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2020.11.25
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カテゴリ: 気になる本
図書館で『パンデミック(ナショナルジオグラフィック2020年8月号』という雑誌を、手にしたのです。
おお 現在進行中のパンデミック特集ではないか、これは借りるしかないでえ♪






雑誌、日経ナショナルジオグラフィック社、2020年刊

<商品の説明>より
【特集】
●パンデミックと闘い続ける人類
天然痘、ペスト、コレラなど、人類はこれまで感染症の大流行をいくつも経験してきた。私たちは過去の事例に何を学び、現在の難局打破にどう生かせるのか。そして、新型コロナウイルス感染症の流行が収まった後も、今回得た教訓を忘れずにいられるだろうか
●インドの聖なる川
人類の拡散ルートをたどる途中、インドの旅で見えたものは、聖なる川の魅力と深刻な水の問題だった。
●広島 75年目の記憶
原爆が世界で初めて投下された広島。あの日から75年がたつが、核兵器の恐怖と戦争の記憶は色あせない。

<読む前の大使寸評>
おお 現在進行中のパンデミック特集ではないか、これは借りるしかないでえ♪

amazon パンデミック(ナショナルジオグラフィック2020年8月号


18世紀に人類は天然痘というパンデミックを撲滅した実績を持っているが・・・
その経験は現在のパンデミックにも有効に働くだろうか?
p30~39
<私たちは過去の大流行に何を学び、現在の難局打開にどう生かせるか:リチャード・コニフ>
 3月初めの日曜日、新型コロナウィルス感染症(COVID-19)が世界各地に急速に拡がり始めていた頃、米沿岸警備隊の監視船が、米国カルフォルニア州の23キロ沖合に停泊するクルーズ船「グランド・プリンセス」を目指していた。

 監視船に乗り込んだのは、災害派遣医療チーム。クルーズ船に乗る3500人を体調の悪い人と健康そうな人に分け、上陸準備を進めるためだ。チームには、57歳のマイケル・キャラハンもいた。彼は世界各地のホット・ゾーン(感染症の流行地)で何十年も経験を積んできた感染症の専門家だが、船酔いに苦しみながら、任務開始を待っていた。

 日没の少し前、監視船はクルーズ船からつり下ろされた小型ボートに近づいた。医療チームのメンバーたちは船酔いに加え、防護服を着込んでいるせいで、音もよく聞こえず、視界も制限された状態で、一人ずつ小型ボートに飛び乗った。そこからクルーズ船の船腹に設置されたはしごに飛び移り、甲板を目指す。

 人類は絶えずエピデミック(感染症の地域的な大流行)にたたられてきた。人類が地球全体に拡散すると、そこにパンデミック(世界的な大流行)が加わった。
 これまでの大流行は重要な教訓をもたらしたはずだが、現実には、人々は日ごろその教訓を忘れ、新たなパンデミックが起こるたびに思い出す。

 感染症はあっという間に広がること。しかも、自分にとって大切な人にうつしてしまいがちなこと。人々は感染への恐怖から互いに距離を置くようになり、孤独が耐えがたい苦痛をもたらすこと。そして、重傷患者はしばしば誰にも看取られずに死を迎えなければならないこと。だがそうした事柄以上に、今のパンデミックに気づかされたことがある。いつの時代にも私たちは、キャラハンのように、命懸けで感染症と闘う少数の人々に支えられている点だ。

 過去を振り返ると、既成概念にとらわれず、一見ささいな手がかりに目を向け、無視されがちな声に耳を傾けていることだ。彼らはまた、世界の片隅で起きていることあ、自分の周りでも容易に起こりうると、認識してもいる。

<第1章 予防法を見つける>
「破壊の天使」が到来する…1721年初め、米国東部の港湾都市ボストンで、ピューリタン(清教徒)の牧師コットン・マザーがそう人々に警告した。街を全滅させるような恐ろしい疫病が近づいているというのだ。

