実態調査もずさんだったし、昨年秋には日銀が内閣府に対してGDP算定の基になっている経済統計の原データを開示するよう求めたが内閣府はこれを拒んだという報道もあった。 正確な事実を共有することは、政治におけるあらゆる議論の大前提である。一部の統計の不備は調査人員の削減に伴うごまかしかもしれない。しかし、政権の政策実績を肯定的に宣伝するために物差しそのものをゆがめているという場合もあるのではないか。安倍政権は、ダイエットをせず体重計に細工をすることでスリムになったと言い張っているように見える。(法政大教授)2019年1月13日 東京新聞朝刊 11版 23ページ 「本音のコラム-事実を直視する」から引用 政府が発表するデーターと言えば、首相の発言に合わせて公文書を改ざんして発表した森友事件は、いまだにその真相は明らかになっておらず、今後も国会で追及していく必要があるが、このような前例があるので、今回の毎月勤労統計調査も正確ではなかったと報道されると、またか、どうせ安倍政権に都合のいいように改ざんしたのだろうと、私たちは考えがちですが、しかし、このような推測は十分に根拠のあることであり、メディアはそういう前提で、何故このような不正が行なわれたのか、その責任を追及してほしいと思います。
2019年01月24日
最近の新聞を読んだ感想について、中央大学教授の目加田説子氏は13日の東京新聞に、次のように書いている; 年末年始、原発を巡る東京新聞らしい報道を読んで考えさせられた。一つは6日朝刊の社説「神話崩壊、廃炉の時代」(5面)。戦後間もないころから米国が原発を推進してきた経緯を詳述している。 1955年の日米原子力研究協定仮調印後、原子力イコール原爆のイメージ払しょくのため、米国の意向を受けて全国で「原子力平和利用博覧会」が開催された。5番目の開催地は広島の平和記念資料館。「核兵器の惨状を伝えるべき通常の展示物を、別の場所に移して」まで平和利用をうたい「原爆ドームも、本体を電球で飾り立てられて、平和利用の夢を彩る”展示品”の一つにされた」という。 無神経さに言葉を失う。55年といえば、広島・長崎からまだ10年。その前の年には米国の水爆実験でマクロ漁船「第五福竜丸」が被ばくし、乗組員が死亡した。 原爆投下が戦争の終結を早めたという投下正当論が根強い米国では、戦後50年を機に国立スミソニアン航空宇宙博物館で企画された原爆展が、退役軍人らの反発で中止されたことがある。昨年も、原爆が開発されたニューメキシコ州ロスアラモスで計画されていた原爆展が「住民に受け入れられないのでは」という理由で中止されている(2018年3月30日夕刊8面)。 人道的視点に立った原爆の展示すら拒まれる、戦勝国と敗戦国の覆しがたい現実。それでも人類は核兵器と共存できないというメッセージを世界にどう発信し続けるのか。 * * * もう一つは、経団連の中西宏明会長のインタビュー記事(1月5日朝刊1、7面)。日立製作所会長でもある中西氏は原発について「全員が反対するものを(中略)無理やりつくるということは、民主国家ではない。国民が反対するものをつくるにはどうしたらいいのか。真剣に一般公開の討論をするべきだと思う」と語った。 今更何を言っているのか、無責任さに唖然とする。多くの国民は福島第一原発事故以降、原発が安全かつ低コストでクリーンなエネルギーという神話は嘘だったことを見抜き、脱原発を求めてきた。にもかかわらず、政府の原発輸出の片棒を担いできたのは当の経団連ではなかったか。 日立製作所は昨年末、英国で建設予定だった原発の事業費が膨れ上がり、計画の凍結は避けられないとの認識を示していた(18年12月18日朝刊2面)。輸出に失敗したとたん「国民が反対するものはつくれない」と開き直るのか。まずは、責任を持って方針転換を示すのが筋だろう。 平成を振り返り、新元号の時代を語る報道は、昭和からの積み残しの検証を伴うものでなければならない。(中央大総合政策学部教授)2019年1月13日 東京新聞朝刊 11版S 5ページ 「新聞を読んで-原発推進者の無神経」から引用 この記事に示された目加田先生の見方は大変厳しい。私などは、経団連会長の発言を聞いて財界にもこういう考えを持った人がいたのかと言う程度の認識しかなかったが、言われてみれば彼は政府と共に原発輸出の旗を振ってきた張本人なのであって、「今更何を言ってるのか」という目加田先生のお怒りは当然と言えば当然です。民主化指導者の言葉のようだなどというのは、とんだ勘違いで、あれは輸出に失敗したのでとっさに開き直っただけのことでした。問題の本質を的確に把握して一刀両断にする、実に目が覚めるような記事だと思います。
2019年01月23日
経団連の会長が「国民が反対する原発を無理につくるのは民主国家ではない」と発言したことを、5日の東京新聞は次のように報道した; 経団連の中西宏明会長(日立製作所会長)は年初に際しての報道各社とのインタビューで、今後の原発政策について「東日本大震災から8年がたとうとしているが東日本の原発は再稼働していない。国民が反対するものはつくれない。全員が反対するものをエネルギー業者や日立といったベンダー(設備納入業者)が無理につくることは民主国家ではない」と指摘。「真剣に一般公開の討論をするべきだと思う」として、国民の意見を踏まえたエネルギー政策を再構築すべきだとの見方を示した。 原発再稼働を進める安倍政権に対して、従来、経団連は「原子力は最も重要な基幹エネルギー」(榊原定征前会長)として同調していた。 しかし、政府と民間が進めてきた原発の輸出戦略は、コスト高や安全不安で相次いで頓挫。中西氏が会長を務める日立製作所が進める英国での原発建設計画も、コストの上昇から採算が合わなくなり、暗礁に乗り上げている。 原発の経済合理性が失われる中、原発を推進するには、国民の同意が必要だとの主張を示したものだ。 一方で、再生可能エネルギーについても「日本には適地が少なく極めて不安定。太陽光も風力も季節性がある。次世代送電網も新しい投資が行われていない」として、課題が多いとの見方を示した。(中沢幸彦)2019年1月5日 東京新聞朝刊 12版 1ページ 「原発 国民反対なら無理」から引用 日頃の安倍首相や菅官房長官の発言に比べると、経団連会長の上記の発言はあまりにもまとも過ぎて、まるで民主化運動指導者の発言かと思うような明るい希望を感じます。私は、東日本の原発が再稼働していない理由は原子力規制委員会の審査が厳しいため、偶然早めに対応ができた西日本の原発から再稼働が始まっただけのことと認識しておりましたが、中西会長の発言からは、東日本では原発反対の声が強いために再稼働が遅れているという実態が存在するかのような様子がうかがえます。ただ、再生可能エネルギーについては、適地が少ないだの季節性があるだのと、その辺の素人なみの認識しかない様子にはがっかりします。実際のところは、再生可能エネルギーは原発が不要になるほどの実績を既に上げているのであって、九州電力は原発を優先するために再生可能エネルギーのほうを不当に止めているのであって、経団連会長ともなると「雲の上の人」だけに現実がわかっていないんだなあと思いました。
2019年01月22日
一部の中学校が学力テストの結果を公表していることを批判する投書が、12日の東京新聞に掲載された; ある中学校の「学校だより」を目にする機会があり、驚いた。全国学力テストの結果が教科別に「全国」「都」「本校」と平均点が記載され、「本校との差」まで。ホームページ上では他の多くの中学が自校の平均点を公表していた。 いつの間にこうなったのか。誰がこれを見て、喜び、励まされ、頑張ろうという気持ちになるだろう。 私も三十数年間、中学校教員を務めた。志望校選択の判断材料になる業者テストを生徒に返却する際、「これ返されるたびにやーな気分になるんだ」と言われ、目の前で成績表を破かれたこともあった。意味のない競争を煽り、つらい思いの子どもを増やすだけではないのか。誰のため、何のための公表なのか。2019年1月12日 東京新聞朝刊 11版S 5ページ 「発言-何の利もない学テ結果公表」から引用 学力テストの結果を公表することには何の意味もないという投書の主旨は、その通りだと思います。文部科学省が学力テストを実施する目的は、生徒の理解度を把握することによって現在の指導方針を見直す手がかりを得ることであって、学校毎の優劣を評価することが目的ではありません。したがって、本来は全国一斉に実施する必要はないのであって、統計上必要な数の学校を選択して実施すれば目的は達成できるはずです。それを、なまじ全国平均が出るものだから、それに比べて本校は、などと目的外の方向に議論が進むのは教育的観点からも「邪道」というものでしょう。教育の目的は、全ての生徒本人が持っている能力を伸ばしてあげることであり、その手段として他人と競争させるというのは、少し有能な生徒を励ます効果があっても、他の生徒をくさらせる逆効果がありますから、教育者としてやるべきことではないと思います。
