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2013.03.04
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カテゴリ: アート
小松左京の「SF魂」を読んで以来、「よし、いっちょうSFでも書いてみるか♪」と・・・・
勘違いしている大使である(笑)

冗談はさておいて・・・・
ナショナリズムとは何なのか?ということで、この本から「国土なき後の日本人」あたりを紹介します。

<第二部の構想>p135~136
 それから、「国土なき後の日本人」についても考えたのだが、どうもうまくいかない。例えば祖国喪失から何千年後にイスラエルを建国したユダヤ人ほど、日本人には「日本」に対する執着があるか。実は日本人の民族アイデンティティは、国土がなくなれば溶けていくのではないか―。
 もともとネーション・ステート(国民国家)の誕生はフランス革命から。あの時の法律で、教育と兵役と納税という国民の三大義務とともに「ネーション」のコンセプトができる。ヨーロッパでは国境紛争を繰り返しながら、ネーションが定着していった。けれども、日本はこのネーションというコンセプトから一番遠い国だ。島国だから紛争や侵略とはほぼ無縁だったし、人口半減みたいな疫病もない。日本という国は自然で保護された一種のユートピアみたいなものだったのではないか。そこに日本人の国際社会に適応しきれない本質がある。しかしそれは逆に、18世紀のナショナリズム誕生以来の人類社会の停滞を打開していく大きな役割を果たす可能性もあるのではないか。ネーションと無縁な無領土民族として、むしろ世界に貢献できるのではないか――そんなことを考えたのだが、これではあまりに虫が良すぎるのではないかという気もして、この方向で書くのは躊躇してしまった。
 このあたりの、ネーションや民族の考え方については、「サブナショナルの国『日本』」という論文に書いたこともあるが、なかなか小説として練り上げることはできなかった。



<「日本を沈めた男」の日本論>p144~145
 日本を沈没させてしまったおかげで、日本論の依頼も増えた。それまでに書き散らしていた評論やエッセイなどを本にしましょうという話もいくつか来た。創樹社から出版された『未来からの声』などはその典型で、いったいどういう経緯で本にまとまったのか、さっぱり記憶に無い。ただ、先に触れたように「サブナショナルの国『日本』」という、僕の日本論の原型のような小論が収録されている。
 75年から76年にかけては、三菱グループの広報誌に、「民族の風景」「私流比較日本学のこころみ」を連載した。それが僕の2冊目の新書『日本文化の死角』となったが、本書では稲作や宗教の伝来、言語の伝播などを東アジアの歴史的背景の中で洗い出し、文化圏としての日本の成立を追ってみた。
 別に沈めてしまったから言うわけではないが、この本を書きながら僕が感じていたのは、「幸運な島国」としての日本、ということだった。島国だからこせこせしていると言うのは大間違いで、むしろ島国で資源が少なかったからこそ、いろいろな工夫をする知恵が生まれた。イネの品種改良などというものは、まさに日本人の知恵と工夫そのもの。亜熱帯で誕生した植物を亜熱帯にまで適応させてきた品種改良の歴史は、それだけで特筆ものだろう。
 日本の文化は、閉鎖的な島国だったから育まれたという面がたくさんある。例えば識字率の高さがよく指摘されるが、それは「かな」のおかげだ。僕の三高の友人に梵語梵文学をやっていたのがいて、梵字というのは母音と子音のマトリックスになっていて驚いた。なんだ「あいうえお、あかさたな」じゃないかと思って調べてみたら、日本語の50音表のマトリックスも梵字が日本に入った時に始まっていた。梵字が日本に入った時に始まっていた。梵字が読めなかったから、ひらがなを作り、ルビを振った。その時に、50音表ができたのだ。つまり、坊さんのカンニングのおかげで、アルファベットに比肩する辞書インデックスができたというわけだ。
 当時の僕は、日本という国を相対化しながら、「地球史の中の日本」として捉え直そうとしていた。そうやって比較文化的視点を持てば持つほど、いかに日本がかけがえのない国かも見えてきた。


勝谷誠彦の「ディアスポラ」も「国土なき後の日本人」を扱っていたが・・・未完の大作の一部のような短編である。
近年ますます押し出してきた漢民族に対して、その本質に気づいたカナリアのような作家は数多くいたわけですね。
ということで・・・
尖閣沖ではその漢民族と一触即発の現況であるが・・・・小松が中国問題を描いた『見知らぬ明日』や『日本沈没第二部』を読んでみたい気もするのです。
それから小松のベストワンと言われる『果てしなき流れの果に』も。


