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2014.09.01
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カテゴリ: アート
北斎について、あれこれ集めてみます。
北斎といえば『富岳三十六景』の知名度が高いが、大使の場合は、北斎の娘のお栄が気になったのです。

杉浦日向子さんの漫画とエッセイにお栄が描かれているが、大使はここから北斎にアプローチしたわけです♪

・北斎とお栄
・アニメ映画『百日紅』
・カラー版 北斎
・北斎漫画を読む

赤



杉浦日向子著『大江戸観光』より、「北斎とお栄」を紹介します。


<北斎とお栄> よりp90~93
お栄

 文化14年初夏。浮世絵師・葛飾北斎の30数度目の転居先は浅草本願寺の南だった。
 古くからの、いわば子飼いの弟子共が、毎度の引越しを手伝ってくれるから、北斎自身は何もすることはない。ただ、皆の押す大八車のあとを手ぶらでスタスタ行くだけである。
 縄をかけたままの小山のような荷物を、新居に丸ごと運び込むと、引越しは完了する。 荷の中のどれかが必用になったたび、縄の隙からそれを取り出していく。そんな事をしている内に、ひと月程で小山は分解し、部屋は具合良くちらかるのである。

 北斎の引越しは至って簡単だった。簡単なればこそ気儘に越すのでもある。荷は大八車1台。それも大半は、北斎が長年描きためて来た古今東西の景色や風俗等の資料で、他には少しばかりの画材である。
 煮炊きはしないから鍋釜もない。もちろん縫箱もない。夜具布団さえない。
 北斎が引越す第一の理由が「部屋がちらかり過ぎて絵を描く隙がなくなった」、つまり、掃除片付けをする位なら転居した方がマシという発想だから、ほとんど居抜きで出てくる。身一つで移れれば尚良いのだろうが、絵の道具だけはどうしても必要だ。家財道具などは何とでもなるのである。

 引越して半日もすれば、北斎に義理を感じる版元の面々が挨拶に来る。荷の山を見て「オヤ先生、夜具はどうなさりました」と尋ねるお人好しがその中に一人は必ず居る。「ああ、置いてきた」度々の事とはいえ、引越しは引越しだから何か祝わにゃならない。かくして、その言い出しっぺは、夜具を背負って再訪するのである。
(中略)

 北斎には二男四女がある。お栄を除く5人はそれぞれ養子や嫁に行った。お栄は、娘として父の世話をするというのではなく、古株の門人として同居していた。
 妙な親娘だった。お栄は北斎の事を通り名の「鉄蔵」と呼び捨てにし、父は娘の受け口の容貌から「アゴ」と呼ぶ。
Amazon 大江戸観光




杉浦日向子のまんが『百日紅』に出てくるお栄を題材にしたアニメ映画ができるんだって・・・これは、個人的には必見ですね♪

北斎の娘「お栄」がなんとアニメ映画『百日紅』になっちゃった… より
お栄

 原恵一監督・プロダクションI.G制作で映画『百日紅 (さるすべり)』として2015年に公開と発表。

 世界的にその名を知られる父・葛飾北斎の才能と破天荒な性格を受け継ぎ、「美人画にかけては応為には敵わない」と言わしめた "お栄" の生涯を、江戸風俗研究家でもある杉浦日向子原作でアニメ化。

 漫画「百日紅」は、奇行の絵師として知られる北斎とお栄、武士を捨て、勝手に弟子として居候している池田善次郎ら、三人の身の回りに起こる不思議で怪奇な出来事を、江戸風俗と共にリアルに描写。原監督はそれを継承し、現実味のある時代劇にするそうだ。





【カラー版 北斎】
北斎

大久保純一著、岩波書店、2012年刊

<「BOOK」データベース>より
「画狂人」と称した葛飾北斎(1760~1849)は、生涯自らの到達点に満足することなく、画業に専心し、多彩な作品を遺した。初期の役者絵から、美人画、摺物、読本挿絵、絵手本(北斎漫画)、風景画、花鳥画、そして晩年の肉筆画まで、傑作・代表作69点を収録し、その画業を江戸絵画史の中に位置づけながら、読み解く。

<読む前の大使寸評>
北斎と写楽といえば、ジャポニスムを代表する双璧であり・・・
当時のブームは、クールジャパンの比ではなかったようです。
この新書は、画像が多くて魅力的な解説書になっています♪