2019年01月21日
辺野古の海岸に土砂を投入するに当たって事前にサンゴを移植したという安倍首相の虚言について、記者会見で質問された菅官房長官がどのように返答したか、11日の東京新聞は次のように報道している; 米軍新基地建設が進む沖縄県名護市辺野古(へのこ)沖のサンゴを移植したとする安倍晋三首相の発言は、事実誤認との指摘が出ていることに対して、菅義偉宣房長官は10日の記者会見で、明確な回答を避けた。「環境保全措置にも最大限配慮しながら対応しているという趣旨の発言だろう」と語った。(妹尾聡太) サンゴは現在埋め立てが行われている区域では移植されていない。同県の玉城(たまき)デニー知事は「現実はそうなっていない」と指摘している。 首相は6日のNHK番組で「土砂を投入するに当たり、あそこのサンゴは移している」と発言した。ただ、事業者の沖縄防衛局が移植したのは、対象とする約7万4千群体のうち、土砂投入している区域とは別区域の9群体にとどまる。 記者から「首相発言によって、埋め立て区域でのサンゴ移植がなされたとの誤解が広まっている懸念もあるが、修正する考えはあるか」などと問われると、菅氏は「沖縄防衛局が(有識者会議の)環境監視等委員会の指導、助言を得ながら自然環境や住民の生活環境に最大限配慮し、工事を進めている」と答えるにとどめた。2019年1月11日 東京新聞朝刊 12版 3ページ 「菅氏、誤認指摘に明確回答なし」から引用 この記事が報道する記者会見の場での記者からの質問は(1)6日の首相の発言は社会に誤解を広める懸念がある、(2)そのような不適切な発言を修正する考えはあるか、と2点であると考えられます。それに対して、菅官房長官は、その2点を無視して、首相発言の真意は「(辺野古の土砂投入に当たっては)環境保全措置にも最大限配慮しながら対応しているという趣旨の発言だろう」という「解説」をしただけで、しかもその「解説」が事実に即したものではないという点で、二重に国民を欺く事態になっている。菅官房長官のこのような対応は、安倍内閣の閣僚がよく使う手段で、相手の質問に正直に答えず、質問に関連がありそうな言葉を並べて、さも回答したかのような格好をつけるだけで、去年の流行語にもなった「ご飯論法」の亜種のようなものです。このような、主権者に対する謙虚さを失った政治家は、次の選挙で落選させる必要があると思います。
2019年01月20日
安倍首相がNHKのテレビ番組に出演して、辺野古で埋め立て作業をしている地域では予めサンゴを移植しているなどとウソを発言したことを、9日の東京新聞は次のように報道している; 安倍晋三首相は6日のNHK番組で、沖縄県名護市辺野古の米軍新基地建設現場で進めている土砂投入に触れ、「サンゴは移している」と述べた。しかし実際は埋め立てに伴って移植対象とする約7万群体のうち、土砂投入現場と別の区域のわずか9群体を移しただけ。事実誤認の発言として批判が集まるほか、「そもそも移植が環境保全に結び付くのか」と勉強不足を指摘する声も上かっている。(榊原崇仁) 問題の発言があったのはNHKの「日曜討論」。辺野古の新基地建設をテーマに語っていた首相は、「土砂を投入するに当たり、あそこのサンゴは移している」と発言。「環境の負担をなるべく抑える努力をしている」と強調した。 早々に異を唱えたのは沖縄県の玉城デニー知事。7日にツイッターで「安倍総理…。それは誰からのレクチャーでしょうか。現実はそうなっておりません」と疑問を呈した。ネットでは同様の指摘が相次いだ。 防衛省沖縄防衛局などによると、確かに昨年7月から8月にかけて絶滅危惧Ⅱ類「オキナワハマサンゴ」の9群体を移植している。ただ、それがあった海域は、昨年12月14日から土砂を投入している岬先端付近の「埋め立て区域2-1」ではなく、別の区域の数力所。「2-1」は含まれていない。 東京経済大の大久保奈弥准教授(海洋生物学)は「厳密に言うと間違い。事実とは異なる」と首をかしげる。「あそこのサンゴは移した」という首相の発言は「印象操作」のようにも見えるが、沖縄防衛局報道室の徳元強太係長は「『あそこ』というのは、大きく捉えて『埋め立てする区域』ということ。決してウソをおっしゃっているわけではない」と述べる。 そもそも埋め立て予定区域の全域には、膨大な数のサンゴが生息する。沖縄防衛局の公表資料によれば、移植対象として約7万4千群体が確認されており、沖縄防衛局が移植に向けて特別採捕許可を県に申請している分だけで約4万群体になる。県は昨年8月末に埋め立て承認を撤回したため、採捕を許可していない。 国際環境NGO「FoE Japan」の満田夏花理事は、移植した数と生息数の間の大きなギャップを指摘。「首相は『大海の一滴』だけで何もかもやっているように見せているだけ。問題の本質を覆い隠している」と指弾する。◆宜房長官「問題ない」 官邸は火消しに躍起だ。 菅義偉官房長官は8日の記者会見で「サンゴ移植の現状認識は」と問われ、「(専門家による)環境監視等委員会の指導、助言を受けながら、適切に対応していくということでありますから、全く問題はありません」と述べた。 これに対し、大久保氏は「サンゴの移植自体に問題がある」と指摘する。「サンゴは繊細な生き物。水流や光の強さなどがすみ慣れた環境と少し違うだけでも死んでしまう。移植はほとんどのケースでうまくいっていない」 沖縄防衛局の環境影響評価書によれば、辺野古周辺の海域には絶滅危惧種の262種を含む5千種類以上の生物が確認されている。「生態系はさまざまな生き物がつくりあげているもの。サンゴの他にも守るべき生物は多い」 そう語る大久保氏は首相に注文する。「『沖縄に寄り添う』という言葉を使う割に、沖縄のことに詳しくないように感じる。どこか表面的というか、短絡的というか。寄り添う気持ちがあるなら、しっかり実情に目を向けてほしい」2019年1月9日 東京新聞朝刊 11版S 24ページ 「『サンゴ移した』首相発言に批判集まる」から引用 他のメディアが何故か沈黙する中で東京新聞が真っ先にこの問題を取り上げた勇気は賞賛するべきかも知れないが、しかし、権力を監視する使命をもった報道機関が書いた記事としては甚だ不十分であると、私は思います。安倍首相は「土砂を投入するに当たり、あそこのサンゴは移している」と言ったのですから、普通の日本語解釈では「土砂を投入する前に、その場所のサンゴは他の場所に移した」という意味になります。しかし、事実としては移植したサンゴは現在土砂の投入作業をしている地域とは別の海岸であったのですから、「あそこのサンゴを移した」というのは虚言であることは疑う余地がありません。しかし、この記事は、「首相はこう言った」、そしてサンゴを移植したのは現在土砂を投入している海岸ではない、という2つの事実を述べるだけであり、首相発言が虚構であるという指摘を避けている。これでは報道機関としての使命を全うしているとは言えません。その上、移植したサンゴはわずか9株であるが、環境保全を目的として移植するのであれば、その対象となるサンゴは7万株も存在する。たった9株移植したからと言って「あそこのサンゴは既に移植している」と強弁するのは、ほとんどウソをつくのと道義である。しかも、問題はそこに留まらず、サンゴの移植が環境保全の手段として妥当であるという科学的な根拠は存在せず、移植したサンゴの大部分は死滅するという問題を、現代の科学は解決できていない。このように、安倍首相の虚偽発言は二重三重の虚構を重ねた印象操作であることを、メディアははっきりと社会に周知する責任があるはずだ。
2019年01月19日
