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2014.07.15
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カテゴリ: 気になる本
売れっ子作家、百田尚樹の本は貸出し中のことが多くて図書館の本棚で見かけることはないのだが・・・・
たまたま、返却後のこの本を手にしたのです。ラッキー♪

この本から、「夢を売る男」の面目躍如のシーンを紹介します。
p25~29
「弊社ではそういう作品に対して、ジョイント・プレスというシステムをご提案させていただいているのです」
「ジョイント・プレス?」
「これは、出版社と業者が共に手を携えて本を出そうという趣旨のもとで作られた丸栄社独自の出版形態です。簡潔に申し上げますと、出版にかかる全費用を丸栄社と著者が負担し合うということです。このことによって、優れた本でありながら、種々の事情で出版が難しかった本を世に出すことができるのです」

 牛河原はここで再び少し間を置いた。
「はっきり言いましょう。出版費用の一部を著者である鈴木さんにご負担していただければ、出版に踏み切れるのです」牛河原は鈴木に返事する間を与えずに、たたみかけるように言った。「これはうちとしても賭けです。勝負に出るということです。私は販売部を説得して、OKをもらいました。鈴木さん、あなたも自分の作品に賭けてみませんか。あなたがもし自分の作品に自信があるなら、勝負に出るべきではないですか」

「やります!」
 鈴木は力強く言った。
「そうですか!やりますか」
「はい」
「この勝負、必ず勝てると思う。私はきっと売れると確信しています。私の編集人生の勘がはっきりそう言っています」
 受話器の向こうの鈴木の息づかいが聞こえる。彼の表情まで読み取れるようだ。おそらく喜びでくしゃくしゃになっているだろう。

「それで―僕はいくら出せばいいのでしょう」
「うん、そこなんですが」
 牛河原はわざと何でもない問題だというふうに軽く言った。
「いろいろと見積りを出してみないと細かいことは言えませんが、何とか200万くらいに抑えようと思っています」
(中略)

「困った馬鹿息子と思っていた子供に小説の才能があったんだ。出版社の編集者に褒められて、疑う親はまずいない。親というのは、どんなに出来の悪い子供でも、本当は素晴らしいところがあると信じているからな。まして大事な一人息子だ」
 荒木が大笑いした。
「笑っているが、お前のお袋も息子はまっとうな出版社に勤めている優秀な編集者と信じているぞ」
 荒木は少し嫌そうな顔をした。


文学賞ビジネスの舞台裏が出てきます(笑)。
p33~34
「知ってるか。世界中のインターネットのブログで、一番多く使われている言語は日本語なんだぜ」
「本当ですか」
「今から7年前、2006年に、英語を抜いて、世界一になったんだ。当時のシェアは37%だ。今ならもっと増えてるだろう」
 荒木は驚いた顔をした。

「70億人中、1億人ちょっとしか使わない言語なのに。それはどういうことですか?」
「日本人は世界で一番自己表現したい民族だということだ」
 牛河原はそう言って鰻を美味そうに口に放り込んだ。
「本だって同じことだ。小説もずっと毎年毎年売上を落としている。大手出版社の小説は大半が赤字だ。日本人はもう小説なんか読まない時代になってるんだ。にもかかわらず、小説賞の応募は年々増えている。うちみたいなインチキ文芸賞にも毎回数百もの応募原稿が集まるくらいだ。要するに、他人の作品は読みたいとは思わないが、自分の作品は読んでもらいたくて仕方がないんだ」
「読まれる価値があると思ってるんでしょうか」
「少なくとも本人はそう思っている」
「滑稽ですね」

「それを言うならプロの作家の方が滑稽だ。一部の人気作家を除いて、大半の作家がほとんど読まれもしない小説をせっせと書いている。特に純文学作家は悲惨の一語だ。しかし本人は読まれるべき芸術作品だと信じて書いている。プロ野球の最下位争いしているチーム同士の雨の日の消化試合の観客以下の人数にしか読まれていないのに、だ」
「プロの作家も僕らの客も似たようなレベルなんですね」
「そうだな。それでもプロは一応は本を出すにあたっては出版社から金が支払われる。売れなかったら出版者が損をかぶる。ところがうちの客たちは自分で金を出す」
「売れなくてもうちは儲かるということですね」
「そういうことだ」
 牛河原はうな重を食い終え、お茶を飲んだ。


