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2021.07.29
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カテゴリ: 中国
図書館で『「中国」という神話』という本を手にしたのです。
目次を見てみると、どれも興味深いテーマが並んでいます。・・・モンゴル生れで静岡大学教授という著者の出自には一目置くわけでおます。





楊海英著、文藝春秋、2018年刊

<「BOOK」データベース>より
「中華民族の偉大なる復興」を唱える習近平。しかし、その世界戦略「一帯一路」のターゲット、内陸アジアこそ中国最大のアキレス腱だ。歴史の改変、暴力による弾圧、洗脳教育、結婚外交ー「中国は巨大な一つの国家であり、その支配は正当だ」という神話づくりの数々を鋭く暴く。

<読む前の大使寸評>
目次を見てみると、どれも興味深いテーマが並んでいます。・・・モンゴル生れで静岡大学教授という著者の出自には一目置くわけでおます。

rakuten 「中国」という神話

ウランバートル郊外のチンギス・ハーン像

「第三章 チンギス・ハーンは中国の英雄?」でチンギス・ハーンを、見てみましょう。
p112~116
<1世界史におけるチンギス・ハーンの評価>
 かつてチンギス・ハーンといえば、残酷な侵略者のイメージだった。しかし、今や日本の読書界では「世界史の創造者」とのイメージがほぼ定着している。それは、著名な歴史家の岡田英弘の『世界史の誕生』や、杉山正明の『大モンゴルの世界―陸と海の巨大帝国』など、開拓的な著作が従来の偏見と差別的な遊牧民観=モンゴル観を変えた結果である。
 ここでいう「差別的な遊牧民観=モンゴル観」とは、中国のように彼らを「野蛮な人々で、文化も後進的だ」とする認識を指す。日本の歴史学者の研究成果は、偏見に満ちた中国側の史料だけではなく、ペルシャ語やアラビア語、それにモンゴル語とテュルク系諸言語などからなる史料群を広く渉猟するようになり、グローバルな視点で歴史の真相に接近できたからである。ことにソ連崩壊後、それらの史料へのアクセスが容易になり、研究は大きく進展した。

 欧米においても、同じである。
 チンギス・ハーンはみごとに「殺戮者」や「侵略者」から「平和国家の先駆け」へと変身した。アメリカの文化人類学者ジャック・ウェザーフォードは新しいチンギス・ハーン像を提示する時に戦略的な方法を取った。彼は自著『パックス・モンゴリカ―チンギス・ハーンがつくった新世界』をまず、モンゴル国で出版して、チンギス・ハーンに関する知識に飢えていたモンゴル人の要望に応えた。

 現地での好評につづきアメリカで出版されると、たちまち『ニューヨーク・タイムズ』のベストセラーにランクインした。ウェザーフォードは以下のようにチンギス・ハーンを評価する。

<チンギス・ハンの帝国は彼を取り巻く多くの文明を結びつけ、融合させ、新しい世界秩序をもたらした。

 1262年に彼が生れたころの旧世界は、それぞれすぐ隣の文明しか知らないに等しいローカルな文明群から成っていた。中国でヨーロッパのことを聞いた人はいなかったし、ヨーロッパで中国のことを聞いた人もおらず、また記録に残るかぎりそのふたつのあいだを旅した人もいなかった。

 ・・・彼は人類社会を一変させたのだ。チンギス・ハンの軍勢は、倒れた主君を隠密に埋葬するため、ふるさとのモンゴル地方へ運ぶ。>


 ウェザーフォードはモンゴル語の年代記やその他の史料をふんだんに引用し、モンゴル人が伝えるところのチンギス・ハーン関連の遺跡をまんべんなく訪ね歩いた。

 ウェザーフォードは更に語る。
 近代に入ってから、西洋のキリスト教徒の植民地主義者もロシア人共産主義者も、みな自らを「解放者」に仕立てあげるために、チンギス・ハーンを「人類史のどん底に引きずりおろ」して、虐殺者や侵略者に書き換えた、という。

 一方、近年では、内陸アジアの「ステップの視野」に立つイギリスの歴史家・旅行作家のジョン・マンによる著作『チンギス・ハン―その生涯、死、そして復活』が注目を集めた。ジョン・マンもまたモンゴル全域を旅し、各地各界のモンゴル人にインタビューをし、草原に暮らす遊牧民が如何に「英雄なる祖先の栄光」を誇りに思っているかを活写し、欧米が今日までに意図的に歪曲してきた「チンギス・ハーンの本来の歴史」の復原に力を入れた。

 ジョン・マンはまず二つのセンセーショナルな記事に注目する。その一つは、1995年12月に『ワシントン・ポスト』紙が、チンギス・ハーンを「過去千年で最も重要な人物」に選んだ特集記事。もう一つは、権威あるオックスフォード大学などの研究者チームが発表した成果だ。それはチンギス・ハーンには「今日、1600万人もの子孫がいる」というものだった。

『「中国」という神話』2 :ウイグル人「テロ」の背景
『「中国」という神話』1 :モンゴル人を殺して匈奴を愛す





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Last updated  2021.07.29 15:20:36
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