長崎で被爆した元徴用工を被爆者として認定する判決が、長崎地裁であったと、9日の「しんぶん赤旗」が報道している; 原爆投下時に長崎市内にいた事実が確認できないとして、被爆者健康手帳の交付申請を却下された韓国在住の元徴用工の男性3人が、同市や国に処分取り消しなどを求めた訴訟の判決が8日、長崎地裁でありました。武田瑞佳裁判長は、原告本人の証言は信用できると判断し、市に手帳交付を命じました。 原告は李寛模さん(96)、金成洙さん(93)、裴漢曼さん(92)の3人で、戦時中に長崎市の三菱重工業長崎造船所に徴用され、被爆したと訴えていました。被爆を裏付ける直接的な証拠がなく、原告証言の信用性が争点でした。 武田裁判長は証言について、「来日から被爆までの経緯に不合理な点はなく、内容も具体的」と指摘。原爆投下から70年以上が経過し、被害も甚大だったことを挙げ、「証拠がなくても不自然とは言えない」と述べました。 【田上富久長崎市長の話】 判決の詳細を確認し、今後の対応を検討したい。2019年1月9日 「しんぶん赤旗」 15ページ 「元徴用工を被爆者認定」から引用 原爆が投下された時期に長崎にいたことを証明する書類がないと被爆者認定はしないという、これまでのお役所仕事のような対応を止めて、証明する資料がなくても、本人の供述からその話の真偽を判断し、特段に疑わしい点がなければ本人の発言を信用するという、この度の裁判所の公明正大な姿勢は賞賛に値すると思います。
2019年01月18日
憲法遵守義務を負う公務員のトップにありながら、執拗に憲法改正(改悪?)の機会をうかがう安倍首相の改憲案とは如何なるものであるか。漏れ聞こえるところでは、主に4項目の改正点があるらしいのであるが、7日の東京新聞は、その4項目のうちの9条の「改正点」について、これが改正なのか改悪なのか、些細な検討をしている。ちなみに、現行の憲法9条は、次のようになっている;【憲法9条】1項 日本国民は、正義と秩序を基調とする国際平和を誠実に希求し、国権の発動たる戦争と、武力による威嚇又は武力の行使は、国際紛争を解決する手段としては、永久にこれを放棄する。2項 前項の目的を達するため、陸海空軍その他の戦力は、これを保持しない。国の交戦権は、これを認めない。 安倍首相は、この「憲法9条」に、次の「9条の2」を付け加えるという案を国会に提案したいらしい。【憲法9条の2】1項 前条の規定は、我が国の平和と独立を守り、国及び国民の安全を保つために必要な自衛の措置をとることを妨げず、そのための実力組織として、法律の定めるところにより、内閣の首長たる内閣総理大臣を最高の指揮監督者とする自衛隊を保持する。2項 自衛隊の行動は、法律の定めるところにより、国会の承認その他の統制に服する。 読んで字の如く、「9条の2」の第一項は「前条には武力行使を放棄し交戦権を認めないと書いてはあるが、特別な例外の場合はその限りではない」という意味であるから、こういう「改正」が実現すると、何か問題が起きたとき、政府は「これは例外だから、自衛隊に出動命令を出す」と、いとも簡単に決定できるわけで、日頃安部氏が言う「自衛隊という文言を書き加えるだけで、現状と何も変わらない」というのは真っ赤なウソであることは一目瞭然というものです。 また、「9条の2」の1項に「国及び国民の安全を保つために」必要な措置をとることが出来ると書いてあるのも問題です。国民と言えば、国内にいるだけではなく、中国やロシアにもブラジルにも日本人はいますから、そういう「国民」を守るためと称して容易に自衛隊を海外派遣する危険性も出てくるというものです。 さらに「9条の2」の1項には「内閣総理大臣を最高の指揮監督者とする」と書いてある、これも問題です。こういう表現では、内閣総理大臣が自分の一存で自衛隊に命令を出すことが可能で暴走の危険性があります。現行の自衛隊法では第7条で「総理大臣が内閣を代表して指揮監督する」と規定しており、これは「自衛隊を指揮するには閣議決定が必要だ」という意味で、首相の個人的な暴走をコントロールする仕組みがあるのですから、このような機能をなくすことは「改悪」以外のなにものでもありません。 そして「9条の2」の2項には、自衛隊の行動は・・・国会の承認その他の統制に服する」という、これも問題です。こういう表現では必ずしも国会の承認が必要というのではなくて、「国会に成り代わって防衛大臣が承認しました」ということになっても、国民は何の異議も唱えられないということになりかねません。したがって、このようなずぼらな改憲案には賛成することはできません。※この記事は、2019年1月7日 東京新聞朝刊 12版 3ページ「平和主義骨抜きだらけ」を参考にして書きました。
2019年01月17日
紀伊國屋書店の不祥事について、看護師でエッセイストの宮子あずさ氏は、7日の東京新聞コラムに、次のように書いている; 紀伊國屋書店が、歴史修正主義や差別的言動で問題になっている百田尚樹氏の本を大々的に推し、話題になっている。これを残念に思いつつ、1983年に起きた採用差別事件を思い出した。 この事件は、紀伊國屋書店内で極秘に出回っていた女子社員採用基準が外部に出たもの。「ブス」「チビ」「メガネ」「慢性の既往症」は絶対不可、「革新政党支持」「家庭環境複雑」は要注意などと、あぜんとする内容であった。 今なら考えられない、と言いたいところだが、百田氏の本を推してはぱからない現状を見ると、差別に甘い企業体質は、連綿と続いていたと思わずにいられない。 この事件は私の人生にも大きな影響を与えた。大学入学2年目に入った私は、女子学生のみが就職に苦戦する状況を見て、改めて性差別のひどさを実感。通常の就職活動を避けたいと考えるようになった。結果、大学を中退して看護学校へ。決意した直後に事件が報じられ、自分の選択に確信を持った。 86年に施行された男女雇用機会均等法は、女性たちの無念の上にできている。改めて、闘った女性たちの苦労を思い、敬意を表したい。 差別的な体質は温存されやすい。だからこそ、堂々とできないことが大事。書店は文化を売る仕事。差別への感受性が低い書店で、本を買いたくはない。(看護師)2019年1月7日 東京新聞朝刊 11版S 21ページ 「本音のコラム-1983年の採用差別」から引用 百田尚樹の「日本国紀」は書いてある内容に矛盾が多く、しかも文章の大部分がインターネットからのコピペであり、そのことをインターネットで指摘されると増刷する時にこっそり「訂正」して、そのことについて何のコメントもしないで知らん顔してることがまた批判の対象になるという、不祥事の塊のような書籍であるにも関わらず、よせばいいのに紀伊國屋書店はその「日本国紀」に「著者のサイン入り」と称して百田のサインが入った「日本国紀」を店頭に山積みした大きな写真をツイッターに投稿したものだから、紀伊國屋書店の非常識な仕業を批判して「もうこの本屋で本を買うことはないだろう」というツイッターが続々と投稿されたのでした。私が学生だった70年代は、紀伊國屋書店といえば何だかリベラルな経営者がいてアカデミックな印象をもったものでしたが、あれはとんだ勘違いで、実はそういう会社だったということですから、これからは私も紀伊國屋は立ち読みだけにして、買うときは地元の良心的な本屋さんで買うことにしようと思います。
2019年01月16日
沖縄の米軍基地建設について、法政大学教授の山口二郎氏は6日の東京新聞コラムに、次のように書いている; 辺野古新基地建設は日米同盟のために不可欠というのは本当だろうか。日本政府が米国と再交渉するのが面倒なので、遮二無二基地建設を進めているとしか、私には思えない。 9年前、当時の鳩山政権の下で辺野古問題が紛糾していた時、私は当時の駐日米国大使のジョン・ルース氏と長時間話をしたことがある。彼は私に次のように言った。 「新しく選ばれた政府も前の政権が外国と結んだ約束を実行しなければならないと、我々は言おうと思えば言ったが、そうは言わなかった。日本は民主主義の国であり、国民が選んだ政府が新しい提案を持ってくるなら、それもあるだろう。ボールは日本の側にある」 日本政府は県外移設について一度も米国に提案をしたことはない。県外移設は米国に拒絶されたのではない。それ以前の段階で、国内の諸勢力が県外移設構想をつぶしたのである。選挙で新しい民意が示され、基地建設計画を取り巻く環境が変わったと言えば、結論が変わるかどうかは別として、話し合いはできるはずである。話し合いから新たな解を見つけるのが政治の妙である。 安倍首相は国内の権力者であり、官僚もメディアも忖度し、ご機嫌を取る。その首相も自分より強い権力者には忖度し、国民の思いを伝えることができない。これこそ、日本政治の不幸である。(法政大教授)2019年1月6日 東京新聞朝刊 11版 21ページ 「本音のコラム-忖度による自縛」から引用 元駐日米大使のジョン・ルース氏の発言は含蓄に富んでいる。相手側が民主主義を理解しないレベルの政権であれば、米国としては国家間のルールが損なわれないように「一度結んだ国家間の約束は、政権が変わっても守られるべきだ」と言わなければならないが、相手が十分に発達した民主主義の国であれば、前政権と異なる政策を掲げて新政権が誕生するということもあり得るから、その場合は米国としては新政権と改めて協議をする場合もあり得る。それくらいの度量はアメリカ政府も持っていると発言したわけである。しかし、鳩山政権が発足した当時の日本の官僚は、とにかくアメリカには頭が上がらないのだからと、あの手この手で鳩山首相を懐柔し、挙げ句の果ては偽造した資料を見せて総理大臣を騙して、基地交渉を断念させたのであった。安倍首相が歴史に名を残す大仕事をやりたいのであれば、辺野古の基地建設見直しについて米軍に話し合いを申し入れるというのも選択肢の一つである。