それから、 「愛と日本語の惑乱」 にも出版前の著者校正、つまり差別用語の訂正に対するやり取りが出てきたが、この本にも出てきます。
で、 差別用語の置き換え語 というサイトを覗くと(不謹慎かもしれないが)興味深いわけです。
とにかく、小説を出版する場合、差別用語の訂正は避けて通れない問題になっているようですね。


毎日ブログを更新しているようなブロガーに出版話を持ちかけると、よく食いつくんだそうです。・・・・怖いですねぇ、気をつけておこう(笑)


【夢を売る男】
夢

百田尚樹著、太田出版、2013年刊

<「BOOK」データベース>より
 敏腕編集者・牛河原勘治の働く丸栄社には、本の出版を夢見る人間が集まってくる。自らの輝かしい人生の記録を残したい団塊世代の男、スティーブ・ジョブズのような大物になりたいフリーター、ベストセラー作家になってママ友たちを見返してやりたい主婦…。 牛河原が彼らに持ちかけるジョイント・プレス方式とはー。現代人のふくれあがった自意識といびつな欲望を鋭く切り取った問題作。

<大使寸評>
売れっ子・百田尚樹のこの小説が図書館で借りられて、ラッキー♪

出版社の敏腕編集者を通じて出版業界を語る小説となっているが、いかにも業界内幕を現していて興味を惹くのです。
新人賞未満の作家と編集者の人生模様や出版システムが描かれているが・・・
これこそが百田さんが本屋大賞を取るまでの実態だったわけですね。

このところ小説家になるという遠謀に取りかかった(アホやで)大使にとって、出版システムや出版業界の裏を垣間見るこの小説は、興味深いわけです♪

それから、関西局の放送作家を踏み台にして本屋大賞をとり、大ブレークした百田尚樹は、関西人から見れば・・・
アホの遺伝子を継ぐ人やと思うとりま♪

rakuten 夢を売る男


今の百田さんを見るにつけ、誘惑が多くて阿弥陀クジのような成功双六を迷わずに登りつめた感があるのです。
これは百田さんの嗅覚が正しかったというか、アホの遺伝子が良い方に作用したとしか思えないのです(笑)

このエントリーも ちょっと右寄り百田さん 書いて稼ぐ技術 に収めておくものとします。

ダ・ヴィンチの百田尚樹特集が本棚で積読になってるで!

【ダ・ヴィンチ10月号(百田尚樹特集)】
百田

雑誌、メディアファクトリー、2013年刊

<目次>より
百田尚樹 大特集
怯まない・屈しない・切り捨てない──
◎働くことは生きること
【対談】稲盛和夫(京セラ名誉会長)×百田尚樹
◎『海賊とよばれた男』に心動かされる理由
◎『永遠の0』が熱い理由
◎芸人が読む百田尚樹
【対談】博多華丸(博多華丸・大吉)×藤原一裕(ライセンス)
◎潜入! 『探偵!ナイトスクープ』から作家・百田尚樹を知る
◎百田尚樹解体全書&全作品紹介
◎百田尚樹書き下ろし短編小説「賭けられた女」

<大使寸評>
『探偵!ナイトスクープ』のスタッフと共に語る楽屋ウラ話が面白い♪
この番組が作家・百田尚樹を育てたといって、過言でないと思うのだが・・・
とにかく、エンタメ志向の強い作家である。

fujisan ダ・ヴィンチ10月号(百田尚樹特集)







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Last updated  2014.07.15 23:59:36
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Re:「夢を売る男」(07/15)  
chappi-chappi  さん
夢を売る男って、大使のことやん。
作家デビューはまだ?

(2014.07.15 22:33:36)

Re[1]:「夢を売る男」(07/15)  
Mドングリ  さん
chappi-chappiさん
>夢を売る男って、大使のことやん。
>作家デビューはまだ?

<・・・・デビュー次期は、ヒ ミ ツ。
夢を売るというか、夢を追う でんがな♪
-----
(2014.07.16 08:29:52)

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