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2018.05.26
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カテゴリ: 気になる本
図書館で『悪貨』という本を手にしたのです。
おお 島田雅彦の経済小説ってか・・・
なんか場違いな感じがするのだが、まず読んでから評価してみましょう♪





島田雅彦著、講談社、2010年刊

<「BOOK」データベース>より
20××年、鑑定のスペシャリストすら欺くほど精巧な偽札の流通で、ハイパーインフレに陥っている日本―。偽札流通を促した疑惑のかかる、天才マネーメイカー・野々宮冬彦は、カネに支配されない世の中を築くべく、途方もない計画に着手する。カネの根本の価値を覆そうとする男の運命の向かう先とは!?

<読む前の大使寸評>
おお 島田雅彦の経済小説ってか・・・
なんか場違いな感じがするのだが、まず読んでから評価してみましょう♪

rakuten 悪貨


グローバル資本主義とかコミューンのお話しを、覗いてみましょう。
p50~54
<10 イケさんとノノくん>
 14歳というのは世界を呪うことを覚える年齢だ。
 世の中の矛盾に憤り、漠然とした鬱屈を抱え込んだ中学生は昔も今も一定の割合で存在する。中学生だった頃の自分と対面するように、池尻は野々宮の心の闇を覗きたがった。いい大人になっても、14歳当時の心のわだかまりは晴れるものではない。その証拠に池尻自身が当時のままに世界を呪い続けていた。現在の野々宮より五つ上の39歳だった池尻は大学の経済学部で助教授を務めていたが、心の底ではいつもこう思っていた。国家が戦争と搾取を公然と行なうグローバル資本主義など滅びてしめ、と。

 若者が政府に向かって石を投げる時代はとうに過ぎ去っていた。破壊衝動は国家や社会には向けられず、自分に向かった。巷では自殺が流行っていた。ビルから身を投げて死んだアイドルの後追い自殺やその夜に知り合った者同士の集団自殺もあった。池尻の友人も「」と簡潔な遺書を残して、中央線に飛び込んだ。

 人は放っておけば死ぬ。自殺を止める権利など誰にもない。だが、何らかの抵抗運動を続けている限り、そして、未来に対して責任を負う限り、人は死なないものだ。

-君はこの世界をどうしたいと思っている?
 池尻が訊ねると、野々宮は澱みない口調でこういった。

-カネ持ちが偉いなんて間違っている。カネがあれば、人を強制できる。自由を奪い、奴隷にできる。誰もがカネの力は万能だと信じているから、いつまで経っても、貧乏人は貧乏人のままだし、金持ちはいっそう金持ちになるんです。

-そんな世界を滅ぼしたいんだろうが、その前に自分が滅びてしまう。カネが全ての世の中を変えるためにはどうすればいいと思う?

-カネを持っていても意味がないような社会になればいい。
 野々宮少年はただ思いつく」ままに稚拙な理屈を繰り出しているように見えながら、そこには確固たる社会変革の意思がある、と池尻は思った。
(中略)

 「彼岸コミューン」の始まりはさほど広くもない耕作放棄地だった。池尻の恩師は大学を定年退職した後、東京郊外八王子の自宅近くの耕作放棄地を借り受け、野菜作りを始めた。ところが、そんな悠々自適の暮らしも長くは続かず、癌との闘病生活に入ってしまった。せっかく恩師自ら鍬を入れ、苗を植え、復活させた畑だったが、管理する者がいなくなり、再び荒れ地に戻ろうとしていた。池尻には農業の経験などなかったが、恩師が農業について熱く語るのを聞いて、心動かされるものがあった。

 大学院では恩師の指導で経済史の研究をしていた。カントやマルクスやプルードン、それに続くゲゼルやポランニーらの学説の問題点を同門の理論家たちと議論していたが、机上の空論にも飽きていた。池尻は恩師に倣い、畑を耕し、作物を作り、それを流通させるささやかな実践を通じて、経済を考え直してみたいと考えるようになった。池尻に同調する仲間はいなかったが、自分の若い教え子たちが興味を持ち、下草刈りなどを手伝ってくれた。実験的に農業共同体を組織した池尻の誘いに応じ、野々宮少年も夏休みには畑仕事を手伝いに来て、学生たちと交流していた。

 「彼岸コミューン」は環境保護や食の安全管理の運動を行っていたグループが母体になっている。過疎村や耕作放棄地、ゴルフ場、廃園になったテーマパークなどを買い取ったり、借り受けたりして、有機農業や植林、畜産を始めると、にわかにその活動に加わる人々が増えた。

お話しはこの後、野々宮とエリカを主人公として、中国製偽札という危険なモノを題材にして続くのですが・・・
島田雅彦の経済活劇は大風呂敷きみで、ちょっと大使の好みからそれてしまうのです。

『悪貨』1





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Last updated  2018.05.26 07:47:20
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