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2017.04.23
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カテゴリ: アート
図書館で『アンドリュー・ワイエス水彩・素描展』という本を、手にしたのです。
ワイエスの水彩・素描の習作を集めた、わりと地味な本であるが・・・ええでぇ♪
この本の画像をネットで探したけれど見つからなかったので、ワイエスの絵を添えることにしました。


【アンドリュー・ワイエス水彩・素描展】
ワイエス

常葉美術館編、印象社、2006年刊

<「BOOK」データベース>より
データなし。

<読む前の大使寸評>
ワイエスの水彩・素描の習作を集めた、わりと地味な本であるが・・・ええでぇ♪

ci.nii. アンドリュー・ワイエス水彩・素描展


大使の好きなアメリカン・リアリズムのあたりを見てみましょう。
p103~106
<アメリカン・リアリズムの位置付け:金原宏行>
■はじめに
 アンドリュー・ワイエスとエドワード・ホッパーという二人の画家は、私の一番気にかかってきた現代アメリカの画家である。今回、1938年から始まったオルソンシリーズのワイエスの水彩素描115点(丸沼芸術の森コレクション)が展示されるので、それぞれの描かれた場面の意味がより理解できると思われるが、ワイエスの作風の生成をアメリカ絵画の歴史に位置づけながら、時にはホッパーと比べ、アメリカン・リアリズムを今日的な視点から考えてみたい。

■ワイエスの作風
 オルソン時代(1940-1969)のワイエスの作品には、生きていることの尊さ、美しさを定着させるべきだという哲学がうかがわれる。それは、下絵(水彩・素描)に生きた命を刻んだ作品が多いことからも理解できる。

 これらは一貫して水彩であるが、瞑想的、内省的な画家であったコールに影響され、1952年頃よりドライブラッシュ(水彩テンペラ)技法を生かした作品へと変貌していく。

 代表作1945年の《クリスティーナの世界》や《豆入れの桶》(1966)は、われわれのイメージに上り、その絵の印象が深く脳裏に刻まれているが、前者は、地平線を画面上部に取り、現実の坂よりも急に感じられる大地の表現などワイエスの絵画特有のマジックリアリズムによって対象の内面に切り込む深さがある。

 その修作を見ると、いかに構成に苦心したか理解できる。《クリスティーナの世界》は、抽象に進む一派を除いて、一時否定的に見られたが、ワイエスは体に障害がありながら、大地に這いつくばり、小さな体に魂の輝きを見せるクリスティーナという命を表現し得ている。
sワイエスクリスティーナ

 ワイエスは、自分の内面と向き合いながら、立ち上がってくるオルソンでの生活から生まれたイメージを大事にして、アメリカに続いていた伝統的な細密模写、リアリズムを強固に守りながら、1960年代から今日にかけてさわやかな感動を呼び寄せることに成功したといえる。こうして作品は好評を博し、高く評価されることになり、東京国立近代美術館でワイエス展が1974年開催されて、日本にも紹介されるようになった。

■ワイエスとホッパー
 ワイエスは、フランス印象派の色彩解放については良き恩恵を受けているといえる。テオドール・ドライザーが「アメリカを発見することは素晴らしいことだ。しかしアメリカを失うことは、もっと素晴らしいことだ」と記したことを思い出させる。それを地で行ったのが、ニューヨークに住みながら、1930年以降は、ニューイングランドコッド岬に1年の半分を過ごしたエドワード・ホッパー(1882-1967)である。

 海辺や田園の田舎を描いたホッパーの絵画は、ヨーロッパの風景画のように画面の中の人間の表情が、自然を支配していない人物となっているのが特徴である。ここでは、まさしく人物はあくまでも添え物なのである。孤独なアメリカの人物が、がらんどうのスペースに投げ出され、映画の1カットのように哀愁と悲哀を醸し出す。何をしているのか分からないが、自然が人間を脅かしているようにも見える。

 新大陸にやって来た開拓者たちが抱いた、月並みな情景のなかの倦怠、寂寥、孤独、疎外、アンニュイ、そうした負にあたるものすべてを表現しようとしている。自然の多様性こそが、大切であると言っているかのようである。
sホッパーナイトホークス

 これに対して、ワイエスは最低限の生活を満たすために、そこで生活する大切にしてきた品々、生活用品、例えばバケツなどを描きだし、それらをつなぎ合わせながら、身近な生活を様々なモティーフで彩る。日常を豊かにしてきたアメリカンキルトのような側面が、彼の絵のなかにある。生活に必須なもの、生かされてきたものを描いて、ひいては、それらがアメリカの郷愁につながるのである。

 ホッパーは、アメリカ小都会の特有の空間の広がりのある場面を、空虚で乾いた技法で描き、孤愁の陰りある感情がよく出て、そこに詩的な独特の空間を作り出す。

■アメリカン・リアリズムの背景
 1823年モンロー主義がはじまって、欧米両大陸の相互不干渉の主張から端を発し、次にはアジアからも目を背け、目を国内へと向けることとなった。それがリージョニズム(地方主義)の起こりである。1920年代から30年代にかけて、アメリカでは一方で抽象に向かう動きは活発化し、都市化を背景に20年代に急速に抽象主義は進み、それと平行してアメリカの孤立主義が始まった。

 そこに1929年のニューヨークウォール街を襲った株の暴落による世界大恐慌が起きた。アメリカが孤立主義に陥って以降ずっとこの事実が影を引いており、1930年代に盛んになった地方主義は、画家チャールス・シーラーなどに代表されるが、彼らは合衆国の工場などを細密に描き、それらを一般の人々に再確認させることになった。

 小市民的な幸福の儚さを人間同士の関係で描かず、自然の野性的な崇高さを都市風景のそれに置き換えたアメリカン・リアリズムは、画面が大地や建物のなかにあってペーソスを奏でている。「自然について感応した最も内密な印象を、可能な限り忠実にとらえること」を身上ににしたワイエスのスタイルをその代表としてよいであろう。ワイエスの繊細な感性が日本人の心の琴線に触れることが多い理由である。

 ワイエスの絵画は、ヨーロッパの人間中心主義(エゴイズム)が見られず、その絵画は自立的な芸術といってよかろう。それには「自分は絵を売るために描くことをしないで済んだ」と語っているように経済的に恵まれていたことと、それを支えた妻ベッツイがマネージャーとしての役割を果たしていたことも大きい。


アメリカン・リアリズムがいいな~
アンドリュー・ワイエス水彩・素描展画像





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Last updated  2017.04.23 14:28:21
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Re:『アンドリュー・ワイエス水彩・素描展』(04/23)  
alex99  さん
ワイエスは、私の、最も好きな画家のひとりです
(2017.04.23 01:41:45)

Re[1]:『アンドリュー・ワイエス水彩・素描展』(04/23)  
Mドングリ  さん
alex99さん
>ワイエスは、私の、最も好きな画家のひとりです。
-----
<この「クリスティーナの世界」が美術の教科書にも載っていたので、ワイエスは知られているし、愛好者が多いですね♪
(2017.04.23 06:40:14)

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