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2018.08.25
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カテゴリ: メディア
図書館で『書物の文化史』という本を、手にしたのです。
開けてみると、横書きで論文調であるが・・・薀蓄にあふれていて、面白い読み物になっています。
表紙の副題「メディアの変遷と知の枠組み」が、この本の内容を表しています♪






加藤好郎著、丸善出版、2018年刊

<「BOOK」データベース>より
文字の発生から紙の発明、印刷、出版、画像・映像に至るまで、世界中の書物(メディア)の歴史を、興味深いエピソードを交えて展開。モノとしての書物(メディア)を通じ、「文献文化」「知の枠組み」を考察。世界の各地域・時代に文献はどのような媒体(メディア)に載せられ、どのように読まれてきたかを図版も豊富に交えながら解説。「媒体(メディア)の制約と文献の仕組み」「媒体(メディア)の特性と知の枠組み」という切り口から「書物」の様々な現象を読み解くテキスト。

<読む前の大使寸評>
開けてみると、横書きで論文調であるが・・・薀蓄にあふれていて、面白い読み物になっています。
表紙の副題「メディアの変遷と知の枠組み」が、この本の内容を表しています♪

rakuten 書物の文化史


書籍の電子化、保存について、見てみましょう。
p136~137
コラム14 書籍の電子化
 書籍の電子化には二つの側面があり、一つは書籍が今まさに電子媒体として世に出ること、もう一つは歴史的にも貴重な文献も含めてすでに出版されたものが電子媒体として保存・公開されることである。技術的なことには滅法疎い筆者は、専ら後者の周辺事情について幾つかの事例を紹介する。

 ほんの20~30年前までは「文献研究は金食い虫」と言われた時代であった。文献を利用したければ、例外なく電車やバス、それが海外であれば飛行機で足を運ばなければならなかった。継続して使いたければ、窓口や郵便での煩雑な申請で複写やマイクロフィッシュなどのモノとして手に入れる必要があった。

 それが十数年来の急速な電子化で、「本物を手に取って」などと贅沢さえ言わなければ、国内、或いは所属先、」自宅のリビングに居てさえも目当ての資料の写真やデータに簡単にアクセスできる環境が整ってきたのである。現在四十代半ばの筆者でさえも自分自身の学生時分の情況とは隔世の感がある。

 なぜ一般には馴染みのない貴重書や奇観書で電子化と公開が進むのか。それには先ず、「研究や学びで必要なひとが自由に平等にアクセスできるべき」という研究機関の矜持や使命感があるし、同時に、紙媒体の書物の保存のための対策が必要不可欠であったと言うことも重要な要因である。

 たとえば、国立国会図書館のHPを開くと、国立国会図書館デジタルコレクションでは図書、雑誌、古典籍、博士論文、歴史的音源など様々なジャンル毎にデジタル化された資料が公開されている。

 図書では主に明治以降の著作権がクリアされた洋装本が検索でき、NDC分類や年代、キーワードによる絞り込み検索も可能である。著作権がクリアされた文献は、デジタル画像の閲覧は勿論、枚数制限はあるものの必要なページをダウンロードすることもでき、すぐに入手できない資料の調べものには非常に重宝する。
(中略)

 アメリカのInternet Arechiveも有名な文献検索サイトで、貴重書から最新のものまで様々な媒体が公開され、筆者の研究分野である近代中国語に関するものでも、英語を中心に横文字で出版された書物は多くがすでに公開されており、PDFやFull Textなど複数の形態のデータがいとも簡単に入手できる。ちなみに、同サイトの撮影・データ整理は全て中国・深センの企業が請負っている。

 国内外の個別の大学や研究機関でもこうした取組みが増えている。国内の例では、伝統的に近代の東西言語文化交流の研究が盛んな関西大学の東西学術研究所アジア文化研究センターでは、元々研究者の取組みから発展したCSAC Digital Archivesが同大学所蔵の和書、漢籍、洋装本の他、個人や他機関が所蔵する西学東漸に関する資料、約二千数百点をデジタルデータで一般公開していたが、さらに2018年には、これまでの蓄積を発展させた関西大学アジア・オープン・リサーチセンター(KU‐ORCAS)として、東アジア文化研究の「デジタルアーカイブ」の構築と、研究リソース・研究グループ・研究ノウハウがオープン化されたプラットフォームの形成を目指した活動をスタートしている。
(中略)

 こうしてデジタル化のプラス面ばかりを挙げたたが、これほど環境が整うと却って「全体を俯瞰して個別を考える」という当たり前のことが難しくなる一面も否定できない。確かに一見ラクにはなったが、ピンポイントにしか目がいかなくなると、じつは本人も安直さに気づかないまま、常に「木を見て森を見ず」の危険と隣り合わせなのである。あくまで自分の目で資料を読み解いてこそ、という学びの原点もいま一度考えてみる必要があるかも知れない。


『書物の文化史』1





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Last updated  2018.08.25 00:27:45
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