2019年01月15日
小説家の三島由紀夫に関わる出版や演劇に関連して、6日の東京新聞は次のように書いている; 昨年秋から三島由紀夫を論じる出版が相次ぎ、晩年の小説「豊饒の海」「命売ります」の2本が舞台化されるなど、三島への注目が高まっている。思想面では右派のイメージも強いが、立場の異なる言論人からも再評価の声が上かっている。平成が終わろうとしている今、なぜ三島なのか。(小佐野慧太) ■プチブーム 俳優の東出昌大(まさひろ)さん(30)主演の舞台「豊饒の海」(企画製作=パルコ)は、輪廻(りんね)転生を描く全4部の長編小説を約2時間半にまとめた意欲作だ。「それも心々(こころごころ)ですさかい」。尼僧からそう告げられ、狂言回し役の老人がぼうぜんと立ち尽くすシーンで終わる。華麗な物語は全てその老人の心がつくりだした幻だと暗示する、虚無的といえるラストだ。 観劇した文芸評論家の佐々木敦さん(54)は「このところ舞台や文学作品で三島の名前を目にする機会が増えていて、三島のプチブームが来ていると感じる」と話す。「作り手や書き手の意識や無意識に、天皇の退位によって平成が終わることが影響しているのでは」「潮騒」「金閣寺」で文壇での地位を確立した三島は、昭和40年代に天皇をテーマにした文章を相次いで発表する。「天皇主義者だと言われるけれど、現実の天皇を絶対視していたわけではない。自らの理想の天皇像をさまざまな形で提示し、ときには現実の天皇や天皇制を批判した」(佐々木さん) ■日本の伝統 三島は評論「文化防衛論」で、天皇と軍隊とが強い結び付きをもつことが日本の伝統的な姿だと論じた。小説「英霊の声」では、2・26事件で処刑された青年将校や太平洋戦争の特攻隊員の霊に「などてすめろぎは人間となりたまひし(なぜ天皇は人になってしまわれたのか)」と語らせ、昭和天皇が終戦後に自ら神であることを否定した「人間宣言」を批判した。 1970(昭和45)年には陸上自衛隊市ヶ谷駐屯地(東京都新宿区)に押し入り、「日本を守るとは、天皇を中心とする歴史と文化の伝統を守ること」などと演説。自衛隊を「国軍」にする憲法改正のためのクーデターを促したが聞き入れられず、直後に割腹自殺した。 ■鋭い洞察力 出版界では昨年9月、岩波文庫としては三島の初の単著となる「三島由紀夫紀行文集」が刊行された。社会学者の大澤真幸(まさち)さん(60)は同11月刊行の「三島由紀夫 ふたつの謎」(集英社新書)で、三島は「豊饒の海」の結末でたどり着いた虚無的な文学的境地が耐えられず、最期に天皇へと逃避したのではないかと推理した。 反天皇制の論陣を張る評論家の菅孝行さん(79)も、同月に出した「三島由紀夫と天皇」(平凡社新書)で三島の洞察力を評価した。「戦後、左派からも象徴天皇制への本格的な批判は乏しかった。対して三島は、天皇制が敗戦後も『人間宣言』で延命したことの欺瞞をいち早く指摘した」とする。 戦後、マッカーサーを最高司令官とする連合国軍総司令部(GHQ)は日本統治に天皇制を利用。菅さんは、三島が死の直前の演説で「(自衛隊が決起しなければ)アメリカの軍隊になってしまう」と憂えていたことにも注目し「対米従属を深める日本の未来を鋭く見抜いていた」と語る。 三島の再評価は対米関係見直しとも関わっている。2019年1月6日 東京新聞朝刊 12版 3ページ 「今、なぜ三島由紀夫」から引用 この記事には、三島由紀夫は様々な形で自らの理想の天皇像を提示し、時には現実の天皇を批判することもあったと書かれていますが、これはあり得ることだと思います。三島由紀夫の理想というのは、戦前の体制のことであり、天皇は国軍を統帥する大元帥であるべきだったわけですが、大多数の国民は、一度その体制で国が滅ぶところまで行き着いた経験があり、その反省を踏まえて、象徴天皇制をとる現行憲法を制定したという経緯があります。天皇を国家の暴力装置のトップに据えて、国民を暴力的に支配する手段に利用するという発想は、明治の政府と同じであり、更に遡れば、薩長同盟が鳥羽伏見の戦いで「錦の御旗」をかざしたところ、それを見た幕府軍のトップだった徳川慶喜が、天皇が薩長同盟側についたと誤解して江戸に逃げ帰ったというエピソードが示すように、武装した反対派を押さえる手段として「天皇の威光」は重要な価値を発揮した時代がかつてあったことは事実です。しかし、それは「天下を治める」のに武力を使った時代の話であり、日本に於いては、そのような時代は1945年8月15日でピリオドを打って、その後の日本は自由な言論を戦わせて選挙を行ない多数の支持を得た政党が政権を担当するというシステムになりました。昭和天皇も、そのような新しい体制に順応していったために、国軍復活を願う三島由紀夫が批判したのは無理からぬところであったわけですが、結果的に、三島の天皇批判は時代錯誤であり、昭和天皇の戦後の振る舞いは一応戦後の体制に合致したものであったと評価できると思います。また、三島は天皇と軍隊が強い結びつきをもつことが日本の伝統文化だと主張したそうであるが、それは虚構であり、大和朝廷以来の歴史の中で、天皇が直接軍隊を指揮したのは後に隠岐島に島流しにされた後醍醐天皇くらいのもので「伝統」などと言うほどの「実績」はないと思います。さらに、この記事の末尾では、最近三島が再評価されるのは、対米関係の「見直し」が関係しているなどと書いてますが、これはまったくの妄想だと、私は考えます。これからは、武力の時代ではありません。世界最強のアメリカ軍の実態を見ても、武力が未来を開くことはあり得ないのは明白であり、日本が対米関係を見直すために必要なことは、東アジア諸国と歴史認識を共有すること、その前提に立脚して、東アジア共同体構想を追及することだと思います。
2019年01月14日
ホワイトハウスで記者会見したトランプ大統領はアイフォンを米国で製造してほしいと発言したと、6日の東京新聞が報道している; 【ワシントン=共同】トランプ米大統領は4日、ホワイトハウスで記者会見し、中国との貿易協議に関し「もし合意できなければ彼らが巨額の関税を払うことになる」と述べ、中国側をけん制した。米通商代表部(USTR)のゲリッシュ次席代表やマルパス財務次官らで構成する代表団が中国を訪れ、7日から貿易協議を行う。農務省や商務省、エネルギー省からも担当者が同行する。トランプ氏は「彼らは合意を望んでいると思う」とも語った。 米アップルが中国での販売不振で業績下方修正したことを巡っては「アップルは中国で製品を生産し、中国は最大の受益者だ。iPhone(アイフォーン)を米国で製造してほしい」と強調した。2019年1月6日 東京新聞朝刊 12版 2ページ 「アイフォーン 米国で製造を」から引用 トランプ大統領がどのような文脈で「アイフォンを米国で製造してほしい」と発言したのか、この記事からは詳細は不明であるが、アップルの生産拠点が中国にあることで最大の受益者になっているのは中国ではなく、アップル社自身である。アメリカの工場で製造したのでは人件費やその他の経費が高く付くので、工場を人件費の安い中国に移設したのである。トランプ氏の目には、アップルの工場は膨大な人数の雇用を作り出し、地元には事業税や固定資産税を支払うので、そのことを指して「中国が最大の受益者」だと言ってるわけであるが、しかし中国が不当に利益を得ているわけではないし、アップル社から支払われる税金の一部をアメリカによこせと言うわけにも行かない。トランプ氏のこのような「悩み」を解決する方法は、国連のような国際機関で世界の「最低賃金」を定めて、労働者の賃金の地域間格差をなくすことだと思います。アメリカに工場をおいても中国に置いても、人件費を含む全ての経営コストが同じであれば、アメリカ人の経営者がわざわざ自社工場を中国に設置する必要はなくなるわけで、さらに、開発途上国の労働者も極端に安い賃金で酷使されることもなくなり、一石二鳥というものではないでしょうか。
