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2018.07.28
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カテゴリ: 中国
図書館で『実録アヘン戦争』という新書を、手にしたのです。
かなり古い本であるが、毎日出版文化賞受賞の本ということで・・・期待できそうである。





陳舜臣著、中央公論新社、1971年刊

<「BOOK」データベース>より
古書につき、データ無し

<読む前の大使寸評>
かなり古い本であるが、毎日出版文化賞受賞の本ということで・・・期待できそうである。

amazon 実録アヘン戦争


東インド会社の退潮を、見てみましょう。
p66~69
<選手交替>
 イギリスの対中国貿易は、東インド会社に独占権が与えられていた。その免許状は20年ごとに切りかえられる。1834年が免許状切りかえの年にあたっていたが、1832年のイギリス国会は、免許状の期限の延長を認めないという決議をした。

 長いあいだ対中国貿易を独占してきた東インド会社が、舞台から退場するのである。
 それにはいろんな理由があった。
 まず産業革命後に起こった産業都市の市民が、選挙権を獲得したことが挙げられるだろう。それまでは、十ポンド以上の税金を納めている「家持ち」だけが、世襲的に選挙権をもっていた。それが改正されたことは、貴族時代が終わって、商工市民の時代を迎えたことを意味する。

 世襲と保守と領地の時代はすぎて、自由と進取と工場の時代が、それにとってかわった。新興商工市民は、対外貿易についても自由競争を主張した。彼らにとっては、独占権などもってのほかのことだったのだ。

 つぎに、東インド会社の対中国貿易が、きわめて非能率的なものになっていたことも、免許状取消しの大きな理由になった。

 東インド会社の商船は千二百トンから千三百トンで、一航海で広州においてあげる純益が、米ドルにして平均三万ドルから四万ドルにすぎない。ところが、アメリカの商人は、平均僅か三百五十トンという小型商船を操って、毎船四万ドルから六万ドルの純益をあげていた。

 東インド会社は官僚化して、小回りがきかず、「親方日の丸」的になるのであろう。アメリカ商人の場合は、利益のあるところには、ためらわずに突っ込んだ。彼らはアメリカの農産物をヨーロッパにはこんで、スペイン銀貨に換え、インドからアヘンをマカオへ運搬し、広州で中国の茶葉や絹を仕入れて帰米した。

 イギリスの商人がアメリカの商人に劣るとは考えられない。それは機構の差による。とすれば、ここは特許会社の独占を廃して、商人の自由競争にまかせたほうがよいのではあるまいか。・・・イギリス国会の1832年の決議は、そのような判断を背景にしていたのである。

 東インド会社が独占していたといっても、プライベート・トレイダー(個人貿易商)と呼ばれる連中が、その下請けのようなかたちで、対中国貿易にかなり活躍していた。ジャーディン・マセソン商会やデント商会などは、その代表的な商社だった。

 東インド会社は広州に特派委員を出していて、清国側ではそれを「大班」と呼んでいた。会社が対中国貿易の舞台からひきさがれば、このような会社の代表者もいなくなるわけだ。しかし、貿易の指導や監督をする仕事はなくならない。それどころか、かえって強化する必要があった。なにしろ大資本とがっちりした機構をもった東インド会社のかわりに、資本も組織も弱いプライベート・トレイダーばかりになるのだから。

 そこでイギリス政府は、新たに駐清商務監督の職を設けることになった。領事のことである。会社の代表の代わりに、政府の代表が広州に派遣されることになったわけだ。

 これはたんなる交替ではない。
 大班は会社が派遣した社員にすぎないが、商務監督はいやしくも国家を代表する正式の官吏なのだ。女王陛下の官吏は、それ相応の処遇を受けねばならない。
 初代商務監督はウィリアム・ジョン・ネーピアであった。47歳。海軍大佐。サーの称号を持つ。

 しかしながら、清国側にすれば、東インド会社であろうが大英帝国であろうが、そんな選手交替は、こちらの知ったことではないのである。


「世界史の窓」というサイトで、ジャーディン=マセソン商会について見てみました。

ジャーディン=マセソン商会
 1832年、広州で設立されたイギリスの貿易商社。アヘン貿易などで大きな利益をあげた。

 中国では怡和洋行(いわようこう)という。1832年に広州(の近くのマカオ)で、スコットランド人のW.ジャーディンとJ.マセソンが設立したイギリスの貿易商社で、茶や生糸の買い付け、アヘンの密貿易などに従事し、いわゆる三角貿易で大きな利益を得た。 1834年に東インド会社の中国貿易独占権廃止によって、民間の商社として急速に活動範囲を広げ、船舶を所有して運輸業を行い、建設や銀行業にも進出した。

 アヘン戦争の最中に、当時ほぼ無人島だった香港に本店を移転し(香港で認可された最初の外国商社となった)、さらに上海にも支店を開いて大陸に進出(上海租界で最初に土地を取得し、建物を建てた。1920年に改築された同社ビルは現在も残っている)、清朝政府に対して借款を行うまでになった。

 その後、中華民国となってからも鉄道の敷設権や営業権を得て、深くその経済に関わった。中華人民共和国成立後は活動を香港だけに限定していたが、中国の改革開放以降は本土との取引を再開し、現在でも活発な貿易、金融活動、ホテル経営などを展開している。

【Episode 幕末日本でも活動】
 ジャーディン=マセソン商会は横浜にも支店を出し(日本で活動した外国資本の最初。その商館は山下町の現在のシルクセンターのところにあって「英一番館」と言われていた)、幕末の日本でも活動した。1863年、長州藩が井上聞多、伊藤博文らをロンドンに留学させたときはそれを支援した。坂本竜馬もジャーディン=マセソン商会から支援を受けている。長州藩など討幕派に協力する一方、幕府に対してアームストロング砲などの武器を提供し、利益を上げている。
 19世紀から現代に至るイギリス商人の代表的な存在であり、大英帝国の典型的な「尖兵」的商社だったといえる。


この本も 陳舜臣アンソロジーR7 に収めておくものとします。

『実録アヘン戦争』1 :貿易品としての茶とアヘン





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Last updated  2018.07.30 07:36:06
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