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2019.07.02
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カテゴリ: 気になる本
図書館で『リビア砂漠探検記』という文庫本を、手にしたのです。
かなり古い本であるが・・・
冒頭に梅棹忠夫さんの寄稿文が載っているわけで、わりと格調が高いのである♪





石毛直道著、講談社、1979年刊

<「BOOK」データベース>より
古書につき、データなし

<読む前の大使寸評>
かなり古い本であるが・・・
冒頭に梅棹忠夫さんの寄稿文が載っているわけで、わりと格調が高いのである♪

amazon リビア砂漠探検記


京大のアフリカ学術調査の歴史を、見てみましょう。
p27~31
<リビアへの道>
■隊員が26名の大学術探検隊
 なぜ、わたしたちは砂漠へ入ろうとしているのか? ここで、過ぎ去った時を逆もどりして、そのいきさつをたどらなくてはならない。しばらくのあいだ、たいくつな話をがまんしていただきたい。

 数ヶ月前、わたしは東アフリカのタンザニアの内陸部のサバンナの村に住みこんで、文化人類学の調査にしたがっていた。京都大学アフリカ学術調査隊の一員としてである。

 京都大学を中心とした研究者たちは、1961年から、十年間にわたって東アフリカにおける現地調査にしたがってきた。そのおもな研究対象は、野生チンパンジーの社会の自然人類学的調査とアフリカ人の社会と文化に関する文化人類学的調査であった。

 それは、わが国における海外学術調査としては前例のない息の長さをもち、精力的なものであった。毎年数人の研究者がアフリカへ向かう。短期の者で半年、長期滞在者は2年間にわたって、1つの村に住みこんで村びとたちと生活をともにしながら調査をすすめる。あるいは、無人地帯に小屋を建てて、1つの野生チンパンジーの群れを追いかけるのだ。ある村、またはあるチンパンジーのある群れの調査をしていた研究者は、次の研究者にバトン・タッチしたのち帰国する。

 このような方法による密度の高い集中的調査によって、かなりの成果があがった。その結果の一部は、1971年に第6巻を刊行した欧文報告書のシリーズKyoto University African Studies で国際学会に発表されるほか、今西錦司、梅棹忠夫編『アフリカ社会の研究』(西村書店)という大著にも収録されている。

 さて、1976年5月、わたしが東アフリカから帰国すると間もなく、サハラ砂漠を探検調査しよう、という話がもちあがった。この計画のそもそもの震源地は今西錦司博士であった。

 今西博士を中心とする京都大学アフリカ研究会によって企画されたサハラ研究計画がしだいに拡大し、大規模なものとなったので、従来の東アフリカ調査をささえてきた母体の1つである京都大学「アフリカ研究会」とは一応は別組織の京都大学「アフリカ学会」なるものを設立し、この機関がサハラ探検の実質的推進をすることとなった。

 研究会と学会の違いだけで、メンバーにはかなりの重複がみられるし、会長はどちらも今西博士である。なんともまぎらわしく、ややこしいことだ。だが、探検の準備段階では、こんなことはいくらでもある。なにしろ、探検隊を送りだすということは、資本金なしで、会社をつくるような仕事であり、よそからうさんくさく見られることが多いものだ。
 計画の途中で、今西博士が岐阜大学の学長になったので、京大教養部教授の山下孝介博士が、この探検の隊長役を引きうけることとなった。隊の名称は「京都大学大サハラ学術探検隊」。そして、本格的な計画をねりはじめて五ヶ月め、68年の10月の終わりには、もう先発隊が出発したのである。

 いままでの東アフリカでの調査が、長期間、集中的なものであったのにたいして、こんどのサハラ計画は、短期間で広大な地域の情報を収集することにあった。軍事にたとえるならば、東アフリカ調査が城塞を築いて守備隊が常駐する型であるとすると、サハラ調査はパトロール活動にあたる。

 過去十年間に、わたしたちは黒人アフリカについての資料はかなり収集した。こんどは、サハラ砂漠とその周辺部の北アフリカ、西アフリカ、エチオピアに関する資料を一挙に手に入れ、いままでの東アフリアのデータと比較研究したり、将来この地方へ本格的調査をするときへの手がかりを得ておこう、というもくろみであった。

 また、いままでにも東アフリカばかりでなく、アフリカの中央部や南アフリカについては、仲間たちの手で現地調査が行なわれたことがある。このさい、サハラ周辺部に関する情報を収集すれば、いちおうアフリカ大陸全体に関する研究の見取り図が完成するわけでもあった。

 とてつもなく大がかりな隊である。研究者だけで19名、ほかに新聞記者、テレビカメラマンなど7名、隊員は合計26名。これだけの人員が、植物班、農耕文化班、美術考古班、言語班、人類班、医学班の6班に分かれた。その本隊は、アルジェから出発して、4台のランドクルーザーにより、サハラ砂漠を南下して縦断、ついで東にむかいサハラ南縁のスーダン地帯を横断してエチオピアにいたる二万五千キロを走破した。この調査隊の公式記録としては山下孝介編『大サハラ』、隊員によってすでに刊行された単行本として、中尾佐助著『ニジェールからナイルへ』、木村重信著『アフリカ美術探検』(いずれも講談社)がある。

■なぜフェザンを
 なぜ、わたしたちはフェザンをフィールドに選んだのか?
 谷さんは、中央アジアから北アフリカに連なる乾燥地帯における灌漑農業によって成立する社会の研究に興味をもっていた。北アフリカでも、アルジェリアやエジプトにおける農村の人類学的調査はすでに多くなされている。ところが、フェザンのオアシス農業やそのうえに展開する社会の実態についての報告は、ほとんどないのである。

 フェザンには、オアシスの農民のほかに砂漠における遊牧民がいる。梅棹さんは、モンゴルや東アフリカで遊牧民の研究をしてきた専門家である。
 石毛は、太平洋や東アフリカで物質文化を指標とする生活様式の比較研究を行なってきた。生活様式はその自然環境との関係が深いものである。こんどは、いままでみてきた熱帯森林、島嶼、サバンナなどとはまったく異なる砂漠での人々の生活をみたいと考えたのである。

 そのような学問的な理由づけのほかに、わたしたちが、いずれも探検家としてのトレーニングをつんできた者であり、探検家的発想の持主であることによる好奇心みたいなものがあった。世界の大砂漠のうち、もっとも乾燥している、陸地のうちの極地であるフェザンへ一度は行ってみたかったのである。


『リビア砂漠探検記』1





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Last updated  2019.07.02 08:01:21
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