2019年01月13日
徴用工裁判で勝訴した原告側が、判決に従わない被告の新日鉄住金の資産差し押さえを申請したことに関連して、河野外務大臣が韓国の外相と電話で協議を行なった、と5日の東京新聞が報道している; 河野太郎外相は4日、韓国の康京和(カンギョンファ)外相と電話で協議し、韓国元徴用工訴訟の原告代理人が日本企業の資産差し押さえを申請したことを受け、日本企業に不当な不利益が及ばないよう対応を求めた。 河野氏は協議後、日本企業に不利益が生じた場合は「国際法に基づく措置を取らざるを得なくなる」と記者団に語り、韓国側をけん制した。 原告代理人は2日、韓国最高裁が元徴用工ヘの賠償を命じた新日鉄住金の資産保全を裁判所に申請した。河野氏によると、康氏は申請について「現金化まではいっていない」と指摘し、資産の売却申請ではないことを強調したという。 韓国海軍の駆逐艦が海上自衛隊の哨戒機に火器管制レーダーを照射したとされる問題については、防衛当局間で事実関係を協議し、早期に解決することが重要との認識で一致した。2019年1月5日 東京新聞朝刊 21版 2ページ 「差し押さえ申請で外相が韓国けん制」から引用 この記事によると、河野外相は今回の裁判について日本企業に不当な利益が及ばないように対応を求めたとのことであるが、最高裁まで争った上での判決であるから、これに従わなかった場合は法治国家のルールに従わないのであるから、相応の不利益を被るのは避けられないことです。もし、河野外相がそのような理屈を承知で「対応を求める」と言ったとすれば、これは河野氏が韓国政府に対して、司法の決定を覆すことを要求するようなもので、さすがに三権分立が未発達な国の外務大臣が考えることだなあ、という感じです。日本の裁判所であれば、総理大臣が困るような判決を出さないのが普通ですが、それは司法が完全に独立しておらず、行政の支配下にあるということです。しかし、韓国の場合は独裁政権と戦って自らの手で民主主義を獲得した歴史があり、民主主義思想がしっかり根付いているものと思われますから、外務大臣に電話して「おたくの裁判所をなんとかしてくれ」などと言っても通る話ではないと思います。
2019年01月12日

一昨年から去年にかけて、長らく新設が認められなかった獣医学部が愛媛県に認められる可能性が出てきて、その申請者が安倍首相の古くからの親友でいつもゴルフをしたり会食したりする関係が、獣医学部を申請する以前から申請後も続いていることが世間の話題になったことがありました。そんな時期にたまたま、自民党の総裁選挙が行なわれることとなり、立候補した石破茂氏と安倍晋三氏が一緒にテレビの番組に出演することとなり、番組の司会者が、総理大臣は国家戦略特区の申請を承認したり却下したりする重要な職務権限を持つ立場であることを説明し、そのような立場にある政治家が、いくら親友だからといって、申請を承認するかしないかを検討する期間もふくめて、申請者と頻繁にゴルフに興じるというのは、いかがなものでしょうかと二人の出演者に質問しました。その問いに対し、石破茂氏は「自分なら、そういう立場になったら、いくら親友でも接触することは控える」と、「李下に冠を正さず」を正しく理解していることがハッキリ分かる回答をしました。 それに対し、安倍晋三氏は「(司会者の)星さんは、ゴルフに対して偏見をもっておられる。ゴルフは、今やオリンピックの正式種目になっている立派なスポーツです。それをすることが何故、いけないんですか? テニスならいいんですか? 将棋ならいいんですか?」と反論して、番組を放送していたスタッフはもちろん、全国の視聴者もあっけにとられたものでした。しかし、この「事件」はその後、政局に何の影響も及ぼすことなく(?)その後の総裁選挙は安倍氏の勝利になったのでした。 しかし、安倍氏の「テニスはいいのか、将棋ならいいのか」発言は、どのような意味だったのか、謎は残っていると私は思います。一つの可能性としては、司会者の言ってる意味を理解できず「ゴルフをしてるのが悪い」と言われたと思い込んで、正直に「反論」した。もしそうだとすると、安倍氏の日本語会話の理解度には、重大な疑問符がつきます。二つ目の可能性としては、司会者の意図を十分理解してはいたが、まともに反論しても墓穴を掘るだけと「計算」して、ここは咄嗟に目をくらませて「逃げる」作戦に出たのだということです。私は、数年前に別の話題のときに、安倍氏が「あ、李下に冠を正さずということですね」と発言しているシーンをテレビで見た記憶があるので、個人的には二つ目の可能性のほうが大きい、つまり、国語能力の問題ではなく人間性の問題なのではないかと疑っております。
2019年01月11日
戦時中の労働動員で厳しい労働を強いられた朝鮮半島出身の元徴用工の人たちは去年の裁判で勝訴したので、判決に従おうとしない新日鐵住金の資産の差し押さえを申請したと、3日の東京新聞が報道している;【ソウル=中村彰宏】韓国の大法院(最高裁)が新日鉄住金に賠償を命じた元徴用工訴訟の原告代理人は2日、判決を受けて韓国内にある同社の資産差し押さえを裁判所に申請したと明らかにした。日本側は元徴用工ヘの賠償問題は1965年の日韓請求権協定によって解決済みとの立場を崩しておらず、韓国政府に早期に解決策をとるよう圧力を強めることも予想される。 代理人によると、12月31日に韓国南東部の大邱(テグ)地裁浦項(ポハン)支部に差し押さえを申請した。対象は、新日鉄住金が韓国鉄鋼大手ポスコと合弁で設立したリサイクル関連企業の株式。新日鉄住金が30%にあたる約234万株を保有しており、推定で約110億ウォン(約11億円)相当という。 株式の差し押さえと同時に売却も申請できるが、今回は差し押さえのみを申請した。理由について、代理人は「新日鉄住金との協議を通じ、判決の履行を含む徴用工問題の円満な解決を願うため」としている。 元徴用工訴訟を巡っては、韓国政府が昨年中にも対応策を決めるとしていたが、難航している。1月以降も同様の訴訟で判決が続く中での差し押さえ申請は、冷え込む日韓関係に新たな打撃となりそうだ。2019年1月3日 東京新聞朝刊 11版S 3ページ 「新日鉄住金の資産 差し押さえを申請」から引用 法治国家においては、何かもめ事があって裁判になった場合、互いの言い分を法廷で言い尽くした挙げ句に判決が出るものであるから、出された判決には従うのがルールである。新日鐵住金はそのルールを無視したのであるから、資産の差し押さえは当然である。元徴用工側は、差し押さえた株式をすぐには売却せず、円満な解決を願って被告企業が協議に応じてくるのを待つと、極めて紳士的な態度を示している。原告側がそういう柔軟な態度でいるうちに、被告は改心して話し合いに応じるべきである。この記事では、原告側が資産の差し押さえを申請したために、今後の日韓関係が新たに打撃を受けるなどと書いているが、それは間違いで、元々厳しい判決が出る前に和解する予定でいた新日鉄住金に、和解を拒否して最後まで争うように働きかけた安倍政権こそが、日韓友好に大きな打撃をもたらした張本人である。
2019年01月10日