 この疫病はすでに英国で猛威を振るっていたし、米大陸の人々もその恐ろしさを経験済みだった。過去200年余り、予測不能な流行を繰り返し、入植者たちをパニックに陥れ、先住民の村々を丸ごと消し去ってきた。しかしボストンでは、前回の流行が起きてから19年がたち、その疫病を経験していない新たな世代が育っていた。

 この疫病にかかると、まず皮膚に赤い発疹ができる。はしかだと思うかもしれないが、そのうち発疹はふくらみ、水疱になって盛り上がる。目や気道、体中におびただしい数の発疹ができて、呼吸をするにも大きな苦痛を伴うこともある。

 膿を含んだ膿胞はひどい悪臭を放つ。死を免れても、しばしば失明などの後遺症が残り、顔や体に痘痕、いわゆる「あばた」が残る。同年4月、「天然痘」と呼ばれるこの疫病はひっそりとボストン港から上陸した。

 人々は当初、疫病の発生を認めようとしなかった。それでも1721年の流行をきっかけに、天然痘は欧米の人々に心強い新たな教訓を与えた。世界中で猛威を振るう感染症も、人知を尽せば防げることだ。感染拡大を阻止できるばかりか、強い意志があれば、根絶できることもある。

 この年、ボストンではヒーローらしからぬ3人の男たちが天然痘と闘った。マザーに加え、アフリカ出身の奴隷オネシマス、新たな手法を積極的に取り入れた医師のザブディール・ボイルストン。3人のうち、最もヒーローらしくないのはマザーその人だ。問題だらけの人物で、虚栄心が強く、感情の波が激しい。しかも、その29年前にセーラムで行われた悪名高い魔女裁判を後押しした人物として、多くの人々の反感を買っていた。

 マザーは子どもの頃から科学、特に医学に非常に興味をもっていた。しかも、感染症は人ごとではなかった。大人になってから2人の妻と、15人の子どものうち13人に先立たれた。その多くは感染症による死だ。

 そんな事情もあって、マザーは英国の科学誌を読みあさり、先住民の伝統療法を研究していた。だから「召使い」のオネシマスが、アフリカに伝わる民間の予防法を話し、その痕跡である痘痕を見せると、大いに興味を持った。

 感染が広がり始めると、マザーは予防のために「世界の一部の地域で最近使われている素晴らしい慣行」をボストンの医師たちに教えた。天然痘患者の膿胞から膿を採取し、健康な人の皮膚を切開して、少量をそこに植えつける。「人痘接種」と呼ばれるこの処置を受ければ、軽い症状が出るだけで、おそらく天然痘に二度とかからなくなるという。

 マザーは、ほかのアフリカ出身者にも話を聞き、接種後の痘痕を見せてもらって確信を強めた。ボストンの医師たちは接種に及び腰だったが、ただ一人違ったのはボイルストンだ。19年前に天然痘で死にかけた経験から、その恐ろしさをよく知っていたし、日々の診察で自分の8人の子どもを危険にさらしているのではないかと心配していた。

 そこでボイルストンは証拠を十分に検討したうえで、6月26日、6歳の息子と一家の2人の奴隷に初めて人痘接種を行った。その結果、「穏やかで良好な天然痘」の症状が出ただけだったので、希望者にこの処置を施すようになった。

 当初、市民のなかには人痘接種を恐れる者もいた。接種を受けた後に完治していない人から病気がうつると思ったのだ。
(中略)

 流行が収まった時点で、感染者はボストンの人口の半数を超える6000人近くになり、死者は844人で、致死率は約15%にのぼった。一方で、人痘接種を受けた人では、致死率は2%にとどまった。改良が進むにつれ、その割合も0.5%足らずに下がり、人痘接種は標準的な予防法となった。
(中略)

 その後も天然痘による死者は後を絶たず、20世紀だけでも推定3億人が亡くなった。しかし世界的なワクチン接種運動が実を結び、世界保健機関(WHO)は1980年5月に天然痘の根絶を宣言した。それまでにはワクチンが次々に開発され、多くの感染症が身の回りから姿を消した。パンデミックはもう起きないだろうとさえ、人々は思ったのだった。





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Last updated  2020.11.25 08:13:38
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