【SF魂】
SF

小松左京著、新潮社、2006年刊

<「BOOK」データベースより>
『復活の日』『果てしなき流れの果に』『継ぐのは誰か?』―三十一歳でデビューするや、矢継ぎ早に大作を発表し、『日本沈没』でベストセラー作家となった日本SF界の草分け的存在。高橋和巳と酒を酌み交わした文学青年が、SFに見た「大いなる可能性」とは何か。今なお輝きを失わない作品群は、どのような着想で生まれたのか。そして、意外に知られていない放送作家やルポライター、批評家としての顔―。日本にSFを根付かせた“巨匠”が語る、波瀾万丈のSF半生記。

<大使寸評>
「アパッチ族」アンソロジー として、小松左京を再発見したのであるが・・・・その余勢を借りて、この本を手にしたわけです。
学生時代から高橋和巳と友人だったそうだが・・・・奇遇というか、多彩な小松が見えます。

(楽天では「SF魂」を扱ってないのでAmazonを参照)



【ディアスポラ】
勝谷

勝谷誠彦著、文藝春秋、2011年刊

<「BOOK」データベースより>
国土を失っても日本人は日本人たりえるのか?“あの事故”で居住不能となった日本。十年前に描かれていたポスト・フクシマの世界。

<大使寸評>
2001年「文学界」初出誌で描かれた勝谷誠彦の世界であるが・・・時代を先取りした感性がすごいではないか。
日本人が亡国の民に陥った経緯は最後まで語られることはなかったが(多分、米中による核戦争後と類推するしかないのだが)チベットに難民として移住させられた日本人グループを国連職員が定期調査に訪れるのです。
日本人、漢人、チベット人、ユダヤ人が登場するが・・・
ディアスポラの先輩とも言えるユダヤ人調査員が示す悲哀と強靭さが印象的である。

(楽天では「ディアスポラ」を扱ってないのでAmazonを参照)
勝谷誠彦の世界



【見知らぬ明日】
明日

小松左京著、角川春樹事務所、1998年刊

<「BOOK」データベースより>
「中国奥地で、なにか起っている…」新聞社に届いた一通のテレタイプは、中国・新疆ウイグル自治区に、宇宙人が攻撃をしかけてきたことを暗示するものだった。宇宙人襲来という、人類史上未曾有の事態に、米中ソの大国を中心とする国連は有効な解決策をなんら見出せない。「宇宙からの侵略」と「国際政治」という二つのテーマを融合させ、「人類の未来」に警鐘を発するSFの傑作。

<読む前の大使寸評>
SFというより、ポリティカル・フィクションなのかも?現在のカオスのような中国と、この本の中国と比べてみるのも面白いかもね。

(楽天では「見知らぬ明日」を扱ってないのでAmazonを参照)






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Last updated  2013.03.05 07:16:13
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Re:国土なき後の日本人(03/04)  
KUMA0504  さん
>日本はこのネーションというコンセプトから一番遠い国だ。島国だから紛争や侵略とはほぼ無縁だったし、人口半減みたいな疫病もない。日本という国は自然で保護された一種のユートピアみたいなものだったのではないか。そこに日本人の国際社会に適応しきれない本質がある

ほぼ同意するのですが、「島国だから紛争や侵略とはほぼ無縁だった」というのは、違う。島国だから紛争は返って(朝鮮半島の様に)いつまでも起こり得たのかもしれない。しかし、この国の人間は紛争を嫌う様になった。そこには、もっと何かがあった。というのが、私の「生涯のテーマ」です(←大袈裟やで)。 (2013.03.04 10:22:43)

Re[1]:国土なき後の日本人(03/04)  
Mドングリ  さん
KUMA0504さん
>>日本はこのネーションというコンセプトから一番遠い国だ。島国だから紛争や侵略とはほぼ無縁だったし、人口半減みたいな疫病もない。日本という国は自然で保護された一種のユートピアみたいなものだったのではないか。そこに日本人の国際社会に適応しきれない本質がある

>ほぼ同意するのですが、「島国だから紛争や侵略とはほぼ無縁だった」というのは、違う。島国だから紛争は返って(朝鮮半島の様に)いつまでも起こり得たのかもしれない。しかし、この国の人間は紛争を嫌う様になった。そこには、もっと何かがあった。というのが、私の「生涯のテーマ」です(←大袈裟やで)。
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<小松さんが言う「紛争や侵略とはほぼ無縁だった」は間違っていますね。朝鮮征伐と称して侵略したし、国内は紛争の連続でした。

島国で鎖国が可能だったことは、まさにユートピアでした。この間にガラパゴスのような日本精神が生まれたわけだけど・・・
世界からは、わりと好かれているようです。 (2013.03.04 12:40:22)

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