昨年の国会を振り返って、法政大学教授の山口二郎氏は12月30日の東京新聞コラムに、次のように書いている; 今年読んだ本で最も役に立ったのは、新井紀子氏の『AI vs 教科書が読めない子どもたち』(東洋経済新報社)である。数学者の新井氏は、AIが人間の能力を追い越すことはないことを明らかにした。しかし、現在の若者は国語の教科書を読み、理解することがおぼつかなくなっている。 しかし、読解力の欠如、さらには論理的思考力の喪失は若者だけの問題ではない。読者の皆さんも気づいているだろう。国を動かす指導者こそ、新井氏の本を読んで、言語によるコミュニケーションや思考の基礎を身につけなければ、日本の未来は危うい。 今年も国会では多くの法律が成立し、審議の過程では論争があった。しかし、政府の側は捏造(ねつぞう)したデータに基づいて法案を作成するなど、論理以前の不正が横行した。また、野党議員の質問にまともに答えない不誠実が日常化し、「ご飯論法」が流行語となった。また、沖縄に寄り添うという安倍首相の言葉が空虚であることは明らかである。 このたび、日本が国際捕鯨委員会を脱退するにあたり、河野外相は日本の考えを捕鯨反対国に「丁寧に説明」したいと述べた。国会でろくに説明できない政治家が外国人を相手に何を説明するというのか。言葉や論理を大事にすることこそ、政治を立て直すための出発点である。(法政大教授)2018年12月30日 東京新聞朝刊 11版 17ページ 「本音のコラム-政治家に国語教育を」から引用 沖縄に寄り添うと口では言いながらその気は全くないことを、安倍首相は新年のテレビの討論番組で暴露してしまった。辺野古の海に赤土を投入するビデオ映像は、自然破壊そのものであり誰もが悲痛な心境で眺める映像を、彼は薄ら笑いを浮かべた表情で眺めながら「このような作業をする前に、珊瑚や砂の中の希少生物などは他の海岸に移植作業を済ませている」などと、全くのデタラメを白昼堂々公共放送のテレビで発言したのであるから驚くほかない。その数日後には、沖縄の地元の新聞が「去年の8月に防衛省が沖縄の海岸の珊瑚の一部を、他の海岸に移植する作業を行なったが、現在埋め立て作業を行なっている海岸とは別の海岸の珊瑚であった」と報道している。この件については、安倍首相は言い放しにするのか、訂正するのか、見ものである。
2019年01月09日
人材育成コンサルタントの辛淑玉氏がジャーナリストの石井孝明氏を名誉毀損で訴えていた裁判で、東京地裁が訴えを認める判決を出したと、12月26日の朝日新聞が報道している; 在日コリアン3世で人権団体「のりこえねっと」共同代表の辛淑玉(シン・スゴ)氏が、フリージャーナリストの石井孝明氏のツイッターで「スリーパーセル(潜伏工作員)」などと中傷されたとして、550万円の損害賠償を求めた訴訟の判決が25日、東京地裁であった。鈴木正弘裁判長は、石井氏に55万円の支払いを命じた。辛氏の代理人によると、判決は、名誉毀損(きそん)を訴えた「北朝鮮のパシリ」などという10件の投稿について、辛氏の主張を認めた。2018年12月26日 朝日新聞朝刊 14版 29ページ 「辛淑玉氏を中傷 賠償命令」から引用 この記事はあまりに小さくて裁判の詳細は不明であるが、マイノリティいじめに対して公正な判決が下された意義は大きいと思います。今どき、隣国の工作員が潜伏しているなどという荒唐無稽な発想は笑い話に近い気がするが、一月に2~3回もミサイル実験が相次いだ頃は、元外務官僚の佐藤優氏までがラジオ番組で「北朝鮮の日本向けラジオ放送で乱数表の読み上げが始まった。これは日本に潜伏しているスリーパーセルへの指令の可能性がある」などと発言して物議を醸したこともありました。今から考えると、国力の疲弊した隣国にスリーパーセルを派遣するほどのチカラなどあろうはずもなく、仮にそのような「セル」がいたとして、これだけ警察の監視が網の目のように張り巡らされた日本で何をやれるのか、少し考えれば分かりそうなものです。いずれにしても、マイノリティへの人権侵害に対して、私たちは高い意識をもって対処していくべきだと思います。
2019年01月08日
鎌倉市では市会議員が議会でヘイトスピーチを行ない、その議事録をインターネットで現在も公開しているため、被害者が元市議と鎌倉市を相手に裁判を起こすことになったと、12月21日の神奈川新聞が報道している; 鎌倉市議会で人種差別的な発言を市議がした上、インターネット上の議事録で発言が公開され続けているとして、自治労県本部職員で在日コリアン2世の男性(57)=川崎市川崎区=が21日、発言者の元市議と市に対し慰謝料や議事録からの削除を求める訴訟を横浜地裁に起こすことが分かった。20日に代理人弁護士が明らかにした。(川崎総局) 発言者は、2013年5月から1期4年間、鎌倉市議を務めた上畠寛弘氏(31)。17年10月からは神戸市議を務めている。 訴状によると、男性は13年、市社会福祉協議会の不当労働行為を巡って自治労傘下労組の団交に参加した。上畠氏は14年3月から17年3月までの間、本会議や委員会で組合批判を行う中で、男性の名刺の裏に国会議員の名前が印刷されていることに「代紋をちらつかせたやくざと変わらない行為」と言及した。さらに男性の実名を挙げながら「日本の情勢に懸念を及ぼしかねないと思慮される行動で、朝鮮学校に対する補助金運動に携わっている」「出身が出身なだけに本当に怖い」などとも発言した。 男性側は、一連の発言が人種差別に当たり、人格権が侵害されていると主張。議事録への掲載も「ネットで拡散され恐怖を覚えている」とし、精神的な苦痛を受けたとしている。 代理人の西川治弁護士は「民族名を何度も示した上で暴力的存在と結びつけたヘイトスピーチ。言論の自由がとりわけ保障されている議会を差別に悪用するもので断じて許されない」と話した。 上畠氏はフェイスブックやツイッターで「一般的な日本人の名前ではない」「ヤクザもしないような代紋紛(まが)いの恐ろしい行為」などと投稿し、男性の名刺の画像も公開。訴訟で男性は上畠氏にも投稿の削除と謝罪文の掲載を求める。 神奈川新聞の取材に対し、上畠氏は「私は大阪出身でやくざが回りにいるから怖いという意味。差別との受け止めは間違い。議会でも同じ説明をした」と主張。17年に男性側から被害の拡散防止措置を求められた鎌倉市は「議会で協議したが差別的発言に当たるか意見が割れ、議事録の削除はしなかった」としている。◆解説◆ 問われる公人の言動 差別の根絶へ先頭に立つべき政治家の差別的発言には、とりわけ厳しい目が向けられなければならない。公人という立場がもたらす差別の扇動効果が大きいからだ。国連人種差別撤廃委員会の勧告も、日本のヘイトスピーチ対策の遅れを指摘する中で、「政治家」「公人」を対象として明示した上で「適切な制裁を科すこと」と厳しい対処を求めている。 元鎌倉市議の上畠寛弘氏は「差別という受け止めは間違い」と主張するが、そもそも差別は意図が問題なのではない。被害の訴えを受け止めない姿勢こそが男性へのまなざしを物語る。 その意味で当該発言をインターネット上の議事録で公開し続けている議会側の対応も疑問符が付く。議会運営委員会では「明らかな人権侵害」との指摘の一方、「認定は難しい」との意見もあり、男性の削除の求めに応じていない。 ネット上のヘイトスピーチの害悪に対する認識不足も浮かび上がる。実際、ネットを介して差別は扇動されている。上畠氏の投稿には「恫喝(どうかつ)まがいの交渉を在日朝鮮人がやってる」「日本のヤクザの総数の4割は朝鮮人だから」との閲覧者のコメントが付され、デマとともに差別が拡散している。 男性は言う。「学校で子どもがいじめを訴えたら、先生はいけないと言い、やめさせる。ヘイトスピーチ解消法が施行されたにもかかわらず、差別とその被害は放置されたまま。正義を欠いた社会のままでよいのかと問い掛けたい」。政治家として、自治体として提訴を重く受け止めなければならない。(石橋学)2018年12月21日 神奈川新聞朝刊 B版 24ページ 「鎌倉市議会で『差別発言』」から引用 鎌倉市と言えば、一昔前は著名な文化人が住むハイレベルの街という印象をもっていたものですが、議会が束になって検討してもヘイトスピーチの認定すらできないというのではガッカリというものです。これを放置しておくことは後々に災いを招きますので、早めに厳正な司法判断が下されるべきです。それにしても、加害者の元市議は若くして鎌倉市議選に当選し、今は神戸市議会の議員であるとは、何か特別な才能の持ち主なのか、不思議です。
2019年01月07日