Amazon カラー版 北斎




<読本の一大ブーム> よりp60~62
 宋理号を門人の宋二に譲って北斎を主号としてから数年、文化年間を迎える頃には、北斎の活動領域は狂歌絵本や刷物の他に、読本の挿絵や錦絵などへも拡大し、浮世絵師本来の活躍を取り戻すことになる。読本とは江戸中期から幕末にかけておこなわれた小説の一ジャンルで、勧善懲悪や仏教的因果応報の理念にもとづき、雅俗を折衷した和漢混交の文体を用いて複雑なストーリーを展開させるものである。その発生は上方で、中国の白話小説(口語や俗語で書かれた小説)の影響を受けて18世紀中頃に生み出され、やがて上田秋成の『雨月物語』や建部綾足の『本朝水滸伝』などが生まれた。

 これに遅れて江戸では、18世紀末に山東京伝と曲亭馬琴により読本の執筆がはじめられ、文化年間(1804~18)になると、この二人の競作を軸に数多くの作品が生み出され、読本の一大ブームが訪れる。

 毎丁(ページの表と裏)挿絵があり、絵と文が一体となって進行することを原則とする黄表紙や合巻などの草双紙とは異なり、読本は一冊あたり数図程度である。とはいっても挿絵をないがしろにしてよいものではなかった。
(中略)
 馬琴は知友の小津桂窓宛ての書簡に「よく見る人は、画はないがよしと申すも稀には御座候へども、貸本屋などは画を第一にしてかれこれ申し候よし」と嘆いている。本文に負けず劣らず、挿絵の善し悪しが読本の売れ行きを大きく左右したのである。鈴木重三氏は、読本の挿絵がしばしば本文が語っていない余情や余意を補う役目を果たしており、絵を見て文をよく読んでもらえない、あるいは挿絵があるために作者が胸の内に秘した趣向がばれてしまうなどとこぼした馬琴も、それだけにかえって作中における挿絵の機能を理解し活用していたと指摘している。

 こうした事情から読本挿絵には、当時人気の浮世絵師が起用されている。誕生期から刊行点数の多い文化年間までの江戸の読本を概観すると、北斎とその門人の蹄斎北馬、歌川派の両雄である豊国と豊広らによって多くの挿絵が描かれている。
 豊国は当時の人気ナンバーワンの絵師だけに衒いのない大衆的な作風で、その兄弟弟子の豊広は落ち着きと品位ある画風というように、挿絵にもそれぞれの長所を発揮しているが、緊張感ある描線と人物の姿態、緊密な構図が相まって生み出された絵の格調という点で、北斎が読本挿絵の最高峰であることを疑う者はいないであろう。



<北斎漫画> よりp88~89
 文化年間(1804~18)における北斎の画業の中で特筆すべきものとして、文化11年に有名な『北斎漫画』の刊行がはじまったことが挙げられる。『北斎漫画』は、「漫画」という題名がとかく誤解を生みがちであるが、今日でいうコミックのようなものではなく、絵を学ぶ際に用いる絵手本に分類されるべき書である。

 江戸時代の後期は、本業、アマチュアを問わず、絵を学ぼうとする人の数が増えたため、絵手本の出版が流行した。一方で江戸時代には、小説類や実用書の挿絵としての絵を持つものではなく、絵が主体となった絵本や画譜なども数多く出版されている。それら鑑賞が第一目的と思われる絵本・画譜も、絵を学ぶ者の助けとなることを想定していることが多い。序文等から絵手本として出版したという意図が明瞭なものでも、運筆や彩色など具体的な描画法まで絵解きしたものもあれば、作画のための図様を提示したものもある。後者の場合は収録された個々の図の鑑賞性も高く、絵本・画譜との間の区別は実際には難しいことも少なくない。北斎が手がけた絵手本と絵本の間にもこうした境界のあいまいさはつきまとっており、後述するように絵手本を標榜した『北斎漫画』にも絵画としての完成度の高い図が多数含まれている。





【北斎漫画を読む】
北斎

有泉豊明著、 里文出版、2010年刊

<「BOOK」データベース>より
知るほどに面白い!江戸の話題作。マンガ(漫画)の名付け親、北斎が残した傑作に迫る。

<大使寸評>
北斎といえば『富岳三十六景』の知名度が高いが、『北斎漫画』も当時の江戸で人気を博したそうです。
庶民の生活、好み、滑稽などを描いた画の数は膨大です。この本では目ぼしいものを取り上げて、楽しい読み物に仕立てています。

Amazon 北斎漫画を読む






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Last updated  2014.09.01 09:07:26
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