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2018.01.26
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カテゴリ: 気になる本
図書館で『それぞれの韓国そして朝鮮』という本を手にしたのです。
なんか、いちど借りたような本だと思いながら借りたが・・・
帰って調べると、やはり借りるのは3度目でした。(イカン イカン)



朝鮮

姜尚中著、角川学芸出版、2007年刊

<「BOOK」データベース>より
姜尚中が民族を越えた多様な「共生」のあり方を探る。
【対談者】
・筑紫哲也さん・雅ーmiyaviさん・澤地久枝さん・浜美枝さん・梁英姫さん・リービ英雄さん・磯崎新さん・中井信介さん・井筒和幸さん・黒田福美さん

<読む前の大使寸評>
なんか、いちど借りたような本だと思いながら借りたが・・・
帰って調べると、やはり借りるのは3度目でした。(イカン イカン)

『それぞれの韓国そして朝鮮』2


「血と骨」と「パッチギ!」あたりを見てみましょう。

<「血と骨」への違和感> よりp210~212
井筒 :それより、日韓併合という想像を絶することが行なわれてから、日本はどういう植民地政策をとって、そして日本は戦争中どういう時代で、国民は軍部の動きを知らされていなくて、庶民はどうしていたのか、特に大阪・生野区の在日庶民は、どうしてたのかを、描いていく。そうすれば、日本人と済州島人の交流で、何かしら、おもしろい話がいっぱいあったはずなんです。そこをきちんと描き、解放というところまで前半を押していってくれたら、少しでも、希望が持てる「血と骨」になったかもしれないですね。

:僕もそう思いました。

井筒 :そこがないわけです。あるいは歴史的必然として、祖国の解放には至ったのに、戦後また在日の人には別のことが始まるんです。そこをどう乗り越えていくのかということを、映画の中で突きつけながら、メッセージを発してくれれば、それはそれでおもしろいエンターテインメントの映画になったと思うんです。残念だけど、憂鬱でした。

:「パッチギ!」を観たときは、すごく自分の身体にさわやかな風が入ってきて、なおかつジーンとしたものを感じてしまったんです。社会学者である宮台真司さんが、珍しく、最高傑作だと言っていました。「血と骨」を撮った崔監督に、「パッチギ!」を観てもらえばいいんでしょうね。

井筒 :いや、崔さんも観てくれたやろな。たしかに、違います。

:殴りあっているし、血も出ているけれど、相手を亡き者にする、ゼロにするということはないですから。

井筒 :そんなことは、おおよそ、ないですよ。僕の暴力概念の範疇に、それはないです。

:暴力の描き方を見てみると、決して残酷と感じなかった。どこか手加減している。

井筒 :相手を殺しちまえなんて、あり得ないですから。

:ただ「パッチギ!」を観終わった後、映画はとても楽しかったのに、現実に戻ってみると、やるせなさを感じたんです。やるせないのは、たぶん日本の若者だけではなく、在日の若者もやるせない。もっともっとみんながわかりあいたいのに、らかりあえない。いったい何があるんだろうという、やっるせなさです。

 国際政治というと、心情論とは切り離されて、論じられていますが、根幹にあるのは、わかりあいたいということで、在日の人も、日本の人も、どこかで感じていたと思うんです。


アメリカンニューシネマあたりを、再度見てみましょう。

<アメリカンニューシネマが起爆剤に> よりp218~223
:高校のときから、映画監督になりたいと思いはじめたということですか。

井筒 :僕は奈良高校に入ったんです。親が教師になれということで、その道に進むのなら、奈良高校がいいということだったんです。でも、結局映画ばかり観ていて、ちょうどその頃、アメリカのニューシネマ、アメリカの新しい文化が入ってきたんです。

:「イージー・ライダー」とか。

井筒 :そうです。「真夜中のカーボーイ」などですね。映画というのは、これだって思ったんです。加山雄三がエレキギターをチャラチャラン鳴らしているものじゃないんだと、映像というものは。こう意気込んで、オートバイで行くんだけれど、南部の閉鎖主義の中で殺されてしまう。その殺されてしまうところがかっこいいんだと、あれこそ映画なんだと。殺されたいんだ我々はって、当時はね。こういう感覚をいまだに大事にしたいって思っています。僕の場合、アメリカのニューシネマが起爆剤になっているんです。