政府が沖縄県の民意を無視して辺野古沿岸の違法な埋め立てを強行したことを、メディアはどのように報道したか、法政大学名誉教授の須藤春夫氏は、12月23日の「しんぶん赤旗」に次のように書いている; 政府は14日、沖縄の米軍普天間基地に代わる名護市辺野古沿岸部の建設用地に土砂投入を強行しました。NHKと民放キー局は、この事態をどう報じたでしょうか。 土砂投入を目前に控えた12日、NHK「クローズアップ現代十」はこの事態を沖縄県と政府の長年にわたる対立とその溝が埋まらないまま今日に至ったという構図で報じました。沖縄県と政府の主張が両論併記で描かれるため、「緊迫」と題しながらその原因に迫るものとなっていません。 土砂投入当日のNHK「ニュース7」「ニュースウオッチ9」もこの流れは変わっていません。しかし、県民が心の底から叫ぶ新基地建設反対や政府不信の声、そして多数の警備陣と有刺鉄線に囲まれて土砂投入を強行する映像は、まともな法治国家とは思えない手法で埋め立てに突っ走る政府の理不尽さを浮き彫りにしています。 NHKの対極が、15日の「報道特集」(TBS系)。番組は辺野古「移設」ではなく「新基地建設」という視点で一貫しています。翁長雄志前知事、玉城デニー知事も会見で新基地の建設はさせないと発言しています。 沖縄県民の怒りと憤りは、民意を無視して強行する政府の姿勢や危険な基地の存在に加えて、県民自ら米軍に新基地を差し出すことへの屈辱があります。土砂投入を現場から伝える金平茂紀キャスターにも同じ怒りを感じます。 先の「クロ現十」や14日の「news zero」(日本テレビ系)、「NEWS23」(TBS系)では、現地取材した記者が本土も沖縄の人に寄り添い、米軍基地問題を考えてほしいと強調していました。共同通信が15、16日に実施した世論調査によると「辺野古土砂、支持せず」が56%と本土でも理解が深まりつつあります。本土のメディアは、民意無視の違法行為への監視を怠ることなく続けてほしいと思います。(すどう・はるお=法政大学名誉教授)2018年12月23日 「しんぶん赤旗」日曜版 35ページ 「メディアをよむ-辺野古の無法 監視怠るな」から引用 この記事によると、NHKは政治的中立のつもりか、政府と沖縄と両方の主張を両論併記の形にしたらしいが、それでは政府が違法な工事を強行したという事実が伝わらないわけで、そのような報道姿勢はやはり疑問と言わざるを得ません。辺野古沿岸の埋め立て工事は退任直前の仲井間知事(当時)が唐突に「許可」したのであったが、前任の翁長知事によって「許可取り消し」となったものです。それに対し、政府は防衛省が「私人」になりすまして国土交通省に行政不服審査を申し立てるという違法な「茶番」を行なって、これで沖縄県知事の「許可取り消し」は無効になったというのが政府の主張ですが、法治国家で通る論法ではありません。民法テレビの記者が現地から理不尽な工事の様子を訴えて、本土に理解者が増えたのは良かったと思います。
2019年01月06日
アメリカから武器を買い過ぎて、国内の納入業者への支払いに支障をきたしている日本政府の異常な事態について、フェリス女学院大教授の藤巻光浩氏は、12月9日の東京新聞に次のように書いている; 朝刊連載「税を追う」は、防衛費を税から捉える切り口が鋭い。東京新聞は以前、税は「納める」ではなく「預ける」という述語で考えることを提案していた(8月20日朝刊発言面「私説」)。この視点を持てば税の再分配に国民の目が向く。税の使途や使われ方に関する記事は、読者に政治の当事者として思考する道筋を与える。 現在の防衛費は、官邸の裁量に委ねられているらしい。特に、国家安全保障局(NSS)の設置以後、兵器選定の主導権が官邸に移った。(11月13日1面)。税は支持政党に関係なく徴収されるにもかかわらず、与党・官邸の意向により使途が決定される。なんとも欺かれた気分になる。 安倍政権は公的議論や決まり事を回避するのが得意だ。米国から輸入を検討した無人偵察機が高額であることや諸費用の高騰で、一度は防衛省が購入中止を検討。しかし、NSSなどから異論が出て、なぜか購入が決定された(14日1面)。米空軍でもコストが問題視された偵察機の購入に、なぜ踏み切ったのか。兵器ローンのツケが国民に降りかかるのは避けたい。 安倍政権で初めて防衛費が5兆円を突破し、支払いが困難になっていることも報じた。例えば、本予算だけでなく補正予算と組み合わせ(1日社会面「兵器購入『第二の財布』」)、国内の防衛関連企業に対して防衛省が支払い延期を求めた(29日1面)。支出が天井破りの無法状態にある背景には、防衛省から防衛産業への天下り、防衛産業から政界への献金などがある(21日社会面「機関銃価格、米の7倍」)。税を預けた国民の視点は反映されていない。 社会面に移った連載は、最後に1面に戻った。「めったにない」(25日社会面「編集日誌」)ことだという。最終回は読者を政治の当事者として定位する力があった。沖縄県名護市の辺野古新基地工事建設に伴う警備費が3年で260億円、警備の人件費が一人当たり一日9万円、建設費は国会審議を経ずに閣議決定だけで支出できる予備費からの捻出-。移設に反対する人々が預けた税金も投入されることに強い怒りを覚えた。 税の再分配として米国から兵器を購入するのならば、何より安全保障に反映されるはずだが、そもそも北朝鮮からのミサイル脅威の現実感も薄れ、安全保障に「しっかりした構想がない」(日本総合研究所の寺島実郎会長)のだ(18日社会面「『兵器買え』強まる流れ」)。「防衛力とは何か。根源的な議論が必要だ」と言う軍事ジャーナリスト前田哲男さんの指摘は非常に重い(24日社会面「膨らむ予算 『裏技』駆使」)。防衛費にどれだけの支出が必要か、当事者として真剣に考えたい。(フェリス女学院大教授)2018年12月9日 東京新聞朝刊 11版S 5ページ 「新聞を読んで-税を預ける当事者として」から引用 この記事によると、わが国の防衛予算は首相官邸の裁量で決められるとのことであるが、それでは何のための「防衛省」なのか、存在意義が疑われる。政府の仕事は「防衛」だけではなく生産、流通、金融、福利厚生と多岐に渡るのであるから、防衛予算は防衛の専門家を集めた防衛省に担当させるのが普通であり、その防衛省が専門的な見地から「この武器は高すぎる」と判断したものを素人の官邸が「いや、それでも購入するべきだ」などと横車を押すのでは、本末転倒というものである。朝鮮半島では核やミサイルの実験はやらないと言ってるし、中国には安倍首相が行って「お互いに脅威ではない」ことを確認したのであるから、今の日本がやるべきことは武器弾薬の在庫を増やすことではなく、東アジアの平和構築の道を探ることなのであって、レーダーを照射したのしなかったのともめている場合ではないと思います。
2019年01月05日
沖縄県民が県知事選挙を通じて米軍基地の新設に反対する意志を表明しているのに、これを無視して辺野古の海に土砂を投入した安倍政権を、12月16日の神奈川新聞社説は次のように批判している; 民主主義が死んだ日-。沖縄県民ならずとも、そう脳裏に深ぐ刻むことになろう。 米軍普天間飛行場(沖縄県宜野湾市)の返還合意から22年。名護市辺野古での新基地建設を巡り、安倍政権が民意を無視した土砂の投入に着手した。トラックから土砂がなだれ落ちるさまは翠玉(すいぎょく)色の命あふれる海が悲鳴を上げているように映る。 来年2月に建設の賛否を問う県民投票が行われる予定であり、その前に反対派の意思をくじこうとの目論見(もくろみ)すら感じられる。暴挙がこのまま続くようでは、民主主義国家と確たる自信を持って言えまい。 県民は建設反対の意思を繰り返し示してきた。9月の県知事選では、急逝した翁長雄志前知事の遺志を継いだ玉城デニー氏が過去最多得票で当選し、「辺野古ノー」の民意を改めて突き付けもした。 それにもかかわらず、である。選挙で示された民意をこれほどないがしろにする政権がかつてあっただろうか。もはや「強行」というより「暴走」という表現が似つかわしい。安倍首相の言う「県民の思いに寄り添う」とはまさかこういうことを指すのか。民意に対する謙虚さがみじんも感じられない。 沖縄県は建設費用が最大2兆5500億円に上り、当初計画の10倍以上に膨らむと試算する。無論、税金だ。県はまた、運用まで13年を要すると見込んでもいる。想定通りなら普天間の早期の危険性除去は望めず、辺野古移設の破綻は明らかだ。 防衛相も日米が掲げた早ければ2022年度の返還は困難との認識を示している。「辺野古が唯一の解決策」と語り、建設を強行することの理が全くうかがえない。 「一刻も早く工事を進めて既成事実を積み重ね、県民を諦めさせようと躍起になっている」。玉城知事の批判にもだから説得力がある。 責めを負うべきは政権の振る舞いを論難することなく、結果的に黙認してきた私たちも同じと言えよう。くしくも普天間近くの保育園や小学校に米軍ヘリの部品が落下して1年。子どもたちの安全を願い、当たり前の日常を望む保護者の思いにどれほど真摯に向き合ってきただろう。 沖縄県民の苦渋を私たちの苦渋として引き受ける意識が今こそ求められている。政権の独善的な姿勢を許さず、民主主義をこそ取り戻す。この日を決して忘れてはならない。2018年12月16日 神奈川新聞朝刊 A版 17ページ 「社説-この日、決して忘れない」から引用 沖縄の県知事選挙は与党側が応援する候補が基地問題を論点化することを巧みに避けても、オール沖縄が応援する候補が堂々と「基地建設反対」を掲げて当選しているのであるから、政府は沖縄の「意志」をもはや知らないとは言えない。知っていて尚、これを無視して米軍基地建設を強行するというのであるから、これは悪質である。その上、上記社説では触れていないが、沖縄県知事が工事許可を取り消したにも関わらず、防衛省は「私人」になりすまして「救済」を求めるという違法な手続きで裁判所に対して知事の「取り消し」決定を無効とする判決を出させるという茶番まで演じている。自民党政権がこういう無法をはたらいているという現実を、今年の2回の選挙投票日まで、有権者はしっかり記憶して投票に臨んでほしい。
2019年01月04日
芸能人が名護市辺野古の新基地建設工事の停止を求める署名を呼びかけたことに対する世間の反応について、文芸評論家の斎藤美奈子氏は12月26日の東京新聞コラムに、次のように書いている; 名護市辺野古の新基地建設をめぐり、モデルのローラさんが来年2月の県民投票まで工事を停止するよう求める署名への参加を呼びかけた。 それを快く思わない朴念仁が、どうやらこの国にはいるらしい。いわく「政治的発言」、いわく「不勉強で無責任」。 芸能人が社会的な発言をすると、必ずこの種の非難がましい声が出る。2003年のイラク戦争の際にも、多くのミュージシャンや俳優が戦争反対を訴えて、「不勉強」と非難された。 相手を不勉強呼ばわりする人は、では普天間飛行場はどうするのだ、といいたいのだろう。 この件は「普天間か辺野古か」の二択のように喧伝、報道されてきた。だが実際には、辺野古の基地建設によって普天間飛行場が返還されるという約束も保証もない。である以上「普天間飛行場の辺野古移設問題」などの表現はやめて「辺野古の新基地建設」に統一すべきではないか。 辺野古の案件は第一義的には環境問題だ。よってローラさんの認識は正しい。「この星と、ひとの、美しさのために。私たちにできることはなんだろう」とは、彼女が出演するエステティツクーサロンのCMのコピーである。「美しい沖縄の埋め立てをみんなの声が集まれぱ止めることができるかもしれないの」という投稿とも響きあっている。論難するほうがおかしい。(文芸評論家)2018年12月26日 東京新聞朝刊 11版 23ページ 「本音のコラム-美しい海」から引用 ローラの発言を「政治的でよくない」とか「勉強不足だ」と批判したタレントの一人に、西川史子がいる。西川は複数の出演者がいる席での発言で、何故政治的発言がよくないのか、何を勉強するべきか、そんな説明をするような時間はなかったようであるが、察するところ、西川がローラを批判した理由は、西川自身が安倍昭恵と会食した経験があり、その時の恩義からローラの発言が話題になったテレビのその場面では、例え演技であってもローラを批判するふりをしないことには安倍昭恵に会わせる顔がない、といった事情からと考えられる。したがって、西川の主張にこそ根拠がないということである。また、芸能人の政治的発言に批判の声が上がるのは、よくあることであるが、これは明らかに偏向している。松本人志のように安倍首相を持ち上げたり賞賛する言動について、「政治的発言だ」などと批判する声は一度も上がったことはなく、それどころか松本の番組に現職の総理大臣が生出演しても、松本やその番組を批判する声は皆無であった。しかし、ローラのように政府の方針に楯突くような発言の場合は「政治的だ」というレッテルが貼られる。日本人社会の典型的な病理の一つである。
2019年01月03日
テレビタレントが、仕事とは別に個人的に参加しているSNSで沖縄の辺野古基地建設に反対する署名を呼びかけたことに関連して、次のような投書が1月26日の東京新聞に掲載された; タレントのローラさんが18日、米軍基地の辺野古移設工事停止を求める電子署名を呼びかけたという。既に署名数は10万人を超え、さらに加速度的に増えているそうだ。素晴らしい活動だと思う。 ところがそれを伝えるテレビで見た若者の中に、政冶的活動に関わることへの怖さを訴える声があったのには驚いた。政府の方針に反する署名活動に参加することが自らの不利益につながりはしないかという恐れ。しかし、これこそが民主主義社会にとって最も怖い風潮といえないだろうか。 若者よ、現状に順応し、保身に甘んじて後世に悔いを残すことなく、時代を切り開いていくエネルギーを燃やしてほしい。戦前の暗黒時代を体験した老人からの若い世代への遺言だ。2018年12月26日 東京新聞朝刊 11版S 5ページ 「発言-若者よ恐れず 政治に関われ」から引用 政府の方針に反する署名活動に参加すると自らの不利益につながりはしないかと心配する若者がいるということは、財界や自民党が意図した教育方針が一定の効果を発揮していると言えるのではないかと思います。現行憲法と教育基本法の下では、そのような意図を露骨に押しつけるような教育はできない制度になってはいますが、教育基本法は安倍内閣によって愛国心教育を盛り込む等の改悪が行なわれており、それに付随して教育現場の若い教員は、生徒の前での自分の発言が政治的に「中立」なのか、必要以上に神経を使っており、そのような態度が自然に生徒に伝染して、上記の投書に出てくるような若者が育ちつつあるのではないかと思います。しかし、現実の社会は上の投書の筆者が言うように、一般市民がしっかりと政治にコミットしていかないと、我々の祖先が経験したように一辺の紙切れに書かれた命令で、片道の燃料しか積まない戦闘機に乗せられて死地に赴くような事態になってしまいます。我々の祖先のそのような貴重な体験を、これからの若者もよく学ぶ必要があり、私たちには祖先の体験を若者に継承する責任があると思います。
2019年01月02日
公民館の公平性、中立性を守るために「9条守れ」と読み込んだ俳句を公民館の印刷物から排除したことは違法であるとの判決が確定し、さいたま市公民館は当該俳句を掲載することになったと、26日の東京新聞が報道している; 憲法9条を詠んだ俳句の公民館だよりへの掲載を巡り、作者の女性(78)がさいたま市に句の掲載と損害賠償を求めた訴訟で、市の賠償を命じた判決が確定したことを受け、同市は25日、一転して俳句を掲載する意向を示した。判決では掲載義務はないとしたが、記者会見した細田真由美教育長は「司法判断を踏まえ、作者の気持ちに配慮した」と説明した。(藤原哲也) 女性は「一審判決が出た直後に決断してくれればなお良かったが、小さなことでも訴えて諦めずに闘うことで結果が出たことは非常に良かった」とのコメントを出した。 細田教育長は会見で、作者の人格的利益を侵害したとする判決確定部分について「真摯に受け止め、謝罪する」と語った。9条俳句の掲載時期は「できるだけ早く」としている。 判決によると、女性はさいたま市大宮区の公民館で活動する句会のメンバー。公民館だよりは月報で、会が優秀と認めた俳句一句を掲載していたが、2014年6月に女性が詠んで選出された句「梅雨空に『九条守れ』の女性デモ」の内容を公民館側か「世論を二分する内容で、掲載は公民館の公平性、中立性を害する」として拒否した。 女性は15年6月にさいたま地裁に提訴。今年5月の二審東京高裁判決は「思想、信条を理由に不公正な取り扱いをし、女性の利益を侵害した」として市に慰謝料5千円の賠償を命じた。最高裁は今月、女性と市双方の上告を退けた。 一連の問題は、本紙の読者投稿「平和の俳句」(2015~17年)が始まるきっかけになった。◆作者の意に市が配慮<武蔵野美術大の志田陽子教授(憲法)の話> 公民館に求められる政治的中立性とは、市民がさまざまな問題意識を持ち寄れる純粋な受け皿であることだ。裁判所が人格的利益の侵害を認めた一方、掲載請求権には踏み込まなかったことは煮え切らない判断だった。さいたま市が「違法性を認められた以上、作者の意に沿うべきだ」としたことは意義深く、評価したい。2018年12月26日 東京新聞朝刊 12版 1ページ 「9条俳句 掲載へ」から引用 「9条守れ」の俳句が出来た当初、公民館が心配したのは市議会与党が憲法改正を主張する政党だからクレームを言われたくない一心で考えついたのが「世論を二分する内容だから」ということだったのではないかと思われます。しかし、如何なる主張であれ市民は自由に表現する権利があり、公民館が自分の都合で「掲載、不掲載」の基準を勝手に決めてはならないというのが今回の判決ですから、公正な判断が示されたのは良かったと思います。
2019年01月01日
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