:助監督からスタートされているわけですか。

井筒 :そんな時期全然なかったですね。「イージー・ライダー」や「真夜中のカーボーイ」を観てしまったんですから、監督も助監督もないだろう。造反有理、すぐに撮れるだろうって、そう大胆にも思ってしまったんです。17,8歳だったわけですが、子どもでも、日本映画のつまらなさとかメッセージのなさというものを感じとっていました。庶民のたわいない話ばかりやっていたわけです。
 ですから、そういういわゆる、業界に身を投じようなんていう気は、さらさらなかったですね。やるんだったら、自分たちでつくろうと思ったわけです。まさに「パッチギ!」の主人公のように、歌を歌いたいから歌うんだみたいなところがあったんです。今の若い子たちと感覚的には近いものがあると思います。今の子たちも、ダンスをやりたいからダンスする。たとえば高円寺の駅裏でダンスの練習をしているわけでしょう。要するにやりたいことをやる、それを最初に始めた世代なのかもしれません。
 その頃影響を受けたのが、劇作家の寺山修司さんで、「書を捨てて街に出よう」とアジられた。街を歩いていれば、何かにあたるよというわけで、何かイデオロギーを超えたおかしさ、そういうものに出くわした世代でした。

:井筒さんの映画を観ていると、形式にとらわれていないなということを感じてしまうのは、そのせいですか。

井筒 :たしかにないですね。基本も何も習っていないからです。

:日本の場合、どこまでが素晴らしいのか、よくわからないのですが、様式美というのがありますね。小津安二郎監督の作品などがそうですが、たとえば「東京物語」とか、僕はいいなと感じてしまうのですが。

井筒 :ハハハ。僕、「東京物語」には意義あり!なんです。「東京物語」に出てくるお母さん、お父さんは、非常に感じのいい、いたわりあう老夫婦でしょう。それなのに、あの二人から、あんなつっけんどんな子どもたちが生まれるというのが、理解できないんです。それを「東京という都会」のせいにしているような気がするんです。尾道の善人な老夫婦がタライ回しにされる、あんな子たちに育てたわけでもないのに、ということは、東京はモンスターシティなのかということでしょう。僕はそういうふうに感じてしまったんです。

:いつ頃観られたんですか。

井筒 :いつ頃だろう。高校を出た頃ですか。京都の京一会館という、名画ばかり上映している映画館があって、そこで観たんです。どうもいやな、図式的だなって。

(中略)
:今活字がパワーを失っているし、活字離れも進んでいる。映像で表現できる人たちというのは、大変な面もあるのでしょうが、幸せな人たちじゃないかなって思っているのですが。

井筒 :そうでもないですよ。映像というのはバカにされがちなんです。享楽物であり、時間潰しであるとね。ことにアメリカが一番バカにしていると思います。映画として最初にスタートした国にもかかわらず。アメリカ映画の現状を見れば、それは明らかでしょう。 そのアメリカだって、70年代の後半まで、たとえばアメリカ内部のこと、テキサスはこんなところだとか、こんな人たちがいるとか、ジョージアは今こんなことがあって、白人と黒人の対立が根深く続いている、悲劇もある、でも頑張って生きているんですよという映像が撮られていたんです。こういう自分たちの文化や風土、人を見てくださいというのが映画だと思うんです。
 しかし80年代に入り、83年からでしたか、ブロックバスター映画が公開され、商業主義、拝金主義が出てきて、こういった映画はなくなってしまいました。アメリカは、文化を売るんじゃなくて、要はコカコーラの世界、戯画化された文明を映像化しているだけなんです。悪い人間が来たら、何十人でも撃ち殺すでしょう。誰かが必ず復讐に立ち上がるでしょう。そんなどうでもいいことを、押し付けていくんです。
 そして、得体の知れないリベンジ大会。自分の中に飲み込んで、反省し、そして消化させていく、落ち着く、落ち着こうとする、こういった本来あるべき過程がまったくない成り行きのリベンジの仕方です。知性のかけらもない映画ばっかり。

:今のアメリカ映画は、人種問題などないがごときでしょう。たしかに有色人種が主人公になっている映画は多いけれど、それでは人種問題は、70年代に解決されたのかというと、そうではないわけでしょう。

井筒 :でもそういう映画でないと、2億何千万人の暇潰しとしか映画をとらえていない国民性にはアピールできない、土曜の夜に観に来ない、ということのようなんです。たまにあっても、俺はいったい誰だろうみたいな自分探しだけのもの。

:そういえば、最近アメリカ映画って観なくなりましたね。

井筒 :そうでしょう。

ウン 大使にとって、アメリカ映画といえば「イージー・ライダー」や「真夜中のカーボーイ」などのアメリカンニューシネマであり、それと「ブレードランナー」など日本では作れないレベルのSF作品でしょうね。
…で、今のハリウッド作品は原則として観ないことにしているわけです。

『それぞれの韓国そして朝鮮』2 :黒田福美さんとの対談
姜尚中さんの対談集 :リービ英雄さんとの対談、井筒監督との対談





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Last updated  2018.01.28 13:33:12
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